JP2017047185A - 超音波装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 超音波発生部材からの距離が増加しても、超音波のエネルギーが低下しにくい光超音波誘導型の超音波装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の超音波装置は超音波発生部材13aを有し、超音波発生部材13aは、被検体と超音波受信アレイ17とを音響的に結合するように被検体と超音波受信アレイ17の間に配置された音響液体40に音響的に接し、被検体と超音波受信アレイ17との間に介在するように音響液体40中に張架されたシート状吸光部材である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波を用いて被検体の情報を取得する超音波装置に関する。
レーザーなどの光を被検体外に配置した超音波発生部材に照射して誘発した光音響波(超音波)を被検体に照射し、被検体により散乱された超音波散乱波を受信することで被検体内の情報を画像化する超音波イメージング装置の研究が医療分野で進められている。この技術は、音響波送信素子で電気的に発生させた音響波を送信波として使う通常のパルスエコー型の超音波イメージングと区別するために、光音響誘発型超音波イメージング(Photoacoustic induced Ultrasound Imaging:PA−Induced US)と呼ばれる。光音響誘発型超音波イメージングでは、通常のパルスエコー型の超音波イメージングとは異なり、光源から発生したパルス光を被検体外に配置した超音波発生部材に照射し、それにより誘発された超音波を被検体に照射する。被検体で散乱された超音波を受信し、その受信信号に基づき被検体情報をイメージング(画像化)する点は、光音響誘発型超音波イメージングとパルスエコー型の超音波イメージングとの共通点である。但し、超音波の散乱とは、超音波の反射を含むものとする。
通常、光音響誘発型超音波イメージングでは、被検体で散乱された超音波が超音波発生部材を通過するときに生じる位相遅延などの影響を懸念して、微小球状光吸収体(spherical optical absorber)が用いられる。非特許文献1では、このような微小球状光吸収体として微小カーボン球(Cabon microsphere)を用いることで、広帯域な球面波が発生し、高解像度な超音波イメージが得られることが示されている。
Thomas Felix Fehm,Xose Luis Dean−Ben,Daniel Razansky,"Hybrid optoacoustic and ultrasound imaging in three dimensions and real time by optical excitation of a passive element"、2015年、Proceeding.of SPIE Vol.9323 93232X
しかしながら、非特許文献1には、微小球状光吸収体の具体的な配置方法について記載がない。本発明の発明者らは、微小球状光吸収体の配置方法によっては、微小球状光吸収体やその張架部材に超音波が入射することで縦波成分と伝播速度が異なる横波成分が発生し、伝播されることで、得られる画像の正確性が低下することがあるという課題を見出した。これは、画像化を行わない超音波装置、例えば、受信結果から被検体の情報を算出し、その算出結果そのものを表示する超音波装置であっても同様である。
そこで、本発明の目的は、超音波発生部材に超音波が入射した際に横波成分が発生しにくい光超音波誘導型の超音波装置を提供することである。
本発明の一側面の超音波装置は、光源からの光照射により超音波を発生させる超音波発生部材と、被検体から伝播された超音波を受信し、受信信号を出力する超音波受信アレイと、前記受信信号から前記被検体の音響特性値情報を取得する信号処理部と、を有し、前記超音波発生部材は、前記被検体と前記超音波受信アレイとを音響的に結合するように前記被検体と前記超音波受信アレイの間に配置された音響液体に音響的に接し、前記被検体と前記超音波受信アレイとの間に介在するように前記音響液体中に張架されたシート状吸光部材であることを特徴とする。
本発明のその他の側面については以下で説明する実施の形態で明らかにする。
本発明によれば、超音波発生部材に超音波が入射した際に横波成分が発生しにくい光超音波誘導型の超音波装置を提供することができる。
本発明の実施形態にかかる超音波装置の構成の一例を模式的に示した図である。 本発明の実施形態にかかる超音波装置の超音波発生部材の一例を模式的に示した図である。 本発明の実施形態に係る超音波の伝播を模式的に示した図である。 本発明の実施形態による音響特性値分布情報データの一例を示した図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、重複する説明を省略する。本実施形態の超音波装置は、光照射により超音波を発生する超音波発生部材が、光照射により面音源として機能し、略平面波である超音波を発生する。これにより、音源からの幾何減衰が抑制され被検体から反射されたエコー超音波が伝搬する経路において、超音波発生部材との距離が離れている位置でも超音波のエネルギー減衰が起きにくくいため、音響波信号のSN比が低下しにくい。尚、本願明細書において、略平面波とは完全な平面波を含むものとする。
