JP2012168185A - 複数マッハツェンダー干渉計を有する光変調器の特性評価方法 - Google Patents

複数マッハツェンダー干渉計を有する光変調器の特性評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数のMZ干渉計を含む光変調器における個々のMZ干渉計の特性を評価する方法を提供する。
【解決手段】光変調器1は、第1のMZ干渉計2と第2のMZ干渉計3を含み第1のMZ干渉計2は分波部5と、2つのアーム6,7と合波部8と電極を含む。2つのアームは分波部と接続され、合波部は2つのアームと接続され、電極は2つのアームにバイアス電圧を印加でき、電極は2つのアームに変調信号を印加でき、MZ干渉計に駆動信号を印加し、MZ干渉計の2つのアームから出力される光の位相差をπかあるいは0となるようにバイアス電圧を調整し、バイアス電圧が調整された後MZ干渉計の出力強度のうち2次成分のサイドバンド成分の強度を用いてMZ干渉計の特性を評価する。
【選択図】図1

Description

本発明は,マッハツェンダー干渉計(MZ干渉計)を有する光変調器の特性評価方法に関する。具体的には,本発明は,複数のマッハツェンダー干渉計を有する光変調器の特性評価方法などに関する。
光情報通信システムには,光変調器が用いられている。よって,光変調器の特性を把握することは,効果的な光情報通信システムを得るために有用である。光変調器の性能を規定するパラメータとして,挿入損失,変調指数,半波長電圧(Vπ),光帯域,ON/OFF消光比,偏波消光比,チャープパラメータなどがある。そして,光変調器の特性を評価する方法が研究され,いくつかの評価方法が報告された。
特許第3538619号公報には,MZ型光変調器のパワースペクトルを測定し,測定したパワースペクトルを用いて変調指数を求める発明が開示されている。
特許第3866082号公報には,MZ型光変調器のスペクトル分布から光変調器の半波長電圧や,チャープパラメータを求める発明が開示されている。
上記2つの文献に開示された光変調器の特性を評価する方法は,優れた評価方法である。しかしながら,より精度良く光変調器の特性を評価する方法が望まれる。
特に,近年,複数のMZ干渉計を含む光変調器が開発された。そして,このような光変調器における,個々のMZ干渉計の特性を評価することが望まれる。一方,従来の光変調器の特性を評価する方法では,物性を評価する対象ではないMZ干渉計に由来するノイズが生ずるので,適切に評価できないという問題がある。
特許第3538619号公報 特許第3866082号公報
本発明は,精度良く光変調器の特性を評価する方法を提供することを目的とする。
本発明は,特に,複数のMZ干渉計を含む光変調器における個々のMZ干渉計の特性を評価する方法を提供することを上記とは別の目的とする。
本発明は,基本的には,MZ干渉計の0次成分を用いてMZ干渉計の特性を評価すると正確な評価を行うことができないという知見に基づく。特に,光変調器が,複数のMZ干渉計を含む場合,0次成分は,特性を評価するMZ干渉計以外のMZ干渉計に由来する信号が含まれる。このため,MZ干渉計の特性を正確に評価できない。本発明では,通常,最も強度が高くなる0次成分をあえて特性の評価に用いない。このようにすることで,精度良くMZ干渉計の特性を評価できる。
本発明の第1の側面は,マッハツェンダー干渉計(MZ干渉計)を含む光変調器の特性を評価する方法に関する。そして,MZ干渉計は,分波部と,2つのアームと,合波部と,電極とを含む。2つのアームは,分波部と接続される。合波部は,2つのアームと接続される。電極は,2つのアームにバイアス電圧を印加できる。電極は,2つのアームに変調信号を印加できる。この方法は,駆動信号を印加する工程と,バイアス電圧を掃引する工程と,出力強度を測定する工程と,特性を評価する工程とを含む。
駆動信号を印加する工程は,MZ干渉計に駆動信号を印加する工程である。バイアス電圧を掃引する工程は,MZ干渉計に印加されるバイアス電圧を掃引する工程である。出力強度を測定する工程は,バイアス電圧を掃引する工程でバイアス電圧を掃引しつつ,MZ干渉計からの出力強度を測定する工程である。特性を評価する工程は,出力強度を測定する工程で測定されたMZ干渉計からの出力のうち0次成分以外の成分の強度を用いて,MZ干渉計の特性を評価する工程である。
第1の側面に係る方法は,出力光に含まれる0次成分を用いずに,MZ干渉計の特性を評価する。このため,複数のMZ干渉計を含む光変調器における,あるMZ干渉計の特性を効果的に評価できる。
第1の側面に係る方法の好ましいパターンは,先に説明したMZ干渉計を,第1のMZ干渉計とする。すると,光変調器は,さらに,第2のMZ干渉計を含む。そして,第2のMZ干渉計は,第1のMZ干渉計とは別のMZ干渉計である。
本発明は,このように複数のMZ干渉計を含む光変調器における,あるMZ干渉計の特性を効果的に評価できる。
第1の側面に係る方法の好ましいパターンは,2つのアーム間の光振幅のアンバランスに関する特性(η)を評価するものに関する。
2つのアーム間の光振幅のアンバランスは,MZ干渉計の特性を決める重要なパラメータである。よって,η又はηに関連する値を求めることで,適切にMZ干渉計を調整することができる。このパターンは,先に説明したあらゆるパターンの方法と組み合わせることができる。
第1の側面に係る方法の好ましいパターンは,チャープパラメータに関する特性と,変調指数に関する特性とを評価するものに関する。
チャープパラメータ(α)は,MZ干渉計の特性を決める重要なパラメータである。よって,α又はαに関連する値を求めることで,適切にMZ干渉計を調整することができる。また,変調指数(A,及びA)も重要なパラメータである。このパターンは,先に説明したあらゆるパターンの方法と組み合わせることができる。
第1の側面に係る方法の好ましいパターンは,特性を評価する工程が,出力強度を測定する工程で測定されたMZ干渉計からの出力のうち1次成分〜4次成分までのサイドバンド強度を求めるものである。そして,求めた1次成分〜4次成分までのサイドバンド強度に基づいて,MZ干渉計の特性を評価する。
本発明の第2の側面は,マッハツェンダー干渉計(MZ干渉計)を含む,光変調器の特性を評価する方法に関する。MZ干渉計は,分波部と,2つのアームと,合波部と,電極とを含む。2つのアームは,分波部と接続される。合波部は,2つのアームと接続される。電極は,2つのアームにバイアス電圧を印加できる。電極は,2つのアームに変調信号を印加できる。
第2の側面に係る方法は,駆動信号を印加する工程と,バイアス電圧を調整する工程と,出力強度を測定する工程と,特性を評価する工程とを含む。駆動信号を印加する工程は,MZ干渉計に駆動信号を印加する工程である。バイアス電圧を調整する工程は,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする工程か,又はMZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする工程である。出力強度を測定する工程は,バイアス電圧を調整する工程によりバイアス電圧が調整されたMZ計測系からの出力強度を測定する工程である。特性を評価する工程は,出力強度を測定する工程で測定されたMZ干渉計からの出力のうち2次成分のサイドバンド成分の強度を用いて,MZ干渉計の特性を評価する工程である。
