JP2012157794A - グリセリン脱水用触媒、その製造方法並びに該触媒を用いたアクロレインの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切な酸強度を持つ高分散硫酸触媒、およびその製造方法並びにこの触媒を用いたグリセリンから高選択性、高収率でアクロレインを製造する方法を提供する。
【解決手段】硫酸化メソポーラスシリカジルコニアを固体触媒として用いることで、グリセリンからアクロレインを生成する脱水反応において、高選択性、高収率でアクロレインを製造することができる。
【選択図】図3
【解決手段】硫酸化メソポーラスシリカジルコニアを固体触媒として用いることで、グリセリンからアクロレインを生成する脱水反応において、高選択性、高収率でアクロレインを製造することができる。
【選択図】図3
Description
本発明はグリセリン脱水用触媒およびこの触媒の製造方法、並びに、この触媒を用いたアクロレインの製造方法、特に耐水性を有し、酸強度が適切な固体酸触媒を用いて効率よくグリセリンを脱水してアクロレインを製造する触媒、その製造方法並びにその触媒を使用するアクロレインの製造方法に関する。
バイオディーゼルの副産物であるグリセリンは利用用途が限定的であり、有効利用方法の確立が切望されている。一方、同じC3化合物であるアクロレインは、吸水性ポリマーや医薬品などに利用可能であり、有用な化合物である。従って、グリセリンをアクロレインに変換することができれば意義深い。
形式的には、グリセリン(C3H8O3)から2分子の水を脱離させればアクロレイン(C3H4O)を合成することができる。例えば、非特許文献1によれば、超臨界水中においてグリセリンの脱水反応が進行してアクロレインが生成する。しかし、300気圧以上の高圧を必要とし、またアクロレインの選択率は40%に満たない。従って、本反応には触媒が必須である。
グリセリンの脱水用触媒として、固体酸触媒を用いることは知られている。非特許文献2では、ゼオライト(ZSM−5)が触媒として有効であり、アクロレインを収率62%で合成できることが報告されている。また、特許文献1では、同様にMFI型ゼオライトが触媒として有効であり、アクロレインを収率64%で合成できることが示されている。さらに、特許文献2では、リン酸ホウ素シリカ触媒を用いると、アクロレインを収率71%で7時間定常的に合成できることが示されている。シリカ担持リン酸マンガン(特許文献3)、VOHPO4・0.5H2O(非特許文献3)も活性であるが、アクロレイン収率は70%以下である。つまり、これらの触媒系ではアクロレイン収率は約70%以下であり、充分ではない。
特許文献4によれば、MFI型ゼオライトに白金や金を0.1wt%担持することにより、アクロレイン収率は80%に改善する。しかし、反応開始7時間後にはアクロレイン収率が65%に低下することに加え、極めて資源に乏しい白金や金を必要とする難点がある。さらに特許文献5では、シリカ担持ケイタングステン酸触媒を用いるとアクロレインの収率が87%に達することが示されているが、触媒の耐久性については言及されていない。非特許文献4によれば、シリカ(SBA15)に担持したケイタングステン酸を用いると、反応開始24時間後にはアクロレイン収率が24%まで低下し、触媒失活する。
最近、Nd4(P2O7)3触媒(非特許文献5)ならびFePO4触媒(非特許文献6)が報告され、どちらの触媒もアクロレインを収率80%以上で与え、かつ少なくとも7時間以上安定した触媒活性を示すことが記載されている。しかし、どちらの触媒もアクロレイン生成活性が低く、触媒のターンオーバー頻度(TOF)はネオジム原子当たり0.5h−1(触媒かさ比重を2gL−1と推定)、鉄原子当たり0.3h−1に過ぎないため、反応に大量の触媒を用いる必要があり生産性が充分ではない。特に、前者の触媒には希少元素であるネオジムを多量に必要とするため、実用化は困難であることが述べられている。
したがって、グリセリンからのアクロレインの合成反応について、高選択性、高収率でアクロレインを製造することができる触媒およびアクロレインの製造方法が望まれている。
J. Supercrit. Fluids, 22, 37 (2002)
J. Catal., 257, 163 (2008)
J. Catal., 268, 260 (2009)
Green Chem., 12, 1922 (2010)