(基本的構成)
図1を参照しながら本実施形態にかかる超音波装置の構成を説明する。尚、本実施形態の超音波装置は、被検体により反射されたり散乱されたりした超音波(以下、散乱超音波と呼ぶことがある)を受信し、その受信結果に基づいて被検体の内部の音響特性値分布情報を取得し、画像化する超音波イメージング装置である。なお、音響特性値分布情報とは、一般的には、音響インピーダンス差分布、散乱強度分布、音速分布、音響減衰分布あるいはそれらに関連した値を有する分布データのことを示す。ここでは音響特性値情報データのことを画像データと呼ぶこともある。
本実施形態の超音波イメージング装置は、基本的なハード構成として、光源11、超音波発生部材13a、超音波発生部材13aを被検体から離間して張架する張架部13b、超音波受信アレイ17、信号処理部19を有する。光源11から発せられたパルス光12は、光学系10により所望の光分布形状に加工されながら導かれ、被検体外部に設置された超音波発生部材13aに照射される。なお、超音波発生部材13aは被検体16から離間して配置されたシート状の音源であり、被検体16と超音波受信アレイ17との間であり、音響液体40内において張架部13bにより張架される。これにより、伝搬経路にある音響液体40、超音波発生部材13aにおいても、せん断応力が抑制され、横波の発生が抑制される。この結果、伝搬経路上に超音波発生部材13aが配置されていたとしても、縦波が支配的なエコー波を受信することが可能となり、横波に起因するアーティファクトが抑制される。さらには、音響液体40内において超音波発生部材13aがシート状に張架される為、幾何減衰が抑制される、被検体が伝搬経路方向に延在していた場合においても、被検体の深部の情報を得る事が可能となる。
なお、被検体16の内部を伝播した超音波14aは被検体内にある超音波散乱体15に照射されると、その超音波散乱体15により散乱(反射を含むものとする)され、散乱超音波(backscattered ultrasound)14bが発生する。散乱超音波14bは、超音波受信アレイ17により受信された後、信号収集器18で増幅されたりデジタル変換されたりし、さらに信号処理部19で所定の処理を行い、最終的に被検体の画像データ(音響特性値分布情報データ)に変換される。本実施形態では、被検体の画像データは画像化され、最終的に表示装置20に表示される。
(光源11)
光源11はパルス光12を発生させ、そのパルス光12を超音波発生部材13aに照射する。光源11は、本実施形態のように、超音波イメージング装置と一体として設けられていても良いし、超音波イメージング装置と分離され、別体として設けられていても良い。光源11としては数ナノから数百ナノ秒オーダーのパルス光4を照射光として発生可能なパルス光源が好ましい。具体的には、効率的に光超音波を発生させるため、1〜50ナノ秒程度のパルス幅が使われる。光源11としては大出力が得られるためレーザーが好ましいが、レーザーのかわりに発光ダイオードなどを用いることも可能である。光源11としてレーザーを用いる場合、レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、ファイバーレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用することができる。照射のタイミング、波形、強度などは不図示の光源制御部によって制御される。また、使用する光源が超音波発生部材13aへ照射するパルス光の波長は、超音波発生部材13aが強く光を吸収する波長が望ましい。
(光学系10)
光源11から発生したパルス光は光学系10により、所望の光分布の形状に加工され、超音波発生部材13aに導かれる。
図1には光ファイバを光導波路として利用した例が示されているが、光学系の具体的な構成はこれに限定されない。光学系10は、光を導く光ファイバ、光を反射するミラー、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を拡散させる拡散板などの光学部品を単体もしくは複数組み合わせて構成することができる。このような光学部品は、光源から発せられたパルス光12が超音波発生部材13aに所望の形状で照射されれば、どのようなものを用いてもかまわない。なお、本実施形態において、パルス光12は超音波発生部材13aを面音源とするために、レンズで集光させたり、拡散板で拡散させたりすることにより、超音波発生部材のうち光照射を受ける領域(以下、被照射領域)がある程度の面積を有するように広げられる。被照射領域の面積(以下照射面積)は面音源から発生する略平面波の特性を左右する。例えば、発生する周波数帯域に対して照射面積が小さいと、発生した超音波が拡散する。よって、超音波発生部材13aから離れるに従い被検体に照射される超音波のエネルギーが減少する。その結果、被検体深部に到達する超音波のエネルギーが小さくなり、被検体深部の情報及びその情報に基づいて作成された画像のSN比が低下する。そのため、注目する領域(情報を取得したい領域のことを指す)に対して、十分なエネルギーを有する超音波が伝播できる程度に照射面積を調整することが望ましい。尚、光源11と超音波発生部材13aとの距離が近く、光源11から射出する光をそのまま超音波発生部材13aに照射することが可能な場合は、光学系10は不要である。
(超音波発生部材13a)
