JP2004283787A - 汚染された帯水層の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚染された帯水層中の地下水を低コストで浄化処理することができる帯水層の処理方法を提供する。
【解決方法】汚染物質を含む帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削する工程、その土壌に汚染物質の不溶化剤を混合する工程、および、混合後の土壌を掘削部に埋め戻す工程を有する帯水層の処理方法により、汚染された帯水層を低コストで処理した。このとき、掘削する帯水層の周囲またはその一部が地下水の下流部分を主に含むことが好ましく、埋め戻された土壌の透水係数がもとの帯水層以上の値であることが好ましい。
【解決方法】汚染物質を含む帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削する工程、その土壌に汚染物質の不溶化剤を混合する工程、および、混合後の土壌を掘削部に埋め戻す工程を有する帯水層の処理方法により、汚染された帯水層を低コストで処理した。このとき、掘削する帯水層の周囲またはその一部が地下水の下流部分を主に含むことが好ましく、埋め戻された土壌の透水係数がもとの帯水層以上の値であることが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染された帯水層の処理方法に関し、さらに詳しくは、重金属類等の化学物質に汚染された帯水層から流出する地下水の浄化に有効な帯水層の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
6価クロム、鉛、カドミウム、水銀等の重金属類や、ヒ素、シアン、セレン、フッ素、ホウ素等の非金属類は、メッキ工場、半導体製造工場、化学工場、電池製造工場、ガラス工場等における様々な産業現場において広く原料として使用されている。こうした化学物質は、その管理が適切でない場合や事故が発生した場合等には、土壌を汚染することがある。特に、6価クロム、ヒ素、シアン、セレン、フッ素およびホウ素等は、通常の化学形態として陰イオンとして存在するため土壌に吸着または固定されにくく、それらの化学物質が一旦漏洩した場合にはその汚染が帯水層にまで及ぶ場合が多く、地下水が汚染されるという問題が起こることがある。
【0003】
従来、汚染物質により帯水層が汚染された場合の処理方法として各種の方法が知られているが、種々の問題も併せ持っている。例えば、(1)揚水井戸を作製して帯水層中の地下水を揚水浄化する方法が知られているが、この方法では、浄化期間が長期化する上に、揚水された地下水を処理してから放流する必要がある。したがって、排水処理施設が必要となると共に設備の維持管理にも手間がかかるため、総じてコストが高くなるという問題があった。(2)また、汚染された土壌を掘削して処分場に搬出する土壌浄化方法が知られているが、この方法では、汚染域が広く且つ汚染が深い位置まで到達している場合に掘削した土壌の量が膨大となり、その結果としてコストがかさむという問題があった。(3)また、汚染された土壌を洗浄する方法も実用化されているが、この方法では、装置を稼働させるためには比較的広い敷地が必要になると共に、稼働中の工場等には適用し難いという問題があった。
【0004】
このような状況から、汚染された土壌と地下水そのものを浄化する上述したような能動的な方法ではないものの、コストを抑えた受動的な処理方法として、汚染した帯水層を掘削し、例えば金属鉄を含有させた反応壁を新たに設け、その反応壁で有機塩素化合物を分解したり重金属類を捕獲するという帯水層の処理方法が提案されている(例えば、特許文献1および非特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特表平5−501520号公報
【非特許文献1】
Environmental Science & Technology, 31, 3348−3357(1997)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した反応壁を利用した従来の帯水層の処理方法においては、反応壁を設けるために掘削した土壌を利用しないので、その処分に多大な経費と労力がかかると共に、金属鉄を含有させた新たな砂等を使用して反応壁を設けるので、砂等の調達や施工に多大な経費と労力がかかるという問題があった。