JP2012160580A - 発光装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性の高い発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る発光装置は、発光素子と、表面にめっき層を有し、発光素子が載置されるリードフレームと、リードフレームを保持する樹脂成形体と、を有する発光装置であって、めっき層は、上面の高さが異なる領域を少なくとも2以上有しており、高さが異なる領域の間に傾斜面を有することを特徴とする。
【選択図】図1A

Description

本発明は、めっきが施されたリードフレームを有する発光装置とその製造方法に関する。
発光素子を用いた発光装置において、発光素子からの光に対して高い反射率を有するAgめっきを最表面に施したリードフレームなどの導電部材が数多く採用されている。しかしながら、Agは硫黄含有ガスの存在する雰囲気下において反応(硫化)し易い。そのため、Au等の硫化しにくい金属層を、Agの表面に部分的に設ける試みがなされている(例えば、特許文献1)
特開2007−149823号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたような金属層では、部分的に形成された金属層の膜厚や、それを形成するためのマスク形状等によって下層と上層との間の段差の角部の形状が影響を受け易いため、一定形状になるよう制御するのが難しく、場合によっては図6に示すように鋭角になる。このような鋭い角部が形成されると、封止部材の硬化時等に局所的に負荷がかかることになり、封止部材にクラックが生じ、その部分がリードフレームから剥離したりするなどの問題が生じ易くなる。
前記課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、発光素子と、表面にめっき層を有し、発光素子が載置されるリードフレームと、リードフレームを保持する樹脂成形体と、を有する発光装置であって、リードフレーム層は、上面の高さが異なる領域を少なくとも2以上有しており、高さが異なる領域の間に傾斜面を有することを特徴とする。
このような、部分的に形成されためっき層を有するリードフレームを有する発光装置において、封止部材の剥離を抑制することができる。
図1Aは、本発明の実施形態に係る発光装置を示す上面図である。 図1Bは、図1AのX−X線における断面図である。 図1Cは、図1Bの部分拡大図である。 図1D(a)〜(d)は、図1AのY−Y線における断面図である。 図2Aは、パッケージの成形時に用いる上金型を下側から見た斜視図である。 図2Bは、図2Aの上金型の凸部の下面図である。 図3(a)〜(c)は、図2Aに示す上金型を用いて本発明の実施形態に係る発光装置用のパッケージを製造する工程を示す図である。(c)はその部分拡大図である。 図4Aは、本発明の実施形態に係る発光装置を示す上面図である。 図4Bは、図1AのZ−Z線における断面図である。 図4Cは、図4Bの部分拡大図である。 図5は、パッケージの成形時に用いる上金型の凸部の下面図である。 図6は、従来例を示す断面図である。
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具現化するための発光装置を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示に過ぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
<実施の形態1>
図を参照して本発明の実施形態に係る発光装置について説明する。図1Aは、本実施の形態に係る発光装置の上面図、図1Bは図1AのX−X線における断面図、図1Cは、その部分拡大図である。
図1Aに示すように、発光装置10は、正負一対の電極として機能するリードフレーム2が樹脂成形体5によって一体的に保持されてなるパッケージを有している。樹脂成形体5には上面を開口部とする凹部が形成されており、第1リードフレーム21及び第2リードフレーム22は、その一部が凹部内の底面において露出するように設けられている。凹部内の第1リードフレーム21上には発光素子1が載置されており、発光素子1と第1及び第2リードフレームとは、導電性ワイヤ4で直接或いは間接的に電気的に接続されている。そして、発光素子1を被覆するように、リードフレーム上に透光性の封止部材3が設けられている。