光源11から照射されたパルス光12は、光学系10を通して音響液体内に張架された超音波発生部材13aへ導かれる。その後、超音波発生部材は照射された光を吸収し、超音波である光音響波を発生させる。発生する超音波の音圧Pは以下の式で表わされる。
=Γ・μ・Φ (1)
ここでΓは超音波発生部材のグリューナイゼン係数(Gruneisen係数)で吸収エネルギーを圧力に変換する係数、μは超音波発生部材の光吸収係数、φは超音波発生部材に照射された光量を示す。但し、光吸収係数μは、光源11から照射されるパルス光12の中心波長における光吸収係数とする。式(1)から分かるように、超音波発生部材で発生音圧を大きくするためには、グリューナイゼン係数の大きな材料を用いることが望ましい。グリューナイゼン係数は熱膨張率(線膨張率あるいは体積膨張率)に比例するため、基本的には線膨張率βの大きな材料を用いることが望ましい。例えば、高密度ポリエチレンなどのプラスチック(線膨張率:〜100×10−6/K)または、カーボンやガラス、金属などの固体(線膨張率:〜10×10−6/K)よりもシリコーンなどのゴム(線膨張率:〜200×10−6/K)を用いた方が好ましい。特に、以下に示すように、線膨張率βが10×10−6/Kよりも大きいことが望ましい。
β>10×10−6/K (2)
光吸収係数μは材料にインク等を混ぜることで容易に調整できる。そのため、基本的には、入射した光の波長に対して十分な吸収がある材料、又は光吸収係数を調整することができる材料であれば、どのような材料を用いてもかまわない。
非特許文献1では球面波を発生させる球状吸収体を超音波発生部材として利用しているが、本実施形態では、光照射により面音源となる部材を超音波発生部材として用いる。これにより、被検体の深部の情報のSN比を高くすることができる。その理由を説明する。図2(a)に示したように、球状超音波発生部材13a、即ち、点音源からは光照射により球面波114aが発生する。点音源から発生した球面波は、伝搬方向における伝搬距離rが離れるに従い、エネルギーが4πrで拡散減衰する。同様にして、不図示の、線音源からは、4πrで拡散減衰する。このような、伝搬距離rに依存して音響波が減衰することを一般に、幾何減衰と称する。すなわち、球状超音波発生部材13aから距離が離れるに従い伝播する超音波の強度が小さくなる。一方、光照射12により面音源となる部材、例えば、図2(b)に示したように、シート部材(膜状)を超音波発生部材13aとして用いると、発生する超音波14aは略平面的に伝播する波(略平面波)である。よって、超音波発生部材13aから距離が離れても超音波のエネルギーはほとんど拡散減衰しない。すなわち、超音波発生部材13aから距離が離れても伝播する超音波の強度はあまり変化しない。その結果、被検体深部でもコントラストの高い超音波特性情報をイメージングできるようになる。
尚、本願明細書において、面音源とは、平面波を発生させる音源であって、発生した平面波を実質的に幾何減衰させずに音響媒質中を伝播させる作用を有する音源のことを指すものとする。具体的には、図2(b)に示す様に、被照射領域13cの幅Waが高さdの10倍以上であれば、その超音波発生部材は面音源として機能するとみなす。換言すると、図2(d)、(e)に示す様に、超音波発生部材13aのうちパルス光12の照射を受ける被照射領域13cを、照射光軸cを法線とする仮想平面IPに正射影した仮想照射面IIに内接する仮想円ICの直径Waが、照射光軸と平行な方向における厚さdの10倍以上とすることを意味する。なお、本実施形態においては、超音波発生部材13aの厚さdと伝搬方向の高さhとは一致している。
図2(c)には、超音波発生部材13aが曲率を有して延在している態様を示している。本実施形態においては、超音波発生部材13aの厚さdと伝搬方向の高さhは必ずしも一致していない。しなしながら被照射領域13c伝搬方向における高さhと厚さdの差分(h−d)が、不図示の被検体との距離rに対して、十分小さければ、被照射領域13cに対応する超音波発生部材13aは面音源と見なせる。面音源と見なせる超音波発生部材13aの湾曲は、(h−d)/rが0.01以下の範囲とする。発生する超音波の周波数にもよるが、数MHz〜10MHz程度の超音波を用いる場合、被照射領域13cの幅Wが高さhの20倍以上であることが好ましく、30倍以上であることがより好ましい。尚、被照射領域13cの短手方向における被照射領域13cの長さ(被照射領域の幅W)が被照射領域13cの高さhの10倍以上であるため、被照射領域13cの長手方向における被照射領域13cの長さも被照射領域の高さhの10倍以上である。例えば、被照射領域13cが円形の場合は、短手方向における被照射領域13cの長さと長手方向における被照射領域13cの長さは等しく、共に被照射領域13cの高さhの10倍以上である。また、上記で述べたように発生超音波が面音源となる超音波発生部材の形状は、発生超音波が面音源となる部材形状、例えば、シート状(薄膜状)が好ましい。シート状を例に上げると、図2(b)、(c)に示したように超音波発生部材の幅wは光の照射を受ける被照射領域13cのw(入射光幅と等しい)に対して十分に大きいことが望ましい。これにより、入射した光を効率的に超音波に変換できるため、平面波を効率的に発生できる。一方、超音波発生部材の厚さdに関しては、部材の光吸収係数をμとすると、超音波発生部材の厚さ(d)は以下を満たすことが望ましい。

