JP3284381B2 - 水銀等を含む汚染土壌の処理方法 - Google Patents

水銀等を含む汚染土壌の処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、汚染土壌の処理方法に
関し、さらに詳しくは水銀(Hg)及び水銀化合物又は
その他の重金属に汚染された土壌(以下水銀等を含む汚
染土壌という。)中の水銀等を完璧に不溶化させ、効率
的に水銀等の汚染土壌を無害化処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】土壌は、地殻の表面部分にあって、人を
はじめとする生物の生存の基盤として、また物質循環及
び生態系の維持の要として重要な役割を担っている。土
壌は、本来物質循環過程にあって物質の分解・変換機能
・吸着固定化機能等の浄化機能を有しているが、その浄
化能力を超えた過剰な有害化学物質が蓄積されて土壌が
汚染されると土壌環境に悪影響を及ぼすだけでなく、汚
染土壌から水圏、気圏、生物圏に有害化学物質が移行
し、移行先の環境に悪影響を及ぼすことになる。このよ
うに土壌汚染の影響は、土地利用の形態、土壌の種類等
により異なり、環境及び人の健康に対する発現の機序も
複雑で、土壌の汚染程度とその影響に係わる因果関係は
現在十分解明されるに至っていない。しかも土壌は、一
度汚染されると長期間系内に留まる、いわゆる蓄積性の
汚染を保持することから、汚染を未然に防止し、土壌の
環境保全的機能を維持することが必要であるが、汚染さ
れた土壌については、環境への悪影響を防止するため適
切に処理することが必要である。水俣病に代表されるご
とく、水銀及びその化合物又はその他の重金属(以下H
g等という)の毒性は、健康にかかる有害物質の中でも
最も強いものの1つと考えられている。水銀等の重金属
汚染土壌を処理、安定化するための手順は図1に示され
るごとく市街地土壌汚染対策の実施手順として暫定対策
指針の形で環境庁より示されている。Hg等の不溶化の
理論において、不溶化処理(安定化処理)の安価で有効
な手段としてNa2S(硫化ソーダ)による方法があげら
れ、それとHgとの反応式は式のごとくである。
【0003】
【化1】
【0004】硫化水銀(HgS)の溶解度定数は4.0
×10-53 と極めて小さく難溶性である。酸性雰囲気に
おいても極めて溶解度は小さく問題ないが、アルカリ性
雰囲気で過剰のNa2Sが存在すると式のごとくチオ錯
イオンを生成し溶解度が増す。
【0005】
【化2】
【0006】したがって、土壌中のHg等の硫化水銀生
成による不溶化に際しては過剰のNa2Sの存在は、生成
したHgSが再溶解してしまい目的を達しえない。しか
し実際は、 (1)土壌中のHg等の分布が一様でない場合が殆どで
ある。 (2)対象土壌中のHg等の総量を把握することは実質
的に不可能である。 なお、汚染土壌の調査に当たっては実用上、5〜30m
メッシュで切った格子点で深さ方向に向かっての間隔で
土壌をサンプルする場合が多く、経済的限界から、一般
には5〜10m格子で深さ方向に1〜2m間隔位が採用
される。以上の理由により、Hgの不溶化に際して添加
されるNa2Sの量は、処理対象土壌中に検出された最大
Hg濃度の何倍モルか(例えば理論当量の3倍)を添加
して安全を期するのが一般的である。Na2S水溶液はか
なり強いアルカリ性のため、余剰のNa2Sの存在とあい
まって上記式の反応が進行する条件が整うことになり
Hg+ の再溶解が起こることになる。そこで式の反応
の進行を阻止するための余剰のS2-と反応し、かつ土壌
の液性を中性ないしは弱酸性へ移行させる手段として溶
解度積が2×10-49 〜10-10 の範囲にある金属塩な
どを添加する。実際には値段の点や2次公害の防止の観
点から硫酸第一鉄(FeSO4 ・nH2 O)、塩化亜鉛
