JP2012158582A - α−カルボニルホスホランの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(II)で表されるα−カルボニルホスホニウム塩の水溶液に、塩基を作用させることにより下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランを合成する反応において、あらかじめ非水溶性の有機溶媒を加えて反応を行うことにより、α−カルボニルホスホランの結晶を容易に析出させる。
(式中、Arは、置換していてもよいアリール基を示し、R1は、水素原子、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、R2は、置換していてもよいアルキル基または置換していてもよいアリール基を示し、X−は、カウンターアニオンを示す。)
【選択図】なし
Description
しかし、この方法では、高純度で工業的に取り扱いが容易なホスホランの結晶は析出し難く、塩基を加えるとはじめにオイルが沈降し、このオイルの表面から徐々に結晶が析出するため、反応容器の表面などに付着したり、粘土状の大きな塊を生成したりすることが多い。また、このように析出した結晶は未反応の反応液を取り込み易く、原料が残ったり、結晶内で副反応が進行したりするため純度が低下する。そのため、得られた結晶を再結晶して精製する必要がある。
しかし、この方法では、有機溶媒に溶解する不純物を除去する工程がないため、あらたに再結晶などにより精製を行う必要があること、溶媒留去時に結晶が容器に付着して固まるため、濃縮した容器中で再結晶溶媒に溶解させなければならないことなど、工業化するためには操作上解決しなければならない問題が多い。
本発明は、下記一般式(II)で表されるα−カルボニルホスホニウム塩の水溶液に、塩基を作用させることにより下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランを合成する反応において、あらかじめ非水溶性の有機溶媒を加えて反応を行うことにより、下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランの結晶を容易に析出させることを特徴とする、下記一般式(I)で表されるα−カルボニルスルホランの製造方法である。
すなわち、置換していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、イソプロピル基、メトキシメチル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基などが挙げられる。
また、置換していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基などが挙げられる。
さらにR1とR2とが結合して環を形成してもよい。
上記塩基は、そのままで加えてもよいが、好ましくは水溶液として滴下しながら加える方法がよい。
上記塩基を加える温度は、塩基を加えて速やかにα−カルボニルホスホランが生成する温度で、且つ生成したα−カルボニルホスホランが分解せず、また容易に晶析する温度でなければならず、反応性と塩基の種類によっても異なるが、通常0℃から80℃、好ましくは10℃から40℃である。
上記塩基を加える速度は、副反応を抑えるために未反応の塩基が少ない状態を維持することが望ましいために長い時間をかけることが好ましい。具体的には反応性と塩基の種類によっても異なるが、通常0.5時間から8時間、より好ましくは1時間から4時間である。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、生成物の純度(%)は液体クロマトグラフィー分析による面積百分率値である。
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した1Lの四頚フラスコに、(1−エトキシカルボニルプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液[トリフェニルホスファン33.6g(128mmol)と水300ml、2−ブロモ酪酸エチル25.0g(128mmol)から調製]とヘキサン50mlを入れ、ここに10%水酸化ナトリウム水溶液52.0g(130mmol)を20〜30℃の温度条件で2時間かけてゆっくりと滴下しながら加え、続いて20〜30℃で1時間撹拌し、更に0〜10℃で1時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、結晶をヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの淡黄色結晶39.4g(収率82.0%、純度98.1%)を得た。
1H NMR (CDCl3): δ 7.4〜7.7 (15H, m)、3.70 & 4.06 (2H, q, J =
7.14 Hz)、1.97 & 2.05 (2H, q, J = 7.14 Hz)、0.87 (3H, t, J = 7.14 Hz)、0.43 & 1.23
(3H, t, J = 7.14 Hz)
13C NMR (CDCl3): δ 170.0、133.5、131.8、131.4、128.4、57.0 & 57.7、41.3 & 39.8、20.6、17.8 & 18.5、13.9 & 15.2
31P (CDCl3): δ 23.3
実施例1と同様の方法で、ヘキサンの代わりにヘプタンを用いて反応を行うことで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの淡黄色結晶40.7g(収率84.5%、純度99.0%)を得た。
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した1Lの四頚フラスコに、(1−エトキシカルボニルエチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液[トリフェニルホスファン36.2g(138mmol)と水400ml、2−ブロモプロパン酸エチル25.0g(138mmol)から調製]とヘキサン50mlを入れ、ここに10%水酸化ナトリウム水溶液55.2g(138mmol)を30〜40℃の温度条件で2時間かけてゆっくりと滴下しながら加え、続いて30〜40℃で1時間撹拌し、更に0〜10℃で1時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、結晶をヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)プロパン酸エチルの淡黄色結晶44.7g(収率89.3%、純度98.0%)を得た。
1H NMR (CDCl3): δ 7.4〜7.7 (15H, m)、3.72 & 4.05 (2H, q, J = 6.8
Hz)、1.60 & 1.64 (3H, s)、0.46
& 1.25 (3H, t, J = 6.8 Hz)
13C NMR (CDCl3): δ 168.0、133.5、132.0、131.5、128.3、57.3、14.1、12.8
31P (CDCl3): δ 23.1
