JP2012162062A - 炭素繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents

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振一 竹村
Yoshihiro Ihara
啓裕 伊原
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Abstract

【課題】振動減衰率の向上及び曲げ弾性率低下の抑制を図りつつ表面に歪みが発生することを防止可能なCFRP成形体を提供する。
【解決手段】CFRP成形体1は、CFRP層2とCFRP層3との間に制振層4を有しているので振動減衰率が向上される。CFRP成形体1においては、CFRP層2を相対的に厚くすると共にCFRP層3を相対的に薄くすることによって、制振層4をCFRP成形体1の中心よりも表面1a側に配置しているので、曲げ弾性率低下が抑制される。CFRP成形体1においては、CFRP層3に含まれる炭素繊維の配向方向に交差する方向に延びる空隙4aを制振層4に設けているので、CFRP層3を薄くしても、CFRP成形体1の成型時において、表面1aに歪みが発生することが防止される。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維強化プラスチック成形体に関する。
炭素繊維強化プラスチック成形体は、アルミニウムや鉄等の金属に比べて軽量かつ高剛性であるため、金属に代わる新素材として近年注目を集めている。そのような炭素繊維強化プラスチック成形体においては制振性を向上させることが要求されている。そこで、互いに積層された炭素繊維強化プラスチック層の間に、ポリイミド等の粘弾性材料からなる制振層を配置した炭素繊維強化プラスチック成形体が提案されている(例えば、特許文献1参照)
特開2004−291408号公報
ところで、本発明者らの知見によれば、特許文献1に記載されているような炭素繊維強化プラスチック成形体において、一方の炭素繊維強化プラスチック層を薄くすると共に他方の炭素繊維強化プラスチック層を厚くすることによって、炭素繊維強化プラスチック成形体の中心よりも表面側の位置に制振層を配置すれば、全体の厚さを変えずに曲げ弾性率の低下を抑制できる。
一方で、炭素繊維強化プラスチック成形体の成型の際の温度低下時においては、炭素繊維強化プラスチック層は炭素繊維の配向方向に膨張し、制振層は収縮する。このとき、一方の炭素繊維強化プラスチック層が薄く構成されていると、炭素繊維強化プラスチック層の膨張と制振層の収縮とに起因する応力によって、炭素繊維強化プラスチック層の表面に歪みが発生する場合がある。
そこで、本発明は、振動減衰率の向上及び曲げ弾性率低下の抑制を図りつつ表面に歪みが発生することを防止可能な炭素繊維強化プラスチック成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の炭素繊維強化プラスチック成形体は、第1の炭素繊維強化プラスチック層と、第1の炭素繊維強化プラスチック層の一方の面上に積層された第2の炭素繊維強化プラスチック層と、第1の炭素繊維強化プラスチック層と第2の炭素繊維強化プラスチック層との間に配置された第1の制振層と、を備え、第2の炭素繊維強化プラスチック層の厚さは、第1の炭素繊維強化プラスチック層の厚さよりも薄く、第1の制振層には、第2の炭素繊維強化プラスチック層に含まれる炭素繊維の配向方向に交差する方向に延びる空隙が設けられていることを特徴とする。
この炭素繊維強化プラスチック成形体においては、互いに積層された第1及び第2の炭素繊維強化プラスチック層の間に第1の制振層を配置している。このため、振動減衰率が向上される。また、この炭素繊維強化プラスチック成形体においては、第1の炭素繊維強化プラスチックを相対的に厚くすると共に第2の炭素繊維強化プラスチック層を相対的に薄くすることによって、第1の制振層を炭素繊維強化プラスチック成形体の中心よりも表面側に配置している。このため、曲げ弾性率の低下が抑制される。さらに、この炭素繊維強化プラスチック成形体においては、第1の制振層には、第2の炭素繊維強化プラスチック層に含まれる炭素繊維の配向方向に交差する方向に延びる空隙が設けられている。このため、炭素繊維強化プラスチック層の膨張と制振層の収縮とに起因する応力が、その空隙によって緩和される。その結果、第2の炭素繊維強化プラスチック層を薄く構成しても、炭素繊維強化プラスチック成形体の成型時に、第2の炭素繊維強化プラスチック層の表面に歪みが発生することが防止される。
本発明の炭素繊維強化プラスチック成形体においては、空隙は、第1の制振層に複数設けられていることが好ましい。この構成によれば、第2の炭素繊維強化プラスチック層の表面に歪みが発生することが確実に防止される。
また、その場合においては、空隙は、配向方向に沿って略等間隔に配列されていることがさらに好ましい。この構成によれば、第2の炭素繊維強化プラスチック層の表面に歪みが発生することが、炭素繊維の配向方向について一様に防止される。
