JP2012167499A - 植生工法及び植生用地盤構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、法面を第1不織布シート2で覆うための覆工程、該第1不織布シート2を法面に固定する第1不織布シート固定工程、第1不織布シートに植生のための植口を形成する植口形成工程、植口の真下に植え込みのための穴を空ける植え込み用穴形成工程、該植え込み用穴に土と共に植生原料を植え込む植え込み工程とよりなる植生工法。
【選択図】図2
Description
そして、荒廃化を原因とする大量の風雨等により土砂が流れ出すこともあり、危険である。
また、見栄えも悪い。
このようなことから、荒れた法面に対して植生を施すことが広く行われている。
植生により土壌が安定し法面の荒廃化が防止されると共に、緑化されるため自然な状態となり見栄えが向上するのである。
更にまた、特許文献2にあるような、防草マット及び防草キャップを使った緑化工法も開発されている。
このつば部と防草マットの重なり部分を接着剤で固定するのである。
これらの緑化方法は、排水性中和板、網目体、植生基盤を使用したり、或いは防草キャップ、防草マットを使用したりするため、使用材料(施工のため使う部材)も複雑であり施工する際の作業工数が多く必要である。
したがって施工コストが嵩む。
他方ではネット材を使った植生緑化構造も開発されているが、法面に多量の雨水が急激に降ると水はネット材に沿って下方に流れず、直接、法面の土壌に吸収されるため、法面が浸食されて植生が困難となる。
また植生された茎の周囲に窪みができて育ちにくい欠点もある。
すなわち本発明は、施工する際、簡単に作業できコスト安でしかも法面が浸食しにくい植生方法及びその植生用地盤構造を提供するものである。
そのため工期も短くなりコストも安価となる。
また雨水が多量であっても該不織布シートに沿って積極的に流すことができ、急激な雨水による法面の浸食も生じない。
また不織布シートは、多少伸びるので植え込んだ後は、開口部を小さくなるような操作が可能である。
この実施の形態の植生工法は、法面を第1不織布シート2で覆うための覆工程、第1不織布シート2を法面に固定する第1不織布シート固定工程、第1不織布シート2に植生のための植口21を形成する植口形成工程、植口21の真下に植え込みのための穴を空ける植え込み用穴形成工程、該植え込み用穴に植生原料Pを植え込む植え込み工程とよりなる。
本実施の形態では、施工対象となる部分(ここでは法面)が硬い土壌ではなく植生が可能な土壌であれば適用可能である。
なお法面の土壌に草根が含まれる場合は、極力、除去することが好ましい。
そして法面1の上に第1不織布シート2を敷設する。
そして第1不織布シート2の周囲の端部22は法面1の土壌に埋め込む。
ところで第1不織布シート2を敷設する際は、一定広さを有するシート状片の不織布シート2を平面状に多数枚連結していくことで施工面積を広める。
その場合、その不織布シート2の端部同士を重ね合わせて接着することが好ましい。
第1不織布シート2としては、後述するように、雨水を斜面に沿って流すことができ、また水分も多少通すものが採用される。
また、法面1から上方に伸びる草芽を阻止すること(すなわち防草すること)も重要である。
このようなことから、第1不織布シート2としては、例えば合成繊維よりなる不織布が好ましく用いられる。
この第1不織布シート2は、工事の施工後、植生原料Pがある程度育った状態においては、腐食しても差し支えない。
第1不織布シート2を止めピン4等(固定手段)を使って、法面1に固定する。
この場合、通常、第1不織布シート2の上から、例えば止めピン4を法面の土壌に打ち込む。
なお止めピン4としては、釘状のピンや、U字状のピンが使われる。
第1不織布シート2は外気に露出しており風雨等によって捲れ上がることがあり、これを止めピン4で固定することによりそれを防ぐことができる。
