JP2012154222A - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の暖機運転時における冷却水の熱損失を抑制し暖機運転期間を短縮することができる内燃機関の冷却装置を提供する。
【解決手段】第1のウォータポンプ32により冷却水がヘッド側ウォータジャケット16とヒータコア12に循環される第1の冷却水循環回路20と、第2のウォータポンプ34により冷却水がブロック側ウォータジャケット18に循環される第2の冷却水循環回路22とを設ける。エンジン10の暖機が完了する前に、ヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求の有無に応じて第1、第2の冷却水循環手段20、22による冷却水の循環を制御する。ヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求が有る場合に、暖機運転時に第1の冷却水循環回路20による冷却水の循環のみを実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は内燃機関の冷却装置に関する。
内燃機関の冷却装置として、シリンダブロックのウォータジャケットと、シリンダヘッドのウォータジャケットと、車室内の空調を行う空調空気と冷却水とを熱交換させるヒータコアとを直列に接続した冷却水路を形成すると共に、シリンダブロックのウォータジャケットをバイパスするバイパス水路を設けたものが提案されている(特許文献1参照)。
この冷却装置では、バイパス水路を流れる冷却水の量を調整することで、シリンダヘッドのウォータジャケットから流出する冷却水の熱を、ヒータコアで優先的に利用するか、シリンダブロックで優先的に利用するかを選択する。
これにより、内燃機関の暖機完了前に暖房の要求が有った場合、シリンダヘッドをバイパスする冷却水の量を増加させ、ヒータコアによって熱を優先的に利用することで車室内の暖房を早期に行うことができる。
特開2010−163897号公報
しかしながら、上記従来技術によれば、シリンダヘッドのウォータジャケットから流出する冷却水がバイパス水路を通過する過程で冷却水の温熱が放熱され熱損失が発生することから暖機運転期間を短縮する上で改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、内燃機関の暖機運転時における冷却水の熱損失を抑制し暖機運転期間を短縮できる内燃機関の冷却装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の内燃機関の冷却装置は、内燃機関のシリンダヘッドに形成されるヘッド側ウォータジャケットと、車室内の空調を行う空調空気と前記内燃機関の冷却水とを熱交換させる空調用熱交換手段とが接続され、第1の冷却水循環手段により前記冷却水が前記ヘッド側ウォータジャケットと前記空調用熱交換手段に循環される第1の冷却水循環回路と、第2の冷却水循環手段により前記冷却水が前記内燃機関のシリンダブロックに形成されるブロック側ウォータジャケットに循環される第2の冷却水循環回路と、前記第1、第2の冷却水循環手段による冷却水の循環を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内燃機関の暖機が完了する前に、前記空調用熱交換手段の作動要求がある場合、少なくとも前記第1の冷却水循環回路の前記冷却水を循環させるとともに、前記第2の冷却水循環回路を循環する前記冷却水の流量を抑制するように前記第1、第2の冷却水循環手段を制御することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、内燃機関の暖機が完了する前に、空調用熱交換手段の作動要求がある場合、比較的熱量の多いヘッド側ウォータジャケットを含む第1の冷却水循環回路の冷却水を循環させることで、速やかな暖房を図ることができる。さらに、第2の冷却水循環回路を循環する冷却水の流量を抑制することで、暖機の促進を図ることができる。また、本発明ではバイパス水路を使用することなく第1の冷却水循環回路という必要最小限の経路で冷却水を循環することができるため、冷却水の熱損失を抑制し暖機運転期間を短縮することができる。
