JP2012164401A - 対物レンズ、光ピックアップ装置及びその調整方法 - Google Patents

対物レンズ、光ピックアップ装置及びその調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の情報記録層を有する少なくとも2種類の光ディスクの互換を共通の対物レンズで行うことを可能とする光ピックアップ装置用の対物レンズを提供する。
【解決手段】残留コマ収差の排除のため、組み付け時に、その光軸を光ピックアップ装置の基準軸Xに対して傾けてスキュー調整を行う。このとき、半導体レーザLD1から波長λ1の光束を出射させ、BDの情報記録面に集光させながらコマ収差を最小にするようにスキュー調整を行う。(1)式を満たすので、DVD使用時の残留コマ収差を有効に抑制することができる。0.6≦α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦1.1(1)但し、α:(φ2/φ1)3・(λ1/λ2)。LTCM(λ1):単位角だけチルトした前記対物レンズに第1光束を入射した際に発生する3次コマ収差、LTCM(λ2):単位角だけチルトした前記対物レンズに第2光束を入射した際に発生する3次コマ収差
【選択図】図1

Description

本発明は、異なる種類の光ディスクに対して互換可能に情報の記録及び/又は再生(記録/再生)を行える光ピックアップ装置用の対物レンズ及び光ピックアップ装置及びその調整方法に関する。
近年、光ピックアップ装置において、光ディスクに記録された情報の再生や、光ディスクへの情報の記録のための光源として使用されるレーザ光源の短波長化が進み、例えば、青紫色半導体レーザ等、波長390〜420nmのレーザ光源が実用化されている。これら青紫色レーザ光源を使用すると、DVD(デジタルバーサタイルディスク)と同じ開口数(NA)の対物レンズを使用する場合で、直径12cmの光ディスクに対して、15〜20GBの情報の記録が可能となり、対物光学素子のNAを0.85にまで高めた場合には、直径12cmの光ディスクに対して、23〜25GBの情報の記録が可能となる。
上述のようなNA0.85の対物レンズを使用する光ディスクの例として、BD(ブルーレイディスク)が挙げられる。光ディスクの傾きに起因して発生するコマ収差が増大するため、BDでは、DVD における場合よりも保護基板を薄く設計し(DVDの0.6mmに対して、0.1mm)、コマ収差量を低減している。
ところで、BDに対して適切に情報の記録/再生ができると言うだけでは、光ディスクプレーヤ/レコーダ(光情報記録再生装置)の製品としての価値は十分なものとはいえない。現在において、多種多様な情報を記録したDVDやCD(コンパクトディスク)が販売されている現実をふまえると、BDに対して情報の記録/再生ができるだけでは足らず、例えばユーザが所有しているDVDやCDに対しても同様に適切に情報の記録/再生ができるようにすることが、BD用の光ディスクプレーヤ/レコーダとしての商品価値を高めることに通じるのである。このような背景から、BD用の光ディスクプレーヤ/レコーダに搭載される光ピックアップ装置は、BDとDVDやCDに対しても互換性を維持しながら適切に情報を記録/再生できる性能を有することが望まれる。
特許文献1には、BD、DVD、CDの3種類の光ディスクに対し情報の記録/再生を行うようにした光ピックアップ装置であって、2つの対物レンズを用いて波長を異にする3種類の光束を集光するようにしたものが開示されている。
国際公開第2006/064735号明細書
しかるに、特許文献1では、BD専用対物レンズと、DVD/CD共用対物レンズとの間の相対コマを低減するために、液晶などの収差補正素子を対物レンズと光源との間に配置しているが、このような収差補正素子を設けると、光ピックアップ装置の大型化やコストの増大を招くという問題がある。また、複数種類の光ディスクに対して一つの対物レンズで対応させる互換対物レンズにおいて、ある光ディスクに対する対物レンズのコマと、別の種類の光ディスクに対する同じ対物レンズのコマという、同一対物レンズにおける相対コマの問題については、特許文献1では一切触れられていない。
本発明は、上述の課題を解決することを目的としたものであり、低コストでありながら、複数の情報記録層を有する少なくとも2種類の光ディスクの互換を共通の対物レンズで行うことを可能とする光ピックアップ装置用の対物レンズ並びに光ピックアップ装置及びその調整方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、第1波長λ1の第1光束を射出する第1光源と、第2波長λ2(λ2>λ1)の第2光束を射出する第2光源と、対物レンズとを有し、前記第1光束を用いて厚さがt1の保護基板を有する第1光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第2光束を用いて厚さがt2(t1<t2)の保護基板を有する第2光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記対物レンズは単玉であり、以下の式を満たすことを特徴とする。
0.6≦α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦1.1 (1)
但し、
α:(φ2/φ1)3・(λ1/λ2)
φ1:前記第1光ディスク使用時の有効径
φ2:前記第2光ディスク使用時の有効径
LTCM(λ1):単位角だけチルトした前記対物レンズに前記第1光束を入射した際に発生する3次コマ収差
LTCM(λ2):単位角だけチルトした前記対物レンズに前記第2光束を入射した際に発生する3次コマ収差
一般的に、製造誤差等に起因して対物レンズは固有のコマ収差を持つが、単一の波長の光束を入射する対物レンズでは、対物レンズの光軸を光ピックアップ装置の基準軸に対して傾ける、いわゆるスキュー調整によって解消することができる。ところが、異なる波長の光束を入射する対物レンズにおいては、一方の波長でのコマ収差をキャンセルすると、他方の波長でのコマ収差が残存する恐れがある。(このことを、互換対物レンズにおける相対コマの問題という。)2種類のコマ収差の方向を合わせ込むことで、かかる不具合は緩和されるが、そうすると対物レンズの製造が困難になる。
本発明者は、鋭意研究の結果、前記対物レンズに前記第1の波長λ1の光束を入射した際に発生するコマ収差と、前記第2の波長λ2の光束を入射した際に発生するコマ収差とに、所定の相対関係があることを見出した。又、当該知見に基づき、ある条件を満たすように互換対物レンズを設計すると、例えば波長λ1の光束に対してスキュー調整を行うことにより、波長λ2の光束に対してのコマ収差残存の問題の発生も抑えることができることを見出した。つまり、(1)式を満たすように対物レンズを設計すれば、2種類のコマ収差の方向に関わらず、波長λ1の光束に対してスキュー調整を行えば、少なくとも2種類のコマ収差を小さく抑え、互換対物レンズにおける相対コマの問題を低減することが可能になることを見出したものである。尚、スキュー調整とは、対物レンズ自体が有しているコマ収差をキャンセルできるような角度に対物レンズを傾けて光ピックアップ装置に取り付けるように調整することをいう。
請求項2に記載の対物レンズは、請求項1に記載の発明において、以下の式を満たすことを特徴とする。
0.8≦α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦1.1 (1’)
条件式(1)を満たすことにより第1光束と第2光束の3次コマ収差の大きさと方向の許容される範囲を大きくすることができ、相対コマに関する互換対物レンズの製造条件を大幅に緩めることができる。さらに、条件式(1’)を満たすことにより、第1光束と第2光束の3次コマ収差の大きさと方向とが関係なくなり、相対コマの問題を気にする必要が殆どなくなるため、互換対物レンズの製造において相対コマを気にする必要がなくなる。
請求項3に記載の対物レンズは、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1光源の第1波長λ1は、350nm以上、440nm以下、前記第2光源の第2波長λ2は570nm以上、680nm以下であることを特徴とする。これにより、BDとDVDに対して情報の記録/再生を行える。
請求項4に記載の対物レンズは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記光ピックアップ装置は、第3波長λ3(λ3>λ2)の第3光束を射出する第3光源を有し、前記第3光束を用いて厚さがt3(t3>t2)の保護基板を有する第3光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行うことを特徴とする。これにより、BDとDVDと、更にCDに対して情報の記録/再生を行える。
