JP2012163577A - 多色同時測定用ルシフェラーゼ発光方法および発光試薬 - Google Patents

多色同時測定用ルシフェラーゼ発光方法および発光試薬 Download PDF

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Abstract

【課題】発光色に特徴を持つルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応のKineticsの改良ならび相互の発光強度を制御することにより、多色発光同時測定用ルシフェラーゼ発光方法を供給すること。
【解決手段】緑色発光ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも2種のルシフェラーゼによる発光反応において、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させることにより、発光測定期間内の90秒間における発光強度の変動が10%以下である発光を生ぜしめることを特徴とする、ルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。その利用法、発光試薬および発光試薬キットも提供される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、発光色に特徴を持つルシフェラーゼの発光反応を安定化させる方法、その利用法、および発光試薬に関する。本発明の発光試薬は、発光色の異なるルシフェラーゼ酵素をレポーターおよびシグナルとしたあらゆるルシフェラーゼアッセイ系、さらには多色同時発光測定系によるルシフェラーゼアッセイ系に適用できる。
従来、in vitro で甲虫ルシフェリン/ルシフェラーゼによる発光反応を行わせる際、その発光パターンはフラッシュ状に観察されるため、試薬注入の特別な機構を持つ装置を用いなければ発光反応を正確に測定することができなかった。
これを改善すべく、ルシフェラーゼの検出方法(ルシフェラーゼアッセイ系)としてCoA などのチオール類を用いる方法により発光の半減期をおよそ5分間と延長し、かつ発光量を増大させ得る手法が発明された(特許文献1参照)。この方法により、ルシフェラーゼによる発光量の正確な測定が試薬の自動注入装置を持たないルミノメーターや液体シンチレーションカウンターによっても可能となり、培養細胞の中でレポーターとして発現されたルシフェラーゼを高感度で測定するレポーターアッセイ法に広く用いられるようになった。
一方で上述のルシフェラーゼアッセイ法では、発光甲虫ホタルによる発光反応は実際の実験系ではさまざまな外的要因により得られる発光量が大きく影響を受け、厳密な意味での転写活性の比較データの評価が困難とされている(非特許文献1)。このため、基質特異性の異なる別種のルシフェラーゼ遺伝子(例えばウミシイタケルシフェラーゼなど)を内部標準レポーターとして併せて細胞に導入し、二種類のルシフェラーゼ活性を個々に測定することから内部標準レポーターに対する対象レポーター(ホタルルシフェラーゼ)の転写活性効率を決定する、いわゆる、デュアルルシフェラーゼアッセイ法も研究分野では一般的に用いられている(非特許文献2)。しかしながら、本法ではホタルルシフェリンに比べて極めて高価なセランテラジン(ウミシイタケルシフェリン)を使用し、かつ一方の発光反応(ホタル)を消光させてからもう一方の発光反応(ウミシイタケ)を測定するなど複数の測定ステップを必要とすることから、HTS(High-Throughput Screening)法など産業用途への適用が進んでいなかった。
これに対し、発光甲虫由来で発光色の異なるルシフェラーゼは共通の発光基質で発光反応を行う。そこでウミシイタケルシフェラーゼの代わりに、例えば鉄道虫由来の赤色発光ルシフェラーゼ(非特許文献3)を用い、従来用いられてきた黄緑色の北米産ホタルルシフェラーゼを同時に発光させ、それぞれの色調の差異と発光量を示す発光スペクトルをフィルターで分離できれば、それぞれの発光量を一回の測定ステップで定量できる。この発光甲虫の多様性のひとつである発光色の違いを活用することにより、従来の1反応1シグナルから、ひとつの反応で複数のシグナルが同時に得られ、発光反応によって得られる情報量が格段に向上する。Nakajimaらは、鉄道虫由来の赤色および緑色ルシフェラーゼを用い、二つの転写活性を同時かつ簡便に評価できることを示した(非特許文献4)。1回の反応で複数の遺伝子情報が同時に測定できるアッセイ系が今後産業用途において実用化された場合、現在創薬メーカーで盛んに進められている単色光(単一シグナル)ルシフェラーゼによるゲノム創薬開発にむけたHTS法の効率を格段に向上させることが期待されている。
発光甲虫による発光反応の産業用途への応用展開において、新たに見出されてきたホタル科以外の発光甲虫由来のルシフェラーゼ発光反応が可能とする異なる色調、さらにはpHに色調が影響されない特徴を活かすことにより、多色同時発光系などさらに高機能化された生物発光反応の用途開発が検討され始めている。しかしながら、これらホタル科以外の発光甲虫由来ルシフェラーゼによる発光反応は、それぞれが個々の生態に合わせた異なる発光のパターンを持ち、進化の過程でそれぞれのルシフェラーゼの構造においても顕著な多様性を持つ。このため同一の発光基質ルシフェリンとATP、Mg2+イオンを用いて発光反応を行うにもかかわらず、個々の発光反応について、従来試みられてきたホタル科北米産ホタル由来のルシフェラーゼとは異なったそれぞれの最適化、換言すれば最終目的であるin vitroで計測を可能となる「発光反応開始から一定時間内において一定な発光強度を示す安定な発光Kineticsを持つ発光反応系」および「3色の発光強度の比率を制御可能な発光反応系」の構築が必要とされる。
特許第3171595号公報 細胞工学「脱アイソトープ実戦プロトコール2キット簡単編」、野村慎太郎、渡邉俊樹 監修, 秀潤社 (1998), p.334-346. Grentzmann, G., Ingraman, J.J.A., Kelly, P.J., Gesteland, R.F., and Atkins, J.F. (1998) RNA 4, 479-486. Viviani, V.R., Bechara, E.J.H, and Ohmiya, Y. Biochemistry (1999) 38, 8271-827. Nakajima, Y., Ikeda, M., Kimura, T., Honma, S., Ohmiya, Y., and Honma, K., (2004) FEBS Lett. 565, 122-126.