請求項2記載の発明によれば、冷却水循環回路をコンパクトにできるため、熱損失が少なくコストの低い装置を提供できる。
請求項3記載の発明によれば、第2の冷却水循環回路の熱を利用することもできるため、より速やかな暖房を図ることができる、あるいは、暖機の促進を暖房性能よりも優先させることができる。
請求項4記載の発明によれば、外気温がそれほど低温ではない場合にはブロック側を流れる冷却水を主に利用して暖房を図ることで、シリンダヘッドの熱損失を抑制することができ、暖機運転期間の短縮を図れる。
請求項5記載の発明によれば、冷却水の循環の制御を簡単な構成で行うことができる。
請求項6記載の発明によれば、ウォータポンプが1台で足りるため、第1、第2の冷却水循環手段の構成の簡素化、低コスト化を図ることができる。
第1の実施の形態における内燃機関の冷却装置20の構成を模式的に示す構成図である。 冷却装置20の動作を示すフローチャートである。 第2の実施の形態における内燃機関の冷却装置20の構成を模式的に示す構成図である。 冷却装置20の動作を示すフローチャートである。 第3の実施の形態における内燃機関の冷却装置20の構成を模式的に示す構成図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両は、走行用の駆動源である内燃機関としてのエンジン10と、ヒータコア12と、本発明に係る内燃機関の冷却装置14とが搭載されている。
エンジン10のシリンダヘッドにはヘッド側ウォータジャケット16が形成され、シリンダブロックにはブロック側ウォータジャケット18が形成され、これら2つのウォータジャケット16、18は独立して設けられている。
ヒータコア20は、車室内の空調を行う空調空気と冷却水とを熱交換させる空調用熱交換手段を構成している。
より詳細には、ヒータコア12は、図示しない空調装置に組み込まれ、空調装置のファンによって送風される空気がヒータコア12に衝当することにより冷却水によって加熱されたヒータコア12によって空気が暖められ、暖められた空気が車室内に吹き出され、これにより車室内の空調がなされる。
冷却装置14は、第1の冷却水循環回路20と、第2の冷却水循環回路22と、ラジエータ冷却水循環回路24と、水温センサ26と、冷却装置ECU30とを含んで構成されている。
第1の冷却水循環回路20は、第1のウォータポンプ32と、ヘッド側ウォータジャケット16と、ヒータコア12とがこの順番で接続され、第1のウォータポンプ32により冷却水がヘッド側ウォータジャケット16とヒータコア12に循環される。
第1のウォータポンプ32は、電動ポンプで構成され、冷却装置ECU30の制御により作動、非作動が切り替えられ、かつ、作動時には、デューティ制御により冷却水の循環量を調整できるように構成されている。
本実施の形態では、第1のウォータポンプ32によって第1の冷却水循環手段が構成されている。
第2の冷却水循環回路22は、第2のウォータポンプ34と、ブロック側ウォータジャケット18とが接続され、第2のウォータポンプ34により冷却水がブロック側ウォータジャケット18に循環される。
第2のウォータポンプ34も第1のウォータポンプ32と同様に、冷却装置ECU30の制御により作動、非作動が切り替えられ、かつ、作動時には、デューティ制御により冷却水の循環量を調整できるように構成されている。
本実施の形態では、第2のウォータポンプ34によって第2の冷却水循環手段が構成されている。
本実施の形態では、第1、第2の冷却水循環回路20、22は、それら冷却水循環回路20、22を流れる冷却水が合流して循環する共通流路36を備えている。
共通流路36の上流端は、ヒータコア12の下流端とブロック側ウォータジャケット18の下流端とが共通に接続され、共通流路36の下流端は、第1、第2のウォータポンプ32、34の吸込口に共通に接続されている。
ラジエータ冷却水循環回路24はその上流端と下流端とが共通流路36に接続されている。
ラジエータ冷却水循環回路24には、ラジエータ38と、サーモスタット弁40とが接続されている。
ラジエータ38は、冷却水とエンジン10が搭載されたエンジンルームに流通する外気との間で熱交換を行うことで冷却水を冷却するものである。
