JP2012170833A - 除湿装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性に優れ、消費電力も低く、印加電圧の制約を受けにくい、電気化学反応に基づく除湿装置を提供する。
【解決手段】この除湿装置10は、固体電解質1、該固体電解質を間に挟む多孔質の燃料極2および多孔質の空気極5を含むMEA7と、MEAに電気的に接続される電源とを備え、固体電解質1が、3族原子がドープされたバリウムジルコネート(BaZrO3)を主要材料とすることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】この除湿装置10は、固体電解質1、該固体電解質を間に挟む多孔質の燃料極2および多孔質の空気極5を含むMEA7と、MEAに電気的に接続される電源とを備え、固体電解質1が、3族原子がドープされたバリウムジルコネート(BaZrO3)を主要材料とすることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、除湿装置に関し、より具体的には、固体電解質を用いて電気化学反応により除湿を行うことで、良好な耐久性、かつ低い運転費用を可能にする除湿装置に関するものである。
除湿装置には、従来から、冷却し結露させて湿分を除く冷却式(またはコンプレッサ式)、除湿剤であるゼオライトを用いるゼオライト式などが知られている。冷却式には、ペルチエ装置を用いて局所的に冷却するペルチエ除湿方式もある。これらの除湿装置は、いずれもドレイン処理を必要とし、また運転の消費電力も無視できない。
このため、電気化学反応を利用して空気中の水分を電気分解する除湿装置が提案された(特許文献1、2)。この除湿装置では、プロトン導電性の有機膜である固体電解質を挟んで多孔質のアノードおよびカソードが配置された電気化学反応装置を用いる。これによって、水の電気分解電圧である1.3V程度をアノード/カソード間に印加することで除湿スペースの水分を分解することができる。この電気化学反応方式によれば、運転に要する電力を少なくて済ませることができる。
このため、電気化学反応を利用して空気中の水分を電気分解する除湿装置が提案された(特許文献1、2)。この除湿装置では、プロトン導電性の有機膜である固体電解質を挟んで多孔質のアノードおよびカソードが配置された電気化学反応装置を用いる。これによって、水の電気分解電圧である1.3V程度をアノード/カソード間に印加することで除湿スペースの水分を分解することができる。この電気化学反応方式によれば、運転に要する電力を少なくて済ませることができる。
しかしながら、上記の電気化学反応装置の要となる固体電解質は有機膜であり、水分を得てはじめてプロトン導電性を発現する有機材料である。このため、有機膜を挟む触媒を含む電極の材質および製造方法は、非常に限定されたものになる。有機膜に電気的に接続される電極および触媒は、その有機膜と組み合わせて効果のあがるものでなくてはならない。製造方法についても、高温加熱は適用できず、かつ製造途中、有機膜に付加される力が小さくなる製造方法をとらざるを得ない。何よりも、有機膜は、乾燥と湿潤とを繰り返すと性能が劣化するとともに、その耐久力も劣化する。とくに、大きな過電圧をかけると有機膜や触媒が劣化するという問題を有する。このため実用化のために所定レベルの除湿容量を確保しようとすると装置のサイズ等について制約を受ける。
本発明は、耐久性に優れ、消費電力も低く、印加電圧について制約を受けにくい、電気化学反応に基づく除湿装置を提供することを目的とする。
本発明の除湿装置は、電気化学反応により空気中の水分を除く装置である。この除湿装置は、固体電解質、該固体電解質を間に挟む多孔質の燃料極および多孔質の空気極を含む膜電極集合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、膜電極集合体に電気的に接続される電源とを備え、固体電解質が、3族原子がドープされたバリウムジルコネート(BaZrO3)を主要材料とすることを特徴とする。
上記の除湿装置では、電気化学反応においてこれまで使用されてきた酸素イオン導電性の固体電解質を用いずに、プロトン導電性の固体電解質、なかでも3族原子がドープされたバリウムジルコネート(以下、単にバリウムジルコネートと記した場合でも3族原子を含むものとする)を用いる。バリウムジルコネートは無機材料であり乾燥湿潤が繰り返されても強度が劣化することが少ない。この点、同じプロトン導電性の有機膜からなるナフィオン(登録商標)と比べて、高い耐久性を有し、製造方法が制限されにくいという点で優れている。
また、有機膜と異なり、大きな過電圧をかけても膜や電極触媒が劣化しないので、印加電圧を高めることで、除湿能率の向上をはかったり、または装置サイズの小型化を実現することができる。
上記の除湿装置では、燃料極(アノード)/空気極(カソード)間に、最低限1V〜1.5V程度、通常は除湿能率の向上または装置の小型化を実現するためにそれより高い電圧を印加して空気中(除湿スペース)の水分を電気分解することを前提とする。この水分の電気分解では、次の電気化学反応を生じる。
(燃料極(アノード)):燃料極で水分を分解し、プロトン(水素イオン)を上記バリウムジルコネートの固体電解質へ移送し、そのプロトンが抜かれた水分子の残りの酸素分子を当該燃料極から空気中(除湿スペース)に放散し、そしてプロトンと電荷バランスして生成する電子を、上記の電源を含む外部回路に流す。
(空気極(カソード)):一方、空気極では、燃料極からバリウムジルコネートを通ってきたプロトンと、空気中(放湿スペース)の酸素分子と、外部回路を流れてきた電子と、が反応して水分子を生成し、その場の空気中(放湿スペース)に放散する。除湿スペースと放湿スペースとの間には、部分的にしろ、何らかの隔壁を設けるのがよい。
バリウムジルコネートは、どのような方法で製造されてもよい。たとえば、気相法、なかでもPLD(Pulsed Laser Deposition)法で製造してもよい。高精度の薄い固体電解質を得ることができる。これによってプロトンの固体電解質中の移動時間を短縮することができる。気相法によれば、バリウムジルコネートの焼結は、次に説明するセラミックスに対応した焼結の場合よりも、格段に低い焼結温度700℃〜800℃で行うことができる。
また、セラミックスに対応した成形法で製造してもよい。たとえば、乾式成形(一軸加圧、冷間静水圧成形、HP(ホットプレス)、HIP(熱間静水圧成形))、塑性成形(押出し成形、射出成形)、テープ成形(ドクターブレード法)など何でもよい。この成形のあとの焼結では、良好な特性のバリウムジルコネートを得るためには1500℃〜1700℃で焼結するのがよい。
また、有機膜と異なり、大きな過電圧をかけても膜や電極触媒が劣化しないので、印加電圧を高めることで、除湿能率の向上をはかったり、または装置サイズの小型化を実現することができる。
上記の除湿装置では、燃料極(アノード)/空気極(カソード)間に、最低限1V〜1.5V程度、通常は除湿能率の向上または装置の小型化を実現するためにそれより高い電圧を印加して空気中(除湿スペース)の水分を電気分解することを前提とする。この水分の電気分解では、次の電気化学反応を生じる。
(燃料極(アノード)):燃料極で水分を分解し、プロトン(水素イオン)を上記バリウムジルコネートの固体電解質へ移送し、そのプロトンが抜かれた水分子の残りの酸素分子を当該燃料極から空気中(除湿スペース)に放散し、そしてプロトンと電荷バランスして生成する電子を、上記の電源を含む外部回路に流す。
(空気極(カソード)):一方、空気極では、燃料極からバリウムジルコネートを通ってきたプロトンと、空気中(放湿スペース)の酸素分子と、外部回路を流れてきた電子と、が反応して水分子を生成し、その場の空気中(放湿スペース)に放散する。除湿スペースと放湿スペースとの間には、部分的にしろ、何らかの隔壁を設けるのがよい。