(ZnCl2 )などを用いる。ここで、FeSO4 を例
にとれば、余剰のS2-はFe2+と反応しFeSとなって
不溶化し(式)、HgSとS2-との反応を阻止するこ
とが出来る。また、FeSO4 水溶液は酸性であるため
先に添加したNa2Sによるアルカリ性を中和することが
できる。理想的な系(環境)では、以上の反応はまこと
に巧妙に理論通り進行し、Hg等の不溶化が達成され
る。
【0007】
【化3】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記H
g等の不溶化の理論を適用するに際し、大量の土壌を反
応器の中に取り込み式の反応及び過剰S2-をFe2+
反応させる式の反応を行うことは、経済的理由により
非常に困難である。そこで実際には現位置で又は、移動
後位置でNa2S水溶液を散布し、その上から更にFeS
4 水溶液を散布することが行われる。その場合、まず
Na2S水溶液が土壌全域に満遍なく行き渡りHg等と反
応後、ついでFeSO4 水溶液が同じく土壌全域に満遍
なく行き渡り、余剰のS2-と反応することが必要である
が、現実に満遍なく行きわたったかを確認する手段がな
く、実際に確認した実例もないというのが現状である。
したがって、図1に示される市街土壌汚染対策の実施手
順に従ってNa2Sによる水銀等の不溶化を行っても、そ
の確実性に不安が伴うこともあって、溶出量基準値II
(検液1リットルにつき水銀として0.005mg)以
下の場合でも遮水工、これに続いて覆土工を行って、不
溶化処理後コンクリートの遮断槽の中へ封じ込める工事
を行う場合が殆どである。このように水銀汚染土壌の処
理は、硫化ソーダ(Na2S)水溶液を添加することによ
り硫化水銀を生成させて不溶化することによって行われ
るが、処理の確実性が今一つ不確かなことから処理後コ
ンクリート遮断槽に封じ込めることによってその目的を
達する遮断工法による場合が殆どである。しかしなが
ら、遮水工法に比べ遮断工法はコストの面で比べものに
ならない程高価なものにつくので問題であった。また、
従来余剰水の内容が明確でなく、水銀を含むということ
で処理が面倒なことと、土壌の水分が高くなると取扱い
が面倒なことから、なるべく少量の水量で薬品を溶解し
て処理する傾向があった。
【0009】そこで、本発明者は、これらの事項に鑑み
水銀等を含む汚染土壌の処理を効率的かつ十分な安全性
をみて検討した結果、前記式及び式の反応が確実に
行うことができれば水銀イオンの不溶化の目的は十分達
成することができ、図1で規定されている溶出基準値I
I以下を満足させることができるので、図1の遮水工法
によって水銀等を含む汚染土壌の処理は十分であること
を見出し、この知見に基づいて本発明のごき水銀等を含
む汚染土壌の処理方法をなすに至った。したがって、本
発明の目的は、水銀等を含む汚染土壌を処理するに際
し、水銀不溶化の反応を完璧に行わせることができ、効
率的かつ十分な安全度を有する水銀等を含む汚染土壌の
処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の各発明によってそれぞれ達成される。 (1)地面に凹設された透水係数の小さい底部層と遮水
壁で囲まれたスペース中に、水銀等を含む汚染土壌を堆
積し、該土壌の内部又は上部ないしは下部から前記土壌
中の水銀等に対して化学量論的に十分な反応量の硫化ナ
トリウム水溶液を、前記土壌中の空隙を全て実質的に充
満するように供給し、その後流下する液をスペース底部
に設けられた配管から抜液し、この取り出された抜液に
硫酸鉄を加えて混合した後、その混合液を前記土壌の表
面から供給・浸漬することを特徴とする水銀等を含む汚
染土壌の処理方法。 (2)抜液が排水ポンプで行われることを特徴とする前