また、その地下水の浄化を効果的に行うためには、有機塩素化合物の分解や重金属類を捕獲する反応壁を長くしたり深くする必要があるので、調達する砂等や、その反応壁に含有させる金属鉄等の必要量が多くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、従来からの問題及び上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、汚染された帯水層を低コストで処理することができる帯水層の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の汚染された帯水層の処理方法は、汚染物質を含む帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削する工程(掘削工程)、当該土壌に汚染物質の不溶化剤を混合する工程(混合工程)、および、混合後の土壌を掘削部に埋め戻す工程(埋設工程)、を有することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、掘削した土壌に汚染物質の不溶化剤を混合して埋め戻すので、掘削した土壌が再利用される。その結果、掘削した土壌の処分や新しい土壌の調達にかかるコストと労力を大幅に低減することができる。さらに、汚染された地下水が埋め戻された土壌を通過することにより、汚染物質がその不溶化剤で不溶化されるので、帯水層に含まれる汚染物質が地下水に溶けて外部(例えば工場の敷地外)に流出するのを防ぐことができる。特に本発明においては、帯水層の周囲またはその一部を掘削し、不溶化剤を混合した後の土壌を埋め戻す工程を有するので、管理が適切でない場合や事故が発生した場合等において汚染物質が漏洩して帯水層が汚染した場合に、工場の稼働を停止するような大規模な浄化方法を適用しなくても、汚染された地下水の外部への流出を防ぐことができる。さらに、従来技術で説明した方法に比べて掘削量を少なくすることができるので、処理コストを低減できると共に、従来のような処理設備や維持コストをなくすことができる。
【0010】
本発明においては、掘削する帯水層の周囲またはその一部が、地下水の下流部分を含むことが好ましい。
【0011】
この発明によれば、掘削する箇所が地下水の下流部分を含むので、地下水は埋め戻された土壌を必ず通過する。そのため、地下水に含まれる汚染物質の除去が、掘削する土壌量を少なくした効率的で低コストな方法で達成される。
【0012】
本発明において、前記汚染物質が、6価クロム、鉛、カドミウム、水銀、ヒ素、シアン、セレン、フッ素およびホウ素から選択される1種または2種以上の化学物質であることを特徴とする。また、それらの汚染物質の不溶化剤としては、カルシウム系材料、陰イオン系材料、金属イオン系材料、金属材料、キレート系材料、無機系吸着材、イオン交換樹脂およびキレート樹脂から選ばれる1種または2種以上の剤であることが好ましい。
【0013】
これらの発明によれば、帯水層を汚染した汚染物質を、その汚染物質に適した不溶化剤で難溶性塩にして固定するか吸着して固定することができる。
【0014】
本発明においては、埋め戻された土壌の透水係数が、その周囲の土壌の透水係数以上であることが好ましく、そのために、埋め戻された土壌に、砂及び/又は礫を混合することができる。
【0015】
この発明によれば、埋め戻した土壌の透水係数が、埋め戻した土壌の周囲の土壌(掘削部の周りの土壌)の透水係数以上であるので、汚染された地下水が埋め戻した土壌を優先的に通過する。その結果、地下水中の汚染物質が除去され、汚染された地下水が敷地外に流出するのを防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚染された帯水層の処理方法について詳しく説明する。
【0017】
本発明に係る汚染された帯水層の処理方法は、汚染物質を含む帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削する掘削工程、その土壌に汚染物質の不溶化剤を混合する混合工程、および、混合後の土壌を掘削部に埋め戻す埋設工程、を有するものである。
【0018】
先ず、事前調査を行い、汚染物質により汚染された帯水層の範囲、帯水層中の汚染物質の濃度、および地下水流の向きを調査する。調査方法としては、例えばボーリング調査等により、帯水層中の汚染物質の濃度や汚染された範囲の濃度分布、さらには地下水流の向き等を調査し、その調査結果に基づいて掘削部を設定する。測定対象とする汚染物質は、6価クロム、鉛、カドミウム、水銀等の重金属類や、ヒ素、シアン、セレン、フッ素、ホウ素等の非金属類等からなる化学物質を挙げることができるが、必ずしもこれらの化学物質に限定されない。それらの化学物質は、各種の分析方法で測定される。こうした調査に基づいて掘削範囲が決定される。
【0019】
汚染された帯水層の掘削は、汚染された帯水層の全周またはその一部の土壌を溝(トレンチ)状に掘ることにより行われる。本発明においては、帯水層の全周にトレンチを掘削するので、従来のように土壌の全量を掘削する必要がなく、掘削する土壌の総量を著しく少なくすることができる。また、帯水層の全周の一部にトレンチを掘削する場合は、予め帯水層での地下水の流向を把握し、その下流部分にのみトレンチを形成したり、その下流部分を少なくとも含む長さでトレンチを形成することが好ましく、掘削する土壌量をさらに少なくすることができて極めて有効である。
