JP2012170992A - 部分圧下連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スラブ鋳片の幅方向一端から0.75T0[mm]離れた位置の板厚中心の固相率が0.7である位置から下流側8mの範囲内において、スラブ鋳片の幅方向両端から、それぞれ、0.5T0[mm]離れた位置から幅方向中央側に400[mm]以内の2つの領域A、Dに、総圧下量が3mm以上30mm以下の圧下部11A、11Dが形成されるようにスラブ鋳片を圧下すると共に、スラブ鋳片の幅方向両端から、それぞれ、2.5T0[mm]離れた位置から幅方向中央側に300[mm]以内の2つの領域B、Cに、総圧下量が3mm以上30mm以下の圧下部11B、11Cが形成されるようにスラブ鋳片を圧下する。圧下部11A、11Dの幅は80mm以上400mm以下であって、圧下部11B、Cの幅は80mm以上300mm以下である。
【選択図】図2
Description
このザク欠陥を低減するために、従来から、凝固末期のスラブ鋳片を圧下ロールによって圧下することが行われている。圧下ロールは、スラブ鋳片を圧下する際にスラブ鋳片から反力を受けるため、圧下量が大きいほどたわみ変形しやすくなる。
圧下ロールのたわみ変形を抑制するために、圧下ロールとしては、軸方向に2または3分割された分割型ロールが用いられる(例えば特許文献1参照)。
分割型ロールの軸方向途中部には、1または2つの軸受部が設けられており、分割型ロールは軸受部以外の部分でスラブ鋳片を圧下する。軸受部の幅は比較的短いため、例えばスラブ鋳片幅が2100mmの場合で、3分割型ロールの各ロールの幅は平均700mm程度である。
また、分割型ロールで全幅圧下する場合に比べて、圧下幅が小さくなるため、圧下する部品がスラブ鋳片から受ける反力を低減することができ、その結果、設備負荷を低減できる。
また、総圧下量を3mm以上30mm以下とすることにより、設備負荷を無駄に大きくすることなく、ザク欠陥を圧延後に無害化できる程度の大きさまで縮小することができる。
図1は、本実施形態の鋳造方法が適用される連続鋳造機100の構成を示している。図1に示すように、連続鋳造機100は、連続鋳造によってスラブ鋳片10を製造するものであって、タンディッシュ1と、鋳型3と、複数のロール対4と、スプレーノズル(図示省略)とを備えている。
また、図示は省略するが、環状突起52、53、54も環状突起51と同じく、幅方向両端部が面取りされたような形状であって、幅方向中央部に平坦部52a、53a、54aを有する。
。平坦部52a〜54aの幅(圧下幅)をw2〜w4とする。
本実施形態では、環状突起51〜54は、平坦部51a〜51aが、スラブ鋳片10においてザク欠陥が発生しやすい領域を圧下するように配置されている。
具体的には、図2(a)に示すように、環状突起51は、平坦部51aが、スラブ鋳片10の幅方向一端(図2(a)中の上端)から0.5T0[mm]離れた位置から幅方向中央側に400mm以内の領域A内に配置されており、幅w1は80mm以上400mm以下である。
環状突起52は、平坦部52aが、スラブ鋳片10の幅方向他端(図2(a)中の下端)から2.5T0[mm]離れた位置から幅方向中央側に300mm以内の領域C内に配置されており、幅w2は80mm以上300mm以下である。
環状突起53は、平坦部53aは、スラブ鋳片10の幅方向他端(図2(a)中の下端)から0.5T0[mm]離れた位置から幅方向中央側に400mm以内の領域D内に配置されており、幅w3は80mm以上400mm以下である。、
環状突起54は、平坦部54aが、スラブ鋳片10の幅方向一端(図2(a)中の上端)から2.5T0[mm]離れた位置から幅方向中央側に300mm以内の領域Bとする)内に配置されており、幅w4は80mm以上300mm以下である。
図5に示すように、スラブ鋳片10の幅方向両端近傍の凝固が中央部の凝固よりも遅れることが知られている。その理由のひとつとして、一般的な2孔式の浸漬ノズル2を用いて鋳造した場合、浸漬ノズル2から鋳型3へ吐出された溶鋼流が鋳型3内の凝固シェル12の特定の2箇所に衝突するため、その2箇所の衝突部分において溶鋼の凝固が遅れていると考えられる。