Catal. Lett., 127, 419 (2009)
Catal. Today, 157, 351 (2010)
本発明は、上記既存技術の問題に鑑み、高選択的、高収率でアクロレインを製造することができるグリセリン脱水用触媒、およびその製造方法、並びにその触媒を使用したアクロレインの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、グリセリンからのアクロレインの合成反応について検討した結果、触媒の耐水能力(疎水性)はこの脱水反応に対して重要であることを見出した。
耐水性の高い金属酸化物としてジルコニアが挙げられ、これを硫酸化したもの(硫酸化ジルコニア)は酸触媒として機能することが知られている。しかし、この触媒は本反応には不必要な超強酸点を持つため、副反応が進行して、アクロレイン選択率が低下するだけでなく、反応原料や生成物である有機物が炭素質物質となって触媒上に析出し活性点を覆ってしまうコーキングにより触媒失活が促進されることが分かった。そして、メソポーラスシリカジルコニアにはジルコニアの耐水性があり、しかも、ジルコニウム原子はメソポーラスシリカの構造骨格に入り、硫酸化の際、シンタリングせず、高分散の硫酸ジルコニア種が適切な酸強度を示す固体酸触媒になることが判明した。この硫酸化メソポーラスシリカジルコニアを用いると、グリセリンは選択的にアクロレインに脱水することを見出した。
すなわち、本発明のグリセリン脱水用触媒はメソポーラス構造を有する硫酸化されたメソポーラスシリカジルコニアである。前記メソポーラス構造は骨格構成元素としてSiとZrを有する。前記骨格構成元素モル比Si/Zrは1〜9であり、好ましくは3〜6である。前記触媒の細孔径は2〜30nm、好ましくは5〜15nmである。
前記硫酸化メソポーラスシリカジルコニアは耐水性があり、高表面積を持ち、好ましくは200〜500m2/gである。
前記グリセリン脱水用触媒は硫酸化されたものである。硫酸化の方法としては前記メソポーラスシリカジルコニアに硫酸または硫酸塩溶液を含浸させ、それから乾燥・焼成する。得られた硫酸化されたメソポーラスシリカジルコニア中のSO4としての量は5〜80重量%、さらに5〜50重量%が好ましい。
前記グリセリン脱水用触媒とする硫酸化メソポーラスシリカジルコニアには高分散の硫酸ジルコニア種が存在し、酸強度は普通のジルコニア担体で調製した硫酸ジルコニアより弱く、グリセリンからのアクロレイン生成反応に対して好都合である。
本発明は前記グリセリン脱水用触媒の共存下においてグリセリンを脱水してアクロレインを製造する方法である。当該方法はグリセリンと触媒を接触させる気相反応により、グリセリンを脱水させることが好ましい。
本発明のグリセリンの脱水によりアクロレインを製造する際、前記触媒は単独で使用してよい。また、不活性のシリカで希釈して使用することが好ましい。この場合、アクロレインの最大収率は80%以上に達する。また触媒ターンオーバー頻度1.0h−1以上を得ることができる。また、グリセリン濃度が5〜80重量%の水溶液を使用することができる。
本発明によれば、アクロレインを収率80%以上で合成でき、また触媒ターンオーバー頻度1.0h−1以上を得ることができるため、グリセリンからアクロレインを効率良く合成することができる。
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。本実施形態のグリセリン脱水用触媒(以下触媒と略す)はメソポーラス構造を有する硫酸化されたメソポーラスシリカジルコニアである。メソポーラスとは、直径2nm〜50nmの口径を持つ細孔を多数有することをいい、メソポーラスシリカとは、二酸化ケイ素(シリカ)を材質として、均一な細孔(メソ孔)を持つ物質をいう。触媒の活性成分は硫酸ジルコニア種であり、さらに硫酸ジルコニア種から派生した酸点の酸強度は普通の硫酸ジルコニアより弱いことを特徴とする。メソポーラスシリカジルコニアにはシリカやジルコニアの性質があり、しかも、ジルコニウム原子はメソポーラスシリカの構造骨格に入り、硫酸化の際、シンタリングせず、高分散の硫酸ジルコニア種が適切な酸強度を示す固体酸触媒になる。
当該触媒のシリカジルコニアはメソポーラス構造を有し、しかも、SiとZrは構造骨格構成元素として存在している。Si/Zrは1〜9であることが好ましく、さらに好ましくは3〜6である。細孔径は2〜30nm、好ましくは5〜15nmである。
