JP2012173620A - 排気システムの騒音低減構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】概略閉構造の筐体内に熱を発生する回転機器を備え、回転機器から発生する熱を外部に排気する排気路10を備えた排気システムの騒音低減構造であって、出口部位12で、排気路10内における音の伝播方向Zと平行な面に開口部20を備え、開口部20の開口面23において、消音対象の特定周波数について、ある瞬間において特定の節における位相よりも位相が進んでいる正位相の第一領域Aでの音圧の積算値と、当該正位相とは逆位相の第二領域Bでの音圧の積算値と、が等しくなるように音の伝播を遮断する遮音部材40を開口部20に設ける排気システムの騒音低減構造。
【選択図】図7
Description
本発明に係る排気システムの騒音低減構造について、図面を参照して説明する。以下では、排気システムが騒音低減構造を備えることによる効果を明確にするため、排気システムの概略について説明した後、騒音低減構造を備えない場合に生じる騒音について説明を行う。その後、騒音低減構造を備えない場合との対比において、備える場合に生じる騒音について説明を行う。
1−1.全体構成
図1に、本発明に係る騒音低減構造を備える排気システムの一例を示す。本実施例では、排気システムとして、図1に示すような発電システム1を対象とする。発電システム1は概略閉構造の筐体2を備え、筐体2内に備えられた燃焼機関4は、動作時に、発熱を伴う。筐体2内に熱が篭るのを防ぐ為、発電システム1は、燃焼機関4から発生する熱を筐体2外部に排気し、筐体2の換気を行うための排気路10を備えている。この排気路10により、燃焼機関4の発熱により暖められた高温空気Gが筐体2外に排出されるとともに、筐体2内に備えられた燃焼機関4などから発生する音も、筐体2外へと漏出する。
図2に、本実施例に係る発電システム1における排気路10の概略を示す。ここで、排気路10内において、騒音は、排気路10の上方に設けられた入口部位11から排気路10の下方に設けられた出口部位12に向かって伝播する。排気路10内における騒音の伝播方向Zにおいて、騒音の発生源に近い方を伝播方向上流Z1と呼び、音源から離れる方を伝播方向下流Z2と呼ぶ。本実施例においては、排気路10内における伝播方向Zは、鉛直方向に等しい。よって、伝播方向上流Z1は、鉛直方向上方に等しく、伝播方向下流Z2は、鉛直方向下方に等しい。
本実施例においては、ファン14が本発明における「吸引ファン」に相当する。
上述したように、本発明に係る発電システム1は、燃焼機関と発電機が対になっている。発電システム1において、筐体2外部へと漏出する騒音の発生源は、燃焼機関4、発電機及びファン14である。一般的に、これらのように回転駆動部を備える機器から発生する騒音は、動作時の回転数によって特定の周波数にピークを持つ。本実施例における燃焼機関4、発電機及びファン14によって発生する騒音の周波数特性を図3に示す。図より、燃焼機関4、発電機及びファン14によって発生する騒音は、190Hz、380Hz、570Hz近傍などの複数箇所において鋭いピークを持つことがわかる。
2−1.解析方法
本実施例の発電システム1において、後述する騒音低減構造を備えない場合に、筐体2外に漏出する騒音を数値解析によって検証した。
解析結果を、図5(a)及び図6に示す。図5(a)は、上記解析方法において音源を675Hzに設定したときに、幅方向Xに直行する断面で見たときの排気路10内及び開口部20前方に形成される音圧分布を示すコンター図である。図5における、色の濃淡は、音圧を示している。後述する、図7(c)、図9(a)、図10(c)、図12、図13(c)も同様である。またこれらの図におけるスケールは統一してある。また、図6は、開口部20前方位置における騒音の周波数特性である。
図5(a)において、排気路10内の有効音圧分布を騒音の伝播方向Zに見たものを図5(b)に示す。縦軸は、排気路10の底面を原点としたときの、原点からの距離を示し、横軸は音圧レベルを示している。また、排気路10の底面(原点)から1つ目の節を節N1、2つめの節を節N2、3つ目の節を節N3と呼ぶ。
3−1.遮音部材の構成