本発明は、発光色に特徴を持つ発光甲虫由来のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応のKineticsの改良ならび相互の発光強度を制御することにより、多色発光同時測定用ルシフェラーゼ発光方法を供給することを目的とする。
そこで、本発明者らは、ホタル科以外の新規の発光甲虫による発光反応についても実用化を目指すべく検討を行った。検討した発光甲虫として、ホタルモドキ科由来のルシフェラーゼとして鉄道虫Phrixothrix hirtus由来の赤色ルシフェラーゼ(Viviani, V.R., Bechara, E.J.H, and Ohmiya, Y. Biochemistry (1999) 38, 8271-827.)を中心に、さらにはイリオモテボタル由来のルシフェラーゼとしてRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(Sumiya, M., Viviani, V.R., Ohba,N., and Ohmiya,Y. (1998) In Bioluminescence and Chmiluminescence. Proceeding of 10th International Symposium on Bioluminescence and Chemiluminescence (Roda, A., Pazzagli, M., Kricka, L., and Stanley, P.E., Erd.), pp.433-436, Bolona, Italy.)ならびにその部位特異的変異体の橙色ルシフェラーゼ(Viviani, V.R., Uchida, A., Suenaga, N., Ryufuku, M., and Ohmiya, Y. (2001) Biochem. Biophys. Res. Com. 280, 1286-1291.)を用い、それぞれの発光反応を測定可能な発光経時変化(Kinetics)への改良ならびに最適化を行った。また3発光色の発光強度の比率が大きい場合には測定機の制約から正確な発光量測定が困難となることより、安定な発光Kineticsを維持した条件下でそれぞれの発光強度を制御させ発光量比を近接させることから、多色同時発光測定が可能となる発光反応系を開発した。
本発明者らは、ルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応にCoAとピロリン酸あるいはピロリン酸塩を介在させ、その他のさまざまな成分を最適化することにより、発光反応開始からある一定の期間において発光強度が一定となる安定な発光反応Kineticsを示し、かつ各々の発光強度を制御可能な発光反応系を構築させることに成功し、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 緑色発光ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも2種のルシフェラーゼによる発光反応において、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させることにより、発光測定期間内の90秒間における発光強度の変動が10%以下である発光を生ぜしめることを特徴とする、ルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(2) 緑色ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも2種のルシフェラーゼの各々による発光反応の発光強度を比較したときに、どの2つの組み合わせについても、発光強度比が1:1〜1:200の範囲内にある、(1)記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(3) 緑色発光ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも1種のルシフェラーゼによる発光反応における発光半減期が2時間以上である、(1)又は(2)記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(4) 0.0001mM〜100mMのピロリン酸および/またはピロリン酸塩の存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(3)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(5) 0.001mM〜100mMのCoAの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(3)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(6) 0.001mM〜100mMのルシフェリンをルシフェリンと反応させる、(1)〜(5)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(7) 0.001 mM〜 100 mM のアデノシン三リン酸の存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(6)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(8) 0.001〜200mMのマグネシウムイオンの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(7)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(9) 0.001W/V%〜15W/V%のα−シクロデキストリンの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(8)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(10) 0.1mM〜500mMのフッ化ナトリウムの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(9)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(11) 0.001〜10W/V%のサポニンの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(10)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(12) 1mM〜500mMのHEPES及びトリスの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(11)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(13) 還元剤の存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる、(1)〜(12)のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(14) 還元剤が100mM以下の濃度で存在する、(13)記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
(15) (1)〜(14)のいずれかに記載の方法を利用して、試料中のルシフェラーゼ量を測定する方法。
(16) 2種のルシフェラーゼ量を色識別により測定する、(15)記載の方法。
(17) 3種のルシフェラーゼ量を色識別により測定する、(15)記載の方法。
(18) (1)〜(14)のいずれかに記載の方法で発光を生ぜしめるための発光試薬であって、以下の成分:
(a)ピロリン酸、ピロリン酸塩及びCoAからなる群より選択される少なくとも1種の化合物、
(b)ルシフェリン、
(c)アデノシン三リン酸、及び
(d)マグネシウムイオン
を含む、前記発光試薬。
(19) さらに、培養細胞の溶解に必要な成分を含む、(18)記載の発光試薬。
