JP2012163526A - 測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光音響ミラーを用いる測定装置において、光軸と音響センサの注目領域のずれを抑制する。
【解決手段】光源と、光源からの光を導く光学系と、光学系から照射された光を被検体に透過させ、透過した光を吸収した被検体から発生する音響波を、被検体の方向とは別の方向に反射する光音響ミラーと、光音響ミラーにより反射された音響波を取得する音響トランスデューサと、光音響ミラーを透過した光が、被検体において音響トランスデューサによる音響波取得対象領域に照射されるように、光学系から光音響ミラーに照射される光の光音響ミラーに対する角度または位置の少なくともいずれか一方を調整する調整機構を有する測定装置を用いる。
【選択図】図3

Description

本発明は、光音響ミラーを有する測定装置に関する。
腫瘍や動脈硬化などの疾病増加が社会的に大きな課題となっている。このような疾病の有無を診断するために、X線CTやPET−CTなどの侵襲的な生体の画像化装置を用いた測定法が実用化されているが、より低侵襲な測定法が求められている。より低侵襲な測定法の候補として、光音響トモグラフィ(PhotoAcoustic Tomography:PAT)が挙げられる。これは、レーザ光などを被検体に照射したときに発生する音響波を検出し、画像データ化する手法である。
また、細胞やマウスの血管や脳など小動物臓器を観察するための光音響顕微鏡(PhotoAcoustic Microscopy:PAM)も開発されている。非特許文献1には反射型顕微鏡が提示されている。
一般の光学顕微鏡同様、光音響顕微鏡においても不透明な観察対象の場合には反射型を用いる。光学顕微鏡の場合には反射や複屈折を利用したハーフミラーが用いられるが、光音響顕微鏡においては、これに相当する部品として、光音響ミラーを用いる方法が非特許文献1で提案されている。
光音響ミラーを用いて光照射によって発生した反射音響を光軸外に屈折させることにより、光軸内に音響トランスデューサを設置する必要がなくなる。
光音響トモグラフィや光音響顕微鏡のような光音響計測は、均一な分布、あるいは既知の分布を持った光の中に存在する光吸収係数分布を計測する手段である。しかし、光軸内に音響トランスデューサが存在すると、その影ができ、また光量分布の変化が生じ、結果として観察対象に均一な光を照射することができない。よって、非特許文献1のように光音響ミラーを用いるのが好ましい。
一方、上記した光音響ミラーを用いない次善の方策として、コンフォーカルレンズや光ファイバーを用いて音響トランスデューサの周囲から観察対象に光を照射する方法も提案されている。しかし、観察点に光の焦点や光軸を一致させることは困難であり、またコンフォーカルレンズは高価である上に、音響トランスデューサを取り囲んで配置するため装置が大型化するという問題があった。また、コンフォーカルレンズや光ファイバーにおいては観察対象に応じて光の波長を変えるときには、焦点や光軸がずれるため、設計見直しが必要であるという問題もあった。
光音響ミラーに関しては、非特許文献2にも詳細に記載されている。
図2に示すように、この文献では、光音響ミラーは同種の、断面が直角二等辺三角形の三角プリズム201、202を対向させ、その間にシリコーンオイル層203を入れた構成である。三角プリズムを2個使う理由は、音響ミラーの前後で入射光軸と出射光軸を平行に保つためである。
光Lは1つめの三角プリズム201とシリコーンオイル層203との界面で屈折し、シリコーンオイル層203ともう1つの三角プリズム202との界面で逆方向に屈折し、結果として音響ミラー前後で入射光軸と出射光軸は平行にずれる。位置ずれ量は、三角プリズムおよびシリコーンオイル層の屈折率、ならびに三角プリズムサイズとシリコーンオイル層厚さによって決まる。
非特許文献1によれば、光音響ミラーの作用として、音響については、ガラスとシリコ
ーンオイルとの音響インピーダンス差で反射させると記載されている。
また、非特許文献1では、シリコーンオイル層の厚さが、100μmと記載されている。これは音波を屈折させるためには音波の波長以上の厚さが必要であり、例えば音速1000m/secのシリコーンオイル中では75MHzの超音波の1波長は13μmであるため、シ
リコーンオイル層を100μmとしている。
"Optical-Resolution Confocal Photoacoustic Microscopy"",Lihong V. Wang他、Proc. of SPIE Vol. 6856, 68561I, (2008) OPTICS LETTERS, Vol. 33, No. 9, 929, (2008)
しかし光音響計測では広帯域の超音波が発生するため、例えば1MHzの超音波は波長が1mmであるため、この帯域の超音波を反射・屈折させるためには数mmの厚さが必要となる。よって、非特許文献1では75MHzの超音波を観測することができるが、低周波の音波、例えば1MHzの音波を音響トランスデューサで観測することはできない。
また、シリコーンオイル層が数mmの厚さとなると、三角プリズムとシリコーンオイル界面での屈折による光軸のずれが無視できない程度に大きくなる。
