以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
実施形態1
本発明に係る古紙再生装置が図1〜図9に示されており、この古紙再生装置1は、具体的には古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙UPを廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する装置であって、古紙UPとしては、官公庁・一般企業の機密文書や一般家庭の私的文書等で、使用済みや不要となった書類が該当する。
古紙再生装置1は、図1に示すように、パルプ製造部2、抄紙部3および制御部4を主要部として構成され、これら装置構成部2〜4が装置ケース5内に装置収容されてなるコンパクト設計とされるとともに、上記パルプ製造部2および抄紙部3の駆動源は、一般家庭用交流電源により駆動する電動駆動源とされている。以下、各構成部について具体的に説明する。
I.装置ケース5:
この装置ケース5は、什器サイズ、つまり、事務所内に配置使用される書棚、ロッカー、事務机、複写機、パーソナルコンピュータなどの什器類と同等の形状寸法を備えるもので、具体的な形状寸法は目的や用途に応じて適宜設計される。図示の実施形態の装置ケース5は、複写機程度の形状寸法を有するほぼ直方体形状の箱体とされている。
II.パルプ製造部2:
パルプ製造部2は、古紙UPを離解し叩解して古紙パルプを製造する工程部位で、古紙UPを攪拌破砕して離解する離解部6と、この離解部6で離解された古紙UPを叩解する叩解部7とからなり、これら離解部6および叩解部7が古紙パルプUPを循環させる循環式とされている。
離解部6は、古紙UPを攪拌する攪拌装置(攪拌手段)8と、この攪拌装置8に水を供給する給水装置(給水手段)9とを備えてなる。
攪拌装置8は、攪拌槽10、攪拌インペラ11および駆動モータ12を備えてなる。
攪拌槽10は、その天井壁に、装置ケース5の外部に対して開閉可能な構造を有する投入口10aが設けられるとともに、その内部(図示の場合は底部)に、上記攪拌インペラ11が回転可能に設けられている。
攪拌槽10の内容積は、一度に攪拌処理すべき古紙UPの枚数に応じて設定される。図示の実施形態においては、約3リットルの水を加えて、A4判のPPC(plain paper copier)古紙UPを8枚程度(約32g)一度に攪拌処理(バッチ処理)できる容積を有する攪拌槽10とされている。
また、攪拌インペラ11は、駆動モータ12の回転軸12aに水平状態で直接取り付け固定されたダイレクトモータ構造とされるとともに、この駆動モータ12により正逆回転駆動されるように構成されている。駆動モータ12は具体的には電動モータで、制御部4に電気的に接続されている。
攪拌インペラ11が正逆回転されるのは、古紙UPをA4判の大きさのままで攪拌する場合、攪拌インペラ11に絡みつくのを防止するために、正回転後の逆回転による水の噴流の作用で分散させるためである。
これに関連して、攪拌インペラ11の羽根形状は、正回転と逆回転とにおいて、その攪拌力(拡散効果)が異なるように設計されており、これにより、古紙UP、UP、…の均一な離解・叩解が実現する。
なお、攪拌インペラ11の正回転と逆回転の切り替えタイミング、および攪拌時間などの運転条件は、予め行なった実験データに基づいて、所望の古紙UP、UP、…の離解・叩解効果が得られるように設定される。
給水装置9は、白水回収槽15および給水ポンプ16を備えてなる。白水回収槽15は、後述するように、抄紙部3において濾過脱水される白水W(抄紙する際に抄き網により濾過された極低濃度のパルプ水)を回収するもので、この白水回収槽15に回収された白水Wが、給水ポンプ16により、上記攪拌装置8の攪拌槽10に攪拌用の水として供給される。
また、この給水装置9は、後述するように、パルプ濃度調整部28の濃度調整用給水装置(濃度調整用給水手段)としての機能も兼備し、この目的のため、白水回収槽15内の白水Wを濃度調整槽29に濃度調整用の水として供給する濃度調整用給水ポンプ17を備えている。18および19は、白水回収槽15内に設けられた下限水位用フロートスイッチと上限水位用フロートスイッチをそれぞれ示している。
そして、攪拌装置8において、装置ケース5の投入開口つまり投入口10aから攪拌槽10内に投入された古紙UP、UP、…は、駆動モータ12による攪拌インペラ11の正転・逆転動作により、給水装置9から供給された水Wの中で所定時間(図示の場合は5分〜30分間)だけ攪拌され、これにより、離解・叩解されて、古紙パルプUPPとなる。
叩解部7は、上記離解部6の攪拌槽10に連通する叩解槽20と、この叩解槽20内に回転可能に設けられたビータローラ21と、このビータローラ21を回転駆動する駆動モータ22とを備えてなる。
叩解槽20は、図1および図2に示すように、上記攪拌槽10の下部に一体的に形成され、その内部にビータローラ21が水平軸周りに回転可能に軸支されている。
ビータローラ21は、図2および図3に示すように、円筒状のローラ本体23の円筒外周に、複数本(個)の角柱状の叩解刃24が円周方向全周にわたり等間隔をもって放射状に設けられてなる。好適には、ビータローラ21の切断力を増大させるため、上記叩解刃24、24、…に所定角度のリード角α(図示の実施形態においては約2°〜4°)が設けられている。
具体的には、図3(a)に示すように、叩解槽20の側壁外部に、駆動モータ22が水平状態で取付け固定されるとともに、その回転軸22aが叩解槽20の内部に水平状態で延びて軸支され、この回転軸22aに、上記ビータローラ21が直接取り付け固定されたダイレクトモータ構造とされている。この駆動モータ22は具体的には電動モータからなり、制御部4に電気的に接続されている。
上記叩解槽20は、上記ビータローラ21の叩解刃24、24、…の回動輪郭に沿った、ビータローラ21と同軸状の円筒内周壁面20aを有するとともに、上記攪拌槽10との境界部20bが矩形状の連通開口とされ、この連通開口20bは開閉可能とされている。
この開閉手段の具体的構造は図示しないが、例えば、従来公知の手動または自動の開閉蓋が設けられ、またこの開閉蓋の蓋部材も、完全密閉式の板材のほか、所定粒度以下の古紙パルプUPPのみを通過させる抄網状とされ得る。この開閉手段は、叩解部7が運転停止時には上記連通開口20bを閉止して、攪拌装置8の攪拌槽10からの古紙UPや古紙パルプUPPの叩解槽20への流入を阻止する一方、叩解部7の運転時には連通開口20bを開口して、攪拌槽10と叩解槽20との間での古紙パルプUPPの循環回流を許容する。
上記叩解槽20の円筒内周壁面20aには、上記ビータローラ21の叩解刃24、24、…と協働する複数本(個)の受け刃25、25、…が円周方向へ等間隔をもって放射状に設けられている。図示の実施形態においては、図2および図3(a)に示すように、2本の角柱状の受け刃25、25が設けられている。これら受け刃25、25の刃先と上記ビータローラ21の叩解刃24、24、…の刃先との間隙寸法は、0.数mm程度に設定され、この間隙寸法は目的に応じて微調整可能とされている。このように、間隙寸法が微調整可能とされることにより、上記叩解刃24、24、…と受け刃25、25の協働作用には、装置機械構造の強度と駆動力に応じた高い圧力と摺動力が得られる。