請求項5に記載の対物レンズは、請求項4に記載の発明において、前記第3光源の第3波長λ3は、750nm以上、880nm以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の対物レンズは、請求項3〜5のいずれかに記載の発明において、前記αの値が、0.30以上、0.37以下であることを特徴とする。αの値が本範囲を満たすことにより、BDとDVDの互換を行える対物レンズにおいて、相対コマの問題を低減できるため好ましい。好ましくはαは0.32以上、0.37以下である。
請求項7に記載の対物レンズは、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1光源の第1波長λ1は、570nm以上、680nm以下、前記第2光源の第2波長λ2は750nm以上、880nm以下であることを特徴とする。これにより、DVDとCDの互換を行える対物レンズにおいて、相対コマの問題を低減でき、DVDとCDに対して情報の記録/再生を行える。
請求項8に記載の光ピックアップ装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の対物レンズを有することを特徴とする。
請求項9に記載の光ピックアップ装置は、請求項8に記載の発明において、前記第1波長λ1の光束を前記対物レンズに入射させてスキュー調整を行った上で、前記対物レンズを取り付けたことを特徴とする。
請求項10に記載の光ピックアップ装置の調整方法は、請求項8に記載の光ピックアップ装置の調整方法であって、前記対物レンズの光軸を前記光ピックアップ装置の基準軸に対して傾ける際に、前記第1波長λ1の光束を前記対物レンズに入射させてスキュー調整を行うことを特徴とする。一般的に、前記対物レンズに前記第1の波長λ1の光束を入射した際に発生するコマ収差は前記第2波長λ2の光束を入射した際に発生するコマ収差よりも大きく、また、前記第1波長λ1の光束に対するレンズチルト感度は前記第2波長λ2の光束に対するレンズチルト感度よりも高いため、前記第1波長λ1の光束を前記対物レンズに入射させて調整を行うことによって、より精度良くスキュー調整することが可能となる。
本発明に係る光ピックアップ装置は、少なくとも第1光源、第2光源を有し、好ましくは第3光源を有する。さらに、本発明の光ピックアップ装置は、第1光束を第1光ディスクの情報記録面上に集光させ、第2光束を第2光ディスクの情報記録面上に集光させるための集光光学系を少なくとも有し、かかる集光光学系は、第3光ディスクを用いる場合、第3光束を第3光ディスクの情報記録面上に集光させると好ましい。また、本発明の光ピックアップ装置は、第1光ディスク又は第2光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光する受光素子を少なくとも有する。かかる受光素子は、第3光ディスクを用いる場合、第3光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光すると好ましい。
第1光ディスクは、厚さがt1の保護基板と情報記録面とを有する。第2光ディスクは厚さがt2(t1<t2)の保護基板と情報記録面とを有する。第3光ディスクを用いる場合は、厚さがt3(t2<t3)の保護基板と情報記録面とを有するものであると好ましい。第1光ディスクがBDであり、第2光ディスクがDVDであり、第3光ディスクを用いる場合は、第3光ディスクがCDであることが好ましいが、これに限られるものではない。例えば第1光ディスクがDVDであり、第2光ディスクがCDであっても良い。なお、第1光ディスク、第2光ディスク又は第3光ディスクは、複数の情報記録面を有する複数層の光ディスクでもよい。
本明細書において、BDとは、波長390〜415nm程度の光束、NA0.8〜0.9程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.05〜0.125mm程度であるBD系列光ディスクの総称であり、単一の情報記録層のみ有するBDや、2層又はそれ以上の情報記録層を有するBD等を含むものである。更に、本明細書においては、DVDとは、NA0.60〜0.67程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.6mm程度であるDVD系列光ディスクの総称であり、DVD−ROM、DVD−Video、DVD− Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等を含む。また、本明細書においては、CDとは、NA0.45〜0.51程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが1.2mm 程度であるCD系列光ディスクの総称であり、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等を含む。尚、記録密度については、BDの記録密度が最も高く、次いでDVD、CDの順に低くなる。
なお、保護基板の厚さt1、t2、t3に関しては、以下の条件式(2)、(3)、(4)を満たすことが好ましいが、これに限られない。尚、ここで言う、保護基板の厚さとは、光ディスク表面に設けられた保護基板の厚さのことである。即ち、光ディスク表面から、表面に最も近い情報記録面までの保護基板の厚さのことをいう。
0.050mm ≦ t1 ≦ 0.125mm (2)
0.5mm ≦ t2 ≦ 0.7mm (3)
1.0mm ≦ t3 ≦ 1.3mm (4)
本明細書において、第1光源、第2光源は、好ましくはレーザ光源である。第3光源を用いる場合もレーザ光源であると好ましい。レーザ光源としては、好ましくは半導体レーザ、シリコンレーザ等を用いることが出来る。第1光源から出射される第1光束の第1波長λ1、第2光源から出射される第2光束の第2波長λ2(λ2>λ1)、第3光源から出射される第3光束の第3波長λ3(λ3>λ2)は以下の条件式(5)、(6) を満たすことが好ましい。
1.5・λ1 < λ2 < 1.7・λ1 (5)
1.8・λ1 < λ3 < 2.0・λ1 (6)
また、例えば第1光ディスク、第2光ディスク、第3光ディスクとして、それぞれ、BD、DVD及びCDが用いられる場合、第1光源の第1波長λ1は好ましくは、350nm 以上、440nm以下、より好ましくは、390nm以上、415nm以下であって、第2光源の第2波長λ2は好ましくは570nm以上、680nm以下、より好ましくは、630nm以上、670nm以下であって、第3光源の第3波長λ3は好ましくは、750nm以上、880nm以下、より好ましくは、760nm以上、820nm以下である。尚、第1光ディスクとしてDVD、第2光ディスクとしてCDを用いる場合は、第1光源の第1波長λ1が、570nm以上、680nm以下であり、第2光源の第2波長λ2が、750nm以上、880nm以下であることが好ましい。
また、第1光源、第2光源をユニット化してもよい。又、更に第3光源を用いる場合、少なくとも2つの光源をユニット化してもよい。ユニット化とは、例えば第1光源と第2光源とが1パッケージに固定収納されているようなものをいう。また、光源に加えて、後述する受光素子を1パッケージ化してもよい。
受光素子としては、フォトダイオードなどの光検出器が好ましく用いられる。光ディスクの情報記録面上で反射した光が受光素子へ入射し、その出力信号を用いて、各光ディスクに記録された情報の読み取り信号が得られる。さらに、受光素子上のスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行い、この検出に基づいて、合焦、トラッキングのために対物レンズを移動させることが出来る。受光素子は、複数の光検出器からなっていてもよい。受光素子は、メインの光検出器とサブの光検出器を有していてもよい。例えば、情報の記録再生に用いられるメイン光を受光する光検出器の両脇に2つのサブの光検出器を設け、当該2つのサブの光検出器によってトラッキング調整用のサブ光を受光するような受光素子としてもよい。また、受光素子は各光源に対応した複数の受光素子を有していてもよい。