発光素子1が載置される第1リードフレーム21は、母材211の表面に、めっき層として下地層212と、その上に積層される表面層213とを有している。表面層213は、凹部内の底面において、下地層212の上の全面ではなく、その一部が露出されるように、部分的に形成されている。すなわち、リードフレームの表面に、発光素子からの光に対する反射率の高い領域(表面層213)と、導電性ワイヤの接続性が良好な領域(下地層212)と、それぞれ特性の異なる領域を設けている。これにより、光の取り出し効率に優れ、且つ、導電性ワイヤの接続不良が生じにくい信頼性の高い発光装置とすることができる。
そして、図1Cに示すように、本実施の形態において、リードフレームは、上面の高さが異なる領域を少なくとも2以上有しており、その高さが異なる領域の間に傾斜面を有している。詳細には、露出された下地層212と接する表面層213の端部に傾斜面Sを有している。このように、表面層213に鋭角を有する角部を設けない構成とすることで、後工程において設けられる封止部材の硬化時に、角部に起因するクラックの発生を抑制することができる。尚、ここでは、X−X線における断面図において、傾斜面Sが形成されていることを示しているが、X−X線と垂直な方向における表面層213の端面にも傾斜面が形成されるのが好ましい。
このような傾斜面Sは、傾斜面Sと表面層の上面との角度が90度以上となるような方向に傾斜する、すなわち、上面側に傾斜面が向く方向に傾斜させるのが好ましい。これによって、傾斜面の上端、すなわち傾斜面と表面層との間の角部が鈍角となり、この部分を起点とするクラックの発生を抑制することができる。また、傾斜面の下端、すなわち傾斜面と下地層の露出面との間の隅部が鈍角となることで、成型後に上金型を取り外す際の抵抗を小さくすることができ、表面層の端部が下地層から剥離しにくくなる。
また、図1Aに示すように、第2リードフレーム22に表面層を設けない場合は、凹部内の底面に露出している第2リードフレーム22全体が、第1リードフレーム21の露出された下地層と同じ高さとなる。このような場合は、図1D(a)〜(d)に示すような位置に傾斜面Sを設けるのが好ましい。具体的には、図1D(a)に示すような、第1リードフレーム21の表面層213の端部で、且つ、樹脂成形体の底面部52と接する位置、図1D(b)に示すような、第1リードフレーム21の表面層213と接する樹脂成形体の底面部52、又は、図示しないが第2リードフレーム22の露出された下地層と接する樹脂成形体の底面部、或いは、図1D(c)に示すような第1リードフレーム21と第2リードフレーム22との間であって、そのいずれからも離間した位置の樹脂成形体の底面部52、図1D(d)に示すような、第1リードフレーム21の表面層213と樹脂成形体の底面部52との両方にまたがる位置、更には、図示しないが、第1リードフレーム21の表面層の端部から第2リードフレーム22の下地層の端部にまで達するよう、すなわち、底面部52の上面全体が傾斜面となるようにしてもよく、これらのいずれかの位置、又はそれらを組み合わせた位置に、傾斜面Sを設けるのが好ましい。
このような傾斜面を形成するには、樹脂成形体を成形する際に、図2A、図2Bに示すような、凹部を形成するための凸部を有する金型であって、その凸部の頂面に高さの異なる領域を有する上金型を用いる。すなわち、リードフレームに表面層が形成されている領域に対向する凸部と、表面層が形成されず下地層が露出している領域に対向する凸部との、それぞれ高さの異なる凸部の間の面が傾斜面である凸部を有する上金型を用いる。これにより、めっき層の端部の形状にかかわらず、金型によって一定の傾斜を有する傾斜面を形成することができる。
図2Aは、上金型111を下側から見た斜視図であり、図2Bは、図2Aに示す上金型111の中央の凸部(樹脂成形体の凹部と対応する部分)の下面図である。図3(a)〜(c)は、図2Aに示す上金型111及びこれと対をなす下金型112を用いてリードフレームに樹脂成形体を一体成形して、発光装置に用いられるパッケージを得る製造方法を説明する図である。尚、上金型及び下金型は、説明の便宜上の名称であり、実際の工程においてその上下関係を示すものではないことは言うまでもない。以下、傾斜面を有するリードフレームを有するパッケージの製造方法、更に、それを用いた発光装置の製造方法について説明する。
(製造方法)
1.第1工程
まず、図3(a)に示すような貫通孔2Aを有するリードフレーム2を用意する。このリードフレーム2は、後に図1Aに示す発光装置10のリードフレーム21、22となる部材であり、母材である金属板211の表面にめっき層が形成されている。めっき層は、金属板211の表面のほぼ全領域を被覆するように設けられる下地層212と、その上に積層される表面層213とを有している。表面層213は、成型後の樹脂成形体の凹部内において、下地層の一部が露出するように部分的に設けられている。このように、部分的に下地層212が露出するようにするには、レジストでマスクするなどによって部分的に形成することができる。尚、ここでは、発光素子1が載置される第1リードフレーム21は、部分的に下地層212が露出するのに対し、発光素子が載置されていない第2リードフレーム22には、表面層が設けられずに、全領域にわたって下地層222が露出している。このように発光素子1に近接する第1リードフレーム21のみに、本実施の形態の構成を有していてもよく、また、第2リードフレーム22にも、同様の構成を有することもできる。