具体的には、上記受け刃25、25は、それぞれ調整ボルト26により、ビータローラ21の径方向へ進退調整可能に設けられており、調整ボルト26を回転操作して、受け刃25を進退調整することで、上記叩解刃24、24、…と受け刃25との間隙寸法が調整される。
また、複数本(図示の場合は2本)の受け刃25、25が、ビータローラ21の径方向へ互いに独立して進退調整可能とされているので、これら受け刃25、25を個別に進退調整して、上記叩解刃24、24、…と受け刃25、25との間隙寸法を調整することにより、叩解部7の叩解速度を適宜調整することが可能である。また、受け刃25、25を個別に調整して、上記間隙寸法が個別に調整できるので、受け刃25、25、…の増減により、その配設数に応じた叩解時間の伸縮調整も可能となる。
そして、叩解部7において、駆動モータ22によるビータローラ21の矢符方向への回転動作により、攪拌槽10から叩解槽20に供給される古紙パルプUPは、この叩解槽20内をビータローラ21の回転方向へ流れて、回転する上記ビータローラ21の叩解刃24、24、…と固定された上記受け刃25、25の間隙を通過する際に、これら両刃24、25による叩解作用を受けるとともに、再び、攪拌槽20へ還流される。
この場合、離解部6が叩解部7と同時に駆動していると、攪拌インペラ11により攪拌される攪拌槽10内の古紙パルプUPPは、その外周部位の水位が上昇して、古紙パルプUPPがビータローラ21を埋没させ、さらには叩解槽20の連通開口20b全体を埋没させることになる。これにより、叩解槽20は、離解部6の攪拌槽10と共に古紙パルプUPPが回流するパルプ回流槽を構成して、このパルプ回流槽10、20を循環回流する古紙パルプUPPが離解部6による攪拌離解と叩解部7による叩解を順次繰り返して受けることになる。換言すれば、叩解部7の叩解槽20でビータローラ21により叩解された古紙パルプUPPは、離解部6の攪拌層10へ吐出されて、この攪拌槽10で攪拌インペラ11によって均一に攪拌され、再び叩解部7へ供給され、この工程が適数回繰り返されることで、離解、叩解が槽内の古紙パルプUPP全体に均一に実施される。この結果、後述する抄紙部3で抄紙再生される再生紙RPにとっての最適な紙力強度が確保される。
また、離解部6の攪拌インペラ11は、図1および図2に示すように、攪拌槽10内の底部において垂直軸周りに回転可能に軸支されるとともに、この攪拌インペラ11の設置高さに対応した高さ位置に、上記叩解槽20のパルプ流入開口つまり連通開口20bの下部が設けられてなるため、攪拌インペラ11の回転作用により、古紙パルプUPの攪拌槽10から叩解槽20への流入が促進されるとともに、さらには、ビータローラ21の回転作用との協働により、古紙パルプUPはパルプ回流槽10、20を円滑に循環回流することとなる。
パルプ濃度調整部28は、攪拌槽10の下流側に設けられて、攪拌槽10で製造された古紙パルプUPPの濃度を後続の抄紙に適した適正濃度に調整するものである。このパルプ濃度調整部28は、攪拌槽10で製造された古紙パルプUPPを貯留する濃度調整槽29と、この濃度調整槽29に水を供給する濃度調整用給水装置(濃度調整用給水手段)とを備えてなり、この濃度調整用給水装置としては、前述したごとく、給水装置9が兼用されている。
濃度調整槽29の内容積は、攪拌装置8によりバッチ処理される古紙UPの枚数(量)に応じて設定される。図示の実施形態においては、前述したように、8枚程度(約32g)のA4判の古紙UPがバッチ処理されるので、これに対応した量の古紙パルプUPPの濃度を調整できる容積を有する濃度調整槽29とされている。
これに関連して、上記攪拌装置8の攪拌槽10の底部には、排水口10bが設けられており、この排水口10bは図示しない排水弁により開閉動作される構成とされている。この排水弁は具体的には電磁開閉弁からなり、上記制御部4に電気的に接続されている。
パルプ濃度調整部28の具体的な濃度調整方法は、上記濃度調整槽29において、攪拌槽10内でバッチ処理にて製造された古紙パルプUPPの全量に対して、上記濃度調整用給水装置9から水Wが加水されて、これら古紙パルプUPPと水Wの合計体積が所定値になることにより、所定濃度のパルプ懸濁液PSとなるように構成されている。なお、調整されるべきパルプ懸濁液PSの目標濃度は、予め行なった実験データに基づいて、後述する抄紙部3における抄紙能力を考慮して設定され、図示の場合は約0.1%濃度に設定されている。30は、濃度調整槽29内に設けられたフロートスイッチで、濃度調整槽29内のパルプ懸濁液PSの量(古紙パルプUPPと水Wの合計体積)が上記所定値になったときの水位を検知する。
しかして、上記濃度調整槽29において、上記攪拌槽10(および叩解槽20)で製造された古紙パルプUPPの全量が、攪拌槽10の排水口10bから自重で濃度調整槽29内へ落下供給されるとともに、この古紙パルプUPPに対して、濃度調整用給水装置9から白水Wが上記所定値になるまで加水されて(フロートスイッチ30により検知)、これにより古紙パルプUPPの濃度が調整されて、所定濃度のパルプ懸濁液PSとされる。図示の実施形態においては、上記古紙パルプUPPの全量(約32gの古紙UP+3リットルの水W)に対して、上記濃度調整用給水装置9から希釈用の水Wが加水されて、古紙パルプUPPと水Wの合計体積(全量)が30リットルになるように制御され、これにより、約0.1%濃度(目標濃度)のパルプ懸濁液PSが調製される。この濃度調整されたパルプ懸濁液PSは、第一懸濁液供給ポンプ31により、次工程の抄紙部3のパルプ供給槽85へ送られる。
なお、上記攪拌槽10の排水口10bから古紙パルプUPPが濃度調整槽29内へ落下供給される間、攪拌槽10内においては、給水装置9から給水ポンプ16により水Wが供給されるとともに、駆動モータ12により攪拌インペラ11が回転して、攪拌槽10内の洗浄が行われる。
以上のように、給水装置9の給水源は、白水回収槽15に回収される抄紙部3で脱水された白水Wであり、換言すれば、抄紙部3で脱水回収される白水Wは、すべて上記離解部6の攪拌装置8およびパルプ濃度調整部28で帰還利用される水循環方式とされている。
III.抄紙部3:
抄紙部3は、上記離解部6で製造された古紙パルプUPPを抄紙して再生紙RPを製造する工程部位で、抄紙ネットコンベア部40、脱水ロール部41および乾燥ベルトコンベア部42を備えてなる。
抄紙ネットコンベア部40は、上記離解部6から送られてくる水Wと古紙パルプUPPが共存するスラリー状のパルプ懸濁液PSを抄いて湿紙とする部位で、網状無端ベルト45、駆動モータ46およびパルプ供給部47を備えてなる。
網状無端ベルト45は、パルプ懸濁液PSを抄きながら搬送するもので、具体的には、所定幅を有する抄き網構造の板材が所定長さの環状に接続形成されてなる無端ベルトである。上記所定幅は、パルプ懸濁液PSを抄いて製造すべき再生紙RPの幅寸法よりも若干大きな寸法に設定される。また、抄き網構造の板材は、パルプ懸濁液PSが上記抄き網構造の無数の網目により適正に濾過脱水できる材質とされ、好適には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)(一般に「ナイロン」と呼ばれる)あるいはステンレス鋼(SUS)などの耐腐食性に優れる材料で形成されており、図示の実施形態においては、PET製網状無端ベルト45とされている。さらに、上記所定長さは、網状無端ベルト45の走行速度との関係で、パルプ懸濁液PSが適正な坪量に抄かれるのに十分な長さとされるとともに、装置ケース5における抄紙ネットコンベア部40の収容空間に収容し得る大きさに設定される。
