本発明の実施例を、添付図面を用いて詳述する。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10(図2参照)が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、上受皿7と下受皿8とが上下に列設されており、下受皿8の右側方に発射ハンドル9が突設される。この発射ハンドル9を遊技者が回動操作することにより、その回動角度に応じた強度で球発射装置41(図3参照)から遊技球が発射される。
図2は、遊技盤10の正面図である。遊技盤10の前面には、ガイドレール11によって略円形の遊技領域12が区画形成されている。遊技領域12の中央には、各種遊技部材を組み込んだセンターケース13が配設される。このセンターケース13には、画像表示器14が組み付けられている。画像表示器14は、液晶表示器又はCRT表示器等からなり、その表示画面には演出図柄や各種演出画像等が表示される。
センターケース13には、画像表示器14が配設されると共に、該画像表示器14の周囲に複数のLED(発光ダイオード)が配設される。この複数のLEDのうち、右上部の六個は特別図柄表示装置15であり、下部右側の二個は普通図柄表示装置16である。また、下部中央の四個のLEDは、特別図柄の始動記憶(特別図柄用抽選データ)の保留数(特別図柄始動記憶数)を示す特別始動記憶数表示装置17であり、下部左側の四個は、普通図柄の始動記憶(普通図柄用抽選データ)の保留数(普通図柄始動記憶数)を表示する普通始動記憶数表示装置18である。
特別図柄表示装置15は、その六個のLEDの点灯態様によって特別図柄を表示するものである。後述するように、特別図柄表示装置15は、所定契機によって、各LEDを点滅させることにより夫々の特別図柄を変動させ、その後にいずれかのLEDが点灯した態様で特別図柄を停止表示する。本実施例では、右端下側のLEDのみが点灯した態様がハズレ態様、それ以外の点灯態様が当り態様として設定されており、特別図柄が当り態様で停止表示された場合に、いわゆる「大当り」となって後述の特別遊技作動を実行する。
一方、普通図柄表示装置16は、二個のLEDの点灯態様によって普通図柄を表示するものである。後述する普通始動ゲート19を遊技球が通過すると、このLEDが順次点滅することで普通図柄を変動させ、その後にいずれかのLEDが点灯した態様で普通図柄を停止表示する。左側のLEDのみが点灯した態様が当り態様、左右のLEDが点灯した態様がハズレ態様に設定されており、当り態様で停止表示された場合には、後述の普通電動役物23を拡開作動する。
図2に示すように、センターケース13の左側には普通始動ゲート19が設けられている。この普通始動ゲート19を遊技球が通過すると、普通始動ゲート19に具備された球検知スイッチが球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて上記の普通図柄表示装置16のLEDが点滅開始する。
また、図2に示すように、センターケース13の直下位置には特別始動口22を有する普通電動役物23が配設される。普通電動役物23は、特別始動口22の開口幅を変動させる左右一対の開閉翼片24,24を備えており、開閉翼片24,24を起立位置として特別始動口22への遊技球流入が困難な閉鎖状態と、開閉翼片24,24を左右両側へ拡開した拡開位置として特別始動口22への遊技球流入が容易な開放状態とに変換制御される。この普通電動役物23は、上記した普通図柄表示装置16で普通図柄が当り態様で停止表示されると、ソレノイドによって左右の開閉翼片24,24が拡開駆動されて前記開放状態となる。このような普通電動役物23の特別始動口22を遊技球が通過すると、当該普通電動役物23に内蔵された球検知スイッチが球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて特別図柄表示装置15のLEDが点滅開始する。また、特別始動口22を遊技球が通過すると、所定数の賞球が払い出される。
普通電動役物23の直下かつアウト口30の直上方位置には、大入賞口25を有する特別電動役物26が配設されている。この特別電動役物26は横長矩形状の開閉片27を具備している。開閉片27は内蔵するソレノイドにより開閉制御され、これによって大入賞口25が開放状態と閉鎖状態に変換される。また、特別電動役物26の内部には入賞した遊技球を検知する球検知スイッチが設けられる。
また、普通電動役物23の両側には一般入賞装置29が配設されており、遊技球が一般入賞装置29に入賞すると、一般入賞装置29に内蔵された球検知スイッチが球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて所定数の賞球が払い出される。