ここで、光音響ミラーの構成について検討する。
光音響ミラーの第一の候補を図1(a)に示す。これは異種の2つの三角プリズム101、102を貼り合せたキュービックプリズムであって、結果として2つの三角プリズム内での音速(音響インピーダンス)が異なるものである。ここでは直角二等辺三角プリズムを例としてあげた。
このような光音響ミラーを、低音響インピーダンスの三角プリズムを下側にして設置する。そして更にその下に、水(あるいはウォーターバッグ)を介して被検体を配置する。また、高音響インピーダンスの三角プリズムを上側にして空気に接するように設置し、光の入射面とする。さらに、被検体から発した音響波が、2つの三角プリズムの接合面で反射される音響波を、低音響インピーダンス三角プリズムの水に接していない面に配置された音響トランスデューサで音響測定する。
このような光音響ミラーであれば、上面から入射した光は2つの三角プリズムの接合面で屈折するものの、ほぼ直進し、被検体に略垂直に照射される。そして光エネルギーを吸収した被検体から発生した音響波は、2つの三角プリズムの接合面で反射し、音響トランスデューサに入射する。
光音響ミラーの第二の候補を図1(b)に示す。これは1つの三角プリズム103のみを水104の中に設置したものである。この場合には、水と接しない上面から入射した光は、被検体に照射される際に、三角プリズムと水との屈折率差により界面105で屈折する。被検体から発した音響波は、水と三角プリズムの界面105で反射し、音響トランスデューサに入射する。
一般には、第一の候補にあるような光音響ミラーを選択することにより、屈折の影響を最小限にさせることが多い。しかし、第一の候補では、音波が下側の三角プリズムに入射するときの界面での反射や、下側の三角プリズム内での減衰が避けられない。この要素を
重視する場合、第二の候補のような構成とすることで、微弱な光音響波まで観測することもできる。
すなわち、光音響ミラーを第二の候補の構成とすると、第一の候補と比較して、感度としては優位であるものの、光と水との界面において光が屈折する影響が大きくなるという問題があった。
一方、第一の候補の光音響ミラーを用いれば、第二の候補と比べれば、屈折の影響は抑制できる。それでも、光ビーム面内の光強度分布がある場合や、フォーカス型の音響探触子を用いて微小領域を観察する場合には、屈折の影響が無視できず、最大感度で光音響を観測できないという問題があった。
例えば、光ビームの強度がガウシアン分布に従い、ビーム中心が強くて周辺部が弱くなる場合には、屈折により被検体への入射位置が光入射側の三角プリズム中心の鉛直下からずれる。その結果、音響センサの位置によって決まる注目領域(音響波の発生位置)と光軸中心がずれる。
また、例えば、フォーカス型の音響探触子において、探触子中心軸感度に対して実効的な音響ビーム径(BD)を定めたとする(例えば−6dBの範囲)。この範囲に光軸があ
るときに最大感度を得られるが、屈折によってこの範囲から光軸がずれると最大感度で光音響を観測できない。
また、温度変化による屈折率変化や光音響計測に用いる光の波長を変更する場合には光の屈折が変化してしまうため、光軸がずれて、最大感度で音響波を観測できないという問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、光音響ミラーを用いる測定装置において、光軸と音響センサの注目領域のずれを抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、光源と、前記光源からの光を導く光学系と、前記光学系から照射された光を被検体に透過させ、当該透過した光を吸収した被検体から発生する音響波を、前記被検体の方向とは別の方向に反射する光音響ミラーと、前記光音響ミラーにより反射された音響波を取得する音響トランスデューサと、前記光音響ミラーを透過した光が、被検体において音響トランスデューサによる音響波取得対象領域に照射されるように、前記光学系から前記光音響ミラーに照射される光の前記光音響ミラーに対する角度または位置の少なくともいずれか一方を調整する調整機構と、を有することを特徴とする測定装置である。
本発明によれば、光音響ミラーを用いる測定装置において、光軸と音響センサの注目領域のずれを抑制することができる。
本発明の光音響ミラーの模式図。 従来の光音響ミラーの模式図。 本発明の測定装置の模式図。 光軸補正における信号強度の変化を示す図。 本発明の光音響ミラーの別の模式図。 光音響ミラーにおける光の屈折の模式図。 光音響ミラーにおける光の屈折の別の模式図。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態を説明する。本発明は、光音響ミラーを用いた光音響顕微鏡のような測定装置(光音響装置)が適用対象である。かかる測定装置において、光音響ミラーの光学特性や音響特性に由来する光軸と被検体の注目領域(音響トランスデューサの音響波取得対象領域)とのずれを補正することが特徴となる。
(2つの三角プリズムを用いた光音響ミラー)
まず、光音響ミラーとして、2つの三角プリズムを接合し組み合わせた例を説明する。
