JP2012157622A - 生体のしこり検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体のしこり検査装置において、探触子の数を増加させることなく、生体表面への1回の圧接で検査できる領域を拡大することである。
【解決手段】生体のしこり検査装置は、診断者が手で把持できる外形を有する筐体部の検査面に保護ガラスが設けられ、検査面と反対側の外表面に2次元硬さ分布を表示する表示部を有する。筐体部の内部に収容される内部構造部13の最上部は、保護ガラス14で、その下方には、探触素子32が2次元的に整列配置される素子配置基板30が保護ガラス14と隙間を開けて配置される。最下部に設けられる制御回路基板58と保護ガラス14との中間部に設けられるXY移動機構台48の上には、素子配置基板30をXY平面内で移動駆動するためのXY移動機構50が配置される。
【選択図】図2

Description

本発明は、生体のしこり検査装置に係り、特に光を用いた生体のしこり検査装置に関する。
生体表面の腫瘍、生体の内部の癌等によるしこりを検査するために、生体表面に探触子を圧接させて、探触子から超音波振動や光を入射し、生体からの反射波を解析することが行われる。
例えば、特許文献1には、生体のしこり検査装置として、プローブ基体に複数の探触素子を2次元的に配置して、これらの探触素子が生体表面に圧接され、その範囲の生体の硬さ、つまりしこりを2次元的に把握する構成が開示されている。ここでは、各探触素子が硬さ算出切替回路によって順次選択されて硬さ算出器に接続される。硬さ算出器は、探触素子を構成する振動子への入力波形と振動検出センサからの出力波形との間の位相差に応じ周波数を変化させる位相シフト回路を備え、その周波数変化から生体組織の硬さを算出する。
また、特許文献2には、光を用いて生体組織の硬さを2次元的に検査する装置として、発光素子と受光素子を対とする探触素子を用いることが述べられている。ここでは、特許文献1と同様に、プローブ基体に複数の探触素子が2次元的に配置され、各探触素子が生体表面に圧接される。そして、各探触素子が切替回路によって順次選択されて特性算出部に接続される。特性算出部は、発光素子への入力波形と受光素子からの出力波形との間の位相差に応じ周波数を変化させる位相シフト回路を備え、その周波数変化から生体組織の硬さを算出する。
なお、特許文献3には、位相シフト法の詳細な内容について開示されている。
特開2004−283547号公報 特開2005−103054号公報 特開平9−145691号公報
特許文献2の方法によれば、光を用いて生体組織の硬さを2次元的に測定できる。この方法は、探触子を生体表面に圧接するので、探触子が圧接された領域については検査ができるが、それ以外の領域をさらに検査しようとすると、探触子の圧接位置を移動させる必要がある。探触子を生体表面に圧接したまま移動するにしても、探触子を一旦生体表面から外して改めて別の領域を圧接するにしても、測定条件が変化することが生じ得る。
すなわち、探触子を生体表面に圧接する方法では、広い領域での検査に限界がある。また、これに対応するため、一度に圧接できる探触子の数を増加することが考えられるが、その場合はコストが高くなる。
本発明の目的は、探触子の数を増加させることなく、生体表面への1回の圧接で検査できる領域を拡大できる生体のしこり検査装置を提供することである。
本発明に係る生体のしこり検査装置は、生体に光を入射する発光素子と生体からの光を受光する受光素子とを対とする探触素子を用いて、複数の探触素子が2次元的に整列配置される素子配置基板と、各探触素子を順次選択して硬さ算出器に接続する切替回路と、発光素子への電気信号波形と受光素子からの電気信号波形との間の位相差に応じて周波数を変化させる位相シフト回路を用いてその周波数変化より生体組織のしこりの程度を示す硬さを算出する硬さ算出器とを含み、各探触素子のそれぞれの硬さを2次元的硬さ分布として出力する演算部と、素子配置基板の基板平面に平行な面を診断面として、診断面内で予め定めた複数の診断位置のそれぞれに素子配置基板を移動駆動することで、素子配置基板が生体に向かい合う対向面積を拡大する駆動部と、制御回路基板と演算部と駆動部とを内部に収納し、診断者が手で把持できる外形を有する筐体部であって、生体に押し付けられる側の検査面に、素子配置基板の探触素子が配置される面に向かい合って素子配置基板と隙間を開けて配置される保護ガラスが設けられ、検査面と反対側の外表面に演算部から出力される2次元硬さ分布を表示する表示部を有する筐体部と、を含み、2次元硬さ分布は、駆動部によって移動駆動される各診断位置のそれぞれについて、素子配置基板に配置される複数の探触素子についての2次元硬さ分布を重畳させた拡大2次元硬さ分布であることを特徴とする。
また、本発明に係る生体のしこり検査装置において、硬さ算出器は、受光素子の信号出力端に入力端が接続される増幅回路と、増幅回路の出力端と発光素子の信号入力端との間に設けられ、信号の周波数を変化させて発光素子への電気信号入力波形と受光素子からの電気信号出力波形との間に生じる位相差をゼロに補償する位相シフト回路と、探触素子と増幅回路と位相シフト回路とで形成される帰還ループにより位相差をゼロに補償して起こる自励発振振動の周波数を計測し、探触素子から生体に光が入射され生体から光を受光しているときの周波数と、探触素子からの光が生体に入射していなくて生体からの光を受光していないときの周波数との間の変化である周波数偏差を求め、この周波数偏差を生体の硬さを示す値とする周波数偏差算出回路と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係る生体のしこり検査装置において、周波数偏差算出回路は、探触素子から光を放射した時間から自励発振振動が安定するまでの時間を安定時間として、安定時間よりも短く、予め定めた所定の時間を経過したタイミングで、自励発振振動の周波数を計測することが好ましい。