第2の側面に係る方法は,出力光に含まれる0次成分を用いずに,MZ干渉計の特性を評価する。このため,複数のMZ干渉計を含む光変調器における,あるMZ干渉計の特性を効果的に評価できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,先に説明したMZ干渉計を,第2のMZ干渉計とする。すると,光変調器は,さらに,第2のMZ干渉計を含む。そして,第2のMZ干渉計は,第2のMZ干渉計とは別のMZ干渉計である。
本発明は,このように複数のMZ干渉計を含む光変調器における,あるMZ干渉計の特性を効果的に評価できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,2つのアーム間の光振幅のアンバランスに関する特性(η)を評価するものに関する。
2つのアーム間の光振幅のアンバランスは,MZ干渉計の特性を決める重要なパラメータである。よって,η又はηに関連する値を求めることで,適切にMZ干渉計を調整することができる。このパターンは,先に説明したあらゆるパターンの方法と組み合わせることができる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,チャープパラメータに関する特性と,変調指数に関する特性とを評価するものに関する。
チャープパラメータ(α)は,MZ干渉計の特性を決める重要なパラメータである。よって,α又はαに関連する値を求めることで,適切にMZ干渉計を調整することができる。また,変調指数(A,及びA)も重要なパラメータである。このパターンは,先に説明したあらゆるパターンの方法と組み合わせることができる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計からの出力光の奇数次成分が最大になり,0次以外の偶数次成分が最小になるようにバイアス電圧を調整する。これによりMZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする。なお,より簡便に,MZ干渉計からの出力光の1次成分が最大となるようにバイアス電圧を調整してもよい。又は,MZ干渉計からの出力光の2次成分が最小となるようバイアス電圧を調整してもよい。このようにすることで,他のMZ干渉計の影響を受けずに,効果的にバイアス電圧の位相差を制御できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計からの出力光の奇数次成分が最小になり,0次以外の偶数次成分が最大になるようにバイアス電圧を調整する。これにより,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする。また,より簡単に制御するため,MZ干渉計からの出力光の1次成分が最小となるようにバイアス電圧を調整してもよい。また,MZ干渉計からの出力光の2次成分が最大となるようバイアス電圧を調整してもよい。このようにすることで,容易にMZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とすることができる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。スキューとは,2つのアームに印加されるRF(Radio Frequency)信号(変調信号)の位相差である。そして,スキュー(すなわち,2つのアームに印加されるRF信号の位相差)を掃引する。そして,スキューを掃引しつつ,MZ干渉計からの出力を測定する。その上で,測定したMZ干渉計からの出力が対称性を維持しているか判断する。MZ干渉計からの出力が対称性を維持していると判断したときに,バイアス電圧の位相差がπであると判断する。一方,MZ干渉計からの出力が対称性を維持していないと判断したときに,バイアス電圧の位相差がπでないと判断する。後述するように,このようにすることで,バイアス点が正確にバイアスヌルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。そして,スキューを掃引した場合のMZ干渉計からの出力を測定する。そして,測定したMZ干渉計からの出力のうち1次成分の強度と−1次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む。すなわち,1次成分と−1次成分が,スキューが変化しても,同様の強度を維持していれば,1次成分と−1次成分の対称性を維持していることとなる。この場合,バイアス点がバイアスヌル(又はバイアスフル)である。よって,このパターンによれば,正確にバイアスヌルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。そして,スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する。そして,測定したMZ干渉計からの出力のうち2次成分の強度と−2次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む。すなわち,2次成分と−2次成分が,スキューが変化しても,同様の強度を維持していれば,2次成分と−2次成分の対称性を維持していることとなる。よって,このパターンによれば,正確にバイアスヌルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。スキューとは,2つのアームに印加されるRF(Radio Frequency)信号(変調信号)の位相差である。そして,スキュー(すなわち,2つのアームに印加されるRF信号の位相差)を掃引する。そして,スキューを掃引しつつ,MZ干渉計からの出力を測定する。その上で,測定したMZ干渉計からの出力が対称性を維持しているか判断する。MZ干渉計からの出力が対称性を維持していると判断したときに,バイアス電圧の位相差が0であると判断する。一方,MZ干渉計からの出力が対称性を維持していないと判断したときに,バイアス電圧の位相差が0でないと判断する。後述するように,このようにすることで,バイアス点が正確にバイアスフルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。そして,スキューを掃引した場合のMZ干渉計からの出力を測定する。そして,測定したMZ干渉計からの出力のうち1次成分の強度と−1次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む。すなわち,1次成分と−1次成分が,スキューが変化しても,同様の強度を維持していれば,1次成分と−1次成分の対称性を維持していることとなる。よって,このパターンによれば,正確にバイアスフルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。そして,スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する。そして,測定したMZ干渉計からの出力のうち2次成分の強度と−2次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む。すなわち,2次成分と−2次成分が,スキューが変化しても,同様の強度を維持していれば,2次成分と−2次成分の対称性を維持していることとなる。よって,このパターンによれば,正確にバイアスフルであることを確認できる。