(光音響ミラーを構成する三角プリズム)
本発明に好適な2つの三角プリズムの組合せは、音速あるいは音響インピーダンスの差が大きな材質である。便宜的に2つの三角プリズムのうち光が入射する側(通常上側に置く)を光入射側三角プリズム、もう一方(下側)を光出射側三角プリズムとする。光出射側三角プリズムは、音響波入射・出射側三角プリズムでもある。光入射側三角プリズムの面に垂直入射した光はその中を直進し、光出射側三角プリズムに、界面の垂線に対して45°の角度で入射する。
(三角プリズムの光学特性)
スネルの法則から屈折角θ2は屈折率比n1/n2で決定され、θ2 = sin-1(sin45°・n1/n2)である。三角関数では近似が使われることが多く、(n1/n2)が1に近似できるときに
はθ2 =45°となる。(n1/n2)が1.1乃至0.9の範囲で1と近似が成り立ち、すなわち(n1/n2)屈折率比が1±0.1の範囲であれば光はほぼ直進するとみなせる。例えば、光入射側三
角プリズムにガラス(屈折率1.52)を、光出射側三角プリズムにアクリル(屈折率1.49)を用いた場合、屈折率比は1.02となり、屈折角θ2 は46.2°である。これは、三角プリズムのa=30mmの場合に、光出射面において0.6 mmのずれ量となる。
また、光出射側三角プリズムとして、アクリルの代わりにPTFEを用いれば、PTFE中を10mm進むと光軸は1.36mmずれる。
レーザビーム光源ではビーム径が10mm程度なので、上記のガラスとアクリル、ガラスとPTFEの組み合わせであれば、実用的な観点から光は直進すると近似してよい。
しかし、2つの三角プリズムの組み合わせによっては屈折によるずれ量が大きくなることがある。
例えば、フッ素系ポリマーは低屈折率であることが知られている。光入射側三角プリズムにガラス(屈折率1.52)を利用し、光出射側三角プリズムにポリ4フッ化エチレン(PTFE)(屈折率1.35)を用いた場合、屈折率比は1.12となり、屈折角θ2 は52.8°である。これは、三角プリズムのa=30mmの場合に、光出射面において4.1 mmのずれ量となる。
(三角プリズムの音響特性)
音響の総合効率は以下3つの界面を考察した。(1)光音響効果により発生し水中を伝搬した音波が光音響ミラーへの入射界面で反射されるロスを減じた音波透過効率である。(2)アクリルとガラス界面に45°入射した音波の反射効率である。(3)光音響ミラーから水(あるいは超音波ゲルなど)への出射界面で反射されるロスを減じた音波透過効率、および光音響ミラー内での伝搬に伴う減衰である。これらは、各材質の音響特性より、以下のとおり計算できる。
(1)水からアクリルへの入射界面において、透過率=63%である。
(2)アクリルからガラス界面への45°入射において、反射率=100 %である。
(3)アクリルから水への出射界面において、透過率=63%である。
以上の(1)〜(3)を掛け合わせると、効率はトータルで40%となる。これに、アクリルの減衰係数1.1(dB/cm/MHz)を掛けると、効率は27%となる。なお、この計算は音響波の周波数は1MHzの時である。
(光音響ミラーならびにその形成方法)
上記、直角二等辺三角形プリズムを例に、光音響ミラーならびにその形成方法について詳述する。本発明の光音響ミラーを2つの三角プリズムで構成する場合、異種の2つの三角プリズムを貼り合せたキュービックプリズムとなる。そして、音響波を反射させて音響トランスデューサに導くために、2つの三角プリズム内での音速あるいは音響インピーダンスが所定の条件範囲で異なるものとする。
直角二等辺三角形プリズムの辺および面を、図1(c)のように記号で表す。
すなわち、二等辺をa、b、(a=b、辺aと辺bの挟角が90°を頂角とする)、頂角に対向す
る底辺をcとし、プリズムの高さをdとする。辺で囲まれた面は、底面をcd面、稜面をad面およびbd面、直角二等辺三角形をab面と表す。
本発明における光音響ミラーの第一候補は異種の2つの三角プリズムのcd面同士を接合させて構成された直方体で、特に好ましくは立方体(キュービック)である。直角二等辺三角形プリズム同士を組み合わせれば直方体となる。異種材料で、特に片方が樹脂素材の場合には鏡面研磨の精度を出すことが難しいため、cd面同士の接合面でオプティカルコンタクトを達成することは一般に困難である。本発明では、三角プリズムの組み合わせに応じて、以下のような接合方法から最適な方法を選択して三角プリズムから光音響ミラーを形成した。
(熱接合)
ガラスや石英のようなλ/2乃至λ/4の面精度で鏡面仕上げが可能な三角プリズムと、アクリルのような熱可塑性を有する樹脂素材の三角プリズムとを組合せる場合、以下のように形成する。
あらかじめ、ガラスや石英の三角プリズムを加熱して、樹脂素材の三角プリズムのガラス転移点以上の温度とする。そして、樹脂素材の三角プリズムを、ガラスや石英の三角プリズムに押し付ける。樹脂素材の三角プリズムは表面がガラス状態となり、ガラスや石英の三角プリズムの面精度でコンタクトが可能となる。
(溶剤接合)
ガラスや石英製の三角プリズムと、適当な溶媒に可溶、特に好ましくは微溶な、樹脂素材の三角プリズムは、以下のように接合する。