また、本発明に係る生体のしこり検査装置において、硬さ算出器は、素子配置基板に配置される各探触素子のそれぞれについて、探触素子からの光が生体に入射していなくて生体からの光を受光していないときの周波数を予め計測し、これを駆動部によって移動駆動される各診断位置のそれぞれについて行なって、計測された周波数を各探触素子と各診断位置とに対応付けて初期周波数のデータとして記憶する初期値記憶部を有し、周波数偏差の算出は、探触素子から生体に光が入射され生体から光を受光しているときの周波数を、当該探触素子の当該診断位置における初期周波数と比較して求めることが好ましい。
また、本発明に係る生体のしこり検査装置において、初期値記憶部は、電気的に消去可能な半導体メモリであって、電源が遮断されても記憶が保持されることが好ましい。
また、本発明に係る生体のしこり検査装置において、駆動部は、素子配置基板に2次元的に整列配置される探触素子の一方向の配列ピッチの整数分の1のピッチで素子配置基板を一方向に移動駆動し、他方向の配列ピッチの整数分の1のピッチで素子配置基板を他方向に移動駆動することが好ましい。
上記構成により、生体のしこり検査装置は、生体組織のしこりの程度を示す硬さを測定するための複数の探触素子が2次元的に整列配置される素子配置基板を有し、素子配置基板の基板平面に平行な面を診断面として、診断面内で予め定めた複数の診断位置のそれぞれに素子配置基板を移動駆動することで、素子配置基板が生体に向かい合う対向面積を拡大する駆動部を有する。これによって、探触素子の数を増加させることなく、生体表面への1回の圧接でしこり検査できる領域を拡大できる。
また、生体のしこり検査装置において、硬さ算出器は、位相シフト回路を用いて、探触素子から生体に光が入射され生体から光を受光しているときの周波数と、探触素子からの光が生体に入射していなくて生体からの光を受光していないときの周波数との間の変化である周波数偏差を求め、この周波数偏差を生体の硬さを示す値とする。このように位相シフト回路を用いることで、生体の硬さを正確に求めることができる。
また、生体のしこり検査装置において、周波数偏差の算出は、探触素子から光を放射した時間から自励発振振動が安定するまでの時間を安定時間として、安定時間よりも短く、予め定めた所定の時間を経過したタイミングで、自励発振振動の周波数を計測することで行う。自励発振振動が安定するまで待たなくても済む時間を予め求めておき、その時間を予め定めた所定時間とすることで、検査時間を短縮できる。
また、生体のしこり検査装置において、素子配置基板に配置される各探触素子のそれぞれについて、探触素子からの光が生体に入射していなくて生体からの光を受光していないときの周波数を予め計測し、これを位相シフト法で用いる初期周波数のデータとして記憶する。このようにすることで、実際のしこり検査を行う前に予め初期周波数を求めておくことができるので、実際のしこり検査に要する時間を短縮できる。
また、しこり検査装置において、初期値記憶部は、電気的に消去可能な半導体メモリであって、電源が遮断されても記憶が保持される。これによって、初期値の取得を任意の時間に行うことができ、利便性が向上する。
また、生体のしこり検査装置において、駆動部は、素子配置基板に2次元的に整列配置される探触素子の一方向の配列ピッチの整数分の1のピッチで素子配置基板を一方向に移動駆動し、他方向の配列ピッチの整数分の1のピッチで素子配置基板を他方向に移動駆動する。このようにすることで、2次元的硬さ分布の検査領域を拡大すると共に、診断位置の間隔を細かくして検査を行うことができる。
本発明に係る実施の形態における生体のしこり検査装置の外観図である。 本発明に係る実施の形態における生体のしこり検査装置についての内部分解図である。 本発明に係る実施の形態における生体のしこり検査装置のブロック図である。 本発明に係る実施の形態における生体のしこり検査装置の硬さ算出器に関係する構成を説明する図である。 本発明に係る実施の形態において、生体のしこり検査の手順を説明するフローチャートである。 本発明に係る実施の形態における生体のしこり検査装置のXYテーブル走査を説明する図である。 本発明に係る実施の形態における生体のしこり検査装置の表示画面の例を説明する図である。 本発明に係る実施の形態における生体のしこり検査装置のタイムチャートである。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、生体のしこり検査の対象として、乳がんチェックを説明するが、これ以外の生体のしこりの検査を行う用途としてもよい。
以下で述べる数量、数値、寸法、時間等は、説明のための一例であって、生体のしこり検査装置の仕様に応じ、適宜変更することができる。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、生体のしこり検査装置10の外観図である。以下では、生体のしこり検査装置10を、特に断らない限り、単に、しこり検査装置10として述べる。しこり検査装置10は、乳がんの可能性についてチェックすることができる検査装置である。具体的には、人の生体組織8である乳房部の表面に検査面を押し当てて、発光素子から光を生体組織8に入射し、その反射を受光素子で受け止めるときに、発光素子に対する入力電気信号と受光素子から出力される出力電気信号の信号波形を比較して、生体組織8の硬さを測定し、その結果を2次元画像で出力する。このように、光を用いるが、測定には、光信号ではなく、受発光動作における電気信号を用いるものである。
