JP2012153791A - フッ素系樹脂材料の表面改質方法及びフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体 - Google Patents

フッ素系樹脂材料の表面改質方法及びフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】
テトラエッチ処理に匹敵する接着強度が得られ、環境負荷が全くない新規なフッ素系樹脂材料の表面改質方法を提供し、併せて表層部を改質したフッ素系樹脂材料と金属材料を接着した積層体及びフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体を提供する。
【解決手段】
フッ素系樹脂材料を水中で発生させたプラズマに曝し、表層部に多孔質構造を導入して粗面化する水中プラズマ処理工程と、フッ素系樹脂材料の粗面化表面を大気圧プラズマに曝して脱フッ素化と、その後の大気暴露時に過酸化物ラジカル基を導入する大気圧プラズマ処理工程と、フッ素系樹脂材料の過酸化物ラジカル基導入面に、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物溶液を塗布し、前記過酸化物ラジカル基を反応点として、有機化合物を自発的に共有結合させて高密度にグラフト重合させるグラフト化工程とよりなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フッ素系樹脂材料の表面改質方法及びフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体に係わり、更に詳しくはフッ素系樹脂材料の表層部を接着性改善のために改質する方法と、それを用いて改質したフッ素系樹脂材料と金属材料を接着した積層体に関するものである。
フッ素系樹脂は、低摩擦、耐薬品性、耐熱性に優れた特性を有しており、エレクトロニクスやバイオ・医療等様々な分野での応用が期待されている。フッ素系樹脂は他の材料と複合化して用いることも多いが、フッ素系樹脂は表面エネルギーが低く、化学的に安定であるため、他の材料との接着性が低い。フッ素系樹脂の性能を最大限に引き出すためには、使用目的に適した表面改質技術の開発が不可欠となる。
特許文献1には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂からなるシートに金属箔を接着する技術として、シートを表面処理したのち、シートと金属箔とが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂接着剤を介して接着したアンテナ素子が開示されている。ここで、前記表面処理が、官能基を有する有機化合物を含む不活性ガス雰囲気中での放電処理、エキシマレーザ照射、プラズマ処理、または金属ナトリウムを用いた化学的エッチング処理である。
特許文献2には、フッ素樹脂基材の表面にエポキシ系接着層を介して金属層を張り合わせて得られる金属張積層板の製造方法において、フッ素樹脂基材の金属箔との張り合わせ面に活性化処理を施す点が開示されている。前記活性化処理は、粗化処理、プラズマ処理、又はこれらを組み合わせた複合処理のいずれかである。このフッ素樹脂基材の粗化処理とは、湿式又は乾式のブラスト法、湿式エッチング法、ドライエッチング法等を使用できる。特に、化学的手法を用いて行う湿式エッチング粗化処理で、ナトリウムエッチングと称される手法が多く採用される。プラズマ処理とは、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスでプラズマ気流を生成し、そのプラズマ気流に、フッ素樹脂基材の表面を接触させる処理のことである。この金属張積層板の用途の一例としてプリント配線基板が挙げられている。
特許文献1のアンテナ素子や特許文献2のプリント配線基板のような用途では、フッ素系樹脂材料と金属材料箔との接着強度は比較的低くても実用に耐える。しかし、過酷な環境で使用する場合には、アンテナ素子やプリント配線基板でも高い接着強度が要求され、また建築や機械工業分野で使用するには接着強度が十分に高くなくてはならない。