つまり、超音波発生部材の厚さdは光吸収係数μの逆数よりも大きいことが望まれる。これにより、超音波発生部材は、入射した光のエネルギーをほぼ吸収でき、被検体方向に光が伝播し、被検体表面及び内部で光音響波が発生することを低減できる。光源から超音波発生部材へ照射した光の一部が被検体へ伝播すると、被検体から光音響波が発生し、それがアーティファクトとなり、画像劣化の原因となる。
また、超音波発生部材から発生する超音波の周波数領域は厚さが式(3)を満たす場合は、光吸収係数μにより決定される。発生超音波の最大主要周波数fmainは音速をcすると、以下の関係式で表現される。

この式から分かるように、発生させる超音波の最大主要周波数を高くするには、超音波発生部材の光吸収係数を大きくする必要がある。さらに、超音波受信素子で受信できる最大周波数をfmaxとすると、fmainがfmaxよりも大きいと、発生した超音波を効率的に受信できるため望ましい。
なお、図2(b)にはフラットなシート状の超音波発生部材の例を示したが、面音源として機能することができれば、図2(c)に示したように多少の曲率をもったシートを超音波発生部材として用いても構わない。曲率を有する超音波発生部材の場合、曲率により集音(光照射面に対して凸型の場合)又は拡散(光照射面に対して凹型の場合)する超音波が発生する。超音波が拡散する場合であっても、面音源として機能することができる程度の曲率であれば、拡散の影響は球面波に比べて十分に無視できる。例えば、光照射面に対して凹型であれば、被照射領域よりも大きな領域に超音波を伝播させることができる。その結果、被照射領域よりも大きな領域の画像をイメージングすることができる。一方、光照射面に対して凸型であれば、画像化できる領域は被照射領域よりも小さくなるが、伝播するエネルギーを増強できるので、より被検体深部での画像のSNを向上させることができる。
また、超音波発生部材の材質としては、ヤング率(あるいは剛性率)の小さな材料、例えば、ゴム(ヤング率:約0.0015GPa)などを使用することが望ましい。なお、等方性材料(異方性のない材料)では、剛性率Gとヤング率Eは以下の関係で示される。

ここで、νはポアソン比である。この式から分かるように、ヤング率と剛性率は比例する。なお、剛性率は弾性率の一種で、せん断力による変形のしにくさをきめる物性値である。せん断弾性係数(せん断弾性率)、ずれ弾性係数(ずれ弾性率)、横弾性係数、ラメの第二定数ともよばれる。
以下に、ヤング率(あるいは剛性率)の小さな材料が好ましい理由を説明する。例えば、図3(a)に示したように、ゴムよりも大きなヤング率を有するプラスチックである、高密度ポリエチレン41(ヤング率:約1.4GPa)に散乱超音波14bが音響液体40を通して入射するときの超音波の伝播を考える。高密度ポリエチレンは、ゴムよりも大きなヤング率を有するプラスチックである。ある入射角度(θ)以上で散乱超音波(縦波)14bが入射すると、高密度ポリエチレン41内でせん断力が生じ、高密度ポリエチレン41内で横波(shear wave)32が発生する(縦波−横波変換)。特に縦波の全反射角以上では高密度ポリエチレン41内の超音波の伝播は横波での伝播が支配的となる。この横波32は反対側の音響液体40との界面で再び縦波34に変換され、音響液体内を伝播し、受信素子17bで受信される。一方、音響液体40と高密度ポリエチレン41との界面で屈折した縦波33は、反対側の音響液体40との界面で再び屈折して縦波35として音響液体内を伝播し、受信素子17bで受信される。通常、プラスチックを含む固体内を伝播する超音波の縦波33と横波32の音速は大きく異なり、横波32の方が音速が遅い。そのため、超音波発生部材を通過する散乱超音波は横波と縦波の支配的な伝播過程に応じて、伝播時間(あるいは位相)が大きく異なる。これは、微小球状構造体を用いて略平面波を発生させるために、微小球状構造体を高密度ポリエチレンの様にヤング率が大きい材料で構成される面状部材上に多数配置した場合であっても同様に生じることである。そのため、被検体内部の音響特性情報を高精度にイメージングするためには、このような複雑な物理現象を考慮した画像再構成手法を用いる必要がある。つまり、非特許文献1で記載されているような平均音速を用いた遅延計算では正確性が低い画像が取得されると考えられる。
一方、図3(b)に示したようにヤング率の小さなゴム42を用いると、ゴム内部ではせん断応力が小さいため、せん断力による横波の発生(縦波・横波変換)が著しく低減され、ゴム内部での縦波−横波変換及び横波伝播はほぼ無視できる。つまり、受信素子17bで受信される超音波は、音響液体40とゴム42とを縦波(14b、33、35)として伝播した超音波であるとみなすことができる。さらに、ヤング率の小さな材料は水などの音響液体と音響特性が近いため、縦波の全反射が発生する角度(全反射角度)をプラスチックなどと比べて大きくすることができる。よって、様々な角度で超音波発生部材に入射する散乱超音波を有効に受信器で受信することができる。その結果、ヤング率の小さなゴムなどを超音波発生部材として用いることで、非特許文献1に示されるような一般的な画像再構成アルゴリズムを用いても、高精細な超音波画像を得ることが可能となる。以上のことから、本実施形態の超音波発生部材は、以下の式に示した様に0.1GPa以下のヤング率Eを有する材料が望ましい。
E≦0.1GPa (6)