記第1項に記載の水銀等を含む汚染土壌の処理方法。 (3)汚染土壌の水銀等が、水銀以外に銀、鉛、銅、カ
ドミウム、ニッケル、亜鉛、鉄、マンガン、クロムから
選ばれる少なくとも一種を含有しているものであること
を特徴とする前記第1項又は第2項に記載の水銀等を含
む汚染土壌の処理方法。
【0011】以下、本発明を更に詳しく説明する。本発
明は、「土壌中の空隙を全て実質的に埋める」ことによ
り、なるべく経済的に確実に所定の化学反応(式及び
式の反応が確実に行うこと)を起こす手段を与えたも
のである。本発明の水銀等を含む汚染土壌の処理方法
は、(1)原位置で汚染土壌を処理し、何らかの形で封
じ込める場合、(2)汚染土壌を別の場所に移して処理
し、何らかの形で封じ込める場合のいずれかの方法で行
うもので、このいずれの方法を行う場合でも、対象地盤
廻りの止水を行った後、地下水位を下げ、土壌の掘削、
処理を行う必要がある。広範囲な場所を対象とする場合
は、土壌中の水銀等の含有量、溶出量によってその取扱
を綿密に区分してできるだけ経済的な方法をとることは
言うまでもない。したがって殆どすべて一旦掘り起こし
て同敷地内の別の場所又は別敷地内へ埋めている。本発
明において、「土壌中の空隙を全て実質的に充満する」
とは、各薬品溶液を完全に土壌の全域に行き渡らせるこ
とであり、この最良の方法は、「土壌をなるべく水分の
少ない状態にし、薬品溶液を土壌の空隙が全て満たされ
る状態になるよう添加する。」ことであるが、こような
状態が得られれば、特にこれに限定されるものではな
い。本発明の水銀等を含む汚染土壌の処理方法は、以下
の条件を満足することが必要であり、(1)周囲が遮水
壁で囲まれていること、(2)底部に透水係数の小さい
層として地層が存在するか、又はない場合は透水係数の
小さい土壌を予め敷設する。この土壌としては、粘土が
好ましく用いられる。本発明では、透水係数の小さい地
層又は透水係数の小さい土壌に遮水壁を設け、この内部
の底部に配管として集水管(抜水管)を設置する。好ま
しくは集水管(抜水管)は、砕石又は小石中に埋設す
る。このように構成された遮水壁内部に汚染土壌を積層
する。また集水管(抜水管)の表面は、全面あるいはそ
の一部に透孔を有するもので、この透孔の数は十分集水
又は抜水ができる程度であればよく、その数は限定され
るものではない。また集水管(抜水管)は、硬質又は軟
質のいずれの材料も用いることができ、特に軟質の材料
を用いた時は、硬質の保護管中に設置するのが好まし
い。本発明において、水銀等を含む汚染土壌に添加され
る硫化ナトリウム水溶液は、土壌中の水銀等に対して化
学量論的に必要なNa2Sの1.5〜4倍モルが用いら
れ、好ましくは2〜3倍モルである。硫化ナトリウム水
溶液の添加方法は、任意であり、例えば上部から散布す
る方法、配管から供給する方法等が挙げられる。
【0012】本発明の水銀等を含む汚染土壌の処理方法
の手順は、以下のごとくである。 (1)透水係数の小さい地層又は透水係数の小さい土壌
を予め敷設した場所に遮水壁で囲む。 (2)底部に抜水管を施設する。 (3)遮水壁内部に水銀等を含む汚染土壌を入れる。 (4)硫化ナトリウム水溶液を上部から散布するか、抜
水管から供給する。(予備実験を行い確認しておいた水
分と空隙率から計算される土壌空隙を埋めるに必要な水
量(+α)にNa2S水溶液量を調整しているので、その
全量を供給する。) (5)土壌空隙が埋まったことを確認して一定時間(2
0〜30分)放置する。 (6)放置後、底部の抜水管から重力で抜水する。(重
力による抜水が不可能である場合には重力で底部に溜ま
ってくる水をポンプで引き抜く。) この抜水中には、主としてHgS2 2- 、S2-、Na+
その他土壌に起因するイオン等が含まれ、pHは8〜1
0であり、かなりのアルカリ性を呈する。この中で問題
となるイオンは、HgS2 2- とS2-で、モル濃度で〔S