サーモスタット弁40は、ラジエータ冷却水循環回路24の下流端と共通流路36とが接続される箇所に設けられている。
サーモスタット弁40は、共通流路36を流れる冷却水が流通する流路を有し、この流路を流れる冷却水が所定水温未満のときに、ラジエータ冷却水循環回路24から共通流路36への冷却水の流入が不能な状態となり、前記流路を流れる冷却水が所定水温以上のときに、ラジエータ冷却水循環回路24から共通流路36への冷却水の流入が可能な状態となる。
前記の所定水温は、エンジン10の暖機運転が終了してエンジン10が定常運転を行っている状態での水温THに設定され、水温THは後述する暖機判定温度TAよりも高い温度である。
水温センサ26は、サーモスタット弁40の近傍に設けられ、サーモスタット弁40を通る冷却水の水温を検出してその検出結果を冷却装置ECU30に供給するものである。
冷却装置ECU30は、CPU、制御プログラム等を格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
冷却装置ECU30は、前記のCPUが前記制御プログラムを実行することにより、水温センサ26からの検出結果を受け付けると共に、第1、第2のウォータポンプ32、34の作動、非作動、第1、第2のウォータポンプ32、34による冷却水の循環量の調整などの制御を実行するものであって、本実施の形態では制御手段を構成する。
また、冷却装置ECU30には、前記の空調装置の制御を司る不図示の空調用ECUから空調要求信号が供給される。空調用ECUは、ユーザによって前記空調装置の操作パネルが操作されることによって前記の空調要求信号を生成する。本実施の形態では、空調装置に暖房を実行させる操作が操作パネルに対してなされると、空調用ECUから冷却装置ECU30に対して空調要求信号が供給される。
次に冷却装置10の動作について図2のフローチャートを参照して説明する。
ユーザの操作によりエンジン10が始動され暖機運転が開始されることにより図2の処理が開始される。
冷却装置ECU30は、水温センサ26で検出される水温TWが所定の暖機判定温度TAを超えたか否かを判定する(ステップS10)。暖機判定温度TAはエンジン10の暖機が完了したことを示す水温である。
ステップS10が否定、すなわち、エンジン10の暖機が終了していなければ、冷却装置ECU30は、暖房要求の有無、すなわち、空調用ECUからの空調要求信号の入力の有無を判定する(ステップS12)。
暖房要求が無ければ、冷却装置ECU30は、第1、第2のウォータポンプ32、34を非作動とし、これにより第1、第2の冷却水循環回路20、22による冷却水の循環は停止される(ステップS14、S16)。この場合、冷却水の循環が行われないため、エンジン10の暖機が促進される。
そして、ステップS10に戻り同様の処理を繰り返す。
一方、ステップS12で、暖房要求が有れば、冷却装置ECU30は、第1のウォータポンプ32のみ作動させて第1の冷却水循環回路20による冷却水の循環を行わせる(ステップS18、S20)。そして、ステップS10に戻り同様の処理を繰り返す。
これにより、第1の冷却水循環回路20においてヘッド側ウォータジャケット16で加熱された冷却水がヒータコア12に循環されることにより、ヒータコア12による空気の加熱が可能な状態となり、空調装置が動作して車室内の空気がヒータコア12によって暖められて車室内に吹き出され暖房がなされる。この場合、第1の冷却水循環回路20の冷却水のみが循環され、第2の冷却水循環回路22の冷却水の循環は停止されるため、エンジン10の暖機が促進される。
また、ステップS10においてエンジン10の暖機の完了が判定されたならば、冷却装置ECU30は、第1、第2のウォータポンプ32、34の双方を作動させ、第1、第2の冷却水循環回路20、22の双方で冷却水の循環を行わせる。
これにより、冷却水の水温が上昇してやがて前記の水温THに到達すると、サーモスタット弁40が開動作し、第1、第2の冷却水循環路20、22に加えてラジエータ冷却水循環回路24にも冷却水が循環し、冷却水がラジエータ38を流通することによって冷却され、冷却水が適切な温度に維持される。これ以降、エンジン10が定常運転を実行し、冷却水が各冷却水循環路20、22、24を循環することにより、冷却水が適切な温度に維持されつつ、エンジン10での熱交換がなされ、また、暖房が実施されている場合はヒータコア12での熱交換がなされる。