2.第2工程
次いで、金型を用意する。板状のリードフレーム2を上下一対の金型で挟むため、上金型と、下金型とを用意する。上金型111は、発光素子が載置される領域及び導電性ワイヤが接続されるリードフレーム表面に樹脂が形成されないよう、リードフレーム2の表面と接する凸部を有している。具体的には、図2Aに示すように、第1凸部111aと、それよりも高さの高い第2凸部111bとを有している。図3に示すように、第1凸部111aは、リードフレーム2のめっき層の表面層213が最表面である領域に対向し、第2凸部111bは、リードフレーム2のめっき層の下地層212が最表面である領域に対向している。更に、貫通孔2Aと対向する領域には、高さが高い方の第2凸部111bが設けられている。そして、この高さの異なる第1凸部111aと第2凸部111bの間の面が、傾斜面となっている。金型に傾斜面を設けておくことで、めっき層を変形させて傾斜面とすることができる。
上下金型111、112を図3(a)の矢印方向に移動し、図3(b)に示すようにリードフレーム2を挟む。尚、上金型111、下金型112のいずれか一方を固定し、一方を可動としてリードフレーム2を挟むように移動させてもよい。このとき、上金型111の凸部の傾斜面がリードフレームのめっき層の表面層の端部に位置するよう、位置合わせをしておく。これにより、に示すように表面層の端部が変形して傾斜面が形成される。めっき層形成時に、表面層の端部の角部形状が不均一であったとしても、上金型111の凸部の傾斜面を押し付けることによって変形させて均一な傾斜面とすることができる。
また、このような高さの異なる凸部を有する上金型を用いることで、露出された下地層上に、意図しない溶融樹脂が流れ込むことを抑制することができる。例えば、図1Aのように、露出された下地層212と表面層213とが隣接している場合において、単一な高さの凸部を有する上金型を用いてリードフレームを挟むと、露出された下地層212と上金型の凸部との間に、表面層213の厚みの分だけ隙間が形成されることになる。そして、この露出された下地層と、それに隣接する表面層とが、共に樹脂成形体の底面部5bに接している場合、すなわち、溶融樹脂の流路に接している場合、その隙間に溶融樹脂が流れ込む。特に、樹脂成形体が熱硬化性樹脂である場合、熱可塑性樹脂に比べて流路を流れる樹脂の粘度が極めて低いため、厚みの薄いめっき層(表面層)分の高さしかない隙間であっても入り込み易くなる。そして、隙間、すなわち、下地層の上面に流れ込んだ樹脂が、硬化後にバリ(フラッシュバリ)となる。このようなバリが形成されると、導電性ワイヤと下地層と接合不良の原因となり、導通が取れない、又は、取りにくい状態となる。これに対し、本実施の形態のように、めっき層の構造(高さ)に応じて異なる高さに加工された凸部を有する上金型を用いることで、めっき層と上金型との間に隙間が形成されにくくなり、バリが形成されにくくなる。
3.第3工程
次いで、リードフレームの貫通孔2A内に溶融させた樹脂を注入する。このとき、上金型に凹部111c(樹脂成形体の凹部の側壁部と対応する部分)が形成されている場合は、その凹部111cにも同時に溶融樹脂を注入する。注入圧や温度は、樹脂の組成や、リードフレームの貫通孔の大きさ、上金型の凹部の大きさ等にも因るが、例えば熱硬化性樹脂として、耐熱性温度が100℃以上のものであり、例えば、トリアジン誘導体エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる選択される少なくとも1種を用いて、縦1〜20mm×横1〜20mm×高さ0.1〜3mmの樹脂パッケージを成形する場合は、圧力0.1〜30MPaが好ましく、温度100〜250℃とするのが好ましい。
樹脂を注入後、金型を室温にまで降温させた後に図3(c)に示すように樹脂成形体5とリードフレーム2とが一体化となったパッケージを取り出す。尚、ここでは、説明の便宜上、発光装置1つ分のパッケージを図示しているが、実際には1つの金属板に複数個のパッケージを同時に成形することを含むことは言うまでもない。