尚、本実施例にあって、上記した普通電動役物23の特別始動口22が、本発明の始動口であり、普通電動役物23内に設けられた球検知スイッチが、本発明にかかる球検知手段である。また、特別図柄表示装置15が、本発明の図柄表示装置である。また、特別始動記憶数表示装置17が、本発明にかかる始動記憶数表示手段を構成しており、該特別始動記憶数表示装置17の四個のLEDがそれぞれ、本発明の保留灯17a〜17dである(図8参照)。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技作動を制御する制御回路を、図3を参照して説明する。
マイクロコンピュータを構成する主制御基板60には、パチンコ遊技機1の遊技作動等を制御するための基板回路が設けられている。この主制御基板60は、遊技の統括的な制御を実行するものである。この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設される。この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板60の基板回路を構成している。記憶装置ROMには、制御プログラムや、抽選データを参照して特別図柄の当落判定や該特別図柄の変動・停止態様、演出態様等を決定するための各種テーブルが格納されている。
一方、記憶装置RAMには、各種球検知スイッチからの球検知信号等が一時的に記憶される記憶エリア、各種のタイマや乱数カウンタ、計数カウンタ等を構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
さらに、この主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは、一定間隔のクロックパルスによって時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマTMも接続されている。
ここで主制御用中央制御装置CPU、及び後述する各制御基板62〜68に設置される各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。そして、この主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成したデータ又はコマンドを四つの制御基板62,63,64,68へ出力し、これらの制御基板62,63,64,68の中央制御装置CPUがこのデータ等に従って所定の制御を処理実行することとなる。
また、この主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板60からの制御指令信号が、演出制御基板62、図柄制御基板63、払出制御基板64、及び発射制御基板68の各入力ポートに向け、一方向に出力されるように接続されている。また、主制御基板60の入力ポートには、盤面中継基板61を介して、普通始動ゲート19、普通電動役物23、特別電動役物26、一般入賞装置29等が接続される。そして、主制御基板60が2msごとに、これらに内蔵された各スイッチの遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があると、その球検出信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板60の出力ポートには、盤面中継基板61を介して普通電動役物23や特別電動役物26等が接続されており、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に、これらに内蔵されたソレノイドやモータを作動させる。
上記の演出制御基板62には、パチンコ遊技機1で実行される演出全般を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、演出を制御処理する演出制御用中央制御装置CPUに、多岐にわたる演出態様に関する固定データが格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。演出制御基板62の出力ポートには、画像表示器14を制御する画像制御基板65、音声演出を制御する音源制御基板66、及びLEDランプによる演出を制御する光源制御基板67が接続されている。そして、演出制御基板62は、主制御基板60からの演出コマンドが入力ポートに入力されると、演出制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、該演出コマンドで指示された演出態様を実行するために、画像制御基板65、音源制御基板66、及び光源制御基板67へ向けて制御コマンドを送信する。