この網状無端ベルト45は、図1および図2に示すように、駆動ローラ65、従動ローラ66、支持ローラ67、脱水ロール70および予備脱水ロール74を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ65を介して、上記駆動モータ46に駆動連結されている。
網状無端ベルト45を走行駆動する駆動モータ46は、具体的には電動モータで、制御部4に電気的に接続されている。また、この駆動モータ46は、後述する脱水ロール部41および乾燥ベルトコンベア部42の走行駆動源としても共用され、この共用のための構造つまり駆動連結機構については後述する。
パルプ供給部47は、上記網状無端ベルト45上に離解部6からのパルプ懸濁液PSを供給する部位で、具体的には、このパルプ供給部47により、パルプ懸濁液PSが上記網状無端ベルト45上面に均一に広がり供給される構成とされている。
図示のパルプ供給部47の具体的構造が図7および図8に示されている。すなわち、このパルプ供給部47において、上記網状無端ベルト45が走行方向へ向けて上向き傾斜状に配置されるとともに、この網状無端ベルト45の上下両側位置に、型枠体78および仕切り部材79がそれぞれ配置されてなる。
型枠体78は、網状無端ベルト45の上面に摺接可能に配設されるもので、図7および図8に示すように、先端部つまり網状無端ベルト45の走行方向側端部が開放された平面コ字形状の本体枠80と、この本体枠80の後端部に設けられたオーバフロー槽81とを備える。
上記本体枠80は、その下端面80aが傾斜走行する上記網状無端ベルト45の上面に摺接するように配されるとともに、本体枠80の枠内幅寸法L(図7参照)が製造すべき再生紙RPの幅寸法に設定されている。
上記オーバフロー槽81は、上記本体枠80の後端部に一体的に固設されており、その前壁上端縁81aが水平直線状に形成されたオーバフロー部とされるとともに、このオーバフロー槽81内に、後述するパルプ供給槽85のパルプ懸濁液PSを供給する懸濁液供給配管90の供給開口90aが臨んで設けられている。
そして、パルプ懸濁液PSが上記懸濁液供給配管90からオーバフロー槽81内に供給され貯留されて、オーバフロー槽81がパルプ懸濁液PSで満杯になると、さらなるパルプ懸濁液PSの供給により、パルプ懸濁液PSは、オーバフロー槽81のオーバフロー部81aから図8に矢符にて示されるようにオーバフローして、後述する仕切り部材79の平板部材82上に流下することとなる。
仕切り部材79は、網状無端ベルト45の下面に摺接可能に配設されるもので、図7および図8に示すように、複数本の骨組み部材79a、79a、…からなる水切り可能なスノコ構造を備え、上記網状無端ベルト45の下面全幅を摺接支持する形状寸法を有するとともに、上記スノコ構造の基端側部位が平板部材82により閉塞されている。
平板部材82は、上記型枠体78のオーバフロー槽81に対応した位置に設けられ、具体的には、図8に示すように、オーバフロー槽81からオーバフローするパルプ懸濁液PSの流下位置に対応して配置され、これにより、網状無端ベルト45におけるパルプ懸濁液PSの流下供給部位の網目が平板部材82により閉塞状態に支持されている。
また、上記パルプ供給部47の上流側には、このパルプ供給部47にパルプ懸濁液PSを供給されるパルプ供給槽85が設けられている。
このパルプ供給槽85には、離解部6で製造されたパルプ懸濁液PSが第一懸濁液供給ポンプ31により供給されて貯留される。このパルプ供給槽85内には、貯留されるパルプ懸濁液PSを攪拌するための攪拌装置86が設けられおり、パルプ懸濁液PSの濃度が均一に保たれる。攪拌装置86としては、攪拌ポンプあるいは攪拌インペラからなり、図示の実施形態においては攪拌インペラが採用されている。
このパルプ供給槽85に貯留されるパルプ懸濁液PSは、下限水位用フロートスイッチ87および上限水位用フロートスイッチ88により検知されて、第二懸濁液供給ポンプ(懸濁液供給ポンプ)89により、上記パルプ供給部47のオーバフロー槽81内へ連続的に供給される構成とされている。
しかして、上記パルプ供給槽85に貯留されるパルプ懸濁液PSが、第二懸濁液供給ポンプ89により、上記パルプ供給部47のオーバフロー槽81内へ供給され、このオーバフロー槽81に供給されたパルプ懸濁液PSは、図7および図8に示すように、オーバフロー槽81からオーバフローした後、平板部材82上に流下する。
そして、パルプ懸濁液PSは、型枠体78の本体枠80と仕切り部材79との協働による滞留作用により、網状無端ベルト45上面に均一に拡散されるとともに、網状無端ベルト45の矢符方向への走行作用により、上記本体枠80により規定された幅寸法を保持しつつ網状無端ベルト45と共に搬送されながら、網状無端ベルト45の網目による自重濾過作用を受けて脱水されて、湿紙RP0となる。この濾過脱水された白水W(抄紙する際に抄き網により濾過された極低濃度のパルプ水)は、前述したように、上記給水装置9の白水回収槽15に回収される。
なお、上記パルプ供給部47において、網状無端ベルト45の走行姿勢は左右水平になるように、つまり網状無端ベルト45の走行方向に対して垂直な断面における上面輪郭線が水平状態となるように走行支持されている。このように構成することにより、上記本体枠80と仕切り部材79の協働によるパルプ懸濁液PSの滞留状態に左右幅方向の偏りを生じるのが有効に防止されて、調整される湿紙RP0の厚みが左右幅方向に均一となり、結果として紙面全体の厚みが均一となる。
また、構造的に、上述の型枠体78の本体枠80と仕切り部材79との協働による滞留作用が有効に発揮される場合には、上記オーバフロー槽81を省略して、パルプ懸濁液PSが上記懸濁液供給配管90から平板部材82上に直接供給される構成とされてもよい。
脱水ロール部41は、上述の抄紙ネットコンベア部40と後述の乾燥ベルトコンベア部42の連係部において、上記網状無端ベルト45上の湿紙RP0を圧搾脱水する部位である。
具体的には、下流側の上記乾燥ベルトコンベア部42の平滑面無端ベルト95と上流側の上記抄紙ネットコンベア部40の網状無端ベルト45とが図1および図2に示すように、上下に積層状に配設されるとともに、これら平滑面無端ベルト95と網状無端ベルト45の上下隣接部分が上記連係部とされて、上記脱水ロール部41が、これら網状無端ベルト45および平滑面無端ベルト95を上下両側から挟圧状に転動圧搾する構造とされている。
上記脱水ロール部41は、脱水ロール70、プレスロール71および駆動モータ72を主要部として備えるととともに、その補助部として、予備脱水ロール74およびスラリー化防止ロール75が設けられている。
脱水ロール70は、網状無端ベルト45に下側から転接するもので、具体的には、高剛性材料からなる円筒ロール70aの外周に、微細連続気孔の多孔質材料からなる脱水層70bが巻装形成されてなる。脱水層70bは、親水性、吸水性および保水性に優れる材料からなり、好適には柔軟性に優れる微細連続気孔の多孔質材料からなる。また、脱水層70bの円筒ロール70aに対する巻装構造としては、ある程度厚みのある脱水層70bを円筒ロール70aの外周に一回巻きしたり、あるいは円筒状の脱水層70bを円筒ロール70aに外嵌する単層構造と、薄い脱水層70bを円筒ロール70aの外周に複数回巻きする多層構造とがある。
図示の実施形態の脱水ロール70は、ステンレス鋼製円筒ロール70aの円筒外周面に、ミクロンサイズの超微細な連続気孔を有する超微細連続発泡材料からなる円筒状の脱水層70bが外嵌されてなる単層構造とされている。