前記メソポーラスシリカジルコニアの合成方法は特定されないが、Zrもメソポーラスの構造骨格に入ればよい。含浸法や共沈法が挙げられる。このメソポーラスシリカジルコニアは高表面積であり、好ましくは200〜500m2/gである。
前記触媒は硫酸化されたものである。硫酸化する方法としては硫酸根を含有する液を前記メソポーラスシリカジルコニアに含浸し、それから乾燥焼成する方法である、焼成温度は特に制限はないが、硫酸根と担体にうまく相互作用ができればよい。好ましくは200〜600℃である。
硫酸根としての原料には特に制限はないが、硫酸または水に溶ける硫酸塩であればよく、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸、亜硫酸アンモニウム、塩化チオニル等が使用できる。硫酸塩は一種類単独でよいが、2種類以上を混合してもよい。触媒中のSO4としての全触媒に対する重量パーセントは5〜80%であり、好ましくは5〜50%である。
前記触媒のNH3−TPDは500℃以下にアンモニア脱離ピークを与えるが、通常の硫酸ジルコニアは500℃以上にも大きなピークを持つ。つまり前記触媒の酸強度は通常の硫酸ジルコニアより弱く、強すぎる酸点による副反応を抑制できるため、グリセリンの脱水反応が選択的に進行する。また通常の硫酸ジルコニアは比表面積が200m2/g未満であるが、前記触媒は200m2/g以上の比表面積を有するため、ジルコニウムの利用効率が高く高活性を示す。さらに、通常の硫酸ジルコニアは不均一かつ小さな細孔径を持つが、前記触媒はグリセリンにとって必要十分に大きいメソ孔を選択的に有するため、グリセリンが速やかに拡散でき、触媒の有効利用効率が高い。したがって、前記触媒は、通常の硫酸ジルコニア触媒に対して、より高活性かつ高選択性のためグリセリン脱水反応に適している。
前記触媒は単独で使ってもよいし、不活性のシリカなどで希釈して使用してもよい。また、触媒成型して使用してもよい。より良い高収率アクロレインを得るためには、触媒は不活性のシリカなどで希釈することが好ましい。その場合の希釈倍率は、0〜5倍にすることが好ましい。
前記触媒を用いてグリセリン脱水によりアクロレインを製造する際、固定床反応器、移動床反応器、流動層反応器等の反応器内でグリセリンを含んだ原料ガスと触媒を接触させる気相脱水反応によりアクロレインを製造する。なお、原料グリセリンは水溶液として使用する。水溶液中のグリセリンの濃度は重量パーセントとして5〜80%であれば良く、好ましくは5〜30%である。
前記触媒を用いてグリセリン脱水によりアクロレインを製造する際、キャリアガスには不活性ガスを使用することができる。反応の全ガスの触媒グラム当たりの時空間速度GHSVは10000〜100000mLg−1h−1、好ましくは15000〜50000mLg−1h−1である。
前記反応温度は200〜500℃であると良く、好ましくは210〜400℃、さらに好ましくは220〜350℃である。200℃未満であると、グリセリンの凝集のため好ましくなく、500℃以上であると、副反応による選択性低下のため好ましくない。
前記反応の圧力は、グリセリンが凝集しない範囲の圧力であれば特に限定されないが、通常、0.001〜1MPaであると良く、好ましくは0.01〜0.5MPaである。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(メソポーラスシリカジルコニアの合成)
(メソポーラスシリカジルコニア(Si/Zr=6)の合成)
Micropor. Mesopor. Mater. 121, 185 (2009)に従ってメソポーラスシリカジルコニアを合成した。1.1M塩酸110mLにテトラエトキシシラン(TEOS)8.4g、P123を4.0gを添加した後、45℃で4時間攪拌した。さらにZrCl2・8H2OをSi/Zr物質量比が6になる量加え30分間攪拌した後、尿素9.0gを添加し、90℃で1晩加熱還流した。溶液のpHが7になったのを確認した後、100℃で2日間静置した。その溶液を濾過し、得られた固体を水50mLで洗浄した。さらに固体を100℃で一晩乾燥した後、500℃で18時間空気焼成することにより、メソポーラスシリカジルコニア(以下ZrSBA15と表記)(Si/Zr=6)を得た。