集光光学系は、対物レンズを有する。集光光学系は、対物レンズの他にコリメータ等のカップリングレンズを有していることが好ましい。カップリングレンズとは、対物レンズと光源の間に配置され、光束の発散角を変える単レンズ又はレンズ群のことをいう。コリメータは、カップリングレンズの一種で、コリメータに入射した光を平行光にして出射するレンズである。本明細書において、対物レンズとは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置され、光源から射出された光束を光ディスクの情報記録面上に集光する機能を有する光学系を指す。対物レンズは、単玉の凸レンズからなる対物レンズである。また、対物レンズは、ガラスレンズであってもプラスチックレンズであっても、又は、ガラスレンズの上に光硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂などで光路差付与構造を設けたハイブリッドレンズであってもよい。また、対物レンズは、屈折面が非球面であることが好ましい。また、対物レンズは、光路差付与構造が設けられるベース面が非球面であることが好ましい。
また、対物レンズをガラスレンズとする場合は、ガラス転移点Tgが500℃以下、更に好ましくは400℃以下であるガラス材料を使用することが好ましい。ガラス転移点Tgが500℃以下であるガラス材料を使用することにより、比較的低温での成形が可能となるので、金型の寿命を延ばすことが出来る。このようなガラス転移点Tgが低いガラス材料としては、例えば(株)住田光学ガラス製のK−PG325や、K−PG375(共に製品名)がある。
ところで、ガラスレンズは一般的に樹脂レンズよりも比重が大きいため、対物レンズをガラスレンズとすると、重量が大きくなり対物レンズを駆動するアクチュエータに負担がかかる。そのため、対物レンズをガラスレンズとする場合には、比重が小さいガラス材料を使用するのが好ましい。具体的には、比重が4.0以下であるのが好ましく、更に好ましくは比重が3.0以下であるものである。
加えて、ガラスレンズを成形して製作する際に重要となる物性値の一つが線膨脹係数aである。仮にTgが400℃以下の材料を選んだとしても、プラスチック材料と比較して室温との温度差は依然大きい。線膨脹係数aが大きい硝材を用いてレンズ成形を行った場合、降温時に割れが発生しやすくなる。硝材の線膨脹係数aは、200(10E−7/K)以下にあることが好ましく、さらに好ましくは120以下であることである。
また、対物レンズをプラスチックレンズとする場合は、環状オレフィン系の樹脂材料等の脂環式炭化水素系重合体材料を使用するのが好ましい。また、当該樹脂材料は、波長405nmに対する温度25℃ での屈折率が1.54乃至1.60の範囲内であって、−5℃から70℃の温度範囲内での温度変化に伴う波長405nmに対する屈折率変化率dN/dT(℃ -1) が−20×10-5乃至−5×10-5(より好ましくは、−10×10-5乃至−8×10-5)の範囲内である樹脂材料を使用するのがより好ましい。また、対物レンズをプラスチックレンズとする場合、カップリングレンズもプラスチックレンズとすることが好ましい。
これらの樹脂としては、シクロオレフィン樹脂が好適に用いられ、具体的には、日本ゼオン社製のZEONEXや、三井化学社製のAPEL、TOPAS ADVANCED POLYMERS社製のTOPAS、JSR社製ARTONなどが好ましい例として挙げられる。
また、対物レンズを構成する材料のアッベ数は、50以上であることが好ましい。
対物レンズについて、以下に記載する。
対物レンズは、以下の条件式(1)を満たす。
0.6≦α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦1.1 (1)
但し、
α:(φ2/φ1)3・(λ1/λ2)
Φ1:第1光ディスク使用時の有効径
Φ2:第2光ディスク使用時の有効径
LTCM(λ1):単位角だけチルトした前記対物レンズに第1光束を入射した際に発生する3次コマ収差
LTCM(λ2):単位角だけチルトした前記対物レンズに第2光束を入射した際に発生する3次コマ収差
より好ましくは以下の式を満たすことである。
0.8≦α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦1.1 (1‘)
尚、BD,DVD,CD互換用の対物レンズである場合、以下の条件式を満たすことが特に好ましい。
2.8≦LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦3.2 (1−2)
φ1は、以下の式を満たすことが好ましい。
1.9≦φ1≦4.0 (7)
より小型のスリムタイプの光ピックアップ装置に用いる場合は、以下の式を満たすことが好ましい。
1.9≦Φ1≦3.0 (7)´
CD等の第3光ディスクを用いる場合、ワーキングディスタンスを確実に確保するという観点では、以下の式を満たすことが好ましい。
2.0≦φ1≦3.0 (7)´´
更に対物レンズの少なくとも一つの光学面が、中央領域と、中央領域の周りの周辺領域とを少なくとも有する。第3光ディスクを用いる場合、中央領域と周辺領域との間に中間領域を設けても良い。中央領域は、対物レンズの光軸を含む領域であることが好ましいが、光軸を含む微小な領域を未使用領域や特殊な用途の領域とし、その周りを中央領域としてもよい。中央領域、(中間領域を設ける場合は中間領域も)及び周辺領域は同一の光学面上に設けられていることが好ましい。中央領域、(中間領域)、周辺領域はそれぞれ隣接していることが好ましいが、間に僅かに隙間があっても良い。尚、対物レンズの光源側の光学面(好ましくは曲率半径が小さいほうの光学面)が、中央領域(と中間領域)と周辺領域とを有していることが好ましい。一方、対物レンズの光ディスク側の光学面(好ましくは曲率半径が大きいほうの光学面)は、単一の非球面形状であってもよいし、こちらも複数の領域(中央領域、中間領域)、周辺領域)を有し、それぞれ異なった非球面形状を有していてもよい。
対物レンズの中央領域は、第1光ディスク及び第2光ディスクの記録/再生に用いられる第1、第2光ディスク共用領域と言える。即ち、対物レンズは、中央領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光し、中央領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光する。第3光ディスクを用いる場合は、中央領域を通過する第3光束を、第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光する。
また、中央領域に第1光路差付与構造を設ける場合、第1光路差付与構造を通過する第1光束及び第2光束に対して、第1光ディスクの保護基板の厚さt1と第2光ディスクの保護基板の厚さt2の違いにより発生する球面収差/第1光束と第2光束の波長の違いにより発生する球面収差を補正することが好ましい。更に、第3光ディスクを用いる場合は、第1光路差付与構造は、第1光路差付与構造を通過した第1光束及び第3光束に対して、第1光ディスクの保護基板の厚さt1と第3光ディスクの保護基板の厚さt3との違いにより発生する球面収差/第1光束と第3光束の波長の違いにより発生する球面収差を補正することが好ましい。
対物レンズの周辺領域は、第1光ディスクの記録/再生に用いられ、第2光ディスク(及び第3光ディスク)の記録/再生に用いられない第1光ディスク専用領域と言える。即ち、対物レンズは、周辺領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光する。その一方で、周辺領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光しない。又、第3光ディスクを用いる場合も、周辺領域を通過する第3光束を、第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光しない。対物レンズの周辺領域を通過する第2光束(及び第3光束)は、第2光ディスク(及び第3光ディスク)の情報記録面上でフレアを形成することが好ましい。つまり、対物レンズの周辺領域を通過した第2光束(及び第3光束)は、第2光ディスク(及び第3光ディスク)の情報記録面上でスポット周辺部を形成することが好ましい。
第3光ディスクを用いる場合、対物レンズの中間領域は、第1光ディスク、第2光ディスクの記録/再生に用いられ、第3光ディスクの記録/再生に用いられない第1、第2光ディスク共用領域と言える。かかる場合、対物レンズは、中間領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光し、中間領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光する。その一方で、中間領域を通過する第3光束を、第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光しない。対物レンズの中間領域を通過する第3光束は、第3光ディスクの情報記録面上でフレアを形成することが好ましい。