プレスロール71は、後述する乾燥ベルトコンベア部42の平滑面無端ベルト95を上側から転動加圧するもので、具体的には、高剛性材料からなる円筒ロールの形態とされている。図示の実施形態のプレスロール71は、ステンレス鋼製円筒ロールからなる。
これら脱水ロール70とプレスロール71は、具体的には単一の駆動モータ72に駆動連結されて、両ロール70、71が連動して回転駆動される。この場合、これら両ロール70、71は、その外周面間において挟圧状に転動圧搾される網状無端ベルト45、平滑面無端ベルト95の接触面(網状無端ベルト45の下面および平滑面無端ベルト95の上面)に対して、両ロール70、71の外周面が、互いに実質的に同一の回転速度をもってそれぞれ転動接触するように回転制御される。
また、上記駆動モータ72は、図示の実施形態においては、後述するように、抄紙ネットコンベア部40の駆動モータ46が共用とされている。
そして、この駆動モータ72(56)の駆動により、上記両ロール70、71が、上記両ベルト55、95を上下両側から挟圧状に転動圧搾して、網状無端ベルト45上の湿紙RP0に含まれている水分Mが上記網状無端ベルト45を介して上記脱水ロール70に吸水されて脱水される。この圧搾脱水された白水Wは、給水装置9の白水回収槽15に回収される。
この圧搾脱水の具体的メカニズムを図9(a)により説明すると、上記両ロール70、71の回転により、上面に湿紙RP0を載置した網状無端ベルト45と平滑面無端ベルト95が、その間に上記湿紙RP0を介在させた状態で、上記両ロール70、71間へ案内されて、上下両側から挟圧状に転動圧搾される。すると、湿紙RP0に含まれている水分Mは、上記両ロール70、71の上流側(図面において右側)へ搾り出されるが、上側の平滑面無端ベルト95が後述するように平滑面を有する孔のない構造であることから、この搾り出された水分Mはすべて下側の網状無端ベルト45の微細な連続気孔を通過して上記脱水ロール70の脱水層70bに吸水される。
予備脱水ロール74およびスラリー化防止ロール75は、これら脱水ロール部41におけるプレスロール71と脱水ロール70による圧搾脱水作用を補助するために設けられている。
予備脱水ロール74は、図1に示すように、脱水ロール部41の上流側において、上記網状無端ベルト45に下側から網状無端ベルト45に転接してテンションを与えるように配設されている。
この予備脱水ロール74の具体的構造は、上記脱水ロール70と同様であり、高剛性材料からなる円筒ロール74aの外周に、微細連続気孔の多孔質材料からなる脱水層74bが巻装形成されてなる。図示の実施形態の予備脱水ロール74は、ステンレス鋼製円筒ロール74aの円筒外周面に、ミクロンサイズの超微細な連続気孔を有する超微細連続発泡材料からなる円筒状の脱水層74bが外嵌されてなる単層構造とされている。
そして、網状無端ベルト45上面に均一に拡散されて、この網状無端ベルト45と共に搬送される湿紙RP0は、網状無端ベルト45により濾過脱水されながら、上記予備脱水ロール74によっても複合的に吸水脱水されて、プレスロール71と脱水ロール70による圧搾脱水作用を予備的に補助する。
スラリー化防止ロール75は、図1および図9(b)に示すように、脱水ロール部41の上流側近傍位置において、上記平滑面無端ベルト95を上側から転動加圧して、平滑面無端ベルト95を下側の網状無端ベルト45上の湿紙RP0に押さえ付けるように配設されている。
このスラリー化防止ロール75の具体的構造は、上記プレスロール71と同様であり、具体的には、高剛性材料からなる円筒ロールの形態とされ、図示の実施形態のスラリー化防止ロール75は、ステンレス鋼製円筒ロールからなる。
そして、図9(b)を参照して、脱水ロール70とプレスロール71により、上面に湿紙RP0を載置した網状無端ベルト45と平滑面無端ベルト95が上下両側から挟圧状に転動圧搾されると、湿紙RP0に含まれている水分Mは、両ロール70、71の上流側(図面において右側)へ搾り出されるが、同時に、脱水ロール70自身が先の圧搾脱水の結果保水している水分Mもまた搾り出される。
この場合、スラリー化防止ロール75が設けられていないとすると、図9(a)に示すように、両ロール70、71の上流側近傍位置においては、上側の平滑面無端ベルト95が下側の網状無端ベルト45上の湿紙RP0に対して離隔した状態にあり、このため、搾り出された上記湿紙RP0に含まれている水分と脱水ロール70自身が保水していた水分の複合された水分Mの一部M´が、上記網状無端ベルト45を介して上記脱水ロール70に吸水されずに、湿紙RP0に吸収されて、湿紙RP0が再びスラリー化してしまうおそれがある。
これに対して、スラリー化防止ロール75が設けられていると、図9(b)に示すように、両ロール70、71の上流側近傍位置において、上側の平滑面無端ベルト95が下側の網状無端ベルト45上の湿紙RP0に押さえ付けられた状態にあり、このため、搾り出された上記湿紙RP0に含まれている水分と脱水ロール70自身が保水していた水分の複合された水分Mのすべてが、上記網状無端ベルト45を介して下側へ落下して、湿紙RP0に再吸収されることがなく、湿紙RP0の再スラリー化を確実に防止することができ、プレスロール71と脱水ロール70による圧搾脱水作用を予備的に補助する。
なお、両ロール70、71の圧搾により、その上流側へ搾り出された湿紙RP0の水分Mの一部は、脱水ロール70の脱水層70bと湿紙RP0と一体となって両ロール70、71間を通過することになるが、両ロール70、71間を通過した瞬間に、脱水ロール70の脱水層70bが原形に弾性復帰するため、この原形復帰作用により、湿紙RP0にさらなる脱水作用が起こる。この結果、湿紙RP0の含水率は所定値まで減少する。
上記脱水ロール部41により圧搾脱水された湿紙RP0は、脱水ロール部41の下流側部位において、下側の網状無端ベルト45の上面から上側の平滑面無端ベルト95の下面に転写移転されて、平滑面無端ベルト95と共に搬送されて、乾燥ベルトコンベア部42による乾燥工程が実施される。
なお、上記移転作用は平滑面無端ベルト95の平滑面構造により起こるものと考えられる。つまり、下側の網状無端ベルト45の表面が、微細な連続気孔が多数開口されてなる微細凹凸面であるのに対して、上側の平滑面無端ベルト95の表面が孔のない平滑面であり、この結果、水分を含んでいる湿紙RP0が上記平滑面無端ベルト95の表面との間の表面張力で吸着されるものと考えられる。
乾燥ベルトコンベア部42は、上記抄紙ネットコンベア部40で抄紙形成された後、脱水ロール部41で圧搾脱水された湿紙RP0を乾燥させて再生紙RPとする部位で、上記平滑面無端ベルト95、駆動モータ96および加熱乾燥部97を備えてなる。
平滑面無端ベルト95は、湿紙RP0を加熱乾燥させながら搬送するもので、具体的には、所定幅を有する平滑面構造の板材が所定長さの環状に接続形成されてなる無端ベルトである。
上記所定幅は、網状無端ベルト45と同様に、製造すべき再生紙RPの幅寸法よりも若干大きな寸法に設定される。また、平滑面構造の板材は、湿紙RP0の片側表面を適正な平滑面に仕上げることができ、かつ後述する加熱乾燥部97による加熱作用に耐え得る材質とされ、好適には、フッ素樹脂、ステンレス鋼等の可撓性耐熱材料で形成されており、図示の実施形態においては、フッ素樹脂製ベルトが採用されている。さらに、上記所定長さは、湿紙RP0が完成品である再生紙RPに加熱乾燥されるのに十分な長さで、かつ装置ケース5における乾燥ベルトコンベア部42の収容空間に収容し得る大きさに設定される。