(20) 試料中のルシフェラーゼ量を測定するためのルシフェラーゼアッセイ試薬として用いられる、(18)又は(19)記載の発光試薬。
(21) (18)〜(20)のいずれかに記載の発光試薬を含む発光試薬キット。
本明細書において、「発光強度」とは、単位時間当たりの発光の強さをいう。
「発光測定期間内の90秒間における発光強度の変動が10%以下である発光」とは、発光測定期間内のある時点で測定した発光強度とそれから90秒後に測定した発光強度との差の絶対値を、ある時点で測定した発光強度(100%)に対する百分率で示したときに、10%以内であることをいう。
「緑色発光ルシフェラーゼ」とは、最大発光波長が534nm〜565nm、半値幅が53〜91nmの発光色を示すルシフェラーゼをいう。
「橙色発光ルシフェラーゼ」とは、最大発光波長が580nm〜595nm、半値幅が66〜83nmの発光色を示すルシフェラーゼをいう。
「赤色発光ルシフェラーゼ」とは、最大発光波長が610nm〜630nm、半値幅が53〜70nmの発光色を示すルシフェラーゼをいう。
本発明により、多色発光ルシフェラーゼとして選択された緑色発光ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼによる発光反応を、定量的かつ同時に計測するために必要とされる、単位時間あたりの発光強度が一定な発光Kinetics、ならびに測定レンジ内に少なくとも2種、好ましくは3種の発光強度を制御させ近接させることが可能となり、多色発光同時測定用のルシフェラーゼ発光反応系の構築が可能となる。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2004‐353964号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
イリオモテボタル由来緑色発光ルシフェラーゼによる発光反応において、従来のルシフェラーゼ発光試薬と多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬による発光反応の発光強度の時間経過を示す。 イリオモテボタル由来橙色発光ルシフェラーゼによる発光反応において、従来のルシフェラーゼ発光試薬と多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬による発光反応の発光強度の時間経過を示す。 鉄道虫由来赤色発光ルシフェラーゼによる発光反応において、従来のルシフェラーゼ発光試薬と多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬による発光反応の発光強度の時間経過を示す。 緑色、橙色、赤色の各ルシフェラーゼによる発光強度比を変化させる2種類の発光試薬組成による、各色の発光ルシフェラーゼによる発光反応の発光強度と時間経過を示す。 イリオモテボタル由来緑色発光ルシフェラーゼのカイコ産生酵素標品を段階希釈した際の、希釈倍率と発光量との相関を示す。 イリオモテボタル由来橙色発光ルシフェラーゼのカイコ産生酵素標品を段階希釈した際の、希釈倍率と発光量との相関を示す。 鉄道虫由来発光ルシフェラーゼのカイコ産生酵素標品を段階希釈した際の、希釈倍率と発光量との相関を示す。 多色発光同時測定用ルミノメーターを用いた3色同時発光時において、緑色発光ルシフェラーゼをコントロールとした場合の、赤色発光ルシフェラーゼならびに橙色発光ルシフェラーゼの希釈系列における発光反応の定量性を示す。 多色発光同時測定用ルミノメーターを用いた3色同時発光時において、橙色発光ルシフェラーゼをコントロールとした場合の、赤色発光ルシフェラーゼならびに緑色発光ルシフェラーゼの希釈系列における発光反応の定量性を示す。 多色発光同時測定用ルミノメーターを用いた3色同時発光時において、赤色発光ルシフェラーゼをコントロールとした場合の、橙色発光ルシフェラーゼならびに緑色発光ルシフェラーゼの希釈系列における発光反応の定量性を示す。 1液系で発光半減期2時間以上の多色発光用の発光試薬を用いた場合の、緑色、橙色、赤色の各ルシフェラーゼによる発光強度と時間経過を示す。
本発明のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法は、緑色発光ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも2種の甲虫ルシフェラーゼによる発光反応において、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させることにより、発光測定期間内の90秒間における発光強度の変動が10%以下である発光を生ぜしめることを特徴とする。
発光測定期間内の90秒間における発光強度は、発光測定期間内であれば、発光反応開始後のいかなる時点から始まる90秒間の発光強度でもよく、使用する酵素の種類に応じて適宜選択するとよい。例えば、イリオモテボタル由来の緑色発光ルシフェラーゼ及びイリオモテボタル由来の緑色発光ルシフェラーゼの変異体である橙色ルシフェラーゼを使用する場合には、発光開始の時点から始まる90秒間の発光強度であることが好ましく、鉄道虫由来の赤色ルシフェラーゼを使用する場合には、発光開始の20秒後から始まる90秒の発光強度であることが好ましい。発光強度は、アトー(株)社製の「ルミネッセンサーMCA AB-2250型」で測定することができる。
本発明のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法においては、緑色ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも2種のルシフェラーゼの各々による発光反応の発光強度を比較したときに、どの2つの組み合わせについても、発光強度比が1:1〜1:200の範囲内にあるとよく、好ましくは、発光強度比が1:1〜1:10の範囲内にあるとよい。
本発明で使用される2種以上のルシフェラーゼは、特に限定されるわけではないが、基質が共通するものであるとよい。好ましくは、甲虫由来のホタル・ルシフェリン、即ち多複素式有機酸D−(−)−2−(6‘ヒドロキシ−2’−ベンゾチアゾリル)−△2−チアゾリン−4−カルボン酸(以降は特に記載のない限り「ルシフェリン」と表記する)を発光基質とし、これを酸化触媒して光子を発する酵素で、ホタル科、ヒカリコメツキ科、ホタルモドキ科、イリオモテボタル科など発光甲虫由来で発光反応に与る酵素全てを含む。この中には組換えDNA技術や変異技術などにより、酵素タンパク自体の安定性や発光特性などが人為的に改変された酵素も含まれる。
緑色発光ルシフェラーゼとしては、例えば、Rhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(Sumiya, M., Viviani, V.R., Ohba,N., and Ohmiya,Y. (1998) In Bioluminescence and Chmiluminescence. Proceeding of 10th International Symposium on Bioluminescence and Chemiluminescence (Roda, A., Pazzagli, M., Kricka, L., and Stanley, P.E., Erd.), pp.433-436, Bolona, Italy.)、鉄道虫Phrixothrix viviani由来の緑色ルシフェラーゼ(Viviani, V.R., Bechara, E.J.H, and Ohmiya, Y. Biochemistry (1999) 38, 8271-827.)、ヒカリコメツキPyrophorus. Plagiophthalamus由来の緑色ルシフェラーゼ(Wood, K.V., Lam, Y. A., Seliger, H.H., and McElroy,W.D. (1989) Science 244, 700-702.)、北米産ホタルPhotinus pyralis.由来のルシフェラーゼ(de Wet, J.R., Wood, K.V., Deluca, M., Helinski, D.R., and Subramani, S. (1987) Mol. Cell. Biol. 7, 725.)やゲンジボタルLuciola cruciata由来のルシフェラーゼ(Tatsumi, H., Masuda, T., Kajiyama, N., and Nakano, E. (1989) J. Biolum. Chemilum. 3, 75-78.)などを挙げることができる。