第3の側面に係る方法は,バイアス電圧を調整する工程と,出力強度を測定する工程と,特性を評価する工程を含む。バイアス電圧を調整する工程は,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差が0となる電圧と,位相差がπとなる電圧の中間の電圧になるように設定する工程である。出力強度を測定する工程は,MZ干渉計からの出力光に含まれる高次成分の強度を求める工程である。特性を評価する工程は,出力強度を測定する工程で測定された高次成分の比を用いて,MZ干渉計の特性を評価する工程である。この側面にかかる方法においては,先に説明した第1の側面,又は第2の側面における構成を用いることができる。
本発明によれば,精度良く光変調器の特性を評価する方法を提供できる。
本発明によれば,複数のMZ干渉計を含む光変調器における個々のMZ干渉計の特性を評価する方法を提供することができる。
図1は,マッハツェンダー干渉計を含む,光変調器の例を示す図である。 図2は,複数のマッハツェンダー干渉計を有する光変調器の例を示す図である。 図3は,複数のマッハツェンダー干渉計を含む光変調器の例を示す図である。 図4は,バイアスヌルの場合の,MZ干渉計からの出力とスキューとの関係を示す図面に替わるグラフである。 図5は,バイアスフルの場合の,MZ干渉計からの出力とスキューとの関係を示す図面に替わるグラフである。
1 光変調器
2 第1のマッハツェンダー干渉計
3 第2のマッハツェンダー干渉計
5 分波部
6 第1のアーム
7 第2のアーム
8 合波部
本発明の第1の側面は,マッハツェンダー干渉計(MZ干渉計)を含む光変調器の特性を評価する方法に関する。そして,MZ干渉計は,分波部と,2つのアームと,合波部と,電極とを含む。2つのアームは,分波部と接続される。合波部は,2つのアームと接続される。電極は,2つのアームにバイアス電圧を印加できる。電極は,2つのアームに変調信号を印加できる。
図1は,マッハツェンダー干渉計を含む光変調器の例を示す図である。この光変調器(1)は,第1のマッハツェンダー干渉計(2)と,第2のマッハツェンダー干渉計(3)を含む。そして,第1のマッハツェンダー干渉計(2)は,分波部(5)と,2つのアーム(6,7)と,合波部(8)と,図示しない電極を含む。また,MZ干渉計や,MZ干渉計を含む光変調器は公知である。符号6は,第1のアームを示し,符号7は,第2のアームを示す。通常,マハツェンダ導波路や電極は,基板上に設けられる。基板及び各導波路は,光を伝播することができるものであれば,特に限定されない。例えば,ニオブ酸リチウム(LN)基板上に,Ti拡散のニオブ酸リチウム導波路を形成しても良い。また,シリコン(Si)基板上に二酸化シリコン(SiO)導波路を形成しても良い。また,InPやGaAs基板上にInGaAsP,GaAlAs導波路を形成した光半導体導波路を用いても良い。基板として,XカットZ軸伝搬となるように切り出されたニオブ酸リチウム(LiNbO:LN)が好ましい。これは大きな電気光学効果を利用できるため低電力で駆動でき,かつ優れた応答速度が得られるためである。この基板のXカット面(YZ面)の表面に光導波路が形成され,導波光はZ軸(光学軸)に沿って伝搬することとなる。Zカットなど,Xカット以外のニオブ酸リチウム基板を用いても良い。また,基板として,電気光学効果を有する三方晶系,六方晶系といった一軸性結晶,又は結晶の点群がC3V,C3,D3,C3h,D3hである材料を用いることができる。これらの材料は,電界の印加によって屈折率変化が伝搬光のモードによって異符号となるような屈折率調整機能を有する。具体例としては,ニオブ酸リチウムの他に,タンタル酸リチウム(LiTO3:LT),β−BaB(略称BBO),LiIO等を用いることができる。Xカット面に導波路が形成された場合は,1つの電極でプッシュプル動作できるものを用いることが好ましい。また,Zカット面に導波路が形成された場合は,導波路の両脇に2つの電極を設けたものが好ましい。この2つの電極に正負の信号を同時に印加できるようにするものが好ましい。マッハツェンダー干渉計を含む光変調器は,様々なものがある。
図2は,複数のマッハツェンダー干渉計を有する光変調器の例を示す図である。この光変調器は,2つのメインマッハツェンダー干渉計を有する。そして,それぞれのメインマッハツェンダー干渉計は,2つのサブマッハツェンダー導波路を有する。この例で,評価対象となるマッハツェンダー干渉計は,符号2で示される。一方,この光変調器には,評価対象以外のマッハツェンダー干渉計(3a,3b,3c)が含まれている。なお,図2に示される光変調器は,直交振幅変調(QAM)信号発生装置として機能するものである。すなわち,本発明は,直交振幅変調(QAM)信号発生装置に含まれるあるマッハツェンダー導波路の特性を評価するために効果的に用いることができる。
図3は,複数のマッハツェンダー干渉計を含む光変調器の例を示す図である。この光変調器は,マッハツェンダー導波路を含む変調器を複数並べたものである。
MZ干渉計への入力光の波動関数は,exp(iω0t)により表すことができる。そして,MZ干渉計の両アームを伝播する光信号の位相は,それぞれ以下のように表すことができる。
Figure 2012168185
なお,上記式において,ω0は光の角周波数,A1,A2はそれぞれのアームの変調の深さを表わすパラメータ(変調指数),ωmは変調信号の角周波数,φ1,φ2はアームにより異なる変調信号の位相,B1,B2は導波路の構造や状態による両アームの位相,を表す
一方,光変調器が複数のMZ干渉計を有する場合,それらに起因する無変調光を無視できない。他のMZ干渉計に由来する無変調光を,Gexp(iω0t)とする。すると,MZ干渉計からの出力は,以下のように表すことができる。
Figure 2012168185
上記の式において,nは次数を表し,ηは,2つのアーム間の光振幅のアンバランスに関する消光比を表す。また,Jは第一種ベッセル関数である。
アーム間RF信号の位相差を無視した場合,φ=φ=0とすることができる。α’をAαとし,AをA+α’,Aを−A+α’とする。また,B=B−Bとすると,MZ干渉計からの出力を以下のように表現できる。
Figure 2012168185
すなわち,従来のように0次成分を用いて特性を評価すると,複数のMZ干渉計由来の成分が大きくなるので適正に評価することができない。
nを1以上の整数とする。n次のサイドバンドの強度をSとする。サイドバンド成分の強度は,バイアス電圧に依存する性質を有する。この性質を打ち消すため,たとえば,バイアス電圧を半波長電圧の整数倍にて掃引する。そして,バイアス電圧によるサイドバンド成分の変化を平均化すると,Sは以下のように表現できる。