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック成形体においては、配向方向についての空隙の幅は、第2の炭素繊維強化プラスチック層の厚さの5〜20倍であることが好ましい。この構成によれば、第2の炭素繊維強化プラスチック層の表面に歪みが発生することがより確実に防止される。
ここで、本発明の炭素繊維強化プラスチック成形体においては、第1の炭素繊維強化プラスチック層の他方の面上に積層された第3の炭素繊維強化プラスチック層と、第1の炭素繊維強化プラスチック層と第3の炭素繊維強化プラスチック層との間に配置された第2の制振層と、をさらに備え、第3の炭素繊維強化プラスチック層の厚さは、第1の炭素繊維強化プラスチック層の厚さよりも薄く、第2の制振層には、第3の炭素繊維強化プラスチック層に含まれる炭素繊維の配向方向に交差する方向に延びる空隙が設けられていることが好ましい。この構成によれば、炭素繊維強化プラスチック成形体の構造が、その厚さ方向の中心位置について概ね対称となるので、厚さ方向についての反りの発生が防止される。
さらに、その場合においては、第2の炭素繊維強化プラスチック層の厚さと第3の炭素繊維強化プラスチック層の厚さとは略同一であり、第1の制振層の厚さと第2の制振層の厚さとは略同一であることがさらに好ましい。この構成によれば、炭素繊維強化プラスチック成形体の構造が、その厚さ方向の中心位置について対称となるので、厚さ方向についての反りの発生が確実に防止される。
本発明によれば、振動減衰率の向上及び曲げ弾性率低下の抑制を図りつつ表面に歪みが発生することを防止可能な炭素繊維強化プラスチック成形体を提供することができる。
本発明の炭素繊維強化プラスチック成形体の一実施形態の構成を示す斜視図である。 本発明の炭素繊維強化プラスチック成形体の実施例を示す図である。 振動減衰特性の評価結果を示すグラフである。 振動減衰特性の評価結果を示すグラフである。 本発明の炭素繊維強化プラスチック成形体の他の実施例を示す図である。 曲げ弾性率の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の炭素繊維強化プラスチック成形体の一実施形態の構成を示す斜視図である。図1に示されるように、炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics」と称する)成形体1は、CFRP層(第1の炭素繊維強化プラスチック層)2と、CFRP層2の主面(一方の面)2a上に積層されたCFRP層(第2の炭素繊維強化プラスチック層)3と、CFRP層2とCFRP層3との間に配置された制振層(第1の制振層)4とを備えている。
また、CFRP成形体1は、CFRP層2の裏面(他方の面)2b上に積層されたCFRP層(第3の炭素繊維強化プラスチック成形体)5と、CFRP層2とCFRP層5との間に配置された制振層(第2の制振層)6とを備えている。つまり、CFRP成形体1は、CFRP層5、制振層6、CFRP層2、制振層4及びCFRP層3がこの順に積層されて構成されている。CFRP成形体1は、例えば、幅150mm〜300mm、長さ300mm〜400mm、厚さ2mm〜5mm程度の板状に構成することができる。このようにして構成されるCFRP成形体1は、例えば、ロボットハンド等の産業用部品に用いることができる。なお、図1には、直交座標系Sが示されている。そのx軸はCFRP成形体1の長さ方向を示しており、y軸はCFRP成形体1の厚さ方向を示しており、z軸はCFRP成形体1の幅方向を示している。
CFRP層2は、所定の方向に配向された炭素繊維を含む炭素繊維層にマトリックス樹脂(例えばエポキシ樹脂)を含浸してなる炭素繊維プリプレグを複数層(例えば14層)積層し熱硬化することにより板状に形成されている。
CFRP層3,5は、CFRP層2と同様に炭素繊維プリプレグを熱硬化することによって板状に形成されている。ただし、CFRP層3,5は、CFRP層2よりも炭素繊維プリプレグの積層数を少なくする(例えば1層とする)ことにより、CFRP層2よりも薄く構成されている(例えば0.1mm〜0.2mm程度)。また、CFRP層3の厚さとCFRP層5の厚さとは略同一とされている。したがって、制振層4,6は、CFRP成形体1のy軸方向についての中心位置よりもCFRP成形体1の表面1a,1b側に位置している。