なお、第1不織布シート2は、端部同士の重ね部にも打ち込むことが好ましい。
また、第1不織布シート2の周囲の端部22は、一定の距離、土壌に埋め込む。
ここで使用する第1不織布シート2は、これに沿って、水等を下方に流し排水することができ、またある程度水を通過させることができ、また防草の機能を有するものであれば種々の不織布シートが採用可能である。
因みに不織布シートは、網ネットと異なって、適度な透水性を示すが急激に水を通すことはない。
また、不織布シートの材料としては、合成繊維(ポリエステル、レーヨン等)により形成されたものが好ましい。
天然繊維と異なって施工後も数年間は腐りにくく保形性が良いという利点がある。
また透水性は1×10−3〜10−5(cm/sec)が好ましい。
従って、雨が急激に降っても、雨水はこの第1不織布シート2に沿って(法面に沿って)下方に流れるよう誘導される。排出を促すのである。
第1不織布シート2に植生のための植口21を形成する工程である。
植口21を形成するのは、法面1に植生原料Pをこの植口21を介して起立状に植え込むためである。
植口21は、線状の切り欠きSよりなるもので、切り欠きSの切り口は極力細い方がよい。
植口21の切り方は、ハサミ又はナイフを使って切ることが好ましい。
上記の切り欠きSは、植生原料Pの大小によって使い分けを行うことができる。
(A)はZ字形の切り欠きSを開いた場合で、開放された植口21は長方形、(B)は十字形の切り欠きSを開いた場合で、開放された植口21は菱形、(C)はV字形の切り欠きSを開いた場合で、開放された植口21は三角形を示す。
特にZ字形の切り欠きSは一筆切りで切り欠きSが形成され且つ矩形の植口21ができるので、大きい根塊にも対応でき、しかも施工も効率がよい。
もっとも、それぞれ開き加減を変えることで植口21の大きさや形は調整することができる。
また、後述するように、不織布シートは、多少伸びるので、施工後にその切り欠いた端部を引っ張って、余分な植口21を極力小さくすることができる。
第1不織布シート2に形成した植口21の真下にて法面の土壌に植生原料Pを植え込むための穴を掘る。
ここで植え込みの対象となる植生原料Pとしては、花類、樹木類、種子類、苗類、等、種々の形態がある。
この植え込み用穴は、植生原料Pの根塊の大きさによって異なるが、例えば花類であれば径は5cm〜20cm程度、中程度の樹木苗であれば40cm〜80cm程度となり、深さも同じ程度である。
すなわち植生原料Pには,通常、根塊があるので、これを収納できるだけの大きさがあればよい。
具体的な植え込み用穴の空け方は、移植コテ(スコップ等)を植口21を通して法面の土壌に押し入れて、一定角度横方向に動かすと空間ができ、この部分が穴となる。
このように植え込み用穴は、掘るというより穴としての空間を形成するものである。
植生原料Pを第1不織布シート2に形成した植口21から法面1の植え込み用穴に植え込む。
この場合、植え込み用穴形成工程により形成された植え込み用穴と第1不織布シートの植口21とが対応した位置にあるので、植口21を通して植え込み用穴に土と共に根塊を有する植生原料Pを植え込む。
そして植え込んだ周りを押さえて固める。
ここで、根塊を植えた後は、第1不織布シート2は引っ張ると少し伸びるので、その切り欠いた端部を引っ張って茎の周りの植口21を極力小さくして土壌が露出しないようにするとよい。
植口21の切り欠きSは、植生材料Pを挿入した部分以外の部分は開かないようにボンド等の接着剤Rを使って塞いでおくことがより好ましい(図9(B)参照)。
風雨により水が不織布シートに沿って流れ排水される際に、雨水等がこの植口21から入りにくいからである。
因みに、植生材料Pを植え込んだ後の根付くまでの一定期間は、法面を安定した状態に保持しておくことが必要であるが、植口21から雨水が大量に流れ込むと泥水となって法面が浸食崩壊し易く、根付きが期待できない。