なお、超音波発生部材内での縦波−横波変換及び横波伝播による位相変化は、プラスチックなどのヤング率が0.1GPaより大きい超音波発生部材を用いても、超音波発生部材の厚さdを薄くすることで低減できる。具体的には、超音波の受信素子で受信できる最大周波数をfmaxとし、超音波発生部材内の縦波の音速をcとすると、周波数fmaxの超音波の超音波発生部材内での最小受信波長λは以下の式(7)で表わされる。なお、超音波の受信素子で受信できる最大周波数fmaxは、最大感度を有する周波数の半分の感度を有する最大の周波数としている。また、最小受信波長とは、最大周波数fmaxに対応する波長のことを指す。
λ=c/fmax (7)
この超音波発生部材内を伝播する最小受信波長λの超音波に対して、超音波発生部材の厚さdが十分小さい場合は、超音波発生部材を通過した周波数fmaxの超音波に対する横波伝播の影響は低減される。典型的には、下記式(8)で示すように、厚さdが、超音波受信器17の有効受信帯域の最小受信波長λの1/2倍よりも小さい場合、横波伝播の影響は無視できる程度に小さい。

つまり、超音波発生部材の厚さdが、超音波受信器17の有効受信帯域の最小受信波長λの1/2より小さい場合は、水などの音響液体から超音波発生部材に伝播する超音波(縦波)は、図3(c)に示したようにエバネッセント波36として超音波発生部材43を伝播する。よって、超音波14aは、横波に変換されず、超音波発生部材43を通過し、縦波35が受信素子17bに受信される。そのため、超音波(縦波)の全反射角度は、超音波発生部材の厚さが超音波の最小受信波長λの1/2以上の場合に比べて、大きくすることができる。このように、面音源となる部材の超音波発生部材として、0.1GPaより大きいヤング率を有する部材(例えばプラスチックフィルム)を使った場合でも、フィルムの厚さを薄くすることで、超音波発生部材内での横波伝播による画像の正確性低下を低減できる。具体的な例を上げると、超音波受信器17の有効受信周波数に2MHzが含まれている場合、ポリエチレンフィルムの厚さが50μmであれば、超音波発生部材による横波伝播での位相変化や全反射による超音波の透過率低下の影響を無視できる程度に低減できる。
なお、本実施形態の超音波発生部材13aは水やジェルなどの音響液体中に、被検体と離間して配置される。そのため、少なくとも水やジェルなどの音響液体よりも硬い材料であることが望ましい。そのため、ある程度の剛性をもつ材料であることが必要であり、具体的には以下の式で表したように、少なくとも一般的なゲルのヤング率である0.0001GPa以上のヤング率を有する材料であることが好ましい。
E>0.0001GPa (9)
超音波発生部材13aが被検体から離間して配置されることの効果について説明をする。超音波発生部材13aが被検体と接すると、超音波発生部材13aが変形する可能性がある。超音波発生部材13aの形状により、発生する超音波の波面が異なるため、超音波発生部材13aの変形は、超音波の波面の変化を生じさせる。一方、信号処理部19による再構成の際には、被検体に入射する超音波の波面の情報が必要である。よって、超音波発生部材13aが変形して被検体に照射される超音波の波面も変化する場合、超音波発生部材の変形を考慮して画像再構成を行わなければ、取得される画像の正確性が低下する。しかしながら、超音波発生部材13aが被検体から離間して配置されていれば、被検体による超音波発生部材13aの変形を考慮する必要がない。
被検体が配置された状態で超音波発生部材の形状を測定すれば、超音波発生部材の被検体による変形を考慮することはできる。しかしながら、超音波発生部材で発生した超音波は、発生直後は波面が乱れており、超音波発生部材と被検体が接していると被検体の浅い領域(ニアフィールド)では画像の正確性が低下する。よって、被検体が配置された状態での超音波発生部材の形状が分かる場合であっても、超音波発生部材は被検体から離間されている方が正確な画像を取得できると考えられる。
(超音波発生部材を被検体から離間して張架する張架部13b)
超音波発生部材13aは被検体から離間して配置されている。本実施形態では、超音波イメージング装置は張架部13bを備える。張架部13bは、超音波発生部材13aを被検体から離間して張架する。通常、被検体と超音波受信アレイ17の間には被検体により散乱された超音波を効率よく受信するために音響液体が存在している。例えば、水やジェルなどである。そのため、超音波発生部材13aも音響液体40の中に配置される。張架部13bは、超音波発生部材13aを被検体から離間して、音響液体の中で張架されれば、どのようなものを用いても構わない。
具体的な例をあげると、超音波発生部材13aがシート状の場合は、超音波受信アレイ17の支持部材17aに超音波発生部材13aを固定するためのポールやフックなどである。但し、張架部13bは、被照射領域13cを光軸cと平行な方向から被検体16へ投影した領域と、被照射領域13cを光軸cと平行な方向から超音波受信アレイ17へ投影した領域との間に配置されない。例えば、シート状の超音波発生部材をシート状の張架部材で張架する場合(被照射領域13cが張架部材と接しているものとする)、そのシート状の張架部材も超音波発生部材を構成するとみなす。
なお、張架部13bは、音響液体40中に超音波発生部材13aを浸漬した状態で張架する形態をとってもよいし、被検体側の音響液体と超音波受信アレイの側の音響流体とを隔てる隔膜形態の超音波発生部材13aを張架してもよい。