また、冷却水の温度が前記の水温THを下回る場合は、サーモスタット弁40が閉動作することでラジエータ冷却水循環回路24による冷却水の循環は停止されるが、第1、第2の冷却水循環路20、22による冷却水の循環は維持され、冷却水が適切な温度に維持されつつ、エンジン10での熱交換がなされ、また、暖房が実施されている場合はヒータコア12での熱交換がなされる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1のウォータポンプ32により冷却水がヘッド側ウォータジャケット16とヒータコア12に循環される第1の冷却水循環回路20と、第2のウォータポンプ34により冷却水がブロック側ウォータジャケット18に循環される第2の冷却水循環回路22とを設け、エンジン10の暖機が完了する前に、ヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求の有無に応じて第1、第2の冷却水循環手段20、22による冷却水の循環を制御するようにした。
したがって、暖機運転時にヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求が有る場合、比較的熱量の多いヘッド側ウォータジャケットを含む第1の冷却水循環回路20の冷却水を循環させることにより、速やかな暖房を図ることができる。さらに、第2の冷却水循環回路22の冷却水の循環を停止することにより、暖機の促進を図ることができる。この場合、従来技術のようにバイパス水路を経由して循環することで冷却水の温熱が放熱される場合に比較して、冷却水は第1の冷却水循環回路20という必要最小限の経路で循環するため、冷却水の熱損失を抑制し暖機運転期間を短縮することができる。
また、暖機運転時に、第1のウォータポンプ32のみを作動させて第1の冷却水循環手段20による冷却水の循環を実施するため、第2のウォータポンプ34の仕事量を低減でき、燃費の抑制を図ることができる。
また、本実施の形態では、第1、第2の冷却水循環回路20、22は、それら冷却水循環回路20、22を流れる冷却水が合流して循環する共通流路36を備えている。したがって、冷却水循環回路全体をコンパクトにできるため、熱損失を少なくすることができ、かつ、装置を安価に製造できる。
また、本実施の形態では、第1、第2のウォータポンプ32、34を電動ウォータポンプで構成したので、冷却装置ECU30による冷却水の循環の制御を簡単な構成で行うことができる。
なお、本実施の形態では、サーモスタット弁40の近傍に設けられた水温センサ26の検出結果に基づいてエンジン10の暖機の完了を判定したが、水温センサ26の配置をヘッド側ウォータジャケット近傍に変更してもよく、この場合は、エンジン10の暖機の完了の判定をより正確に行うことができる。また、水温センサ26に代えて、エンジン10の壁面の温度を直接検出する壁温センサを設け、壁温センサの検出結果に基づいてエンジン10の暖機の完了を判定してもよい。この場合も、エンジン10の暖機の完了の判定をより正確に行うことができる。水温センサ26の配置の変更や水温センサ26に代えて壁温センサを設けることは、以下の実施の形態においても適用可能である。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、第1、第2の冷却水循環路20、22の双方にヒータコア12が接続されている点と、外気温を考慮して第1、第2の冷却水循環回路20、22における冷却水の循環の制御を行う点とが第1の実施の形態と相違している。
なお、以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様または同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、あるいは、簡単に説明する。
図3に示すように、冷却装置14は、第1の冷却水循環回路20と、第2の冷却水循環回路22と、ラジエータ冷却水循環回路24と、水温センサ26と、冷却装置ECU30とを備え、さらに、気温センサ28、第1、第2の逆流防止用弁42、44とを含んで構成されている。