ガラスや石英の三角プリズムのcd面上に、樹脂素材の三角プリズムの溶剤をあらかじめ展開させておく。そして、その溶剤の上に樹脂素材の三角プリズムを押し付ける。溶剤により樹脂素材の三角プリズム表面が溶解し、ガラスや石英の三角プリズムの面精度でコンタクトが可能となる。
(光硬化樹脂接合)
接合しようとする2つの三角プリズムの間に、あらかじめ光硬化樹脂を塗布しておく。そして、ad面もしくはbd面から光、特に好ましくは紫外線を照射することにより、接合面が樹脂で固定される。この場合、光硬化樹脂層が厚いと接合面で光軸がずれるため、光硬化樹脂層の厚さは100μm以下が好ましく、特に薄いほど好ましい。
なお、三角プリズムから光音響ミラーを形成する接合方法は上記3つの方法に限定されない。
上述したように、従来技術のシリコーンオイル層の厚さ100μmでは、75MHzの超音
波を観測することができるが、低周波、例えば1MHzの音響トランスデューサで観測することはできない。一方低周波音波を反射可能とするためシリコーンオイル層を数mmの厚さとすると、三角プリズムとシリコーンオイル界面での屈折による光軸のずれが大きくなる。
一方、上記のように2つの異種の三角プリズムを熱や溶剤で直接接合すれば、屈折による光軸のずれを抑制できる。また直接接合でなく、光硬化樹脂層を用いる場合でも、厚さを100μm以下とすることが可能で、光軸のずれは実用上無視できる範囲である。その場
合、光硬化樹脂層の厚さは薄ければ薄いほど、光軸がずれずに好ましい。なお、被検体からの音響波は接合面において反射するため、光硬化樹脂層が薄くても音響特性には影響を及ぼさない。
(その他の屈折率変化要因)
また、ガラスやアクリルは分光プリズムとして用いられていることから明らかなように、波長分散性(波長依存性)があることが知られている。したがって、被検体中の観察目標物に応じて照射する光の波長を変えた場合、光軸についても計算値が変化することが考えられる。
また、アクリル等に関して、温度による屈折率の変化があることも既知である。すなわち、光音響を観測する光の波長やプリズムの温度が変われば、屈折率が変化する。その結果、音響センサの位置によって決まる注目領域(音響波の発生位置)と光軸とのずれが生じる。
(1つの三角プリズムを用いた光音響ミラー)
以上述べたような、2つの三角プリズムを用いた光音響ミラーに限らず、水等に入った三角プリズムを一つだけ有する光音響ミラーも本発明の対象である。この場合でも水と三角プリズムの界面での屈折による光軸ずれは問題となるので、本発明の光軸調整機構を適用できる。
上記のような、主に光の屈折に関する各種の要因によって、音響センサの位置によって決まる注目領域(音響波の発生位置)と光軸とのずれが生じる。本発明はこれを調整する機構を有する測定装置に関するものである。
(光音響ミラーを用いた測定装置)
詳細は実施例に記載するが、本発明の測定装置は、被検体から音響を発生させるための光源、照射光が屈折透過しかつ音波が反射する光/音分離面を有する光音響ミラー、音響検出装置(音響トランスデューサ)を有する。音響トランスデューサは音響波を受信し、音響信号とも呼ばれる電気信号に変換する。
本発明の測定装置は、光音響ミラーへの光軸を調整することを特徴とする。光軸調整とは、すなわち光音響ミラーへと光が入射する角度と位置の少なくともいずれか一方を調整することを指す。そのために例えば、屈折率を考慮した上で、光学系や光音響ミラーを据え付ける位置を決定する方法をとることができる。あるいは、光軸調整機構を用いて角度や位置を微調整可能としても良い。
測定装置はさらに、音響検出装置からの音響信号に各種の調整を施し、解析する信号処理部を有することが好ましい。信号処理により、被検体内部の光吸収特性を反映した画像データを生成することができる。この画像データを表示装置に表示することにより、例えば被検体が人体であれば医療診断に役立てることが可能になる。さらには、照射光に略垂直な面のXYに方向に移動可能な試料台を有することもできる。
<実施例1>
光音響ミラーを用いた測定装置の光軸の補正についてさらに詳細に説明する。
本実施例は光音響ミラーに2つの直角二等辺三角形プリズムを用いる。光入射側三角プリズムとして、ガラスBK7素材を面精度λ/2に鏡面加工した直角二等辺三角プリズムa=b=d=30mm(シグマ光機製RPB-30-2L)を用いた。光出射側三角プリズムとして、アクリ
ル素材を同じ形状に加工し、全面を研磨加工した物を用いた。光音響ミラー加工は上記の溶剤接合方法を用い、ジクロロメタン溶媒を用いて接合した。このときの、光学屈折率の比は1.02、音速の比は3.4である。
(光軸補正量)
上記光音響ミラーを用いたときの光屈折を補正するために、音響センサの位置によって決まる注目領域(音響波の発生位置)と光音響ミラーから被検体への光照射位置を一致させる。
図6を参照しつつ、2つの三角プリズムに関する音響特性と、それから導かれる光軸補正値を検討する。
図6において、上側からの入射光が屈折する方向をX軸とし、光入射側プリズムの直角側を−X方向、鋭角側を+X方向とする。X軸と直交する光入射側プリズム面内にY軸をとり、XY軸に直交する軸をZ軸と設定する。Z軸は光の進行方向を正とし、座標軸は右手系とする。