しこり検査装置10は、診断者が片手で把持できる大きさの筐体部12を備え、概略直方体の箱状の外観を有する。寸法の一例を示すと、幅9cm×長さ12cm×高さ4cm程度である。
筐体部12は、検査対象の生体組織8に押し付ける側を検査面とすると、検査面に設けられる保護ガラス14は、筐体部12の内部に配置される探触素子32から放射される光を通し、生体組織8からの反射光を通す機能を有する透光部材である。保護ガラス14と呼ぶが、材質はガラス材でなくても構わない。
保護ガラス14の透光部に対応する位置で、筐体部12の内部に配置される素子配置基板30は、生体組織8に光を入射し、生体組織8からの光を受光する探触素子32が2次元的に整列配置される基板である。ここでは、図1に示されるように、X方向に沿って10列、Y方向に沿って10行の合計100個の探触素子32が配置される。X方向の配列ピッチは5mm、Y方向の配列ピッチも5mmである。
なお、XYZの方向については、図1に示すように、生体組織8に向かう方向が+Z方向、Z方向に垂直な面がXY面で、検査面はXY面に平行な面である。X方向とY方向は
互いに直交し、筐体部12の平面図で長手方向がY方向、短手方向がX方向である。
探触素子32は、発光素子34と受光素子36を対として構成される。発光素子34はLED(Light Emission Device)で、受光素子36はフォトダイオードである。発光素子34のピーク発光波長は、865nmから870nmのものを用い、受光素子36のピーク感度波長は、880nmから900nmのものを用いた。発光素子34も受光素子36も、図1に示されるように、共にチップ部品であり、基板の電極配線に半田付けを行って、取り付け配置される。
筐体部12の検査面の反対側の面は、生体組織8に筐体部12を押し付けるときに、診断者の顔に対向する面であるので、これを外表面と呼ぶことにすると、外表面に配置される表示窓24は、検査結果を表示する表示部52である液晶パネルの上面ガラスである。したがって、筐体部12は、検査面で生体組織8を検査し、ちょうどその真上に対応する位置に設けられる表示窓24を通して表示部52に検査結果が表示される構成となっている。
外表面に設けられる押しボタン22は、スタート・ストップボタンで、すぐ横にその旨の表示がなされている。押しボタン22は、診断者の押し操作の程度によって、キャリブレーションモードのスタート・ストップを行う機能と、検査モードのスタート・ストップを行う機能とを使い分けられる。
ここでは、3秒以上の長押し操作のときに、キャリブレーションモードとされ、2秒以内の短押し操作のときに、検査モードとされる。2秒から3秒の間の押し操作のときは、表示部52に、長押し操作か短押し操作をするように注意が表示される。
筐体部12の4つの側面の1つで、筐体部12を手で把持したときに手前側となる側面に設けられる電源コネクタ16は、AC/DCアダプタを介してAC電源に接続される電源コネクタである。この電源コネクタ16によって、5VDC電源が供給される。なお、AC/DCアダプタとして、AC電源から5VDCに変換するものが適合する旨が、仕様書に明記される。
電源コネクタ16の左隣のコネクタ18は、筐体部12の内部に収納される回路の調整を外部から行うための設定用コネクタである。電源コネクタ16の右隣のコネクタ20は、外部のパーソナルコンピュータ等の処理装置に接続することができる入出力接続端子である。
図2は、筐体部12の内部に収容される回路および機構の構成を説明するために、順次分解を行った図である。最上段の図は、筐体部12の内部に収容される内部構造部13をそのまま示す図である。なお、図2は、保護ガラス14を上方側に、表示部52を下方側に配置してある。
内部構造部13の最上部は、保護ガラス14である。保護ガラス14の下方には、隙間を開けて素子配置基板30が配置される。換言すると、生体組織8に押し付けられる側の検査面に、素子配置基板30の探触素子32が配置される面に向かい合って素子配置基板30と隙間を開けて保護ガラス14が配置される。隙間を開けてとは、素子配置基板30がXY平面内で移動するときに、保護ガラス14に探触素子32が接触しないことを意味する。
最下部に設けられる制御回路基板58は、一方側の面に制御回路60が、反対側の面に表示部52が、それぞれ搭載される基板である。保護ガラス14と制御回路基板58の中間部に設けられるXY移動機構台48は、その上に、XY移動機構50が搭載される支持板部材である。なお、XY移動機構50は、素子配置基板30をXY平面内で移動駆動するための機構である。
図2の上から2番目の図は、保護ガラス14と制御回路基板58を取り外した状態を示す図である。ここでは、素子配置基板30が最上側に来たときの様子が示される。図2の上から3番目の図は、さらに素子配置基板30を取り外した状態を示す図である。この状態が、XY移動機構台48と、その上に配置されるXY移動機構50を含むブロックの状態である。
XY移動機構50は、XY移動機構台48に対し、Y方向に移動可能なYステージ44と、Yステージ44の上に設けられ、X方向に移動可能なXステージ40を含んで構成される。XY移動機構台48に取り付け固定されるYモータ46は、その出力直進軸がYステージ44に取り付けられ、これによって、Yステージ44をY方向に移動駆動する機能を有する。Yステージ44に取り付け固定されるXモータ42は、その出力直進軸がXステージ40に取り付けられ、これによって、Xステージ40をXY方向に移動駆動する機能を有する。Xモータ42とYモータ46は、ステッピングモータを用いることができる。