【0020】
トレンチの幅、深さおよび長さは、上述した事前調査の結果に基づいて決定されるので特に限定されないが、例えば帯水層が地表面から2〜5m程度の深さにある場合には、一例としては幅0.5〜2m程度で深さ5〜6m程度のトレンチが任意の長さで掘削される。
【0021】
不溶化剤の混合は、掘削された土壌に、汚染物質に対応した1種または2種以上の不溶化剤を混合することにより行われる。汚染物質を含む地下水が不溶化剤を混合した土壌中を通過すると、通過後の地下水中の汚染物質は大幅に減少する。不溶化剤を混合することによる上記作用効果については必ずしも明確ではないが、その汚染物質が土壌中の不溶化剤に吸着されて固定されるか、土壌のPHが変化するにより汚染物質が不溶性となって固定されるためであると考えられる。
【0022】
不溶化剤としては、汚染物質と結合して難溶性塩を形成する剤や、汚染物質を吸着または固定する剤を挙げることができ、汚染物質に応じてそれらの剤の一方または両方を混合することが好ましい。
【0023】
具体的な不溶化剤としては、例えば、セメント、消石灰等のカルシウム系材料;リン酸塩、炭酸塩、硫化物塩等の陰イオン系材料;第一鉄塩、第二鉄塩、アルミニウム塩等の金属イオン系材料;金属鉄、金属アルミニウム、金属亜鉛等の金属材料;ジアルキルジチオカルバミン酸等のキレート系材料;アパタイト、ゼオライト等の無機系吸着材;イオン交換樹脂;イミノ二酢酸等の官能基を有するキレート樹脂;等が挙げられる。
【0024】
これらのうち、6価クロム、鉛、カドミウム、水銀等の重金属類の汚染物質に対しては、陰イオン系材料、カルシウム系材料、無機系吸着材、金属イオン系材料等が好ましく使用され、重金属イオンと難溶性塩を生成して不溶化処理することができる。また、ヒ素、シアン、セレン、フッ素、ホウ素等の汚染物質に対しては、カルシウム系材料、金属イオン系材料、無機系吸着材、金属材料等が好ましく使用され、それらの化学物質を吸着または固定して不溶化処理することができる。特に長期にわたってより安定した処理を実施できるものとして、カルシウム系材料、金属イオン系材料、陰イオン系材料、無機系吸着材等の安定な無機系不溶化剤を使用することが望ましい。
【0025】
帯水層の事前調査により汚染物質が複数混入している場合には、汚染物質の種類にあわせて上述した各種の不溶化剤を1種または2種以上選択して混合することが好ましい。
【0026】
不溶化剤の混合量については、上述した事前調査の結果に基づき汚染状況や汚染物質を考慮し、さらに汚染物質に対する不溶化剤の処理効率等を考慮して任意に設定されるが、例えば、混合する土壌100kgに対して不溶化剤が1〜10kg程度となるように混合することができる。
【0027】
掘削した土壌には、不溶化剤と共に、砂および礫の一方または両方を混合することもできる。砂や礫の混合は、埋め戻す土壌の透水係数を、その周囲の土壌の透水係数以上にするために行われる。砂や礫を混合して透水性を良くした土壌を埋め戻すことにより、汚染された帯水層中の地下水が埋め戻した土壌を優先的に通過するので、帯水層中の地下水に含まれる汚染物質が効率的に除去され、汚染された地下水が敷地外に流出するのを防ぐことができる。
【0028】
混合する砂としては、例えば大きさが0.1〜2mm程度の川砂等を好ましく用いることができる。また、礫としては、例えば大きさが2〜4mm程度のものを好ましく用いることができる。砂や礫の混合量は、不溶化剤を混合した後の土壌の透水性により任意に調整されるが、一例としては、不溶化剤を含む土壌100kgに対して20kg程度となるように混合することができる。なお、その混合量は、埋め戻し工程後の残土を少なくするために必要最小限にすることが好ましい。
【0029】
こうして混合された土壌は、掘削されたトレンチに埋め戻される。本発明においては、汚染された帯水層中の地下水が埋め戻された土壌を通過することにより、汚染物質がその不溶化剤で不溶化されるので、地下水に含まれる汚染物質が除去され、汚染された地下水が敷地外に流出するのを防ぐことができる。
【0030】
【実施例】
実施例と比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明する。なお、以下において、%とは質量%である。
【0031】
(実施例1、2)
バッテリーメーカーの敷地から採取した鉛汚染土壌を風乾し、粒径2mm以下に篩分けした。この土壌試料50gと水500mLとを混合し、土壌試料から鉛が溶出する溶出量を測定したところ、水1Lに対する濃度は0.05mg/Lであった。
【0032】