Figure 2012168185
ここで,Jnの導関数Jn’(A)を以下のように定義する。
Figure 2012168185
α及びηが1に比べて十分に小さい場合は,Sは以下のように表現できる。
Figure 2012168185
よって,S,S,S,及びS測定し,これらの比(たとえば,S/S,S/S,及びS/S)を用いた連立方程式を解くことで,A,η,及びα’を求めることができる。ここで,RxyをS/Sと定義する。また,以下のように定義する。
Figure 2012168185
すると,R1nは以下のように表現できる。
Figure 2012168185
1次のサイドバンド強度と,2〜4次のサイドバンド強度との比を用いてMZ干渉計の特性を評価する場合,上記の式を利用すればよい。
本発明の第1の側面は,駆動信号を印加する工程と,バイアス電圧を掃引する工程と,出力強度を測定する工程と,特性を評価する工程とを含む。
駆動信号を印加する工程は,MZ干渉計に駆動信号を印加する工程である。駆動信号として,正弦波があげられる。駆動信号の駆動周波数として,1〜10GHzがあげられる。この工程は,MZ干渉計を駆動する場合と同様の工程なので,容易に実現できる。なお,この工程は,制御装置に基づいて自動的に行われるようにしても良い。すなわち,光変調器は,たとえば,駆動信号源と,制御装置を含む。制御装置は,制御プログラムを読み出す。そして,制御装置は,読み出した制御プログラムに基づいて,駆動信号源に対して指令を出す。駆動信号源は,制御装置からの指令を受け取る。駆動信号源は,制御指令に従って,MZ干渉計の電極に駆動信号を印加する。このようにして,MZ干渉計に駆動信号を印加できる。
バイアス電圧を掃引する工程は,MZ干渉計に印加されるバイアス電圧を掃引する工程である。バイアス電圧を掃引することで,バイアスに由来する影響を排除できる。この工程は,バイアス電極に印加する電圧を調整することで容易に達成できる。この工程は,制御装置に基づいて自動的に行われるようにしても良い。すなわち,光変調器は,たとえば,バイアス電源と,制御装置を含む。制御装置は,制御プログラムを読み出す。そして,制御装置は,読み出した制御プログラムに基づいて,バイアス電源に対して指令を出す。バイアス電源は,制御装置からの指令を受け取る。バイアス電源は,制御指令に従って,MZ干渉計の電極にバイアス電圧を掃引する。このようにして,干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧を掃引できる。掃引時に変化させる電圧の範囲は,バイアス電圧を印加する電極の半波長電圧(干渉計をオンオフするのに必要な電圧)の整数倍と一致させる。掃引する方法は,予め測定しておいた値とする方法と,掃引電圧の中心値を変化させながら,掃引電圧の範囲を変化させ,中心値の変化に対して,スペクトルが依存しなくなる電圧の範囲を探索する方法がある。後者は,掃引電圧の変化の範囲が半波長電圧の整数倍と一致した場合に限り,掃引の中心値にスペクトルが依存しなくなる性質を利用したものである。
出力強度を測定する工程は,バイアス電圧を掃引する工程でバイアス電圧を掃引しつつ,MZ干渉計からの出力強度を測定する工程である。この出力強度として,先に説明したように,1次成分から4次成分のサイドバンド強度があげられる。この光変調器は,たとえば,光検出器を含む。そして,光検出器は,MZ干渉計からの出力光を測定する。光検出器は,検出した出力光のスペクトルから所定のピークの強度情報を得る。具体的には,1次成分から4次成分のサイドバンド強度を抽出する。この工程は,制御装置に基づいて自動的に行われるようにしても良い。すなわち,制御装置は,制御プログラムを含む。そして,制御装置は,1次成分から4次成分の周波数を記憶する。制御装置は,光検出器から,MZ干渉計の出力スペクトルに関する情報を受け取る。すると,制御装置は,1次成分から4次成分の周波数についての情報を用いて,出力スペクトルから,1次成分のサイドバンド強度〜4次成分のサイドバンド強度を抽出する。
特性を評価する工程は,出力強度を測定する工程で測定されたMZ干渉計からの出力のうち0次成分以外の成分の強度を用いて,MZ干渉計の特性を評価する工程である。先に説明したとおり,n次のサイドバンド強度は,以下のように表すことができる。
Figure 2012168185
また,R1nは以下のように表現できる。
Figure 2012168185
よって,n=1〜4つの測定し,R12,R13,及びR14の3つの非線形連立方程式を解けば,A,η,及びα’を求めることができることとなる。
この工程は,自動的に行われるものであっても良い。すなわち,この光検出器は,さらに,制御装置を含む。そして,この制御装置は,連立方程式を解くためのプログラム,及びベッセル関数を扱うためのプログラムを備えている。先の工程で,S〜Sを求めることができた。よって,S〜Sを用いて,R12,R13,及びR14をテーブルと,乗算器を用いることで容易に求めることができる。また,S〜SからR12,R13,及びR14を,ソフトウェアを用いても容易に求めることもできる。この後連立方程式を解くためのプログラムによって,A,η,及びα’を求めることができる。
第1の側面に係る方法は,出力光に含まれる0次成分を用いずに,MZ干渉計の特性を評価する。このため,複数のMZ干渉計を含む光変調器における,あるMZ干渉計の特性を効果的に評価できる。
第1の側面に係る方法の好ましいパターンは,先に説明したMZ干渉計を,第1のMZ干渉計とする。すると,光変調器は,さらに,第2のMZ干渉計を含む。そして,第2のMZ干渉計は,第1のMZ干渉計とは別のMZ干渉計である。
本発明は,このように複数のMZ干渉計を含む光変調器における,あるMZ干渉計の特性を効果的に評価できる。
第1の側面に係る方法の好ましいパターンは,2つのアーム間の光振幅のアンバランスに関する特性(η)を評価するものに関する。
2つのアーム間の光振幅のアンバランスは,MZ干渉計の特性を決める重要なパラメータである。よって,η又はηに関連する値を求めることで,適切にMZ干渉計を調整することができる。このパターンは,先に説明したあらゆるパターンの方法と組み合わせることができる。
第1の側面に係る方法の好ましいパターンは,チャープパラメータに関する特性と,変調指数に関する特性とを評価するものに関する。
チャープパラメータ(α)は,MZ干渉計の特性を決める重要なパラメータである。よって,α又はαに関連する値を求めることで,適切にMZ干渉計を調整することができる。また,変調指数(A,及びA)も重要なパラメータである。このパターンは,先に説明したあらゆるパターンの方法と組み合わせることができる。
本発明の第2の側面は,マッハツェンダー干渉計(MZ干渉計)を含む,光変調器の特性を評価する方法に関する。MZ干渉計は,分波部と,2つのアームと,合波部と,電極とを含む。2つのアームは,分波部と接続される。合波部は,2つのアームと接続される。電極は,2つのアームにバイアス電圧を印加できる。電極は,2つのアームに変調信号を印加できる。
先に説明したとおり,α及びηが1に比べて十分に小さい場合は,Sは以下のように表現できる。
