JP2012165579A - キュービクル式変圧器盤およびそのクレーン搬送方法 - Google Patents

Abstract

【課題】盤筐体に吊り金具を設けることなく、クレーン用のワイヤロープを盤内に据付けた変圧器の吊り金具に直接掛けてクレーン搬送が行えるように構造の簡略化を図ったキュービクル式変圧器盤，およびそのクレーン搬送方法を提供する。
【解決手段】盤内に変圧器を収納したキュービクル式変圧器盤で、変圧器２を盤筐体１の底部に固定設置したものにおいて、キュービクルの天井板（屋根）１ａを左右に三分割し、その中央には外方からクレーン用のワイヤロープを盤内に挿入する取外し可能な分割天井板１ｂを設ける。そして、この変圧器盤を組立状態でクレーン搬送する際には、前記の分割天井板１ｂを取外した上で上方から盤内に挿入したワイヤロープ６を変圧器２の頂部に設けた吊り金具２ａに直接掛け、クレーン６の操作により盤筐体１に変圧器２の荷重をつけるこなしに吊り上げ搬送できるようにする。
【選択図】図１

Description

本発明は、盤内に変圧器を収納したキュービクル式変圧器盤、およびそのクレーン搬送方法に関する。

周知のように大容量の電力変換装置などでは、その高圧受電機器として変圧器を併設しており、一般に変圧器は自立形盤のキュービクルに収納した変圧器盤として、この変圧器盤をインバータ盤などに並置した列盤構成で使用先現地に据付けるようにしている。

この変圧器盤は、通常は工場で変圧器をキュービクルの内部に据付けた組立状態で車両に載せて輸送し、据付け先現場ではクレーン搬送により吊り上げ搬入して電気室などの床面に据付けるようにしている。

ここで、従来におけるキュービクル式変圧器盤の構成を図２（ａ），（ｂ）に示す。図において、１はキュービクル式の盤筐体、２は盤内に収納した変圧器であり、盤筐体１は図２（ｂ）で示すように、形鋼を主体とするフレーム３で構築した骨組の周面に鋼板，および正面扉を組み合わせた箱体になり、変圧器２は盤内のチャンネルベースに載置して固定的に据付けられている。なお、２ａは変圧器２の頂部に設けた吊り金具である。

また、盤筐体１はその天井板（屋根）に吊り金具４を備えており、クレーン搬送の際には前記吊り金具４にクレーン用のワイヤロープ５を掛け、クレーン６により吊り上げ搬送するようにしている。

この場合に、変圧器２の重量はその容量にもよるが大容量のものは数トンにも及ぶ重量機器であることから、この変圧器２を搭載してクレーン搬送するキュービクルの盤筐体１は、その吊り下げ荷重に十分耐える堅牢性と強度が要求され、従来の製品では前記フレーム３に重量形鋼を採用して構築していることから盤筐体１は自重が１トンにも及ぶ構造物となる。

ところで、前記の変圧器盤１を電気室の床面に据付けた後の状態では、変圧器２の荷重は形鋼のフレーム３を介して電気室の床面に担持されるので、変圧器盤の筐体自体は地震，振動などに耐える自立強度を確保していれば十分である。

したがって、変圧器を搭載した組立状態のまま変圧器盤をクレーン搬送する際に、その盤筐体１に変圧器２の荷重が加わらないようにすれば盤筐体１を小形，軽量に構成することが可能となるほか、これにより電気室などの建屋に要求される床の強度，設置スペースの条件も緩和できる。

かかる点、キュービクル式盤筐体に設けた吊り金具を盤筐体の天井板（屋根）に固定せずに上下可動な構造とした上で、この吊り金具と盤内に据付けた変圧器の吊り金具との間を別なワイヤロープで繋ぎ、クレーン搬送時には吊り荷重が盤筐体自体に加わらないようにして変圧器盤を組立状態のまま吊り上げ搬送できるようにした構成の配電盤が知られている（特許文献１参照）。

特開２００３−１１６２０７号公報

特許文献１に開示されている構成の変圧器盤によれば、キュービクルの盤筐体に要求される耐荷重強度を軽減して変圧器盤の小形，軽量化が可能になるものの、一方では盤筐体の天井に上下可動式の構造になる吊り金具を設けるほか、この吊り金具と変圧器の吊り金具との間を繋ぐように両端にフック金具を設けたワイヤロープなどの専用の吊り上げ部材を用意する必要があってコストが嵩む。