2-〕/〔HgS2 2- 〕の比は約30である。このHgS
2 2- からなる錯イオンは、余剰のS2-が存在すると、
式(式と同じ)にしたがって生成されてHgSは再び
溶解する。
【0013】
【化4】
【0014】(7)Na2S添加後抜水した水にFeSO
4 を加えてFeSO4 水溶液を調整すると、式にした
がってFeSの溶解度積(KSP)が4.0×10-53
小さいため、S2-は殆どFe2+と化合して消費されるの
で、式は負の反応(右辺から左辺に向かう反応)が生
じ、水銀はHgSとなって不溶化し沈澱すると共に、そ
の結果生じたS2-は式の反応で、消費されFeSを生
じる。
【0015】
【化5】
【0016】以上の結果、Na2S添加後抜水した水にF
eSO4 水溶液を加えて調整すると、HgS2 2- は極く
微量になり、一方余剰のFe2+の一部は、Fe(OH)
2 となってフロックを形成する。このフロックは凝集促
進作用があるので、HgSの沈澱フロック化に好都合で
ある。 (8)前記(7)で調整したFeSO4 水溶液を土壌の
上部から散水する。この操作で土壌の空隙は、前記
(4)の散布によって残留しているNa2S水溶液とFe
SO4 水溶液とで満たされる。その結果水銀と未反応の
Na2Sは、前記式の反応で消費され、一部存在する水
銀錯イオンのHgS2 2- は、式にしたがってHgSに
変化して不溶化し、生成したFeSの沈澱と共に土壌中
に固定保持される。また余剰のFe2+はFe(OH)2
となって沈澱しやはり土壌中に固定保持される。更に前
記(7)のFeSO4 水溶液の調整時に生成したFe
S、Fe(OH)2 、HgS等も同様に土壌中に固定保
持される。このように本発明の水銀等を含む汚染土壌の
処理方法においては、全ての水銀化合物は不溶化され、
先の市街地土壌汚染対策の実施手順の土壌の溶出基準
(Hg<0.005mg/L)を満足させることができ
る。 (9)FeSO4 水溶液による処理後、土壌水から水分
を除きたい場合には、底部から抜水することによりNa+
とSO4 2- が主として含まれた水が得られるが、水銀
は除去されている。毒性、経済性等からFeSO4 水溶
液の他、塩化亜鉛等も使用されるが、特に好ましいのは
FeSO4 水溶液である。Fe2+とS2-は、1:1で反
応するが、土壌中で汚染物質の分布にバラツキがあるこ
と及び弱酸性に土壌を保つためには、添加Na2Sに対し
2〜4倍モルのFe2+をFeSO4 の形で添加すること
が好ましい。本発明において、S2-と反応する金属は、
沈澱しやすいイオンとして、水銀以外にも銀、鉛、銅、
カドミウムがあり、また酸性溶液中では沈澱しないが、
中性又はアルカリ性で沈澱するイオンとしては、ニッケ
ル、亜鉛、鉄、マンガン等がある。重金属による汚染の
場合には、水銀以外にも鉛、銅、クロム等によって複合
汚染されている場合も多く、量的にはむしろ水銀以外の
金属の方が多い場合もしばしばある。したがって硫化ナ
トリウム水溶液を供給する場合、HgSの溶解度積は
4.0×10-53 と極めて小さく、難溶性であるため、
水溶液中で他の重金属と共存しても選択的にHgSの沈
殿不溶化が可能であるが、土壌中のごとく汚染物質が点
在したり、存在濃度に粗密がある場合は注意を要する。
例えば土壌中に存在する水銀と等倍モル(化学量論的に
等量)のNa2Sを添加するだけでは先にCd2+やPb2+
と反応してしまって,Hg2+が局部に高濃度で存在する
場合、当該部位のNa2S量が不足したりすることが起こ
る。したがって、 Na2Sと反応沈殿不溶化する金属元素の存在量(絶
対量と濃度、密度分布) 対象土壌中に存在する水銀の量(絶対量と濃度)、
分布を十分考慮して余裕をもってNa2S水溶液を供給し
なければならない。
【0017】
【作用】本発明において、水銀等を含む汚染土壌にNa2
