JP2022085246A - 砒素吸着層構築方法 - Google Patents

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Tetsuaki Sato
成紀 窪田
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【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち従来技術に比して大幅なコスト増となることなく薬剤溶液を広範囲に拡散させ、すなわち広範囲に及ぶ吸着層を構築することができる砒素吸着層構築方法を提供することである。【解決手段】本願発明の砒素吸着層構築方法は、地下水中の砒素を吸着する吸着層を構築する方法であって、注入工程を備えた方法である。この注入工程では、pH依存性の薬剤を水に溶解した薬剤溶液を井戸から周辺地盤に注入する。なおここで用いる薬剤は、pHが低い状態では水に溶解し、中性になるとゲル化する性能を有するものである。そして、地盤に注入された薬剤溶液中の薬剤が地盤の緩衝能力によって中性化されることでゲル化し、このゲル化により吸着層が構築される。【選択図】図1

Description

本願発明は、砒素による地下水汚染の拡大を防止する技術に関するものであり、より具体的には、pH依存性の薬剤を地盤内に注入することによって砒素の吸着層を構築する技術に関するものである。
砒素は、半導体として利用されるガリウム砒素のように工業的に有用な元素である反面、水銀やカドミウムなどと同様に摂取すると健康被害をもたらすこともあり、昔から「毒物の王」と呼ばれるなど警戒される元素でもある。この砒素は、特に地殻中に分布していることから、火山活動や森林火災、鉱物の風化といった現象によって自然環境中に放出され、そのため土壌や水中には天然由来の砒素が含まれることがある。
上記したように環境中に存在する砒素は、自然由来のもののほか、火力発電や金属精錬、廃棄物の処理といった産業活動に伴って環境中に放出されたものもある。そして、砒素が地下水を汚染するケースも多く見られ、自然由来による砒素は「広域的な地下水汚染」を発生させる傾向にあり、一方の産業活動に伴う砒素は「局所的な地下水汚染」を発生させる傾向にある。
「局所的な地下水汚染」に対する対策を図る場合、汚染原因となる土壌を排除する「掘削除去工法」が採用されることが多い。しかしながら、操業中の工場のケースでは掘削自体が困難であり、また地下水汚染の要因となる土壌汚染を特定できないケースでは期待した効果が得られないなど、この掘削除去工法が採用できないことも少なくない。さらに掘削除去工法は、地下水汚染拡大防止の効果が得られるまでに相当の時間を要することから緊急対策とはなり得ない。
掘削除去工法が採用できない場合、土壌汚染対策法では「揚水施設による地下水汚染の拡大防止」と「透過性地下水浄化壁による地下水汚染の拡大防止」を地下水汚染の拡大防止対策として規定している。ところが前者の対策を用いると、揚水井戸や揚水した地下水を処理する水処理施設が必要となるうえ、局所的な地下水汚染に対してはコストが割高となり、しかも揚水により地下水汚染を拡げてしまう懸念もある。
一方、後者の対策にも問題がある。一般的に、砒素の吸着層を構築するには鉄系の吸着材が用いられ、専用の井戸を設置した上でこの井戸からスラリー状とした薬剤が地盤内に注入される。ところが、注入する薬剤がスラリー状であるが故に、その到達範囲は注入井戸の周辺にとどまり、したがって地下水汚染防止の効果も極めて限定的となる。
そこで、砒素などの有害物質を不溶化させる不溶化材スラリーを地盤内に広く浸透させる試みが、これまでにも行われてきた。例えば特許文献1では、鉄酸化物等の不溶化材とともに分散剤を水に添加した不溶化材スラリーを地盤内に注入し、地下水の水流を利用して不溶化材スラリーを広く浸透させる技術について提案している。
特開2012-161735号公報
特許文献1に開示される技術は、分散剤を利用するとともに、地下水の水流を利用することから、従来に比して広く不溶化材スラリーを浸透させることができ、そのため注入井戸からやや離れた汚染領域に対しても不溶化材スラリーを浸透させることができる。しかしながら、地下水の水流を利用するために相当の仮設工事が必要になるケースもある。例えば特許文献1では、汚染領域が地下水位より浅い位置に分布する場合、地下水位を上昇させることを目的として、汚染領域の下流側に地下止水壁を構築する例を示している。あるいは、汚染領域を挟むように注水井と揚水井を掘削形成するとともに、それらの両外側にそれぞれ止水壁を構築し、注水井から水を注入しこれを揚水井から揚水することによって人工的に水流を発生させる例なども示している。