以上述べたように、この植生工法は、複雑な法面の施工を必要とせず施工工数が少なく、そのため工期も短くなりコスト安となる。
また雨水が多量であっても該不織布シートに沿って積極的に流して排水することができる。
しかも不織布シートは適度な透水性を示すので、法面の土壌にも必要となる水分を適宜供給することができる。
以上により、図2に示すような植生用地盤構造が形成される。
この植生用地盤構造は、法面1を覆う第1不織布シート2と、該第1不織布シート2に一定間隔(不定間隔でもよい)で形成した植口21と、該植口21から法面1に植え込んだ植生原料Pとよりなるものである。
ここで第1不織布シート2は法面1に止めピン4等の固定手段で固定されており、風雨により捲れ上がることはない。
特に植生原料Pを植え込んだ後は、この植口21の周囲は外方に引っ張られ易く植口21が開く傾向がある。
従って、上述した不織布シート固定工程において、植口21の近くに打ち込む止めピン4は、傾斜状態で外側方向(すなわち打ち込むに従って植生原料から離れる方向)に打ち込むことが好ましい。これで植口21の開きを防止できる。
また雨水が集中的に法面1に降っても、第1不織布シート2に沿って斜面を流れ下る。
この場合、上述したように法面の土壌が露出しないように植生原料Pの外側の余分な植口21は塞がれているので、雨水が植口21から下に入り込むことが阻止され窪みができない。
このように、雨水が急激に法面の土壌に侵入することがなく、法面1が浸食されて崩壊するような問題は生じない。
この実施の形態の植生工法は、法面1に客土層1Aを形成する客土層形成工程、客土層1Aの上を第1不織布シート2で覆うための覆工程、第1不織布シート2を法面1に固定する第1不織布シート固定工程、第1不織布シート2に植生のための植口21を形成する植口形成工程、植口21の真下にて前記客土層1Aに植え込みのための穴を空ける植え込み用穴形成工程、該植え込み用穴に土と共に植生原料Pを植え込む植え込み工程よりなる。
この植生工法は、法面が比較的硬い土壌(軟質岩盤状等)である場合に適用すると効果的である。
この方法は、第1の実施の形態と異なって、法面1の上に前もって客土層1Aを形成しておくものである。
法面が比較的硬い土壌である場合には、植生原料Pが根付きにくく、そのためこのような客土層1Aを設けるのである。
まず施工対象となる部分(ここでは法面)の草根を極力取り払うことが好ましい。
そして法面1の上に一定量の客土を敷設して客土層1Aを形成する。
上述したように、これは法面が比較的硬い土壌である場合に植生材料Pが育ちにくくなることから形成するものである。
客土層1Aを盛る厚さは、植生原料Pや植え込み用穴の大きさによって異なるが、10cm〜70cm程度である。
例えば花類であれば小さいが、樹木苗であればそれより当然大きくなる。
客土層は、土の他、砂や小砂利を含んだ土壌によって形成されるが、土壌改良剤や肥料等は敢えて混入する必要はない。
客土層1Aの上に第1不織布シート2を敷設する。
ここでも第1不織布シート2を敷設する際は、一定広さを有するシート状片の第1不織布シート2を平面状に多数枚連結していくことで施工面積を広める。
この場合も第1不織布シート2の端部同士を重ね合わせて、接着することが好ましい。
特に、客土層1Aの端部が包み込まれるように第1不織布シート2の周囲の端部22を法面1に一定深さ埋め込む。
第1不織布シート2は、雨水等を第1不織布シート2に沿って下方に流して排除する役割を果たす。
そして、たとえ法面の土壌から客土層1Aまで伸びてきた雑草があったとしても、この第1不織布シート2によりそれ以上の伸びを阻止する。
第1不織布シート2を止めピン等4の固定手段を使って、法面1に固定する。