上記の画像制御基板65には、画像表示器14の表示態様を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、画像制御用中央制御装置CPUに、表示態様に関する固定データが格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。画像制御基板65は、演出制御基板62から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを画像制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、所定の表示態様を表示するデータを、出力ポートを介して表示用ドライバに出力する。そして、この表示用ドライバが、前記データに従って画像表示器14に所定態様で表出させる。
上記の音源制御基板66には、図示しないスピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、音源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや音響発生パターン等が格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この音源制御基板66は、上記の演出制御基板62より入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを音源制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定の音データを、出力ポートを介してサウンドジェネレータに出力し、このサウンドジェネレータが、前記音データに従ってスピーカに効果音を出力させる。
上記の光源制御基板67には、遊技機本体3に配設された演出用ランプを制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、光源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや発光パターン等の固定データが格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この光源制御基板67は、光源制御用中央制御装置CPUで、上記の演出制御基板62から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の光データを、出力ポートを介して、演出用ランプを発光作動するドライバを配した光源作動基板に出力し、この光源作動基板が各種の演出用ランプを点灯、点滅させる。
上記の図柄制御基板63には、特別図柄表示装置15、普通図柄表示装置16、特別始動記憶数表示装置17、普通始動記憶数表示装置18を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、図柄制御用中央制御装置CPUに、各装置の動作プログラムや発光パターン等の固定データが格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この図柄制御基板63は、図柄制御用中央制御装置CPUで、上記の主制御基板60から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の光データを、出力ポートを介して、各装置のLEDを発光作動するドライバを配した図柄作動基板に出力し、この図柄作動基板が、各装置のLEDを点灯、点滅させる。
上記の払出制御基板64には、遊技球の貸球や賞球等の払出しを制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、払出制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや球数パターン等の固定データが格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この払出制御基板64は、主制御基板60から入力されたデータ又はコマンドに従い、払出制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定のデータを、出力ポートを介して払出中継基板に送信し、このデータにより貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動し、所定の貸球や賞球の払出しを実行する。また、払出制御基板64は、遊技球の貸球を記憶したプリペイドカードの読込みや書込みを行う機外装置であるプリペイドカードユニットと、このプリペイドカードのデータ処理を中継するCR接続基板を介して接続され、遊技球の残球データ等をやり取りする。