なお、本明細書でいう光路差付与構造とは、入射光束に対して光路差を付加する構造の総称である。光路差付与構造には、位相差を付与する位相差付与構造も含まれる。また、位相差付与構造には回折構造が含まれる。本発明の光路差付与構造は回折構造であることが好ましい。光路差付与構造は、段差を有し、好ましくは段差を複数有する。この段差により入射光束に光路差及び/又は位相差が付加される。光路差付与構造により付加される光路差は、入射光束の波長の整数倍であっても良いし、入射光束の波長の非整数倍であっても良い。段差は、光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置されていてもよいし、光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置されていてもよい。また、光路差付与構造を設けた対物レンズが単玉非球面レンズの場合、光軸からの高さによって光束の対物レンズへの入射角が異なるため、光路差付与構造の段差量は各輪帯毎に若干異なることとなる。例えば、対物レンズが単玉非球面の凸レンズである場合、同じ光路差を付与させる光路差付与構造であっても、一般的に光軸から離れる程、段差量が大きくなる傾向となる。
また、本明細書でいう回折構造とは、段差を有し、回折によって光束を収束あるいは発散させる作用を持たせる構造の総称である。例えば、単位形状が光軸を中心として複数並ぶことによって構成されており、それぞれの単位形状に光束が入射し、透過した光の波面が、隣り合う輪帯毎にズレを起こし、その結果、新たな波面を形成することによって光を収束あるいは発散させるような構造を含むものである。回折構造は、好ましくは段差を複数有し、段差は光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置されていてもよいし、光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置されていてもよい。また、回折構造を設けた対物レンズが単玉非球面レンズの場合、光軸からの高さによって光束の対物レンズへの入射角が異なるため、回折構造の段差量は各輪帯毎に若干異なることとなる。例えば、対物レンズが単玉非球面の凸レンズである場合、同じ回折次数の回折光を発生させる回折構造であっても、一般的に光軸から離れる程、段差量が大きくなる傾向となる。
ところで、光路差付与構造は、光軸を中心とする同心円状の複数の輪帯を有することが好ましい。また、光路差付与構造は、一般に、様々な断面形状(光軸を含む面での断面形状) をとり得、光軸を含む断面形状がブレーズ型構造と階段型構造とに大別される。
ブレーズ型構造とは、光路差付与構造を有する光学素子の光軸を含む断面形状が、鋸歯状の形状ということである。また、階段型構造とは、光路差付与構造を有する光学素子の光軸を含む断面形状が、小階段状のもの(階段単位と称する)を複数有するということである。
尚、光路差付与構造は、ある単位形状が周期的に繰り返されている構造であることが好ましい。 ここでいう「単位形状が周期的に繰り返されている」とは、同一の形状が同一の周期で繰り返されている形状は当然含む。さらに、周期の1単位となる単位形状が、規則性を持って、周期が徐々に長くなったり、徐々に短くなったりする形状も、「単位形状が周期的に繰り返されている」ものに含まれているとする。
中央領域には第1光路差付与構造が設けられることが好ましい。第1光路差付与構造は、少なくとも第1基礎構造と第2基礎構造を重ね合わせた構造であることが好ましい。また、第1光路差付与構造は、第1基礎構造と第2基礎構造のみを重ね合わせた構造であることが好ましい。
第1基礎構造は、ブレーズ型構造である。また、第1基礎構造は、第1基礎構造を通過した第1光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。これを(1/1/1)構造と呼ぶ。特に、低次である1次回折光が発生するようにすると、第1基礎構造の段差量が大きくなり過ぎないため、製造が容易となり、製造誤差に起因する光量ロスを抑えることが出来ると共に、波長変動時の回折効率変動も低減することができるため好ましい。
また、少なくとも中央領域の光軸付近に設けられる第1基礎構造は、その段差が光軸とは逆の方向を向いていることが好ましい。また、「少なくとも中央領域の光軸付近」に設けられる第1基礎構造とは、(1/1/1)構造の段差のうち、少なくとも最も光軸に近い段差を言う。好ましくは、中央領域に設けられる第1基礎構造の全ての段差が光軸とは逆の方向を向いていることである。
このように、第1光束における回折次数が1次となる第1基礎構造の段差の向きを光軸と逆方向に向けることにより、BD/DVD/CDの3種類の光ディスクの互換で用いるような軸上厚が厚い厚肉の対物レンズにおいても、CD使用時にワーキングディスタンスを十分確保することが可能となるのである。
第2基礎構造も、ブレーズ型構造である。第2基礎構造は、第2基礎構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。これを(2/1/1)構造と呼ぶ。特に、低次である2次回折光又は1次回折光が発生するようにすると、第2基礎構造の段差量が大きくなり過ぎないため、製造が容易となり、製造誤差に起因する光量ロスを抑えることが出来ると共に、波長変動時の回折効率変動も低減することができるため好ましい。
また、少なくとも中央領域の光軸付近に設けられる第2基礎構造は、その段差が光軸の方向を向いていることが好ましい。また、「少なくとも中央領域の光軸付近」に設けられる第2基礎構造とは、(2/1/1)構造の段差のうち、少なくとも最も光軸に近い段差を言う。好ましくは、中央領域に設けられる第2基礎構造は、全ての段差が光軸の方向を向いていることである。
(1/1/1)構造である第1基礎構造と、(2/1/1)構造である第2基礎構造とを重ね合わせた第1光路差付与構造にすると、段差の高さを非常に低くできる。従って、より製造誤差を低減させることが可能となり、光量ロスを更に抑えることが可能となると共に、波長変動時の回折効率の変動をより抑えることが可能となる。
さらに、少なくとも中央領域の光軸付近においては段差が光軸とは逆の方向を向いている第1基礎構造と、少なくとも中央領域の光軸付近においては段差が光軸の方向を向いている第2基礎構造を重ね合わせることにより、第1基礎構造と第2基礎構造の段差の向きが同じになるように重ね合わせた場合に比べて、重ね合わせた後の段差の高さが高くなることをより一層抑制でき、それに伴い、製造誤差などに因る光量ロスをより抑えることが可能となると共に、波長変動時の回折効率の変動もより抑えることが可能となる。
段差が光軸とは逆を向いている第1基礎構造と段差が光軸の方を向いている第2基礎構造とを重ね合わせた後の第1光路差付与構造の形状と段差量という観点から、(1/1/1)構造である第1基礎構造と、(2/1/1)構造である第2基礎構造とを重ね合わせた第1光路差付与構造を以下のように表現することができる。少なくとも中央領域の光軸付近に設けられている第1光路差付与構造は、光軸とは逆の方向を向いている段差と、光軸の方向を向いている段差とを共に有し、光軸とは逆の方向を向いている段差の段差量d11と、光軸の方向を向いている段差の段差量d12とが、以下の条件式(8)、(9)を満たすことが好ましい。より好ましくは、中央領域の全ての領域において、以下の条件式(8)、(9)を満たすことである。尚、光路差付与構造を設けた対物レンズが単玉非球面の凸レンズの場合、光軸からの高さによって光束の対物レンズへの入射角が異なるため、同じ光路差を付与させる光路差付与構造であっても、一般的に光軸から離れる程、段差量が大きくなる傾向となる。下記条件式において上限に1.5を乗じているのは、当該段差量の増加を加味した故である。但し、nは、第1の波長λ1における対物レンズの屈折率を表す。
0.6・(λ1/(n−1))<d11<1.5・(λ1/(n−1)) (8)
0.6・(λ1/(n−1))<d12<1.5・(2λ1/(n−1)) (9)
尚、「少なくとも中央領域の光軸付近」に設けられる第1光路差付与構造とは、少なくとも光軸に最も近い光軸とは逆の方向を向いている段差と、光軸に最も近い光軸の方向を向いている段差とを共に有する光路差付与構造をいう。好ましくは、少なくとも、光軸から中央領域と中間領域の境界までの光軸直交方向の半分の位置と、光軸との間に存在する段差を有する光路差付与構造である。