Xステージ40には素子配置基板30が取り付けられるので、XY移動機構50によって、素子配置基板30をX方向およびY方向に移動駆動できる。このように、XY移動機構50は、素子配置基板30をXY平面に平行に移動駆動する機能を有する駆動部である。
図3は、制御回路基板58に搭載される制御回路60の構成を説明するブロック図である。ここでは、制御回路60の構成要素ではないが、素子配置基板30と、XY移動機構50と表示部52が示されている。
制御回路60のマイクロプロセッサ(MPU)62は、しこり検査装置10を構成する電子部品の動作を全体として制御する演算部である。マイクロプロセッサ62に接続される記憶部72は、マイクロプロセッサ62によって実行されるソフトウェアを格納する機能を有する記憶装置であるが、ここでは特に、後述するキャリブレーションモードで取得される初期周波数のデータを記憶する機能を有する。その意味では、記憶部72は、初期値記憶部である。
マイクロプロセッサ62に接続されるXモータドライバ64とYモータドライバ66は、それぞれ、Xモータ42の駆動回路とYモータ46の駆動回路である。具体的には、X方向移動量に対応する駆動パルスをXモータ42に供給し、Y方向移動量に対応する駆動パルスをYモータ46に供給する機能を有する。
具体的には、X方向に0.5mm単位で9ステップまで移動駆動し、Y方向にも0.5mm単位で9ステップまで移動駆動する。探触素子32の整列配置のピッチは、X方向もY方向もそれぞれ5mmであるので、Xモータ42とYモータ46の移動駆動は、隣接する探触素子32の間を10分割するように行われる。これによって、素子配置基板30の
100個の探触素子32の検査可能領域をX方向に4.5mm、Y方向に4.5mm拡大できる。
このように、素子配置基板30の基板平面に平行な面を診断面として、診断面内で予め定めた複数の診断位置のそれぞれに素子配置基板30を移動駆動することで、素子配置基板30が生体組織8に向かい合う対向面積を拡大することができる。また、この拡大機能と共に、しこりの診断位置である検査位置の間隔を10分の1の細かさとすることができる。
もっとも、Xモータ42とYモータ46の移動駆動のピッチは、探触素子32の配置ピッチの10分の1でなくても、整数分の1であれば、診断位置の間隔を細かくできる。また、Xモータ42とYモータ46の駆動範囲を探触素子32の配置ピッチと同じにしなくてもよい。なお、その場合には、診断位置が重複しないように、移動駆動のピッチを考慮する必要がある。
マイクロプロセッサ62と素子配置基板30の間に接続配置されるXデコーダ68とYデコーダ70は、素子配置基板30に整列配置される100個の探触素子32の1つを選択し、選択された探触素子32を後述する硬さ算出器90に接続する機能を有する切替回路である。具体的には、セレクタ回路またはマルチプレキサ回路を用いることができる。
素子配置基板30には、探触素子32がX方向に10列、Y方向に10行配置されるので、この100個の探触素子32の中の1つを選択するために、Y方向に延び、互いにX方向に隣接して配置される10本のXアドレス線、X方向に延び、互いにY方向に隣接して配置される10本のYアドレス線が設けられる。このXアドレス線にXデコーダ68が接続され、Yアドレス線にYデコーダ70が接続される。そして、Xデコーダ68によって10本のXアドレス線の中の1本が選択され、Yデコーダ70によって10本のYアドレス線の中の1本が選択されることで、その選択されたXアドレス線とYアドレス線の交点にある探触素子32が選択される。
選択された探触素子32は、硬さ算出器90に接続される。硬さ算出器90は、アナログ回路部分80と、マイクロプロセッサ62に含まれるディジタル回路部分とで構成される。アナログ回路部分80は、受光素子36のためのPDセンシング回路82、発光素子34のためのLEDドライバ84、増幅回路86、位相シフト回路88を含む。マイクロプロセッサ62に含まれるディジタル回路部分としては、周波数偏差算出回路92と硬さ出力部94を含む。
図4は、硬さ算出器90の具体的内容を説明する回路図である。ここでは、硬さ算出器90の構成要素ではないが、発光素子34、受光素子36、Xデコーダ68、Yデコーダ70、記憶部72、表示部52が図示されている。
受光素子36は、そのアノード側が電源VDDに接続され、カソード側がXデコーダ68およびYデコーダ70を介して、LEDドライバ84に接続される。発光素子34は、エミッタ端子が接地に接続され、コレクタ端子がXデコーダ68およびYデコーダ70を介して、PDセンシング回路82に接続される。このように、Xデコーダ68とYデコーダ70は、探触素子32の受光素子カソードと発光素子コレクタとの2端子を1組として、100組の中の1組を選んで、選ばれた1組について、受光素子カソードをPDセンシング回路82に、発光素子コレクタをLEDドライバ84に接続する機能を有する。
PDセンシング回路82は、フォトダイオードである受光素子36に流れる電流を適当に増幅して抵抗素子に流し、抵抗素子の両端電圧を出力する回路である。LEDドライバ84は、発光素子34のカソード電圧を適当にバイアスすることで、発光素子34に電流を流す回路である。PDセンシング回路82、LEDドライバ84は、一般的に用いられる回路形式としたが、後述する位相シフト回路88との組合せを考慮したうえで、これ以外の回路形式を用いるものとしてもよい。
増幅回路86は、PDセンシング回路82の出力信号について、コンデンサ83を介して受け取り、適当な増幅率で増幅する回路である。位相シフト回路88は、増幅回路86の出力端子と、LEDドライバ84の入力端子との間に配置接続される回路である。なお、位相シフト回路88とLEDドライバ84の入力端子との間にはコンデンサ85が接続配置される。