この平滑面無端ベルト95は、図1および図2に示すように、駆動ローラ100、従動ローラ101、102、プレスロール71、スラリー化防止ロール75、平滑面仕上げロール103、103および予備脱水ロール74を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ100を介して、上記駆動モータ96に駆動連結されている。
平滑面無端ベルト95を走行駆動する駆動モータ96は、前述したように、上記抄紙ネットコンベア部40および脱水ロール部41の走行駆動源としても共用され、この共用のための構造つまり駆動連結機構が図5に示されている。
図5において、105は動力伝達ギヤ、106はスプロケット、107はスプロケット106、106間に掛け渡される動力伝達チェーン、および78は動力伝達軸をそれぞれ示している。
上記動力伝達ギヤ105、105、…、スプロケット106、106、…の歯車比は、駆動源が単一の駆動モータ96であることから、駆動ローラ100、従動ローラ101、102、プレスロール71、スラリー化防止ロール75、平滑面仕上げロール103、103および予備脱水ロール74のすべてが、平滑面無端ベルト95に対して、互いに実質的に同一の周速度をもってそれぞれ転動接触するように設定されている。
加熱乾燥部97は、上記平滑面無端ベルト95上の湿紙RP0を加熱乾燥する部位で、上記平滑面無端ベルト95の走行経路途中箇所に配されたヒータプレート109を加熱部として備える。
図示の実施形態のヒータプレート109は、上記平滑面無端ベルト95の走行経路における水平走行部分に設けられており、具体的には、平滑面無端ベルト95における上記湿紙RP0の保持面である上面と反対側面つまり下面に摺接して設けられている。これにより、上記平滑面無端ベルト95上の湿紙RP0は、上記ヒータプレート109により加熱された平滑面無端ベルト95により間接的に加熱乾燥されることとなる。
また、平滑面無端ベルト95の走行途中に、上記2つの平滑面仕上げロール103、103が配設されている。具体的には、これら平滑面仕上げロール103、103は、上記平滑面無端ベルト95の走行経路における水平走行部分において、上記ヒータプレート109と対向して並列状に配置されている。
そして、両平滑面仕上げロール103、103は、平滑面無端ベルト95上の湿紙RP0を順次転動加圧して、平滑面無端ベルト95の表面に接触する湿紙RP0の片側表面と反対側表面を適正な平滑面に仕上げる。
なお、図示の実施形態においては、2つの平滑面仕上げロール103、103が設けられているが、平滑面仕上げロールの配設数は目的に応じて適宜増減される。
上記平滑面無端ベルト95における上記加熱乾燥部97の下流側には、剥離部材110が設けられている。この剥離部材110は、具体的には耐熱性を有する弾性ヘラの形態とされており、図示の実施形態の剥離部材110は、弾性変形可能な0.1〜0.3mm厚程度のステンレス鋼板の外周面にテフロン(登録商標)加工が施されてなり、その基端部が固定側に支持されるとともに(図示省略)、その先端エッジ110aが上記平滑面無端ベルト95の表面に弾発的に当接係止されている。
そして、平滑面無端ベルト95上で乾燥処理されて搬送される乾紙つまり再生紙RPは、上記剥離部材110の先端エッジ110aにより、平滑面無端ベルト95の保持面から順次剥離されることとなる。
これに関連して、この剥離部材110の下流側つまり平滑面無端ベルト95の走行経路終端位置には、定寸カッタ111が設けられている。この定寸カッタ111の具体的構造は図示しないが、例えば、従来公知の両サイドスリッターの形態とされ、ソレノイドによりギロチンカット動作する構造が採用され得る。
そして、平滑面無端ベルト95から剥離された再生紙RPは、定寸カッタ111により所定長さ(図示の実施形態においては、A4版の縦寸法)に切断されて、再使用可能な形状寸法の再生紙RPとされ、装置ケース5の排出口112から排出される。なお、この場合の所定長さでの切断は、平滑面無端ベルト95のベルト送り量を近接スイッチ等のセンサにより計測して行う。
IV.制御部4:
制御部4は、上述した離解部6および抄紙部3の各駆動部の動作を連動して自動制御するもので、具体的には、CPU,ROM,RAMおよびI/Oポートなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。
この制御部4には、パルプ製造部2のパルプ製造工程および抄紙部3の抄紙工程を連続して実行させるためのプログラム等が組み込まれるとともに、各駆動部の駆動に必要な種々の情報、例えば、離解部6における攪拌装置8の駆動時間および給水装置9の動作タイミング、あるいは、抄紙部3におけるコンベア部40、42の走行速度、加熱乾燥部97の駆動時間および定寸カッタ111の動作タイミングなどが、予めデータとしてまたはキーボード等により適宜選択的に入力設定されている。
また、上記制御部4には、前述したように、各フロートスイッチ18、19、30、87、88および各駆動部12、16、31、46(72、96)、89、105、111が電気的に接続されており、制御部4は、これらの各種実測値およびデータに従って、上記各駆動部12、16、31、46(72、96)、89、105、111を制御する。
しかして、以上のように構成された古紙再生装置1は、電源投入により起動して、制御部4により各駆動部が相互に関連して自動制御され、以下の工程を実行する。これにより、古紙再生装置1に投入された古紙UP、UP、…は、離解部6により離解処理されて、古紙UPに記載された機密情報や個人情報の漏洩・流出が有効に防止され、さらにはこの古紙パルプUPPが抄紙部3により抄紙されて再生紙RPに再生される。
i)加熱乾燥部97のヒータプレート109が発熱を開始して、所定温度まで昇温すると、以後自動でその所定温度を維持する。
ii)離解部7が運転を開始して、攪拌装置8の攪拌槽10に、給水装置9から水Wが所定量だけ供給される。この所定量は、攪拌槽10内に投入される古紙UP、UP、…を離解、叩解するのに最小限度必要な量であり(図示の実施形態においては約3リットル)、タイマーにより給水ポンプ16の給水時間を制御して行う。
iii)古紙UP、UP、…が、攪拌装置8の投入口10aから設定枚数(装置1の処理能力から設定された枚数(分量)(図示の実施形態の場合は、A4版約8枚≒32g))だけ投入されて、スタートスイッチがONされると、攪拌装置8が運転を開始して、攪拌インペラ11がタイマー運転により所定時間(図示の実施形態の場合は3〜5分間)だけ正転、逆転動作を繰り返すことにより、古紙UP、UP、…が離解、叩解されて、古紙パルプUPPとなる。
iv)所定時間の攪拌インペラ11のタイマー運転により古紙UP、UP、…が古紙パルプUPPとなったところで、叩解部7も運転を開始して、叩解槽20の連通開口20bが開口するとともに、ビータローラ21が回転を始める。
これにより、叩解槽20と攪拌槽10がパルプ回流槽を構成して、攪拌インペラ11により離解・叩解された古紙パルプUPPが、叩解槽20へ流入してビータローラ21の回転方向へ流れ、離解部7の叩解作用を受けた後再び攪拌槽20へ還流されて、以後、パルプ回流槽10、20を循環回流しながら、タイマー運転により所定時間(図示の実施形態の場合は5分〜30分間)だけ離解部6による攪拌離解と叩解部7による叩解を順次繰り返して受けることにより、古紙パルプUPPが、後工程の抄紙部3での抄紙再生に最適な紙力強度が確保されるまで叩解される。