外気温センサ28は、車両に設けられ、車両の外気温を検出してその検出結果を冷却装置ECU30に供給するものである。
第1の冷却水循環回路20は、第1のウォータポンプ32と、ヘッド側ウォータジャケット16と、第1の逆流防止用弁42と、ヒータコア12とがこの順番で接続され、第1のウォータポンプ32により冷却水がヘッド側ウォータジャケット16、第1の逆流防止用弁42、ヒータコア12に循環される。
第1の逆流防止用弁42は、冷却装置ECU30の制御により開閉動作されるものであり、このような弁として電磁弁など従来公知のさまざまな弁が使用可能である。
第1の逆流防止用弁42は、第1の冷却水循環回路20における冷却水の循環が停止された状態で、第2の冷却水循環回路22における冷却水が循環された場合に、第1の逆流防止用弁42を閉状態とすることで冷却水が第1の冷却水循環回路20に逆流することを防止する。
第2の冷却水循環回路22は、第2のウォータポンプ34と、ブロック側ウォータジャケット18と、第2の逆流防止用弁44と、ヒータコア12とがこの順番で接続され、第2のウォータポンプ34により冷却水がブロック側ウォータジャケット18、第2の逆流防止用弁44、ヒータコア12に循環される。
すなわち、第2の冷却水循環回路22は、ブロック側ウォータジャケット18とヒータコア12とを接続しており、第2のウォータポンプ34により冷却水がブロック側ウォータジャケット18とヒータコア12に循環される。
第2の逆流防止用弁44も第1の逆流防止用弁42と同様に、冷却装置ECU30の制御により開閉動作されるものであり、このような弁として電磁弁など従来公知のさまざまな弁が使用可能である。
第2の逆流防止用弁44は、第2の冷却水循環回路22における冷却水の循環が停止された状態で、第1の冷却水循環回路20における冷却水が循環された場合に、第2の逆流防止用弁44を閉状態とすることで冷却水が第2の冷却水循環回路22に逆流することを防止する。
第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、第1、第2の冷却水循環回路20、22は、それら冷却水循環回路20、22を流れる冷却水が合流して循環する共通流路36を備えている。
第2の実施の形態では、共通流路36の上流端は、ヒータコア12を介してヘッド側ウォータジャケット16とブロック側ウォータジャケット18とに接続され、共通流路36の下流端は、第1、第2のウォータポンプ32、34の吸込口に共通に接続されている。すなわち、ヒータコア12は共通流路36に設けられている。
次に冷却装置10の動作について図4のフローチャートを参照して説明する。
ユーザの操作によりエンジン10が始動され暖機運転が開始されることにより図4の処理が開始される。
冷却装置ECU30は、水温センサ26で検出される水温TWが所定の暖機判定温度TAを超えたか否かを判定する(ステップS30)。
ステップS30が否定、すなわち、エンジン10の暖機が終了していなければ、冷却装置ECU30は、暖房要求の有無、すなわち、空調用ECUからの空調要求信号の入力の有無を判定する(ステップS32)。
暖房要求が無ければ、冷却装置ECU30は、第1、第2のウォータポンプ32、34を非作動とし、これにより第1、第2の冷却水循環回路20、22による冷却水の循環は停止される(ステップS34、S36)。この場合、冷却水の循環が行われないため、エンジン10の暖機が促進される。
そして、ステップS30に戻り同様の処理を繰り返す。
一方、ステップS32で、暖房要求が有れば、冷却装置ECU30は、外気温センサ28の検出結果に基づき、外気温TOが所定の冷態判定温度TC未満であるか否かを判定する(ステップS38)。
冷態判定温度TCは、以下のように暖房の優先度を決定するために設定される。外気温TOが冷態判定温度TC以下ならば外気温が低温であり暖房の優先度が高くする必要がある。外気温TOが冷態判定温度TCを超えると外気温がそれほど低温ではなく暖房の優先度を下げることが許容される。
ステップS38が否定ならば、冷却装置ECU30は、第1の逆流防止用弁42を開動作させ、第2の逆流防止用弁44を閉動作させ、第1のウォータポンプ32のみ作動させて第1の冷却水循環回路20による冷却水の循環を行わせる(ステップS40、S42、S44)。そして、ステップS30に戻り同様の処理を繰り返す。
