JP2012161735A - 有害物質の不溶化方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】不溶化作用を保持しつつ不溶化材を地盤内の汚染領域に浸透させる。
【解決手段】本発明に係る有害物質の不溶化方法においては、まず、鉄酸化物等の不溶化材を分散剤とともに水に添加し懸濁させることで不溶化材スラリーを作製する。分散剤は、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体からなり、重量平均分子量Mwを10000乃至14000としたものを用いる。次に、作製した不溶化材スラリーを図1に示すように注水井3を介して地盤1に注入し、該地盤内の汚染領域2に浸透させる。このようにすると、分散剤によってスラリー中に均等に分散された不溶化材は、注入井3のストレーナを目詰まりさせることなく該注入井の外側に流出するとともに、地盤1の土粒子間隙に凝集沈殿することもなく、上述した地下水流に連行される形で汚染領域2に到達し、該汚染領域に浸透して有害物質を不溶化する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地盤内の汚染領域に分布する重金属等の有害物質を原位置で不溶化する有害物質の不溶化方法に関する。
工場跡地の地盤内には、トリクロロエチレンなどで代表される揮発性有機塩素化合物、燃料油や機械油、ダイオキシン類、あるいはカドミウム、鉛、銅、亜鉛、ニッケル、クロムなどの重金属といったさまざまな有害物質が混入していることがある。
かかる有害物質で汚染された地盤をそのまま放置すると、有害物質が周囲に拡散し、周辺住民の生活に支障を来すとともに、雨水によって土粒子から遊離した場合には、地下水等に混入して水質を汚濁させる原因ともなる。そのため、上述した有害物質で汚染された地盤については、さまざまな方法で浄化処理や不溶化処理を行うことにより、環境への拡散防止が図られている。
地盤内の有害物質を不溶化するにあたり、地表近傍において小規模に分布しているような場合には、地盤内の汚染領域を掘削してプラントで処理する方法も採用し得るが、一般的には、掘削せずに原位置で処理する方がコスト面で望ましく、例えば水平翼機械攪拌工法に用いる深層混合処理機や垂直連続混合攪拌工法に用いる浅層混合処理機といった軟弱地盤改良工法で使用する重機を用いて、地盤の汚染領域に不溶化材を注入しながら攪拌混合する技術が採用されている。
一方、不溶化材が添加された液を不溶化材溶液あるいは不溶化材スラリーとして予め作製し、かかる不溶化材溶液や不溶化材スラリーを注入井を介して地盤に注入させる方法が開発されており、かかる方法によれば、適用可能な地盤が透水性地盤に限られるものの、既設の構造物が地上あるいは地表面近傍に存在するために重機を用いることが困難な場合であっても、地盤内の有害物質を不溶化できるとともに、既存構造物の有無とは関係なく、注入井を設置するだけで、地盤内の汚染領域に分布する有害物質を不溶化することが可能となる。
特開2004−255376号公報
しかしながら、粉体の不溶化材が水中に懸濁されてなる不溶化材スラリーを地盤に注入する場合には、不溶化材スラリーが地盤内を浸透している間に不溶化材が凝集沈殿したり、不溶化材の凝集によって注入井のストレーナが目詰まりするといった事態が生じ、結果として不溶化材を地盤内の汚染領域に浸透させることができず、浸透範囲が注入井の周囲に限られてしまうという問題や、粉体の不溶化材が水に難溶性であるため、均質な不溶化材スラリーを作製することがそもそも難しいという問題を生じていた。