こうして成型された樹脂パッケージに、図1Aに示すような位置に、接合部材(図示せず)を用いて発光素子1を固定し、導電性ワイヤ4で第1リードフレーム21と第2リードフレーム22に電気的に接続させて、封止部材3で封止する。その後、必要に応じて金属板や樹脂成形体を切断するなどして、所望の大きさや形状のパッケージとすることができる。例えば、図1Aに示すように、樹脂成形体5の外側面から延出するリードフレーム2を、所望の長さの延出部を有するような位置で切断してもよく、或いは、樹脂成形体5の外側面と同じ位置となるよう、すなわち延出部がないように(外側面と同一面となるように)してもよい。このようにして得られた発光装置10は、部分的に異なるめっき層が形成されたリードフレームを用いていても、封止部材にクラックが生じにくい発光装置とすることができる。
以下、各部材について詳述する。
(リードフレーム)
リードフレームは、母材である金属板と、その上に設けられるめっき層を有している。このリードフレームは、発光装置としたときに、発光素子や保護素子に給電するための電極としての機能を有している。また、発光素子からの熱を外部に放出する放熱部材(ヒートシンク)としての機能も有している。このような導電部材は、その一部が発光装置の外面に露出されており、これによって外部からの給電を行うと共に、発光素子からの熱を外部に放出することができる。本実施の形態では、発光素子が載置される側を第1リードフレーム、発光素子が載置されていない側を第2リードフレームとしているが、第2リードフレームに発光素子を載置しても構わない。以下、母材、めっき層(下地層、表面層)の説明において、図1C等に図示する第1リードフレーム21の符号等を用いて説明するが、第2リードフレームは、第1リードフレームと同様の材料を用いることができる。
(金属板)
リードフレーム2の母材として用いられる金属板211としては、Fe又はCu、更にこれらを含む金属(合金)を用いるのが好ましい。板状のリードフレームを、所望の形状に加工したものを用いることができ、更には、セラミックパッケージ等に設けられる配線パターンに、Cuやその合金をめっきしたものも含む。特に、板状のCu及びCu合金は、機械的特性、電気的特性、加工性等の面において優れているため好ましい。母材の厚みや形状等については、発光装置の形状等に応じて種々選択することができる。
(めっき層)
金属板211の表面に設けられるめっき層は、母材よりも反射率が高くする、また、導電性ワイヤとの密着性が良好とする、など、母材の表面特性を調整するために設けられる。本実施の形態では、金属板のほぼ全面を覆うように設けられ、表面層よりも硫化しにくい下地層212と、その上に積層され発光素子からの光に対して高い反射率を有する表面層212とを有する。尚、これらめっき層と金属板の間や、各めっき層の間に、下地層や表面層とは別のめっき層を有していてもよい。
(下地層)
下地層212は、主として導電性ワイヤとの密着性が良好で、且つ、表面層213よりも反射率が低いものの、硫黄成分と反応しにくい金属を用いる。具体的にはAu、Au合金、Ag合金、Pd合金等が好ましく、特に最表面としてはAuが好ましい。この下地層212に導電性ワイヤが電気的に接続される。下地層は、母材の表面(上面、下面、側面)のほぼ全面にわたって設けるのが好ましい。特に、硫黄成分と反応しにくい金属を用いるのが好ましく、これにより、母材としてFe、Cuを用いた場合、その金属板に硫黄成分が浸透するのを抑制するためのバリア層として機能させることができる。下地層の厚みは、0.001μm〜3μmが好ましく、更に0.001μm〜1μmが好ましい。このような範囲の厚さとすることで、硫黄含有ガスの侵入を防ぐバリア層としての効果を充分に確保しつつ、比較的均一な膜厚の導電部材とすることができる。
樹脂成形体の凹部内の底面において、第1リードフレーム21の上面で露出される下地層212は、導電性ワイヤ4が接続可能な面積であればよい。特に、下地層212は表面層213に比べて発光素子1からの光に対する反射率が低いため、その露出する面積は小さい程好ましく、図1Aに示すように、凹部内の底面において、表面層213よりも小さい面積とするのが好ましい。また、保護素子6を載置させる場合は、反射率を考慮する必要がないため、第1リードフレームと第2リードフレームのいずれに載置しても構わないが、図1Aに示すように、第2リードフレーム上に載置し、少しでも発光素子1から離れるように設けるのが好ましい。そして、このような保護素子6を載置する場合、その保護素子6に接続する導電性ワイヤをも接続可能なように、下地層の露出面積を確保するのが好ましい。