例えば、近年、免震建物により高い免震性能を与えるため、フッ素樹脂の低摩擦特性を応用したすべり支承が注目されている。典型的なすべり支承はベアリング材として充填剤入りPTFE樹脂をホルダ内にはめこみ、初期弾性付与と上部の回転吸収するエラストマー層を接着固定したベアリング部とステンレス鋼板(SUS304)にコーティングしたスライドプレートからなる。PTFEを充填剤で補強することにより耐摩耗性、耐クリープ性を向上させている。すべり材としてのPTFEと相手材料としてのSUS304の組み合わせは、動摩擦係数が最も小さく安定性が高い。また、経年による固着性がほとんどなく、耐高圧性の点からも最も有望な材料となっている。
すべり材であるPTFE被膜の下地材には特殊焼結剤やSUS403が用いられ、エポキシ系接着剤を介して両者を張り合わしている。補強されたPTFEシートを下地材表面に強固に接着するためには、PTFEシート表面の前処理が必要不可欠である。これまでは、テトラエッチ(株式会社潤工社の登録商標)に代表されるナトリウム−ナフタレン錯体を用いた化学的な処理が主流であった。PTFEシートを溶剤中に浸漬するだけで、PTFE表面の脱フッ素化による親水性官能基の導入とソフトエッチングによる粗面化を同時にもたらすことができた。しかしながら、劇物かつ悪臭性の溶剤を使用するほか、処理溶剤の長期安定性が低いことや、処理後の洗浄過程において大量の廃液が排出されるなど、人や環境に対する負荷が大きいことを理由に、現在ではテトラエッチのようなフッ素樹脂表面処理剤の国内使用の一部には制限がかかっている。民間メーカの多くは海外で処理されたPTFEシートを購入しているのが現状である。代替案として乾式の大気圧プラズマ等を用いる手法も提案されている。廃液処理が不要であるとともに、プラズマ中に含まれる高密度中性ラジカルによる高効率な脱フッ素化処理が期待されている。しかしながら、処理後に活性化された表面が時間経過に従い失活することや、フッ素樹脂表面処理剤相当の実用レベルの密着強度が得られていないなどの問題が残っている。
因みに、本発明者らは、特許文献3に示すように、大面積範囲において巨大なエネルギー源を均一に供給することが可能な大気圧プラズマプロセスと、基板表面から高分子鎖を自己組織的にグラフトする手法を組み合わせた「大気圧プラズマ液相化学堆積法」による環境低負荷型表面改質法を提案し、改質したフッ素系樹脂の表面に無電解めっきプロセスで密着性に優れた金属層を形成する方法を提供している。
また、特許文献4には、超純水中に高周波電圧を印加して水プラズマを生成し、水を電離又は解離させて水酸基又は水酸基イオンの濃度を増大させ、被加工物を加工する方法が開示されているが、フッ素系樹脂を水中プラズマ処理した場合に表層部が多孔質状に粗面化する点については記載がない。
特開2003−273630号公報 特開2007−326923号公報 特開2010−156022号公報 特開平10−058236号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、他の材料と接着するためにフッ素系樹脂材料の表層部を改質し、ナトリウム−ナフタレン錯体を用いた化学的な処理に匹敵する接着強度が得られ、しかも環境負荷が全くない新規なフッ素系樹脂材料の表面改質方法を提供し、併せて表層部を改質したフッ素系樹脂材料と金属材料を接着した積層体及びフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、フッ素系樹脂材料と他の材料との接着性を改善するためのフッ素系樹脂材料の表面改質方法であって、前記フッ素系樹脂材料を水中で発生させたプラズマに曝し、表層部に多孔質構造を導入して粗面化する水中プラズマ処理工程と、前記フッ素系樹脂材料の粗面化表面を大気圧プラズマに曝して脱フッ素化と、その後の大気暴露時に過酸化物ラジカル基を導入する大気圧プラズマ処理工程と、前記フッ素系樹脂材料の過酸化物ラジカル基導入面に、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物溶液を塗布し、前記過酸化物ラジカル基を反応点として、有機化合物を自発的に共有結合させて高密度にグラフト重合させるグラフト化工程と、よりなることを特徴とするフッ素系樹脂材料の表面改質方法を構成した(請求項1)。