超音波発生部材13aは、超音波受信アレイ17の有効受信領域に挿入と抜去とを行える形態で張架されていても良い。例えば、シート状の超音波発生部材13aを対向する2つのワイヤで張架し、かかるワイヤ対を対向する2つのロールで巻きとる形態をとることができる。
また、超音波発生部材13aと超音波受信アレイ17との相対位置は固定した形態としても良い。この場合、超音波エコー測定と光音響測定とは、超音波発生部材13aをパルス光源の波長に対して半透過な形態とすることにより、被検体からの伝搬時間の差異を利用して、光音響波測定と超音波エコー測定とを1つの観測系で行うことが可能となる。
(被検体16及び散乱体14)
これらは本発明の超音波イメージング装置の一部を構成するものではないが、以下に説明する。本発明の超音波イメージング装置は、人や動物の悪性腫瘍などの診断や化学治療の経過観察などを主な目的とする。よって、被検体15としては生体、具体的にはヒトや動物の乳房、指、手足などが診断の対象部位として想定される。被検体内部の超音波散乱体14としては、被検体内で相対的に音響インピーダンスが高いもの、あるいは周囲と音響インピーダンス差があるものを示し、例えば、人体が測定対象であれば腫瘍内にある炭酸カルシウム、脂肪層、乳腺層などが該当する。
(超音波受信アレイ17)
パルス光により超音波発生部材13aで発生する超音波を受信する受信器である超音波受信アレイ17は、超音波を検知し、アナログ信号である電気信号に変換するものである。以後、単に探触子あるいはトランスデューサということもある。圧電現象を用いたトランスデューサ、光の共振を用いたトランスデューサ、容量の変化を用いたトランスデューサなど超音波信号を検知できるものであれば、どのような超音波受信アレイを用いてもよい。本実施形態の超音波受信アレイ17は、典型的には複数の受信素子17bが1次元あるいは2次元に配列される。
超音波受信アレイ17は、それぞれの有効受信領域がアイソセンタと重なるようにそれぞれの音響波受信面が互いに異なる方向に向けられた複数の探触子が配列された超音波受信アレイ17である。アイソセンタ(isocentre)は、複数の探触子からなる超音波受信アレイ17の有効受信領域が互いに重なり高感度領域を形成する特定の1箇所を指す。超音波受信アレイ17の内面が半球状であれば、半球の曲率中心がアイソセンタに一致する。超音波受信アレイ17の内面がアイソセンタを有する形態としては、回転放物面、回転双曲面、回転楕円面を含む回転二次曲面である
なお、受信素子の配置や数及び張架部材の形状は被検体に応じて最適化すればよく、本実施形態に関してはどのような超音波受信アレイ17を使っても良い。なお、超音波受信アレイ17と被検体の間には被検体から発生した超音波を効率よく受信するために音響液体40が配置される。例えば、この音響液体40は、水、シリコーンオイル等の液体は、せん断応力が発生しない音響流体であって、横波成分が抑制され縦波成分が支配的となるため、より好ましい音響流体である。横波が発生しない範囲において、音響整合ジェル等を配置しても良い。なお、超音波受信アレイ17で得られる受信信号は時間分解信号である。つまり、各時刻で受信素子で受信される音圧に比例する値を記録したものである。なお、超音波発生部材13aは音響液体内に張架されている。また、超音波受信アレイ17は、超音波発生部材13aで発生する超音波の他に、被検体にパルス光が照射されることにより被検体表面及び被検体内部で発生する光音響波も受信してもよい。例えば、超音波発生部材13aが光路中に配置されているときには被検体の超音波測定をし、光路中に配置されていない時には被検体の光音響波測定をしてもよい。
(信号収集器18)
本実施形態の光音響イメージング装置は、超音波受信アレイ17より得られた電気信号を増幅し、その電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する信号収集器18を有することが好ましい。信号収集器18は、典型的には増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップなどで構成される。探触子から得られる受信信号が複数の場合は、同時に複数の信号を処理できることが望ましい。それにより、画像を形成するまでの時間を短縮できる。なお、本願明細書において「受信信号」とは、超音波受信アレイ17から取得されるアナログ信号も、その後AD変換されたデジタル信号も含む概念であるとする。
(信号処理部19)
信号処理部19は、それぞれの受信素子で受信された受信信号を超音波イメージング方法により被検体の音響特性値情報分布データに変換する。信号処理部19には典型的にはワークステーションなどが用いられ、画像再構成処理などがあらかじめプログラミングされたソフトウェアにより行われる。画像再構成処理としてはバックプロジェクション法などが典型的には用いられるが、本発明においてはどのような画像再構成法を用いても構わない。
以下に画像再構成法(バックプロジェクション法)の一例を示す。ある位置rのボクセルの値をU(r)とすると、以下の式で表すことができる。

ここで、sは受信信号、τは時間、rは超音波発生部材とボクセルの最短距離、rはボクセルと受信素子までの距離、cは平均音速である。このような式をつかって受信信号sを再構成することで、音響特性情報分布を画像化することができる。
(表示装置20)