図5(a)中破線で囲んだ3つの領域14B、14C、14Dにおいても領域14Aと同様に、3方向の凝固成長が混在するため、ザク欠陥が発生しやすいと考えられる。つまり、スラブ鋳片10は幅方向について4つの領域14A〜14Dでザク欠陥が発生しやすい。
したがって、ザク欠陥が発生しやすい4つの領域14A〜14Dの両側の領域14A、14Dは、スラブ鋳片10の幅方向両端から、それぞれ、0.5T0離れた位置から幅方向中央側の領域である。
したがって、本実施形態において、環状突起51〜54の平坦部51a〜54aによって、スラブ鋳片10の領域11A〜11D内の幅80mm以上の領域を圧下することにより、ザク欠陥が発生しやすい部分のみを圧下することができる。
また、本実施形態では、スラブ鋳片10の幅方向端部からの距離が0.75T0[mm]であって且つ板厚中心である位置を位置P(図3参照)とすると、圧下ロール対41、42は、環状突起51〜54が、この位置Pでの固相率が0.7となる位置から下流側8mの範囲内に位置するように配置されている。固相率が0.7となる位置は計算によって求められる。計算ではスラブ鋳片の固相率は左右対称である。
この数値解析では、図9に示すスラブ鋳片モデルを使用し、鋳造速度を1.0m/minとした。スラブ鋳片の内部には2つのザク欠陥A、Bを配置した。圧下前のザク欠陥A、Bの形状は直径3mmの球状である。なお、球状は圧下されても最も変形しにくい形状である。
このスラブ鋳片の全幅を圧下量20mmで圧下した場合におけるザク欠陥A、Bの欠陥縮小率を計算によって求めた。この計算は、スラブ鋳片の炭素量が0.15wt%の場合と0.55wt%の場合について行った。なお、スラブ鋳片内部の温度分布は、伝熱凝固計算(FEMソフト「CASTEM」を使用)で求めた2次元断面の温度分布を使用した。後述する図8、図10、図12および図15のグラフ作成においても同様に計算した。図8中の◆印と◇印は、炭素量が0.15%の場合のザク欠陥Aとザク欠陥Bの欠陥縮小率をそれぞれ示しており、●印と○印は、炭素量が0.55%の場合のザク欠陥Aとザク欠陥Bの欠陥縮小率をそれぞれ示している。なお、欠陥縮小率とは、圧下前のザク欠陥の厚さ方向の大きさをd0、圧下後のザク欠陥の厚さ方向の大きさをdとすると、下記の数式1で定義される。欠陥縮小率が大きいほど圧下が有効に行われたことを示す。
欠陥縮小率(%)=[(d0−d)/d0]×100
したがって、固相率0.7の位置から固相率1.0の位置までは圧下を有効に行えるのは勿論、完全凝固(固相率1.0)した後であっても温度が高く内部変形しやすい領域であれば、圧下を有効に行うことができる。
なお、図9は、最も変形しにくい球状のザク欠陥の場合であり、通常のザク欠陥はこれよりも変形しやすい形状であるため、実際の欠陥縮小率は、図9の結果よりも高くなると考えられる。
また、本実施形態では、スラブ鋳片10の圧下部11A〜11Dによる圧下量は、それぞれ3mm以上30mm以下である。したがって、スラブ鋳片10の圧下部11A〜11Dの圧下量(総圧下量)は、それぞれ3mm以上30mm以下である。
圧延によるザク欠陥の縮小率は、スラブ鋳片厚さT0に対する鋼材厚さTの比(T/T0)によって異なる。そのため、表3に示すように、圧延前(鋳造工程における圧下後)のスラブ鋳片内部のザク欠陥の最大許容サイズ(圧延により無害化できる最大サイズ)は、T/T0の値によって異なる。なお、表3中の最大許容サイズは、計算によって算出した。
この数値解析では、図11に示すスラブ鋳片モデルを使用し、炭素量を0.15wt%、鋳造速度を1.0m/minとした。スラブ鋳片の内部には、直径3mmの球状のザク欠陥を配置した。このスラブ鋳片を、固相率(Fs)0.7の位置において1回だけ圧下した場合と、固相率1.0の位置から下流側に2m離れた位置において1回だけ圧下した場合について、それぞれ圧下量を変えて計算を行った。図10中の〇印は、固相率0.7の位置で圧下した場合を示し、◆印は、固相率1.0から下流側2mの位置で圧下した場合を示している。
この数値解析は、図13に示すスラブ鋳片モデルを使用し、炭素量を0.15wt%、鋳造速度を1.0m/minとした。