Figure 2012168185
次に,両アームに印加されるバイアス電圧の位相差を0,πとした場合について説明する。ここでは,バイアスフルの際のn次のサイドバンドの強度の平方根をT (+)の様に表現し,バイアスヌルの際のn次のサイドバンドの強度の平方根をT (―)の様に表現する。すると,以下のように表現できる。
Figure 2012168185
なお,n次のサイドバンド強度は,ηが小さい場合,近似的に以下のように表現できる。
Figure 2012168185
よって,バイアスフルの際の1次〜3次のサイドバンドに関して,以下の表に表現できる。
Figure 2012168185

一方,バイアスヌルの際の1次〜3次のサイドバンドに関して,以下の表に表現できる。
Figure 2012168185
よって,バイアスフル時及びバイアスヌル時のサイドバンドの強度から消光比η,α’及びAを求めることができる。すなわち,バイアスフル時の2次のサイドバンドから,Aを求めることができる。一方,MZ干渉計のバイアスを振ると,ηを変化させることができる。これにより,α’を求めることができる。A及びα’を求めることができた場合には,バイアスヌル時のηを求めることができる。
すなわち,本発明の第2の側面は,駆動信号を印加する工程と,バイアス電圧を調整する工程と,出力強度を測定する工程と,特性を評価する工程とを含む。
駆動信号を印加する工程は,MZ干渉計に駆動信号を印加する工程である。この工程は第1の側面と同様である。
バイアス電圧を調整する工程は,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする工程か,又はMZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする工程である。この工程は,バイアス電極に印加する電圧を調整することで容易に達成できる。この工程は,制御装置に基づいて自動的に行われるようにしても良い。すなわち,光変調器は,たとえば,バイアス電源と,制御装置を含む。制御装置は,制御プログラムを読み出す。そして,制御装置は,読み出した制御プログラムに基づいて,バイアス電源に対して指令を出す。バイアス電源は,制御装置からの指令を受け取る。バイアス電源は,制御指令に従って,MZ干渉計の電極にバイアス電圧を印加する。このようにして,Z干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0又はπとすることができる。
通常,出力光の0次成分の強度を用いてバイアスフル状態とバイアスヌル状態とを制御する。一方,光変調器が,評価対象となるMZ干渉計以外にもMZ干渉計を含む場合,0次成分には他のMZ干渉計に由来するノイズが生ずる。よって,0次成分でバイアスフル状態とバイアスヌル状態とを正確に区別することは難しい。そこで,本発明に置いては,高次成分を用いてバイアスフル状態とヌル状態とを判別するものが好ましい。バイアスフルの場合には偶数次(2次,4次,又は6次など)が最大になり,1次を含む奇数次(1次,3次,又は5次など)が最小になるようにバイアス電圧を調整すればよい。また,バイアスヌルの場合には1次を含む奇数次(1次,3次,又は5次など)が最大になり,0次を含む偶数次(2次,4次,又は6次など)が最小になるようにバイアス設定をすればよい。すなわち,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとするためには,バイアスヌルの状態とすればよい。このため,1次を含む奇数次(1次,3次,又は5次など)が最大になり,0次を含む偶数次(2次,4次,又は6次など)が最小になるようにバイアス設定をすればよい。たとえば,1次成分だけに着目して,1次成分が最大となるように制御してもよい。また,2次成分だけに着目して,2次成分が最小となるように制御しても良い。すなわち,第1の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計からの出力光の奇数次成分が最大になり,0次以外の偶数次成分が最小になるようにバイアス電圧を調整するものである。これによりMZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする。この工程は,光検出器が検出するスペクトルを解析しながらバイアス電圧を調整することで達成できる。また,制御部が,光検出器が検出したスペクトルを自動的に解析して,バイアス電源にバイアス電圧を変化させるように指令を出すものであってもよい。このようなシステムでは,自動的にバイアスヌルの状態を得ることができる。なお,より簡便に,MZ干渉計からの出力光の1次成分が最大となるようにバイアス電圧を調整してもよい。又は,MZ干渉計からの出力光の2次成分が最小となるようバイアス電圧を調整してもよい。このようにすることで,他のMZ干渉計の影響を受けずに,効果的にバイアス電圧の位相差を制御できる。第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計からの出力光の奇数次成分が最小になり,0次以外の偶数次成分が最大になるようにバイアス電圧を調整する。これにより,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とすることができる。また,より簡単に制御するため,MZ干渉計からの出力光の1次成分が最小となるようにバイアス電圧を調整してもよい。また,MZ干渉計からの出力光の2次成分が最大となるようバイアス電圧を調整してもよい。このようにすることで,容易にMZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とすることができる。
出力強度を測定する工程は,バイアス電圧を調整する工程によりバイアス電圧が調整されたMZ計測系からの出力強度を測定する工程である。この工程も基本的には第1の側面と同様である。
特性を評価する工程は,出力強度を測定する工程で測定されたMZ干渉計からの出力のうち2次成分のサイドバンド成分の強度を用いて,MZ干渉計の特性を評価する工程である。
第2の側面に係る方法は,出力光に含まれる0次成分を用いずに,MZ干渉計の特性を評価する。このため,複数のMZ干渉計を含む光変調器における,あるMZ干渉計の特性を効果的に評価できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,先に説明したMZ干渉計を,第2のMZ干渉計とする。すると,光変調器は,さらに,第2のMZ干渉計を含む。そして,第2のMZ干渉計は,第2のMZ干渉計とは別のMZ干渉計である。
本発明は,このように複数のMZ干渉計を含む光変調器における,あるMZ干渉計の特性を効果的に評価できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,2つのアーム間の光振幅のアンバランスに関する特性(η)を評価するものに関する。