CFRP層2,3,5の炭素繊維プリプレグとしては、例えば、JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグE8026E−12S(炭素繊維:日本グラファイトファイバー(株)製ピッチ系炭素繊維(商品名:グラノックXN−80)、マトリックス樹脂:130℃硬化エポキシ、炭素繊維目付け:125g/m、樹脂含有量:32.0重量%、プリプレグ厚さ:0.106mm)、JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグE8026C−25N(炭素繊維:日本グラファイトファイバー(株)製ピッチ系炭素繊維(商品名:グラノックXN−80)、マトリックス樹脂:130℃硬化エポキシ、炭素繊維目付け:250g/m、樹脂含有量:31.4重量%、プリプレグ厚さ:0.209mm)、及び、JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグB24N33C269(炭素繊維:三菱レイヨン(株)製PAN系炭素繊維(商品名:パイロフィルTR30S、マトリックス樹脂:130℃硬化エポキシ、炭素繊維目付け:269g/m、樹脂含有量:33.4重量%、プリプレグ厚さ:0.260mm)等を使用することができる。
制振層4は、CFRP層2とCFRP層3との間において、CFRP層2の主面2aを覆うように板状(フィルム状)に形成されている。制振層4には、CFRP層3に含まれる炭素繊維の配向方向(ここではx軸方向)に交差する方向(ここではz軸方向)に延びる複数(ここでは3つ)の空隙4aが設けられている。空隙4aは、制振層4の全幅に渡って延在している。したがって、制振層4は、空隙4aによって複数(ここでは4つ)の領域4bに分割されている。
空隙4aは、x軸方向に沿って、例えば50mm〜100mm程度の間隔で、略等間隔に配列されている。また、空隙4aのそれぞれのx軸方向についての幅は、例えば、1mm〜2mm程度とされている。つまり、空隙4aのそれぞれのx軸方向についての幅は、CFRP層3の厚さの5〜20倍程度とされている。
制振層6は、CFRP層2とCFRP層5との間において、CFRP層2の裏面2bを覆うように板状(フィルム状)に形成されている。制振層6の厚さは、制振層4の厚さと略同一である。したがって、CFRP成形体1は、y軸方向についての中心位置に対して、略対称的に構成されることとなる。このため、CFRP成形体1のy軸方向についての反りが防止される。
制振層6には、CFRP層5に含まれる炭素繊維の配向方向(ここではx軸方向)に交差する方向(ここではz軸方向)に延びる複数(ここでは3つ)の空隙6aが設けられている。空隙6aは、制振層6の全幅に渡って延在している。したがって、制振層6は、空隙6aによって複数(ここでは4つ)の領域6bに分割されている。
空隙6aは、x軸方向に沿って、例えば50mm〜100mm程度の間隔で、略等間隔に配列されている。また、空隙6aのそれぞれのx軸方向についての幅は、例えば、1mm〜2mm程度とされている。つまり、空隙6aのそれぞれのx軸方向についての幅は、CFRP層5の厚さの5〜20倍程度とされている。なお、空隙6aのそれぞれは、空隙4aのそれぞれと対向するように設けられている。
このような制振層4,6は、CFRP層2,3,5の剛性よりも低い剛性の粘弾性材料からなる。制振層4,6の粘弾性材料は、25°における貯蔵弾性率が、0.1MPa以上2500MPa以下の範囲であることが好ましく、0.1MPa以上250MPa以下の範囲であることがさらに好ましく、0.1MPa以上100MPa以下の範囲であることが一層好ましい。粘弾性材料の貯蔵弾性率が、2500MPa以下であれば、十分な制振性能を得ることができ、0.1MPa以上であれば、曲げ弾性率の低下が少なく、産業用部品として要求される性能を満たすことができる。また、制振層4,6の粘弾性材料は、炭素繊維プリプレグを熱硬化してCFRP層2,3,5を作製することから、その際に発生する熱に対して安定であることが好ましい。さらに、制振層4,6の粘弾性材料は、CFRP層2,3,5のマトリックス樹脂との接着性に優れていることが好ましい。
以上の観点から、制振層4,6を構成する粘弾性材料は、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、及び、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)等のゴム、並びに、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び、柔軟鎖を持つポリマーであるゴムやエラストマー等を添加することによって弾性率を低くしたエポキシ樹脂等の、CFRPに比べて柔軟な材料とすることができる。
以上説明したように、CFRP成形体1においては、CFRP層2とCFRP層3との間及びCFRP層2とCFRP層5との間に、制振層4及び制振層6をそれぞれ配置している。このため、振動減衰率が向上される。また、このCFRP成形体1においては、CFRP層2を相対的に厚くすると共にCFRP層3及びCFRP層5を相対的に薄くすることによって、制振層4及び制振層6のそれぞれをCFRP成形体1の中心よりも表面側の位置に配置している。このため、x軸方向についての曲げ弾性率の低下が抑制される。