ここで、前記フッ素系樹脂材料が、ポリテトラフルオロエチレンを主体としたものであるとより好ましい(請求項2)。
また、前記接着剤がエポキシ樹脂系接着剤であり、前記有機化合物溶液がエポキシ環の開環反応をする第一級アミンを有する有機化合物溶液であると好ましい(請求項3)。
更に、第一級アミンを有する有機化合物溶液が、水溶性ポリアクリルアミン誘導体であるとより好ましい(請求項4)。
また、本発明は、フッ素系樹脂材料と金属材料とを接着剤にて接着して積層したフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体であって、前記フッ素系樹脂材料を水中で発生させたプラズマに曝し、表層部に多孔質構造を導入して粗面化する水中プラズマ処理工程と、前記フッ素系樹脂材料の粗面化表面を大気圧プラズマに曝して脱フッ素化と、その後の大気暴露時に過酸化物ラジカル基を導入する大気圧プラズマ処理工程と、前記フッ素系樹脂材料の過酸化物ラジカル基導入面に、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物溶液を塗布し、前記過酸化物ラジカル基を反応点として、有機化合物を自発的に共有結合させて高密度にグラフト重合させるグラフト化工程と、を経て表面改質したフッ素系樹脂材料に接着剤を塗布して金属と接着したことを特徴とするフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体を構成した(請求項5)。
本発明のフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体の場合も、前記フッ素系樹脂材料が、ポリテトラフルオロエチレンを主体としたものであることがより好ましい(請求項6)。
また、前記接着剤がエポキシ樹脂系接着剤であり、前記有機化合物溶液がエポキシ環の開環反応をする第一級アミンを有する有機化合物溶液であることが好ましい(請求項7)。
更に、第一級アミンを有する有機化合物溶液が、水溶性ポリアクリルアミン誘導体であるとより好ましい(請求項8)。
そして、前記金属材料が、ステンレス鋼、銅又はアルミニウムの内の1種であると好ましい(請求項9)。
以上にしてなる本発明のフッ素系樹脂材料の表面改質方法によれば、水中プラズマ処理によってフッ素系樹脂材料の表層部に多孔質構造を導入し、表面を粗面化することができ、その後の大気圧プラズマ処理によって表面及び多孔質内を大気圧プラズマに曝して脱フッ素化と、その後の大気暴露時に過酸化物ラジカル基を高密度に導入することができ、それからフッ素系樹脂材料の過酸化物ラジカル基導入面に、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物溶液を塗布するだけで、前記過酸化物ラジカル基を反応点として、有機化合物を自発的に共有結合させて高密度にグラフト重合させることができ、このように接着性を改善した表面に接着剤を塗布して他の材料を良好に接着することができる。環境負荷の全くない水中プラズマ処理によって、テトラエッチと同等の粗面化を達成でき、接着剤のアンカー効果を期待できるのである。
高密着性PTFE/エポキシ樹脂界面の形成方法には、テトラエッチに代表されるナトリウム−ナフタレン錯体を用いた化学的な処理しかなかった。従来処理で得られてきた高密着性界面の仕組みを表面科学的手法により明らかにした結果、マクロなレベルの凹凸構造変化と分子レベルの構造変化の両方が重要であるということが明らかにすることができた。そこで本発明では、水中ストリーマ放電固有の多孔質構造の形成による粗面化表面に、大気圧ヘリウムプラズマによる過酸化物ラジカルの導入を行った後、ポリアクリルアミン単分鎖の自己組織的なグラフト重合をおこなうことにより、テトラエッチ表面に相当する密着強度が得ることができたのである。本発明により、プラズマプロセスとナノレベルの自己組織化プロセスを組み合わせることにより従来では達成困難であった、フッ素樹脂とエポキシ樹脂界面の接着強度を実用レベルまで引き上げることができた。