また、例えば、λ1が390〜415nm(0.390〜0.415μm)であって、nが1.54〜1.60である場合、上記条件式は以下のように表すことが可能となる。
0.39μm<d11<1.15μm (10)
0.39μm<d12<2.31μm (11)
更に、第1基礎構造と第2基礎構造の重ね合わせ方としては、第2基礎構造の全ての段差の位置と、第1基礎構造の段差の位置を合わせるように基礎構造の形状を微調整するか、第1基礎構造の全ての段差の位置と、第2基礎構造の段差の位置を合わせるように基礎構造の形状を微調整することが好ましい。
上述のように第2基礎構造の全ての段差の位置と、第1基礎構造の段差の位置を合わせた場合、第1光路差付与構造のd11、d12は以下の条件式(8)、(9)を満たすことが好ましい。より好ましくは、中央領域の全ての領域において、以下の条件式(8)、(9)を満たすことである。
0.6・(λ1/(n−1))<d11<1.5・(λ1/(n−1)) (8)
0.6・(λ1/(n−1))<d12<1.5・(λ1/(n−1)) (9)
また、例えば、λ1が390〜415nm(0.390〜0.415μm)であって、nが1.54〜1.60である場合、上記条件式は以下のように表すことが可能となる。
0.39μm<d11<1.15μm (10)´
0.39μm<d12<1.15μm (11)´
更に好ましくは、以下の条件式(8)´、(9)´を満たすことが好ましい。より好ましくは、中央領域の全ての領域において、以下の条件式(8)´、(9)´を満たすことである。
0.9・(λ1/(n−1))<d11<1.5・(λ1/(n−1)) (8)´
0.9・(λ1/(n−1))<d12<1.5・(λ1/(n−1)) (9)´
また、例えば、λ1が390〜415nm(0.390〜0.415μm)であって、nが1.54〜1.60である場合、上記条件式は以下のように表すことが可能となる。
0.59μm<d11<1.15μm (10)´´
0.59μm<d12<1.15μm (11)´´
また、(1/1/1)構造である第1基礎構造において、入射する光束の波長がより長くなるよう変化した場合には、球面収差が補正不足方向(アンダー)に変化し、(2/1/1)構造である第2基礎構造において、入射する光束の波長がより長くなるよう変化した場合には、球面収差が補正不足方向(アンダー)に変化すると好ましい。このような構成により、光ピックアップ装置の温度の上昇により対物レンズの屈折率が変化したような場合には、同じく環境温度の上昇により光源の波長が上昇することを利用して、対物レンズの屈折率の変化による球面収差の変化を補正して、適切な集光スポットを各光ディスクの情報記録面に形成できる。これにより、対物レンズがプラスチック製であっても、温度変化時においても安定した性能を維持できる対物レンズを提供することができる。
第2基礎構造に比べて、第1基礎構造の近軸パワーが大きいことが好ましい。つまりは、第1基礎構造の平均ピッチが、第2基礎構造の平均ピッチに比べて小さいことが好ましい。これにより、BD/DVD/CD互換用対物レンズという軸上厚が厚い対物レンズにおいてもCDにおけるワーキングディスタンスを確保できる。更に、色収差を小さくし、光源が高周波重畳を起こしていても、良好な光スポットを形成させ、しかも、光ディスクが複数の情報記録面を有する場合の、迷光の問題を低減させるためには、第1光路差付与構造において、第2基礎構造の光軸に最も近い輪帯1つ分に、第1基礎構造の輪帯が2〜6個(特に好ましくは2〜3個)含まれていることが好ましい。尚、この場合、第2基礎構造の光軸に最も近い「輪帯」と記載しているが、実際は、光軸を含む「円」であることが通常である。従って、ここで言う「光軸に最も近い輪帯」には、円状の形状も含まれる。又、中間領域に最も近い第2基礎構造の1つの輪帯において、第2基礎構造の輪帯1つ分に、第1基礎構造の輪帯が1〜5個(特に好ましくは2〜3個)含まれていることである。
尚、第1基礎構造と第2基礎構造とをそのまま重畳すると、一部が狭い幅で突出したり凹んだりする場合があるが、突出部分又は凹み部分の幅が5μm以下と狭ければ、突出した部分又は凹み部分を光軸に沿って平行にシフトして、突出部分又は凹み部分をなくしても大きな影響がなく、これにより第2基礎構造の1つの輪帯に、第1基礎構造の複数の輪帯が丁度のるようになる。
ここで、Δλ(nm)は第1波長の変化量、ΔWD(μm)は第1波長の変化Δλに起因して発生する対物レンズの色収差とすると、以下の式を満たすことが好ましい。尚、ここでいう「色収差」とは、光束の波長が変化した際に生じるフォーカス位置のずれである。即ち、光束の波長が変化した際に生じる「波面収差が最良となる位置」のずれである。ΔWD/Δfの値が正の値である場合は、波長が長波長に変化した際に、フォーカス位置が、対物レンズから光軸方向に離れていくことを意味する。
0.3(μm/nm)≦ΔWD/Δλ≦0.6(μm/nm) (12)
このような構成とするためには、上述したように、第1光路差付与構造において、第2基礎構造の光軸に最も近い輪帯1つ分に、第1基礎構造の輪帯N1が2〜6個(特に好ましくは2〜3個)含まれるようにすることが好ましい。色収差を上述の範囲にすることによって、BD/DVD/CD互換用対物レンズという軸上厚が厚い対物レンズにおいてもCDにおけるワーキングディスタンスを確保しながら、光ディスクが複数の情報記録面を有する場合の、迷光の問題を低減させることができ、さらにDVD使用時の温度特性及び波長特性を良好にできるため好ましい。又、第2基礎構造における中間領域に最も近い1つの輪帯上に重畳された第1基礎構造の輪帯の数N2は、N1と等しいかN1より小さいことが望ましく、例えば1〜5個重畳されていることがよい。
第1基礎構造は正の回折パワーを持つことが好ましく、それによりBD/DVD/CD用の対物レンズといった軸上厚が厚い対物レンズにおいてもCD使用時のワーキングディスタンスを確保できる。また、第2基礎構造は負の回折パワーを持つことが好ましい。このように第1基礎構造と第2基礎構造が共に回折パワーを持つことにより、複数の情報記録面を有する光ディスクを使用した際に、記録再生対象でない情報記録面で反射した不要光を必要光からより遠ざけることが可能となるため好ましい。
更に、中央領域の総輪帯数をN、対物レンズの第1光束における焦点距離をf(mm)としたとき、以下の式を満たすと好ましい。これによりCDのワーキングディスタンスが短くなりすぎることを抑制すると共に、輪帯のピッチが小さくなりすぎて加工性が低下することを抑制できる。尚、中央領域における光軸に略平行な段差数を、中央領域の総輪帯数とみなしてよい。
160(mm)≦N・f≦210(mm) (13)
第1光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA1とし、第2光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA2(NA1>NA2)とし、第3光ディスクを用いる場合は、第3光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA3(NA2>NA3)とすると好ましい。NA1は、0.75以上、0.9以下であることが好ましく、より好ましくは、0.8以上、0.9以下である。特にNA1は0.85であることが好ましい。NA2は、0.55以上、0.7以下であることが好ましい。特にNA2は0.60又は0.65であることが好ましい。また、NA3は、0.4以上、0.55以下であることが好ましい。特にNA3は0.45又は0.53であることが好ましい。
第3光ディスクを用いる場合、対物レンズの中央領域と中間領域の境界は、第3光束の使用時において、0.9・NA3以上、1.2・NA3以下(より好ましくは、0.95・NA3以上、1.15・NA3以下)の範囲に相当する部分に形成されていることが好ましい。より好ましくは、対物レンズの中央領域と中間領域の境界が、NA3に相当する部分に形成されていることである。また、対物レンズの中間領域と周辺領域の境界は、第2光束の使用時において、0.9・NA2以上、1.2・NA2以下(より好ましくは、0.95・NA2以上、1.15・NA2以下)の範囲に相当する部分に形成されていることが好ましい。より好ましくは、対物レンズの中間領域と周辺領域の境界が、NA2に相当する部分に形成されていることである。
対物レンズを通過した第3光束を第3光ディスクの情報記録面上に集光する場合に、球面収差が少なくとも1箇所の不連続部を有することが好ましい。その場合、不連続部は、第3光束の使用時において、0.9・NA3以上、1.2・NA3以下(より好ましくは、0.95・NA3以上、1.15・NA3以下)の範囲に存在することが好ましい。