Micropor. Mesopor. Mater. 121, 185 (2009)に従ってメソポーラスシリカジルコニアを合成した。1.1M塩酸110mLにテトラエトキシシラン(TEOS)8.4g、P123を4.0gを添加した後、45℃で4時間攪拌した。さらにZrCl2・8H2OをSi/Zr物質量比が6になる量加え30分間攪拌した後、尿素9.0gを添加し、90℃で1晩加熱還流した。溶液のpHが7になったのを確認した後、100℃で2日間静置した。その溶液を濾過し、得られた固体を水50mLで洗浄した。さらに固体を100℃で一晩乾燥した後、500℃で18時間空気焼成することにより、メソポーラスシリカジルコニア(以下ZrSBA15と表記)(Si/Zr=6)を得た。
本固体のN2吸着等温線はIV型であり、BET比表面積は400m2g−1であった。BJHプロットにより細孔径は約10nmであった。EDX分析により、SiとZrの両方が固体中に含有されていることが分かった(表1)。また粉末XRDでは、ZrO2に由来する回折線が観測できなかったことから、ZrO2は偏析せず、固体中に高分散していることが示唆された。
同方法でZrCl2・8H2Oの添加量をSi/Zr=3、4.5、9と変化させると、それぞれのSi/Zr比のZrSBA15合成ができる。
(硫酸化メソポーラスシリカジルコニアの調製)
(20SO4−ZrSBA15 (Si/Zr=4.5)触媒の調製(SO4の担持量は20%))
ZrSBA15(Si/Zr=4.5)1gを水10mLに分散させ、硫酸アンモニウム水溶液10mLを添加した後、ロータリーエバポレーターで乾固させた。硫酸アンモニウムの担持量はSO4基準で20wt%である。その固体を一晩真空乾燥させた後、500℃で4時間空気焼成することにより、20wt%SO4硫酸化ZrSBA15(以下20SO4−ZrSBA15と表記)(Si/Zr=4.5)触媒を得た。
ZrSBA15(Si/Zr=4.5)1gを水10mLに分散させ、硫酸アンモニウム水溶液10mLを添加した後、ロータリーエバポレーターで乾固させた。硫酸アンモニウムの担持量はSO4基準で20wt%である。その固体を一晩真空乾燥させた後、500℃で4時間空気焼成することにより、20wt%SO4硫酸化ZrSBA15(以下20SO4−ZrSBA15と表記)(Si/Zr=4.5)触媒を得た。
同様に硫酸アンモニウムの量を変化させてSO4の担持量5〜80%のXSO4−ZrSBA15(X=5〜80)を合成した。
本触媒のN2吸着等温線はIV型であり、BET比表面積は360m2g−1であった。BJHプロットにより細孔径は約8nmであった。また、本触媒のEDX分析により、含浸した硫黄量に対応する硫黄が検出された。従って、本触媒は高比表面積を有する硫酸化シリカジルコニアであることが確認できた。
以下の表1にZrSBA15(Si/Zr=6)、20SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)のEDX分析結果を示す。
20SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)のNH3−TPDスペクトルを図1に示す。50℃から500℃でのアンモニア脱離量は2.3mmol/gであり、500℃以上での脱離量は0.27mmol/gである。つまり500℃以下での脱離量が88%を占め、比較的弱い酸点が多い。一方、一般的な硫酸ジルコニア(20SO4−ZrO2)では、500℃以下での脱離量は50%しかなく、超強酸点が多い。
(グリセリン脱水反応)
(5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=6)を用いたグリセリン脱水反応の実施)
固定床流通式反応装置(図2)を用い、石英ウールと石英砂上に5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=6)触媒0.1g(1.5mL)を充填した。反応管を環状炉内に設置し、触媒床のすぐ脇に押し付けた熱電対にて温度を調整した。キャリアガス(He20mLmin−1(25℃換算))、グリセリン30wt%水溶液(1mLh−1)を流通させながら250℃で2時間反応を実施した(全ガスのグラム当たりの時空間速度GHSV=38000mLg−1h−1)。グリセリンと水溶性生成物は氷冷水でトラップして高速液体クロマトグラフ(HPLC)−紫外吸収検出器(UV)で、気体生成物はオンラインのガスクロマトグラフ(GC)−熱伝導度検出器(TCD)で分析した。このグリセリン脱水の結果は、表2に示すように、グリセリン転化率58%、アクロレイン収率25%であった。アクロレイン生成速度に対するZrのTOFは4.1h−1である。また副生成物として、ヒドロキシアセトン2.8%、一酸化炭素0.1%、二酸化炭素0.1%が生成した。なお、収率は炭素物質量基準である。