特に、PTFEとエポキシ系接着剤の組み合わせを選んだとき、過酸化物ラジカル基導入面に第一級アミノ基を有する水溶性ポリアクリルアミン誘導体を塗布することによって、金属材料との接着強度がテトラエッチに匹敵する程度になる。つまり、水中プラズマ処理によって、フッ素系樹脂材料の表層部に多孔質構造を導入して、表面を粗面化するとともに比表面積を増加させ、その表面に大気圧プラズマ処理によって反応性官能基の導入、自己組織化プロセスによるエポキシ樹脂系接着剤の固定化に有効なポリアクリルアミン単分子鎖を導入するのである。
例えば、本発明のフッ素系樹脂材料の表面改質方法によって表面改質したフッ素系樹脂材料とステンレス鋼とをエポキシ系接着剤で接着した場合の剥離強度は8,5N/mmとなり、テトラエッチ処理した場合の9.4N/mmに匹敵する剥離強度が、環境負荷の大きな化学溶剤を要することなく得られる。因みに、SUS304の下地材にフッ素系樹脂シートを接着してすべり支承を構成する場合の剥離強度に対する製品規格値は、5.4N/mmであり、この値を十分にクリアしている。
水中プラズマ処理装置の概念図である。 水中プラズマの発光スペクトルを示すグラフである。 大気圧プラズマ処理装置の概念図である。 大気圧プラズマの発光スペクトルを示すグラフである。 フッ素系樹脂試料の未処理面とテトラエッチ処理後のSEM画像であり、(a)は未処理の表面像、(b)は未処理の断面像、(c)はテトラエッチ処理後の表面像、(d)はテトラエッチ処理後の断面像である。 フッ素系樹脂試料の未処理の表面のXPS−C1sスペクトルのグラフである。 フッ素系樹脂試料のテトラエッチ処理後のXPS−C1sスペクトルのグラフである。 フッ素系樹脂試料を10秒間、水中プラズマ処理した後の表面状態を示したSEM画像で、(a)は表面像、(b)は断面像である。 同じく水中プラズマ処理した後のXPS−C1sスペクトルのグラフである。 フッ素系樹脂試料を大気圧プラズマ処理した後のXPS−C1sスペクトルのグラフである。 未処理のフッ素系樹脂試料を大気圧プラズマ処理し、グラフト化処理した後のXPS−C1sスペクトルのグラフである。 フッ素系樹脂試料を水中プラズマ処理した後、大気圧プラズマ処理し、グラフト化処理を行った場合のXPS−C1sスペクトルのグラフである。 フッ素系樹脂試料を各種表面処理後、金属板にエポキシ樹脂系接着剤で接着した場合の剥離強度を測定した結果のグラフである。 水中プラズマ処理時間を変化させた場合のフッ素系樹脂試料の表面状態を示し、(a)水中プラズマ処理時間が5秒、(b)10秒、(c)20秒、(d)40秒の場合のSEM表面像を示している。 水中プラズマ処理時間に対するフッ素系樹脂試料とエポキシ樹脂系接着剤界面の剥離強度の変化を示している。
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。本発明のフッ素系樹脂材料の表面改質方法は、フッ素系樹脂材料と他の材料との接着性を改善するためにフッ素系樹脂材料の表面をプラズマ処理し、表面に接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物を化学結合させるものである。具体的には、前記フッ素系樹脂材料を水中で発生させたプラズマに曝し、表層部に多孔質構造(スポンジ構造とも表現できる)を導入して粗面化する水中プラズマ処理工程と、前記フッ素系樹脂材料の粗面化表面を大気圧プラズマに曝して脱フッ素化と、その後の大気暴露時に過酸化物ラジカル基を導入する大気圧プラズマ処理工程と、前記フッ素系樹脂材料の過酸化物ラジカル基導入面に、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物溶液を塗布し、前記過酸化物ラジカル基を反応点として、有機化合物を自発的に共有結合させて高密度にグラフト重合させるグラフト化工程と、からなっている。