また、対物レンズは、以下の条件式(14)を満たすことが好ましい。
0.8≦d/f1≦1.5 (14)
但し、dは、対物レンズの光軸上の厚さ(mm)を表し、f1は、第1光束における対物レンズの焦点距離を表す。
BDのような短波長、高NAの光ディスクに対応させる場合、対物レンズにおいて、非点収差が発生しやすくなり、偏心コマ収差も発生しやすくなるという課題が生じるが、条件式(14)を満たすことにより非点収差や偏心コマ収差の発生を抑制することが可能となる。
また、対物レンズの軸上厚が厚めの厚肉対物レンズになるため、CDの記録/再生時におけるワーキングディスタンスが短くなりがちになるので、条件式(14)の上限の値を超えないことが好ましい。
さらに、第3光ディスクを用いる場合は、十分なワーキングディスタンスを確保するという意味では、対物レンズに形成された輪帯の数RNは、150以上250以下であることが好ましい。
第1光束、第2光束、及び第3光束を用いる場合は第3光束も、平行光として対物レンズに入射してもよいし、発散光若しくは収束光として対物レンズに入射してもよい。トラッキング時においても、コマ収差が発生することを防止するためには、第1光束、第2光束、及び第3光束を用いる場合は第3光束も、全て平行光又は略平行光として対物レンズに入射させることが好ましい。本発明の第1光路差付与構造を用いることによって、第1光束、第2光束、及び第3光束を用いる場合は第3光束も、全てを平行光又は略平行光として対物レンズに入射させることが可能となるため、本発明の効果がより顕著となる。第1光束が平行光又は略平行光になる場合、第1光束が対物レンズに入射する時の対物レンズの結像倍率m1が、下記の式(15)を満たすことが好ましい。
−0.003≦m1≦0.003 (15)
また、第2光束を平行光又は略平行光として対物レンズに入射させる場合、第2光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m2が、下記の式(16)を満たすことが好ましい。
−0.003≦m2≦0.003 (16)
一方で、第2光束を発散光として対物レンズに入射させる場合、第2光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m2が、下記の式(16’)を満たすことが好ましい。
−0.02≦m2<−0.003 (16’)
また、第3光ディスクを用いるとき、第3光束を平行光束又は略平行光束として対物レンズに入射させる場合、第3光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m3が、下記の式(17)を満たすことが好ましい。
−0.003≦<m3≦0.003 (17)
一方で、第3光束を発散光として対物レンズに入射させる場合、第3光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m3が、下記の式(17’)を満たすことが好ましい。
−0.02≦m3<−0.003 (17’)
また、第3光ディスクを用いる際の対物光学素子のワーキングディスタンス(WD)は、0.15mm以上、0.5mm以下であることが好ましい。好ましくは、0.19mm以上、0.47mm以下である。次に、第2光ディスクを用いる際の対物光学素子のWDは、0.2mm以上、0.7mm以下であることが好ましい。さらに、第1光ディスクを用いる際の対物光学素子のWDは、0.2mm以上、0.8mm以下であることが好ましい。
光ピックアップ装置は、カップリングレンズが、少なくとも第1光束と第2光束が通過するものであって、カップリングレンズを光軸方向に移動させるアクチュエータ―を有する。特に、BDが2層や3層以上など複数の情報記録面を持っている場合には、或る層の記録/再生から他の層の記録/再生を行う際には、透明基板厚に差が生じるため、当該厚みの差に起因して発生する球面収差を補正しなければならない。カップリングレンズを光軸方向に移動させ、対物レンズの倍率を変えることによって、当該発生する球面収差を補正することが考えられる。また、温度変化や波長変化の際に発生する球面収差も、カップリングレンズを光軸方向に移動させ、対物レンズの倍率を変えることによって補正することができる。
しかしながら、例え、BD使用時にカップリングレンズを光軸方向に移動させて各種球面収差を補正する光ピックアップ装置であっても、DVD使用時においては、カップリングレンズの光軸方向の位置が固定されていることが好ましい。
その理由としては、BD使用時には、フレアが発生しないが、DVD使用時には、フレアが発生するため、カップリングレンズを変異させることにより、そのフレアの収差が変化し、結果としてそのフレアが記録/再生に悪影響を与える可能性が生じるという理由や、DVDの種類を判別するために、カップリングレンズの初期位置を常に一定にしておきたいという理由や、単純にドライブの方でカップリングレンズを変位させるためのシステムが複雑化するという理由などが挙げられる。
DVD使用時にカップリングレンズの光軸方向の位置を固定させるためには、対物レンズの中間領域に設ける第2光路差付与構造を構成する2つの基礎構造のうち一方において、入射する光束の波長がより長くなるよう変化した場合には球面収差が補正不足方向に変化し、その他方において、入射する光束の波長がより長くなるよう変化した場合には球面収差が補正過剰方向に変化させるようにすることで、DVD使用時の温度特性と波長特性を共に良好にすることができ、結果として、DVD使用時に、第2光束が通過するときにカップリングレンズを光軸方向の位置を固定した状態でも、DVDの情報記録面に対して情報の記録/再生を行うことができるようになるため好ましい。
本発明に係る光情報記録再生装置は、上述の光ピックアップ装置を有する光ディスクドライブ装置を有する。
ここで、光情報記録再生装置に装備される光ディスクドライブ装置に関して説明すると、光ディスクドライブ装置には、光ピックアップ装置等を収納している光情報記録再生装置本体から光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイのみが外部に取り出される方式と、光ピックアップ装置等が収納されている光ディスクドライブ装置本体ごと、外部に取り出される方式とがある。
上述した各方式を用いる光情報記録再生装置には、概ね、次の構成部材が装備されているがこれに限られるものではない。ハウジング等に収納された光ピックアップ装置、光ピックアップ装置をハウジングごと光ディスクの内周あるいは外周に向けて移動させるシークモータ等の光ピックアップ装置の駆動源、光ピックアップ装置のハウジングを光ディスクの内周あるいは外周に向けてガイドするガイドレールなどを有した光ピックアップ装置の移送手段及び、光ディスクの回転駆動を行うスピンドルモータ等である。
前者の方式には、これら各構成部材の他に、光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイおよびトレイを摺動させるためのローディング機構等が設けられ、後者の方式にはトレイおよびローディング機構がなく、各構成部材が外部に引き出し可能なシャーシに相当するドロワーに設けられていることが好ましい。
本発明によれば、低コストでありながら、複数の情報記録層を有する少なくとも2種類の光ディスクの互換を共通の対物レンズで行うことを可能とする光ピックアップ装置用の対物レンズ並びに光ピックアップ装置及びその調整方法を提供することが可能となる。
異なる光ディスクであるBDとDVDとCDに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行うことができる本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。 本実施の形態にかかる単玉の対物レンズOLを光軸方向に見た図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、異なる光ディスクであるBDとDVDとCDに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行うことができる本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。かかる光ピックアップ装置PU1は、スリムタイプであり、薄型の光情報記録再生装置に搭載できる。ここでは、第1光ディスクをBDとし、第2光ディスクをDVDとし、第3光ディスクをCDとする。なお、本発明は、本実施の形態に限られるものではなく、例えば第1半導体レーザを省略し、第3光ディスクを用いることなく、第1光ディスクをDVDとし、第2光ディスクをCDとしても良い。