このような光音響ミラーにおいて、光入射側三角プリズム101はガラスプリズムで屈折率1.45、光出射側三角プリズム102はアクリルプリズムで屈折率1.49とする。また、空気の屈折率は1.00、水の屈折率は1.33である。
このとき、被検体の注目領域に十分な強度で光照射するために、光Lがガラス(屈折率n1)からアクリル(屈折率n2)に出る際の屈折角θt-g/acr=45.0°とすることを考える。ガラスからアクリルへの入射角はθi-g/acrである。斜入射条件はスネルの法則を満足す
ることを考えて計算すると、θi-g/acr=46.6°となる。これより、光が空中からガラスへ入射する時の屈折では、入射角θi-air/g=2.32°となることが求まる。
これを入射面での距離に換算し、30mmガラスプリズムのXY面中心からのoffsetを求めると、X=−0.42mmずれた点が入射位置になる。したがって、30mmプリズムのXY面の中心に対して、光軸の中心を0.42mmずらし、かつ、XY面の垂線に対してX軸方向に−2.32°の入射角になるように、光を入射させれば良いことがわかる。
このように求められた値に基づいて位置と角度が調整された入射光を用いれば、被検体上の注目領域と光の照射位置を合わせることが可能になる。その結果、被検体の注目領域に十分な強度で光を照射できるので、音響トランスデューサが十分な信号強度の音響波を取得可能となる。そのため、信号処理部が良好な画像データを作成できるようになる。その際の調整は、計算により求められた入射角と位置に基づいて、光学系を所定の位置に据え付けることにより実現できる。あるいは後述するような調整機構を用いても良い。
<実施例2>
光音響ミラーが直角二等辺三角形のガラスプリズム(屈折率1.45)のみからなる場合について検討する。この場合には、光出射側三角プリズムとの界面での反射ロスもミラー内部での減衰ロスもないので、光の透過効率が100%である。この場合、ガラスプリズムは
光入射側三角プリズムでもあり、光出射側三角プリズムでもある。
図7において、ガラスプリズム103は水104に入っている。ガラスプリズムから水に出る際の屈折角θt-g/w = 45.0°となることを考える。ここでガラスと水の屈折率をスネルの法則に適用すると、入射角はθi-g/w=40.4°である。これより、空中からガラスプリズムへ入射時の屈折では、入射角θi-air/g=6.63°と求まる。
これを入射面での距離に換算し、30mmガラスプリズムのXY面中心からのoffsetを求めると、X=−1.19mmずれた点が入射位置になる。したがって、30mmプリズムのXY面の中心に対して、光軸の中心を1.19mmずらし、かつ、XY面の垂線に対してX軸方向に6.63°の入射角になるように光を入射させれば良いことがわかる。
このように求められた値に基づいて位置と角度が調整された入射光を用いれば、被検体上の注目領域と光の照射位置を合わせることが可能になる。その結果、被検体の注目領域に十分な強度で光を照射できるので、音響トランスデューサが十分な信号強度の音響波を取得可能となる。そのため、信号処理部が良好な画像データを作成できるようになる。その際の調整は、計算により求められた入射角と位置に基づいて、光学系を所定の位置に据え付けることにより実現できる。あるいは後述するような調整機構を用いても良い。
<比較例1>
比較例として、屈折の影響が大きい実施例2のケースで光軸補正をしなかった場合に、光の強度がどうなるかを検討する。その結果を図4に示す。図4は光照射後に取得された信号の変化を示し、横軸は被検体内の位置に対応する信号到達時間、縦軸は音響トランスデューサが取得した音圧に対応する信号強度である。実線のグラフが光軸と被検体の注目領域(音響波の発生位置)を一致させるため調整した場合であり、点線のグラフが調整を行わなかった場合である。
光軸を調整しない場合とは、光音響ミラーのガラスプリズムのXY面の中心に、光を鉛直入射させた場合である。
結果として、図示したように、注目領域と光軸が一致するよう調整しない場合、調整を行った場合と比べて、光音響効果により発生した音響波の取得された強度は約1/3であった。
<実施例3>
上記実施例で述べたように、光音響ミラーの光入射側三角プリズムに入射する光の入射角、および入射位置を調整する必要がある。本実施例では、入射光の調整方法の一例として、調整機構を用いる方法を説明する。
本実施例では、光の角度を調整するために、光源からの光を導く光学系においてステアリングミラーを配置した。また、光の入射位置を調整するために、Xステージを用いた。
ステアリングミラーとしては、例えば回転軸を持ち、反射面の任意の回転及び固定が可能なジンバルミラーを利用できる。ジンバルミラーは分度器付きのものであれば、調整を用意にする点でさらに好ましい。このようなジンバルミラーにより、XY面の垂線に対する入射角を調整する。
Xステージとしては、微細な距離の移動及び固定ができるものが好ましく、例えばマイクロメータを用いたXステージがある。
このような光軸調整機構を用いれば、光音響ミラーに入射する光の角度と位置を正確に調節でき、被検体の注目領域に十分な強度で光を照射することが可能になる。
<実施例4>
本実施例では、光の入射角および入射位置を調整するための別の機構を説明する。
