JP2012158582A - α−カルボニルホスホランの製造方法 - Google Patents

α−カルボニルホスホランの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な操作により高収率かつ高純度で、工業的に有利である、α−カルボニルホスホランの新規な製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(II)で表されるα−カルボニルホスホニウム塩の水溶液に、塩基を作用させることにより下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランを合成する反応において、あらかじめ非水溶性の有機溶媒を加えて反応を行うことにより、α−カルボニルホスホランの結晶を容易に析出させる。
Figure 2012158582

(式中、Arは、置換していてもよいアリール基を示し、Rは、水素原子、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Rは、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Xは、カウンターアニオンを示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、α−カルボニルホスホランの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ウィッティヒ反応によりビニルカルボニル基を導入する原料などに用いられるα−カルボニルホスホランの製造方法に関する。
下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランは、ウィッティヒ反応によりビニルカルボニル基を導入する原料などに用いられる化合物である。例えば、この化合物は、気管支喘息治療剤(特許文献1〜4)、抗潰瘍剤(特許文献5)、骨粗鬆症治療剤(特許文献6)、高カルシウム血症治療剤(特許文献6)、日焼け止め剤(特許文献7)、癌治療剤(特許文献8)、抗腫瘍剤(非特許文献1)、抗真菌剤(非特許文献2)および抗バクテリア剤(非特許文献2)などの医薬原体や、カロテノイド類(特許文献9〜14、非特許文献3〜5)など、多岐にわたる化合物の合成に利用されている(特許文献1〜14、非特許文献1〜5)。
一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランは、下記反応式(A)で示したとおり、一般式(II)で表されるα−カルボニルホスホニウム塩溶液に、塩基を作用させることで容易に合成することができる(特許文献1〜20、非特許文献1〜28)。
Figure 2012158582
(式中、Arは、置換していてもよいアリール基を示し、Rは、水素原子、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Rは、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Xは、カウンターアニオンを示す。)
このホスホラン(I)の多くは固体であり、これら固体のホスホランは、水中もしくは水と水溶性有機溶媒との混合溶液中で合成することにより、結晶として析出させることができる(特許文献5、6、9、12〜15、20、非特許文献3、5〜7、10〜12、15、19、23)。
しかし、この方法では、高純度で工業的に取り扱いが容易なホスホランの結晶は析出し難く、塩基を加えるとはじめにオイルが沈降し、このオイルの表面から徐々に結晶が析出するため、反応容器の表面などに付着したり、粘土状の大きな塊を生成したりすることが多い。また、このように析出した結晶は未反応の反応液を取り込み易く、原料が残ったり、結晶内で副反応が進行したりするため純度が低下する。そのため、得られた結晶を再結晶して精製する必要がある。
このような結晶を作らないために、非特許文献7では沈降した黄色のオイルをガラス棒で擦ることによりあらかじめ結晶を析出させた後に、水酸化ナトリウム水溶液を長時間かけて滴下して加える操作を行っている。しかし、ガラス棒で擦る操作は再現性が悪く工業的に応用が難しいこと、また析出した結晶が核となって大きな塊を形成する場合が多いことから、水から結晶を析出させる方法では、純度が高く工業的に取り扱い易い形状のホスホランの結晶を再現性よく析出させることは困難である。
上記問題を解決する方法として、反応液中にホスホランの結晶を析出させず、ベンゼンや塩化メチレンなどの有機溶媒で抽出して得られた溶液を濃縮し、残渣としてホスホランを得る方法が報告されている(特許文献1〜4、7、8、10、11、16〜19、非特許文献1、2、4、5、9、13、14、16、17、21、22、26〜28)。
しかし、この方法では、有機溶媒に溶解する不純物を除去する工程がないため、あらたに再結晶などにより精製を行う必要があること、溶媒留去時に結晶が容器に付着して固まるため、濃縮した容器中で再結晶溶媒に溶解させなければならないことなど、工業化するためには操作上解決しなければならない問題が多い。
特開昭63‐277660号公報 特開平1‐311063号公報 特開平2‐6462号公報 米国特許第4894386号明細書 特開2001−354627号公報 特開2001−354628号公報 米国特許出願公開第2007/59258号明細書 国際公開WO2008/138561号パンフレット 英国特許第850137号明細書 国際公開WO2003/72734号パンフレット 米国特許出願公開2004/116729号明細書 国際公開WO2006/39685号パンフレット 国際公開WO2006/119125号パンフレット 米国特許出願公開第2008/221377号明細書 ドイツ国特許出願公開第1953468号明細書 チェコスロバキア国特許第153898号明細書 米国特許第4011339号明細書 米国特許第4024182号明細書 欧州特許出願公開第373057号明細書 特開2008−266160号公報