次に、この土壌試料に不溶化剤としてのセメントおよびポリ硫酸鉄を表1に示す割合(土壌質量に対する%)で混合した。さらに、不溶化剤を混合した後の土壌に川砂を10%となるように混合して、実施例1、2の土壌試料を調整した。
【0033】
(比較例1)
不溶化剤であるセメントおよびポリ硫酸鉄を混合させない他は、実施例1と同様にして比較例1の土壌試料を調整した。
【0034】
(試験および結果)
実施例1、2および比較例1の各土壌試料を、直径3cmφで高さ10cmのアクリル樹脂製カラムにそれぞれ充填し、塩化鉛を溶解して鉛濃度を0.1mg/Lに調整した模擬汚染地下水を60mL/日の流量で通水した。通水日数に対するカラム出口での鉛濃度を測定した。なお、鉛の濃度測定は、原子吸光光度法により行った。結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の汚染された帯水層の処理方法によれば、帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削し、不溶化処理を施してから掘削した土壌を再度埋め戻すので、掘削した土壌を再利用でき、掘削した土壌の処分や新しい土壌の調達にかかるコストと労力を大幅に低減することができる。不溶化処理された土壌は長期にわたり汚染物質の再溶解を防止すると共に、地下水と共に流入してくる汚染物質を不溶化し、地下水から効果的に除去することができる。その結果、管理が適切でない場合や事故が発生した場合等において汚染物質が漏洩して帯水層が汚染した場合に、工場の稼働を停止するような大規模な浄化方法を適用しなくても、汚染された地下水が敷地外へ流出するのを防止することができる。
【0037】
こうした本発明の処理方法によれば、従来のような揚水処理に伴う設備やその維持管理の煩雑さから解放され、さらに掘削した土壌の処分や新しい土壌の調達に対するコストを抑えることができるので、設置時や施工時のコストを低くすることができ、経済面においても顕著な効果を奏している。
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染された帯水層の処理方法に関し、さらに詳しくは、重金属類等の化学物質に汚染された帯水層から流出する地下水の浄化に有効な帯水層の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
6価クロム、鉛、カドミウム、水銀等の重金属類や、ヒ素、シアン、セレン、フッ素、ホウ素等の非金属類は、メッキ工場、半導体製造工場、化学工場、電池製造工場、ガラス工場等における様々な産業現場において広く原料として使用されている。こうした化学物質は、その管理が適切でない場合や事故が発生した場合等には、土壌を汚染することがある。特に、6価クロム、ヒ素、シアン、セレン、フッ素およびホウ素等は、通常の化学形態として陰イオンとして存在するため土壌に吸着または固定されにくく、それらの化学物質が一旦漏洩した場合にはその汚染が帯水層にまで及ぶ場合が多く、地下水が汚染されるという問題が起こることがある。
【0003】
従来、汚染物質により帯水層が汚染された場合の処理方法として各種の方法が知られているが、種々の問題も併せ持っている。例えば、(1)揚水井戸を作製して帯水層中の地下水を揚水浄化する方法が知られているが、この方法では、浄化期間が長期化する上に、揚水された地下水を処理してから放流する必要がある。したがって、排水処理施設が必要となると共に設備の維持管理にも手間がかかるため、総じてコストが高くなるという問題があった。(2)また、汚染された土壌を掘削して処分場に搬出する土壌浄化方法が知られているが、この方法では、汚染域が広く且つ汚染が深い位置まで到達している場合に掘削した土壌の量が膨大となり、その結果としてコストがかさむという問題があった。(3)また、汚染された土壌を洗浄する方法も実用化されているが、この方法では、装置を稼働させるためには比較的広い敷地が必要になると共に、稼働中の工場等には適用し難いという問題があった。
【0004】
このような状況から、汚染された土壌と地下水そのものを浄化する上述したような能動的な方法ではないものの、コストを抑えた受動的な処理方法として、汚染した帯水層を掘削し、例えば金属鉄を含有させた反応壁を新たに設け、その反応壁で有機塩素化合物を分解したり重金属類を捕獲するという帯水層の処理方法が提案されている(例えば、特許文献1および非特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特表平5−501520号公報
【非特許文献1】