v)古紙パルプUPPが十分に叩解されると、叩解部7の運転が停止するとともに、攪拌装置8の排水弁が開いて、攪拌槽10内の古紙パルプUPPの全量が濃度調整槽29に排出供給される。
この場合、攪拌槽10内の洗浄も兼ねて、古紙パルプUPPの排出途中で給水装置9から攪拌槽10内への給水と攪拌インペラ11の回転が行なわれる。上記排出弁の開時間や洗浄用の給水、攪拌インペラ11の回転はすべてタイマーで順次行なわれる。
vi)濃度調整槽29に古紙パルプUPPが排出供給されるのと並行して、または排出供給後に、濃度調整槽29には濃度調整用給水装置9から白水Wが加水供給される。白水Wの加水供給は、濃度調整槽29内のフロートスイッチ30が水量を検知して働くまで行なわれる。この白水Wの加水により、古紙パルプUPPの濃度が調整されて、所定濃度のパルプ懸濁液PSとなる。
図示の実施形態においては、古紙パルプUPPの全量(約32gの古紙UP+3リットルの水W)に対して、白水Wが濃度調整槽29内の水量が30リットル、つまり、古紙パルプUPPと水Wの合計体積(全量)が30リットルになるまで加水され、これにより、約0.1%濃度のパルプ懸濁液PSに調製される。
vii)濃度調整槽29で濃度調整が完了したパルプ懸濁液PSは、フロートスイッチ30がONになると、第一懸濁液供給ポンプ31が作動して、そのほぼ全量がパルプ供給槽85へ供給される。この全量供給もタイマー運転で行なわれる。
なお、パルプ懸濁液PSがパルプ供給槽85へ供給されている間は、白水回収槽15の水は濃度調整槽29へ入水されない(調整された濃度が変わるのを防止)。
viii)パルプ供給槽85内の下限水位用フロートスイッチ87(抄紙開始に必要な最少水量の水位に対応して配置されている)がONになると、駆動モータ46(72、96)が駆動して、網状無端ベルト45が走行駆動されて抄紙開始の状態になるとともに、パルプ供給槽85内のパルプ懸濁液PSが、第二懸濁液供給ポンプ89により、パルプ供給部47のオーバフロー槽81内へ供給される。
この場合、パルプ供給部47にパルプ懸濁液PSが送られる時間分だけ、上記駆動モータ46(72、96)が所定のタイムラグをもって駆動して、網状無端ベルト45は遅延運転される。
また、駆動モータ46(72、96)は、上記網状無端ベルト45だけでなく、脱水ロール部41のロール70、71の回転駆動源、乾燥ベルトコンベア部42の平滑面無端ベルト95の走行駆動源、および平滑面仕上げロール103、103の回転駆動源としても共用されているから、これらも同時に連動して運転される。
ix)上記オーバフロー槽81に供給されたパルプ懸濁液PSは、オーバフロー槽81からオーバフローして、仕切り部材79の平板部材82上に流下し、型枠体78の本体枠80と仕切り部材79との協働による滞留作用により、網状無端ベルト45上面に均一に拡散される。これと同時に、網状無端ベルト45の走行作用により、上記拡散されたパルプ懸濁液PSは、本体枠80により規定された幅寸法Lを保持しつつ網状無端ベルト45に引き摺られながら搬送されて、網状無端ベルト45の網目により濾過脱水されて、湿紙RP0となる。
この網状無端ベルト45により濾過脱水された白水Wは、給水装置9の白水回収槽15に回収されて、循環再利用される。
x)網状無端ベルト45と共に搬送される湿紙RP0は、予備脱水ロール74のところで、傾斜走行状態から水平走行状態に姿勢変換されながら、この予備脱水ロール74の吸水作用との協働作用による相乗効果で複合的にさらに軽く脱水された後、スラリー化防止ロール75の押付け作用により、網状無端ベルト45と平滑面無端ベルト95により挟持された状態で、脱水ロール部41へ送られる。
xi)脱水ロール部41において、スラリー化防止ロール75の押付け作用により、網状無端ベルト45と平滑面無端ベルト95により挟持された湿紙RP0は、脱水ロール70とプレスロール71の間を、これら両ロール70、71により上下両側から挟圧状に転動圧搾されながら通過する。これにより、湿紙RP0は、前述したように、スラリー化防止ロール75の予備的な補助作用も手伝って、図6(b)に示すような圧搾脱水メカニズムにより所定の含水率まで脱水される。
xii)脱水ロール部41により圧搾脱水された湿紙RP0は、脱水ロール部41の下流側部位において、下側の網状無端ベルト45から上側の平滑面無端ベルト95に転写移転されて、今度は、平滑面無端ベルト95と共に搬送されながら、乾燥ベルトコンベア部42のヒータプレート109により加熱乾燥されて、再生紙RPとなる。
また、これと並行して、湿紙RP0または再生紙RPは、平滑面無端ベルト95に対して上記ヒータプレート109と反対側に配された二つの平滑面仕上げロール103、103の連続した転動加圧により、平滑面無端ベルト95の表面に接触する側の表面と反対側の表面が適正な平滑面に仕上げられていく。
xiii)二つの平滑面仕上げロール103、103による表面仕上げを経た再生紙RPは、平滑面無端ベルト95の表面に固着状態で保持されており、剥離部材110の先端エッジ110aにより、平滑面無端ベルト95の保持面から順次剥離されるとともに、定寸カッタ111により所定長さに切断されて、再使用可能な形状寸法の再生紙RPとして、装置ケース5の排出口112から排出される。
ixv)パルプ供給槽85内のパルプ懸濁液PSが抄紙開始に必要な最少水量より減少すると(ほとんど空の状態)、下限水位用フロートスイッチ87がOFFとなり、第二懸濁液供給ポンプ89によるパルプ懸濁液PS供給が停止するとともに、駆動モータ46(72、96)も駆動停止して、抄紙工程が停止する。
この場合、駆動モータ46(72、96)は、現在抄紙中のパルプ懸濁液PSが全量再生紙RPになって上記排出口112から排出されるまでの時間分だけ、所定のタイムラグをもって駆動停止する。
xv)以後、iii)の工程に戻り、古紙UP、UP、…を設定枚数だけ追加投入して、(装置1の処理能力から設定された枚数(分量)(図示の実施形態の場合は、A4版約8枚≒32g))だけ投入されて、スタートスイッチが再びONされることにより、iv)〜ixv)の工程が順次連続して実行される。
なお、以上の工程は、古紙パルプ化・再生紙抄紙に必要な動作を示したものであって、実際の運転には他の安全対策等のインターロック制御が付加されている。
しかして、以上のような構成とされた古紙再生装置1においては、以下のような効果が得られ、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる。
(1)什器サイズの装置ケース5内に、古紙UPを離解し叩解して古紙パルプUPPを製造するパルプ製造部2と、このパルプ製造部2で製造された古紙パルプUPPを抄紙して再生紙RPを製造する抄紙部3と、これらパルプ製造部2および抄紙部3を連動して駆動制御する制御部4を備えてなるから、古紙UPを廃棄処分することなく、古紙UPの発生元において自前で再生利用することができ、古紙UPの廃棄を軽減して、ゴミ問題解決に役立つばかりか、限りある資源を有効利用することができる。
特に、この種の古紙UPは機密上の問題からリサイクル化が進んでおらず、上記のように古紙UPの発生元において自前で再生利用することができることにより、資源有効利用の効果は顕著である。