これにより、第1の冷却水循環回路20においてヘッド側ウォータジャケット16で加熱された冷却水がヒータコア12に循環されることにより、ヒータコア12による空気の加熱が可能な状態となり、空調装置が動作して車室内の空気がヒータコア12によって暖められて車室内に吹き出され暖房がなされる。この場合、第1の冷却水循環回路20の冷却水のみが循環され、第2の冷却水循環回路22の冷却水の循環は停止されるため、エンジン10の暖機が促進される。
一方、ステップS38が肯定ならば、冷却装置ECU30は、第1の逆流防止用弁42を閉動作させ、第2の逆流防止用弁44を開動作させ、第2のウォータポンプ34のみ作動させて第2の冷却水循環回路22による冷却水の循環を行わせる(ステップS46、S48、S50)。そして、ステップS30に戻り同様の処理を繰り返す。
これにより、第2の冷却水循環回路22においてブロック側ウォータジャケット16で加熱された冷却水がヒータコア12に循環されることにより、ヒータコア12による空気の加熱が可能な状態となり、空調装置が動作して車室内の空気がヒータコア12によって暖められて車室内に吹き出され暖房がなされる。この場合、第2の冷却水循環回路22の冷却水のみが循環され、第1の冷却水循環回路20の冷却水の循環は停止されるため、エンジン10の暖機が促進される。
ステップS38〜S50においては、外気温TOの判定結果に応じて、第1、第2の冷却水循環回路20、22の何れで冷却水の循環を行うかを変更しているが、以下これについて説明する。
エンジン10の温度は、シリンダヘッドの方がシリンダブロックよりも高温であり、したがって、冷却水の受熱量は、第1の冷却水循環回路20の方が、第2の冷却水循環回路22よりも高い。すなわち、第1の冷却水循環回路20で冷却水を循環させる方が、第2の冷却水循環回路22で冷却水を循環させるよりも冷却水を早期に昇温させる上で有利である。
一方、エンジン10の暖機の促進を図る上では、シリンダヘッドおよびシリンダブロックの温度を早期に昇温することが好ましいが、両者のうちでもシリンダヘッドの温度を、シリンダブロックの温度よりも早期に昇温することがより好ましい。
以上の理由から、外気温がそれほど低温でない場合は、ステップS40,S42,S44に示すように、暖機の促進を暖房性能よりも優先し、第2の冷却水循環回路22で冷却水を循環させ、シリンダヘッドの昇温を優先している。
また、外気温が低温である場合は、ステップS46,S48,S50に示すように、暖房性能を暖機の促進よりも優先し、第1の冷却水循環回路20で冷却水を循環している。
また、ステップS30においてエンジン10の暖機の完了が判定されたならば、冷却装置ECU30は、第1、第2のウォータポンプ32、34の双方を作動させ、第1、第2の冷却水循環回路20、22の双方で冷却水の循環を行わせる。
以下、ラジエータ冷却水循環回路24の動作は第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1のウォータポンプ32により冷却水がヘッド側ウォータジャケット16とヒータコア12に循環される第1の冷却水循環回路20と、第2のウォータポンプ34により冷却水がブロック側ウォータジャケット18とヒータコア12に循環される第2の冷却水循環回路22とを設け、エンジン10の暖機が完了する前に、ヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求の有無に応じて第1、第2の冷却水循環手段20、22による冷却水の循環を制御するようにした。
したがって、暖機運転時にヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求が有る場合、第1の冷却水循環回路20による冷却水の循環を実施し、第2の冷却水循環回路22による冷却水の循環を停止することにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2の冷却水循環回路22による冷却水の循環を実施することでヒータコア12による温熱の利用要求に応じることもできるため、第1の冷却水循環回路20による冷却水の循環の実施と併用することで、より速やかな暖房を図ることができる。あるいは、暖機の促進を暖房性能よりも優先させることができる。