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本発明は、簡便な操作により高収率かつ高純度で、工業的に有利である、α−カルボニルホスホランの新規な製造方法を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、α−カルボニルホスホランを簡便な操作により高収率かつ高純度で、工業的に有利である新規な製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に記載した事項により特定される。
本発明は、下記一般式(II)で表されるα−カルボニルホスホニウム塩の水溶液に、塩基を作用させることにより下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランを合成する反応において、あらかじめ非水溶性の有機溶媒を加えて反応を行うことにより、下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランの結晶を容易に析出させることを特徴とする、下記一般式(I)で表されるα−カルボニルスルホランの製造方法である。
Figure 2012158582
(式中、Arは、置換していてもよいアリール基を示し、Rは、水素原子、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Rは、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Xは、カウンターアニオンを示す。)
さらに、上記非水溶性の有機溶媒が、脂肪族炭化水素系溶媒であることを特徴とする、一般式(I)で表されるα−カルボニルスルホランの製造方法である。
本発明は、医薬原体などの原料などに用いられるα−カルボニルホスホランを、簡便な操作により高選択率かつ高収率で、工業的に有利である新規な製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係るα−カルボニルホスホランの製造方法について、具体的に説明する。
一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランの合成経路は、下記反応式(B)に示すとおりである。
Figure 2012158582
(式中、Arは、置換していてもよいアリール基を示し、Rは、水素原子、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Rは、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Xは、カウンターアニオンを示す。)
すなわち、上記一般式(II)で表されるα−カルボニルホスホニウム塩を水に溶解させ、非水溶性の有機溶媒を加えた後、塩基を加えることにより、上記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランが生成し、さらに水層と有機溶媒層との界面により結晶化が促されて、上記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランの結晶が析出する。界面により促されて析出した結晶は溶液中に浮遊するか、あるいは容器の底に沈殿するため容器には付着せず、従って容器から容易に取り出すことが可能である。また界面により促されて析出した結晶は小さいために溶液を包み込むことが少なく、高い純度の結晶を得ることができる。
上記Arで示される置換していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、4−トリル基などが挙げられる。
上記RおよびRで示される置換していてもよいアルキル基またはアリール基としては、次のものが挙げられる。
すなわち、置換していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、イソプロピル基、メトキシメチル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基などが挙げられる。
また、置換していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基などが挙げられる。
さらにRとRとが結合して環を形成してもよい。
上記Xで示されるカウンターアニオンとしては、ハロゲン化物イオンなどが挙げられ、例えば、臭化物イオンやヨウ化物イオンが挙げられる。
上記非水溶性の有機溶媒としては、α−カルボニルホスホランが溶解しにくい非水溶性溶媒であることが必要であり、好ましくは炭化水素系溶媒が挙げられ、より好ましくは、脂肪族炭化水素系溶媒、例えばヘキサン、ヘプタンなどが挙げられ、これらを単独かあるいは混合して用いてもよい。特に好ましくは、沸点などから取り扱い易いヘキサンが挙げられる。
上記非水溶性有機溶媒の使用量は特に限定されないが、結晶化の促進と容積効率の均衡がとれた量が好ましく、反応性と塩基の種類によっても異なるが、具体的には約16%(W/W)のα−カルボニルホスホニウム塩水溶液に対して10%から100%(W/W)程度使用することが好ましい。
上記塩基としては、例えば水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの無機塩基、あるいは、例えばトリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられ、またはこれらの混合物であってもよい。
上記塩基の使用量としては、反応性と塩基の種類によっても異なるが、例えば水酸化ナトリウムを用いた場合、α−カルボニルホスホニウム塩に対して0.9モルから1.2モル使用するのが好ましく、また炭酸ナトリウムを用いた場合、α−カルボニルホスホニウム塩に対して1.8モルから3.0モル使用するのが好ましい。
上記塩基は、そのままで加えてもよいが、好ましくは水溶液として滴下しながら加える方法がよい。
上記塩基を加える温度は、塩基を加えて速やかにα−カルボニルホスホランが生成する温度で、且つ生成したα−カルボニルホスホランが分解せず、また容易に晶析する温度でなければならず、反応性と塩基の種類によっても異なるが、通常0℃から80℃、好ましくは10℃から40℃である。