バリウムジルコネートは、どのような方法で製造されてもよい。たとえば、気相法、なかでもPLD(Pulsed Laser Deposition)法で製造してもよい。高精度の薄い固体電解質を得ることができる。これによってプロトンの固体電解質中の移動時間を短縮することができる。気相法によれば、バリウムジルコネートの焼結は、次に説明するセラミックスに対応した焼結の場合よりも、格段に低い焼結温度700℃〜800℃で行うことができる。
また、セラミックスに対応した成形法で製造してもよい。たとえば、乾式成形(一軸加圧、冷間静水圧成形、HP(ホットプレス)、HIP(熱間静水圧成形))、塑性成形(押出し成形、射出成形)、テープ成形(ドクターブレード法)など何でもよい。この成形のあとの焼結では、良好な特性のバリウムジルコネートを得るためには1500℃〜1700℃で焼結するのがよい。
燃料極および/または空気極は、8族元素の金属を含むことができる。
ここで、8族元素は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)をさす。
上記の材料は、電子導電性およびプロトン導電性を持ちながら、各電極において触媒として機能して、各電極における上記電気化学反応を促進することができる。
なお8族元素の金属は一種だけでなく、二種以上含んでもよい。また、上記電極における8族元素の金属の含有率はほとんど100%であってもよい。通常、金属粒の形態であるが、化合物の形態であってもよい。たとえば上記の金属は表面を酸化して表面酸化層を形成したものであってもよい(表面酸化層を300℃程度以下の空気中で安定して保持できる金属の場合)。表面酸化層を有することで、上記の触媒作用をより高めることができる。表面酸化層の中の金属部分は、電子導電性およびプロトン導電性を持つことで、電気化学反応を円滑に推進することができる。
ここで、8族元素は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)をさす。
上記の材料は、電子導電性およびプロトン導電性を持ちながら、各電極において触媒として機能して、各電極における上記電気化学反応を促進することができる。
なお8族元素の金属は一種だけでなく、二種以上含んでもよい。また、上記電極における8族元素の金属の含有率はほとんど100%であってもよい。通常、金属粒の形態であるが、化合物の形態であってもよい。たとえば上記の金属は表面を酸化して表面酸化層を形成したものであってもよい(表面酸化層を300℃程度以下の空気中で安定して保持できる金属の場合)。表面酸化層を有することで、上記の触媒作用をより高めることができる。表面酸化層の中の金属部分は、電子導電性およびプロトン導電性を持つことで、電気化学反応を円滑に推進することができる。
燃料極および/または空気極は8族元素の金属粒の連鎖体を含むことができる。
金属粒連鎖体は、このあと実施の形態で説明する還元析出法によって製造することができる、金属粒連鎖体を還元析出法によって製造する方法については、特開2004−332047号公報などに詳述されている。
8族金属粒子の連鎖体であれば、どの金属でもよい。通常は、金属粒連鎖体は表面が酸化されていて表面酸化層を持つが、表面酸化層を持たなくてもよい。たとえばNi粒連鎖体は製造が容易で、これまでに知られている。
8族元素の金属および表面酸化された8族元素の金属は、上記のように電気化学反応において触媒作用を有する。さらに、金属粒連鎖体は金属粒子が合体してひも状に繋がった形態をとる。このひも状の形態のために、少なくとも芯部は細長く、導電配線のように、電子伝導性およびプロトン導電性を有する。このようなひも状の、8族元素の金属粒連鎖体を電極に含むことで、消費電力を抑えながら、電気化学反応を円滑に進行させることができる。
なお、上記の金属粒連鎖体は、還元析出法において金属粒連鎖体の生成を促進するために添加される促進材を副成分として含んでもよい。たとえばNi粒連鎖体の生成を促進するチタン(Ti)を含むことができる。また、促進材として添加される8族元素である鉄(Fe)なども含むことができる。また、上記電極における8族元素の金属の含有率はほとんど100%であってもよい。
金属粒連鎖体は、このあと実施の形態で説明する還元析出法によって製造することができる、金属粒連鎖体を還元析出法によって製造する方法については、特開2004−332047号公報などに詳述されている。
8族金属粒子の連鎖体であれば、どの金属でもよい。通常は、金属粒連鎖体は表面が酸化されていて表面酸化層を持つが、表面酸化層を持たなくてもよい。たとえばNi粒連鎖体は製造が容易で、これまでに知られている。
8族元素の金属および表面酸化された8族元素の金属は、上記のように電気化学反応において触媒作用を有する。さらに、金属粒連鎖体は金属粒子が合体してひも状に繋がった形態をとる。このひも状の形態のために、少なくとも芯部は細長く、導電配線のように、電子伝導性およびプロトン導電性を有する。このようなひも状の、8族元素の金属粒連鎖体を電極に含むことで、消費電力を抑えながら、電気化学反応を円滑に進行させることができる。
なお、上記の金属粒連鎖体は、還元析出法において金属粒連鎖体の生成を促進するために添加される促進材を副成分として含んでもよい。たとえばNi粒連鎖体の生成を促進するチタン(Ti)を含むことができる。また、促進材として添加される8族元素である鉄(Fe)なども含むことができる。また、上記電極における8族元素の金属の含有率はほとんど100%であってもよい。
燃料極および/または空気極が、(1)8族元素の金属粒と、(2)8族元素の金属粒の連鎖体とを含むことができる。
これによって、(1)触媒性能は強いが高価である材料(たとえば白金、パラジウムなど)と、(2)触媒作用はそれほど強くはないがプロトンおよび電子の両方の導電性を有し、かつひも状の金属粒連鎖体を形成しやすい経済性に富んだ金属(たとえばNi粒など)とを組み合わせることができる。ひも状の金属粒連鎖体は、電極において電気抵抗を低下させて電気化学反応を円滑に(過大な電圧等を要しないで)進行させることができる。この結果、実用性に優れた電極を得ることができる。
なお、上記のように(2)金属粒連鎖体を形成する金属と、(1)金属粒とは異なる8族元素であることが望ましいが、同じでもよい。また、いずれか一方または両方は、表面酸化されていてもよいし、表面酸化されていなくてもよい。
これによって、(1)触媒性能は強いが高価である材料(たとえば白金、パラジウムなど)と、(2)触媒作用はそれほど強くはないがプロトンおよび電子の両方の導電性を有し、かつひも状の金属粒連鎖体を形成しやすい経済性に富んだ金属(たとえばNi粒など)とを組み合わせることができる。ひも状の金属粒連鎖体は、電極において電気抵抗を低下させて電気化学反応を円滑に(過大な電圧等を要しないで)進行させることができる。この結果、実用性に優れた電極を得ることができる。
なお、上記のように(2)金属粒連鎖体を形成する金属と、(1)金属粒とは異なる8族元素であることが望ましいが、同じでもよい。また、いずれか一方または両方は、表面酸化されていてもよいし、表面酸化されていなくてもよい。
燃料極および/または空気極に、銀(Ag)を含ませることができる。
銀(Ag)は酸素分子等の分解に対して強力な触媒作用を有し、また電子導電性が非常に高い。また焼結後に多孔質となる銀ペーストの入手が容易である。このため、集電材を兼ねた燃料極および/または空気極の材料として好適である。
銀(Ag)は酸素分子等の分解に対して強力な触媒作用を有し、また電子導電性が非常に高い。また焼結後に多孔質となる銀ペーストの入手が容易である。このため、集電材を兼ねた燃料極および/または空気極の材料として好適である。
空気極は、ペロブスカイト型酸化物の一種以上を含むことができる。