2つのアーム間の光振幅のアンバランスは,MZ干渉計の特性を決める重要なパラメータである。よって,η又はηに関連する値を求めることで,適切にMZ干渉計を調整することができる。このパターンは,先に説明したあらゆるパターンの方法と組み合わせることができる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,チャープパラメータに関する特性と,変調指数に関する特性とを評価するものに関する。
チャープパラメータ(α)は,MZ干渉計の特性を決める重要なパラメータである。よって,α又はαに関連する値を求めることで,適切にMZ干渉計を調整することができる。また,変調指数(A,及びA)も重要なパラメータである。このパターンは,先に説明したあらゆるパターンの方法と組み合わせることができる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームにRF信号を印加するとともに,それらのRF信号にスキュー(位相差)を持たせることで,正確にバイアスヌルとなっているか確認するものである。そして,正確にバイアスヌルとなっていない場合は,バイアスの調整を行うようにする。このようにすることで,正確にバイアスヌルとすることができ,正確にMZ干渉計の特性を評価できることとなる。以下この点について説明する。
MZ干渉計の2つのアームにRF信号を印加する場合,これらのRF信号にスキュー(位相差)が生ずることがある。スキューがあると,光スペクトルが変化する。このため通常は,スキューができるだけ少なくなるように調整する。一方,スキューにより光スペクトルが変化する様子を実際に測定すると,次数成分ごとに周期性(対称性)があることがわかった。すなわち,n次成分は,2π/n周期でゼロ点を有していた。これにより,出力スペクトルから,n次成分を容易に分離できる。出力スペクトルが,周期性を持つことは,いかの理由によるものと考えられる。すなわち,Bをバイアス位相差,φをスキューとすると,n次成分の強度は,cos[{n(φ+π)+B}/2]に比例する。このため,n次成分は,2π/n周期でゼロ点を有すると考えられる。
もっとも,実際に出力を行った結果,バイアスヌルとバイアスフルの間のバイアス点において,上側波帯(USB)と下側波帯(LSB)とでは,アンバランスとなった。一方,バイアスフル又はバイアスヌルでは,USBとLSBとの対称性が保たれた。すなわち,USBとLSBの強度は,スキューが変化してもほぼ同じであった。
図4は,バイアスヌル(ヌルバイアス)の場合の,MZ干渉計からの出力とスキューとの関係を示す図面に替わるグラフである。図4は,DSB−SC変調の場合のMZ干渉計からの出力を示す。図4から,スキューが変化しても,キャリア成分は抑圧され続けていることがわかる。スキューが180度となると,全体として光強度が低下した。これは,2つのアーム間で,光位相が反転した状態となったことによると考えられる。すなわち,位相が反転した成分同士が干渉し,打ち消しあうため,全体として光強度が弱まったと考えられる。1次成分(及び−1次成分)は,スキューが0度で最大となり,スキューが180度で最小となった。ゼロ点の間隔は,360度(2π)であった。1次成分と−1次成分の強度は,それぞれのスキューにおいて,ほぼ同一であり,1次成分と−1次成分との対称性が維持されていた。2次成分(及び−2次成分)は,スキューが0度で最小となり,スキューが180度で最小となった。ゼロ点の間隔は,180度(2π/2)であった。2次成分と−2次成分の強度は,それぞれのスキューにおいて,ほぼ同一であり,2次成分と−2次成分との対称性が維持されていた。3次成分(−3次成分)はスキューが0度で最大となり,スキューが60度及び180度で極小となった。ゼロ点の間隔は,120度(2π/3)であった。3次成分と−3次成分の強度は,それぞれのスキューにおいて,ほぼ同一であり,3次成分と−3次成分との対称性が維持されていた。
図5は,バイアスフル(フルバイアス)の場合の,MZ干渉計からの出力とスキューとの関係を示す図面に替わるグラフである。図5は,奇数次成分を抑圧した場合のMZ干渉計からの出力を示す。図5から,スキューが変化しても,キャリア成分の強度は変化しないことがわかる。スキューが0から増えると,抑圧されていた1次成分(及び−1次成分)の強度が増大した。1次成分(及び−1次成分)は,スキューが0度で最大となり,スキューが180度で最小となった。ゼロ点の間隔は,360度(2π)であった。1次成分と−1次成分の強度は,それぞれのスキューにおいて,ほぼ同一であり,1次成分と−1次成分との対称性が維持されていた。2次成分(及び−2次成分)は,スキューが0度で最小となり,スキューが90度で最小となった。ゼロ点の間隔は,180度(2π/2)であった。2次成分と−2次成分の強度は,それぞれのスキューにおいて,ほぼ同一であり,2次成分と−2次成分との対称性が維持されていた。3次成分(−3次成分)はスキューが0度で最大となり,スキューが120度で極小となった。ゼロ点の間隔は,120度(2π/3)であった。3次成分と−3次成分の強度は,それぞれのスキューにおいて,ほぼ同一であり,3次成分と−3次成分との対称性が維持されていた。
よって,USBの強度とLSBの強度との差が一定の範囲である場合,バイアスヌル又はバイアスフルであると判断できる。一定の範囲は,適宜設定すればよい。この範囲が狭ければ,より正確にバイアスヌル又はバイアスフルを達成できる。
すなわち,第2の側面の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。スキューとは,2つのアームに印加されるRF(Radio Frequency)信号(変調信号)の位相差である。スキューを制御するためには以下のようにすれば良い。すなわち,RF信号源が,制御装置と接続されている。そして,RF信号源は,2つのアームに変調信号を印加するための電極と接続されている。制御部が,RF信号源にRF信号を出力するように指令を出す。この指令は,2つのアームに印加されるRF信号の位相差を考慮したものである。このようにして,2つのアームに印加されるRF信号の位相差(スキュー)を制御できる。また,制御部が,位相差を掃引することで,スキュー(すなわち,2つのアームに印加されるRF信号の位相差)を掃引できる。そして,スキューを掃引しつつ,MZ干渉計からの出力を測定する。その上で,測定したMZ干渉計からの出力が対称性を維持しているか判断する。光検出器は,制御装置と接続されている。そこで,光検出器が検出した出力スペクトルは,制御装置へと入力される。
制御装置は,出力スペクトルから,各次数成分を分離する。そして,n次成分と−n次成分とが,同様の強度を有するかどうか判断する。たとえば,1次成分の強度と,−1次成分の強度の比を求め,この比が0.95以上1.05以下であるか判断する。この範囲は,適宜調整すればよい。これにより,MZ干渉計からの出力が対称性を維持しているか判断する。