固定床流通式反応装置(図2)を用い、石英ウールと石英砂上に5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=6)触媒0.1g(1.5mL)を充填した。反応管を環状炉内に設置し、触媒床のすぐ脇に押し付けた熱電対にて温度を調整した。キャリアガス(He20mLmin−1(25℃換算))、グリセリン30wt%水溶液(1mLh−1)を流通させながら250℃で2時間反応を実施した(全ガスのグラム当たりの時空間速度GHSV=38000mLg−1h−1)。グリセリンと水溶性生成物は氷冷水でトラップして高速液体クロマトグラフ(HPLC)−紫外吸収検出器(UV)で、気体生成物はオンラインのガスクロマトグラフ(GC)−熱伝導度検出器(TCD)で分析した。このグリセリン脱水の結果は、表2に示すように、グリセリン転化率58%、アクロレイン収率25%であった。アクロレイン生成速度に対するZrのTOFは4.1h−1である。また副生成物として、ヒドロキシアセトン2.8%、一酸化炭素0.1%、二酸化炭素0.1%が生成した。なお、収率は炭素物質量基準である。
また、グリセリン転化率は、式1により算出し、アクロレイン収率は式2により算出、アクロレイン生成速度に対するZrのTOFは、式3で定義した。量の単位は全てmolである。
グリセリン転化率={(グリセリン供給量}−(未反応グリセリン量}}/(グリセリン供給量) (式1)
アクロレイン収率=(アクロレイン生成量)/(グリセリン供給量) (式2)
ZrのTOF=(1時間当たりのアクロレイン生成量)/(触媒中のZr原子の量) (式3)
グリセリン転化率={(グリセリン供給量}−(未反応グリセリン量}}/(グリセリン供給量) (式1)
アクロレイン収率=(アクロレイン生成量)/(グリセリン供給量) (式2)
ZrのTOF=(1時間当たりのアクロレイン生成量)/(触媒中のZr原子の量) (式3)
(5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=3)を用いたグリセリン脱水反応の実施)
触媒に5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=3)を用いて、キャリアガス(He5mLmin−1(25℃換算))、グリセリン10wt%水溶液(1mLh−1)の条件(全ガスの触媒グラム当たりのGHSV=27000mLg−1h−1)で前記実施例3と同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
触媒に5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=3)を用いて、キャリアガス(He5mLmin−1(25℃換算))、グリセリン10wt%水溶液(1mLh−1)の条件(全ガスの触媒グラム当たりのGHSV=27000mLg−1h−1)で前記実施例3と同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
(5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いたグリセリン脱水反応の実施)
触媒に5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いて前記実施例4と同条件で同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
触媒に5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いて前記実施例4と同条件で同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
(5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=9)を用いたグリセリン脱水反応の実施)
触媒に5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=9)を用いて前記実施例4と同条件で同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