橙色ルシフェラーゼとしては、例えば、Rhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(Sumiya, M., Viviani, V.R., Ohba,N., and Ohmiya,Y. (1998) In Bioluminescence and Chmiluminescence. Proceeding of 10th International Symposium on Bioluminescence and Chemiluminescence (Roda, A., Pazzagli, M., Kricka, L., and Stanley, P.E., Erd.), pp.433-436, Bolona, Italy.)の部位特異的変異体の橙色ルシフェラーゼ(Viviani, V.R., Uchida, A., Suenaga, N., Ryufuku, M., and Ohmiya, Y. (2001) Biochem. Biophys. Res. Com. 280, 1286-1291.)、ヒカリコメツキPyrophorus. Plagiophthalamus由来の橙色ルシフェラーゼ(Wood, K.V., Lam, Y. A., Seliger, H.H., and McElroy,W.D. (1989) Science 244, 700-702.)、などを挙げることができる。
赤色ルシフェラーゼとしては、例えば、鉄道虫Phrixothrix hirtus由来の赤色ルシフェラーゼ(Viviani, V.R., Bechara, E.J.H, and Ohmiya, Y. Biochemistry (1999) 38, 8271-827.)、ヒカリコメツキPyrophorus. Plagiophthalamus由来(Wood, K.V., Lam, Y. A., Seliger, H.H., and McElroy,W.D. (1989) Science 244, 700-702.)の部位特異的変異体の赤色ルシフェラーゼ(特公平08-510387)、などを挙げることができる。
ルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応系におけるルシフェラーゼの濃度は、100 femto g/mL〜100 μg/mLが適当であり、好ましくは1 ng/mL〜200 ng/mLである。
本発明で使用するルシフェリンは、ルシフェラーゼの作用により発光するものであれば特に限定されないが、好ましくは、上記の甲虫ルシフェリンであり、甲虫より直接抽出および精製されたものや、化学合成されたものを含む。さらには甲虫ルシフェリンの誘導体で、ある酵素の消化を受けた後に発光活性を持つ発光基質も含まれる。このような甲虫ルシフェリンの誘導体としては、4-メチル-D-ルシフェリン、D-ルシフェニル-L-メチオニン、6-O-ガラクトピラノシル-ルシフェリン、DEVD−ルシフェリン、ルシフェリン-6’メチルエステル、ルシフェリン6’-クロロエチルエステル、6’-デオキシルシフェリン、ルシフェリン6’ベンジルエステルなどを挙げることができる。ルシフェリンおよびその誘導体は塩の形態であってもよい。塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩などを挙げることができる。
ルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応系におけるルシフェリンの濃度は、0.001 mM〜100 mMが適当であり、好ましくは0.01 mM〜10 mMである。
本発明で使用する場合、ピロリン酸および/またはピロリン酸塩は、水溶性のものが好ましく、溶液のピロリン酸を初め、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸水素ナトリムなどを用いることができる。ピロリン酸および/またはピロリン酸塩の使用濃度は、0.0001 mM〜100 mMが適当であり、好ましくは0.001 mM〜10 mMである。
本発明で使用する場合、CoAは、酵母より抽出・精製されたものであり、リチウム塩やナトリウム塩の形態のものを用いることができる。CoAの使用濃度は、0.001 mM〜100 mMが適当であり、好ましくは0.01 mM〜10 mMである。
本発明で使用する場合、α−シクロデキストリンの濃度は、0.001W/V%〜15W/V%が適当であり、好ましくは0.01W/V%〜12.5W/V%である。
本発明で使用する場合、フッ化ナトリウムの濃度は、0.1mM〜500mMが適当であり、好ましくは1mM〜100mMである。
本発明で使用する場合、サポニンは、セッケンボク樹皮由来、大豆由来、茶の実由来で抽出・精製されたものを用いることができる。サポニンの使用濃度は、0.001W/V%から10W/V%が適当であり、好ましくは0.05W/V%から1.0W/V%である。サポニンは、細胞を溶解する作用を有するので、培養細胞の溶解に必要な成分としても使用することができる。
本発明で緩衝成分として使用する場合、HEPESやトリスは市販の生化学グレードのものであれば使用することができる。HEPES及びトリスの使用濃度は充分な緩衝能を持つため、通常1mM〜1Mの濃度が適当であり、好ましくは5mM〜200mMである。またこれら緩衝成分で使用するpHは7.0〜9.0が適当であるが、好ましいpH範囲は7.5〜8.5である。
本発明のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応においては、さらに、還元剤、アデノシン三リン酸、マグネシウムイオンを添加してもよい。
還元剤は、ルシフェラーゼ酵素を保護する作用があると考えられる。還元剤としては、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩類、チオりん酸塩、チアゾール類などを挙げることができる。
ジチオカルバミン酸塩類としては、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチルジチオカルバミン酸ピペコリン、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ソーダ、ジエチルジチオカルバミン酸ソーダ、ジブチルジチオカルバミン酸ソーダ、ジメチルジチオカルバミン酸カリ、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチョカルバミン酸鉄、エチルフェニルジチカルバミン酸鉛、ジエチルジチカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルルなどを挙げることができるが、金属塩はこれに限定されることは無く目的に応じて周期律表に記載の金属塩であれば使用可能である。
キサントゲン酸塩類としては、キサントゲン酸カリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ソーダなどを挙げることができるが、これに限定されることはなく、周期律表に記載の金属と塩が形成可能であれば使用可能である。
チオりん酸塩としては、ピペリジンービスー(o,o−ジステアリルジチオフォスフェート)などを挙げることができる。
チアゾール類としては2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩などを挙げることができるが、これに限定されることは無く、周期律表に記載の金属と塩あるいは錯体を形成可能なら使用可能である。