光ピックアップ装置PU1は、対物レンズOL、λ/4波長板QWP、コリメートレンズCOL、偏光ビームスプリッタBS、ダイクロイックプリズムDP,BDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ1=405nmのレーザ光束(第1光束)を射出する第1半導体レーザLD1(第1光源)と、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ2=660nmのレーザ光束(第2光束)を射出する第2半導体レーザLD2(第2光源)及びCDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ3=785nmのレーザ光束(第3光束)を射出する第3半導体レーザLD3を一体化したレーザユニットLDP、センサレンズSEN、光検出器としての受光素子PD等を有する。
図2に示されるように、本実施の形態にかかる単玉の対物レンズOLにおいて、光源側の非球面光学面に光軸を含む中央領域CNと、その周囲に配置された中間領域MDと、更にその周囲に配置された周辺領域OTとが、光軸を中心とする同心円状に形成されている。図示していないが、中央領域CNには既に詳述した第1光路差付与構造が形成され、中間領域MDには既に詳述した第2光路差付与構造が形成されている。また、周辺領域OTには、第3光路差付与構造が形成されている。本実施の形態では、第3光路差付与構造はブレーズ型の回折構造である。また、本実施の形態の対物レンズはプラスチックレンズである。対物レンズOLの中央領域CNに形成された第1光路差付与構造は、第1基礎構造と第2基礎構造とを重ね合わせた構造であり、第1基礎構造は、第1基礎構造を通過した第1光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第2基礎構造は、第2基礎構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第2基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第2基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。
対物レンズOLの中間領域MDに形成された第2光路差付与構造は、第3基礎構造と第4基礎構造とを重ね合わせた構造であり、第3基礎構造は、第3基礎構造を通過した第1光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第4基礎構造は、第4基礎構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第4基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第4基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。
対物レンズOLの周辺領域OTに形成された第3光路差付与構造は、第5基礎構造のみからなる構造であり、第5基礎構造は、第5基礎構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第5基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第5基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。
対物レンズOLは単玉であり、以下の式を満たす。
0.6≦α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦1.1 (1)
但し、
α:(φ2/φ1)3・(λ1/λ2)
φ1:第1光ディスク使用時の有効径
φ2:第2光ディスク使用時の有効径
LTCM(λ1):単位角だけチルトした対物レンズOLに第1光束を入射した際に発生する3次コマ収差
LTCM(λ2):単位角だけチルトした対物レンズOLに第2光束を入射した際に発生する3次コマ収差
青紫色半導体レーザLD1から射出された第1光束(λ1=405nm)の発散光束は、実線で示すように、ダイクロイックプリズムDPを通過し、偏光ビームスプリッタBSを通過した後、コリメートレンズCOLを通過して平行光となり、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、不図示の絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域と中間領域と周辺領域により集光された光束は、厚さ0.1mmの保護基板PL1を介して、BDの情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。
情報記録面RL1上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOL、不図示の絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、2軸アクチュエータAC1により対物レンズOLをフォーカシングやトラッキングさせることで、BDに記録された情報を読み取ることができる。ここで、第1光束に波長変動が生じた場合や、複数の情報記録層を有するBDの記録/再生を行う場合、波長変動や異なる情報記録層に起因して発生する球面収差を、倍率変更手段としてのコリメートレンズCOLを1軸アクチュエータAC2により光軸方向に変化させて、対物光学素子OLに入射する光束の発散角又は収束角を変更することで補正できるようになっている。
レーザユニットLDPの半導体レーザLD2から射出された第2光束(λ2=660nm)の発散光束は、点線で示すように、ダイクロイックプリズムDPで反射され、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOLを通過し、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域と中間領域により集光された(周辺領域を通過した光束はフレア化され、スポット周辺部を形成する)光束は、厚さ0.6mmの保護基板PL2を介して、DVDの情報記録面RL2に形成されるスポットとなり、スポット中心部を形成する。
情報記録面RL2上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOLを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。本実施の形態ではカップリングレンズCOLを固定した状態でも、DVDに情報の記録/再生を行えるので、光ピックアップ装置の制御系が簡素化される。対物レンズOLは温度特性に優れているので、DVD使用時には1軸アクチュエータAC2を駆動せず、コリメートレンズCOLを固定した状態とすることができる。これにより制御系が簡素化される。
レーザユニットLDPの半導体レーザLD3から射出された第3光束(λ3=785nm)の発散光束は、一点鎖線で示すように、ダイクロイックプリズムDPで反射され、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOLを通過し、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域により集光された(中間領域及び周辺領域を通過した光束はフレア化され、スポット周辺部を形成する)光束は、厚さ1.2mmの保護基板PL3を介して、CDの情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。
情報記録面RL3上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOLを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
対物レンズOLは、残留コマ収差の排除のため、組み付け時に、その光軸を光ピックアップ装置の基準軸Xに対して傾けてスキュー調整を行う。このとき、半導体レーザLD1から波長λ1の光束を出射させ、BDの情報記録面に集光させながらコマ収差を最小にするようにスキュー調整を行う。本実施の形態によれば、(1)式を満たすので、BD基準にスキュー調整を行っても、DVD使用時の残留コマ収差を有効に抑制することができる。
(実施例)