上記の発射制御基板68には、球発射装置41を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、発射制御用中央制御装置CPUに、動作プログラム等が格納されている記憶装置ROMと、入出力信号等を一時的に記憶する記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。発射制御基板68の入力ポートには、発射ハンドル9の回動角度に応じた電圧信号が入力される。発射制御基板68の出力ポートには球発射装置41が接続されており、発射制御基板68は、発射ハンドル9からの入力信号に応じた電圧強度で球発射装置41を駆動することにより、発射ハンドル9の回動角度に応じた強さで遊技球を打圧発射する。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の基本的な作動について説明する。なお、本実施例のパチンコ遊技機1の基本的な作動は、既存のパチンコ遊技機と同様であるため詳細な説明は省略する。
遊技者による発射ハンドル9の回動操作に従って球発射装置41により遊技球が発射されると、該遊技球が遊技盤10の遊技領域12を転動流下する。そして、遊技球が上記の普通電動役物23の特別始動口22へ流入すると、各種テーブルから乱数抽選が行われて特別図柄用抽選データが生成される(図4の入賞検知処理を参照)。そして、生成された特別図柄用抽選データの消化に伴って特別図柄表示装置15でLEDが点滅して特別図柄が変動開始する(図5の特別図柄処理を参照)。変動開始から所定時間経過すると、特別図柄が変動停止して停止図柄態様(以下、特別停止図柄態様と言う)を確定し、該特別停止図柄態様を遊技者に認識させるために一定時間(約1秒)停止表示する。このように、特別図柄用抽選データの消化によって特別図柄の変動開始から確定停止までの一連の特別図柄生成行程を実行する。ここで、特別停止図柄態様が当り態様であると大当りとなり、後述の特別遊技作動を実行する。
また、通常、特別図柄生成行程の実行中は、スピーカや演出用ランプが所定態様で作動すると共に、画像表示器14の表示画面で演出用の図柄が変動する。ここで、表示画面では、場合によって遊技者の大当りへの期待感を高めるための、いわゆるリーチ変動の演出が実行される。かかるリーチ変動の演出を実行する場合には、通常よりも当り態様で確定表示する確率が見かけ上高くなるように設定されており、遊技者はリーチ変動の演出により大当りの期待感を高めるとともに、表示画面での多様な演出態様により、演出用図柄の変動停止まで興奮を持続させることができる。
上記の特別図柄用抽選データとしては、記憶装置ROMに格納された特別図柄用の各種テーブルから夫々抽出した複数の乱数値により構成されており、該複数の乱数値は特別始動口22に流入した遊技球を普通電動役物23に内蔵された球検知スイッチにより検知することによって夫々抽出される。特別図柄用抽選データを構成する各乱数値は、上述したように、特別図柄の当落判定や図柄の変動・停止態様、演出態様等を決定するためのものであり、具体的には、当り又はハズレを判定するための大当り乱数値、当りとなる場合の特別停止図柄態様を決定するための大当り図柄乱数値等を含む。このような特別図柄用抽選データの消化により、当該データの大当り乱数値を判定し、その判定結果が当りであると、大当り図柄乱数値に従って当り態様を選定する処理(図5中の特別図柄変動停止態様選択処理)を行う。これに従って、特別図柄生成行程では、選定した当り態様の特別停止図柄態様を特別図柄表示装置15で停止表示する(図5の特別図柄処理を参照)。
特別始動口22への入賞によって生成された特別図柄用抽選データは、当該特別図柄用抽選データの消化により特別図柄生成行程が開始されるまで、記憶装置RAMに設定された特別始動記憶領域に記憶保持される。具体的には、特別図柄の変動中および特別遊技作動中に生成された特別図柄用抽選データは直ぐに消化されず、前記特別始動記憶領域に記憶保持される。また、特別始動記憶領域には四個(上限数)の特別図柄用抽選データを保持可能となっており、特別始動記憶領域に四個の特別図柄用抽選データが保持されている場合には、特別始動口22へ入賞しても特別図柄用抽選データが生成されない(図4の入賞検知処理を参照)。このように特別始動記憶領域に記憶されている未消化の特別図柄用抽選データが、所謂特別図柄の始動記憶であり、上記した特別始動記憶数表示装置17の点灯数によって該始動記憶の保留数(特別図柄始動記憶数)を報知している(図8参照)。そして、未消化の始動記憶(特別図柄用抽選データ)を消化して特別図柄を変動開始する際には、特別始動記憶数表示装置17のLEDを一個消灯する。この特別始動記憶数表示装置17の点灯・点滅する制御については、本発明の要部にかかり、詳しくは後述する。