一方、ポリリン酸塩のような無機型分散剤や界面活性剤型分散剤を用いて不溶化材を分散させる方法も考えられるが、これらの分散剤を添加すると、不溶化材スラリーのpHが上昇し、酸化鉄系不溶化材であれば、重金属の吸着作用、ひいては不溶化作用が低下する懸念がある。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、不溶化作用を保持しつつ不溶化材を地盤内の汚染領域に浸透させることが可能な有害物質の不溶化方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る有害物質の不溶化方法は請求項1に記載したように、粉体の不溶化材を分散剤とともに水に添加することで前記不溶化材が水に懸濁されてなる不溶化材スラリーを作製し、次いで、該不溶化材スラリーを有害物質で汚染された地盤の汚染領域に浸透させることで前記有害物質を不溶化する有害物質の不溶化方法であって、前記分散剤を、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体からなり、重量平均分子量Mwを10000乃至14000としたものである。
また、本発明に係る有害物質の不溶化方法は、前記ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体を一価塩としたものである。
また、本発明に係る有害物質の不溶化方法は、前記不溶化材を、酸化第一鉄、酸化第二鉄若しくは四三酸化鉄からなる鉄酸化物又は硫酸第一鉄若しくは塩化第一鉄からなる第一鉄塩を酸化させた鉄酸化物とするとともに、該不溶化材に対する前記分散剤の質量比を0.05〜1としたものである。
また、本発明に係る有害物質の不溶化方法は、前記不溶化材に対する前記分散剤の質量比を0.05〜1に代えて、0.1〜1としたものである。
本発明に係る有害物質の不溶化方法においては、粉体の不溶化材を分散剤とともに水に添加することで不溶化材が水に懸濁されてなる不溶化材スラリーを作製し、次いで、該不溶化材スラリーを有害物質で汚染された地盤の汚染領域に浸透させるにあたり、分散剤を、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体からなり、重量平均分子量Mwを10000乃至14000として構成する。
このようにすると、上述の分散剤は、不溶化材を凝集させることなく、不溶化材スラリー中に確実に分散させるとともに、pH上昇によって不溶化作用を低下させる懸念もない。
そのため、不溶化材スラリーは、浸透開始位置(注入位置)で目詰まりを起こしたり浸透中に凝集沈殿を起こしたりすることなく、なおかつ不溶化材による不溶化作用を保持したまま、地盤内の汚染領域に浸透する。
また、上記分散剤は、その高い分散性によって不溶化材スラリーの粘性増加を抑制する作用も有する。そのため、地盤内における不溶化材スラリーの浸透性が向上し、適用地盤に要求される透水性の制約も大幅に緩和される。
有害物質で汚染された地盤の汚染領域に不溶化材スラリーを浸透させる手段は任意であり、例えば、注入井を介した水頭差による方法や、薬液注入工法と同様の注入方式あるいは注入管を用いた加圧注入による方法を採用することができる。
有害物質には、土壌溶出基準の対象として環境庁告示に定められている第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)、第二種特定有害物質(カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、アルキル水銀、銅、セレン、フッ素、ほう素)、第三種特定有害物質(有機燐、PCB、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素)を含む。
分散剤は、ポリアクリル酸塩、あるいはポリメタクリル酸塩のみから構成してもよいし、それらの共重合体として構成してもよい。また、これらの共重合体を併用してもよい。
ここで、それらの重量平均分子量Mwを10000乃至14000としたのは、かかる範囲内であれば十分な分散性を確保できるからである。ちなみに、重量平均分子量Mwは、ゲルパーミェーションクロマトグラフ(GPC)でポリスチレン基準で求めたものである。
重量平均分子量Mwが上述の範囲であれば、不溶化材を不溶化材スラリー中に確実に分散させることができるが、上述したポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体を、特に、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩といったアルカリ金属塩やアンモニウム塩などの一価塩としたならば、わずかな添加量で分散機能を確実に得ることが可能となる。