また、複数の発光素子1を有する発光装置10の場合、導電性ワイヤ4を、発光素子1間で接合することで、導電部材21と導電性ワイヤ4との接合個所の数を少なくすることができる。そのため、下地層212の露出面積を少なくすることができる。例えば、図1Aでは、9個の発光素子1に対して、導電性ワイヤ4と導電部材2との接合個所は、正極(第1リードフレーム)21側及び負極(第2リードフレーム)22側で、それぞれ1個所設けられている。これにより、下地層212の露出面積を、導電性ワイヤ4の一本分の接続面積を確保するだけでよい。これにより、リードフレームの大きさを小さくでき、ひいてはこれらを保持する樹脂成形体の大きさも、不要に大型化することを抑制することができる。また、隣接する発光素子1間で導電性ワイヤ4を接続することで、その長さを比較的短くすることができるため、封止部材硬化時の応力の影響を受けにくくし、断線等を生じにくくすることができる。
下地層をめっきにより形成する前に、金属板の前処理を行うのが好ましく、希硫酸、希硝酸、希塩酸等の酸処理や、水酸化ナトリウムなどのアルカリ処理が挙げられ、これらを1回又は数回、同じ処理又は異なる処理を組み合わせて行うことができる。前処理を数回行う場合は、各処理後に純粋を用いて流水洗浄するのが好ましい。CuやCuを含む合金からなる金属板の場合、希硫酸が好ましく、FeやFeを含む合金からなる金属板の場合、希塩酸が好ましい。
下地層としては、最表面をAu層とするのが好ましく、他にも、Pd、Pd合金などを用いることができる。また、これら最表面層を形成する前に、上記以外の金属のめっきや、ストライクめっきなどの中間層を形成してもよい。
(表面層)
下地層の上に設けられる表面層は、発光素子からの光に対する反射率が下地層よりも高い金属を用いるのが好ましい。特に可視光領域の波長の光に対する反射率が70%以上、特に好ましくは80%以上の反射率であることが好ましい。これにより、光取り出し効率を向上させることができる。また、高光沢であることが好ましく、光沢度は、は0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.6以上である。ここで示される光沢度は日本電色工業製 微小面色差計VSR 300Aを用い、45°照射、垂直受光で得られる数字である。
このような表面層は、図1Aに示す発光装置10のように、樹脂成形体5の側壁部で囲まれた凹部内に発光素子1が設けられる場合、そして、その樹脂成形体5が遮光性(発光素子からの光を透過しにくい)の樹脂からなるような場合は、凹部内の底面に露出している第1リードフレームのなかで、下地層の露出部21bよりも広い面積となるように表面層を設けるのが好ましい。表面層は、単層又は複数層とすることができ、最表面はAg又はAg合金が好ましい。表面層の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましく、更に1μm〜5μmが好ましい。
表面層を形成する前に、下地層と同様に前処理を行うのが好ましい。前処理後のめっき液が酸性の場合は酸性の前処理液、前処理後のめっき液がアルカリ性の場合はアルカリ性の前処理液を使用するのが好ましい。酸性の前処理液としては、希硫酸、希硝酸、希塩酸が挙げられ、アルカリ性の前処理液としては、濃度が5〜10%のシアン化カリウムが挙げられる。
(接合部材)
接合部材は、発光素子をリードフレーム上に固定するものである。好ましい材料としては、導電性接合部材としては、銀、金、パラジウムなどの導電性ペーストや、Au−Sn共晶などのはんだ、低融点金属等のろう材を用いることができる。絶縁性接合部材としては、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物やその変性樹脂、ハイブリッド樹脂等を用いることができる。これらの樹脂を用いる場合は、発光素子からの光や熱による劣化を考慮して、発光素子裏面にAlやAg膜などの反射率の高い金属層や誘電体反射膜を設けることができる。
(封止部材)
封止部材は、発光素子やリードフレームを被覆し、塵芥や水分、更には外力などから保護する部材である。封止部材の材料としては、発光素子からの光を透過可能な透光性を有し、且つ、それらによって劣化しにくい耐光性を有するものが好ましい。具体的な材料としては、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等発光素子からの光を透過可能な透光性を有する絶縁樹脂組成物を挙げることができる。更に、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等も用いることができる。
このような材料に加え、所望に応じて着色剤、光拡散剤、光反射材、各種フィラー、波長変換部材(蛍光部材)などを含有させることもできる。
封止樹部材の外表面の形状については配光特性などに応じて種々選択することができる。例えば、上面を凸状レンズ形状、凹状レンズ形状、フレネルレンズ形状などとすることで、指向特性を調整することができる。
(樹脂成形体)