ペロブスカイト型酸化物は、電子導電性およびプロトン導電性を有する。ペロブスカイト型酸化物を空気極に用いることで、電気化学反応の効率のよい素子を得ることができる。ここで、ペロブスカイト型酸化物としては、とくに限定しないが、たとえばLSM(LaSrMn酸化物)、LSCF(LaSrCoFe酸化物)、LSGM(LaSrGaMg酸化物)、LSGMC(LaSrGaMgCo酸化物)、BSCF(BiSrCaFe酸化物)などをあげることができる。
ペロブスカイト型酸化物は、電子導電性およびプロトン導電性を有する。ペロブスカイト型酸化物を空気極に用いることで、電気化学反応の効率のよい素子を得ることができる。ここで、ペロブスカイト型酸化物としては、とくに限定しないが、たとえばLSM(LaSrMn酸化物)、LSCF(LaSrCoFe酸化物)、LSGM(LaSrGaMg酸化物)、LSGMC(LaSrGaMgCo酸化物)、BSCF(BiSrCaFe酸化物)などをあげることができる。
電源と、MEAの燃料極または空気極とを電気的に接続するための集電材とを含み、集電材が、焼結されて多孔質状態の金属ペーストを含むことができる。
これによって、電源を含む外部配線と、各電極とを低い接触抵抗で電気的に接続することができる。この結果、小さい消費電力でこの除湿装置を運転することができる。
これによって、電源を含む外部配線と、各電極とを低い接触抵抗で電気的に接続することができる。この結果、小さい消費電力でこの除湿装置を運転することができる。
電源と、MEAの燃料極または空気極とを電気的に接続するための集電材とを含み、集電材が、金属メッシュシートおよび焼結されて多孔質状態の金属ペースト、を含むことができる。
金属メッシュシートを含むことで外部配線との電気的接続を容易にでき、かつ焼結された多孔質の金属ペーストだけで集電材を形成するよりも接触抵抗を小さくすることができる。
金属メッシュシートを含むことで外部配線との電気的接続を容易にでき、かつ焼結された多孔質の金属ペーストだけで集電材を形成するよりも接触抵抗を小さくすることができる。
電源と、MEAの燃料極または空気極とを電気的に接続するための集電材とを含み、集電材が、金属めっき多孔体を有することができる。
金属めっき多孔体は、気孔率が大きいので、空気の流れの阻害を小さくできる。このため、セラミックスなどの脆い材料の製造時の基材として用いることができる。
金属めっき多孔体は、気孔率が大きいので、空気の流れの阻害を小さくできる。このため、セラミックスなどの脆い材料の製造時の基材として用いることができる。
燃料極は水分が除かれる空気が位置する除湿スペースに面し、空気極が面する放湿スペースは、除湿スペースと、少なくとも部分的に遮蔽されているのがよい。
除湿する空間と放湿する空間とが、何の隔たりもなく連続していると、除湿の効果は無効になる。上記のように少なくとも部分的に遮蔽されていれば、たとえば放湿スペースをガイドして外部に放散し、または放湿スペース内で結露させて、除湿スペースに水分を戻すのを防ぐことができる。
除湿する空間と放湿する空間とが、何の隔たりもなく連続していると、除湿の効果は無効になる。上記のように少なくとも部分的に遮蔽されていれば、たとえば放湿スペースをガイドして外部に放散し、または放湿スペース内で結露させて、除湿スペースに水分を戻すのを防ぐことができる。
空気極が面する放湿スペースにドレイン処理設備が配置されることができる。
これによって、放湿スペースにおいて結露させて、除湿スペースと放湿スペースとを大げさな高度な障壁で隔離しにくい場合、たとえば室内の除湿などの場合、簡単に除湿することができる。ドレイン処理設備としては、何でもよいが、たとえば除湿スペースに放散される水を受ける水容器などを含むことができる。より簡易で具体的なドレイン処理設備としては、空気極の上部から庇状に斜め下方に突き出るカバー、および、そのカバーに気体の水分子が当たって結露して垂れ落ちる水分を受ける水受け容器などを挙げることができる。ただし、除湿装置は加熱されており、放湿では水分を気体状態で放湿スペースに放散するので、ドレイン設備はなくてもよく、必須ではない。
これによって、放湿スペースにおいて結露させて、除湿スペースと放湿スペースとを大げさな高度な障壁で隔離しにくい場合、たとえば室内の除湿などの場合、簡単に除湿することができる。ドレイン処理設備としては、何でもよいが、たとえば除湿スペースに放散される水を受ける水容器などを含むことができる。より簡易で具体的なドレイン処理設備としては、空気極の上部から庇状に斜め下方に突き出るカバー、および、そのカバーに気体の水分子が当たって結露して垂れ落ちる水分を受ける水受け容器などを挙げることができる。ただし、除湿装置は加熱されており、放湿では水分を気体状態で放湿スペースに放散するので、ドレイン設備はなくてもよく、必須ではない。
本発明によれば、耐久性に優れ、低消費電力も低く、印加電圧について制約を受けにくい、電気化学反応に基づく、除湿装置を得ることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における除湿装置10を示す図である。この除湿装置10では、プロトン導電性のY含有バリウムジルコネートを主材料とする固体電解質1と、その固体電解質1を挟む、多孔質の燃料極(アノード)2と、多孔質の空気極(カソード)5とが、膜電極集合体7(MEA:Membrane Electrode Assembly)を形成する。固体電解質1は、電子は通さないがイオンは通し、とくに本実施の形態におけるY含有バリウムジルコネートはプロトンを通す。燃料極2の外側にはアノード集電体を構成する、金属メッシュシート2sと、その金属メッシュシート2sを埋め込むように塗布され焼結によって多孔質になった金属ペースト2gと、が配置されている。金属メッシュシート2sは外部配線2aに導電接続されている。金属ペースト2gも電気抵抗増大防止に寄与している。
一方、空気極5の外側にはカソード集電体が設けられている。カソード集電体も、アノード集電体と同様に、金属メッシュシート5sと、金属ペースト5gとで構成されて、その金属メッシュシート5sは外部配線5aに導電接続されている。外部配線2a,5aは、直流電源に接続されて、燃料極2と空気極5との間に1V〜1.5V程度、通常は除湿能率の向上または装置の小型化を実現するためにそれより高い電圧を印加する。アノード集電体およびカソード集電体を、金属メッシュシート2s,5sと金属ペースト2g,5gとで形成するのは、各電極と面状に接触することで、接触抵抗を低くするためである。これによって、運転に要する消費電力を小さくし、かつ水分の分解に必要な電圧を小さくすることができる。
金属ペースト2g,5gとしては、焼結後に多孔質となる銀ペーストまたはNiペーストなどを用いる必要がある。とくに銀(Ag)は酸素分子等の分解に対して強力な触媒作用を有し、また電子導電性が非常に高い。このため、上記のように集電材の一部を分担するように集電材である金属メッシュシート2s,5sを埋め込んで固定しながら、燃料極および/または空気極に含まれる材料として用いることができる。焼結後に多孔質となる銀ペーストまたはNiペーストは市販されていて、入手が容易である。
図1は、本発明の実施の形態1における除湿装置10を示す図である。この除湿装置10では、プロトン導電性のY含有バリウムジルコネートを主材料とする固体電解質1と、その固体電解質1を挟む、多孔質の燃料極(アノード)2と、多孔質の空気極(カソード)5とが、膜電極集合体7(MEA:Membrane Electrode Assembly)を形成する。固体電解質1は、電子は通さないがイオンは通し、とくに本実施の形態におけるY含有バリウムジルコネートはプロトンを通す。燃料極2の外側にはアノード集電体を構成する、金属メッシュシート2sと、その金属メッシュシート2sを埋め込むように塗布され焼結によって多孔質になった金属ペースト2gと、が配置されている。金属メッシュシート2sは外部配線2aに導電接続されている。金属ペースト2gも電気抵抗増大防止に寄与している。