不溶化材は、重金属等の有害物質を吸着作用で捕捉可能な公知の物質から適宜選択することが可能であり、例えば、ベントナイトなどの粘土鉱物や酸化マグネシウムをはじめ、酸化第一鉄、酸化第二鉄若しくは四三酸化鉄といった鉄酸化物や、硫酸第一鉄若しくは塩化第一鉄等の第一鉄塩を酸化させてなる鉄酸化物を含む酸化鉄系不溶化材を採用することが可能である。
ここで、不溶化材を、酸化第一鉄、酸化第二鉄若しくは四三酸化鉄からなる鉄酸化物又は硫酸第一鉄若しくは塩化第一鉄からなる第一鉄塩を酸化させた鉄酸化物とした場合、不溶化材に対する分散剤の質量比を0.05〜10とすることができるが、望ましくは0.05〜1、さらに望ましくは0.1〜1、特に望ましくは0.1〜0.5とするのがよい。
不溶化材に対する分散剤の質量比が0.05未満であれば、分散作用が不足するからであり、10を上回れば、pHが過大になって不溶化作用の低下を招くおそれがあるからである。
一方、不溶化材に対する分散剤の質量比が0.1以上であれば、良好な分散作用を確保できるからであり、1以下であればpHを9.5よりも小さく抑え、0.5以下であれば、pHを概ね9以下に抑えることができるからである。
本実施形態に係る有害物質の不溶化方法の実施状況を示した概略図。 実証試験の結果を示したグラフであり、(a)は、試験用不溶化材に対する試験用分散剤の質量比と試験体スラリーの上澄み液に残る不溶化材の残存率との関係を示したグラフ、(b)は、上記質量比と試験体スラリーのpHとの関係を示したもの。 実証試験の結果を示したグラフであり、(a)は透水係数の経時的変化を示したグラフ、(b)は不溶化材の残存率の経時的変化を示したグラフ。
以下、本発明に係る有害物質の不溶化方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係る有害物質の不溶化方法においては、まず、不溶化材を分散剤とともに水に添加し懸濁させることで不溶化材スラリーを作製する。
分散剤は、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体からなり、重量平均分子量Mwを10000乃至14000としたものを用いる。ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体は、分散機能を高めるべく、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩といったアルカリ金属塩やアンモニウム塩などの一価塩とすることのが望ましい。
かかる分散剤は、「SUPER SLURRY B」の商品名で三洋化成工業株式会社から販売されている安定液用分散剤を用いるのがよい。
不溶化材は、不溶化の対象となる有害物質の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、水銀、セレン又はフッ素が有害物質である場合には、酸化第一鉄、酸化第二鉄若しくは四三酸化鉄からなる鉄酸化物や、硫酸第一鉄若しくは塩化第一鉄からなる第一鉄塩を酸化させた鉄酸化物を選択することができる。
かかる不溶化材としては例えば、「フィックスオール」(登録商標)の商品名で石原産業株式会社から販売されているものを用いるのがよい。
さらに、ヒ素、リン、セレン、六価クロムを不溶化対象として「アズレーS」の商品名で株式会社ソフィアから販売されている環境浄化資材や、ヒ素、鉛、六価クロム、セレンを不溶化対象として「MSI-SH3」の商品名でJFEミネラル株式会社から販売されている重金属吸着材、あるいは、六価クロム、カドミウム、ヒ素、セレン、鉛、フッ素、ホウ素を不溶化対象として「TGキャッチII」の商品名でテクニカ合同株式会社から販売されている重金属高性能吸着材を用いることが可能である。
ここで、不溶化材を鉄酸化物とした場合においては、不溶化材に対する分散剤の質量比を0.05〜1、望ましくは0.1〜1、さらに望ましくは0.1〜0.5とするのがよい。
不溶化材に対する分散剤の質量比が0.05未満であれば、分散作用が不足するからであり、10を上回れば、pHが過大になって不溶化作用の低下を招くおそれがあるからである。