この他にも、ジチオスレイトール、ジチオエリトルトール、βメルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパノール、2,3−ジチオプロパノール、グルタチオン、コエンザイムAなどのスルフヒドリル化合物を使用してもよい。
還元剤は単独で使用することもできるが、混合して使用することも可能である。
還元剤の使用濃度は、0.01 mM〜100 mMが適当であり、好ましくは0.1 mM〜50 mMであるが、2 mM以下の濃度で使用することが可能である。場合によっては、還元剤を添加しなくてもよい。
アデノシン三リン酸は、ルシフェラーゼとの反応により、ルシフェリンからルシフェリル-AMP(アデニレート)を生成し、発光反応に寄与する。アデノシン三リン酸は塩の形態であってもよい。塩としては、2ナトリウム塩、2カリウム塩、マグネシウム塩などを挙げることができる。
アデノシン三リン酸の使用濃度は、0.001 mM〜 100 mM が適当であり、好ましくは0.01 mM〜 10 mM である。
マグネシウムイオンは、発光反応の補因子として考えられている。マグネシウムイオンを含む化合物としては、塩化マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、リン酸水素マグネシムなどを挙げることができる。
マグネシウムイオンの使用濃度は、0.001 mM〜200 mMが適当であり、好ましくは0.1 mM〜100 mMである。
発光反応の制御に寄与するのは、上記成分がメインであるが、その他、培養細胞の溶解に必要な成分(例えば、界面活性剤やグリセリン、BSA(牛血清アルブミン)、キレート剤)など、発光反応の利用法に応じてさまざまな組成を添加することができる。
ルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応は、20℃〜25℃の温度、pH6.0〜9.0の条件下で行うとよい。
本発明により、多色発光ルシフェラーゼとして選択された緑色発光ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼによる発光反応を、定量的かつ同時に計測するために必要な、単位時間あたりの発光強度が一定な発光Kineticsに優れた発光反応系が構築できる。
本発明の方法によるルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応は、多色発光を行わせた甲虫ルシフェラーゼ量の測定(ルシフェラーゼアッセイ)に利用することができる。
ルシフェラーゼアッセイは、レポータージーンにルシフェラーゼ遺伝子を用いてその発光活性を測定することにより、遺伝子の転写活性を調べる方法である。例えば、解析対象のプロモーター下流にルシフェラーゼ遺伝子を結合させたベクターを培養細胞にトランスフェクションし、培養を行う。細胞の増殖過程で、プロモーターの転写活性が強ければ細胞内に多くのルシフェラーゼ酵素が産生され、また、活性が弱ければルシフェラーゼ酵素の産生量が低下する。本発明の方法によるルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応により、ルシフェラーゼ酵素の量を高感度かつ簡便に定量することができる。ルシフェラーゼアッセイは、遺伝子発現の解析(プロモーター、エンハンサーの転写活性解析)、細胞中のmRNAの作用機序の解析、レセプターなど遺伝子調節機能を持つ蛋白質の構造と作用機序の解明、トランスジェニック植物における器官特異的な発現様式の解析などに利用することができる。
このルシフェラーゼアッセイを更に高機能化させるべく考案されたのが多色発光同時測定による多色ルシフェラーゼ測定システムである。従来の単一シグナルによるルシフェラーゼアッセイ法では、発光反応自体のバラツキにより、アッセイデータの評価が困難とされてきた。このため、ホタルとは全く異なり互いに相互作用しない別種の発光反応系を導入し、2種類のルシフェラーゼ活性を個々に測定することから内部標準レポーターに対する対象レポーターの転写活性効率を決定する、いわゆる、デュアルルシフェラーゼアッセイ法が導入された。しかしこの方法では、高価な発光基質ならびに2ステップの反応を行う必要性などから、コスト及び操作性において、HTS(High-Throughput Screening)法など産業用途への適用が進んでいなかった。
これに対し、発光甲虫由来で発光色の異なるルシフェラーゼは共通の発光基質で発光反応を行う。そこで発光色の異なるルシフェラーゼをそれぞれ同時に発光させ、それぞれの色調の差異と発光量を示す発光スペクトルをフィルターで分離できれば、それぞれの発光量を一回の測定ステップで定量できる。多色ルシフェラーゼ発光同時測定システムにより、1回の反応(1ステップ)から複数のシグナルが測定可能となる。このシステムにより、2種類の転写活性を2色の発光量からそれぞれ同時に測定する一方で、残る1色による発光量を内部標準とすることから、測定した2種類の転写活性を補正し、より精度の高い複数の転写活性の評価が可能となる。また3種類の転写活性を同時に測定し、それぞれを評価することもできる。
多色発光同時測定用ルシフェラーゼ発光方法によるルシフェリン/ルシフェラーゼの発光反応の発光量は、専用の市販ルミノメーターで測定することができる。現在、フィルター分割により、3種の発光反応を測定できる装置にはアトー(株)社製の「ルミネッセンサーMCA AB-2250型」がある。本装置では、透過率、発光量から3発光色を分離定量する機能を内蔵しており、通常の発光量測定と同様に発光反応を行わせるサンプルをキュベットに入れて装置内にセットするだけで、3色の発光量が自動的に算出される。同様の機能を持つルミノメーターが普及することにより、本手法はさらなる展開を迎えると期待できる。
発光量の測定は、所望の期間にわたり、所望の時間間隔で行えばよい。但し、多色発光ルシフェラーゼアッセイにおいては、発光反応の開始20秒後から、10〜100秒間の積算発光の測定が必要とされる。または薬剤の開発に向けた多検体のサンプルに対するHigh-through Put スクリーニング(HTS)では、発光反応開始から8時間までの0.1秒から10秒間あたりのそれぞれの検体からの発光量が測定される。
本発明は、本発明の方法で発光を生ぜしめるための発光試薬であって、少なくとも2種、好ましくは3種類のルシフェラーゼによる発光反応Kineticsを改良させ、少なくとも2種、好ましくは3種ルシフェラーゼによる発光強度を測定レンジ内に納め、多色発光同時ルシフェラーゼ発光反応測定を可能とするために必要な組成を含む前記発光試薬も提供する。本発明の発光試薬は、試料中の少なくとも2種、好ましくは3種(例えば、イリオモテボタル由来の緑色発光ルシフェラーゼ、イリオモテボタル由来の橙色ルシフェラーゼ、鉄道虫由来の赤色ルシフェラーゼ)のルシフェラーゼ量を測定するためのルシフェラーゼアッセイ、さらには複数のルシフェラーゼアッセイの同時測定に使用することができる。本発明の発光試薬は、ピロリン酸および/またはピロリン酸塩あるいはCoA、ルシフェリン、アデノシン三リン酸及びマグネシウムイオンの他、α−シクロデキストリン、フッ化ナトリウム、還元剤、緩衝成分(HEPES、トリス)、サポニンの他、その他の成分(例えば、培養細胞の溶解に必要な界面活性剤、グリセリン、BSA、キレート剤など)を含んでもよい。本発明の発光試薬に含まれるこれらの成分は上記の通りである。本発明の発光試薬は、各成分を溶解した水溶液状態であってもよいし、凍結乾燥した状態であってもよい。水溶液状態の発光試薬は凍結品として供給し、解凍後十分に室温に戻した後に使用するとよい。また、発光試薬を凍結乾燥する場合には、試薬成分の内、溶液中では比較的不安定な成分(ルシフェリン、アデノシン三リン酸、CoAなど)のみを凍結乾燥し(これを試薬Aとする)、ピロリン酸および/またはピロリン酸塩の他、α−シクロデキストリン、フッ化ナトリウム、還元剤、マグネシウムイオン、サポニン、緩衝成分、その他の成分(例えば、培養細胞の溶解に必要な界面活性剤、グリセリン、BSA、キレート剤など)それぞれを使用時の溶液と同じ濃度となるように水に溶解した水溶液(これを試薬Bとする)とに分けて、凍結乾燥品(試薬A)を冷凍保存、また水溶液(試薬B)を冷蔵または冷凍保存するとよい。この場合、試薬Bを十分に室温に戻した後、試薬Aに加えて溶解し、溶液状態にしてから、使用するとよい。また、上記成分を2種類の培養細胞溶解試薬と発光試薬とに分割し、検体で発光反応を行わせる際に、全ての成分が混合されるような形態を取ることもできる。例えば、フッ化ナトリウムとサポニンを培養細胞溶解試薬の成分とし、且つピロリン酸および/またはピロリン酸塩あるいはCoA、ルシフェリン、アデノシン三リン酸及びマグネシウムイオンの他、α−シクロデキストリン、還元剤、緩衝成分を発光試薬の成分とした形態を取ることができる。あるいは、ピロリン酸および/またはピロリン酸塩あるいはCoA、ルシフェリン、アデノシン三リン酸及びマグネシウムイオンの他、α−シクロデキストリン、フッ化ナトリウム、サポニン、還元剤、緩衝成分、などの成分を発光試薬に含んだ形態とすることもできる。本発明の発光試薬は、培養細胞の溶解に必要な成分と発光に必要な成分とを一つの溶液中に含有させる形態(一液系)であってもよいし、培養細胞の溶解に必要な成分を含有する溶液と発光に必要な成分を含有する溶液とを別々に備えた形態(二液系)であってもよい。