上記塩基を加える速度は、副反応を抑えるために未反応の塩基が少ない状態を維持することが望ましいために長い時間をかけることが好ましい。具体的には反応性と塩基の種類によっても異なるが、通常0.5時間から8時間、より好ましくは1時間から4時間である。
[実施例]
以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、生成物の純度(%)は液体クロマトグラフィー分析による面積百分率値である。
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した1Lの四頚フラスコに、(1−エトキシカルボニルプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液[トリフェニルホスファン33.6g(128mmol)と水300ml、2−ブロモ酪酸エチル25.0g(128mmol)から調製]とヘキサン50mlを入れ、ここに10%水酸化ナトリウム水溶液52.0g(130mmol)を20〜30℃の温度条件で2時間かけてゆっくりと滴下しながら加え、続いて20〜30℃で1時間撹拌し、更に0〜10℃で1時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、結晶をヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの淡黄色結晶39.4g(収率82.0%、純度98.1%)を得た。
融点:128〜129℃
1H NMR (CDCl3): δ 7.4〜7.7 (15H, m)、3.70 & 4.06 (2H, q, J =
7.14 Hz)、1.97 & 2.05 (2H, q, J = 7.14 Hz)、0.87 (3H, t, J = 7.14 Hz)、0.43 & 1.23
(3H, t, J = 7.14 Hz)
13C NMR (CDCl3): δ 170.0、133.5、131.8、131.4、128.4、57.0 & 57.7、41.3 & 39.8、20.6、17.8 & 18.5、13.9 & 15.2
31P (CDCl3): δ 23.3
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの合成
実施例1と同様の方法で、ヘキサンの代わりにヘプタンを用いて反応を行うことで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの淡黄色結晶40.7g(収率84.5%、純度99.0%)を得た。
2−(トリフェニルホスホラニリデン)プロパン酸エチルの合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した1Lの四頚フラスコに、(1−エトキシカルボニルエチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液[トリフェニルホスファン36.2g(138mmol)と水400ml、2−ブロモプロパン酸エチル25.0g(138mmol)から調製]とヘキサン50mlを入れ、ここに10%水酸化ナトリウム水溶液55.2g(138mmol)を30〜40℃の温度条件で2時間かけてゆっくりと滴下しながら加え、続いて30〜40℃で1時間撹拌し、更に0〜10℃で1時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、結晶をヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)プロパン酸エチルの淡黄色結晶44.7g(収率89.3%、純度98.0%)を得た。
融点:156〜157℃
1H NMR (CDCl3): δ 7.4〜7.7 (15H, m)、3.72 & 4.05 (2H, q, J = 6.8
Hz)、1.60 & 1.64 (3H, s)、0.46
& 1.25 (3H, t, J = 6.8 Hz)
13C NMR (CDCl3): δ 168.0、133.5、132.0、131.5、128.3、57.3、14.1、12.8
31P (CDCl3): δ 23.1
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酢酸エチルの合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した1Lの四頚フラスコに、(1−エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液[トリフェニルホスファン39.3g(150mmol)と水300ml、2−ブロモ酢酸エチル25.0g(150mmol)から調製]とヘキサン50mlを入れ、ここに10%水酸化ナトリウム水溶液60.0g(150mmol)を10〜20℃の温度条件で2時間かけてゆっくりと滴下しながら加え、続いて10〜20℃で1時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、結晶をヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で減圧乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酢酸エチルの白色結晶49.0g(収率94.0%、純度95.4%)を得た。
融点:119〜120℃
1H NMR (CDCl3): δ 7.4〜7.7 (15H, m)、3.97 (2H, br. q)、2.87 (1H, br. s), 0.88 (3H, br. t)
13C NMR (CDCl3): δ 133.0 &
132.9、132.1 & 132.0、131.8、128.7 & 128.6、128.4、127.6、57.8、14.8
31P (CDCl3): δ 18.2
〔比較例1〕
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの合成