表示装置20は信号処理部19で出力される画像データを表示する装置であり、典型的には液晶等のディスプレイが利用される。なお、本発明の超音波イメージング装置とは別に提供されていても良い。
本実施形態を適用した光音響誘発型超音波イメージングを用いた超音波イメージング装置の一例について説明する。本実施例の構成について、図1の装置概略図を用いて説明する。本実施例においては、光源11として2倍波のYAGレーザー励起のTi:saレーザーシステムを用いる。このレーザーシステムでは700−900nmの間の波長の光を超音波発生部材13aへ照射することができる。なお、レーザー光は光ファイバと拡散板を用いて、半径約3cm程度まで広げられた後に、超音波発生部材13aに照射されるようにセットする。超音波発生部材としては、幅70mm×70mm、厚さ0.5mmの黒色ゴム(イソブレンゴム)シートを用いた。黒色ゴムシートの光吸収係数は不明だが、0.5mm厚の黒色ゴムシートの、波長800nmの光の透過率はほぼゼロであった。黒色ゴムシートのヤング率は約0.005GPa、線膨張率は約200×10−6/Kである。超音波受信アレイ17としては半球状の支持部材17aに512個の受信素子17bをスパイラル状に並べたものを利用する。受信素子としては、中心周波数は5MHz、帯域幅は70%の直径3mmのPZT素子を用いる。また、被検体と超音波受信アレイの間には音響液体として水が満たされている。なお、ゴムシートはこの半球状の支持部材17aにフックで固定され、図1に示したように、被検体と超音波受信アレイとの間の音響液体の中に被検体であるファントムとは離間した状態で、且つ、略平面状に配置されている。
また、信号収集器18としては超音波受信アレイからの512ch全データを同時に受信し、アナログデータを増幅及びデジタル変換後に信号処理器19であるPCへ転送する機能を有するものを用いる。被検体16は生体を模擬したファントムであり、1%のイントラリピッドと希釈したインクを寒天で固めたものを利用する。また、このファントム内には直径0.3mmの釣り糸と直径0.3mmのプラスチック球がファントム内に埋め込んである。この釣糸とプラスチック球とは、超音波散乱体15として機能する。
このようなシステム構成において、光源11から800nmのパルス光を超音波発生部材13aに照射して、発生させた超音波(平面波)をファントムに照射し、ファントムからの散乱超音波14bを超音波受信アレイ17で受信する。受信信号は信号収集器18でデジタル変換され、信号処理器19であるPC内で保存される。
この保存された受信信号を式(10)及び(11)で示した画像再構成法であるバックプロジェクションにより、音響インピーダンス差に関連する音響特性値分布情報データを算出した。なお、平均音速cは音響液体である水の音速を用いる。
一方、比較のために、厚さ0.5mmで黒インクを混ぜた高密度ポリエチレンフィルム(ヤング率:約1.4GPa)を超音波発生部材として用いて、同様に光音響誘発型超音波イメージングを行う。図4(a)にファントム内の微小球画像、図4(b)にファントム内のワイヤ画像を示す。図4は超音波発生部材13aに黒色ゴムシートを用いたときに得られる画像の一例である。図4(a)、(b)の両方の画像とも、明瞭にファントム内の超音波散乱体が画像化されていた。一方、超音波発生部材13aにプラスチックフィルムを用いた場合は、同様にファントム内の散乱体が画像化されたが、黒色ゴムシートを用いた場合に比べてぼけが発生し、解像度が低下した画像が得られる。
このように、光照射により面音源として機能する超音波発生部材を被検体から離間して配置することで、超音波のエネルギーの減衰によるSN比低下と散乱超音波の遅延によるアーティファクトの発生とを低減できる超音波イメージング装置を提供できた。加えて、超音波発生部材として、ヤング率が0.0001〜0.1GPaである部材を用いることで、超音波の横波の発生を低減でき、複雑な物理現象を考慮した画像再構成法を用いなくてもボケの発生を低減できる超音波イメージング装置を提供できた。
本実施例にかかる装置の基本構成は実施例1と同様であり、光源11、超音波発生部材13a、超音波発生部材13aを被検体から離間して張架する張架部13b、超音波受信アレイ17、信号処理部19を備える。本実施例では、超音波発生部材13aとして黒く着色した高密度ポリエチレンシートを用いた点が実施例1と異なる。ポリエチレンシートの幅は70mm×70mm、厚さは約0.05mmであり、ヤング率は約1.4GPaである。超音波受信アレイ17等、超音波発生部材13a以外の構成は実施例1と同様のため、説明は省略する。ポリエチレンシートは実施例1と同様に、半球状の支持部材17aにフックで固定され、被検体であるファントムとは離間して配置されている。超音波発生部材を通過する超音波の周波数を受信素子の最大周波数fmaxである6.75MHzとし、ポリエチレンシートの縦波の音速を2460m/sとすると、受信可能な超音波の波長は約0.36mmとなる。そのため、ポリエチレンシートの厚さである0.05mmはポリエチレンシートを伝播する超音波の波長の1/2よりも薄く、十分に薄い。
このような超音波イメージング装置を用いて、実施例1と同じファントムを用いて超音波画像データである音響特性値分布情報データを生成した。画像再構成は実施例1と同じバックプロジェクション法を用いた。音速は音響液体である水の音速を用いた。その結果、実施例1で示した音響発生部材として、厚さ0.5mmの黒色ゴムシートを用いた場合とほぼ同様な画像が得られた。