図7(a)に、騒音低減構造を備える発電システム1の排気路10を示す。本実施例では、出口部位12に特定の特性を有する遮音部材40を備えて消音を図る。騒音低減構造を備える発電システム1の構成は、排気路10における開口部20を除き、騒音低減構造を備えない場合と同様であるので、ここでは排気路10のみを説明する。排気路10の開口部20には、開口面23の一部を塞ぐように遮音部材40が設けられている。遮音部材40は、開口部20の騒音の伝播方向Zにおける一端に接して、設置されている。すなわち、遮音部材40の伝播方向上流Z1側端部が、奥行方向Yに見て開口部20の伝播方向上流Z1端に接するように配置されている。また、遮音部材40は、排気路10を形成する部材とは別部材からなっている。より具体的には、遮音部材40は開口面23を幅方向Xに完全に覆るだけの幅方向Xの大きさを備えた板状の部材である。遮音部材40の騒音の伝播方向Zの大きさは、後述するように消音対象とする周波数に依存する。本実施例においては、消音対象の周波数として675Hzを設定しており、遮音部材40の騒音の伝播方向Zの大きさは、10cmである。また、遮音部材40は、奥行方向Yに見て、長方形をしている。遮音部材40としては、排気路10と同様に、排気路10内を伝播する音が外部に漏れるのを遮断できるような部材で構成されている。本実施例においては、遮音部材40に肉厚の鋼板を用いている。遮音部材40は、例えば、開口部20にネジ穴を設けるとともに、遮音部材40に貫通穴を設け、当該ネジ穴と貫通孔を介してボルトによって締結するなどして、開口部20に適宜固定すると良い。
ここで、遮音部材40は、開口部20の開口面23において、消音対象の特定周波数について、任意の瞬間において特定の節における位相よりも位相が進んでいる正位相の第一領域Aでの音圧の積算値と、当該正位相とは逆位相の第二領域Bでの音圧の積算値と、が等しくなるように設けられている。上記2−3.で説明したように、「任意の瞬間において特定の節における位相よりも位相が進んでいる正位相の第一領域」とは、領域Aに固定されるものではなく、図5(b)及び図9に示す領域A又は領域Bの何れか一方であり、「当該正位相とは逆位相の第二領域」とは他方の領域のことを指す。
このように遮音部材40を設置した場合の、解析結果を、図7(c)及び図8に示す。図7(c)は、上記2−2.と同様の解析方法において音源を675Hzに設定したときに、幅方向Xに直行する断面で見たときの排気路10内及び開口部20前方に形成される音圧分布を示すコンター図である。解析モデルは、開口部20において遮音部材40が設けられている領域(開口面23において、排気路10の底面から30cmの位置から伝播方向上流Z1側に10cmの領域)を、剛体壁であるとした点を除き、上記2−1.と同様である。遮音板を設けていない場合(図5(a))に比べ、開口部20前方において全体的に音圧が低下していることがわかる。また、図8は、開口部20前方位置における騒音の周波数特性である。実線が遮音部材40の設置前、破線が遮音部材40の設置後を示す。遮音部材40の設置により、全周波数域において、おおむね音圧が低下する傾向が見られた。また、特に消音対象とした675Hzにおいて顕著な音圧の低下を確認できた。
開口部20における遮音部材40の設置方法について上述した。以下では、実際に上述のように開口部20に遮音部材40を設置する手順について述べる。
遮音部材40を備えていない状態の発電システム1において、開口部20前方位置における音圧の周波数特性を計測する。図6に示されるような周波数特性のグラフが得られるので、このグラフをもとに消音対象とする周波数を決定する。ここで、消音対象とする周波数は、周波数特性のグラフにおいて、局所的なピークをもつ周波数に決定すると良い。
開口部20の開口面23において、手順1.で決定した周波数についての騒音の伝播方向Zの音圧分布を測定する。あるいは、決定した周波数と開口部20の大きさに基づいて、解析的に求めても良い。この様にして、図5(b)に示されるような音圧分布のグラフが得られるので、このグラフをもとに、領域Aにおける音圧の積算値と領域Bにおける音圧の積算値とを等しくするために、遮音するべき(音圧を0にするべき)領域を決定する。
手順2.で求めた遮音するべき領域を塞ぐように、開口部20に遮音部材40を設置する。
この第二実施例は、上記第一実施例とは遮音部材40の構成及び配置方法が異なる別実施例である。その他の構成については、上記第一実施例と同様であるので、その他の構成については説明を省略し、主に遮音部材40の構成及び配置方法を説明する。