一方、空気極5の外側にはカソード集電体が設けられている。カソード集電体も、アノード集電体と同様に、金属メッシュシート5sと、金属ペースト5gとで構成されて、その金属メッシュシート5sは外部配線5aに導電接続されている。外部配線2a,5aは、直流電源に接続されて、燃料極2と空気極5との間に1V〜1.5V程度、通常は除湿能率の向上または装置の小型化を実現するためにそれより高い電圧を印加する。アノード集電体およびカソード集電体を、金属メッシュシート2s,5sと金属ペースト2g,5gとで形成するのは、各電極と面状に接触することで、接触抵抗を低くするためである。これによって、運転に要する消費電力を小さくし、かつ水分の分解に必要な電圧を小さくすることができる。
金属ペースト2g,5gとしては、焼結後に多孔質となる銀ペーストまたはNiペーストなどを用いる必要がある。とくに銀(Ag)は酸素分子等の分解に対して強力な触媒作用を有し、また電子導電性が非常に高い。このため、上記のように集電材の一部を分担するように集電材である金属メッシュシート2s,5sを埋め込んで固定しながら、燃料極および/または空気極に含まれる材料として用いることができる。焼結後に多孔質となる銀ペーストまたはNiペーストは市販されていて、入手が容易である。
水分を分解する燃料極(アノード)2が面する空間は、除湿スペースS1であり、空気極(カソード)5が面する空間は、放湿スペースS2である。各電極2,5における電気化学反応は次のとおりである。
(燃料極(カソード)2):H2O→2H+ + 1/2O2 + 2e−
(空気極(アノード)5):2H+ + 1/2O2 + 2e−→H2O
燃料極2で発生したプロトン(H+)は、プロトン導電性のY含有バリウムジルコネートを通って空気極5に到達する。また、燃料極2で生成した電子(e−)は、電源を含む外部回路を通って空気極5に到達する。
(燃料極(カソード)2):H2O→2H+ + 1/2O2 + 2e−
(空気極(アノード)5):2H+ + 1/2O2 + 2e−→H2O
燃料極2で発生したプロトン(H+)は、プロトン導電性のY含有バリウムジルコネートを通って空気極5に到達する。また、燃料極2で生成した電子(e−)は、電源を含む外部回路を通って空気極5に到達する。
図2は、図1の除湿装置10におけるMEA7を示す図である。
固体電解質1は、燃料極2側の気体と、空気極5側の気体との相互混入を防ぐため、多孔質ではなく緻密な固体からなることが望ましい。しかし、本発明の場合、除湿装置であり、工業用途以外の家庭内やヒトが集まる公共施設内での使用の場合は、ともに両電極側とも、通常、空気のみに接するので、緻密性は、それほど必要ない。しかし、工業用途で、除湿スペースS1側に空気以外の気体が存在する場合、相互混入があってはならない場合があり、このような場合は、固体電解質1は緻密でなければならない。
固体電解質1は、3族原子の、たとえばイットリウム(Y)等を含むバリウムジルコネート(BaZrO3)1kから形成される。3族原子であれば、たとえばスカンジウム(Sc)などが含まれてもよい。燃料極2および空気極5は、8族元素の白金(Pt)またはパラジウム(Pd)の粒子から、多孔質となるように、焼結処理を経て形成されている。
固体電解質1は、燃料極2側の気体と、空気極5側の気体との相互混入を防ぐため、多孔質ではなく緻密な固体からなることが望ましい。しかし、本発明の場合、除湿装置であり、工業用途以外の家庭内やヒトが集まる公共施設内での使用の場合は、ともに両電極側とも、通常、空気のみに接するので、緻密性は、それほど必要ない。しかし、工業用途で、除湿スペースS1側に空気以外の気体が存在する場合、相互混入があってはならない場合があり、このような場合は、固体電解質1は緻密でなければならない。
固体電解質1は、3族原子の、たとえばイットリウム(Y)等を含むバリウムジルコネート(BaZrO3)1kから形成される。3族原子であれば、たとえばスカンジウム(Sc)などが含まれてもよい。燃料極2および空気極5は、8族元素の白金(Pt)またはパラジウム(Pd)の粒子から、多孔質となるように、焼結処理を経て形成されている。
上記の除湿装置10によれば、燃料極2および空気極5は、白金(Pt)またはパラジウム(Pd)の粒子によって形成される。PtおよびPdは、両方とも、水分解および水生成に対して強力な触媒作用を有し、かつプロトンおよび電子導電性を有する。また、アノード集電体およびカソード集電体は、金属メッシュシート2s,5sおよび金属ペースト2g,5gによって各電極に面状に接触することで低い接触抵抗で電気的に接続された上で、外部配線2a,5aにつながれる。このため、電極2,5は低い電気抵抗で形成され、かつ低い接触抵抗で電源に接続される。また、固体電解質1は、プロトン導電性の無機材料であるY含有バリウムジルコネートで形成される。このため、乾燥と湿潤との繰り返しに対しても強度的に劣化が小さく、高い耐久性を保持することができる。また、上述のように、大きな過電圧をかけても有機膜のような劣化が生じないので、所定レベル以上の電圧を用いて、小型の装置で、効率よく、長期間劣化無く安定に、除湿を続けることができる。
本実施の形態のMEA7では、多孔質の燃料極2/Y含有BaZrO3の固体電解質1/多孔質の空気極5、が堆積されている。製造方法については、このあと説明するが、セラミックスの製造で常用される方法、たとえばスクリーン印刷法によって成形したあと焼結処理によって製造する。この製造方法による場合、各層の厚みについては、たとえば次の範囲にとるのがよい。
燃料極2:3μm以上1000μm以下
固体電解質1:1μm以上500μm以下
空気極5:3μm以上1000μm以下
上記のうち、固体電解質1は、プロトン(H+)が燃料極2から空気極5へと移動する通過部であり、ここの通過時間が短いほうが反応効率を高める上で好ましい。このため、固体電解質1の厚みが500μmより大きいと、プロトンの移動に時間がかかり、反応能率の阻害要因となる。また固体電解質1の厚みが1μm未満では、孔を完全に塞ぐことができず、貫通孔が生じて、燃料気体と空気との相互混入のおそれを生じ、用途によっては好ましくない。ただし、相互混入をそれほど気にしなくてもよい場合には、固体電解質1の厚みは1μm未満であってもよい。
燃料極2および空気極5では、それぞれに導入された気体が電極の内部に進入して流動しながら、十分な量、電気化学反応をしなければならないので、ある程度の厚みが必要である。
燃料極2:3μm以上1000μm以下
固体電解質1:1μm以上500μm以下
空気極5:3μm以上1000μm以下
上記のうち、固体電解質1は、プロトン(H+)が燃料極2から空気極5へと移動する通過部であり、ここの通過時間が短いほうが反応効率を高める上で好ましい。このため、固体電解質1の厚みが500μmより大きいと、プロトンの移動に時間がかかり、反応能率の阻害要因となる。また固体電解質1の厚みが1μm未満では、孔を完全に塞ぐことができず、貫通孔が生じて、燃料気体と空気との相互混入のおそれを生じ、用途によっては好ましくない。ただし、相互混入をそれほど気にしなくてもよい場合には、固体電解質1の厚みは1μm未満であってもよい。
燃料極2および空気極5では、それぞれに導入された気体が電極の内部に進入して流動しながら、十分な量、電気化学反応をしなければならないので、ある程度の厚みが必要である。
図3は、図1に示す除湿装置10の製造方法を示すフローチャートである。この製造方法は、一つの例示であり、この製造方法に限定されることはない。この製造方法では、図3に示すように、まず、イットリウムドープしたバリウムジルコネートの固体電解質1を焼結によって形成する。粉末状のBa酸化物およびZr酸化物を、高温で揮発する有機溶媒、粘度調整剤、補強剤等を含む混合液に分散し、混練りして所定の形状、たとえば薄板状に成形する。プロトン導電性の良好なY含有バリウムジルコネートを得るためには、焼結温度を1600℃〜1700℃の範囲にするのがよい。通常の焼結温度よりも200℃〜300℃高い焼結温度である。