このように特許文献1に開示される技術は、地下水の水流を利用するための仮設工事が必要となることもあり、その仮設工事には相当の費用を要し、また不溶化材に加え分散剤にかかる費用も必要となることから、コスト面では採用し難い技術といえる。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち従来技術に比して大幅なコスト増となることなく薬剤溶液を広範囲に拡散させ、すなわち広範囲に及ぶ吸着層を構築することができる砒素吸着層構築方法を提供することである。
本願発明は、地盤の緩衝能力を利用することによって広範囲に吸着層を構築する、という点に着目したものであり、従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
本願発明の砒素吸着層構築方法は、地下水中の砒素を吸着する吸着層を構築する方法であって、注入工程を備えた方法である。この注入工程では、pH依存性の薬剤を水に溶解した薬剤溶液を井戸から周辺地盤に注入する。なおここで用いる薬剤は、pHが低い状態では水に溶解し、中性になるとゲル化する性能を有するものである。そして、地盤に注入された薬剤溶液中の薬剤が地盤の緩衝能力によって中性化されることでゲル化し、このゲル化により吸着層が構築される。
本願発明の砒素吸着層構築方法は、鉄系薬剤を用いた方法とすることもできる。
本願発明の砒素吸着層構築方法には、次のような効果がある。
(1)スラリー状ではない溶液として薬剤を注入することから、井戸を起点として広く薬剤が拡散し、すなわち平面的に広範囲の吸着層を構築することができる。
(2)特段の仮設工事を要することなく、従来の注入工法と概ね同様の手法で実施することができ、コスト増を抑制しつつ吸着層を構築することができる。特に、既設の井戸を利用する場合は、格段にコストを低減することができる。
(3)地盤内に注入される薬剤溶液は、従来のスラリー状のものに比べ土壌の細かい空隙にも浸透することができ、すなわち土壌単位体積当たりの吸着材量が大幅に増加することとなる。この結果、砒素による地下水汚染の拡大を長期間にわたって維持することができる。
(a)は本願発明によって砒素吸着層が構築される状況を模式的に示す断面図、(b)は従来技術によって砒素吸着層が構築される状況を模式的に示す断面図。 本願発明の砒素吸着層構築方法の主な工程の流れを示すフロー図。 (a)は本願発明によって構築された砒素吸着層に対して行った試験結果を示す結果図、(b)は従来技術によって構築された砒素吸着層に対して行った試験結果を示す結果図。
本願発明の砒素吸着層構築方法の実施の例を、図に基づいて説明する。
1.全体概要
はじめに、本願発明の砒素吸着層構築方法の概要について図1を参照しながら説明する。図1は、本願発明と従来技術を比較した図であり、(a)は本願発明によって砒素吸着層が構築される状況を模式的に示す断面図、(b)は従来技術によって砒素吸着層が構築される状況を模式的に示す断面図である。
本願発明の砒素吸着層構築方法は、pH依存性の薬剤(以下、「pH依存薬剤」という。)を利用することを技術的特徴の一つとしている。ここでpH依存薬剤とは、「pHが低い状態では水に溶解するが、中性になるとゲル化する」という性能を有する薬剤のことである。具体的には、地盤に設けられた井戸(以下、「注入井戸WL」という。)から、pH依存薬剤を溶解した液体(以下、「pH依存薬剤溶液DS」という。)を地盤内に注入することによって、砒素を吸着するための層(以下、「砒素吸着層」という。)を構築する。ただし、注入されるpH依存薬剤溶液DSは、そのpHが低い値(例えば、pHが3未満)を示すように生成される。
図1(a)に示すように、注入井戸WLから低pHのpH依存薬剤溶液DSを地盤内に注入すると、はじめはpH依存薬剤溶液DSが液体状(スラリー状ではない)を維持しているため円滑に地盤内を移動するとともに土壌の細孔にも浸透していく。そして、pH依存薬剤溶液DSが地盤内を移動していくと、地盤の緩衝能力によって徐々にpH依存薬剤溶液DSは中性となり、その結果、溶解していたpH依存薬剤がゲル化し、砒素吸着層が構築される。そのため、本願発明によって構築される砒素吸着層は、図1(a)に示すように広範囲にわたって構築されるわけである。
一方、図1(b)に示す従来技術では、通常の薬剤を溶解した液体(以下、「従来薬剤溶液SL」という。)を利用する。この従来薬剤溶液SLは生成した時点でスラリー状となることから、注入井戸WLから注入された従来薬剤溶液SLは円滑に地盤内を移動していくことが難しい。そのため、従来技術によって構築される砒素吸着層は、図1(b)に示すように狭い範囲で限定的に構築される。図1(a)と図1(b)を比較すると、砒素吸着層が構築される範囲の差は歴然としている。また、従来技術による砒素吸着層が、比較的大きい空隙を有する土壌にのみ限定的に機能するのに対して、本願願発明による砒素吸着層は、比較的小さい空隙を有する土壌に対しても有効に機能することができる。