本実施例にかかる装置の基本構成は実施例1及び2と同様である。本実施例は、超音波発生部材13aとして黒く着色したシリコーンゴムシートを用いた点と、受信素子17bが平面上に配置された超音波受信アレイを用いた点とが実施例1、2と異なるが、他の構成は実施例1、2と同様のため説明は省略する。シリコーンゴムシートの幅は70mm×70mm、厚さは約0.1mmであり、ヤング率は約0.014GPa、線膨張率は約250×10−6/K、光吸収係数は約20mm−1である。超音波受信アレイとしては平板状の張架部材に600個の受信素子を2次元状に並べたものを利用した。受信素子としては、中心周波数は3MHz、帯域幅は70%の直径1mmのPZT素子を用いた。なお、シリコーンゴムシートは、音響液体であるゲルシートを張架部材として、被検体であるファントムとは離間して配置されている。なお、光被照射領域よりも広い領域を画像化するために、シリコーンゴムシートは被検体に向かって凸になるように曲率を持たせ、発生する超音波を若干拡散させた。但し、曲率は、超音波発生部材が面音源として機能する程度とする。超音波発生部材を通過する超音波の周波数を受信素子の最大周波数fmaxである6.75MHzとし、ポリエチレンシートの縦波の音速を1485m/sとすると、受信可能な超音波の波長は約0.22mmとなる。そのため、ポリエチレンシートの厚さである0.1mmはポリエチレンシートを伝播する超音波の波長に対して約1/2の薄さである。
このような超音波イメージング装置を用いて、実施例1と同じファントムを用いて超音波画像データである音響特性値分布情報データを取得した。画像再構成は実施例1と同じバックプロジェクション法を用いた。平均音速cは音響液体である水の音速を用いた。その結果、実施例1とほぼ同様な画像が得られた。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
11 光源
13a 超音波発生部材
17 超音波受信アレイ
19 信号処理部

Claims (11)

  1. 光源からの光照射により超音波を発生させる超音波発生部材と、
    被検体から伝播された超音波を受信し、受信信号を出力する超音波受信アレイと、前記受信信号から前記被検体の音響特性値情報を取得する信号処理部と、
    を有し、
    前記超音波発生部材は、前記被検体と前記超音波受信アレイとを音響的に結合するように前記被検体と前記超音波受信アレイの間に配置された音響液体に音響的に接し、前記被検体と前記超音波受信アレイとの間に介在するように前記音響液体中に張架されたシート状吸光部材であることを特徴とする超音波装置。
  2. 前記超音波受信アレイは、それぞれの有効受信領域がアイソセンタと重なるようにそれぞれの音響波受信面が互いに異なる方向に向けられた複数の探触子が配列された超音波受信アレイであって、
    前記アイソセンタと前記超音波受信アレイの前記音響波受信面の中心とを結ぶ仮想直線が通過するように、前記シート状吸光部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波装置。
  3. 前記超音波発生部材のうち光照射を受ける被照射領域を、照射光軸を法線とする仮想平面に正射影した仮想照射面に内接する仮想円の直径は、前記照射光軸と平行な方向における厚さの10倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波装置。
  4. 前記超音波発生部材の前記被照射領域は、ヤング率が0.0001GPa以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波装置。
  5. 前記超音波発生部材の前記被照射領域は、ヤング率が0.1GPa以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波装置。
  6. 前記超音波発生部材の前記厚さは、前記超音波受信アレイの有効受信帯域における最小受信波長の1/2よりも小さいこと特徴とすることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の超音波装置。
  7. 前記超音波発生部材が、ゴムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波装置。
  8. 前記超音波発生部材の厚さが、前記超音波発生部材の光吸収係数の逆数よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波装置。
  9. 前記超音波発生部材の線膨張率が10×10−6/Kよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波装置。
  10. 前記超音波発生部材に光を照射する前記光源を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の超音波装置。
  11. 前記信号処理部は前記被検体の音響特性値情報を画像化し、
    画像化された前記被検体の音響特性値情報を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の超音波装置。
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