JP3219302U - 移動式家屋の吊下げ具 - Google Patents

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祥司 今井
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Abstract

【課題】移動式家屋全体を安全に吊り上げ、かつ家屋に変形を起こさせることのない吊下げ具を提供する。
【解決手段】移動式家屋Aの上方に配置される四角形の吊枠10と、吊枠10の四カ所の角部に連結されて、吊上げ機械の吊りフックCfに係合される上ロープ21と、吊枠10の四カ所の角部から下方に垂下される4本の下ロープ31と、4本の下ロープ31のそれぞれの下端に取付けられており、底部枠体に引掛けられる4個の引掛け金具40とからなる。四角形の吊枠10を用いて4本の下ロープ31で移動式家屋Aの底部フレーム1に引掛けて吊り上げるので、躯体が木質の家屋であっても躯体を変形させずに移動式家屋Aを吊り上げることができる。
【選択図】図1

Description

本考案は、移動式家屋の吊下げ具に関する。さらに詳しくは、任意の場所に搬送して設置し、撤去も任意に行える移動式家屋の搬送時に使用する吊下げ具に関する。
移動式の簡易住宅として特許文献1記載の従来技術がある。
この移動式住宅は、壁部、屋根部、床部を形成する板体を組み立ててボックス状の住宅ユニットとした移動式簡易住宅であって、住宅ユニットの下面部には移動用の車輪が取り付けられており、また住宅ユニット内には各種電気器具、寝具、応接セット、浴室、トイレ等が装備されている。
さらに、住宅ユニットの上面の上枠部には吊り下げ用のフックが設けられており、このフックをクレーン等により吊り下げて簡単に住居の移動ができるよう構成されている。
しかるに、上枠部に取付けられた吊下げフックによって住宅ユニット全体を吊り上げるには、住宅ユニット全体の強度が高くなくてはならない。強度を高くするには、ユニット全体を鋼製にすればよいが、重くなって運搬や撤去がやりにくくなる。
一方、住宅利用時の快適さを求めて、床や壁を木製とした移動式住宅も検討されたし。しかしながら、木製の住宅ユニットでは強度が不足し、搬送・設置時の吊上げ作業に支障が生ずる。
特開2002−129761号公報
本考案は上記事情に鑑み、木質材を多く用いており鋼製よりは軽量であるが、設置と撤去にクレーンによる吊り上げを要する移動式家屋において、家屋全体を安全に吊り上げ、かつ家屋に変形を起こさせることのない吊下げ具を提供することを目的とする。
第1考案の移動式家屋の吊下げ具は、形状が直方体であり、底部フレームの上部に躯体を載せた移動式家屋の吊下げ具であって、前記家屋の上方に配置される四角形の吊枠と、該吊枠の四カ所の角部に連結されて、吊上げ機械の吊りフックに係合される上ロープと、前記吊枠の四カ所の角部から下方に垂下される4本の下ロープと、前記4本の下ロープのそれぞれの下端に取付けられており、前記底部フレームに引掛けられる4個の引掛け金具とからなることを特徴とする。
第2考案の移動式家屋の吊下げ具は、第1考案において、前記上ロープは、ロープ長さを調整する長さ調整具を備えていることを特徴とする。
第3考案の移動式家屋の吊下げ具は、第1考案において、前記吊枠は、その幅が吊上げ対象である移動式家屋の幅寸法よりも大きいことを特徴とする。
第4考案の移動式家屋の吊下げ具は、第1考案において、前記4個の引掛け金具は、前記底部フレームに固着された4個の受け金具に引掛けられる金具であることを特徴とする。
第1考案によれば、四角形の吊枠を用いて4本の下ロープで移動式家屋の底部フレームに引掛けて吊り上げるので、躯体が木質の家屋であっても躯体を変形させずに移動式家屋を吊り上げることができる。また、4本の下ロープは四角形の吊枠を介して4本の上ロープにつなげられているので、4点支持の状態を変えることなく移動式家屋を吊り上げるので、安定した吊り上げが可能である。
第2考案によれば、長さ調整具で上ロープの長さを調整できるので、移動式家屋の重心真上に吊りフックを位置させたり、ロープの緩みを無くすることができ、移動式家屋の安定した吊り上げが可能となる。
第3考案によれば、吊枠の幅が移動式家屋の幅寸法よりも広いので、下ロープが移動式家屋の側面に接触することがなく、移動式家屋を損傷させない。
第4考案によれば、4個の引掛け金具は、移動式家屋の底部枠体に固着された受け金具に引掛けられるので、吊り上げ中に外れる事故は生じず、安全な吊り上げが可能となる。