2.砒素吸着層構築方法
続いて、本願発明の砒素吸着層構築方法ついて図2を参照しながら説明する。図2は、本願発明の砒素吸着層構築方法の主な工程の流れを示すフロー図である。この図に示すように、まずは対象とする領域のうち適切な位置に注入井戸WLを構築する(図2のStep10)。注入井戸WLは、従来用いられている種々の工法を採用して掘削することができ、また塩化ビニル管(耐熱性硬質塩化ビニル管)を含む種々の材料を用いることができる。なお、既に井戸が設けられている場合は、その既設井戸を注入井戸WLとして利用することもできる。したがって、既に井戸が設けられている場合は、注入井戸WLの構築工程(図2のStep10)を省略することもできる。
次に、pH依存薬剤を水に溶解してpH依存薬剤溶液DSを生成する(図2のStep20)。このとき、既述したようにpHが低い値(例えば、pHが3未満)を示すようにpH依存薬剤溶液DSは生成される。なお、水に溶解するpH依存薬剤として鉄系の薬剤を利用するとよく、例えば株式会社アステック製の重金属吸着剤「MP-C」を利用するとよい。
pH依存薬剤溶液DSを生成すると、図1に示すように注入井戸WLから地盤に向かってpH依存薬剤溶液DSを注入していく(図2のStep30)。既述したように、注入直後のpH依存薬剤溶液DSは液体状を維持していることから円滑に地盤内を移動していき、さらにpH依存薬剤溶液DSが地盤内を移動していくと、地盤の緩衝能力によって徐々にpH依存薬剤溶液DSは中性となり、その結果、溶解していたpH依存薬剤がゲル化し、砒素吸着層が構築される。
砒素吸着層が構築され、さらに一定の期間(例えば、3カ月)が経過すると、地盤内における砒素濃度を確認することとしてもよい(図2のStep40)。ここで、砒素濃度が基準値(例えば、0.01mg/L)を上回っていることが確認されると、再度、pH依存薬剤溶液DSを生成し(図2のStep20)、注入井戸WLを利用してpH依存薬剤溶液DSを注入していく(図2のStep30)。
(試験結果)
図3は、本願発明と従来技術による砒素吸着効果を把握するために行った試験結果を比較した図であり、(a)は本願発明によって構築された砒素吸着層に対して行った試験結果を示す結果図、(b)は従来技術によって構築された砒素吸着層に対して行った試験結果を示す結果図である。この試験では、砒素吸着層が構築された後、定期的に地盤内における砒素濃度を計測している。なお、本願発明による砒素吸着層の場合は深度を変えて3地点(深度3mと5m、7m)で砒素濃度を計測しており、従来技術による砒素吸着層の場合は1地点で砒素濃度を計測している。
従来技術による場合、図3(b)に示すように、砒素吸着層の構築後、1週間が経過した時点では地盤内の砒素濃度が0.001mg/Lと基準値0.01mg/Lを下回っているものの、3週間が経過した時点では砒素濃度が0.022mg/Lと基準値を上回っている。
一方、本願発明による場合、図3(a)に示すように、砒素吸着層の構築後、3か月が経過してもなお3計測点ともに砒素濃度は基準値0.01mg/Lを下回っている。具体的には、深度3mの計測点では砒素濃度0.001mg/Lを示し、深度5mの計測点では砒素濃度0.002mg/L、深度7mの計測点では砒素濃度0.003mg/Lを示しており、いずれも基準値を下回っている。既述したとおり本願発明による砒素吸着層は従来技術に比して広範囲に構築され、しかも土壌の細孔部にも構築されるため、また上記の試験結果からも分かるように従来技術に比して長期にわたってその効果が継続する。
本願発明の砒素吸着層構築方法は、操業中の工場など、砒素による局所的な地下水汚染が生じたサイトで特に効果的に利用することができる。本願発明が、我が国の環境改善にとって極めて有益であることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献が期待できる発明といえる。
DS pH依存薬剤溶液
SL 従来薬剤溶液
WL 注入井戸

Claims (2)

  1. 地下水中の砒素を吸着する吸着層を構築する方法であって、
    pH依存性の薬剤を水に溶解した薬剤溶液を、井戸から周辺地盤に注入する注入工程を、備え、
    前記薬剤は、pHが低い状態では水に溶解し、中性になるとゲル化し、
    地盤に注入された前記薬剤溶液中の前記薬剤は、地盤の緩衝能力によって中性化されることでゲル化し、前記吸着層が構築される、
    ことを特徴とする砒素吸着層構築方法。
  2. 前記薬剤が、鉄系薬剤である、
    ことを特徴とする請求項1記載の砒素吸着層構築方法。
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