実施例1と同様の方法で、ヘキサンを加えず、また10%水酸化ナトリウム水溶液を4時間かけてゆっくりと滴下しながら加えて反応を行ったところ、水酸化ナトリウム水溶液の滴下途中でホスホランは白濁するものの結晶化せず、淡黄色の液体として壁面に付着、あるいは沈殿した。この淡黄色液体をトルエン200mlで抽出し、濃縮することで橙色の液体を得た。この橙色の液体にヘキサン100mlを加えて激しく撹拌することで結晶が析出し、ろ別後ヘキサン50mlで洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの黄色結晶41.2g(収率85.4%)を得たものの、純度は87.8%と低いものであった。
〔比較例2〕
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの合成
実施例1と同様の方法で、ヘキサンの代わりに種結晶として少量の2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルを入れ、また10%水酸化ナトリウム水溶液を4時間かけてゆっくりと滴下しながら加えて反応を行ったところ、結晶はフラスコ壁面や撹拌装置にこびり付く形で析出した。析出した結晶をフラスコから掻き出し、ヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの淡黄色結晶37.9g(収率78.5%)を得たものの、純度は91.1%と低いものであった。
〔比較例3〕
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した1Lの四頚フラスコに10%水酸化ナトリウム水溶液52.0g(130mmol)を入れ、ここに(1−エトキシカルボニルプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液[トリフェニルホスファン33.6g(128mmol)と水300ml、2−ブロモ酪酸エチル25.0g(128mmol)から調製]を20〜30℃の温度条件で4時間かけてゆっくりと滴下しながら加え、続いて20〜30℃で1時間撹拌し、更に0〜10℃で1時間撹拌した。結晶はフラスコ壁面や撹拌装置にこびり付く形で析出した。析出した結晶をフラスコから掻き出し、ヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの淡黄色結晶39.2g(収率81.2%)を得たものの、純度は88.4%と低いものであった。
〔参考例1〕
(1−エトキシカルボニルプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液の合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した500mlの四頚フラスコに、トリフェニルホスファン33.6g(128mmol)と水300mlを入れ、ここに2−ブロモ酪酸エチル25.0g(128mmol)を95〜100℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて95〜100℃で12時間撹拌した。得られた水溶液をトルエン50mlで2回洗浄することで、(1−エトキシカルボニルプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイドの水溶液を得た。
〔参考例2〕
(1−エトキシカルボニルエチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液の合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した500mlの四頚フラスコに、トリフェニルホスファン36.2g(138mmol)と水400mlを入れ、ここに2−ブロモプロパン酸エチル25.0g(138mmol)を75〜80℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて80℃で4時間撹拌した。得られた水溶液をトルエン50mlで2回洗浄することで、(1−エトキシカルボニルエチル)トリフェニルホスホニウムブロマイドの水溶液を得た。
〔参考例3〕
(1−エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液の合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した500mlの四頚フラスコに、トリフェニルホスファン39.3g(150mmol)と水300mlを入れ、ここに2−ブロモ酢酸エチル25.0g(150mmol)を20〜25℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて90〜100℃で1時間撹拌した。得られた水溶液をトルエン50mlで2回洗浄することで、(1−エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイドの水溶液を得た。

Claims (2)

  1. 下記一般式(II)で表されるα−カルボニルホスホニウム塩の水溶液に、塩基を作用させることにより下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランを合成する反応において、あらかじめ非水溶性の有機溶媒を加えて反応を行うことにより、下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランの結晶を容易に析出させることを特徴とする、下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランの製造方法。
    Figure 2012158582
    (式中、Arは、置換していてもよいアリール基を示し、Rは、水素原子、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Rは、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、Xは、カウンターアニオンを示す。)
  2. 非水溶性の有機溶媒が脂肪族炭化水素系溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載のα−カルボニルホスホランの製造方法。
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