樹脂成形体5は、第1及び第2リードフレームを一体的に保持する部材であり、図1A等に示すように、側壁部51及び底面部52を設けることで凹部を有する樹脂パッケージとすることができる。封止部材として、シリコーン樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂などに比してガス透過性が高いため硫黄含有ガスを透過しやすく、導電部材に硫黄成分が達しやすい。そのため、樹脂パッケージの凹部内に封止部材3を設けることで、封止部材の表面の面積を低下させることができる。これにより、硫黄含有ガスの侵入を抑制することができ、リードフレームの変質を低減することができる。このような樹脂パッケージに用いる熱硬化性樹脂としては、封止部材3に用いられる樹脂に比してガス透過性の低い樹脂が好ましく、具体的にはエポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂組成物、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物、などをあげることができる。これらの材料に、充填材(フィラー)としてTiO、SiO、Al、MgO、MgCO、CaCO、Mg(OH)、Ca(OH)などの微粒子などを混入させることで光の透過率を調整し、発光素子からの光の約60%以上を反射するよう、より好ましくは約90%を反射するようにするのが好ましい。
(発光素子)
発光素子は、任意の波長の半導体発光素子を選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものを用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
蛍光物質を有する発光装置とする場合には、その蛍光物質を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
また、可視光領域の光だけでなく、紫外線や赤外線を出力する発光素子とすることができる。さらには、発光素子とともに、受光素子などを搭載することができる。
<実施の形態2>
図4Aは実施の形態2に係る発光装置20の上面図、図4Bは図4AのZ−Z線における断面図、図4Cはその部分拡大図である。実施の形態2では、リードフレームのめっき層の表面層内に、高さが異なる領域が設けられている。詳細には、発光素子1が載置される第1領域213Aと、露出された下地層212と略同じ高さの第2領域213Bとを有している。そして、この第1領域213Aと第2領域213Bとの間に傾斜面Sを有している。
表面層よりも反射率が低い金属が用いられる下地層は、樹脂成形体の凹部内の底面では、その露出面積が小さい程、発光素子からの光を吸収しやすい面積が小さいことになる。そのため、極力小さいくするのが好ましいが、その小さい面積に合わせて金型の凸部を図2Aのように、複雑な形状の加工を施すには高い精度が求められる。そのため、実施の形態2では、その露出された下地層の周囲の表面層をも同時に押圧するような凸部形状の上金型とすることで、比較的容易に金型の加工ができる。具体的には、凹部の底面が円形の場合、円周から円周までを1つの直線状の傾斜面とすることで、図2Bのような複雑な形状の加工をするのに比して、比較的容易に加工ができる。
実施の形態2では、傾斜面が形成される位置が、露出された下地層212から離間した位置に設けられることになる。ただし、露出された下地層212と接する表面層(端部)にも設けられてもよい。いずれの場合も、高さの異なるめっき層に鋭角となる角部が形成されないということになり、封止部材にクラックを生じさせにくくすることができる。
このような位置に傾斜面を形成するには、図5に示すような凸部を有する金型を用いることができる。図5は、上金型の中央の凸部の下面図であり、第1凸部511aと、それよりも高さの高い第2凸部511bとを有している。ここでは、リードフレームのめっき層の下地層とその周辺の表面層を含む領域と対向する位置に、第2凸部511bが設けられている。
この第2凸部511bが、下地層の表面と接するようにリードフレームを押圧するため、下地層よりも高い位置にある表面層は、変形されて露出された下地層と略同じ高さにまで押し潰される。また、樹脂成形体の底面部52が形成される貫通孔も、第2凸部511bと対向する位置に設けるため、成型後の底面部52の上面は、図4Cに示すように、第2領域と同じ高さで形成される。
また、表面層213を変形させながら金型を押圧する際、図4Cに示すように、母材211、下地層212もその全体が薄くなるように変形される。そして、図4Aに示すように、樹脂成形体の底面部52が形成される位置、すなわち、第2リードフレーム22との間に形成されている貫通孔に、押圧された表面層が延伸された延伸部213Cが形成される。これにより、貫通孔の幅が、下地層が形成された部分の幅よりも、狭い幅となる領域が形成される。
