JP2012154838A - 水蒸気透過率測定装置および測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 温度調整が可能な恒温槽1内に配置されるチャンバー4内を、試料用フィルム3で二分割し、前記試料フィルム3で二分された一方のチャンバー4aに、蒸気圧力を調節することにより得られた一定圧力の水蒸気を加え、他方のチャンバー4bを減圧ないし真空状態とし、前記試料フィルム3を介して浸透する水蒸気によって上昇する圧力の時間勾配を測定することによって、恒温室1内の温度における試料フィルムの水蒸気透過率を求める。
【選択図】 図1
Description
その測定方法として、原理的に、等圧方式と差圧方式という二つのタイプのものが知られている。
これに対し、差圧方式は、フィルムの両面にかかるガス圧を変化させて、圧力差に基づいてフィルム面を通過したガス量を図るというものである。
この特許文献1における提案は、従来のガス透過率測定装置では、透過圧力センサーも恒温室内で温度制御されるため、透過圧力センサーの耐熱温度より高い温度でのガス透過率の測定ができず、装置全体を恒温槽内に入れるため恒温槽が大きくなり、温度制御する部分が増えることにより温度制御に時間を要すると共に、均一な温度分布に制御することが難しいという課題を解決することを目的としたものである。
特に測定ガスタンクは、高圧側の圧力変動による測定誤差防止のために、かなり大きなものであって、装置のコンパクト化は不十分なものである。
その結果、ガスとして、水蒸気を選択し、水蒸気の特性を活用することにより、上記課題が解決されることを見出した。
差圧法による水蒸気透過率測定装置であって、
試料用フィルムの装着によって内部が二分割されるチャンバーと、
前記二分割された一方のチャンバーに水蒸気を供給する水蒸気発生器と、
前記一方のチャンバー内の蒸気圧を調節するための流量調節用バルブと
前記二分割されたチャンバー内のそれぞれの圧力を測定する圧力センサーが、内部温度の制御可能な恒温槽内に配置されるとともに、
前記チャンバー内を減圧ないし真空にするための真空ポンプが槽外に設けられていること
を特徴とする水蒸気透過率測定装置である。
請求項1記載の水蒸気透過率測定装置において、
前記測定用フィルムは、
分割されたチャンバーの差圧による変形を防ぐためのサポート用の通気性シートを介してチャンバー内に保持されていること
を特徴とするものである。
温度調整が可能な恒温槽内に配置されるチェンバー内を、試料用フィルムで二分割し、
前記試料用フィルムで二分された一方に、水蒸気発生器の蒸気圧力を調節することにより得られた一定圧力の水蒸気を加え、他方を減圧ないし真空状態とし、
前記試料用フィルムを介して浸透する水蒸気によって上昇する圧力の時間勾配を測定することによって、前記恒温室内の温度における試料フィルムの水蒸気透過率を求めること
を特徴とする水蒸気透過率測定方法である。
請求項3に記載の水蒸気透過率測定方法において、
前記水蒸気透過率の測定は、
前記恒温槽内の温度と水蒸気発生器からの水蒸気圧を連続的かつ段階的に変更し、各段階の温度と水蒸気圧における試料用フィルムの水蒸気透過率を求めること
を特徴とするものである。
また、圧力センサーは、差圧を測定するだけなので補正が不要なため、再現精度が極めて高い。すなわち、電気量、赤外線量、化学的変化量の換算、質量分析等の間接因子を経由する間接的変換方法に比較して、誤差の累積、推定要素がないため、誤差が少なく極めて高い精度での検出を可能とするものである。
また、キャリアガス不要なので、その流量精度、ガス温度制御、ガス成分純度などによる誤差の問題を発生させることもないものである。
よって、測定値の再現性が自己確認でき、得られた水蒸気透過率と温度のアレニウスプロットを描くことにより温度とバリア強度等の特性、たとえば、物性変化の対温度評価、繰り返しによる再現性の確認等種々の解析が可能なものである。
その際、全測定時間を、例えばアレニウスプロットを採るための一連のテストも含め、1〜2日で完了することができ、迅速な測定結果が求められる、製造現場等における、品質管理あるいは評価解析等に有効に利用可能なものである。