位相シフト回路88は、特許文献3に詳述されるように、入力信号波形と出力信号波形との間に位相差が生じるときに、周波数を変化させてその位相差をゼロにする機能を有する回路である。具体的には、ゲインと位相とが周波数特性を有する一種のフィルタ回路である。位相差に応じて周波数変化量である周波数偏差が異なるので、位相差を周波数偏差に変換する位相差・周波数偏差変換回路でもある。
このように、位相シフト回路88を介して、受光素子36と発光素子34との間に閉ループを構成すると、各構成要素の寄生容量、寄生抵抗、寄生インダクタンス等によって、この閉ループを流れる信号に遅延が生じ、その遅延が一巡して自励発振を生じる。この自励発振は、受光素子36と発光素子34の間に生体組織8がないときでも生じる。その自励発振の周波数は、上記のように、各構成要素の寄生容量、寄生抵抗、寄生インダクタンス等によって定まるが、位相シフト回路88を設けたことで、位相シフト回路88の抵抗素子、容量素子等の回路定数の設定によって、発振周波数を任意に設定することが可能になる。
このようにして、受光素子36と発光素子34の間に生体組織8がないときに生じる自励発振の周波数を初期周波数f0とすると、つぎに受光素子36と発光素子34の間に生体組織8を配置すると、その自励発振の周波数がf0から変化する。その周波数を検査周波数f1とすると、生体組織8による周波数偏差Δf=f1−f0である。このΔfは生体組織8の硬さによって異なる値を示す。
上記のように、位相シフト回路88の回路定数を変更すると、初期周波数f0を任意に設定できる。ここで、初期周波数f0を変更したときのΔfを調べると、初期周波数f0によって、Δfがかなり異なることが分かる。また、PDセンシング回路82の回路定数を変更し、あるいはLEDドライバ84の回路定数を変更することでも、発光強度とノイズ光の関係でΔfがかなり変化する。
Δfが大きいほど、生体組織8の硬さ検出の感度が向上するので、PDセンシング回路82の回路定数、LEDドライバ84の回路定数、位相シフト回路88の回路定数を適切に設定することが重要である。例えば、発光素子34の発光量を、その発光素子34の推奨発光量よりも小さく絞るように、LEDドライバ84の回路定数を変更し、それに応じて、PDセンシング回路82の回路定数、位相シフト回路の回路定数を変更すると、推奨発光量で駆動したときに比べ、信号振幅が数分の1になるが、Δfは数倍に改善される。このような実験に基づいて、PDセンシング回路82の回路定数、LEDドライバ84の回路定数、位相シフト回路88の回路定数を設定した。
初期周波数f0は、受光素子36と発光素子34の間に生体組織8がないときに生じる自励発振の周波数であるので、生体組織8のしこり測定に先立って、予め測定することができる。そのようにして取得された初期周波数f0は記憶部72に記憶される。初期周波数f0は、探触素子32を構成する受光素子36、発光素子34の特性のばらつきによって異なる値を示すことがあるので、各探触素子32のそれぞれに対応付けて記憶される。
初期周波数f0は、生体組織8の種類が変わらなければ、上記のΔfを最適化する条件が同じであるので、数回のしこり検査に共通して用いることも可能である。そのことから、初期周波数f0を記憶する記憶部72は、電気的に消去可能な半導体メモリであるEEPRM(Electrical Erasable Programable Memory)を用いることがよい。これによって、電源が遮断されても記憶が保持される。
しこり検査のときには、上記のように、生体組織8が存在するときの検査周波数f1が取得される。周波数偏差算出回路92は、記憶部72から初期周波数f0を読み出し、その値を用いて、Δf=f1−f0を算出する。Δfは、各探触素子32ごとに求めるので、初期周波数f0は、対応する探触素子32の値を読み出して用いる。
硬さ出力部94は、硬さに対応する値であるΔfを画像表示に変換する信号処理を行う回路である。例えば、Δfが最大で1kHz程度であるとすると、この1kHzの変化幅を画像の256階調に変換する処理を行う。
表示部52は、液晶ディスプレイである。表示部52は、変換された画像信号を用いて、各探触素子32の2次元的位置に対応させ、その周波数偏差Δfの大きさを液晶ディスプレイの階調値として表示する機能を有する。
上記構成の作用を図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。ユーザが押しボタン22を押すと、その押し操作による信号を取得して、長押し操作か、短押し操作かが判断される(S10)。具体的には、押し操作が3秒以上であると、キャリブレーションモード選択と判断してS12へ進む。その際に、制御回路60等の初期設定が行われる。すなわち、XY移動機構50は、初期状態とされ、Xモータ42とYモータ46は初期位置であるホームポジションHPに戻される。そして、Xデコーダ68とYデコーダ70は、Xアドレス=0、Yアドレス=0を選択し、素子配置基板30のXY座標の原点位置の探触素子32を硬さ算出器90に接続する状態とされる。
キャリブレーションモードのときは、生体組織8に筐体部12が押し当てられていないので、その状態で、初期周波数f0が検出され(S14)、その値が記憶部72に記憶される。これで、素子配置基板30のXY座標の原点位置の探触素子32の初期周波数f0が、その探触素子32の位置に関連付けて記憶される。
つぎに、XYデコーダの走査が行われる(S18)。XYデコーダの走査は、予め定めた走査順序で行われる。例えば、探触素子32の位置をXY座標で規格化して(0,0)から(9,9)までとすると、最初に(0,0)の探触素子32のf0を検出し記憶したので、 次はY=0のままで、Xを0から1ずつ増加させて9まで走査する。そして、X=9に達したら、Y=1とし、今度はXを9から1ずつ減少させて0まで走査する。Xが=0に達したら、Y=2とし、0から1ずつ増加させて9まで走査する。これを繰り返すことで、(0,0)の位置から(9,9)の位置まで、全ての探触素子32を順次選択することができる。