Environmental Science & Technology, 31, 3348−3357(1997)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した反応壁を利用した従来の帯水層の処理方法においては、反応壁を設けるために掘削した土壌を利用しないので、その処分に多大な経費と労力がかかると共に、金属鉄を含有させた新たな砂等を使用して反応壁を設けるので、砂等の調達や施工に多大な経費と労力がかかるという問題があった。また、その地下水の浄化を効果的に行うためには、有機塩素化合物の分解や重金属類を捕獲する反応壁を長くしたり深くする必要があるので、調達する砂等や、その反応壁に含有させる金属鉄等の必要量が多くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、従来からの問題及び上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、汚染された帯水層を低コストで処理することができる帯水層の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の汚染された帯水層の処理方法は、汚染物質を含む帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削する工程(掘削工程)、当該土壌に汚染物質の不溶化剤を混合する工程(混合工程)、および、混合後の土壌を掘削部に埋め戻す工程(埋設工程)、を有することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、掘削した土壌に汚染物質の不溶化剤を混合して埋め戻すので、掘削した土壌が再利用される。その結果、掘削した土壌の処分や新しい土壌の調達にかかるコストと労力を大幅に低減することができる。さらに、汚染された地下水が埋め戻された土壌を通過することにより、汚染物質がその不溶化剤で不溶化されるので、帯水層に含まれる汚染物質が地下水に溶けて外部(例えば工場の敷地外)に流出するのを防ぐことができる。特に本発明においては、帯水層の周囲またはその一部を掘削し、不溶化剤を混合した後の土壌を埋め戻す工程を有するので、管理が適切でない場合や事故が発生した場合等において汚染物質が漏洩して帯水層が汚染した場合に、工場の稼働を停止するような大規模な浄化方法を適用しなくても、汚染された地下水の外部への流出を防ぐことができる。さらに、従来技術で説明した方法に比べて掘削量を少なくすることができるので、処理コストを低減できると共に、従来のような処理設備や維持コストをなくすことができる。
【0010】
本発明においては、掘削する帯水層の周囲またはその一部が、地下水の下流部分を含むことが好ましい。
【0011】
この発明によれば、掘削する箇所が地下水の下流部分を含むので、地下水は埋め戻された土壌を必ず通過する。そのため、地下水に含まれる汚染物質の除去が、掘削する土壌量を少なくした効率的で低コストな方法で達成される。
【0012】
本発明において、前記汚染物質が、6価クロム、鉛、カドミウム、水銀、ヒ素、シアン、セレン、フッ素およびホウ素から選択される1種または2種以上の化学物質であることを特徴とする。また、それらの汚染物質の不溶化剤としては、カルシウム系材料、陰イオン系材料、金属イオン系材料、金属材料、キレート系材料、無機系吸着材、イオン交換樹脂およびキレート樹脂から選ばれる1種または2種以上の剤であることが好ましい。
【0013】
これらの発明によれば、帯水層を汚染した汚染物質を、その汚染物質に適した不溶化剤で難溶性塩にして固定するか吸着して固定することができる。
【0014】
本発明においては、埋め戻された土壌の透水係数が、その周囲の土壌の透水係数以上であることが好ましく、そのために、埋め戻された土壌に、砂及び/又は礫を混合することができる。
【0015】
この発明によれば、埋め戻した土壌の透水係数が、埋め戻した土壌の周囲の土壌(掘削部の周りの土壌)の透水係数以上であるので、汚染された地下水が埋め戻した土壌を優先的に通過する。その結果、地下水中の汚染物質が除去され、汚染された地下水が敷地外に流出するのを防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚染された帯水層の処理方法について詳しく説明する。
【0017】
本発明に係る汚染された帯水層の処理方法は、汚染物質を含む帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削する掘削工程、その土壌に汚染物質の不溶化剤を混合する混合工程、および、混合後の土壌を掘削部に埋め戻す埋設工程、を有するものである。
【0018】
先ず、事前調査を行い、汚染物質により汚染された帯水層の範囲、帯水層中の汚染物質の濃度、および地下水流の向きを調査する。調査方法としては、例えばボーリング調査等により、帯水層中の汚染物質の濃度や汚染された範囲の濃度分布、さらには地下水流の向き等を調査し、その調査結果に基づいて掘削部を設定する。測定対象とする汚染物質は、6価クロム、鉛、カドミウム、水銀等の重金属類や、ヒ素、シアン、セレン、フッ素、ホウ素等の非金属類等からなる化学物質を挙げることができるが、必ずしもこれらの化学物質に限定されない。それらの化学物質は、各種の分析方法で測定される。こうした調査に基づいて掘削範囲が決定される。