本発明の発光試薬における組成の例を以下の表にまとめる。
以上の組成を持つ発光試薬をキット化する場合は、上記組成の溶液を凍結させた1液系の凍結品として供給するとよい。これは-70℃以下で保存し、解凍後十分に室温に戻した後に使用する。また上記成分の内、溶液中では比較的不安定な成分であるルシフェリン、アデノシン三リン酸などを凍結乾燥した試薬Aと、使用直前にその他の成分から成る試薬Bを加え溶解させて使用する2液系の試薬キットとしても供給できる。この場合、凍結乾燥品の試薬Aは-20℃で、また試薬Bは冷蔵(4℃)または冷凍(-20℃)で保存される。
本発明は、本発明の発光試薬を含む発光試薬キットも提供する。本発明のキットは、本発明の発光試薬の他、取扱説明書、大まかな使用法を示した操作法のフローチャートなどを含むとよい。
取扱説明書には、発光反応の概要や測定原理、製品の特徴、保存条件、試薬の調製法ならびに操作法、関連製品、トラブルシューティングなどが記載されているとよい。本発明のキットは、さらに、用途に応じて、標準品となるルシフェラーゼ酵素(ルシフェラーゼアッセイに用いる場合)などを含んでもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
ホタルモドキ科の鉄道虫Phrixothrix hirtus由来の赤色ルシフェラーゼ遺伝子(RED)を発現するpEX-Red、イリオモテボタル科のRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(ROL)遺伝子を発現するpEX-ROL、イリオモテボタル科のRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(ROL)遺伝子の部位特異的変異体の橙色ルシフェラーゼ(ROLO)遺伝子を発現する pEX-ROLO、の3種類の各ルシフェラーゼ発現ベクターのプラスミドを用意した。それぞれの発現ベクターは、市販のピッカジーンコントロールベクター2(製造番号:PGV-C2:東洋インキ製造(株)製)を用い、ベクター上のluc+遺伝子をそれぞれRED、ROL、ROLO遺伝子と置換して調製した。
37℃、5%のCO2の条件下でダルベッコ改変イーグル培地(DMEM, SIGMA社製)/10%ウシ胎児血清(FBS, 日本製薬社製)培地により培養したCOS7細胞を用いた。6wellプレート(NUNC社製 No.140675)にCOS7細胞が3×105 cells/well/2mLとなるよう培養し、リポフェクトアミンプラス試薬(Invitrogen社製)を用いて1μgの各プラスミドをCOS7内に導入(トランスフェクション)した。48時間トランスフェクション後培養した後500μLの細胞溶解剤(0.005%CHAPS/10%グリセロール/2mM CDTA/5mg/mL BSA/20mM HEPES (pH 7.9)を各wellに加え細胞を溶解させルシフェラーゼ酵素を抽出した。室温で5分間静置後、異なるプラスミド3種を発現させた細胞から得られたライセート20μLをルミノメーター(Berthold社製 LB9506)用のキュベットの底部に採った。
多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬として、530μM ATP/470μM ルシフェリン/2mM AED(ジエチルジチオカルバミン酸アンモニウム塩)/5mM MgSO4/0.1%α−シクロデキストリン/0.1mM ピロリン酸カリウム/0.01%サポニン/20mM NaF/100mM トリス−リン酸(pH 8.0)を調製した。3種のプラスミドpEX-Red 、pEX-ROL、pEX-ROLOを細胞導入した哺乳細胞のそれぞれの抽出物(ライセート)20μLに対して、多色発光用のルシフェラーゼ発光測定試薬を各々100μL添加し、ルミノメーター(Berthold社製 LB9506)によって得られる発光反応開始から200秒間における発光強度の経時変化を比較した。さらに対照として、従来広く用いられている「ピッカジーン発光キット(東洋インキ製造株式会社製:製品番号PGL100)」を用いて調製したルシフェラーゼ発光試薬による発光反応も同様に測定し、それぞれの測定値を比較した。
pEX-ROLを発現させて得られたイリオモテボタル由来緑色発光ルシフェラーゼによる発光反応の結果を図1に示すが、「ピッカジーン発光キット」により調製した従来のルシフェラーゼ発光試薬では、発光開始直後に一端減衰し、20秒後から徐々に増加した。発光開始から20秒間で約13%の発光の変動、また30秒後から130秒後の100秒間で6.2%の発光量の変動が確認され、定量的な発光量の測定を可能とする一定な発光強度を示す発光Kineticsが得られなかった。これに対し、多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬による発光反応では、発光反応開始から200秒間においてやや発光強度の増加の傾向もほぼ一定の発光強度が得られ、平均するとその発光量の変動は100秒間で2%であった。
pEX-ROLOを発現させて得られたイリオモテボタル由来橙色発光ルシフェラーゼによる発光反応の結果を図2に示すが、「ピッカジーン発光キット」により調製した従来のルシフェラーゼ発光試薬では、発光開始直後から200秒間まで発光強度が上昇し続ける発光Kineticsが確認され、発光開始から100秒間で約19%の発光強度の変動、さらにそれ以降の100秒間でも7%の発光強度の変動を示し、定量的な発光量の測定を可能とする一定な発光強度を示す発光Kineticsが得られなかった。これに対し、多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬による発光反応では、発光反応開始から200秒間においてほぼ一定の発光強度が得られ、その発光量の変動は平均すると100秒間で1.3%であった。
pEX-Redを発現させて得られた鉄道虫由来赤色発光ルシフェラーゼによる発光反応の結果を図3に示すが、「ピッカジーン発光キット」により調製した従来のルシフェラーゼ発光試薬では、発光開始直後に一端急速に減衰し、その後20秒後から徐々に増加した。発光開始から20秒間で約60%の発光の変動、また30秒後から130秒後の100秒間で約16%の発光量の変動が確認され、定量的な発光量の測定を可能とする一定な発光強度を示す発光Kineticsが得られなかった。これに対し、多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬による発光反応では、発光反応開始から20秒後に急速に減衰するも、その後一定の発光強度が得られ、発光開始30秒後から130秒後までの発光量の変動は100秒間で1.2%であった。
なお、本実施例の実験において、0.01%サポニン及び20mM NaFを多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬に添加しないで、その代わりに細胞溶解剤に添加した場合(この際には、CHAPSを細胞溶解剤に添加しなくてもよい)にも、同様の結果が得られる。