このように予め定めた走査順序でXYデコーダの走査が1つ行われると、その都度、XYデコーダ走査が全部完了したか否かが判断される(S20)。上記の走査方法では、(0,0)の位置の探触素子32の次は、(1,0)の位置の探触素子32が選択されるので、XYデコーダ走査が全部完了する(9,9)の位置の探触素子32の選択まで済んでいない。したがって、S20の判断は否定され、S14に戻って、(1,0)の位置の探触素子32の初期周波数f0が検出され、その値が記憶部72に記憶される。
これを繰り返して、S20の判断が肯定されると、その時点で、ホームポジションHPの位置にある素子配置基板30の100個の探触素子32のすべてについて、それらの初期周波数f0が各探触素子32の位置に対応付けて、記憶部72に記憶されたことになる。ここで、XYデコーダ走査は、(0,0)の位置に戻される。
そこで、次にXYステージ走査が行われる(S22)。XYステージ走査は、Xモータ42とYモータ46を駆動し、Xステージ40を0.5mm単位で4.5mmまで、Yステージ44を0.5mm単位で4.5mmまで移動させる。
その移動の方法は、XYデコーダの走査と同様の方法を用いることができる。すなわち、素子配置基板30の位置をXY座標の0.5mm単位で規格化して(0,0)から(9,9)までとすると、すでに(0,0)の位置であるホームポジションHPにおける素子配置基板30についての初期周波数f0の取得と記憶は終っているので、次はY=0のままで、Xを0から1ずつ増加させて9まで走査する。そして、X=9に達したら、Y=1とし、今度はXを9から1ずつ減少させて0まで走査する。Xが=0に達したら、Y=2とし、0から1ずつ増加させて9まで走査する。これを繰り返すことで、(0,0)の位置から(9,9)の位置まで、素子配置基板30を順次移動させることができる。
その様子を図6に示す。ここでは、XY移動機構台48の上のYステージ44と、Yステージ44の上のXステージ40と、Xステージ40と一体となって移動する素子配置基板30の状態が1組として、各移動駆動によってどのように変化するかを示されている。図6において、X方向とY方向が示されている。そして、素子配置基板30の原点位置について、初期位置であるホームポジションHPのときの原点位置が二重丸印で示され、各移動駆動による素子配置基板30の原点位置が黒丸印で示されている。したがって、二重丸印と黒丸印の間の離間量が、素子配置基板30の移動量を示している。
上記の走査方法によると、素子配置基板30は、原点位置がホームポジションHPにある状態から、まずX方向に0.5mmずつ移動する。これをX=0.5×n(mm)として示してある。n=0がホームポジションHPにあるときで、二重丸印と黒丸印が一致している。nが増加するにつれ、二重丸印から黒丸印がX方向に離れて行き、n=9で最大となる。このときの素子配置基板30の位置は(9,0)である。
ここで、X方向の移動は止まり、次に、Y方向に0.5mm移動する。これにより、素子配置基板30の位置は(9,1)となる。二重丸印から黒丸印がY方向に0.5mm離れることになる。この状態から、X方向に沿って、0.5mmずつ反対方向に移動する。X=0.5×n(mm)において、n=9からnが1つずつ減少することになる。nが減少するにつれ、二重丸印に黒丸印がX方向に近づいて行き、n=0でX方向については一致する。このときの素子配置基板30の位置は(0,1)である。
ここで、X方向の移動は止まり、次に、Y方向に0.5mm移動する。これにより、素子配置基板30の位置は(0,2)となる。二重丸印から黒丸印がY方向に1mm離れることになる。ここで再びX方向に0.5mmずつ移動する。
これを繰り返し、Y方向に4.5mm移動したときは、素子配置基板の位置は(9,9)になる。この状態からX方向に沿って、0.5mmずつ反対方向に移動する。こうして、素子配置基板30の位置が(0,9)の状態になって、XYステージの走査が完了する。
再び図5に戻り、このように予め定めた走査順序でXYステージの走査が1つ行われると、その都度、XYステージ走査が全部完了したか否かが判断される(S24)。上記の走査方法では、素子配置基板30の位置が(0,0)の次は、(1,0)の位置となるので、XYステージ走査が全部完了する(0,9)の位置への素子配置基板30の移動まで済んでいない。したがって、S24の判断は否定され、S14に戻る。
S14からS20までは、素子配置基板30の位置が、0.5mmを単位とする位置座標で(0,0)の位置にあるときと同じ手順である。つまり、素子配置基板30の位置が(1,0)の状態で、XYデコーダの走査が行われ、素子配置基板30の位置が(1,0)の状態における100個の探触素子32の初期周波数f0の検出と記憶が行われる。素子配置基板30の位置が(1,0)のときは、(0,0)の位置より、X方向に0.5mmずれた位置であるので、その位置における100個の探触素子32の初期周波数f0の検出と記憶が行われることになる。
これを繰り返して、S24の判断が肯定されると、その時点で、素子配置基板30のX方向に0.5mm刻み、Y方向に0.5mm刻みの100の位置のそれぞれにおける100個の探触素子32のすべてについて、それらの初期周波数f0が各探触素子32の位置に対応付けて、記憶部72に記憶されたことになる。つまり、100×100=10,000個の探触素子32初期周波数f0が記憶部72に記憶される。これで、キャリブレーションが完了し、表示部52にREADYが表示される。