本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は盤筐体に吊り金具を設けることなく、クレーン用のワイヤロープを盤内に据付けた変圧器の吊り金具に直接掛けてクレーン搬送が行えるように構造の簡略化を図ったキュービクル式変圧器盤，およびそのクレーン搬送方法を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明によれば、盤内に変圧器を据付けた受変電設備のキュービクル式変圧器盤で、変圧器を盤内底部に固定設置したものにおいて、キュービクルの上面中央部位に、外方からクレーン用のワイヤロープを盤内に挿入する取外し可能な分割構造の天井板を設けるものする（請求項１）。

そして、この変圧器盤を組立状態でクレーン搬送する本発明の搬送方法では、前記の分割天井板を取外した上で上方からキュービクル式の盤内に挿入したワイヤロープを変圧器の頂部に設けた吊り金具に直接掛けて吊り上げ搬送するようにする（請求項２）。

上記の盤構造，クレーン搬送方法によれば、先記した特許文献１のように盤筐体の天井に設けた上下可動式の吊り金具、および該吊り金具と盤内に据付けた変圧器の吊り金具との間を繋ぐワイヤロープの専用吊り上げ部材は必要なく、盤筐体の上面中央に設けた分割天井板を取り外すだけで、クレーン用のワイヤロープを上方から直接変圧器の吊り金具に掛けて変圧器盤を組立状態のまま吊り上げ搬送することができる。これにより、盤筐体の構造簡略化と併せて、クレーン搬送時の準備作業手順も簡単になる効果が得られる。

そのほか、クレーン搬送時には盤筐体に変圧器の荷重が加わらないので、盤筐体の骨組みを構築するフレーム部材には鋼板を板金曲げ加工して作製した軽量形鋼を採用することができて盤筐体の軽量化が図れる。

本発明の実施例による変圧器盤の吊り上げ搬送時の状態を表す略示構成図である。 図１に対応する従来の変圧器盤の略示構成図である。

以下、本発明の実施の形態を図１に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図２に対応する同一部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
図示実施例の変圧器盤は基本的に図２と同様で、変圧器２は盤筐体１の盤内底部に据付けられている（工場で組立）が、特に盤筐体１の天井板（屋根）１ａに関しては、該天井板１ａを左右に三分割した上で、中央に並ぶ分割天井板１ｂが盤筐体１のフレーム３に設けた支持梁（アングル）３ａにボルト締結して取外し可能に固定されている。また、天井板１ａには吊り金具を設けてない。なお、分割天井板１ｂは、平時はフレーム３に固定したままとし、次記のように変圧器盤のクレーン搬送時には締結ボルトを外して図示のように取り外す。

次に上記の変圧器盤を据付け先現地でクレーン搬送する際の手順について説明する。工場から出荷した変圧器盤が現地に到着した後に、まずクレーン搬送の準備作業として前記の分割天井板１ｂを取外した上で、上方から盤内に挿入したクレーン用ワイヤロープ５を図示のように変圧器２の吊り金具２ａとクレーン６のフックの間に掛け、この状態でクレーン６の操作により変圧器盤を吊り上げ搬送して電気室などに搬入する。

このクレーン搬送方法によれば、特許文献１と同様にクレーン搬送の過程で変圧器２の荷重が盤筐体１に加わることない。これにより、図示実施例の変圧器盤は、図２のように盤筐体１の吊り金具４にワイヤロープ５を掛けてクレーン搬送する従来の変圧器盤と比べて盤筐体１に要求される所要強度が緩和されるので、盤筐体１の骨組みを構築するフレーム３には鋼板を板金曲げ加工して作製した軽量形鋼を採用してキュービクルの小形，軽量化が可能となるほか、盤筐体１の天井板に設けた吊り金具４（図２参照）も省略して製品コストの低減化が図れるなどの利点が得られる。また、特許文献１と比べても、上下可動式の吊り金具，および該吊り金具と盤内に据付けた変圧器の吊り金具との間を結ぶワイヤロープなどの吊り上げ専用部材も不要となる。

１ キュービクル式変圧器盤の盤筐体
１ａ 盤筐体の天井板
１ｂ 分割天井板
２ 変圧器
２ａ 変圧器の吊り金具
３ 盤筐体のフレーム
３ａ 天井板の支持梁
５ クレーン用ワイヤロープ
６ クレーン

Claims (2)

1. 盤内に変圧器を据付けた受変電設備のキュービクル型変圧器盤であり、変圧器は盤内のベース部に固定設置したものにおいて、キュービクルの上面中央部位に、外方からクレーン用のワイヤロープを盤内に挿入する取外し可能な分割構造の天井板を設けたことを特徴とするキュービクル型変圧器盤。
2. 請求項１に記載の変圧器盤をクレーン搬送する際に、キュービクルの分割天井板を取外した上で、上方から盤内に挿入したワイヤロープを変圧器の頂部に設けた吊り金具に直接掛けて吊り上げ搬送することを特徴とするキュービクル型変圧器盤のクレーン搬送方法。