本考案の一実施形態に係る吊下げ具Fと移動式家屋Aの正面図である。 (A)図は吊下げ具Fと移動式家屋Aの平面図である。(B)図は吊下げ具Fと移動式家屋Aの側面図である。 (A)は吊下げ具Fの平面図、(B)は側面図である。 吊下げ具Fの説明図である。 (A)は引掛け金具40と受け金具50の説明図、(B)は受け金具50の斜視図である。 移動式家屋Aの搬送要領の説明図である。
つぎに、本考案の実施形態を図面に基づき説明する。
図1および図2に基づき吊下げ具Fとその吊上げ対象である移動式家屋Aの基本構造を説明する。
まず、吊上げ対象である移動式家屋Aの形状を簡単に説明する。移動式家屋Aは直方体上の構造物であって、底部フレーム1とその上部に固定された躯体2とからなる。底部フレーム1はH形鋼を用いた強度部材であって、躯体2を支持している。
躯体2は、床材と壁体を木質系材料で作製し、屋根を軽金属板を主材に用いて構成している。躯体2の内部構成は任意であるが、台所モジュールやバスモジュールが設備される例が多い。
このような構造の移動式家屋Aは、トラック等で運搬され、クレーン等で吊上げて設置・撤去作業が行われる。本考案の吊下げ具Fは、このような吊上げ作業に用いられる吊具である。
吊下げ具Fは、吊枠10と上ロープ21と4本の下ロープ31と4個の引掛け金具41とからなる。
吊枠10は、使用時に移動式家屋Aの上方に位置させて用いる部材であり、平面視で四角形の形状をしている。
4本の上ロープ21は吊枠10の4カ所の角に連結されて上方に延ばされ、吊上げ機械(クレーン等)のフックCfに引掛けられて、使用される。図示された上ロープ21は4本であるが、これに限ることはない。長い2本の上ロープを使い、各上ロープの中間部をフックCfに引掛けて、それぞれのロープの両端を吊枠10の四隅に連結してもよい。
4本の下ロープ31は吊枠10の4カ所の角に連結されて下方に延ばされて使用される。各下ロープ31の下端にはそれぞれ1個の引掛け金具41が連結されている。
図3および図4に基づき吊枠10の詳細を説明する。
吊枠10は2本の長尺の長尺棒11,11と2本の短尺の短尺棒12,12とからなる。短尺棒12,12は、その両端に連結棒13,13が取付けられている。連結棒13,13は短尺棒12,12に対し直角に延びた部材であり、長尺棒11,11の端部に差し込まれる部材である。
長尺棒11と連結棒13は、角筒状でも丸筒状でもよいが、長尺棒11の端部の内径は、連結棒13の外径よりやや大きくしておく必要がある。
図4は長尺棒11,11と短尺棒12,12が分離した組立て前の状態を示しており、図3は連結棒13,13を長尺棒11,11の両端に差し込んで、長尺棒11と短尺棒12,12を組み付けた状態を示している。
図3に示すように、短尺棒12の両端には上方の吊り環14と下方の吊り環15とがそれぞれ取り付けられている。したがって、組み上った吊枠10の四隅には、それぞれ吊り環14,15が取り付けられていることになる。
図5に基づき引掛け金具40を説明する。図5の(A)図は、図2の(B)図のV部分拡大図である。
引掛け金具40は、側面視で略L字状をなす部材であり、縦部41とこの縦部41の下端から横に延びる横部42と横部42に連結されて上方に少し延びる引掛け部43とからなる。
この引掛け金具40の底部フレーム1に対する引掛けを確実にするため、受け金具50が用いられる。
受け金具50は、図5(B)に示すように、平面視でコ型となる鋼製部材であり、正面板51とその両側縁に連結された2枚の側面板52,52とからなる。正面板51には切欠き53が形成されている。
切欠き53は縦長孔状であり、正面板51の上端部分54は切り欠かずに残される。切欠き53は正面板51の下端から形成してもよいが(図示の例)、正面板51の下端部を残して形成してもよい。
上記の形状の受け金具50を底部フレーム1の横凹所に嵌め溶接等で固定しておく。
そのうえで、受け金具50の切欠き53から引掛け金具40の引掛け部43を挿入して、少し持ち上げると、引掛け金具40は簡単には底部フレーム1から外れなくなる。
つぎに、図6に基づき、本実施形態の吊下げ具Fの使用方法を説明する。
Iに示す、移動式家屋Aは組立て完了した状態である。なお、屋根は、別途搬送して現地で組立ててもよく、予め組み付けておいてもよい。