この薄板状のY含有バリウムジルコネートに重ねて、燃料極2および空気極5を形成するために、白金(Pt)ペーストまたはパラジウム(Pd)ペーストを用いてスクリーン印刷法によって所定厚さに積層する。このあと、必要があれば、半乾燥状態でプレス成形する。PtペーストまたはPdペーストの代わりに、粉末状の白金粒子またはパラジウム粒子を有機溶媒(含粘度調整剤)に混入して、混練りして、用いてもよい。このあと所定の焼結温度で焼結する。焼結温度は、1000℃〜1400℃程度とするのがよい。これによって、燃料極2/固体電解質1/空気極5からなるMEA7が形成される。
このあと金属メッシュシート2sおよび金属ペースト2gを用いて、上述のアノード集電体およびカソード集電体を形成する。金属ペーストには、焼結処理によって気孔率の高い多孔質体になるものを用いる。また、金属メッシュシート2sおよび金属ペースト共に、水分子の分解および生成に対して触媒作用を有する金属であることが望ましい。このため、NiメッシュシートおよびNiペーストを用いるのがよい。Niペーストの焼結温度は、900℃〜1300℃とするのがよい。
この薄板状のY含有バリウムジルコネートに重ねて、燃料極2および空気極5を形成するために、白金(Pt)ペーストまたはパラジウム(Pd)ペーストを用いてスクリーン印刷法によって所定厚さに積層する。このあと、必要があれば、半乾燥状態でプレス成形する。PtペーストまたはPdペーストの代わりに、粉末状の白金粒子またはパラジウム粒子を有機溶媒(含粘度調整剤)に混入して、混練りして、用いてもよい。このあと所定の焼結温度で焼結する。焼結温度は、1000℃〜1400℃程度とするのがよい。これによって、燃料極2/固体電解質1/空気極5からなるMEA7が形成される。
このあと金属メッシュシート2sおよび金属ペースト2gを用いて、上述のアノード集電体およびカソード集電体を形成する。金属ペーストには、焼結処理によって気孔率の高い多孔質体になるものを用いる。また、金属メッシュシート2sおよび金属ペースト共に、水分子の分解および生成に対して触媒作用を有する金属であることが望ましい。このため、NiメッシュシートおよびNiペーストを用いるのがよい。Niペーストの焼結温度は、900℃〜1300℃とするのがよい。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における除湿装置10を示す図である。本実施の形態におけるMEA7は、基本的に実施の形態1と同様の材料および方法で製造され、実施の形態1の変形例というべき位置づけになる。すなわち、本実施の形態では、燃料極2/Y含有バリウムジルコネート1/空気極5、からMEA7は形成される。燃料極2および空気極5には、それぞれの集電体2s,2g,2aおよび5s,5g,5aが配置され、接触抵抗を低く保っている。なお、図示するように、固体電解質1の下層側には、燃料極2が配置されてもよいし、または空気極5が配置されてもよい。それに伴って、固体電解質1の上層側に、空気極5または燃料極2が配置される。以後の説明では、固体電解質1の下層側に燃料極2が配置される場合について説明するが、常に、逆の電極の場合があってもよいことを含んでいる。
図4は、本発明の実施の形態2における除湿装置10を示す図である。本実施の形態におけるMEA7は、基本的に実施の形態1と同様の材料および方法で製造され、実施の形態1の変形例というべき位置づけになる。すなわち、本実施の形態では、燃料極2/Y含有バリウムジルコネート1/空気極5、からMEA7は形成される。燃料極2および空気極5には、それぞれの集電体2s,2g,2aおよび5s,5g,5aが配置され、接触抵抗を低く保っている。なお、図示するように、固体電解質1の下層側には、燃料極2が配置されてもよいし、または空気極5が配置されてもよい。それに伴って、固体電解質1の上層側に、空気極5または燃料極2が配置される。以後の説明では、固体電解質1の下層側に燃料極2が配置される場合について説明するが、常に、逆の電極の場合があってもよいことを含んでいる。
実施の形態1から変更する主な点は、製造手順である。本実施の形態では、まず、PtまたはPdの多孔質焼結体である燃料極2を、実施の形態1に示した処理要領にしたがって焼結によって製造しておく(図5(a))。これとは別に、焼結温度が際だって高いY含有バリウムジルコネート(薄板状)1を、実施の形態1に説明したプロセスによって製造する。この薄板状のY含有バリウムジルコネート1を、揮発性の粘着剤等を用いて燃料極2に貼着する。次いで、燃料極2と同様の方法で製造した、Pt金またはPdの多孔質焼結体である空気極5を固体電解質1の上に有機性の粘着剤で貼着する。その上で、粘着界面が連続になるように1000℃〜1400℃で焼結する。次いで、各電極の集電体2s,2g,2aおよび5s,5g,5aを配置して900℃〜1300℃で焼結する。
本実施の形態では、固体電解質1、燃料極2および空気極5を個別に焼結によって予め製造しておき、積層のときの連続化の焼結は短い焼結時間ですませることができる。このため、固体電解質1、燃料極2および空気極5を、予め最適条件または最適条件に近い条件で焼結しておくことができる。したがって、固体電解質1、燃料極2および空気極5を焼結において最適化しやすいという利点を持つ。その他の除湿における、各部分の作用効果は、実施の形態1と同じである。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における除湿装置10を示す図である。この除湿装置10では、金属めっき多孔体からなる多孔質基体9上に、MEA7が配置される。すなわち、Y含有バリウムジルコネート1を挟んでいる空気極(カソード)5と燃料極(アノード)2とが、配置されている。燃料極2が面する空間は、除湿スペースS1であり、空気極5が金属めっき多孔体9越しに面する空間は放湿スペースS2である。両方のスペースS1,S2の間には、少なくとも部分的に両方の間を遮る遮蔽部37が設けられる。
燃料極2は、Pt粒子(またはPd粒子)を含む多孔質体である。Pt粒子(またはPd粒子)の他にニッケル(Ni)粒子を含んでもよい。また、空気極は、たとえばPt粒子、Ni粒子の他にペロブスカイト型酸化物の粒子、たとえばLSM、LSCF、LSGM、LSGMC、BSCFなどを含んでもよい。
多孔質基体9は気孔率が高い多孔質の金属であり、たとえば三角柱状の骨格が3次元に連なった連続気孔を持つめっき多孔体を用いることができる。その典型材として、たとえば住友電気工業(株)製のセルメット(登録商標)を用いることができる。
図6は、本発明の実施の形態3における除湿装置10を示す図である。この除湿装置10では、金属めっき多孔体からなる多孔質基体9上に、MEA7が配置される。すなわち、Y含有バリウムジルコネート1を挟んでいる空気極(カソード)5と燃料極(アノード)2とが、配置されている。燃料極2が面する空間は、除湿スペースS1であり、空気極5が金属めっき多孔体9越しに面する空間は放湿スペースS2である。両方のスペースS1,S2の間には、少なくとも部分的に両方の間を遮る遮蔽部37が設けられる。
燃料極2は、Pt粒子(またはPd粒子)を含む多孔質体である。Pt粒子(またはPd粒子)の他にニッケル(Ni)粒子を含んでもよい。また、空気極は、たとえばPt粒子、Ni粒子の他にペロブスカイト型酸化物の粒子、たとえばLSM、LSCF、LSGM、LSGMC、BSCFなどを含んでもよい。
多孔質基体9は気孔率が高い多孔質の金属であり、たとえば三角柱状の骨格が3次元に連なった連続気孔を持つめっき多孔体を用いることができる。その典型材として、たとえば住友電気工業(株)製のセルメット(登録商標)を用いることができる。
本実施の形態の除湿装置10では、金属めっき多孔体1上に、空気極5/Y含有BaZrO3の固体電解質1/燃料極2、が配置されている。金属めっき多孔体1は、支持部材として高い強度を有し、セラミックスの積層体の製造を容易にする。また、除湿装置10を配置する場合にも、支持部材として機能する。とくに、MEA7には螺子など孔開け加工は難しいので、この金属めっき多孔体9に固定用の螺子孔等を設けることができる。