この場合、止めピン4を第1不織布シート2の上から客土層1Aを突き抜けるようにして法面1の土壌内に打ち込む。
止めピン4としては、釘状のピンや、U字状のピンが使われる。
第1不織布シート2に植生のための植口21を形成する工程である。
先述したように、植口21は、線状の切り欠きSよりなるもので、例えば、十字形、Z字形、V字形のものが採用される。
切り口は、線状に近く極力細い方がよく、植口21の切り方は、挟み又はナイフを使って切ることが好ましい。
植口21の真下にて前記客土層1Aに植生原料Pの植え込みのための穴を掘る。
穴の空け方は、具体的には、移植コテ(スコップ)を植口21を通して客土層1Aに押し入れて、一定角度横方向に動かすと空間ができ、この部分が植え込み用穴となる。
この植え込み用穴は、先述したように、例えば、花類であれば径は5cm〜10cm程度、中程度の樹木苗であれば15cm〜20cm程度である。
植生原料Pを植口21から客土層1Aの植え込み用穴に植え込む。
この場合、植え込み用穴形成工程により形成された植え込み用穴に植口21を通して土と共に植生原料Pを入れる。
植口21の真下に対応するように植え込み用穴が空けられているので植え込みは簡単である。
そして植え込んだ周りを押さえて固める。
上述したように、根塊を植えた後は、第1不織布シート2は引っ張ると少し伸びるので、その切り欠いた端部を引っ張って茎の周りの植口21を極力小さくして土壌が露出しないようにするとよい。
また切り欠きSは植生材料Pを挿入した部分以外の部分は開かないように接着剤Rを使って塞いでおくことが好ましい。
以上により、図4に示すような植生用地盤構造が形成される。
この植生用地盤構造は、法面1に形成した客土層1Aと、該客土層1A上を覆う第1不織布シート2と、該第1不織布シート2に一定間隔で形成した植口21と、該植口21から客土層1Aに植え込んだ植生原料Pとよりなる。
ここで第1不織布シート2は法面1に止めピン等4の固定手段で固定されている。
客土層を設けるので法面が硬くても植生材料Pが育成される。第1不織布シート2があるので、客土層に含まれた雑草芽が伸びてもここで阻止される。
また第1不織布シート2は、雨水等をこれに沿って下方に流す役割を果たし、一方では透水性があるので適度な水分を客土層1Aに与える。
この実施の形態の植生工法は、法面1を第1不織布シート2で覆うための第1覆工程、該不織布シートの上に客土層1Bを形成する客土層形成工程、該客土層1Bの上を第2不織布シート3で覆う第2覆工程、第2不織布シート3と共に第1不織布シート2を法面1に固定する不織布シート固定工程、第2不織布シート3に植生のための植口31を形成する植口形成工程、該植口31の真下にて客土層1Bに植え込みのための穴を空ける植え込み用穴形成工程、該植え込み用穴に土と共に植生原料Pを植え込む植え込み工程よりなる。
この植生方法は、第2の実施の形態と同じように、施工対象となる部分(ここでは法面)が比較的硬い土壌である場合に適している。
まず法面1の上に第1不織布シート2を敷設する。
この場合は、第1不織布シート2の端部同士を重ね合わせても接着までする必要はない。
この第1不織布シート2は、法面1の土壌に含まれている雑草芽が成長するのを阻止して次に述べる客土層1Bの中にまで伸びないようにする。
これによって、後述する客土層1Bに植え込む植生原料Pの成長を阻害しない。
第1不織布シート2としては、上述した第1不織布シート2のようなものが用いられる。
また、この第1不織布シート2は、後述するように、地中から湧き上がる余剰水に対しても誘導して排水する役割を果たす。
この場合、次の工程で形成される客土層の荷重で、この第1不織布シート2を押さえ付けるので、第1不織布シート2は固定する必要はなく、止めピン4等の打ち込みは省略できる。
第1不織布シート2の上に客土を敷設して客土層1Bを形成する。
ここでも客土層1Bを盛る厚さは、20cm〜80cm程度である。