IIは、移動式家屋Aを搬送用のトラックTに積み込んだ状態である。この積み込み時にも次に示す吊下げ具Fを使用することができる。このトラックTで搬送先の現場まで移動する。
IIIは、搬送先の現場で移動式家屋Aを設置する状況を示している。現場では既にコンクリート基礎Bが施工されており、この上に移動式家屋Aを置くのにクレーンCが利用される。クレーンCのフックCfに吊り下げた吊下げ具Fで移動式家屋Aを吊り上げると、安定した荷役ができる。
IVは、設置完了後の状態を示しており、その後で別送の屋根を取り付けてもよい。
上記の荷役作業において、図1および図2に示すように、吊枠10の長尺棒11を移動式家屋Aの長辺に沿わせ、短尺棒12を移動式家屋Aの天井上面を横切るように配置する。そして、下ロープ31を垂直に垂れ下がらせる。この状態で下ロープ31の下端の引掛け金具40は受け金具50に引掛けられる。
図示の状態では、吊下げ具Fが移動式家屋Aの長手方向の中間位置にあるが、移動式家屋Aの重心が図1の右側あるいは左側に寄っているときは、受け金具50の固定位置を重心位置に合わせて、右側や左側に寄せて固定しておくとよい。
図2の(B)図に示すように、吊枠10の短尺棒12は移動式家屋Aの幅寸法より大きくなっている。このため、下ロープ31が移動式家屋Aの側面と接触することはないので、移動式家屋Aを損傷することはない。
4本または2本の上ロープ21には、ロープ長さを調整できる長さ調整具を取付けることが好ましい。
長さ調整具には公知の張線器やターンバックルなどを例示できる。
張線器とは、ラチエット機構に付いたハンドルを回転させると巻胴が回転してワイヤーに引張り力を加えられる道具であり、電気工事や鉄道保守の現場で多用されている。ターンバックルは胴と2本のネジ棒とからなり、ネジ棒は一方が右ネジで他方が左ネジである。胴を回転させると2本のネジ棒が互いに引き込まれることで、連結したワイヤーに張力をかけることができる。
このような長さ調整具を取付けておくと、吊枠10の重心を吊りフックCfに合わす作業が容易に行える。
本実施形態の吊下げ具Fによれば、つぎの効果を奏する。
(1)四角形の吊枠10を用いて4本の下ロープ31で移動式家屋Aの底部フレーム1に引掛けて吊り上げるので、躯体2が木質の家屋であっても躯体2を変形させずに移動式家屋Aを吊り上げることができる。
(2)4本の下ロープ31は四角形の吊枠10を介して4本の上ロープ21につなげられているので、4点支持の状態を変えることなく移動式家屋Aを吊り上げるので、安定した吊り上げが可能である。
(3)長さ調整具で上ロープ21の長さを調整できるので、移動式家屋Aの重心真上に吊りフックを位置させたり、ロープの緩みを無くすることができ、移動式家屋Aの安定した吊り上げが可能となる。
(4)吊枠10の幅が移動式家屋Aの幅寸法よりも広いので、下ロープ31が移動式家屋Aの側面に接触することがなく、移動式家屋Aを損傷させない。
(5)4個の引掛け金具40は、移動式家屋Aの底部フレーム1に固着された受け金具50に引掛けられるので、吊り上げ中に外れる事故は生じず、安全な吊り上げが可能となる。
A 移動式家屋
F 吊下げ具
1 底部フレーム
2 躯体
10 吊枠
21 上ロープ
31 下ロープ
40 引掛け金具
50 受け金具

Claims (4)

  1. 形状が直方体であり、底部フレームの上部に躯体を載せた移動式家屋の吊下げ具であって、
    前記家屋の上方に配置される四角形の吊枠と、
    該吊枠の四カ所の角部に連結されて、吊上げ機械の吊りフックに係合される上ロープと、
    前記吊枠の四カ所の角部から下方に垂下される4本の下ロープと、
    前記4本の下ロープのそれぞれの下端に取付けられており、前記底部フレームに引掛けられる4個の引掛け金具と
    からなることを特徴とする移動式家屋の吊下げ具。
  2. 前記上ロープは、ロープ長さを調整する長さ調整具を備えている
    ことを特徴とする請求項1記載の移動式家屋の吊下げ具。
  3. 前記吊枠は、その幅が吊上げ対象である移動式家屋の幅寸法よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1記載の移動式家屋の吊下げ具。
  4. 前記4個の引掛け金具は、前記底部フレームに固着された4個の受け金具に引掛けられる金具である
    ことを特徴とする請求項1記載の移動式家屋の吊下げ具。
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