S水溶液を添加すると、前述のごとく式の反応が起こ
りHgSが不溶化して沈澱してくる。このHgSは余剰
のNa2SによりHgS2 2- を生成して溶解する。したが
ってHgS2 2- の生成を抑えるために、水銀汚染土壌を
Na2S水溶液で処理後、FeSO4 水溶液を加えて、F
2+とS2-とを反応させてFeSを生成させると共に
HgSを再生成させる。この場合、処理に使用する水分
を最少限に抑えると同時に余剰のHgSとの反応により
溶出してくるHgS 2−を確実に不溶化するために,
前記のごとくして水銀汚染土壌をNa2S水溶液で処理し
た後に底部の配管から抜水して得られた水分を使用して
FeSO4 水溶液を調製する。これにより,汚染土壌中
の水銀の不溶化が完璧に達成される。また,一旦抜水し
ておけば,次に供給されるFeSO4水溶液は土壌の隅
々まで行きわたるので,反応が十分に進行する。汚染土
壌の処理を透水係数の小さい層と遮水壁で囲まれた中で
行うので、他の地層へ汚染が拡散することがなく、非常
に安全性が高い。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて更に詳しく説
明するが、本発明は、この例によって限定されるもので
はない。本発明の水銀等を含む汚染土壌の処理方法は、
図2に示される工程図にしたがって行う例を示す。図2
は、本発明の水銀等を含む汚染土壌の処理方法を実施す
る工程図又は系統図を示すもので、1は硫化ナトリウム
水溶液を製造するタンク又は容器であり、このタンク1
にはNa2Sと水からなるNa2S水溶液が入っている。ま
た別のタンク又は容器11には前工程での抜液された液
に少量の水を加えて,そこにFeSO4を溶解させた硫
酸第一鉄水溶液が入ることとなる。一方20は汚染土壌
処理施設であり、散布管3と抜水管5を有し、散水管3
はタンク1及びタンク11に接続されており、また抜水
管5はタンク11に接続されている。この工程におい
て、タンク1には計算量のNa2Sと水を供給し、攪拌機
2で攪拌することによりNa2S水溶液を製造する。また
タンク11には抜水管5に溜まった処理廃液を供給する
と共に硫酸第一鉄を入れて硫酸第一鉄水溶液にする。ま
ず汚染土壌処理施設20の汚染土壌の表面に散水管3か
ら硫化ナトリウム水溶液を散布し、土壌の空隙を埋め
る。ついで散水管3からの硫化ナトリウム水溶液の供給
を止め、この状態で30分が経過した時点で、抜水管5
からポンプないしは重力によって抜液しタンク11へ貯
留する。その貯留液に硫酸第1鉄を少量の水と共に添
加,撹拌し,余剰のNaS,S2−とFe2+を反応
させる。その後当該タンク11の硫酸鉄水溶液を散布管
3から供給し散布する。このように汚染土壌を処理する
ことにより水銀を含む重金属の除去が、水銀不溶化の反
応を完璧に行わせ、効率的かつ十分な安全度で無害の土
壌を再生することができる。
【0019】図3は、汚染土壌処理施設20の詳細を示
した断面図であり、透水係数の小さい土壌7にコンクリ
ート製遮水壁4を構築し、この底部に配管として表面に
無数の透孔を有する抜水管5を施設した後、小石9を敷
設し抜水管5を埋設する。この上に汚染土壌6を充填す
る。更にこの上部には散水管3を設け、この散水管3か
らは必要に応じて硫化ナトリウム水溶液又は硫酸第一鉄
水溶液が散布される。まず、散水管3から硫化ナトリウ
ム水溶液を散布し、土壌の空隙を充満する。ついで散水
管3からの硫化ナトリウム水溶液の供給を止め、この状
態で30分が経過した時点で、抜水管5からポンプない
しは重力によって抜液しタンク11へ貯留する。その貯
留液に硫酸第1鉄を少量の水と共に添加,撹拌し,余剰
のNaS,S2−とFe2+を反応させる。その後当
該タンク11の硫酸鉄水溶液を散布管3から供給し散布
する。図4は、図3の汚染土壌処理施設の別の実施態様