特別図柄表示装置15で変動した特別図柄が当り態様の特別停止図柄態様で確定停止すると、特別遊技作動を実行する。特別遊技作動は、大入賞口25が開閉する開閉ラウンドを所定回数実行する作動であり、上述したように、特別図柄が当り態様で停止して大当りとなることにより開始する。その後、所定回数の開閉ラウンドを満了することにより当該特別遊技作動を満了する。ここで、一回の開閉ラウンドは、大入賞口25の30秒間開放または9個入賞のいずれか一方を満足することにより満了する。特別遊技作動では、この開閉ラウンドを16回繰り返し実行する。このような特別遊技作動中では、大入賞口25へ100個以上の入賞が期待でき、遊技者は多量の賞球を獲得できる。
尚、上記した主制御基板60により、本発明にかかる始動記憶生成手段が構成されている。さらに、上記した主制御基板60、図柄制御基板63、演出制御基板62(画像制御基板65、音源制御基板66、光源制御基板67)により、本発明にかかる特別遊技制御手段が構成されている。
次に、本発明の要部について説明する。
上記した特別始動記憶数表示装置17は、図2,8のように、四個の保留灯17a〜17dを備えた構成であり、各保留灯17a〜17dは、それぞれ複数色に発光可能なLEDにより構成されている。本実施例にあって、前記LEDは、白色と赤色の二色に発光可能であり、上記した図柄制御基板63により発光制御される。尚、白色での点灯状態としては、図8(A)における保留灯17a,17bの記載形態と同様に表し、赤色での点灯状態としては、図8(C)における保留灯17a〜17dの記載形態と同様に表している。ここで、赤色の点灯が本発明にかかる予見表示態様であり、白色の点灯が通常表示態様である。
ここで、保留灯17a〜17dは、上述したように、特別始動記憶領域に特別図柄用抽選データ(始動記憶)を記憶保持する毎に点灯し、該特別図柄用抽選データ(始動記憶)を消化する毎に消灯する。このような各保留灯17a〜17dを発光する制御としては、図7に示す始動記憶数表示処理により実行する。この始動記憶数表示処理は、図4の入賞検知処理により特別始動口22に流入した遊技球を球検知スイッチが検知して入賞フラグ=1とし且つ保留数Pに1加算すると、該保留数Pに応じて、左からP番目の(点灯していない最も左側の)保留灯を点灯制御する。また、図5の特別図柄処理により未消化の特別図柄用抽選データを消化して消化フラグ=1とし且つ保留数Pから1減算すると、これに伴って、左から(P+1)番目の(最も右側で点灯する)保留灯を消灯制御する。このようにして、上述した保留灯17a〜17dの点灯作動と消灯作動とを制御している。すなわち、未消化の始動記憶(特別図柄用抽選データ)に対応する保留灯の表示態様(点灯または消灯)によって、当該始動記憶の発生または消化と保留数とを報知する。尚、未消化の始動記憶の発生および消化に伴う保留灯17a〜17dの表示態様(白色点灯または消灯)については、従来と同様であり、その詳細については省略する。
さらに本実施例にあっては、図6に示す先読み判定処理により、未消化の特別図柄用抽選データ(始動記憶)を当落判定する。先読み判定処理としては、入賞検知処理(図4参照)により入賞フラグ=1となると、直近に記憶された未消化の特別始動記憶データを読み込んで、その大当り乱数値を当落判定する。ここで、当落判定する特別始動記憶データは、未消化の始動記憶の保留数Pにより表される最新のP番目のものである。この当落判定の結果、大当り乱数値が当り(当選)の場合に予見フラグ=1とすると共に予見保留数R=保留数Pとする。一方、当落判定の結果がハズレの場合には、現状の予見フラグを維持する。
上記の先読み判定処理にあっては、予見フラグ=1の場合に読み込んだ未消化の特別始動記憶データを当落判定した結果、その大当り乱数値が当りであると、予見保留数Rをこの時点での保留数Pとする。このように予見フラグ=1の状態で大当り乱数値を当選判定すると、予見保留数Rを保留数Pに従って更新する。
上記した先読み判定処理(図6)による当落判定の結果が当選である場合(予見フラグ=1)に、未消化の始動記憶が上限(四個)となると、図7の始動記憶数表示処理により全ての保留灯を赤色点灯する。この始動記憶数表示処理により、予見フラグ=1の場合に入賞フラグ=1かつ保留数P=4となると、四個全ての保留灯17a〜17dを赤色で点灯する。その後、未消化の始動記憶が消化されて保留数P=3となると、赤色点灯を解除する。すなわち、未消化の始動記憶を四個(上限)記憶している状態でのみ、保留灯17a〜17dを赤色で点灯する。尚、特別始動記憶数表示装置17は、未消化の始動記憶の増加または減少に応じて保留灯17a〜17dを点灯または消灯することから、常に正確な保留数を報知している。