客土層は第1不織布シート2の上にあって法面とは隔離されて別の育成の土壌となるので、第2の実施の形態より相対的に大きい層厚の方が好ましい。
次に客土層1Bの上に更に第2不織布シート3を敷設する。
この場合、第2不織布シート3は、雨水等を第2不織布シート3に沿って流す役割を果たす。
また、たとえ法面の土壌から客土層1Bまで伸びた雑草があったとしても、この第2不織布シート3により確実に上方への成長を阻止する。
一方、客土層1Bの端部及び第1不織布シート2の端部を包み込むように、第2不織布シート3の周囲の端部32を法面1に埋め込む。
これにより客土層1Bは、第1不織布シート2と第2不織布シート3との間で区画され独自の育成環境を設定できる。
第2不織布シート3を止めピン4等(固定手段)で法面に固定する。
この場合、止めピン4を第2不織布シート3の上から第1不織布シート2を突き抜けて法面1に食い込むように打つ。
第2不織布シート3は、外気に露出しており、風雨によって捲れ上がることがあり、これを防ぐためである。
第2不織布シート3の端部同士の重ね部にも打ち込むことが好ましい。
第2不織布シート3に植生のための植口31を形成する工程である。
先述したように、植口31は、線状の切り欠きSよりなるもので、例えば、Z字形、十字形、V字形のものが採用され、その切り口は線状に近く極力細くなるように、挟み又はナイフを使って切る。
植口31の真下にて前記客土層1Bに植生原料Pの植え込みのための穴を空ける。
穴の空け方は、上述したように、移植コテ(スコップ)を植口31を通して客土層1Bに押し入れて、一定角度横方向に動かすと空間ができ、この部分が植え込み用穴となる。
穴の大きさは上述の実施の形態で述べた。
植生原料Pを植口31から客土層1Bの植え込み用穴に植え込む。
この場合、植え込み用穴形成工程により形成された植え込み用穴に植口31を通して植生原料Pを土と共に植え込む。
そして植え込んだ周りを押さえて固める。
上述したように、根塊を植えた後は、第2不織布シート3は引っ張ると少し伸びるので、その切り欠いた端部を引っ張って茎の周りの植口31を極力小さくして土壌が露出しないようにするとよい。
また切り欠きSは植生材料Pを挿入した部分以外の部分は開かないように接着剤Rを使って塞いでおくことが好ましいことは先述した通りである。
以上、この植生工法も複雑な法面の施工を必要とせず施工工数が少なく、しかもコストも安価に行える。
以上により、図6に示すような植生用地盤構造が形成される。
この植生用地盤構造は、法面1を覆う第1不織布シート2と、該第1不織布シート2の上に形成された客土層1Bと、該客土層1Bの上を覆う第2不織布シート3と、該第2不織布シート3に一定間隔で形成した植口31と、該植口31から客土層1Bに植え込んだ植生原料Pとよりなる。
第1不織布シート2と第2不織布シート3は法面1に止めピン4等(固定手段)で固定されている。
最下位に第1不織布シート2があるので、法面の土壌に含まれた雑草芽が伸びてもここで阻止される。
そして、たとえ法面の土壌から客土層1Bまで伸びてきた雑草があったとしても、この第2不織布シート3により、それより上方への伸びも確実に阻止される。
また第1不織布シート2は、客土層1Bの下にあるので、表面からは埋め込まれたレベルに位置することになる。
そのために、この位置は、下方からわき水等が上がって余剰水として滞留しやすい。
しかし、第1不織布シート2があることで、余剰水は、この第1不織布シート2が排水層となり下方に排水される作用を受ける。
また第2不織布シート3は、雨水等をこれに沿って下方に流す役割を果たし、また透水性もあるので適度な水分を客土層1Bに与える。
(実験1)
この施工例は、第1の実施の形態の方法を採用した例である。
硬い土壌でなく植生が可能な土壌の法面(300m2)を対象に、本発明の植生方法を施工した(図9参照)。