すなわち、入射位置をずらすための機構として、Xステージに荷載した光ファイバーを用いる。そして、Xステージの移動機構としてマイクロメータを用いる。このようにXステージを用いることにより、光入射位置を自在に調整できる。
また、XY面に対する光入射角を調整するために、光ファイバーのホルダーを傾ける手法を用いる。ホルダーを傾け、固定する方法は既知の様々な手法を用いることができる。
このような光軸調整機構を用いても、光音響ミラーに入射する光の角度と位置を正確に調節でき、被検体の注目領域に十分な強度で光を照射することが可能になる。
<実施例5>
本実施例では、プリズム材質による光軸補正値の違いについて述べる。
実施例2のように、三角プリズムを一つだけ有する光音響ミラーにおいて、ガラスプリズムに代わり、石英製プリズム(屈折率1.51)を用いる。この場合には、光軸補正値は、30mmプリズムのXY面中心に対して、X軸方向に−1.69mmの位置のoffset、およびXY面の垂線に対してX軸方向に+9.8°の入射角となる。
このように、光音響ミラーに用いるプリズムの材質を変えたとしても、その材質の屈折率と、光音響ミラーのサイズおよび形状に基づいて計算を行うことにより、光を入射させる位置および角度を決定することができる。
(その他の光の屈折要因)
上記の各実施例では材質による屈折に対する光軸補正について説明したが、このような入射角および入射位置の補正は、温度変化による屈折の変化にも適用できる。すなわち、温度変化により被検体上の照射位置がずれたことを何らかの手段で検知した場合、そのずれ量に応じて位置や角度を調整すれば良い。
また、波長に応じた屈折の違いに対しても、照射光の波長ごとの屈折率の違いを記憶しておき、入射角および入射位置を計算することができる。
<実施例6>
本実施例では、光音響ミラーを上記のように調整する測定装置(光音響装置)の代表例について、図3を参照しつつ説明する。
(構成)
測定装置は、光302を照射する光源301、ガラスプリズム304aとアクリルプリズム304bを含む光音響ミラー304を有する。光を光音響ミラーに導くために光学系303を設けることが好ましい。光学系は例えばミラー、絞り、拡散板、光ファイバーなどであり、光を所望の形状で光音響ミラーや被検体に導くために用いられる。
本実施例の測定装置は特に、他の光学系と区別して、ステアリングミラー313を有している。ステアリングミラーは光の角度を調整できる。また、光学系とステアリングミラーをホルダー312に含めても良い。
測定装置はさらに、Xステージ314を有する。Xステージはホルダーの位置を微細に制御できるもので、これにより光の光音響ミラーへの照射位置を調整する。
本実施例では、ステアリングミラーおよびXステージを合わせて光軸調整機構とする。光軸調整機構は、本発明の調整機構に相当する。
光源からの光はガラスプリズムの上面から入射し、接合面で屈折しつつアクリルプリズムから出射し、水槽309の水を経て被検体305に照射する。
被験体は安定のためステージ306に載せられていてもよい。また、ステージを移動させ観察位置を変化させるための走査機構307を設けてもよい。
光エネルギーを吸収した被検体からは、音響波310が発生する。水に接しているアクリルプリズム底面が音響波入射面となる。入射した音響波は接合面で反射し、アクリルプリズムの側面から出射する。その音響波を計測可能な位置に、音響トランスデューサ308を配置する。このとき、アクリルプリズムと音響トランスデューサの間に、音響カップリング剤311を配して音響カップリングさせてもよい。音響カップリング剤としては水もしくは超音波ゲルを使用できる。光音響ミラーならびに音響トランスデューサは、光軸をさえぎらないように設計したホルダーに収納してもよい。
(作用)
光音響ミラーは各辺30mmのキュービックプリズムとする。この場合、ガラスプリズム上面(XY面)に略鉛直に落射した光軸を、XY面の中心に対して、X軸方向に+0.42mmだけずれた位置に、XY面の垂線に対してX軸方向に−2.32°の入射角で入射するように、光軸調整機構により調整する。
すると、ガラスプリズムに斜入射した光軸はプリズム同士の接合面まで直進し、46.6°でアクリルプリズムに入射する。光軸中心はアクリルプリズム内を15mm直進し、底面に到達する。底面から出射のとき、光軸調整したことにより、底面の中心位置で、かつ底面に対して垂線方向の光軸となる。そのため、水界面で屈折することなく光は直進透過し、被検体を上から、略垂直に照射する。
被検体が光エネルギーを吸収すると、内部の光吸収体が膨張することで音響波(光音響波)を放出する。音響波は光音響ミラーの方向へ進み、アクリルプリズムの底面から光音響ミラー内部に入射する。
音響波の指向性は被検体の形状などに依存し複雑なため、ここでは簡単のために底面に垂直入射した音波について追跡する。アクリルプリズムの底面に垂直入射した音響波は、伝搬してきた水の音響インピーダンスをz1、アクリルプリズムの音響インピーダンスをz2とする。このとき、水とアクリルプリズムとの界面において反射され、その反射率Rw−acrw−acr= (z2−z1)/(z2+z1)となる。反射されなかった音響波は界面を透過し、その割合は1−Rw−acr =2 z2/(z2+z1)で表される。