一方、不溶化材に対する分散剤の質量比が0.1以上であれば、良好な分散作用を確保できるからであり、1以下であればpHを9.5よりも小さく抑制し、0.5以下であれば、pHをさらに9以下に抑制することができるからである。
不溶化材スラリーを作製したならば、該不溶化材スラリーを地盤に注入し、該地盤内において不溶化の対象となる有害物質が分布する汚染領域に浸透させる。
不溶化材スラリーを汚染領域に浸透させるには、図1(a)に示すように、地盤1内の汚染領域2を通過する地下水の流れを考慮して、その上流側に位置するように注入井3を地盤1に掘削形成し、該注入井に不溶化材スラリーを注入すればよい。
一方、汚染領域が地下水位より浅い位置に分布する等の事情で自然の地下水流に乗せることが難しい場合、同図(b)に示すように、汚染領域2の下流側に地下止水壁4を構築し、該地下止水壁で地下水を堰き止めることで、汚染領域2における地下水位を上昇させ、かかる状態で注入井3から不溶化材スラリーを注入するようにすればよい。
また、同図(b)の方法に代えて同図(c)に示すように、汚染領域2を挟むようにして注水井5及び揚水井8を掘削形成するとともに、それらの両側に止水壁6及び止水壁7をそれぞれ構築し、注水井5から水を注入しこれを揚水井8から揚水することで、注水井5から揚水井8に向かう地下水流を人工的に創り出しながら、注水井5と汚染領域2の間に掘削形成された注入井3から不溶化材スラリーを注入するようにしてもよい。
このように注水井3を介して不溶化材スラリーを地盤1に注入すると、分散剤によってスラリー中に均等に分散された不溶化材は、注入井3のストレーナ(図示せず)を目詰まりさせることなく該注入井の外側に流出するとともに、地盤1の土粒子間隙に凝集沈殿することもなく、上述した地下水流に連行される形で汚染領域2に到達し、該汚染領域に浸透して有害物質を不溶化する。
以上説明したように、本実施形態に係る有害物質の不溶化方法によれば、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体を重量平均分子量Mwが10000乃至14000となるように分散剤を構成するとともに、該分散剤を不溶化材とともに水に添加して不溶化材スラリーとしたので、不溶化材は、注入井で目詰まりを起こしたり浸透中に地盤内で凝集沈殿を起こしたりすることなく、地盤内の汚染領域に到達し、該汚染領域に浸透するとともに、pH上昇を起こして不溶化作用を低下させることもない。
そのため、汚染領域に浸透した不溶化材は、汚染領域内の有害物質を確実に不溶化し、かくして環境への拡散が未然に防止される。
また、本実施形態に係る有害物質の不溶化方法によれば、上述の分散剤が高い分散性を発揮して不溶化材スラリーの粘性増加を抑制するため、地盤内における不溶化材スラリーの浸透性が向上し、適用地盤に要求される透水性の制約も大幅に緩和される。
次に、本発明に係る有害物質の不溶化方法について実証試験を行ったので、以下に説明する。
(a)分散試験
「フィックスオール」(登録商標)の商品名で石原産業株式会社から販売されている重金属吸着不溶化材から石膏成分が除去されたものを試験用不溶化材、「SUPER SLURRY B」の商品名で三洋化成工業株式会社から販売されている安定液用分散剤を試験用分散剤とし、これらの試験用不溶化材及び試験用分散剤を、それらの質量比が相異なるように水に添加混合して複数の試験体スラリーを作製し、それらの濁度を測定して濁度Aとするとともに、30分静置した後、各試験体スラリーから上澄み液を30mL採取し、それらの濁度を同様に測定して濁度Bとし、次いで、次式、
不溶化材の残存率(%)=(濁度B/濁度A)×100
を算出することにより、静置したことによる濁度の変化を不溶化材の残存率として算出した。結果を図2(a)に示す。
同図に示すように、試験用不溶化材に対する試験用分散剤の質量比が0.01のとき、残存率は2%程度であるのに対し、質量比が0.05あたりで残存率は30%程度となり、0.1以上では、残存率はほぼ100%となった。