を示す断面図であり、この汚染土壌処理施設30は、透
水係数の小さい底部層の土壌7として粘土層を敷設し、
この粘土層にコンクリート製遮水壁4を構築した後、該
壁に近接して保護管52を直立し、底部には吸い出し防
止材12を設けて空間を形成し、この中にフレキシブル
な排水管51を導入したものである。なお,このフレキ
シブルな排水管51には表面に無数の透孔が設けられて
いる。またこのフレキシブルな排水管51は滑車13を
介して地上へ引上げることにより回収することができ
る。なお,遮水壁は,鋼製シートパイル内に止水性のゴ
ムないしは合成樹脂シートを貼付することによって構成
することも可能である。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、汚染土壌中に含まれる
水銀等を不溶化する反応を完璧に行うことができ、か
つ、遮水工法を併用するので、水銀等を含む汚染土壌の
処理が効率的かつ十分な安全度をもって行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例による市街地土壌汚染対策の実施
手順のフローチャートである。
【図2】本発明を含む汚染土壌の処理方法を実施するた
めの工程図である。
【図3】本発明に用いられる汚染土壌処理施設を示す断
面図である。
【図4】本発明に用いられる汚染土壌処理施設の別の実
施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11 タンク 8 モータ 2 攪拌機 9 砕石又は小石 3 散布管 12 吸い出し防
止材 4 遮水壁 13 滑車 5 配管(抜水管) 20,30 汚染
土壌処理施設 6 汚染土壌 51 フレキシブ
ルな排水管 7 透水係数の小さい層 52 保護管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−158635(JP,A) 特開 平4−263874(JP,A) 特開 平5−50055(JP,A) 特開 平4−225886(JP,A) 特開 平6−23340(JP,A) 特開 昭52−67159(JP,A) 特開 昭50−2697(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09C 1/02 A62D 3/00 B09B 3/00 B09C 1/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地面に凹設された透水係数の小さい底部
    層と遮水壁で囲まれたスペース中に、水銀等を含む汚染
    土壌を堆積し、該土壌の内部又は上部ないしは下部から
    前記土壌中の水銀等に対して化学量論的に十分な反応量
    の硫化ナトリウム水溶液を、前記土壌中の空隙を全て実
    質的に充満するように供給し、その後流下する液をスペ
    ース底部に設けられた配管から抜液し、この取り出され
    た抜液に硫酸鉄を加えて混合した後、その混合液を前記
    土壌の表面から供給・浸漬することを特徴とする水銀等
    を含む汚染土壌の処理方法。
  2. 【請求項2】 抜液が排水ポンプで行われることを特徴
    とする請求項1に記載の水銀等を含む汚染土壌の処理方
    法。
  3. 【請求項3】 汚染土壌の水銀等が、水銀以外に銀、
    鉛、銅、カドミウム、ニッケル、亜鉛、鉄、マンガン、
    クロムから選ばれる少なくとも一種を含有しているもの
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水銀等
    を含む汚染土壌の処理方法。
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