触媒に5SO4−ZrSBA15(Si/Zr=9)を用いて前記実施例4と同条件で同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
(20SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いたグリセリン脱水反応の実施)
触媒に20SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いて前記実施例4と同条件で同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
触媒に20SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いて前記実施例4と同条件で同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
(50SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いたグリセリン脱水反応の実施)
触媒に50SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いて前記実施例4と同条件で同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
触媒に50SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5)を用いて前記実施例4と同条件で同様にグリセリンの脱水を行い、結果を表2に纏めた。
(触媒層をシリカで希釈したグリセリン脱水の実施)
触媒(20SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5))を不活性なシリカ(SBA15)0.1gで希釈した以外は実施例4と同様に反応を実施した。グリセリン転化率は99%、アクロレイン収率は81%であった。結果を表2に纏めた。
触媒(20SO4−ZrSBA15(Si/Zr=4.5))を不活性なシリカ(SBA15)0.1gで希釈した以外は実施例4と同様に反応を実施した。グリセリン転化率は99%、アクロレイン収率は81%であった。結果を表2に纏めた。
(無触媒グリセリン脱水反応)
触媒を充填しなかった以外は、実施例3と同様に反応を実施した。グリセリン転化率10%、アクロレイン収率0%であった。結果は表2に纏めた。この結果から本反応には触媒が必須であることがわかる。
触媒を充填しなかった以外は、実施例3と同様に反応を実施した。グリセリン転化率10%、アクロレイン収率0%であった。結果は表2に纏めた。この結果から本反応には触媒が必須であることがわかる。
(ZrSBA15(Si/Zr=6)を用いたグリセリン脱水反応の実施)
触媒にZrSBA15(Si/Zr=6)を用いた以外は、実施例3と同様に反応を実施した。グリセリン転化率28%、アクロレイン収率6.5%であった。結果は表2に纏めた。実施例8よりもアクロレイン収率が大幅に低く、触媒への硫酸根付加が必須であることを示している。
触媒にZrSBA15(Si/Zr=6)を用いた以外は、実施例3と同様に反応を実施した。グリセリン転化率28%、アクロレイン収率6.5%であった。結果は表2に纏めた。実施例8よりもアクロレイン収率が大幅に低く、触媒への硫酸根付加が必須であることを示している。
(5SO4−SBA15を用いたグリセリン脱水反応の実施)
触媒に5SO4−SBA15を用いた以外は、実施例3と同様に反応を実施した。グリセリン転化率12%、アクロレイン収率0%であった。酸触媒として機能するためには、ジルコニウムが必須であることを示している(表2)。
触媒に5SO4−SBA15を用いた以外は、実施例3と同様に反応を実施した。グリセリン転化率12%、アクロレイン収率0%であった。酸触媒として機能するためには、ジルコニウムが必須であることを示している(表2)。
(SO4−ZrO2を用いたグリセリン脱水反応の実施)
触媒に5SO4−ZrO2(ZrO2:触媒学会JRC−ZRO−2)を用いた以外は、実施例3と同様に反応を実施した。結果は表2に纏めた。グリセリン転化率19%、アクロレイン収率6.1%であった。ZrのTOFは0.25h−1である。実施例3よりもアクロレイン収率ならびにTOFが遥かに低く、ジルコニウムを高比表面積シリカ中に分散させることの優位性を示している。