金属めっき多孔体9に、直接、接する電極は、図6では、空気極5としているが、上記したように、燃料極2としてもよい。
たとえば空気極5に金属めっき多孔体9を接触させた場合は、生成する水素がそのまま外気に出て行きことを防ぎ、この金属めっき多孔体9内で酸素分子と反応して水分子を生成しやすくすることができる。
また、たとえば、除湿スペースまたは放湿スペースが気体通路の場合がある。このような気体通路には、上記空気を強制的に通すためにファンが設けられる。このような気体通路(除湿スペースまたは放湿スペース)に面する燃料極または空気極は、何も配置しなければ、当該空気は十分反応しないで通り過ぎてしまう。上記の金属めっき多孔体をその気体通路に配置することで素通り防止の役割を果たし、燃料極において十分反応させることができる。
金属めっき多孔体9に、直接、接する電極は、図6では、空気極5としているが、上記したように、燃料極2としてもよい。
たとえば空気極5に金属めっき多孔体9を接触させた場合は、生成する水素がそのまま外気に出て行きことを防ぎ、この金属めっき多孔体9内で酸素分子と反応して水分子を生成しやすくすることができる。
また、たとえば、除湿スペースまたは放湿スペースが気体通路の場合がある。このような気体通路には、上記空気を強制的に通すためにファンが設けられる。このような気体通路(除湿スペースまたは放湿スペース)に面する燃料極または空気極は、何も配置しなければ、当該空気は十分反応しないで通り過ぎてしまう。上記の金属めっき多孔体をその気体通路に配置することで素通り防止の役割を果たし、燃料極において十分反応させることができる。
図7に、本実施の形態における除湿装置の製造方法を示す。まず、金属めっき多孔体9を準備して(図7(a))、その上に、別途、作製しておいた空気極5を貼着する(図7(b))。次いで、この空気極5の上に、バリウムジルコネートの固体電解質1を形成する。この場合、図7(c)に示すように、気相法によってY含有BaZrO3を積層してもよいし、別途、焼結法で作製したY含有BaZrO3を貼着してもよい。この後の、燃料極2のセラミックス材の作製に対応した焼結法による作製方法は、上記実施の形態1、2にしたがって行うことができる。
気相法によって、Y含有BaZrO3の固体電解質1を形成する方法を、以下に説明する。Y含有BaZrO3の積層には、気相法の中でも、パルスレーザー堆積(PLD)法を用いるのがよい。PLD法は、形成する膜の組成に合わせた、または近い組成のターゲットにパルスレーザーを照射して昇華物を対象箇所(今の場合、空気極)に定着させる。PLD法の成膜装置では、回転するターゲットに高エネルギ密度のパルスレーザービームを照射して、ターゲットを昇華させる。昇華された物質(分子、原子、イオン、クラスタ、電子、光子等)はプルーム(プラズマ状態)を形成して立ち上り、成長室内の反応ガスと衝突しながら空気極5に到達して堆積する。一部の物質は到達しながら再蒸発する。Y含有BaZrO3などの酸化物薄膜を形成する場合は、成長室はいったん高真空に引いて、その後、成長中は酸素等のガスが所定圧力を維持するように制御する。
以上の説明は、いわゆるセラミックス材を焼結法で作製する方法を、燃料極2および空気極5の作製に用いて、Y含有BaZrO3の固体電解質1のみをPLD法で積層させる方法を説明した。しかし、PLD法を用いて成膜する層は、固体電解質1だけでなく、MEAすべての層2,1,5でもよい。すべての層をPLD法で積層する場合、金属めっき多孔体であるセルメット9には、予め、燃料極2を塗布しておくのがよい。要は、用途、経済性などを考慮して、多くの製造方法のバリエーションの中から適切な方法を選択すればよい。たとえば次の工程を選択するのがよい。
(s1)燃料極2を構成する、Pt粒子、Pd粒子、Ni粒子等を分散して、粘度調整した溶媒を作製する。この溶媒を薄く、セルメット9の表層に塗布する。次いで、乾燥する。このあと、焼結してもよいし、しなくてもよい。厚みは、上述の範囲内で、数μm以下にするのがよい。
(s2)燃料極2の層の上に、PLD法によって、Y含有BaZrO3層からなる緻密な固体電解質1の層を形成する。この固体電解質1の層は、厚み10nm以上1000nm(1μm)以下、望ましくは0.1μm以下にするのがよい。
(s3)空気極5は、PLD法によって連続して形成してもよいし、Pt粒子、Pd粒子、Ni粒子等またはペロブスカイト型酸化物の粒子を分散し、粘度調整した溶媒を塗布してもよい。厚みは、燃料極2の厚みと同等にするのがよい。ペロブスカイト型酸化物としては、とくに限定しないが、たとえばLSM、LSCF、LSGM、LSGMC、BSCFなどを用いるのがよい。
焼結は、すべての層を形成したあと、まとめて共焼結してもよい。どのような製造方法を採用しても、いずれかの焼結は必要である。PLD法のみでMEAのすべての層を成膜した場合にも、焼結は行ったほうがよい。
Y含有BaZrO3を含む層を、溶媒塗布→焼結の工程で形成する場合、焼結温度は1600℃〜1700℃という非常な高温が必要である。しかし、PLD法によって、Y含有BaZrO3を含む層を形成する場合、基板温度は800℃程度でよい。この点は、PLD法または気相法によってY含有BaZrO3を含む層を形成する場合の大きな利点である。すなわち、PLD法または気相法によった場合、基板温度800℃程度で成膜したY含有BaZrO3を含む層は、低い温度の焼結によって正常に機能する。
(s1)燃料極2を構成する、Pt粒子、Pd粒子、Ni粒子等を分散して、粘度調整した溶媒を作製する。この溶媒を薄く、セルメット9の表層に塗布する。次いで、乾燥する。このあと、焼結してもよいし、しなくてもよい。厚みは、上述の範囲内で、数μm以下にするのがよい。
(s2)燃料極2の層の上に、PLD法によって、Y含有BaZrO3層からなる緻密な固体電解質1の層を形成する。この固体電解質1の層は、厚み10nm以上1000nm(1μm)以下、望ましくは0.1μm以下にするのがよい。
(s3)空気極5は、PLD法によって連続して形成してもよいし、Pt粒子、Pd粒子、Ni粒子等またはペロブスカイト型酸化物の粒子を分散し、粘度調整した溶媒を塗布してもよい。厚みは、燃料極2の厚みと同等にするのがよい。ペロブスカイト型酸化物としては、とくに限定しないが、たとえばLSM、LSCF、LSGM、LSGMC、BSCFなどを用いるのがよい。
焼結は、すべての層を形成したあと、まとめて共焼結してもよい。どのような製造方法を採用しても、いずれかの焼結は必要である。PLD法のみでMEAのすべての層を成膜した場合にも、焼結は行ったほうがよい。
Y含有BaZrO3を含む層を、溶媒塗布→焼結の工程で形成する場合、焼結温度は1600℃〜1700℃という非常な高温が必要である。しかし、PLD法によって、Y含有BaZrO3を含む層を形成する場合、基板温度は800℃程度でよい。この点は、PLD法または気相法によってY含有BaZrO3を含む層を形成する場合の大きな利点である。すなわち、PLD法または気相法によった場合、基板温度800℃程度で成膜したY含有BaZrO3を含む層は、低い温度の焼結によって正常に機能する。
セルメット9に、直接、PLD法によって空気極5を成膜する場合、セルメット9は気孔率が高いので、プルームが平坦に堆積するために、たとえば所定温度以上に加熱することで気化する樹脂等(図示せず)をセルメット9の表層に塗布しておくのがよい。その除去可能な樹脂上に、上記の昇華物を定着させる。セルメット9上に連続して空気極5、固体電解質1、燃料極2を形成した後、上記の樹脂が気化する温度に加熱することで、金属めっき多孔体9の気孔を通すことができる。上記の除去可能な樹脂等は、MEA7(2,1,5)に損傷を与えずに除去可能であれば何でもよく、薬液で除去されるものであってもよい。