そして,MZ干渉計からの出力が対称性を維持していると判断したときに,バイアス電圧の位相差がπであると判断する。一方,MZ干渉計からの出力が対称性を維持していないと判断したときに,バイアス電圧の位相差がπでないと判断する。このようにすることで,バイアス点が正確にバイアスヌルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。そして,スキューを掃引した場合のMZ干渉計からの出力を測定する。そして,測定したMZ干渉計からの出力のうち1次成分の強度と−1次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む。すなわち,1次成分と−1次成分が,スキューが変化しても,同様の強度を維持していれば,1次成分と−1次成分の対称性を維持していることとなる。よって,このパターンによれば,正確にバイアスヌルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差をπとする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。そして,スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する。そして,測定したMZ干渉計からの出力のうち2次成分の強度と−2次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む。すなわち,2次成分と−2次成分が,スキューが変化しても,同様の強度を維持していれば,2次成分と−2次成分の対称性を維持していることとなる。よって,このパターンによれば,正確にバイアスヌルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,スキューを利用して,正確にバイアスヌル状態を得るものである。基本的には,第1の側面において説明した原理と同様にして,正確にバイアスヌル状態を達成できる。具体的には,このパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。スキューとは,2つのアームに印加されるRF(Radio Frequency)信号(変調信号)の位相差である。そして,スキュー(すなわち,2つのアームに印加されるRF信号の位相差)を掃引する。そして,スキューを掃引しつつ,MZ干渉計からの出力を測定する。その上で,測定したMZ干渉計からの出力が対称性を維持しているか判断する。MZ干渉計からの出力が対称性を維持していると判断したときに,バイアス電圧の位相差が0であると判断する。一方,MZ干渉計からの出力が対称性を維持していないと判断したときに,バイアス電圧の位相差が0でないと判断する。後述するように,このようにすることで,バイアス点が正確にバイアスフルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。そして,スキューを掃引した場合のMZ干渉計からの出力を測定する。そして,測定したMZ干渉計からの出力のうち1次成分の強度と−1次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む。すなわち,1次成分と−1次成分が,スキューが変化しても,同様の強度を維持していれば,1次成分と−1次成分の対称性を維持していることとなる。よって,このパターンによれば,正確にバイアスフルであることを確認できる。
第2の側面に係る方法の好ましいパターンは,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差を0とする工程が,2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程を含む。そして,スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する。そして,測定したMZ干渉計からの出力のうち2次成分の強度と−2次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む。すなわち,2次成分と−2次成分が,スキューが変化しても,同様の強度を維持していれば,2次成分と−2次成分の対称性を維持していることとなる。よって,このパターンによれば,正確にバイアスフルであることを確認できる。
ηが可変でない場合には,たとえば以下の様にして,マッハツェンダー干渉計の特性を評価すればよい。バイアスフルとヌルの場合の出力強度を測定する。この場合,それぞれの強度(相対値)は,既に示した式で表すことができる。よって,このデータを用いることで,複数の連立非線形方程式を立てることがでる。そして,変数より多い連立方程式を立てることで変数を求めることができる。よって,3つ以上の連立方程式をつくり,これを解くことで,A,α,及びηを求めることができる。先に説明したとおり,複数のMZ干渉計を持つ場合,0次成分は,測定対象以外のMZ干渉計由来のノイズが発生する。よって,MZ干渉計を評価するためには,1次,2次もしくは3次以上の出力成分間の比を使うことが望ましい。非線形連立方程式は複数の解を持つことがある。この場合,4つ以上連立方程式を立てることで容易に解を求めることができる。
第3の側面に係る方法は,バイアス電圧を調整する工程と,出力強度を測定する工程と,特性を評価する工程を含む。バイアス電圧を調整する工程は,MZ干渉計の2つのアームに印加するバイアス電圧の位相差が0となる電圧と,位相差がπとなる電圧の中間の電圧になるように設定する工程である。位相差が0となる電圧及び位相差がπとなる電圧の求め方は先に説明したものを適宜利用すればよい。また,この光変調器は,制御装置を用いて自動的に制御できるものであってもよい。制御装置が,位相差が0となる電圧及び位相差がπとなる電圧を記憶し,それらの平均を求め,その平均値のバイアス電圧を出力するように,バイアス電源に指令を出す。出力強度を測定する工程は,MZ干渉計からの出力光に含まれる高次成分の強度を求める工程である。特性を評価する工程は,出力強度を測定する工程で測定された高次成分の比を用いて,MZ干渉計の特性を評価する工程である。すなわち,本発明は,バイアスフルとバイアスヌルの中間状態を利用して,MZ干渉計の特性を評価することもできる。この場合,各成分の強度は先に示した式の平均となる。よって,1次以上の成分(高次成分)の強度を求め,その比を用いて連立方程式を作成し,変数を求めればよい。この変数が,MZ干渉計の特性を示す値である。この側面も,複数のMZ干渉計を含む光変調器を効果的に評価できる。第3の側面にかかる方法も,自動的に制御されるようにされていても良い。このような光変調器を有するシステムは,光変調器と,光検出器と,電源と,制御装置と,を含む。そして,電源は,光変調器に変調信号とバイアス電圧を印加する。光検出器は,光変調器の出力又は光変調器に含まれるMZ干渉計からの出力を測定できるようにされている。制御装置は,光検出器と接続されており,光検出器が検出したスペクトル情報を受領できる。また,制御装置は,受け取ったスペクトル情報に基づいて,電源の動作を制御する。