また、本実施の形態では、暖機運転時にヒータコア12による冷却水の温熱の利用要求が有り、かつ、外気温がそれほど低温ではない場合、第2の冷却水循環回路22による冷却水の循環を実施し、第1の冷却水循環回路20による冷却水の循環を停止することにより、暖房を図りつつシリンダヘッドの熱損失を抑制することができ、暖機運転期間の短縮を図れる。
なお、第2の実施の形態において、第1、第2の逆流防止用弁42、44を設けたが、これら2つの弁を省略しても良い。
しかしながら、第2の実施の形態のように、第1、第2の逆流防止用弁42、44を設けると、第1、第2の冷却水循環回路20、22の一方で加熱された冷却水が他方に逆流することを確実に防止できることから、冷却水の温熱をヒータコア12で効率的に利用する上で有利となる。
また、第2の実施の形態において、第1、第2のウォータポンプ32、34のデューティ制御を行うことにより、より早期の暖機や暖房を図ることができる。あるいは、第1、第2のウォータポンプ32、34の仕事量の軽減を図ることができる。
例えば、第1、第2のウォータポンプ32、34のデューティ比をWP1,WP2とした場合(ただし、WP1,WP2の最大値は1.0)、以下のようにデューティ比WP1,WP2を設定することにより、第1、第2のウォータポンプ32、34の全体としての仕事量の軽減を図ることができる。
(1)第1のウォータポンプ32作動、第2のウォータポンプ34非作動の場合:
WP1:WP2=0.5:0
(2)第1のウォータポンプ32非作動、第2のウォータポンプ34作動の場合:
WP1:WP2=0:0.5
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は第1の実施の形態の変形例であり、第1、第2の冷却水循環手段の構成が第1の実施の形態と異なっている。
図5に示すように、それら冷却水循環回路20、22を流れる冷却水が合流して循環する共通流路36を備えている。
共通流路36には、単一のウォータポンプ50が設けられている。ウォータポンプ50は、電動ウォータポンプであっても、エンジン10の駆動力によって駆動されるウォータポンプであってもよい。
ウォータポンプ50の吐出口と、ヘッド側ウォータジャケット16の上流端との間に、冷却装置ECU30によって開閉が制御される第1の弁52が介設されている。
ウォータポンプの吐出口と、ブロック側ウォータジャケット18の上流端との間に、冷却装置ECU30によって開閉が制御される第2の弁54が介設されている。
したがって、冷却装置ECU30が、ウォータポンプ50が作動した状態で第1の弁52を開閉動作させることにより、第1の冷却水循環回路20における冷却水の循環と循環の停止とが制御される。
また、冷却装置ECU30が、ウォータポンプ50が作動した状態で第2の弁54を開閉動作させることにより、第2の冷却水循環回路22における冷却水の循環と循環の停止とが制御される。
したがって、第3の実施の形態では、第1の冷却水循環手段は、ウォータポンプ50と第1の弁52とで構成され、第2の冷却水循環手段は、ウォータポンプ50と、第2の弁54とで構成される。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果が奏されることは無論のこと、第1の実施の形態に比較して、ウォータポンプ50が1台で足りるため、第1、第2の冷却水循環手段の構成の簡素化、低コスト化を図ることができる。
なお、第3の実施の形態における第1、第2の冷却水循環手段を、第2の実施の形態に適用してもよく、上記と同様の効果が奏される。
なお、各実施の形態では、冷却水循環手段として冷却装置ECU30の制御により作動、非作動が切り替えられる電動ウォータポンプを主に用いたが、冷却水循環手段は、冷却水の循環を実行または停止させることができればよく、冷却水循環手段として従来公知のさまざまな構成のものが採用可能である。
例えば、電動ウォータポンプに代えて、エンジン10の出力軸から供給される動力により回転駆動されることで動作し、冷却装置ECU30の制御により駆動力の供給と切断とが制御されるクラッチが設けられているウォータポンプを設けてもよい。