この発明の水蒸気透過率測定装置1は、内部温度の制御可能な恒温槽2と、この恒温槽2内に配置され、試料用フィルム3によって二分割され、チャンバー4aと4bの二室が形成された所要の大きさのチャンバー4と、前記チャンバー4a内の蒸気圧を測定する圧力センサー6と、前記チャンバー4b内の蒸気圧を測定する圧力センサー7と、前記チャンバー4aに水蒸気を供給する水蒸気発生器5と、この水蒸気発生器5に付設され、前記チャンバー4aに供給される水蒸気の蒸気圧を調整するための流量調節用バルブ8と、前記恒温槽2外に配置される真空ポンプ9とで構成されるものである。
なお、圧力の検出に用いられる圧力センサーとしては、各種の圧力センサーが使用可能であって、例えば、静電容量式ダイアフラムセンサーなどが挙げられる。
まず、チャンバー4を二分するように試料用フィルム3をチャンバー4に装着保持させたのち、恒温槽2内を一定温度に調節するとともに、試料用フィルム3により形成されたチャンバー4a、4b内を、バルブ10,11を開放し、真空ポンプ9を作動させることによりいずれも真空状態とする。
前記水蒸気発生器5には純水が貯蔵され、流量調節用バルブ8を経由して水蒸気をチャンバー4aに一定蒸気圧で供給するものである。
したがって、その圧力上昇を圧力センサー7で測定し、水蒸気透過率を算出する。
なお、圧力センサー6は、チャンバー4aの圧力変動を監視し、また、流量調節用バルブ8の開閉をするためのものである。
すなわち、図2に示されるように、縦軸に圧力を、横軸に時間とした図に、圧力変動値をプロットすると、拡散時間遅れ(タイムラグ)と称される非定常状態を過ぎると、プロットの勾配が一定になり、その勾配に基づいて水蒸気透過率が算出される。
さらに、別の温度での水蒸気透過率を測定するときは、チャンバー4内に保持された試料用フィルム3はそのまま保持させて、温度調節−真空操作−水蒸気供給−圧力測定の工程を、遠隔操作で繰り返して行うことができ、測定値の信頼性、フィルムの温度による特性変化などの観察のために好ましい方法である。
得られた各温度の水蒸気透過率に基づいてアレニウスプロットを求めたところ、図3に示す結果が得られた。
材質:ポリエチレンナフタレート 厚さ:100μ
バリア膜種:SiON系単層薄膜CVDコーテング 厚さ:100nm
設定温度履歴:
サンプルA:40℃−60℃−40℃−85℃−40℃
サンプルB:40℃−50℃−60℃−85℃−40℃−60℃−80℃−100℃
−40℃
相対湿度:いずれも100%RH
また、40℃昇温、降下を繰り返した後の温度40℃での水蒸気透過率は、2.4〜2.0×10−3g/m2/dayに集約しており、再現性と信頼性は極めて高いものである。
その後、温度を40℃に戻したが、水蒸気透過率は、9.0×10−3g/m2/dayと復帰できてなかったことによっても組成の変質が窺え、部材相互間の物性変化の対温度評価も可能であることが判明した。
2 恒温室
3 試料用フィルム
4 チャンバー
4a,4b 分割されたチャンバー
5 水蒸気発生器
6,7 圧力センサー
8 流量調節用バルブ
9 真空ポンプ
10〜11 バルブ
Claims (4)
- 差圧法による水蒸気透過率測定装置であって、
試料用フィルムの装着によって内部が二分割されるチャンバーと、
前記二分割された一方のチャンバーに水蒸気を供給する水蒸気発生器と、
前記一方のチャンバー内の蒸気圧を調節するための流量調節用バルブと
前記二分割されたチャンバー内のそれぞれの圧力を測定する圧力センサーが、内部温度の制御可能な恒温槽内に配置されるとともに、
前記チャンバー内を減圧ないし真空にするための真空ポンプが槽外に設けられていること
を特徴とする水蒸気透過率測定装置。 - 前記測定用フィルムは、
分割されたチャンバーの差圧による変形を防ぐためのサポート用の通気性シートを介してチャンバー内に保持されていること
を特徴とする請求項1記載の水蒸気透過率測定装置。 - 温度調整が可能な恒温槽内に配置されるチェンバー内を、試料用フィルムで二分割し、
前記試料用フィルムで二分された一方に、水蒸気発生器の蒸気圧力を調節することにより得られた一定圧力の水蒸気を加え、他方を減圧ないし真空状態とし、
前記試料用フィルムを介して浸透する水蒸気によって上昇する圧力の時間勾配を測定することによって、前記恒温室内の温度における試料フィルムの水蒸気透過率を求めること
を特徴とする水蒸気透過率測定方法。 - 前記水蒸気透過率の測定は、
前記恒温槽内の温度と水蒸気発生器からの水蒸気圧を連続的かつ段階的に変更し、各段階の温度と水蒸気圧における試料用フィルムの水蒸気透過率を求めること
を特徴とする請求項3に記載の水蒸気透過率測定方法。
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