さらに、このCFRP成形体1においては、z軸方向に延びる空隙4aが制振層4に設けられると共に、z軸方向に延びる空隙6aが制振層6に設けられている。このため、CFRP層3の膨張と制振層4の収縮とに起因する応力が空隙4aによって緩和され、CFRP層5の膨張と制振層6の収縮とに起因する応力が空隙6aによって緩和される。その結果、CFRP層3,5を薄くしても、CFRP成形体1の成型時に、CFRP成形体1の表面1a,1b(すなわちCFRP層3の表面3a及びCFRP層5の表面5a)に歪みが発生することが防止される。
また、CFRP成形体1においては、複数の空隙4aがx軸方向に沿って略等間隔に配列されて設けられており、複数の空隙6aがx軸方向に沿って略等間隔に配列されて設けられている。このため、CFRP成形体1の表面1a,1bに歪みが発生することが、x軸方向について一様に且つ確実に防止される。
また、CFRP成形体1においては、x軸方向についての空隙4aの幅が、CFRP層3の厚さの5〜20倍であると共に、x軸方向についての空隙6aの幅が、CFRP層5の厚さの5〜20倍となっている。このため、CFRP成形体1の表面1a,1bに歪みが発生することが確実に防止される。
以上の実施形態は、本発明のCFRP成形体の一実施形態を説明したものであり、本発明のCFRP成形体は、上記のCFRP成形体1に限定されない。例えば、空隙4a,6aは、制振層4及び制振層6の全幅に渡って延在していなくてもよい。また、空隙4a,6aの数や形成位置は、CFRP成形体1の大きさやCFRP層3,5の大きさに応じて任意に設定できる。
[実施例1]
本発明に係るCFRP成形体の実施例として、図2に示される試験片10を用意した。この試験片10の仕様は、下記の表1に示される通りである。なお、表1,2において、「積層角」は、試験片10及び比較試験片の長手方向と炭素繊維の配向方向との角度を示している。積層角は、0°が各片の長手方向を示し、90°が各片の幅方向を示し、±45°がバイアス方向を示している。また、表1,2において、「Ply」は、プリプレグの層数を示しており、「MPT」は、1層のプリプレグの厚さを示している。
表1に示されるように、試験片10においては、CFRP層2として、積層角を0°とした炭素繊維プリプレグ(JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグE8026E−12S)2層と、積層角を0°とした炭素繊維プリプレグ(JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグE8026C−25N)4層と、積層角を45°とした炭素繊維プリプレグ(JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグE8026C−25N)2層と、積層角を−45°とした炭素繊維プリプレグ(JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグE8026C−25N)2層と、積層角を90°とした炭素繊維プリプレグ(JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグB24N33C269)4層とを用いた。
また、試験片10においては、CFRP層3,5として、積層角を0°とした炭素繊維プリプレグ(JX日鉱日石エネルギー(株)製炭素繊維プリプレグE8026E−12S)1層をそれぞれ用いた。さらに、試験片10においては、制振層4,6として、ポリウレタン層(日清紡ケミカル(株)製ポリウレタンフィルム(商品名:モビロンフィルム))をそれぞれ用いた。
以上の炭素繊維プリプレグ及びポリウレタン層を、表1の順に積層して、オートクレーブにより真空・加圧しながら熱硬化することにより、長さL1が280mm、幅W1が10mm、厚さT1が3mm程度の長尺板状の試験片10を得た。
一方で、試験片10の比較例として、以下のように比較用試験片を用意した。この比較用試験片の仕様は、下記の表2に示される通りである。つまり、この比較用試験片は、試験片10に対して、制振層4,6に対応するポリウレタン層を備えていない点で異なっている。表2の順に炭素繊維プリプレグを積層して、オートクレーブにより真空・加圧しながら熱硬化することにより、試験片10と同程度の大きさの比較用試験片を得た。
以上のように準備した試験片10及び比較用試験片の振動減衰特性を評価した。試験片10及び比較用試験片の振動減衰特性の評価方法は、以下の通りである。まず、図2に示されるように、試験片10の一方の端部10aを60mm程度、保持部材Aによって保持する。これにより、試験片10が片持ち梁状態となる。
続いて、試験片10の他方の端部(先端部)10bに、所定の荷重を与えた後にその荷重を除くことにより、試験片10に自由振動を発生させる。続いて、自由振動中の試験片10の先端部10bの変位をレーザ変位計で測定する。以上の工程により、図3のF1で示される減衰自由振動波形と、図4のF2で示される対数減衰率を得た。一方で、比較用試験片についても同様の工程を行い、図3のG1で示される減衰自由振動波形と、図4のG2で示される対数減衰率を得た。対数減衰率は、減衰自由振動波形において隣り合う極大値の比の自然対数に相当する。