実施例1と同様にして、ホタルモドキ科の鉄道虫Phrixothrix hirtus由来の赤色ルシフェラーゼ遺伝子(RED)を発現するpEX-Red、イリオモテボタル科のRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(ROL)遺伝子を発現するpEX-ROL、イリオモテボタル科のRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(ROL)遺伝子の部位特異的変異体の橙色ルシフェラーゼ(ROLO)遺伝子を発現する pEX-ROLO、の3種類の各ルシフェラーゼ発現ベクターのプラスミドを用意した。
37℃、5%のCO2の条件下でダルベッコ改変イーグル培地(DMEM, SIGMA社製)/10%ウシ胎児血清(FBS, 日本製薬社製)培地により培養したCOS7細胞を用いた。6wellプレート(NUNC社製 No.140675)にCOS7細胞が3×105 cells/well/2mLとなるよう培養し、リポフェクトアミンプラス試薬(Invitrogen社製)を用いて1μgの各プラスミドをCOS7内に導入(トランスフェクション)した。48時間培養した後500μLの細胞溶解剤(0.005%CHAPS/10%グリセロール/2mM CDTA/5mg/mL BSA/20mM HEPES (pH 7.9)を各wellに加え細胞を溶解させルシフェラーゼ酵素を抽出した。室温で5分間静置後、異なるプラスミド3種を発現させた細胞から得られたライセート20μLをルミノメーター(Berthold社製 LB9506)用のキュベットの底部に採った。
多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬(1)として、530μM ATP/470μM ルシフェリン/2mM AED/5mM MgSO4/0.1%α−シクロデキストリン/0.1mM ピロリン酸カリウム/0.01%サポニン/20mM NaF/100mM トリス−リン酸(pH 8.0)と、多色発光ルシフェラーゼ発光試薬(2)として、530μM ATP/1mM ルシフェリン/2mM AED/15mM MgSO4/0.5%α−シクロデキストリン/0.1mM ピロリン酸カリウム/0.01%サポニン/20mM NaF/100mM HEPES(pH 8.0)を調製した。3種のプラスミドpEX-Red 、pEX-ROL、pEX-ROLOを細胞導入した哺乳細胞のそれぞれの抽出物(ライセート)20μLに対して、多色発光用のルシフェラーゼ発光測定試薬を各々100μL添加し、ルミノメーター(Berthold社製 LB9506)によって得られる発光反応開始から200秒間における発光強度の経時変化を比較した(図4)。
発光試薬(1)と発光試薬(2)とでは、同様の発光反応Kineticsが確認されたが、3種のルシフェラーゼによる発光強度が異なる結果を得た。すなわち、発光試薬(1)による発光反応における発光強度比は、およそ緑色:橙色:赤色=1:8:17であったのに対し、発光試薬(2)による発光反応における発光強度比は、およそ緑色:橙色:赤色=1:12:50と大きな幅を持つことが確認され、安定な発光Kineticsを維持させながら、それぞれの発光強度比を制御することができた。
なお、本実施例の実験において、0.01%サポニン及び20mM NaFを多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬に添加しないで、その代わりに細胞溶解剤に添加した場合(この際には、CHAPSを細胞溶解剤に添加しなくてもよい)にも、同様の結果が得られる。
ホタルモドキ科の鉄道虫Phrixothrix hirtus由来の赤色ルシフェラーゼ遺伝子(RED)、イリオモテボタル科のRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(ROL)遺伝子、イリオモテボタル科のRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(ROL)遺伝子の部位特異的変異体の橙色ルシフェラーゼ(ROLO)遺伝子を、それぞれバキュロウイルス/カイコによるタンパク発現システム(片倉工業株式会社のSuperworm System)を利用し、それぞれ3種類のカイコ産生ルシフェラーゼ粗酵素標品を得た。
3種類のカイコ産生ルシフェラーゼ粗酵素標品を、細胞溶解剤(0.005% CHAPS/10%グリセロール/2mM CDTA/5mg/mL BSA/20mM HEPES (pH 7.9)を用い、10倍、100倍、1,000倍、10,000倍に段階希釈した酵素溶液を調製し、それぞれ20μLをルミノメーター(Berthold社製 LB9506)用のキュベットの底部に採った。
多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬として、530μM ATP/470μM ルシフェリン/2mM AED/5mM MgSO4/0.1%α−シクロデキストリン/0.1mM ピロリン酸カリウム/0.01%サポニン/20mM NaF/100mM トリス−リン酸(pH 8.0)を調製した。3種類のカイコ産生ルシフェラーゼ粗酵素標品を10倍、100倍、1,000倍、10,000倍に段階希釈した20μLに対して、多色発光用のルシフェラーゼ発光測定試薬を各々100μL添加し、ルミノメーター(Berthold社製 LB9506)によって得られる発光反応開始から20秒後の20秒間における積算発光量を計測した。続いて、得られた20秒間における積算発光量とカイコ産生酵素標品の希釈倍率とをそれぞれプロットし、個々の発光反応における定量性を確認した。
段階希釈したROLカイコ産生酵素標品による発光量をプロットした結果を図5に示す。緑色ルシフェラーゼの酵素標品では、10倍(0.1)から10,000倍(0.0001)における希釈倍率と発光量は高い相関を示した。
また段階希釈したROLOカイコ産生酵素標品による発光量をプロットした結果を図6に示す。橙色ルシフェラーゼの酵素標品では、10倍(0.1)から10,000倍(0.0001)における希釈倍率と発光量は高い相関を示した。
さらに段階希釈したREDカイコ産生酵素標品による発光量をプロットした結果を図7に示す。赤色ルシフェラーゼの酵素標品では、10倍(0.1)から1,000倍(0.001)における希釈倍率と発光量は高い相関を示した。
実施例1と同様にして、ホタルモドキ科の鉄道虫Phrixothrix hirtus由来の赤色ルシフェラーゼ遺伝子(RED)を発現するpEX-Red、イリオモテボタル科のRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(ROL)遺伝子を発現するpEX-ROL、イリオモテボタル科のRhagophthalmidae Ohbai 由来の緑色ルシフェラーゼ(ROL)遺伝子の部位特異的変異体の橙色ルシフェラーゼ(ROLO)遺伝子を発現する pEX-ROLO、の3種類の各ルシフェラーゼ発現ベクターのプラスミドを用意した。
37℃、5%のCO2の条件下でダルベッコ改変イーグル培地(DMEM, SIGMA社製)/10%ウシ胎児血清(FBS, 日本製薬社製)培地により培養したNIH3T3細胞を用いた。24wellプレート(NUNC社製 No.140675)にNIH3T3細胞が2×104 cells/well/500μL となるよう培養し、リポフェクトアミンプラス試薬(Invitrogen社製)を用いて400ngの各プラスミドをNIH3T3内に導入(トランスフェクション)した。48時間培養した後300μLの細胞溶解剤(0.005%CHAPS/10%グリセロール/2mM CDTA/5mg/mL BSA/20mM HEPES (pH 7.9)を各wellに加え細胞を溶解させルシフェラーゼ酵素を抽出した。室温で5分間静置後、異なるプラスミド3種を発現させた細胞から得られたライセートを以下のとおり混合させた。
(1)緑色ルシフェラーゼをコントロールとした系