先ず、図1は、本実施形態で使用する水中プラズマ処理装置を示している。水中プラズマ処理装置1は、超純水を満たした処理容器2の底部にスパークプラグを電極3として上向きに配置し、該電極3の周囲に円錐台形状の気泡発生体4を配し、該気泡発生体4には処理容器2の外部に配置したヘリウムガスボンベ5からマスフロメータ6を介してガス供給管7が接続され、そして試料8を保持した対向電極9を前記電極3に対向させて配置し、前記対向電極9を接地して、電極3に高周波電源10から13.56MHzの高周波電圧を印加し、水中ストリーマ放電を発生させるものである。ヘリウムガスを電極3の先端部に導入し、ギャップで気泡を発生させることにより試料8と電極3間にプラズマが発生し、維持する。ポイント状のプラズマをラスタースキャンすることにより、具体的には試料8と対向電極9とともに、水平面内で変位させて試料8の全面を水中プラズマ処理する。水中プラズマ処理の時間は、ポイント状プラズマの滞在時間で決まる。尚、処理容器2の超純水は、プラズマ発生によって温度が上昇するので、容量が大きい、あるいは温度コントロールが可能な水槽11を配置し、前記処理容器2中の超純水をチューブポンプ12で吸引管13から汲み出して水槽11に送り、また水槽11で調整した超純水をマグネットポンプ14で供給管15から処理容器2に供給し、超純水を循環させて条件を一定に保つようにしている。図2が水中プラズマの発光スペクトルであり、水が解離してOHラジカルや原子状Hが生成していることが分かる。OHラジカルやHは非常に反応性が富んでいて、フッ素系樹脂材料を始め、他の材料表面を粗面化するのに寄与する。
図3は、本実施形態で使用する大気圧プラズマ処理装置を示している。大気圧プラズマ処理装置20は、チャンバー21の内部にφ3mmの銅ロッドからなる電極22とアルミニウムの平板からなる対向電極23に対向させ、該対向電極23に試料24を保持しチャンバー21と対向電極23を接地し、前記電極22に高周波電源25からインピダンスマッチング26を介して高周波電圧を印加するものである。ここで、前記電極22と試料24とのギャップ間距離を1〜3mmとし、電極22に13.56MHzの高周波電圧を印加してギャップ間に大気圧グロー放電を発生させて、試料24を大気圧プラズマ処理する。予備実験として、チャンバー21内を10Paまで排気したのち、大気圧になるまでヘリウムガスを充填し、ガス貯めこみ型の装置を用いたが、実際には前記チャンバー21にヘリウムガスを供給しながら排気して一定圧力に保つようにする。そして、プラズマ発生領域はロッド電極22の周囲に制限され、ライン状となるので、アルミニウムの平板からなる対向電極23を試料24とともに2mm/sの速度で一軸走査することにより、試料24の全面に大気圧プラズマ処理を行うのである。大気圧プラズマ処理の時間は、ライン状プラズマ領域の滞在時間とし、往復走査することにより調整する。図4は、電極間に発生した大気圧プラズマの発光分光による診断結果であり、ヘリウムと残存空気由来のOHラジカルや水素、酸素由来のピークが観測されている。OHラジカルとHが脱フッ素化に寄与し、大気暴露時の過酸化物ラジカル基を導入する要因となる尚、本発明で大気圧プラズマとは、減圧プラズマに対して高い圧力という意味を含めて「大気圧」を象徴的に使用しているので、大気圧を含む前後の圧力範囲を含み、実用的には0.1〜10気圧程度の範囲のプラズマのことである。
本発明は、フッ素系樹脂材料の表面を改質し、他の材料との接着性を改善するものである。好ましくはフッ素系樹脂材料としては、特性に優れたポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と表す)を主体とした材料である。そして、フッ素系樹脂材料に接着する他の材料としては、接着剤で接着可能な材質であれば特に制限されないが、好ましくは応用分野が広い金属材料を対象とする。そして、接着剤は、耐熱性に優れたエポキシ樹脂系接着剤が好ましい。