音響波はアクリルプリズム内を進行し、略45°の傾斜角で接合面に達する。ここで、アクリルプリズム内の音速をc2、ガラスプリズム内の音速をc1とする。接合面に対して斜入射した音響波は、スネルの法則に従って、屈折角θt=sin-1(c2/c1×sinθi)で屈折する。なお、c2< c1の場合、θtが臨界角θc=sin-1(c2/c1)より大きいときには音響波が全反射
する。実施例1の光音響ミラーの接合界面に対して45°入射した場合は、この臨界角より大きいため全反射する。
アクリルプリズムの音響インピーダンスをz2、ガラスプリズムの音響インピーダンスをz3とする。このとき、斜入射における反射率Racr−g=(Z2・cosθ1-Z1・cosθ2)/(Z1・cosθ2+Z2・cosθ1)となる。
アクリルプリズムとガラスプリズムとの界面で反射した音響波はアクリルプリズム内を進行し、アクリルプリズムの端面(側面)に達する。この端面の、音響波を効率良く計測できる位置に音響トランスデューサを配置する。
音響トランスデューサは単素子でも複数素子でも良い。単素子のものとして例えば、NDT製のV303や、東レ製のH9Cなどを用いることができる。複数素子のものとして例えば、Vermon社製のC360などを用いることができる。
さらに、本発明において光軸のアライメントを実施するため、フォーカス型の音響トラ
ンスデューサを使った場合に、特に効果が顕著である。
このように音響トランスデューサの選択肢が多いのは、光音響ミラーによって光軸から音響波を分離できているので、レイアウトの自由度が高いためである。また、従来の光音響ミラーより感度が高いため、単素子よりも素子サイズが比較的小さいために感度が低い複数素子タイプでも問題なく使えるためでもある。
アクリルプリズムの端面とこれらの音響トランスデューサとを、超音波ゲルを介して音響カップリングさせておけば、音響波を効率よく検知できる。
この操作を、時間的に繰返し、あるいは空間的に繰り返し、音響トランスデューサが検知された信号から、信号処理部が画像データを作成して画像再構成することにより、被検体の画像を構成することができる。
以上のように本実施例の測定装置によれば、光音響ミラー内や水との界面における屈折を調整できるので、被検体の注目領域に十分な強度で光を照射することが可能になり、観察に適した強度で音響波を取得できる。
<実施例7>
本実施例では、実施例2で作製した光音響ミラーを用いて測定装置を作製した。光音響ミラーはガラスプリズムのみを有し、上面の各辺は30mmである。その他の構成および作用は、基本的には実施例6と同様である。
光軸調整機構は、光軸がプリズム上面(XY面)に略鉛直に落射する際に、プリズムのXY面中心に対して、X軸方向に−1.19mmずれ、かつ、XY面の垂線に対してX軸方向に+6.63°の入射角で入射するよう調整する。ガラスプリズムに斜入射した光軸は水との界面まで直進した後、水との界面で再度屈折して、45°で水中に入射する。そして、被検体を直上から照射する。
本実施例では、水中で被検体から発生した音響波が水中を伝搬し、ガラスプリズムの側面に達する。このとき、ガラスプリズムの側面に対して略45°の傾斜角となる。ここで、水中の音速をc2、ガラスプリズム内の音速をc1とする。スネルの法則に従い、屈折角θt=sin-1(c2/c1×sinθi)となる。
なお、c2< c1の場合、θtが臨界角θc=sin-1(c2/c1)より大きいときには音響波が全反
射する。光音響ミラーの水との界面に対して45°入射した場合に、この臨界角より大きいため全反射する。
水の音響インピーダンスをz2、ガラスプリズムの音響インピーダンスをz1とする。このとき水からガラスプリズムへの斜入射における反射率Rw−g=(Z2・cosθ1-Z1・cosθ2)/(Z1・cosθ2+Z2・cosθ1)となる。
水とガラスプリズムとの界面で反射した音響波は水中をさらに進行し、音響トランスデューサに達する。
以上のように本実施例の測定装置によれば、光音響ミラーと水の界面における屈折を調整できるので、被検体の注目領域に十分な強度で光を照射することが可能になり、観察に適した強度で音響波を取得できる。
<実施例8>
本発明において、三角プリズムは直角二等辺三角形を含む三角柱形状に限定されない。このようなプリズムの別の形状の例を、図5を参照しつつ説明する。
本実施例では、図5(a)に示すように、光入射側三角プリズム501として、ガラスBK7素材を面精度λ/10に鏡面加工した、断面が60°の三角プリズム(シグマ光機製DPB-30-10H)を用いた。各辺は、a=b=c=d=30mmである。
また、図5(b)に示すように、光出射側三角プリズム502として、アクリル素材を同じ形状に加工し、cd面を研磨加工した物を用いた。
これら2つのプリズムを溶剤接合により組み合わせて、ガラスプリズムを上側(光入射側)、アクリルプリズムを下側(光出射側)に配置し、図5(c)のような光音響ミラーを形成した。
(光学特性)
ガラスプリズムのad面を水平に配置して基準面(光入射面)とする。波長633nmにおけ
る屈折率n1=1.52のガラスから、屈折率n2=1.49のアクリルへ入射角θi =60°で入射す