なお、キャリブレーションモードの処理中に、ユーザが押しボタン22を押すと、処理がその時点で停止終了する。ここでは、押しボタン22はストップボタンとして機能する。その後に再び押しボタン22を長押し操作すると、キャリブレーションモード選択と判断され、上記のように、初期設定が行われる。つまり、実質的にリセットが行われて、再び、S14以下の処理が行われる。記憶部72に記憶されていた初期周波数f0はそのままであるが、改めて初期周波数f0の検出が行われると、その値が元の値に上書きされる。
次に、しこり検査をしようとするときは、生体組織8に筐体部12の検査面を押し付ける準備をして、押しボタン22を短押し操作する。すなわち、2秒以内の押し操作と判断されるとS10の判断が否定されて、S30に進み、READYか否かが判断される。READYでないときは、改めて、押しボタン22を長押し操作してキャリブレーションモードを行う必要がある。
S30でREADYであると判断されると、検査モードとなる(S32)。それと同時に、その際に、制御回路60等の初期設定が行われる。初期設定はS12で説明したのと同じ内容である。
そして、生体組織8にしこり検査装置10が押し付けられた状態で、位相シフト回路88の出力から電気振動信号の検査周波数f1の検出が行われる(S34)。この検査周波数f1は、素子配置基板30のXY座標の原点位置の探触素子32についてのものであるので、次に、この探触素子32に対応する初期周波数f0を記憶部72から読み出す(S36)。そして、周波数偏差算出回路92の機能によって、周波数偏差Δf=f1−f0を算出する(S38)。そして、硬さ出力部94の機能によって、このΔfを256階調の画像データに変換し、表示部52に表示する(S40)。表示部52には、硬さデータとしての階調表示が1つ表示される。その表示は、表示部52の表示画面の表示範囲において、素子配置基板30のXY座標の原点位置に対応する位置に行なわれる。
XYデコーダ走査(S19)、XYデコーダ走査完了か否かの判断(S21)の内容は、キャリブレーションモードのS18,S20とそれぞれ同じである。したがって、素子配置基板30の100個の探触素子32のそれぞれについて、周波数偏差Δfが求められ、その結果が256階調に変換されて、表示部52に順次追加されながら表示される。
また、XYステージ走査(S23)、XYステージ走査完了か否かの判断(S25)の内容は、キャリブレーションモードのS22,S24とそれぞれ同じである。したがって、素子配置基板30のX方向に0.5mm刻み、Y方向に0.5mm刻みの100種類の位置のそれぞれについて、周波数偏差Δfが求められ、その結果が256階調に変換されて、表示部52に順次追加されながら表示される。これによって、100×100=10,000の硬さが、2次元分布として表示部52に表示される。
図7は、その様子を示す図である、表示部52に、生体組織8の2次元硬さ分布94が階調表示によって表示されている。このように、10,000の硬さ表示がされると、検査モードは終了する。
上記のように、10,000個に及ぶ硬さの測定と表示を、XYデコーダ走査処理とXYステージ走査処理によって行うため、検査時間を合理的に短縮することが好ましい。図8は、しこり検査におけるタイムチャートである。
図8の最上段の図は、1つの探触素子32について、周波数偏差Δfを算出して記憶し、次の探触素子32に移動するまでのタイムチャートである。横軸は時間、縦軸はΔfである。時間の原点は、XYデコード処理が開始された時間にとってある。
すなわち、探触素子32が選択され、硬さ算出器90に接続されたときから起算してある。初期周波数f0は既に分かっているので、検査周波数f1を検出すると同時にΔfは計算される。したがって、図8のΔfの立ち上がり特性は、検査周波数f1の立ち上がり特性と同じである。検査周波数f1は、探触素子32が選択されて位相シフト回路88を含む閉ループが形成されると、図8に示されるように立ち上がり、十分な時間の経過によって飽和値となる。この飽和した周波数が検査周波数f1である。
ここでは、飽和まで待つと、検査時間が長くなるので、飽和を待たずに、起算時間から2msの時間で、検査周波数を検出し、これに基づいてΔfを算出する。2msの時間は、立ち上がり特性を実験的に求め、再現性等を考慮して定めた。なお、Δfの算出は、2msに達してから3回行い、最大値と最小値を捨てて、真ん中の値をもって、硬さに対応するΔfとした。このようにすることで、Δfの算出に要する時間は、探触素子32が選択されてから全体で4ms以内に納めることができる。
4msは、1つの探触素子32のΔf算出に要する時間であるので、XYデコーダ処理によって100個の探触素子32についてΔfを算出する時間は、400msである。この400msのΔf算出が終ると、Xステージ40が0.5mm移動される。この移動処理に100ms必要である。図8の上から2つ目の図は、100個の探触素子32についてのΔf算出と、次のXステージ40の移動についてのタイムチャートである。このように、素子配置基板30の100個の探触素子32についてのΔf測定とその後のXステージ40の移動を単位とする処理時間は、合計で500msを要する。
このように、500ms単位で素子配置基板30がX方向に9×0.5mm移動すると、そこで、100個の探触素子32のΔf算出を行う。このΔf算出に400ms必要である。そして、その後にYステージ44が0.5mm移動される。この移動処理にも100msが必要である。図8の上から3つ目の図は、素子配置基板30がΔf算出をしながらのX方向の移動と、それに引き続くYステージ44の移動についてのタイムチャートである。このように、素子配置基板30のX方向の移動と、その後のYステージ44の移動を単位とする処理時間は、合計で5s必要である。