図13に示すように、スラブ鋳片の内部には直径3mmの球状の5つのザク欠陥を配置した。
また、幅方向一部分を圧下する場合の圧下範囲は、スラブ鋳片の幅方向一端から90mm離れた位置から幅方向中央側に250mmの位置までの範囲とした。また、幅方向一部分を圧下する場合、幅方向全域を圧下する場合とも圧下量は同じ条件とした。
また、内部縮小率とは、スラブ鋳片の板厚中央部の所定厚さの領域が、圧下によってどの程度縮小されたかを示す指標である。圧下前のスラブ鋳片における対象領域の板厚をD0、圧下後の対象領域の板厚をDとすると(図14参照)、内部縮小率は下記の数式2で定義される。内部縮小率が高いほど圧下効率が高いことを示す。図12の数値解析では、D0=20mmとした。
内部縮小率(%)=[(D0−D)/D0]×100
図15の横軸は、圧下幅をスラブ鋳片幅で割った価(圧下幅比)を示している。例えば、スラブ鋳片幅が2100mmで、圧下幅が400mmの場合の圧下幅比は、0.66である。また、図15の縦軸は、ある圧下幅で圧下したときにローラが受ける反力を、スラブ鋳片の幅方向全域で圧下した時の反力で割った価(反力指数)を示している。
例えば、領域Aを圧下するための環状突起と、領域Dを圧下するための環状突起が同じ圧下ロールに設けられ、別の圧下ロールに、領域Bを圧下するための環状突起と、領域Cを圧下するための環状突起が設けられていてもよい。また、1本の圧下ロールに、領域A〜Dを圧下するための4つの環状突起が設けられていてもよい。また、4本の圧下ロールに、領域A〜Dを圧下するための4つの環状突起がそれぞれ設けられていてもよい。
また、環状突起251Aの圧下量が3mm未満の場合、重複して圧下される部分211A´の幅(即ち、環状突起251Bの圧下幅)が80mm以上で、部分211A´の総圧下量が3mm以上30mm以下であれば、圧下部211A´が本発明の第1圧下部に相当する。
図16(c)では、鋳造方向から視て環状突起351Aの平坦部と環状突起351Bの平坦部とは隙間なく幅方向に隣接しているため、スラブ鋳片10には1つの圧下部(第1圧下部)311Aが形成される。この場合、圧下部311Aの幅(即ち、環状突起351A、351Bによる圧下幅の合計)は80mm以上とし、圧下部311Aの総圧下量(即ち、環状突起351A、351Bによる各圧下幅)は3mm以上30mmとする。
また、図示は省略するが、鋳造方向から視て環状突起351Aの平坦部と環状突起351Bの平坦部とが幅方向に間隔を空けて配置されていてもよい。この場合、スラブ鋳片10には2つの圧下部(第1圧下部)が形成される。この場合、環状突起351A、351Bの各圧下幅は80mm以上とし、環状突起351A、351Bによる各圧下量は3mm以上30mm以下とする。
2 浸漬ノズル
3 鋳型
10 スラブ鋳片
11A、11D 圧下部(第1圧下部)
11B、11C 圧下部(第2圧下部)
41、42 圧下ロール対
41a、42a 圧下ロール
51、53 環状突起
52、54 環状突起
Claims (1)
- スラブ鋳片厚さT0[mm]が220mm以上300mm以下であって、スラブ鋳片幅が1700mm以上で、炭素量が0.03wt%以上0.7wt%以下のスラブ鋳片を鋳造速度0.7m/min以上2.0m/min以下で連続鋳造する方法であって、
スラブ鋳片の幅方向一端から0.75T0[mm]離れた位置の板厚中心の固相率が0.7である位置から下流側8mの範囲内において、
スラブ鋳片の幅方向両端から、それぞれ、0.5T0[mm]離れた位置から幅方向中央側に400[mm]以内の2つの領域に、総圧下量が3mm以上30mm以下の第1圧下部が形成されるようにスラブ鋳片を圧下すると共に、
スラブ鋳片の幅方向両端から、それぞれ、2.5T0[mm]離れた位置から幅方向中央側に300[mm]以内の2つの領域に、総圧下量が3mm以上30mm以下の第2圧下部が形成されるようにスラブ鋳片を圧下し、
前記第1圧下部の幅が80mm以上400mm以下であって、
前記第2圧下部の幅が80mm以上300mm以下であることを特徴とする部分圧下連続鋳造方法。
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