る場合、スネルの法則より、屈折角θt=62.1°である。このとき、光音響ミラーのガラ
ス面中心から垂直入射し、アクリル界面で屈折した光軸がアクリル中を15mm進むと、出射の時には0.55mmずれる。そこで本実施例でも、光軸調整機構を用いて光入射角と入射位置を調整した。
(音響特性)
本実施例において光音響ミラーに入射した音波の最大40%を出射できる。
音響の総合効率は以下3つの界面を考察した。(1):光音響効果により発生し水中を伝搬した音波が光音響ミラーへの入射界面で反射されるロスを減じた音波透過効率。(2):アクリルとガラス界面に60°入射した音波の反射効率。(3):光音響ミラーから水(あるいは超音波ゲルなど)への出射界面で反射されるロスを減じた音波透過効率である。
それぞれの音響特性計算値は、以下のとおりである。
(1)水からアクリルへの入射界面に関しては、実施例1と同様に垂直入射なので、反射率=37%、よって、透過率=63%である。
(2)アクリルからガラス界面への60°入射において、θt =sin-1(c2/c1×sinθi)=sin-1(5100/1500×0.866)となり、臨界角を越えて60°で入射した音波は全反射する。よっ
て、反射率=100 %である。
(3)アクリルから水への出射界面に関しても、反射率= 37%、よって、透過率=63%と
なる。
以上の(1)〜(3)を掛け合わせると、トータルで音響効率は40%となる。
なお、本実施例の光音響ミラー形状であれば、媒質1と媒質2との音速比が小さい範囲まで全反射条件を満足するため、プリズムの材質の選択幅が広がる。
60°入射の場合の臨界角条件は上記θt=sin-1(c2/ c1×sinθi)=sin-1(c2/c1×0.866)
が90°となるとき、すなわち媒質2と媒質1との音速比が1.15以上を満足するときである。
本実施例のようなプリズム形状の測定装置においても、光入射角と入射位置を調節することにより、被検体の注目領域に光を効果的に導くことができる。その結果、音響トランスデューサにより良好な強度で音響波を取得でき、画像データを良好に作成できる。入射各および位置を調整するために、計算により求められた光の入射各および位置に基づいて所定の位置に光学系を据え付ける方法を用いても良い。あるいは、測定装置に光軸調整機構を具備させても良い。
<実施例9>
本実施例では、上記した各実施例の方法に加えて、さらに光軸の微調整を行う方法について説明する。
測定装置に、被検体を載せるためのステージを設ける。そして、実際に被検体測定を行う前に、ステージ上に標準サンプルを置き、光音響計測を行う。標準サンプルとしては、屈折光および補正光が届く範囲以上の大きさを有し、かつXY面内で実質的に均一な光吸収係数を有するものを用いる。
標準サンプルに対する光音響計測の目的は、音響強度が最大となる光軸の微調整を行うことである。つまり、標準サンプルは均一な光吸収係数を有するので、光軸が屈折した状態でも音響は発生する。ただし、音響センサの位置によって決まる注目領域(音響波の発生位置)と光軸が一致したときに音響波の強度は最大となる。そこで、標準サンプルをステージに置いた状態で光音響ミラー上面への光の入射位置や角度を微調整しながら光音響計測を行い、信号強度が大きくなる位置を探すことで、光軸の微調整を行うことができる。
301:光源,304:光音響ミラー,305:被検体,308:音響トランスデューサ

Claims (4)

  1. 光源と、
    前記光源からの光を導く光学系と、
    前記光学系から照射された光を被検体に透過させ、当該透過した光を吸収した被検体から発生する音響波を、前記被検体の方向とは別の方向に反射する光音響ミラーと、
    前記光音響ミラーにより反射された音響波を取得する音響トランスデューサと、
    前記光音響ミラーを透過した光が、被検体において音響トランスデューサによる音響波取得対象領域に照射されるように、前記光学系から前記光音響ミラーに照射される光の前記光音響ミラーに対する角度または位置の少なくともいずれか一方を調整する調整機構と、
    を有することを特徴とする測定装置。
  2. 前記調整機構は、前記光学系から前記光音響ミラーに照射される光の前記光音響ミラーに対する角度を調整できるステアリングミラーを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記調整機構は、前記光学系から前記光音響ミラーに照射される光の前記光音響ミラーに対する位置を調整できるXステージを含む
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の測定装置。
  4. 前記光学系は光ファイバーを含んでおり、
    前記調整機構は、前記光ファイバーの角度または位置の少なくともいずれか一方を調整することにより、前記光学系から前記光音響ミラーに照射される光の前記光音響ミラーに対する角度または位置の少なくともいずれか一方を調整する
    ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
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