このように、5s単位で素子配置基板30がY方向に移動することは、9×0.5mmまで繰り返される。そして、全てのXYステージ走査が終ると、素子配置基板30は、ホームポジションHPに戻る。図8の最下段の図は、素子配置基板30のY方向移動と、ホームポジションHPへ戻ることについてのタイムチャートである。この図に示されるように、100×100=10,000個の探触素子32についてのΔf測定には、合計で50sを要する。そのうちの40sがΔf算出のための処理時間である。
本発明に係る生体のしこり検査装置は、乳がんチェック装置として利用できる。
10 生体のしこり検査装置、12 筐体部、13 内部構造部、14 保護ガラス、16 電源コネクタ、18,20 コネクタ、22 押しボタン、24 表示窓、30 素子配置基板、32 探触素子、34 発光素子、36 受光素子、40 Xステージ、42 Xモータ、44 Yステージ、46 Yモータ、48 XY移動機構台、 50 XY移動機構、52 表示部、58 制御回路基板、60 制御回路、62 マイクロプロセッサ、64 Xモータドライバ、66 Yモータドライバ、68 Xデコーダ、70 Yデコーダ、72 記憶部、80 アナログ回路部分、82 PDセンシング回路、83,85 コンデンサ、84 LEDドライバ、86 増幅回路、88 位相シフト回路、90 硬さ算出器、92 周波数偏差算出回路、94 硬さ出力部、96 2次元硬さ分布。

Claims (6)

  1. 生体に光を入射する発光素子と生体からの光を受光する受光素子とを対とする探触素子を用いて、複数の探触素子が2次元的に整列配置される素子配置基板と、
    各探触素子を順次選択して硬さ算出器に接続する切替回路と、発光素子への電気信号波形と受光素子からの電気信号波形との間の位相差に応じて周波数を変化させる位相シフト回路を用いてその周波数変化より生体組織のしこりの程度を示す硬さを算出する硬さ算出器とを含み、各探触素子のそれぞれの硬さを2次元的硬さ分布として出力する演算部と、
    素子配置基板の基板平面に平行な面を診断面として、診断面内で予め定めた複数の診断位置のそれぞれに素子配置基板を移動駆動することで、素子配置基板が生体に向かい合う対向面積を拡大する駆動部と、
    制御回路基板と演算部と駆動部とを内部に収納し、診断者が手で把持できる外形を有する筐体部であって、生体に押し付けられる側の検査面に、素子配置基板の探触素子が配置される面に向かい合って素子配置基板と隙間を開けて配置される保護ガラスが設けられ、検査面と反対側の外表面に演算部から出力される2次元硬さ分布を表示する表示部を有する筐体部と、
    を含み、
    2次元硬さ分布は、駆動部によって移動駆動される各診断位置のそれぞれについて、素子配置基板に配置される複数の探触素子についての2次元硬さ分布を重畳させた拡大2次元硬さ分布であることを特徴とする生体のしこり検査装置。
  2. 請求項1に記載の生体のしこり検査装置において、
    硬さ算出器は、
    受光素子の信号出力端に入力端が接続される増幅回路と、
    増幅回路の出力端と発光素子の信号入力端との間に設けられ、信号の周波数を変化させて発光素子への電気信号入力波形と受光素子からの電気信号出力波形との間に生じる位相差をゼロに補償する位相シフト回路と、
    探触素子と増幅回路と位相シフト回路とで形成される帰還ループにより位相差をゼロに補償して起こる自励発振振動の周波数を計測し、探触素子から生体に光が入射され生体から光を受光しているときの周波数と、探触素子からの光が生体に入射していなくて生体からの光を受光していないときの周波数との間の変化である周波数偏差を求め、この周波数偏差を生体の硬さを示す値とする周波数偏差算出回路と、
    を含むことを特徴とする生体のしこり検査装置。
  3. 請求項2に記載の生体のしこり検査装置において、
    周波数偏差算出回路は、
    探触素子から光を放射した時間から自励発振振動が安定するまでの時間を安定時間として、安定時間よりも短く、予め定めた所定の時間を経過したタイミングで、自励発振振動の周波数を計測することを特徴とする生体のしこり検査装置。
  4. 請求項3に記載の生体のしこり検査装置において、
    硬さ算出器は、
    素子配置基板に配置される各探触素子のそれぞれについて、探触素子からの光が生体に入射していなくて生体からの光を受光していないときの周波数を予め計測し、これを駆動部によって移動駆動される各診断位置のそれぞれについて行なって、計測された周波数を各探触素子と各診断位置とに対応付けて初期周波数のデータとして記憶する初期値記憶部を有し、
    周波数偏差の算出は、探触素子から生体に光が入射され生体から光を受光しているときの周波数を、当該探触素子の当該診断位置における初期周波数と比較して求めることを特徴とする生体のしこり検査装置。
  5. 請求項4に記載の生体のしこり検査装置において、
    初期値記憶部は、電気的に消去可能な半導体メモリであって、電源が遮断されても記憶が保持されることを特徴とする生体のしこり検査装置。
  6. 請求項1に記載の生体のしこり検査装置において、
    駆動部は、
    素子配置基板に2次元的に整列配置される探触素子の一方向の配列ピッチの整数分の1のピッチで素子配置基板を一方向に移動駆動し、他方向の配列ピッチの整数分の1のピッチで素子配置基板を他方向に移動駆動することを特徴とする生体のしこり検査装置。
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