法面を直接覆う第1不織布シートとしては、ポリエステル不織布シート(厚さ2mm、透水性は1×10−3cm/sec)を使った。ポリエステル不織布シート(幅200cm×1000cm)の重ね幅は、10cmとし、U字型の止めピン(長さ30cm)で固定した。
ポリエステル不織布シートには、ナイフを使ってZ字形に切り欠き、植口を作った。
そしてスコップで法面の土壌に穴を形成し、植生原料としてヤマザクラの苗(高さ10cm)を植え込んだ。
植え込んだ後、切り欠き端部を引っ張って植口から客土層が露出しないようにした。
また植口の切り欠きは、植生材料を挿入した部分以外の部分は開かないようにボンド等の接着剤Rを使って塞いだ(図9(B)参照)。
施工後、12か月すると、ヤマザクラが20〜30cmに育って、雑草が殆ど生えてこない状態となっていた。
第1不織布シートの下を観察したところ、法面の土壌から伸びた雑草は、その多くが第1不織布シートによって伸びるのを阻止されていた。
また植口における茎の周囲も露出してなく、その下も急激な雨水の浸食による窪みもできていなかった。
この施工例は、第2の実施の形態の方法を採用した例である。
比較的硬い土壌の法面(300m2)を対象に、本発明の植生方法を施工した。
客土層を覆う第1不織布シートとしては、ポリエステル不織布シート(厚さ2mm、透水性は1×10−3cm/sec)を使った。ポリエステル不織布シート(幅200cm×1000cm)の重ね幅は、10cmとし、U字型の止めピン(長さ35cm)で固定した。
客土層はクラッシャーラン(砂)を含んだ土壌を使用し、20cmの層厚に形成した。
ポリエステル不織布シートには、ナイフを使ってZ字形に切り欠き、植口を作った。
そしてスコップで客土層に穴を形成し、植生原料としてヤマザクラの苗(高さ10cm)を植え込んだ。
植え込んだ後、切り欠き端部を引っ張って植口から客土層が露出しないようにした。
12か月後には、ヤマザクラが高さ20〜30cmに育って、雑草が殆ど生えてこない状態となっていた。
また、第1不織布シートの下を観察したところ、法面の土壌から伸びた雑草は、客土層に達していたが、その多くが第1不織布シートによって伸びるのを阻止されていた。
豪雨時の観察でも、雨水が第1不織布シートに沿って下方に流れて排水されるのが視認できた。
また、植口における茎の周囲も露出してなく、その下も急激な雨水の浸食による窪みもできていなかった。
この施工例は、上記第3の実施の形態の方法を採用した例である。
この施工例は、実験2と同様な法面の場所で、同様なポリエステル不織布シート、植生原料、を使って上記第3の実施の形態の方法を採用した例である。
客土層は30cmの層厚に形成し、植生原料としヤマザクラの苗(高さ10cm)を植え込んだ。
植え込んだ後、切り欠き端部を引っ張って植口から客土層が露出しないようにした。
12か月後、ヤマザクラが高さ20〜30cmに育って、雑草が全く生えてこない状態となっていた。
また、第1不織布シートの下を観察したところ、一番下の法面の土壌から伸びた雑草は、その多くが第1不織布シートによって伸びるのを阻止されていた。
また、第2不織布シートの下を観察したところ、第1不織布シートを通り抜けて客土層にまで伸びて侵入した雑草が、第2不織布シートによって確実に伸びるのを阻止されていた。
また、植口における茎の周囲も露出してなく、その下も急激な雨水の浸食による窪みもできていなかった。
本発明の施工の対象となる法面は、瓦礫であろうと土砂であろうと、或いは粘土であろうと拘束されない。
そして法面の傾斜は、少なくともいわゆる水勾配と云われる勾配を有するものである。
また、例えば植生材料としては、法面の土壌、及び客土層に植付けて育成できるものであれば、種々のものが使用可能である。
また第1不織布シートや第2不織布シートは、施工後、植生原料Pがある程度育った状態においては、腐食しても問題ないことはいうまでもない。