【0019】
汚染された帯水層の掘削は、汚染された帯水層の全周またはその一部の土壌を溝(トレンチ)状に掘ることにより行われる。本発明においては、帯水層の全周にトレンチを掘削するので、従来のように土壌の全量を掘削する必要がなく、掘削する土壌の総量を著しく少なくすることができる。また、帯水層の全周の一部にトレンチを掘削する場合は、予め帯水層での地下水の流向を把握し、その下流部分にのみトレンチを形成したり、その下流部分を少なくとも含む長さでトレンチを形成することが好ましく、掘削する土壌量をさらに少なくすることができて極めて有効である。
【0020】
トレンチの幅、深さおよび長さは、上述した事前調査の結果に基づいて決定されるので特に限定されないが、例えば帯水層が地表面から2〜5m程度の深さにある場合には、一例としては幅0.5〜2m程度で深さ5〜6m程度のトレンチが任意の長さで掘削される。
【0021】
不溶化剤の混合は、掘削された土壌に、汚染物質に対応した1種または2種以上の不溶化剤を混合することにより行われる。汚染物質を含む地下水が不溶化剤を混合した土壌中を通過すると、通過後の地下水中の汚染物質は大幅に減少する。不溶化剤を混合することによる上記作用効果については必ずしも明確ではないが、その汚染物質が土壌中の不溶化剤に吸着されて固定されるか、土壌のPHが変化するにより汚染物質が不溶性となって固定されるためであると考えられる。
【0022】
不溶化剤としては、汚染物質と結合して難溶性塩を形成する剤や、汚染物質を吸着または固定する剤を挙げることができ、汚染物質に応じてそれらの剤の一方または両方を混合することが好ましい。
【0023】
具体的な不溶化剤としては、例えば、セメント、消石灰等のカルシウム系材料;リン酸塩、炭酸塩、硫化物塩等の陰イオン系材料;第一鉄塩、第二鉄塩、アルミニウム塩等の金属イオン系材料;金属鉄、金属アルミニウム、金属亜鉛等の金属材料;ジアルキルジチオカルバミン酸等のキレート系材料;アパタイト、ゼオライト等の無機系吸着材;イオン交換樹脂;イミノ二酢酸等の官能基を有するキレート樹脂;等が挙げられる。
【0024】
これらのうち、6価クロム、鉛、カドミウム、水銀等の重金属類の汚染物質に対しては、陰イオン系材料、カルシウム系材料、無機系吸着材、金属イオン系材料等が好ましく使用され、重金属イオンと難溶性塩を生成して不溶化処理することができる。また、ヒ素、シアン、セレン、フッ素、ホウ素等の汚染物質に対しては、カルシウム系材料、金属イオン系材料、無機系吸着材、金属材料等が好ましく使用され、それらの化学物質を吸着または固定して不溶化処理することができる。特に長期にわたってより安定した処理を実施できるものとして、カルシウム系材料、金属イオン系材料、陰イオン系材料、無機系吸着材等の安定な無機系不溶化剤を使用することが望ましい。
【0025】
帯水層の事前調査により汚染物質が複数混入している場合には、汚染物質の種類にあわせて上述した各種の不溶化剤を1種または2種以上選択して混合することが好ましい。
【0026】
不溶化剤の混合量については、上述した事前調査の結果に基づき汚染状況や汚染物質を考慮し、さらに汚染物質に対する不溶化剤の処理効率等を考慮して任意に設定されるが、例えば、混合する土壌100kgに対して不溶化剤が1〜10kg程度となるように混合することができる。
【0027】
掘削した土壌には、不溶化剤と共に、砂および礫の一方または両方を混合することもできる。砂や礫の混合は、埋め戻す土壌の透水係数を、その周囲の土壌の透水係数以上にするために行われる。砂や礫を混合して透水性を良くした土壌を埋め戻すことにより、汚染された帯水層中の地下水が埋め戻した土壌を優先的に通過するので、帯水層中の地下水に含まれる汚染物質が効率的に除去され、汚染された地下水が敷地外に流出するのを防ぐことができる。
【0028】
混合する砂としては、例えば大きさが0.1〜2mm程度の川砂等を好ましく用いることができる。また、礫としては、例えば大きさが2〜4mm程度のものを好ましく用いることができる。砂や礫の混合量は、不溶化剤を混合した後の土壌の透水性により任意に調整されるが、一例としては、不溶化剤を含む土壌100kgに対して20kg程度となるように混合することができる。なお、その混合量は、埋め戻し工程後の残土を少なくするために必要最小限にすることが好ましい。
【0029】
こうして混合された土壌は、掘削されたトレンチに埋め戻される。本発明においては、汚染された帯水層中の地下水が埋め戻された土壌を通過することにより、汚染物質がその不溶化剤で不溶化されるので、地下水に含まれる汚染物質が除去され、汚染された地下水が敷地外に流出するのを防ぐことができる。
【0030】