図10(a)に、第二実施例における遮音部材40の大きさと配置位置を示す。遮音部材40は、開口面23において局所的に音圧が高くなっている全ての位置それぞれに対応して、設置されている。より具体的には、開口部20には、開口面23における腹に対応して遮音部材40が複数設けられている。これら複数の遮音部材40は、領域Aにおける音圧の積算値及び領域Bにおける音圧の積算値が等しいままに保たれるように設けられている。すなわち、複数の遮音部材40は、領域Aにおける音圧と領域Bにおける音圧とを同程度低下させるように設けられている。第二実施例においては、遮音部材40は2枚設けられており、各遮音部材40の騒音の伝播方向Zの大きさは5cmである。遮音部材40の一方は、排気路10の底面から15cmの高さに設けられており、遮音部材40の他方は、排気路10の底面から25cmの高さに設けられている。
このように遮音部材40を配置した場合の、解析結果を図10(c)及び図11に示す。図10(c)は、上記2−2.と同様の解析方法において音源を1275Hzに設定したときに、幅方向Xに直行する断面で見たときの排気路10内及び開口部20前方に形成される音圧分布を示すコンター図である。解析モデルは、開口部20において遮音部材40が設けられている領域を剛体壁であるとした点を除き、〔第一実施例〕における2−1.と同様である。遮音板を設けていない場合(図9(a))に比べ、開口部20前方において全体的に音圧が低下していることがわかる。また、図11は、開口部20前方位置における騒音の周波数特性である。実線が遮音部材40の設置前、破線が遮音部材40の設置後を示す。遮音部材40の設置により、全周波数域において、おおむね音圧が低下する傾向が見られた。また、特に消音対象とした1275Hzにおいて顕著な音圧の低下を確認できた。
最後に、本発明のその他の実施例について説明する。なお、以下に説明する各実施例の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施例の構成と組み合わせて適用することも可能である。
2 :筐体
4 :燃焼機関(回転機器)
10 :排気路
11 :入口部位
12 :出口部位
13 :吸引排出機構
14 :ファン(吸引ファン)
20 :開口部
21 :長辺
22 :短辺
23 :開口面
40 :遮音部材
A :第一領域
B :第二領域
G :高温空気
L :路長手軸
Z :伝播方向
Claims (6)
- 概略閉構造の筐体内に熱を発生する回転機器を備え、前記回転機器から発生する熱を外部に排気する排気路を備え、前記排気路の入口部位に、前記筐体内の気体を吸引し、前記排気路の出口部位から排気する吸引排出機構を備えた排気システムの騒音低減構造であって、
前記排気路を先端閉構造とするとともに、
前記排気路を前記入口部位から前記出口部位側に伝播する音に関し、前記出口部位で、前記排気路内における前記音の伝播方向と平行な面に開口部を備え、
前記開口部の開口面において、消音対象の特定周波数について、任意の瞬間において特定の節における位相よりも位相が進んでいる正位相の第一領域での音圧の積算値と、当該正位相とは逆位相の第二領域での音圧の積算値と、が等しくなるように
音の伝播を遮断する遮音部材を前記開口部に設ける排気システムの騒音低減構造。 - 前記遮音部材が、前記開口部の前記伝播方向における一端に接して、設置されている請求項1に記載の排気システムの騒音低減構造。
- 前記遮音部材が、前記開口面において局所的に音圧が高くなっている全ての位置それぞれに対応して、設置されている請求項1に記載の排気システムの騒音低減構造。
- 前記遮音部材が、前記排気路を形成する部材とは別部材からなる請求項1〜3の何れかに記載の排気システムの騒音低減構造。
- 前記排気路が路長手軸を横断する方向の断面形状が矩形の矩形断面通路として構成されるとともに、
前記開口部が、前記矩形断面通路を形成する一の側面に設けられ、前記路長手軸に沿った一対の長辺と、前記一対の長辺に直交する一対の短辺からなる矩形開口である請求項1〜4の何れかに記載の排気システムの騒音低減構造。 - 前記排気路を伝播する音の発生源が、前記回転機器及び前記吸引排出機構を成す吸引ファンである請求項1〜5の何れかに記載の排気システムの騒音低減構造。
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