また、第1実施の形態の第1不織布シート2の上に、第2実施の形態の第1不織布シート2の上に、第3実施の形態の第2不織布シート3の上に、それぞれ芝種等を散布することも可能である。
芝種は、これら不織布シートに保持され易いため、根付きが良い。
また、第1の実施の形態と第2の実施の形態の客土層の厚みは、上述した数値範囲に必ずしも拘束されないものである。
1A…客土層
1B…客土層
2…第1不織布シート
21…植口
22…端部
3…第2不織布シート
31…植口
32…端部
4…固定手段(止めピン)
P…植生原料
R…接着剤
S…切り欠き
Claims (12)
- 法面を第1不織布シートで覆うための覆工程、該第1不織布シートを法面に固定する第1不織布シート固定工程、第1不織布シートに植生のための植口を形成する植口形成工程、植口の真下にて法面に植え込みのための穴を空ける植え込み用穴形成工程、該植え込み用穴に土と共に植生原料を植え込む植え込み工程とよりなることを特徴とする植生工法。
- 法面に客土層を形成する客土層形成工程、客土層の上を第1不織布シートで覆うための覆工程、該第1不織布シートを法面に固定する第1不織布シート固定工程、第1不織布シートに植生のための植口を形成する植口形成工程、植口の真下にて前記客土層に植え込みのための穴を空ける植え込み用穴形成工程、該植え込み用穴に土と共に植生原料を植え込む植え込み工程よりなることを特徴とする植生工法。
- 法面を第1不織布シートで覆うための第1覆工程、該第1不織布シートの上に客土層を形成する客土層形成工程、該客土層の上を第2不織布シートで覆う第2覆工程、第2不織布シートと共に第1不織布シートを法面に固定する不織布シート固定工程、第2不織布シートに植生のための植口を形成する植口形成工程、該植口の真下にて前記客土層に植え込みのための穴を空ける植え込み用穴形成工程、該植え込み用穴に土と共に植生原料を植え込む植え込み工程よりなることを特徴とする植生工法。
- 上記植口が線状の切り欠きよりなることを特徴とする請求項1記載の植生工法。
- 上記植え込み工程の後、切り欠きを開かないように接着剤で固定することを特徴とする請求項4記載の植生工法。
- 客土層の端部及び第1不織布シートの端部を包み込むようにして、第2不織布シートの周囲の端部を法面に埋め込むことを特徴とする請求項3記載の植生工法。
- 客土層の端部を包み込むようにして、第1不織布シートの周囲の端部を法面に埋め込むことを特徴とする請求項2記載の植生工法。
- 法面を覆う第1不織布シートと、該第1不織布シートに一定間隔で形成した植口と、該植口から法面に植え込んだ植生原料とでなり、第1不織布シートは法面に固定手段で固定されていることを特徴とする植生用地盤構造。
- 法面に形成した客土層と、該客土層の上を覆う第1不織布シートと、該第1不織布シートに一定間隔で形成した植口と、該植口から法面に植え込んだ植生原料とでなり、第1不織布シートは法面に固定手段で固定されていることを特徴とする植生用地盤構造。
- 法面を覆う第1不織布シートと、該第1不織布シートの上に形成された客土層と、該客土層の上を覆う第2不織布シートと、該第2不織布シートに一定間隔で形成した植口と、該植口から法面に植え込んだ植生原料とでなり、第2不織布シートは法面に固定手段で固定されていることを特徴とする植生用地盤構造。
- 客土層の端部が包み込まれるようにして、第1不織布シートの周囲の端部が法面に埋め込まれていることを特徴とする請求項9記載の植生用地盤構造。
- 客土層の端部及び第1不織布シートの周囲の端部が包み込まれるようにして、第2不織布シートの周囲の端部が法面に埋め込まれていることを特徴とする請求項10記載の植生用地盤構造。
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