触媒に5SO4−ZrO2(ZrO2:触媒学会JRC−ZRO−2)を用いた以外は、実施例3と同様に反応を実施した。結果は表2に纏めた。グリセリン転化率19%、アクロレイン収率6.1%であった。ZrのTOFは0.25h−1である。実施例3よりもアクロレイン収率ならびにTOFが遥かに低く、ジルコニウムを高比表面積シリカ中に分散させることの優位性を示している。
(ゼオライト(ZSM−5)触媒によるグリセリン脱水反応)
触媒にZSM−5(触媒化成工業製)を用いた以外、実施例7と同様の条件で反応を実施した。グリセリン転化率83%、アクロレイン収率56%であった。結果は表2に纏めた。実施例7に比べ、反応成績が低かった。
触媒にZSM−5(触媒化成工業製)を用いた以外、実施例7と同様の条件で反応を実施した。グリセリン転化率83%、アクロレイン収率56%であった。結果は表2に纏めた。実施例7に比べ、反応成績が低かった。
(ゼオライト(ZSM−5)触媒によるグリセリン脱水反応)
触媒にZSM−5(触媒化成工業製)を用いて不活性なシリカ(SBA15)0.1gで希釈した以外、実施例9と同様の条件で反応を実施した。グリセリン転化率84%、アクロレイン収率70%であった。結果は表2に纏めた。実施例9に比べ、反応成績が低かった。
触媒にZSM−5(触媒化成工業製)を用いて不活性なシリカ(SBA15)0.1gで希釈した以外、実施例9と同様の条件で反応を実施した。グリセリン転化率84%、アクロレイン収率70%であった。結果は表2に纏めた。実施例9に比べ、反応成績が低かった。
(FePO4触媒によるグリセリン脱水反応)
触媒として非特許文献6に記載のFePO4を用いた以外、実施例7と同様の条件で反応を実施した。グリセリン転化率23%、アクロレイン収率8.9%であった。結果は表2に纏めた。実施例7に比べ、反応成績が低かった。
触媒として非特許文献6に記載のFePO4を用いた以外、実施例7と同様の条件で反応を実施した。グリセリン転化率23%、アクロレイン収率8.9%であった。結果は表2に纏めた。実施例7に比べ、反応成績が低かった。
実施例3および比較例1〜4から、SO4−ZrSBA15がグリセリンの脱水反応に有効な触媒であることが明らかになった(図3)。
Claims (9)
- 固体触媒の存在下にメソポーラス構造を有する硫酸化されたメソポーラスシリカジルコニアを含む固体触媒であることを特徴とするグリセリン脱水用触媒。
- メソポーラス構造は骨格構成元素としてSiとZrを有し、骨格構成元素モル比Si/Zrは1〜9であることを特徴とする請求項1記載のグリセリン脱水用触媒。
- 骨格構成元素モル比Si/Zrが3〜6であることを特徴とする請求項2記載のグリセリン脱水用触媒。
- 触媒の細孔径は2〜30nmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のグリセリン脱水用触媒。
- メソポーラスシリカジルコニアに硫酸または硫酸塩溶液を含浸、乾燥させ、200〜600℃で焼成し、触媒全体に対するSO4の重量割合が5〜80重量%となるようSO4を担持した硫酸化メソポーラスシリカジルコニアを製造することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の触媒の製造方法。
- 触媒の共存下においてグリセリンを脱水させてアクロレインを製造する方法であって、触媒が請求項1乃至4のいずれかに記載の触媒を用いることを特徴とするアクロレインの製造方法。
- グリセリンと触媒を接触させる気相反応によりグリセリンを脱水する請求項6に記載のアクロレインの製造方法。
- 触媒に不活性のシリカで希釈して使用することを特徴とする請求項6または7に記載のアクロレインの製造方法。
- グリセリンの濃度が5〜80重量%の水溶液であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のアクロレインの製造方法。
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- 2011-01-29 JP JP2011017339A patent/JP2012157794A/ja active Pending
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