(2)また、古紙UPの発生場所に、製紙工場や古紙再生工場の大規模な設備と同様な機能を有するコンパクトな古紙再生設備が設置されることにより、小規模店舗や一般家庭などにおいても、連続して紙の循環使用を可能にすることができ、さらには、古紙UPの回収廃棄に要する輸送費や焼却費等の各種経費も不要となって、経済的である。
(3)パルプ製造部2は、古紙UPを攪拌破砕して離解する離解部6と、この離解部6で離解された古紙UPを叩解する叩解部7とからなり、これら離解部6および叩解部7が古紙パルプUPPを循環させる循環式とされているから、古紙パルプUPPの叩解が目的に応じて効率よく行われて、最適な叩解効果が得られ、その結果、再生紙RPに良好な紙品質を確保することができる。
(4)古紙UPを離解し叩解して古紙パルプUPPを製造するパルプ製造部2により、古紙UPは繊維レベルまで分解されて(パルプ化)、そこに記載された文字や線図は完全に分解消滅してしまい、復元不可能である。これにより、これら文字や線図から構成される機密情報や個人情報の漏洩・流出を確実に防止することができ、高い機密性を保持することができる。
(5)装置構造がコンパクトで、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であり、この観点からも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止することができる。
(6)上記パルプ製造部2で使用される水Wに、上記抄紙部3で脱水回収される水Wが帰還利用される水循環方式とされることにより、および/または、上記パルプ製造部2および抄紙部3の駆動源が一般家庭用交流電源により駆動する電動駆動源であることにより、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、この点においても経済的である。
(7)古紙UPが発生する場所に配置されて、パルプ製造部2により、発生した古紙UPが離解処理されて古紙パルプUPPとされるとともに、抄紙部3により、上記古紙パルプUPPが抄紙されて再生紙RPとされ、これにより、上記古紙UPが、その発生場所内において再生紙RPとして循環使用される構成とされていることにより、古紙UPに記載された文字や線図等の各種情報が古紙UPの発生場所外へ拡散することが全くなく、この点からも、機密情報や個人情報の漏洩・流出を確実に防止することができ、高い機密性を保持することができ、また資源の有効利用を図ることもできる。
すなわち、本実施形態の古紙再生装置1を使用することにより、その使用に係る一定の系(例えば、学校、病院、市役所、法律事務所、特許事務所、一般家庭等)の外へ上記各種情報が拡散するおそれが全くなくなる。
換言すれば、例えば従来周知のシュレッダの場合、古紙が裁断されて小片となり、そこに記載された文字や線図が判読不能となったとしても、裁断された紙片は焼却場等で廃棄処分されることになるため、上記系外への拡散を完全に防止することはできない。この点に関して、上記系外への拡散を防止する目的で、系内の倉庫に保管するという方法も考えられるが、反面、そのような保管場所の確保が必要となり、対象となる紙も一回の使用のみでは、資源の有効利用という観点から効率が悪い。
これに対して、本実施形態の古紙再生装置1によれば、古紙UPに記載される各種情報がその使用に係る系外へと拡散しまうことは全くなく、しかも、資源を有効に活用することができる。
実施形態2
本実施形態は図10〜図12に示されており、実施形態1の古紙再生装置1を若干改変したものである。
すなわち、本実施形態の古紙再生装置1においては、実施形態1の抄紙部3における脱水ロール部41と乾燥ベルトコンベア部42の具体的構造が若干改変されている。
本実施形態の脱水ロール部41は、主要部である脱水ロール70、プレスロール71および駆動モータ72の補助部として、予備脱水ロール74およびスラリー化防止ロール75に加えて、排水ロール120が設けられている。
この排水ロール120は、脱水ロール70の脱水層70bに含まれる水分を圧搾排水するもので、高剛性材料からなる小径の円筒ロールの形態とされ、脱水ロール70の外周面に加圧状態で転接されてなる。
そして、上記脱水ロール70の回転動作に伴い、上記排水ロール120が脱水ロール70の脱水層70bを転動圧搾して、この脱水層70bに吸収されている水分が圧搾排水される。
このような構成とすることにより、叩解の進んだ古紙パルプUPPは濾過脱水性に劣り、網状無端ベルト45から容易に脱水出来ない場合があるところ、脱水ロール70に対して、排水ロール120が補助的に配されることで、脱水層70bの排水量が可及的に増加されて、脱水ロール部41における圧搾脱水作用が実施形態1に比較してさらに有効に発揮され得る。
同様の目的から、図示の実施形態においては、予備脱水ロール74に対しても、排水ロール121が補助的に設けられている。この排水ロール121の具体的構造は上記排水ロール120と同様である。
また、乾燥ベルトコンベア部42は、具体的には、加熱乾燥部97を構成するヒータプレート109が、複数箇所に設けられてなる。
本実施形態においては、実施形態1におけるヒータプレート109が3分割された構造とされて、これら各ヒータプレート109a、109b、109cの加熱温度がそれぞれ個別に調整可能な構成とされている。
また、本実施形態においては、上記ヒータプレート109a、109b、109cに対向して設けられる平滑面仕上げロール123の配設数が、実施形態1の2本構成から、6本構成に増加されており、これら6本の平滑面仕上げロール123、123、…は、ヒータプレート109a、109b、109cの全面に対向して、小さな間隔をもって平行に並列して配されている。
また、本実施形態の平滑面仕上げロール123は、その内部にヒーターが組み込まれて、加熱ロールとしての機能を兼備している。
しかして、以上のように構成された加熱乾燥部97において、上記平滑面無端ベルト95上の湿紙RP0は、上記ヒータプレート109a、109b、109cにより加熱乾燥されるところ、湿紙RP0の含水率によっては平滑面仕上げロール123、123、…に湿紙RP0が巻き付くことから、例えば、最初のヒータープレート109aによって、平滑面仕上げロール123、123、…に巻き付かない程度の含水率まで乾燥する。
また、次のヒータプレート109b、109c以降においては、平滑面仕上げロール123、123、…により、湿紙RP0を上側から順次転動加圧して押さえるとともに、これら平滑面仕上ロール123、123、…とヒータープレート109b、109cとにより、湿紙RP0を表裏両側から加熱して、紙面に皺を作ることなく表裏両面を適正な平滑面に乾燥させ仕上げる。
このような構成とされることにより、叩解の進んだ古紙パルプUPPは、前述したように、濾過脱水性に劣るだけでなく、その乾燥においても蒸気を容易に放散できずに、蒸気による皺、カール、うねり等の歪みが生じやすいという問題があるところ、これらの問題が解消され得る。
その他の構成および作用は実施形態1と同様である。
実施形態3
本実施形態は図13および図14に示されており、実施形態1の古紙再生装置1を若干改変したものである。
すなわち、本実施形態の古紙再生装置1は、官公庁・一般企業等の事務所などのビジネスの現場においても、あるいは一般家庭などの個人的な場所においても設置使用可能な汎用型のもので、図13に示すようなコンパクトな外観を呈する。