エポキシ樹脂系接着剤は、単独で使用されることは少なく、硬化剤を用いて三次元架橋させることで優れた性能を示す、エポキシ樹脂は、反応が活性なエポキシ基や水酸基を分子内に持つため、さまざまな化合物と反応することが知られている。硬化剤は大きく分けて、重付加型、触媒型、縮合型の3つに分けられる。重付加型は、硬化剤がエポキシ基又は水酸基と付加反応して三次元化する。触媒型は、エポキシ基同士の重合反応であり、縮合型は水酸基同士の縮合反応により架橋が進行する。
本発明では、接着剤をエポキシ樹脂系接着剤とした場合には、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機溶液として、硬化剤に用いられる有機化合物を用いることができ、その中で過酸化物ラジカル基を反応点として、自発的に共有結合して単分子鎖に効率良くグラフト重合するポリアミンを用いる。好ましくは、水溶性ポリアクリルアミン誘導体を用いる。
本発明は、エポキシ樹脂系接着剤に限定されず、各種の接着剤に適用することができる。接着剤は、主にエポキシ樹脂系、光硬化系、アクリル系、ポリウレタン系、ゴム系、天然物系、ホットメルト系、エマルジョン系、ラテックス系の9種類に分類できる。そして、接着剤の種類に応じて、フッ素系樹脂材料の表面に導入した過酸化物ラジカル基にグラフト重合する有機化合物に変えれば良いのである。
前記有機化合物溶液がエポキシ環の開環反応をするとは、第一級アミンを例として説明すれば、次の(化1)のようになる。まず、第一級アミンの活性水素とエポキシ基が反応して第二級アミンが生成する。生成した第二級アミンは、エポキシ基と反応して第三級アミンを生成する。このように、エポキシ環が開環反応することにより、三次元架橋して硬化するのである。つまり、塗布する有機化合物が硬化剤の働きをするのである。
Figure 2012153791
本発明では、エポキシ環の開環反応をする第一級アミンを有する有機化合物として、水溶性ポリアクリルアミン誘導体を用いる。具体的には、水溶性ポリアクリルアミン誘導体として、ポリメント(株式会社日本触媒の登録商標)を用いる。このポリメントは、ポリエチレンイミンを側鎖にグラフトした第一級アミノ基含有アクリル系ポリマーで、ポリエチレンイミンとアクリルポリマーの特長を併せ持つものである。ポリメントの化学式を(化2)に示す。
Figure 2012153791
フッ素系樹脂材料と接着する金属材料としては、ステンレス鋼や銅、アルミニウムが挙げられる。すべり支承のような用途では、ステンレス鋼板にPTFEに適宜ガラスファイバ等のフィラーを充填した板材を前述のように水中プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、グラフト化処理を行って改質し、エポキシ樹脂系接着剤で接着して積層体とする。エレクトロニクス分野での用途では、高周波特性に優れたPTFEシートに銅箔やアルミニウム箔を接着した積層体とする。しかし、金属材料は前述にものに限定されず、磁石であっても良く、用途に応じて広く選択し得るし、接着剤も最適なものを選択することができる。
本実施形態では、フッ素系樹脂材料として、厚さ2.4mmのフロロゴールド(日本ピラー工業株式会社の商品名)を用いた。このフロロゴールドは、PTFEにガラスファイバを混ぜ込むことにより、耐摩耗性、耐クリープ性を向上させて、すべり材として使用することができるものであり、以下「フッ素系樹脂試料」と表す。また、エポキシ樹脂系接着剤としてアラルダイト(Araldite:ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社の商品名)を用い、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物溶液として、水溶性ポリアクリルアミン誘導体(ポリメント:株式会社日本触媒の商品名)を用いた。