母材である金属板は、貫通孔の幅は、その金属板の厚み程度の幅で加工するのが好ましく、例えば、厚さ0.5mmの金属板の場合、貫通孔の幅は少なくとも0.5mm程度必要である。実施の形態2では、高さの低い下地層に合わせて表面層を変形させて貫通孔内に延伸するように設けることで、貫通孔の幅をその延伸部の面積の分だけ小さくすると共に、反射率の高い表面層の面積を大きくすることができる。
尚、貫通孔を形成した後に、リードフレームの上面側に設けられる表面層213は、めっきの条件やマスクの形成方法等によっては、図4Cに示すように、貫通孔の側面にまで延在するように設けられている。そのため、図4Aに示す延伸部213Cは、金型によって押し潰される前の段階でも設けられている場合がある。その場合は、リードフレームの上面に設けられる表面層213の厚みよりも薄い厚みで、貫通孔側面に設けられている。金型を押厚することで、このような、元々貫通孔内に形成されていた表面層213Cを、更に延伸させることができる。
本発明に係る発光装置は、各種表示装置、照明器具、ディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト光源、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置、プロジェクタ装置、などにも利用することができる。
10…発光装置
1…発光素子
2…リードフレーム
21…第1リードフレーム
211…母材(金属板)
212…めっき層(下地層)
213…めっき層(表面層)
213A…第1領域
213B…第2領域
213C…延伸部
22…第2リードフレーム
221…母材(金属板)
222…めっき層(下地層)
2A…貫通孔
3…封止部材
4…導電性ワイヤ
5…樹脂成形体
51…側壁部
52…底面部
6…保護素子
111…上金型
111a、511a…第1凸部
111b、511b…第2凸部
111c…凹部
111d…樹脂注入口
112…下金型
S…傾斜面
前記課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、発光素子と、表面にめっき層を有し、発光素子が載置されるリードフレームと、リードフレームを保持する樹脂成形体と、を有する発光装置であって、めっき層は、上面の高さが異なる領域を少なくとも2以上有しており、高さが異なる領域の間に傾斜面を有することを特徴とする。

Claims (8)

  1. 発光素子と、
    表面にめっき層を有し、前記発光素子が載置されるリードフレームと、
    該リードフレームを保持する樹脂成形体と、
    を有する発光装置であって、
    前記リードフレーム層は、上面の高さが異なる領域を少なくとも2以上有しており、該高さが異なる領域の間に傾斜面を有することを特徴とする発光装置。
  2. 前記めっき層は、下地層と、その下地層の上面の一部が露出するよう積層される表面層とを有し、該表面層は、前記露出された下地層と接する端部に傾斜面を有する請求項1記載の発光装置。
  3. 前記樹脂成形体は、底面部と側壁部とを有する凹部を有し、前記傾斜面は前記底面部に接する端部に傾斜面を有する請求項1記載の発光装置。
  4. 前記樹脂成形体は、底面部と側壁部とを有する凹部を有し、前記傾斜面は前記底面部に設けられる請求項1記載の発光装置。
  5. 前記表面層は、前記発光素子が載置される第1領域と、前記露出された下地層と略同じ高さにある第2領域と、を有しており、前記第1領域と前記第2領域との間に傾斜面を有する請求項1記載の発光装置。
  6. 前記下地層は、最表面がAuであり、前記表面層は、最表面がAgである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。
  7. 貫通孔を有する金属板の表面に、下地層及びその下地層の一部が露出するように積層されるAg層を有するめっき層が形成されたリードフレームを準備する第1工程と、
    前記Ag層と対向する第1凸部と、前記下地層と対向し前記第1凸部よりも高さが高い第2凸部とを有する凸部を有する第1金型と、第2金型とで前記リードフレームを挟持する第2工程と、
    前記貫通孔内に熱硬化性樹脂を注入し、硬化させる第3工程と、
    を有することを特徴とする発光装置用のパッケージの製造方法。
  8. 前記第2凸部は、前記下地層の一部とも対向する請求項7記載の発光装置用のパッケージの製造方法。
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