このように構成した冷却水循環手段においても、冷却装置ECU30(制御手段)により、前記のクラッチの作動、非作動を制御することで冷却水循環手段による冷却水の循環を実行または停止させることができる。
10……エンジン、12……ヒータコア、16……ヘッド側ウォータジャケット、18……ブロック側ウォータジャケット、20……第1の冷却水循環回路、22……第2の冷却水循環回路、24……ラジエータ冷却水循環回路、26……水温センサ、28……外気温センサ、30……冷却装置ECU、32……第1のウォータポンプ、34……第2のウォータポンプ、36……共通流路、38……ラジエータ、40……サーモスタット弁、42……第1の逆流防止用弁、44……第2の逆流防止用弁、50……ウォータポンプ、52……第1の弁、54……第2の弁。

Claims (6)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドに形成されるヘッド側ウォータジャケットと、車室内の空調を行う空調空気と前記内燃機関の冷却水とを熱交換させる空調用熱交換手段とが接続され、第1の冷却水循環手段により前記冷却水が前記ヘッド側ウォータジャケットと前記空調用熱交換手段に循環される第1の冷却水循環回路と、
    第2の冷却水循環手段により前記冷却水が前記内燃機関のシリンダブロックに形成されるブロック側ウォータジャケットに循環される第2の冷却水循環回路と、
    前記第1、第2の冷却水循環手段による冷却水の循環を制御する制御手段と
    を備え、
    前記制御手段は、
    前記内燃機関の暖機が完了する前に、前記空調用熱交換手段の作動要求がある場合、少なくとも前記第1の冷却水循環回路の前記冷却水を循環させるとともに、前記第2の冷却水循環回路を循環する前記冷却水の流量を抑制するように前記第1、第2の冷却水循環手段を制御する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  2. 前記第1、第2の冷却水循環回路は、
    前記ヘッド側ウォータジャケットから流出した前記冷却水と前記ブロック側ウォータジャケットから流出した前記冷却水とが合流してラジエータに流入し、前記ラジエータから流出した前記冷却水が前記ヘッド側ウォータジャケットと前記ブロック側ウォータジャケットに分流する共通流路を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の冷却装置。
  3. 前記空調用熱交換手段は、前記共通流路に設けられる
    ことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の冷却装置。
  4. 前記制御手段は、
    前記内燃機関の暖機が完了する前に、前記空調用熱交換手段の作動要求があり、かつ、外気温度が所定の温度以上の場合、
    前記ブロック側ウォータジャケットを循環する前記冷却水の流量の抑制を低減するとともに、前記ヘッド側ウォータジャケットを循環する前記冷却水の流量を抑制するように前記第1、第2の冷却水循環手段を制御する
    ことを特徴とする請求項3記載の内燃機関の冷却装置。
  5. 前記第1、第2の冷却水循環手段は、前記第1、第2の冷却水循環回路にそれぞれ介設され前記制御手段により動作が制御される第1、第2の電動ウォータポンプで構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の内燃機関の冷却装置。
  6. 前記共通流路にはウォータポンプが設けられ、
    前記第1の冷却水循環手段は、前記ウォータポンプと、前記第1の冷却水循環回路の前記共通流路以外に設けられ前記制御手段によって開閉が制御される第1の弁とで構成され、
    前記第2の冷却水循環手段は、前記ウォータポンプと、前記第2の冷却水循環回路の前記共通流路以外に設けられ前記制御手段によって開閉が制御される第2の弁とで構成されている、
    ことを特徴とする請求項2乃至4に何れか1項記載の内燃機関の冷却装置。
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