図7の始動記憶数表示処理では、入賞フラグ=1となった場合に予見フラグ=0であると、左からP番目の保留灯を白色点灯する。予見フラグ=1の場合に、保留数P<4であると、左からP番目の保留灯を白色点灯する。一方、予見フラグ=1の場合に、保留数P=4であると、四個全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯すると共に予見実行フラグ=1とする。
消化フラグ=1となった場合に、予見実行フラグ=1であると(全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯していると)、4番目の保留灯17dを消灯すると共に、1番目〜3番目(P番目)までの保留灯17a〜17cを白色点灯に変換する。そして、予見実行フラグ=0として、予見保留数Rから1減算する。一方、予見実行フラグ=0であると、左から(P+1)番目の保留灯を消灯する。そして、予見フラグ=1の場合には、予見保留数Rから1減算する。ここで、予見フラグ=1の場合に予見保留数R=0となると、予見フラグ=0とする。そのため、予見フラグ=1の場合に保留数P<4を維持して予見保留数R=0となると、保留灯の赤色点灯を実行することなく、当選判定した始動記憶を消化することとなる。
尚、予見フラグ=1の状態で新たに発生した始動記憶が先読み判定処理(図6)により当選判定すると、上述したように予見保留数Rを更新する。そのため、先に当選判定した始動記憶を消化しても、予見保留数R>0であることから、予見フラグ=1が維持される。
このように、予見フラグ=1の状態では、入賞フラグ=1により保留数P=4となる毎に、四個全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯する処理を実行し、消化フラグ=1により保留数Pが4個から3個に減少する毎に、前記赤色点灯を解除する処理を実行する。これら処理を、予見フラグ=1の状態(当選判定した始動記憶を記憶している状態)で繰返し実行する。
上述した様々な点灯または消灯コマンドにしたがって、特別始動記憶数表示装置17の保留灯17a〜17dを点灯作動または消灯作動する保留灯作動処理を実行する。この保留灯作動処理は、LEDへの電力供給と停止とを行うものであり、従来から用いられている処理を適用できるため、その詳細については省略する。
上記の始動記憶数表示処理に従って保留灯17a〜17dを点灯/消灯する態様について、図8を参照して説明する。例えば、図8(A)のように、二個の始動記憶を保留して、保留灯17a,17bを白色点灯している状態で、新たな始動記憶が発生し、当該始動記憶を上記した先読み判定処理(図6参照)により当選判定すると、始動記憶表示処理(図7参照)により、入賞フラグ=1、予見フラグ=1、および保留数P=3に従って、図8(B)のように、左から3番目(=P番目)の保留灯17cを白色点灯する。この際には、予見保留数R=3である。連続して新たな始動記憶が発生すると、保留数P=4となることから、図8(C)のように、全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯する。そして、予見実行フラグ=1とする。この状態で、未消化の始動記憶を消化して消化フラグ=1となると、予見実行フラグ=1であることから、図8(D)のように、左から4番目の保留灯17dを消灯すると共に、保留灯17a〜17cを白色点灯に変換し、予見実行フラグ=0とする。そして、予見保留数R=2とする。次に、新たな始動記憶を発生して入賞フラグ=1となると、保留数P=4となることから、図8(E)のように、再び全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯する。次に、始動記憶を消化して消化フラグ=1となると、図8(F)のように、左から4番目の保留灯17dを消灯し、かつ保留灯17a〜17cを白色点灯に変換する。この際には、予見保留数R=1である。
この後に、新たな始動記憶が発生して全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯した際に、当該始動記憶が先読み判定処理により当選判定されていると、予見保留数R=4に更新される。これにより、次に、前に当選判定した始動記憶を消化しても、予見保留数R=3となることから、予見フラグ=1が維持され、次に新たな始動記憶が発生することによって、再び全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯する。