これらの結果から、不溶化材に対する分散剤の質量比を0.05以上、望ましくは0.1以上とすれば、不溶化材を一定以上のレベルでスラリー中に分散可能であることがわかった。これは、透水性の高い地盤であれば、浸透速度が速いため、不溶化材に対する分散剤の質量比を0.05以上に設定すれば足り、透水速度が遅いために浸透に時間を要する地盤であっても、質量比を0.1以上に設定すればよいことを意味する。
(b)溶出試験
ヒ素、セレン及び鉛の複合汚染土を準備し、かかる複合汚染土に上述の試験体スラリーのうち、質量比が0.2の試験体スラリーを投入して6時間振とうした後、固液分離してろ液のpHを計測するとともに、ヒ素、セレン及び鉛の濃度を計測した。結果を表1に示す。
Figure 2012161735
同表でわかるように、いずれの有害物質も溶出基準以下の濃度となった。この結果から、試験用不溶化材に対して質量比0.2で試験用分散剤を添加しても、不溶化作用は低下しないことがわかった。
(c)pH試験
試験体スラリーのpHを計測した結果を図2(b)に示す。同図でわかるように、本発明に係る試験用分散剤の場合、試験用不溶化材に対する質量比が10程度になっても、pHは9.5で弱アルカリにとどまっており、不溶化作用が低下しないという点で許容範囲内であるとともに、質量比が1程度以下であれば、pHは9程度以下に抑制されることがわかった。
(d)浸透性試験
砂地盤を想定したカラム充填土に試験体スラリーを浸透させてその浸透効果を調べた。
試験手順としては、まず、直径10cmの円筒カラムに珪砂6号を高さ15cm、30cmとなるように充填し、一定の水頭差で水を通水させることにより通水を安定させた後、試験用不溶化材を20g/L、試験用分散剤を2g/L(質量比は0.1)添加してなる試験体スラリーを浸透させ、定期的にカラムから排出される浸出水を採取し、濁度を測定することで、透水係数の経時変化を調べた。
透水係数の変化と不溶化材の残存率の変化を図3に示す。
同図に示すように、試験用分散剤を添加しないケースでは、試験用不溶化材が砂に付着して目詰まりを起こし、時間とともに透水係数が低下したのに対し、試験用分散剤を添加したケースでは、透水係数はほとんど低下しないことがわかった。
ちなみに、残存率は、試験用分散剤を添加しないケースではほぼゼロに近いのに対し、試験用分散剤を添加したケースでは、試験時間中にわたってほぼ100%となり、透水性の変化傾向に対応した結果を得た。
以上の結果から、不溶化材だけでは透水係数が小さく、砂質地盤であっても汚染領域への浸透は困難であろうと推測されるのに対し、本発明に係る分散剤を併用すれば、不溶化材の透水係数が大きくなり、少なくとも砂質地盤であれば、不溶化材を汚染領域に確実に浸透させることができると思われる。
1 地盤
2 汚染領域
3 注入井
4 地下止水壁
5 注水井
6,7 止水壁
8 揚水井

Claims (4)

  1. 粉体の不溶化材を分散剤とともに水に添加することで前記不溶化材が水に懸濁されてなる不溶化材スラリーを作製し、次いで、該不溶化材スラリーを有害物質で汚染された地盤の汚染領域に浸透させることで前記有害物質を不溶化する有害物質の不溶化方法であって、前記分散剤を、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体からなり、重量平均分子量Mwを10000乃至14000としたことを特徴とする有害物質の不溶化方法。
  2. 前記ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体を一価塩とした請求項1記載の有害物質の不溶化方法。
  3. 前記不溶化材を、酸化第一鉄、酸化第二鉄若しくは四三酸化鉄からなる鉄酸化物又は硫酸第一鉄若しくは塩化第一鉄からなる第一鉄塩を酸化させた鉄酸化物とするとともに、該不溶化材に対する前記分散剤の質量比を0.05〜1とした請求項1又は請求項2記載の有害物質の不溶化方法。
  4. 前記不溶化材に対する前記分散剤の質量比を0.05〜1に代えて、0.1〜1とした請求項3記載の有害物質の不溶化方法。
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