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した1Lの四頚フラスコに、(1−エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液[トリフェニルホスファン39.3g(150mmol)と水300ml、2−ブロモ酢酸エチル25.0g(150mmol)から調製]とヘキサン50mlを入れ、ここに10%水酸化ナトリウム水溶液60.0g(150mmol)を10〜20℃の温度条件で2時間かけてゆっくりと滴下しながら加え、続いて10〜20℃で1時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、結晶をヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で減圧乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酢酸エチルの白色結晶49.0g(収率94.0%、純度95.4%)を得た。
1H NMR (CDCl3): δ 7.4〜7.7 (15H, m)、3.97 (2H, br. q)、2.87 (1H, br. s), 0.88 (3H, br. t)
13C NMR (CDCl3): δ 133.0 &
132.9、132.1 & 132.0、131.8、128.7 & 128.6、128.4、127.6、57.8、14.8
31P (CDCl3): δ 18.2
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの合成
実施例1と同様の方法で、ヘキサンを加えず、また10%水酸化ナトリウム水溶液を4時間かけてゆっくりと滴下しながら加えて反応を行ったところ、水酸化ナトリウム水溶液の滴下途中でホスホランは白濁するものの結晶化せず、淡黄色の液体として壁面に付着、あるいは沈殿した。この淡黄色液体をトルエン200mlで抽出し、濃縮することで橙色の液体を得た。この橙色の液体にヘキサン100mlを加えて激しく撹拌することで結晶が析出し、ろ別後ヘキサン50mlで洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの黄色結晶41.2g(収率85.4%)を得たものの、純度は87.8%と低いものであった。
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの合成
実施例1と同様の方法で、ヘキサンの代わりに種結晶として少量の2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルを入れ、また10%水酸化ナトリウム水溶液を4時間かけてゆっくりと滴下しながら加えて反応を行ったところ、結晶はフラスコ壁面や撹拌装置にこびり付く形で析出した。析出した結晶をフラスコから掻き出し、ヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの淡黄色結晶37.9g(収率78.5%)を得たものの、純度は91.1%と低いものであった。
2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した1Lの四頚フラスコに10%水酸化ナトリウム水溶液52.0g(130mmol)を入れ、ここに(1−エトキシカルボニルプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液[トリフェニルホスファン33.6g(128mmol)と水300ml、2−ブロモ酪酸エチル25.0g(128mmol)から調製]を20〜30℃の温度条件で4時間かけてゆっくりと滴下しながら加え、続いて20〜30℃で1時間撹拌し、更に0〜10℃で1時間撹拌した。結晶はフラスコ壁面や撹拌装置にこびり付く形で析出した。析出した結晶をフラスコから掻き出し、ヘキサン50mlで1回、水50mlで2回洗浄した。得られた結晶を60℃以下の温度で乾燥することで、2−(トリフェニルホスホラニリデン)酪酸エチルの淡黄色結晶39.2g(収率81.2%)を得たものの、純度は88.4%と低いものであった。
(1−エトキシカルボニルプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液の合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した500mlの四頚フラスコに、トリフェニルホスファン33.6g(128mmol)と水300mlを入れ、ここに2−ブロモ酪酸エチル25.0g(128mmol)を95〜100℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて95〜100℃で12時間撹拌した。得られた水溶液をトルエン50mlで2回洗浄することで、(1−エトキシカルボニルプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイドの水溶液を得た。
(1−エトキシカルボニルエチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液の合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した500mlの四頚フラスコに、トリフェニルホスファン36.2g(138mmol)と水400mlを入れ、ここに2−ブロモプロパン酸エチル25.0g(138mmol)を75〜80℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて80℃で4時間撹拌した。得られた水溶液をトルエン50mlで2回洗浄することで、(1−エトキシカルボニルエチル)トリフェニルホスホニウムブロマイドの水溶液を得た。
(1−エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド水溶液の合成
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した500mlの四頚フラスコに、トリフェニルホスファン39.3g(150mmol)と水300mlを入れ、ここに2−ブロモ酢酸エチル25.0g(150mmol)を20〜25℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて90〜100℃で1時間撹拌した。得られた水溶液をトルエン50mlで2回洗浄することで、(1−エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイドの水溶液を得た。
Claims (2)
- 下記一般式(II)で表されるα−カルボニルホスホニウム塩の水溶液に、塩基を作用させることにより下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランを合成する反応において、あらかじめ非水溶性の有機溶媒を加えて反応を行うことにより、下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランの結晶を容易に析出させることを特徴とする、下記一般式(I)で表されるα−カルボニルホスホランの製造方法。
- 非水溶性の有機溶媒が脂肪族炭化水素系溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載のα−カルボニルホスホランの製造方法。
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