図3に示される評価結果によれば、曲げひずみが300μεから100μεまで減衰するまでの振動収束所要時間は、比較用試験片では約0.82秒であったのに対して、試験片10では約0.23秒であった。つまり、試験片10によれば、振動収束所要時間が約1/3.6に短縮された。また、図4に示される評価結果によれば、曲げひずみが200μεであるときの対数減衰率は、比較用試験片では約0.11であったのに対して、試験片10では約0.36であった。つまり、試験片10によれば、対数減衰率が約3.3倍に改善された。以上により、CFRP成形体において、その表面近くにポリウレタン層を配置することにより、振動減衰特性が向上されることが確認された。
[実施例2]
本発明のCFRP成形体の他の実施例として、図5に示される試験片20を用意した。試験片20は、その層構造において試験片10と同様であるが、その大きさが試験片10と異なる。すなわち、試験片20は、長さL2が140mm、幅W2が15mm、厚さW1が3mm程度に構成されている。一方で、試験片20の比較例として、制振層4,6に対応するポリウレタン層を有さない点で試験片20と異なる比較用試験片を用意した。
このように用意した試験片20及び比較用試験片の曲げ弾性率を評価した。試験片20及び比較用試験片の曲げ弾性率の評価方法は、所謂3点曲げ試験とした。すなわち、図5に示されるように、試験片20の両端に位置する2つの保持部材B1に試験片20を載置した後に、試験片20の中央部に重り部材B2を乗せて荷重を加えた。これにより、図6のF3で示される評価結果を得た。また、比較用試験片についても同様の方法により、図6のG3で示される評価結果を得た。
図6の評価結果によれば、曲げ弾性率は、比較用試験片では約339GPaであったのに対して、試験片20では約291GPaであった。つまり、比較用試験片に対する試験片20の曲げ弾性率の保持率は、約85%であった。これにより、CFRP成形体において、ポリウレタン層の配置位置を、その表面近くとすることにより、曲げ弾性率の低下を抑制できることが確認された。
1…CFRP成形体(炭素繊維強化プラスチック成形体)、2…CFRP層(第1の炭素繊維強化プラスチック層)、2a…主面(一方の面)、2b…裏面(他方の面)、3…CFRP層(第2の炭素繊維強化プラスチック層)、4…制振層(第1の制振層)、4a…空隙、5…CFRP層(第3の炭素繊維強化プラスチック層)、6…制振層(第2の制振層)、6a…空隙。

Claims (6)

  1. 第1の炭素繊維強化プラスチック層と、
    前記第1の炭素繊維強化プラスチック層の一方の面上に積層された第2の炭素繊維強化プラスチック層と、
    前記第1の炭素繊維強化プラスチック層と前記第2の炭素繊維強化プラスチック層との間に配置された第1の制振層と、を備え、
    前記第2の炭素繊維強化プラスチック層の厚さは、前記第1の炭素繊維強化プラスチック層の厚さよりも薄く、
    前記第1の制振層には、前記第2の炭素繊維強化プラスチック層に含まれる炭素繊維の配向方向に交差する方向に延びる空隙が設けられている、ことを特徴とする炭素繊維強化プラスチック成形体。
  2. 前記空隙は、前記第1の制振層に複数設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化プラスチック成形体。
  3. 前記空隙は、前記配向方向に沿って略等間隔に配列されていることを特徴とする請求項2記載の炭素繊維強化プラスチック成形体。
  4. 前記配向方向についての前記空隙の幅は、前記第2の炭素繊維強化プラスチック層の厚さの5〜20倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の炭素繊維強化プラスチック成形体。
  5. 前記第1の炭素繊維強化プラスチック層の他方の面上に積層された第3の炭素繊維強化プラスチック層と、
    前記第1の炭素繊維強化プラスチック層と前記第3の炭素繊維強化プラスチック層との間に配置された第2の制振層と、をさらに備え、
    前記第3の炭素繊維強化プラスチック層の厚さは、前記第1の炭素繊維強化プラスチック層の厚さよりも薄く、
    前記第2の制振層には、前記第3の炭素繊維強化プラスチック層に含まれる炭素繊維の配向方向に交差する方向に延びる空隙が設けられている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の炭素繊維強化プラスチック成形体。
  6. 前記第2の炭素繊維強化プラスチック層の厚さと前記第3の炭素繊維強化プラスチック層の厚さとは略同一であり、
    前記第1の制振層の厚さと前記第2の制振層の厚さとは略同一である、ことを特徴とする請求項5に記載の炭素繊維強化プラスチック成形体。
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