緑色:赤色:橙色=100:1:100
緑色:赤色:橙色=100:10:10
緑色:赤色:橙色=100:100:1
(2)橙色ルシフェラーゼをコントロールとした系
緑色:赤色:橙色=1:100:100
緑色:赤色:橙色=10:10:100
緑色:赤色:橙色=100:1:100
(3)赤色ルシフェラーゼをコントロールとした系
緑色:赤色:橙色=1:100:100
緑色:赤色:橙色=10:100:10
緑色:赤色:橙色=100:100:1
混合したライゼート20μLをルミノメーター(アトー社製 ルミネッセンサーMCA AB-2250型)用のキュベットの底部に採った。
多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬として、530μM ATP/470μM ルシフェリン/2mM AED/5mM MgSO4/0.1%α−シクロデキストリン/0.1mM ピロリン酸カリウム/0.01%サポニン/20mM NaF/100mM トリス−リン酸(pH 8.0)を調製した。3種のプラスミドpEX-Red 、pEX-ROL、pEX-ROLOを細胞導入した哺乳細胞のそれぞれの抽出物(ライセート)20μLに対して、多色発光用のルシフェラーゼ発光測定試薬を各々100μL添加し、ルミノメーター(アトー社製 ルミネッセンサーMCA AB-2250型)によって得られる色分割された30秒間における発光量を計測し、それぞれ希釈したライセートが定量性を持って測定可能かどうかを確認した。その際、緑色をコントロールとして赤色及び橙色の定量性測定した結果を図8に、また橙色をコントロールとして緑色及び赤色の定量性を測定した結果を図9に、さらに赤色をコントロールとして緑色及ぶ橙色の定量性を測定した結果を図10に、それぞれ示した。
緑、橙、赤の各色のルシフェラーゼをコントロールとした場合でも、同時に発光させた反応系で他の2色による発光量を、3桁にわたり色識別かつ定量できることが確認された。
なお、本実施例の実験において、0.01%サポニン及び20mM NaFを多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬に添加しないで、その代わりに細胞溶解剤に添加した場合(この際には、CHAPSを細胞溶解剤に添加しなくてもよい)にも、同様の結果が得られる。
37℃、5%のCO2の条件下でHam’s F-12培地(GIBCO社製)/10%ウシ胎児血清(FBS, 日本製薬社製)培地により培養したCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)を用いた。96wellプレート(Corning社製 No.3610)にCHO細胞が2×104 cells/well/100μLとなるよう培養し、リポフェクトアミンプラス試薬(Invitrogen社製)を用いて200 ngの3種のプラスミドpEX-Red 、pEX-ROL、pEX-ROLO各プラスミドをCHO細胞に導入(トランスフェクション)した。トランスフェクション後24時間培養したCHO細胞培養液に対して、100μLの1液系多色発光用のルシフェラーゼ発光試薬〔1.06 mM ATP/1.88 mM ルシフェリン/540μM CoA/4.9 mM DTT(ジチオスレイトール)/5.34 mM MgSO4/7.5%α−シクロデキストリン/0.01% Triton X-100/100mM トリス−塩酸(pH 7.8)〕を添加した。次に、96well プレートをプレート振とう器(TAITEC社製TAIYO MICRO MIXER S-5)を用いて5分間96well プレートの撹拌操作を行った後、ルミノメーター(Berthold社製 LB96V)によって得られる発光反応開始から130分間における3色(緑色、橙色、赤色)の発光強度の経時変化を比較した結果を図11に示した。発光半減期は、緑色、橙色、赤色でそれぞれ4.5時間、2.25時間、2.5時間となる結果を得た。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
本発明の多色発光同時測定用ルシフェラーゼ発光方法は、発光反応を1回行うだけで発光色の異なる複数のシフェラーゼによる発光量が同時に測定でき、従来の2倍から3倍のシグナルを得る高機能化されたルシフェラーゼアッセイなどに利用できる。従って、本発明の多色発光同時測定用ルシフェラーゼ発光方法を利用することにより、マルチ遺伝子の転写活性の同時測定を簡便に行うことができる。

Claims (16)

  1. 緑色発光ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも2種のルシフェラーゼによる発光反応において、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させることにより、発光測定期間内の90秒間における発光強度の変動が10%以下である発光を生ぜしめることを特徴とする、ルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
  2. ピロリン酸および/またはピロリン酸塩、アデノシン三リン酸及びマグネシウムイオンの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項1記載の方法。
  3. α−シクロデキストリンの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項2記載の方法。
  4. フッ化ナトリウムの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項2又は3記載の方法。
  5. サポニンの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 緩衝成分の存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 還元剤の存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項2〜6のいずれかに記載の方法。
  8. CoA、アデノシン三リン酸及びマグネシウムイオンの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項1記載の方法。
  9. α−シクロデキストリンの存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項8記載の方法。
  10. 緩衝成分の存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項8又は9記載の方法。
  11. 還元剤の存在下で、の存在下で、ルシフェラーゼをルシフェリンと反応させる請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 緑色ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも2種のルシフェラーゼの各々による発光反応の発光強度を比較したときに、どの2つの組み合わせについても、発光強度比が1:1〜1:200の範囲内にある、請求項1〜11のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
  13. 緑色発光ルシフェラーゼ、橙色ルシフェラーゼ及び赤色ルシフェラーゼからなる群より選択される少なくとも1種のルシフェラーゼによる発光反応における発光半減期が2時間以上である、請求項1〜12のいずれかに記載のルシフェリン/ルシフェラーゼの発光方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の方法を利用して、試料中のルシフェラーゼ量を測定する方法。
  15. 2種のルシフェラーゼ量を色識別により測定する、請求項14記載の方法。
  16. 3種のルシフェラーゼ量を色識別により測定する、請求項14記載の方法。
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