なお,アーム間RF信号の位相差が無視できない場合は,以下のようにしてRF信号の位相差を評価すればよい。すなわち,先に説明したバイアスフルとバイアスヌルの中間状態を利用して特性を評価すればよい。すなわち,アーム間RF信号の位相差が無視できない場合は,バイアスフルとバイアスヌルの中間のバイアス電圧において,+n次成分と,−n次成分との強度にアンバランスが生ずる。+n次成分と−n次成分の比を用いて,アーム間RF信号の位相差を評価できる。すなわち,この比が1に近い一定の範囲の値をとれば,アーム間RF信号の位相差を無視できる。一方,+n次成分と−n次成分の比が1からずれる場合は,それだけ位相差が大きいこととなる。すなわち,上記のとおりバイアスフルとバイアスヌルの中間状態とし,その上で+n次成分と−n次成分の比を求めることで,アーム間RF信号の位相差を評価することができる。
本発明は,光情報通信の分野において好適に利用されうる。

Claims (10)

  1. マッハツェンダー干渉計(MZ干渉計)を含む,光変調器の特性を評価する方法であって,
    前記MZ干渉計は,分波部と,2つのアームと,合波部と,電極とを含み,
    前記2つのアームは,前記分波部と接続され,
    前記合波部は,前記2つのアームと接続され,
    前記電極は,前記2つのアームにバイアス電圧を印加でき,
    前記電極は,前記2つのアームに変調信号を印加でき,

    駆動信号を印加する工程と,バイアス電圧を調整する工程と,出力強度を測定する工程と,特性を評価する工程とを含み,

    前記駆動信号を印加する工程は,前記MZ干渉計に駆動信号を印加する工程であり;
    前記バイアス電圧を調整する工程は,前記MZ干渉計の2つのアームに印加されるバイアス電圧を調整することにより前記2つのアームから出力される光の位相差をπとする工程か,又は前記MZ干渉計の2つのアームに印加されるバイアス電圧を調整することにより前記2つのアームから出力される光の位相差を0とする工程であり;
    前記出力強度を測定する工程は,前記バイアス電圧を調整する工程によりバイアス電圧が調整されたMZ計測系からの出力強度を測定する工程であり;
    前記特性を評価する工程は,前記出力強度を測定する工程で測定されたMZ干渉計からの出力のうち2次成分のサイドバンド成分の強度を用いて,前記MZ干渉計の特性を評価する工程である,
    方法。
  2. 前記MZ干渉計を,第1のMZ干渉計とすると,
    前記光変調器は,
    さらに,第2のMZ干渉計を含み,
    前記第2のMZ干渉計は,前記第1のMZ干渉計とは別のMZ干渉計である,
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記MZ干渉計の特性が,
    前記2つのアーム間の光振幅のアンバランスに関する特性を含む,
    請求項1に記載の方法。
  4. 前記MZ干渉計の特性が,
    チャープパラメータに関する特性と,
    変調指数に関する特性と,
    を含む,
    請求項6に記載の方法。
  5. 前記MZ干渉計の2つのアームに印加されるバイアス電圧を調整することにより前記2つのアームから出力される光の位相差をπとする工程は,
    前記2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程と,
    前記スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する工程と,
    前記測定したMZ干渉計からの出力が対称性を維持しているか判断する工程と,
    前記MZ干渉計からの出力が対称性を維持していると判断したときに,前記2つのアームから出力される光の位相差がπであると判断し,前記MZ干渉計からの出力が対称性を維持していないと判断したときに,前記2つのアームから出力される光の位相差がπでないと判断する工程と,
    を含む,
    請求項1に記載の方法。
  6. 前記MZ干渉計の2つのアームに印加されるバイアス電圧を調整することにより前記2つのアームから出力される光の位相差をπとする工程は,
    前記2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程と,
    前記スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する工程と,
    前記測定したMZ干渉計からの出力のうち1次成分の強度と−1次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む,
    請求項1に記載の方法。
  7. 前記MZ干渉計の2つのアームに印加されるバイアス電圧を調整することにより前記2つのアームから出力される光の位相差をπとする工程は,
    前記2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程と,
    前記スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する工程と,
    前記測定したMZ干渉計からの出力のうち2次成分の強度と−2次成分の強度の差が一定の範囲内であるか判断する工程を含む,
    請求項1に記載の方法。
  8. 前記MZ干渉計の2つのアームに印加されるバイアス電圧を調整することにより前記2つのアームから出力される光の位相差を0とする工程は,
    前記2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程と,
    前記スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する工程と,
    前記測定したMZ干渉計からの出力が対称性を維持しているか判断する工程と,
    前記MZ干渉計からの出力が対称性を維持していると判断したときに,前記2つのアームから出力される光の位相差が0であると判断し,前記MZ干渉計からの出力が対称性を維持していないと判断したときに,前記2つのアームから出力される光の位相差が0でないと判断する工程と,
    を含む,
    請求項1に記載の方法。
  9. 前記MZ干渉計の2つのアームに印加されるバイアス電圧を調整することにより前記2つのアームから出力される光の位相差を0とする工程は,
    前記2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程と,
    前記スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する工程と,
    前記測定したMZ干渉計からの出力のうち1次成分の強度と−1次成分との強度の差が,一定の範囲内であるか判断する工程を含む,
    請求項1に記載の方法。
  10. 前記MZ干渉計の2つのアームに印加されるバイアス電圧を調整することにより前記2つのアームから出力される光の位相差を0とする工程は,
    前記2つのアームにスキューを有する信号を印加する工程と,
    前記スキューを掃引した場合の前記MZ干渉計からの出力を測定する工程と,
    前記測定したMZ干渉計からの出力のうち2次成分の強度と−2次成分の強度の差が一定の範囲内であるか判断する工程を含む,
    請求項1に記載の方法。
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