【実施例】
実施例と比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明する。なお、以下において、%とは質量%である。
【0031】
(実施例1、2)
バッテリーメーカーの敷地から採取した鉛汚染土壌を風乾し、粒径2mm以下に篩分けした。この土壌試料50gと水500mLとを混合し、土壌試料から鉛が溶出する溶出量を測定したところ、水1Lに対する濃度は0.05mg/Lであった。
【0032】
次に、この土壌試料に不溶化剤としてのセメントおよびポリ硫酸鉄を表1に示す割合(土壌質量に対する%)で混合した。さらに、不溶化剤を混合した後の土壌に川砂を10%となるように混合して、実施例1、2の土壌試料を調整した。
【0033】
(比較例1)
不溶化剤であるセメントおよびポリ硫酸鉄を混合させない他は、実施例1と同様にして比較例1の土壌試料を調整した。
【0034】
(試験および結果)
実施例1、2および比較例1の各土壌試料を、直径3cmφで高さ10cmのアクリル樹脂製カラムにそれぞれ充填し、塩化鉛を溶解して鉛濃度を0.1mg/Lに調整した模擬汚染地下水を60mL/日の流量で通水した。通水日数に対するカラム出口での鉛濃度を測定した。なお、鉛の濃度測定は、原子吸光光度法により行った。結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の汚染された帯水層の処理方法によれば、帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削し、不溶化処理を施してから掘削した土壌を再度埋め戻すので、掘削した土壌を再利用でき、掘削した土壌の処分や新しい土壌の調達にかかるコストと労力を大幅に低減することができる。不溶化処理された土壌は長期にわたり汚染物質の再溶解を防止すると共に、地下水と共に流入してくる汚染物質を不溶化し、地下水から効果的に除去することができる。その結果、管理が適切でない場合や事故が発生した場合等において汚染物質が漏洩して帯水層が汚染した場合に、工場の稼働を停止するような大規模な浄化方法を適用しなくても、汚染された地下水が敷地外へ流出するのを防止することができる。
【0037】
こうした本発明の処理方法によれば、従来のような揚水処理に伴う設備やその維持管理の煩雑さから解放され、さらに掘削した土壌の処分や新しい土壌の調達に対するコストを抑えることができるので、設置時や施工時のコストを低くすることができ、経済面においても顕著な効果を奏している。
Claims (6)
- 汚染物質を含む帯水層の周囲またはその一部の土壌を掘削する工程、当該土壌に汚染物質の不溶化剤を混合する工程、および、混合後の土壌を掘削部に埋め戻す工程、を有することを特徴とする汚染された帯水層の処理方法。
- 掘削する帯水層の周囲またはその一部が、地下水の下流部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の汚染された帯水層の処理方法。
- 前記汚染物質が、6価クロム、鉛、カドミウム、水銀、ヒ素、シアン、セレン、フッ素およびホウ素から選択される1種または2種以上の化学物質であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の汚染された帯水層の処理方法。
- 前記汚染物質の不溶化剤が、カルシウム系材料、陰イオン系材料、金属イオン系材料、金属材料、キレート系材料、無機系吸着材、イオン交換樹脂およびキレート樹脂から選ばれる1種または2種以上の剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚染された帯水層の処理方法。
- 前記埋め戻された土壌の透水係数が、その周囲の土壌の透水係数以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚染された帯水層の処理方法。
- 埋め戻された土壌に、砂及び/又は礫が混合されていることを特徴とする請求項5に記載の汚染された帯水層の処理方法。
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---|---|---|---|---|
JP2007181758A (ja) * | 2006-01-05 | 2007-07-19 | Kurita Water Ind Ltd | 固体廃棄物の処理方法及び処理薬剤 |
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2003
- 2003-03-25 JP JP2003081872A patent/JP2004283787A/ja not_active Withdrawn
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