金属めっき多孔体9および上記の樹脂の温度が比較的低ければ、ターゲットの組成に近い層2,1,5が形成される。RHEED(Reflection High Electron Energy Diffraction)によって表面を観察しながら成長できる。
金属めっき多孔体9および上記の樹脂の温度が比較的低ければ、ターゲットの組成に近い層2,1,5が形成される。RHEED(Reflection High Electron Energy Diffraction)によって表面を観察しながら成長できる。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4の除湿装置におけるMEA7を示す拡大図である。本実施の形態では、電極2,5を形成する材料に特徴を有する。燃料極2および空気極5では、強力な触媒作用を有するPtまたはPd粒子2p,5pを含み、水分子の分解および生成を促進する。燃料極2および空気極5は、さらに8族元素の金属粒連鎖体21,51を含む。金属粒連鎖体21,51はひも状であり、電子およびプロトンの両方を通す。電子およびプロトンは、ひも状の長手方向に沿って8族金属中をスムースに流れることができる。このため、電極2,5において、金属粒連鎖体21,51は高い導電性に貢献することができる。
8族の金属粒連鎖体21は、PtまたはPdなどの金属粒連鎖体であってもよく、この場合、触媒作用を非常に高くすることができる。また、経済性を考慮してNi粒連鎖体としてもよい。Niも触媒作用を有するので、PtまたはPd粒子2p,5pと協働して、やはり強力な触媒作用を得ることができる。またNiは、電子およびプロトンの導電性を有するので、高い導電性に貢献することができる。
いずれにしても、金属粒連鎖体21,51を含むことで、除湿能率を高め、その際の消費電力を低くすることができる。また、電源電圧も非常に低い最低限に抑えることができる。また、とくにNi粒連鎖体を用いた場合は、経済性も高めることができる。
図8は、本発明の実施の形態4の除湿装置におけるMEA7を示す拡大図である。本実施の形態では、電極2,5を形成する材料に特徴を有する。燃料極2および空気極5では、強力な触媒作用を有するPtまたはPd粒子2p,5pを含み、水分子の分解および生成を促進する。燃料極2および空気極5は、さらに8族元素の金属粒連鎖体21,51を含む。金属粒連鎖体21,51はひも状であり、電子およびプロトンの両方を通す。電子およびプロトンは、ひも状の長手方向に沿って8族金属中をスムースに流れることができる。このため、電極2,5において、金属粒連鎖体21,51は高い導電性に貢献することができる。
8族の金属粒連鎖体21は、PtまたはPdなどの金属粒連鎖体であってもよく、この場合、触媒作用を非常に高くすることができる。また、経済性を考慮してNi粒連鎖体としてもよい。Niも触媒作用を有するので、PtまたはPd粒子2p,5pと協働して、やはり強力な触媒作用を得ることができる。またNiは、電子およびプロトンの導電性を有するので、高い導電性に貢献することができる。
いずれにしても、金属粒連鎖体21,51を含むことで、除湿能率を高め、その際の消費電力を低くすることができる。また、電源電圧も非常に低い最低限に抑えることができる。また、とくにNi粒連鎖体を用いた場合は、経済性も高めることができる。
次に、Ni粒連鎖体の製造方法について説明する。還元析出法で作製されたNi粒連鎖体は、Niに鉄(Fe)を少し含むものであってもよい。さらに好ましくはTiを2〜10000ppm程度の微量含むものである。Ni粒連鎖体21の還元析出法については、特開2004−332047号公報などに詳述されている。ここで紹介されている還元析出法は、還元剤として3価チタン(Ti)イオンを用いる方法であり、析出する金属粒(Ni粒など)は微量のTiを含む。このため、Ti含有量を定量分析することで、3価チタンイオンによる還元析出法で製造されたものと特定することができる。3価チタンイオンとともに存在する金属イオンを変えることで、所望の金属の粒を得ることができる。Niの場合はNiイオンを共存させる。Feイオンを微量加えると、微量Feを含むNi粒連鎖体が形成される。
また、連鎖体を形成するには、金属が強磁性金属であり、かつ所定のサイズ以上であることを要する。NiもFeも強磁性金属なので、金属粒連鎖体を容易に形成することができる。サイズについての要件は、強磁性金属が磁区を形成して、相互に磁力で結合し、その結合状態のまま金属の析出→金属層の成長が生じて、金属体として全体が一体になる過程で、必要である。所定サイズ以上の金属粒が磁力で結合した後も、金属の析出は続き、たとえば結合した金属粒の境界のネックは、金属粒の他の部分とともに、太く成長する。燃料極2および空気極5に含まれるNi粒連鎖体21の平均直径Dは5nm以上、500nm以下の範囲とするのがよい。また、平均長さLは0.5μm以上、1000μm以下の範囲とするのがよい。また、上記平均長さLと平均径Dとの比は3以上とするのがよい。ただし、これら範囲外の寸法を持つものであってもよい。
また、連鎖体を形成するには、金属が強磁性金属であり、かつ所定のサイズ以上であることを要する。NiもFeも強磁性金属なので、金属粒連鎖体を容易に形成することができる。サイズについての要件は、強磁性金属が磁区を形成して、相互に磁力で結合し、その結合状態のまま金属の析出→金属層の成長が生じて、金属体として全体が一体になる過程で、必要である。所定サイズ以上の金属粒が磁力で結合した後も、金属の析出は続き、たとえば結合した金属粒の境界のネックは、金属粒の他の部分とともに、太く成長する。燃料極2および空気極5に含まれるNi粒連鎖体21の平均直径Dは5nm以上、500nm以下の範囲とするのがよい。また、平均長さLは0.5μm以上、1000μm以下の範囲とするのがよい。また、上記平均長さLと平均径Dとの比は3以上とするのがよい。ただし、これら範囲外の寸法を持つものであってもよい。
図9はNi粒連鎖体21,51が、表面酸化層21k,51kを有する場合を示す。このようにNi粒連鎖体が表面酸化層を含む場合であってもよい。表面酸化層21k,51kを含むことで、水分子の分解および生成の触媒作用を高めることができる。PtまたはPd粒子2p,5pについては表面酸化層を示していないが、これらのPt粒子等2p,5pについても表面酸化層を含んでもよい。
Ni粒連鎖体21,51の表面酸化処理は、(i)気相法による熱処理酸化、(ii)電解酸化、(iii)化学酸化の3種類が好適な手法である。(i)では大気中で500〜700℃にて1〜30分処理するのがよい。最も簡便な方法であるが、酸化膜厚の制御が難しい。(ii)では標準水素電極基準で3V程度に電位を印加し、陽極酸化することにより表面酸化を行うが、表面積に応じ電気量により酸化膜厚を制御できる特徴がある。しかし、大面積化した場合、均一に酸化膜をつけることは難しい手法である。(iii)では硝酸などの酸化剤を溶解した溶液に1〜5分程度浸漬することで表面酸化する。酸化膜厚は時間と温度、酸化剤の種類でコントロールできるが薬品の洗浄が手間となる。いずれの手法も好適であるが、(i)または(iii)がより好ましい。
望ましい酸化層の厚みは、1nm〜100nmであり、より好ましくは10nm〜50nmの範囲とする。ただし、この範囲外であってもかまわない。酸化皮膜が薄すぎると触媒機能が不十分となる。また、わずかな還元雰囲気でもメタライズされてしまう恐れがある。逆に酸化皮膜が厚すぎると触媒性は充分保たれるが、反面、界面での電子伝導性およびプロトン導電性が損なわれ、電気分解性能が低下する。
焼結方法は、PtまたはPd粒子2p,5pと、Ni粒連鎖体21,51の場合は、1000℃〜1400℃で焼結することができる。また、たとえばペロブスカイト型酸化物のセラミックス粒子を含む場合、大気雰囲気中で、温度1200℃〜1600℃の範囲に、30分〜180分間保持することで行う。