この古紙再生装置1は、その装置構成部であるパルプ製造部2および抄紙部3の駆動源が、実施形態1と同様に、一般家庭用交流電源により駆動する電動駆動源とされており、図13に示すように、電源コード130の先端には、一般企業等の事務所や一般家庭の室内壁部に設置されている電源コンセント131に差込み接続可能な差込みプラグ132を備えている。
装置ケース5は、図13に示すように、事務所等の配置使用される複写機よりも小さなほぼ直方体形状の箱体とされるとともに、その底部には移動手段としてキャスタ133、133、…が設けられて、設置床面F上を方向自在に移動可能とされている。
また、装置ケース5の天板部には、古紙UPを投入するための投入口10aと、スタートスイッチを含めた各種操作ボタン等を備えた操作盤140とが設けられるとともに、上端部の前側部位には、再生紙RP、RP、…をストックするための再生紙収容部141が設けられている。この再生紙収容部141には、装置ケース5の排出口112が臨んで設けられており、この排出口112から排出される再生紙RP、RP、…が順次積層状に載置収容されていく。なお、この再生紙収容部141には、上開き式の透明保護カバー142が開閉可能に設けられている。
さらに、上記攪拌槽10の投入口10aには、シュレッダ部143が設けられている。このシュレッダ部143は、上記投入口10aに投入された古紙UP、UP、…を予備的に裁断して、攪拌装置8による離解・叩解を高効率化するためのものである。
このシュレッダ部143の具体的構造は、従来周知のシュレッダと同様、古紙UPを小さな紙片に裁断する機構を備えてなるが、この裁断機構による裁断サイズは以下の条件を満たすように設定されている。
すなわち、従来周知のシュレッダは、古紙UPに記載された文字や線図を視認・解読不能な状態まで分断させて、これら文字や線図から構成される機密情報や個人情報の漏洩・流出を有効に防止することを主目的として、可及的に小さいサイズに裁断する構成とされているが、本実施形態におけるシュレッダ部143の主目的は、裁断処理された裁断古紙CUP、CUP、…から製造される古紙パルプUPPが次工程の抄紙部3で抄紙製造される再生紙RPの原料パルプとして望ましい特性を有するサイズに裁断することである。
この目的のため、上記シュレッダ部143の裁断機構の裁断サイズは、裁断古紙CUPの紙繊維が上記再生紙RPの原料パルプとして求められる大きさ以下に寸断されない程度に設定されている。したがって、この条件を満たす限り、上記裁断機構の具体的構成は、ダブルカット方式やクロスカット方式など種々の方式が選択的に採用され得る。
しかして、上記投入口10aから古紙UPが投入されると、この古紙UPは、上記シュレッダ部143により、予備的に裁断されて所定サイズの裁断古紙CUP、CUP、…とされた後、攪拌装置8の攪拌インペラ11の正転・逆転動作により、給水装置9から供給された水Wの中で所定時間だけ攪拌され、これにより、離解・叩解されて、古紙パルプUPPとなる。この離解・叩解に要する時間は、実施形態1の場合よりも短い。
その他の装置構成部、つまり、パルプ製造部2の離解部6の給水装置9、叩解部7およびパルプ濃度調整部28、抄紙部3の抄紙ネットコンベア部40、脱水ロール部41および乾燥ベルトコンベア部42、ならびに制御部4の具体的構造および作用は、装置ケース5の小型化に伴う小型コンパクト化を除いて、実施形態1と実質的に同様である。
実施形態4
本実施形態は図15に示されており、実施形態1の古紙再生装置1を若干改変したものである。
すなわち、本実施形態の古紙再生装置1は、特に、官公庁・一般企業等の大規模な事務所や専用の処理室などのビジネスの現場において設置使用される大型のものである。
古紙再生装置1の具体的な内部構造については図示省略するが、実施形態1〜実施形態3と同様の装置構成部、つまり、パルプ製造部2の離解部6、叩解部7およびパルプ濃度調整部28、ならびに、抄紙部3の抄紙ネットコンベア部40、脱水ロール部41および乾燥ベルトコンベア部42などが、それぞれ大型化されたり、処理機能を向上されたり、あるいは配置変換されたりして、古紙UP、古紙UP、…の大量処理が可能な構成とされている。
しかして、以上のように構成された古紙再生装置1にあっては、大きな設置スペースを有する場合に、古紙UP、古紙UP、…を、年に一回または数回定期的に、あるいは年度末の時期などにまとめて投入口10aに投入することにより、装置ケース5内のパルプ製造部2および抄紙部3で実施形態1で説明したように順次連続して処理された後、排出口(図示省略)から大量の再生紙RP、RP、…として再生紙収容部141に連続して排出され、これらの再生紙RP、RP、…は、手作業であるいは古紙再生装置1の整理機構(図示省略)により図示のごとく積層状に堆積されて整理される。
実施形態5
本実施形態は図16に示されており、実施形態1の古紙再生装置1を若干改変したものである。
すなわち、本実施形態の古紙再生装置1は、特に、小規模な事務所や一般家庭における個人的使用の現場において、図示のような事務机145の天板上145aの片隅など、狭い設置スペースに置いて使用される卓上用の小型のものである。
古紙再生装置1の具体的な内部構造については、実施形態4と同様に図示省略するが、実施形態1〜実施形態3と同様の装置構成部、つまり、パルプ製造部2の離解部6、叩解部7およびパルプ濃度調整部28、ならびに、抄紙部3の抄紙ネットコンベア部40、脱水ロール部41および乾燥ベルトコンベア部42などが、それぞれ小型コンパクト化されたり、処理機能を限定した簡易なものとされたりして、古紙UP、古紙UP、…の少量処理に適した構成とされている。
しかして、以上のように構成された古紙再生装置1にあっては、図示のような事務机145上に置かれて、日常の業務または生活の中で日々発生する少量の古紙UP、UP、…を、発生の都度順次1枚ずつ投入口10aに投入することにより、、装置ケース5内のパルプ製造部2および抄紙部3で実施形態1で説明したように順次連続して処理された後、排出口112から再生紙RPとして順次再生紙収容部141に排出され、自動的に積層状に堆積される。
なお、上述した実施形態1〜5はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内で種々の設計変更が可能である。一例として以下のような改変が可能である。
(1)図示の実施形態においては、加熱乾燥部97の加熱部としてヒータプレート109が採用されているが、このヒータプレート109に代えて、回転可能なヒータロールや温風ヒータなど他の加熱手段を採用することも可能である。
すなわち、具体的には図示しないが、加熱乾燥部97の加熱部として上記ヒータロールを備える場合は、例えば、このヒータロールが上記平滑面無端ベルト95上の湿紙RP0に直接転接するように配されて、上記平滑面無端ベルト95上の湿紙RP0が上記ヒータロールにより直接的に加熱乾燥される構成とされる。
また、加熱乾燥部97の加熱部として上記温風ヒータを備える場合は、例えば、この温風ヒータが、上記平滑面無端ベルト95上の湿紙RP0に温風を吹き付けて、上記平滑面無端ベルト95上の湿紙RP0が上記温風ヒータにより直接的に加熱乾燥される構成とされる。
(2)制御部4による具体的な処理工程については、プログラム等の変更により、実施形態1において実行される工程(パルプ製造部2のパルプ製造工程および抄紙部3の抄紙工程)以外の他の工程とすることも可能であり、目的に応じて、あるいは処理能力に応じて適宜設計変更することができる。