このように、本実施例の構成では、特別始動口22への遊技球流入に伴って発生した始動記憶を先読み判定した結果が当選であった場合に、当該始動記憶の消化前までに始動記憶の保留数が上限(四個)となると、全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯し、この後に始動記憶を消化すると、前記赤色点灯を解除して保留灯17a〜17cを白色点灯に変換する。さらに、未消化の始動記憶の保留数が上限となる毎に保留灯17a〜17dを赤色点灯し、消化して上限より少なくなる毎に保留灯17a〜17cを白色点灯に変換する。かかる構成によれば、全ての保留灯17a〜17dが赤色点灯することにより、当り発生する可能性が高いことを遊技者に強く印象付けることができ、当り発生への期待感を昂揚させ得る。そして、一旦全ての保留灯17a〜17dが赤色点灯した後に、始動記憶の消化によって保留灯17a〜17cが白色点灯すると、当り発生する可能性が無くなってしまったのではないかという不安感を遊技者に想起させ易い。このように想起された不安感によって、始動記憶の保留数を上限として全ての保留灯17a〜17dを赤色点灯するように、遊技者が遊技球の発射を行い得ることから、遊技球の止め打ち行為を抑制することができる。これは換言すると、始動記憶の保留数が上限でなければ当り予見できないために、当り発生を求める遊技者の感情を効果的に刺激して、遊技球の発射を促すことができることに因る。したがって、本実施例のパチンコ遊技機1は、止め打ち行為を抑制する効果に優れ、該止め打ち行為によって生ずる遊技場の不利益を軽減することができ得る。
また、始動記憶の発生と消化とにより保留灯17a〜17dの赤色点灯と該赤色点灯の解除とが繰返し生ずることから、いずれの始動記憶が当り発生するものであるかを、遊技者が特定し難い。これにより、遊技者にいつ当り発生する始動記憶が消化されるのかという期待感を、該消化毎に昂揚させ得る。この期待感の昂揚と赤色点灯から白色点灯への変換に伴って想起される不安感とによって、所謂ミステリアスな興趣性を生じ得る。そして、この興趣性により、上述した当り予見させるという遊技性に従来に無い新たな面白みが加えられ、該遊技性を著しく向上することができる。
上述した本実施例1にあって、保留灯17a〜17dを白色点灯/赤色点灯または消灯することにより表示される該保留灯17a〜17dの点灯/消灯した状態が、本発明にかかる表示態様であり、保留灯17a〜17dを赤色点灯した状態が、本発明にかかる予見表示態様である。また、保留灯17a〜17dを白色または赤色で点灯することが、本発明の発光に相当する。また、上述した先読み判定処理(図6)を実行する主制御基板60により、本発明にかかる先読み判定手段が構成されている。さらに、始動記憶数表示処理(図7)を実行する主制御基板60および図柄制御基板63により、本発明にかかる予見表示手段が構成されている。
上述した実施例にあっては、予見表示態様(当選予見表示態様)として赤色点灯するようにしたものであるが、その他の表示色(例えば、黄色や青色など)により点灯するようにしても良い。さらに、この予見表示態様としては、所定の表示色による点灯だけでなく、点滅する態様としても良い。
また、上述した実施例にあっては、先読み判定処理(図6参照)により、新たに始動記憶が発生する毎にその当落判定を常に行うようにしているが、その他として、予見フラグ=1の場合に、新たに発生した始動記憶の当落判定を実行しないようにしても良い。
一方、上述した実施例にあっては、先読み判定手段により、当りとなることを判定(当選判定)した場合に、保留灯の赤色点灯を行うようにした構成であるが、その他の構成として、ハズレとなることを判定(落選判定)してもリーチ発生する場合や特別な演出画像を表示する場合等であっても、保留灯を所定の予見表示態様により発光するようにしても良い。そして、このようなリーチ発生することを先読み判定した場合に、上述した実施例と同様に、保留灯を予見表示態様により発光する。尚、リーチ発生等を予見するための予見表示態様としては、上記した実施例の当り発生する場合と同様の赤色発光としても良いし、異なる特定色(例えば、黄色や青色など)による発光としても良い。
また、保留灯としては、上述した特別始動記憶数表示装置17を構成するLEDの保留灯だけでなく、上述した画像表示器14の画面に表示される保留灯図柄により構成したものであっても良い。この保留灯図柄としてLEDを模した図柄を適用し、特定色に発光(表示)することにより、表示態様(通常表示態様、予見表示態様)を表すようにしたものが好適である。さらには、保留灯図柄として、キャラクタ図柄を用い、該キャラクタ図柄を表出および消去することにより、保留数を報知するようにしても良い。このように保留灯図柄を用いた場合にも、上述した実施例と同様に表示制御することにより、同様の作用効果を奏し得る。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。