Ni粒連鎖体21,51の表面酸化処理は、(i)気相法による熱処理酸化、(ii)電解酸化、(iii)化学酸化の3種類が好適な手法である。(i)では大気中で500〜700℃にて1〜30分処理するのがよい。最も簡便な方法であるが、酸化膜厚の制御が難しい。(ii)では標準水素電極基準で3V程度に電位を印加し、陽極酸化することにより表面酸化を行うが、表面積に応じ電気量により酸化膜厚を制御できる特徴がある。しかし、大面積化した場合、均一に酸化膜をつけることは難しい手法である。(iii)では硝酸などの酸化剤を溶解した溶液に1〜5分程度浸漬することで表面酸化する。酸化膜厚は時間と温度、酸化剤の種類でコントロールできるが薬品の洗浄が手間となる。いずれの手法も好適であるが、(i)または(iii)がより好ましい。
望ましい酸化層の厚みは、1nm〜100nmであり、より好ましくは10nm〜50nmの範囲とする。ただし、この範囲外であってもかまわない。酸化皮膜が薄すぎると触媒機能が不十分となる。また、わずかな還元雰囲気でもメタライズされてしまう恐れがある。逆に酸化皮膜が厚すぎると触媒性は充分保たれるが、反面、界面での電子伝導性およびプロトン導電性が損なわれ、電気分解性能が低下する。
焼結方法は、PtまたはPd粒子2p,5pと、Ni粒連鎖体21,51の場合は、1000℃〜1400℃で焼結することができる。また、たとえばペロブスカイト型酸化物のセラミックス粒子を含む場合、大気雰囲気中で、温度1200℃〜1600℃の範囲に、30分〜180分間保持することで行う。
燃料極2に用いたNi粒連鎖体21は、還元雰囲気で表面酸化層が還元されて、触媒作用を十分発揮できない場合があった。たとえば、除湿装置でなくアンモニア分解素子などでアンモニアなどの比較的強い還元雰囲気に晒されると酸化層が消失する場合があった。しかし、除湿装置では、燃料極2に導入される気体は水蒸気を含んだ空気であり、還元性はそれほど強くない。このため、Ni粒連鎖体21は、表面酸化層を保持して、長期間、高い触媒を保持することができる。空気極5における表面酸化層付きNi粒連鎖体51については、還元はされるおそれはない。
(その他の実施の形態)
(1)図10は、除湿スペースS1と放湿スペースS2とを部分的に隔てる遮蔽部37およびドレイン設備35を示す図である。図10には、ヒータ41を示すが、実施の形態1〜4では図示を省略している。この遮蔽部37は、実施の形態1〜4のいずれにも付帯させることができる。また、ドレイン設備35は、用途に応じて配置することができる。
(1)図10は、除湿スペースS1と放湿スペースS2とを部分的に隔てる遮蔽部37およびドレイン設備35を示す図である。図10には、ヒータ41を示すが、実施の形態1〜4では図示を省略している。この遮蔽部37は、実施の形態1〜4のいずれにも付帯させることができる。また、ドレイン設備35は、用途に応じて配置することができる。
これによって、放湿スペースS2に放湿された水分が、除湿スペースS1にそのまま回り込むのを防ぐことができる。遮蔽部37の下にドレイン設備35を設けることで、より確実に水分を除くことができる。ただし、上記したように、この放湿装置10はヒータ41によって加熱されるので、放湿は気体状態の水を放湿スペースS2に放散するので、ドレイン設備35は必須ではない。また、ドレイン設備35を配置しない場合は、部分的な遮蔽部37は、空気極5が面する放湿スペースS2をより広くするために、下方に延在しない(囲い込まない)で、除湿装置本体の屋根または庇の延長のようにフラットに延びる形態としたほうがよい場合もある。
(2)実施の形態1〜4では、電極2,5にPtまたはPdを含む例を説明した。しかし、PtおよびPdのどちらも含まなくても、または小さい含有率にとどめたものであってもよい。PtおよびPdをまったく含まないか、または小さい含有率で含み、大部分または全てが、Ni粒子、Ni粒連鎖体およびこれらの表面酸化された粒子のみ、またはペロブスカイト型酸化物が混合したものであってもよい。これによって、経済性に優れた電極を得ることができる。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明によれば、電気化学反応に基づいて、耐久性に優れ、処理能力が高い、除湿装置を得ることができる。有機膜のプロトン導電性の固体電解質と異なり、本発明では無機材料のプロトン導電性電解質なので、最適な製造方法、装置サイズと印加電圧との最適な組み合わせ(サイズ当たりの処理能力要求値に見合う印加電圧)を採用することができ、高い処理能力を維持して、長期間、安定に操業することができる。
1 固体電解質、1k Yドープバリウムジルコネート、2 燃料極(アノード)、2a アノード側の外部配線、2g 金属ペースト、2p 燃料極内のPtまたはPd粒子、2s 金属メッシュシート、21 燃料極内の金属粒連鎖体、5 空気極(カソード)、5a カソード側の外部配線、5g 金属ペースト、5p 空気極内のPtまたはPd粒子、5s 金属メッシュシート、51 燃料極内の金属粒連鎖体、7 MEA(膜電極複合体)、9 金属めっき多孔体(セルメット)、9h セルメット気孔、10 除湿装置、35 ドレイン装置、37 遮蔽部、41 ヒータ、S1 除湿スペース、S2 放湿スペース。
Claims (11)
- 電気化学反応により空気中の水分を除く除湿装置であって、
固体電解質、該固体電解質を間に挟む多孔質の燃料極および多孔質の空気極を含む膜電極集合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、
前記膜電極集合体に電気的に接続される電源とを備え、
前記固体電解質が、3族原子がドープされたバリウムジルコネート(BaZrO3)を主要材料とすることを特徴とする、除湿装置。 - 前記燃料極および/または空気極が、8族元素の金属を含むことを特徴とする、請求項1に記載の除湿装置。
- 前記燃料極および/または空気極が、8族元素の金属粒の連鎖体を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の除湿装置。
- 前記燃料極および/または空気極が、8族元素の金属粒と、8族元素の金属粒の連鎖体とを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の除湿装置。
- 前記燃料極および/または空気極が、銀(Ag)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の除湿装置。
- 前記空気極が、ペロブスカイト型酸化物の一種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の除湿装置。
- 前記電源と、前記MEAの燃料極または空気極とを電気的に接続するための集電材とを含み、前記集電材が、焼結されて多孔質状態の金属ペーストを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の除湿装置。
- 前記電源と、前記MEAの燃料極または空気極とを電気的に接続するための集電材とを含み、前記集電材が、金属メッシュシートおよび焼結されて多孔質状態の金属ペースト、を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の除湿装置。
- 前記電源と、前記MEAの燃料極または空気極とを電気的に接続するための集電材とを含み、前記集電材が、金属めっき多孔体を有することを特徴とする、1〜8のいずれか1項に記載の除湿装置。
- 前記燃料極は前記水分が除かれる空気が位置する除湿スペースに面し、前記空気極が面する放湿スペースは、前記除湿スペースから、少なくとも部分的に遮蔽されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の除湿装置。
- 前記放湿スペースにドレイン処理設備が配置されていることを特徴とする、請求項10に記載の除湿装置。
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