以下、上述した実施の形態に用いることができる実施例について説明する。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5×E−3)を用いて表す場合がある。また、対物レンズの光学面は、それぞれ数1式に表に示す係数を代入した数式で規定される、光軸の周りに軸対称な非球面に形成されている。
ここで、X(h)は光軸方向の軸(光の進行方向を正とする)、κは円錐係数、Aiは非球面係数、hは光軸からの高さ、rは近軸曲率半径である。
また、回折構造を用いた実施例の場合、その回折構造により各波長の光束に対して与えられる光路差は、数2式の光路差関数に、表に示す係数を代入した数式で規定される。
尚、hは光軸からの高さ、λは入射光束の波長、mは回折次数、B2iは光路差関数の係数である。
(実施例1)
実施例1の対物レンズはプラスチック単玉レンズである。表1に実施例1のレンズデータを示す。実施例1の第1光路差付与構造は、(2/1/1)構造のブレーズ型の回折構造である第2基礎構造に、(1/1/1)構造のブレーズ型の回折構造である第1基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。又、実施例1の第2光路差付与構造は、(2/1/1)構造のブレーズ型の回折構造である第4基礎構造に、(1/1/1)構造のブレーズ型の回折構造である第3基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。また、本実施例において、α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≒0.84である。但し、α=0.355である。
(実施例2)
実施例2の対物レンズはプラスチック単玉レンズである。表2に実施例2のレンズデータを示す。尚、実施例2の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造及び第3光路差付与構造はそれぞれ実施例1と同じ回折次数の構造であるため、詳細説明は割愛する。尚、α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≒0.76である。但し、α=0.330である。
(実施例3)
実施例3の対物レンズはプラスチック単玉レンズである。表3に実施例3のレンズデータを示す。尚、実施例3の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造及び第3光路差付与構造はそれぞれ実施例1と同じ回折次数の構造であるため、詳細説明は割愛する。尚、α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≒0.99である。但し、α=0.330である。
(比較例)
比較例の対物レンズもプラスチック単玉レンズである。表4に比較例のレンズデータを示す。尚、比較例の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造及び第3光路差付与構造もそれぞれ実施例1と同じ回折次数の構造であるため、詳細説明は割愛する。実施例と比較例の違いは、α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)の値が、本願発明の範囲内であるか否かである。尚、本比較例において、α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≒0.49であり、0.6より小さいため、本願発明の範囲外であることが分かる。但し、α=0.311である。
実施例1〜3のいずれも、BD使用時の状態においてスキュー調整を行うことにより、DVD及びCD使用時においてもコマ収差が大きく残存しないため、BD,DVD,CDの何れに対しても良好に記録再生を行うことができる。一方で、比較例は、BD使用時の状態においてスキュー調整を行ったとしても、DVD又はCD使用時においてコマ収差が大きく残存してしまい、BD,DVD,CDの全てに対して良好に記録再生を行うということができない。
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施例は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は後述するクレームによって示されている。
AC1 2軸アクチュエータ
BS 偏光ビームスプリッタ
CN 中央領域
COL コリメートレンズ
DP ダイクロイックプリズム
LD1 第1半導体レーザ又は青紫色半導体レーザ
LD2 第2半導体レーザ
LD3 第3半導体レーザ
LDP レーザユニット
MD 中間領域
OL 対物レンズ
OT 周辺領域
PD 受光素子
PL1 保護基板
PL2 保護基板
PL3 保護基板
PU1 光ピックアップ装置
QWP λ/4波長板
RL1 情報記録面
RL2 情報記録面
RL3 情報記録面
SEN センサレンズ

Claims (10)

  1. 第1波長λ1の第1光束を射出する第1光源と、第2波長λ2(λ2>λ1)の第2光束を射出する第2光源と、対物レンズとを有し、前記第1光束を用いて厚さがt1の保護基板を有する第1光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第2光束を用いて厚さがt2(t1<t2)の保護基板を有する第2光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
    前記対物レンズは単玉であり、以下の式を満たすことを特徴とする対物レンズ。
    0.6≦α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦1.1 (1)
    但し、
    α:(φ2/φ1)3・(λ1/λ2)
    φ1:前記第1光ディスク使用時の有効径
    φ2:前記第2光ディスク使用時の有効径
    LTCM(λ1):単位角だけチルトした前記対物レンズに前記第1光束を入射した際に発生する3次コマ収差
    LTCM(λ2):単位角だけチルトした前記対物レンズに前記第2光束を入射した際に発生する3次コマ収差
  2. 以下の式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ。
    0.8≦α・LTCM(λ1)/LTCM(λ2)≦1.1 (1’)
  3. 前記第1光源の第1波長λ1は、350nm以上、440nm以下、前記第2光源の第2波長λ2は570nm以上、680nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の対物レンズ。
  4. 前記光ピックアップ装置は、第3波長λ3(λ3>λ2)の第3光束を射出する第3光源を有し、前記第3光束を用いて厚さがt3(t3>t2)の保護基板を有する第3光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の対物レンズ。
  5. 前記第3光源の第3波長λ3は、750nm以上、880nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の対物レンズ。
  6. 前記αの値が、0.30以上、0.37以下であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の対物レンズ。
  7. 前記第1光源の第1波長λ1は、570nm以上、680nm以下、前記第2光源の第2波長λ2は750nm以上、880nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の対物レンズ。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の対物レンズを有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  9. 前記第1波長λ1の光束を前記対物レンズに入射させてスキュー調整を行った上で、前記対物レンズを取り付けたことを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
  10. 請求項8に記載の光ピックアップ装置の調整方法であって、前記対物レンズの光軸を前記光ピックアップ装置の基準軸に対して傾ける際に、前記第1波長λ1の光束を前記対物レンズに入射させてスキュー調整を行うことを特徴とする光ピックアップ装置の調整方法。
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