各種表面処理の後、超純水に対する静的接触角測定(協和界面科学、DropMaster300)、SEM観察、XPS測定(ULVAC-PHI製PHI Quantum 2000)の各測定を行った。また、剥離強度は、各種処理表面に厚み500μmのエポキシ樹脂系接着剤を塗布・硬化させたのち、90°剥離試験機(デジタルフォースゲージ)を用いてJIS規格に準拠した測定を行った。
尚、接触角は、未処理の表面が約122°に対し、水中プラズマ処理では約65°(グラフト化後は約107°)、大気圧プラズマ処理では約69°(グラフト化後は約109°)、テトラエッチでは約62°となって何れも小さくなっているが、剥離強度との明確な相関は見られなかった。
図5は、フッ素系樹脂試料の未処理面とテトラエッチ処理後のSEM画像である。(a)は未処理の表面像、(b)は未処理の断面像、(c)はテトラエッチ処理後の表面像、(d)はテトラエッチ処理後の断面像であり、左右の画像のスケールは同じである。テトラエッチ処理により、フッ素系樹脂試料表面は茶褐色に変色し、SEM観察より、基質部分には無数の小さなピットが形成されており、充填剤として用いられているロッド状のSiO2が表面に露出していることが分かる。断面観察の結果、表面から深さ200μmの領域までその作用が及んでいることが示唆された。
図6は、未処理の表面のXPS−C1sスペクトルの測定結果を示し、図7は、テトラエッチ処理後のXPS−C1sスペクトルの測定結果を示している。図6及び図7を比較することにより、テトラエッチ処理によるフッ素系樹脂試料表面の組成変化がよく分かり、PTFE側鎖に含まれるフッ素の脱離とカルボニル基、水酸基などの親水性官能基の形成が確認された。ナトリウム錯体との化学反応により水素の発生を伴いながら、脱フッ素化と反応熱による表面の粗面化と親水性官能基の形成が同時に進行していることが分かる。
図8及び図9は、水中プラズマ処理後のフッ素系樹脂試料表面の構造解析結果を示す。図8は、フッ素系樹脂試料を10秒間、水中プラズマ処理した後の表面状態を示したSEM画像で、(a)は表面像、(b)は断面像である。図9に示したXPS−C1sスペクトルより、292.2eV付近の−CF2由来のピーク強度の変化は殆どなく、脱フッ素や親水性官能基および過酸化物ラジカルの形成といった、化学組成の変化はまったく観られない。一方で、図8のSEM画像より、水中プラズマ処理によって、基質表面にはナノサイズの多孔質構造が無数に形成されていることが分かった。断面の解析を行ったところ、未処理の試料と比較して深さ方向については明確に変化が見られなかった。水中という高圧条件下において発生したストリーマ放電により、基質表面にのみナノオーダーのピットが形成されたと考えられる。テトラエッチ処理のように、フッ素系樹脂試料の断面深くまで基質を荒らすことがないので、エレクトロニクス分野に応用する場合に基質の特性を損なわず有利である。
図10は、フッ素系樹脂試料を大気圧プラズマ処理した後のXPS−C1sスペクトルの測定結果を示し、併せて未処理の場合も示している。大気圧プラズマ処理に伴うフッ素系樹脂試料表面の化学組成変化は以下のようである。292.2eV付近の−CF2由来のピーク強度が減少し、285〜290eVの領域に−C−O−(286.5eV)、−C=O(287.9eV)を含むブロードなピークが出現したことから、PTFE表面の脱フッ素化及び、大気暴露時における自発的な親水性官能基の導入が示唆された。また、同様の処理をPTFEシートに対して行った場合、PTFEシート表面に過酸化物ラジカルが形成されることがESRスペクトルから確認されている。今回用いたフッ素系樹脂試料は、膜厚が厚く、また充填剤としてSiO2が混入されているため、直接ESRの測定を行うことができないが、PTFEシート表面同様の結果がフッ素系樹脂試料表面でも起こっていると推測される。これら、前述の水中プラズマ処理とは全く異なる結果は注目すべき現象である。
次に、未処理のフッ素系樹脂試料を大気圧プラズマ処理し、表面に過酸化物ラジカル基を導入した後、エポキシ環の開環反応に有用な第一級アミノ基を分子末端に有するポリアクリルアミン誘導体(ポリメント)の水溶液をスピンコートした(グラフト化処理)。過剰に物理吸着したポリメントを超純水で洗浄した後のXPS−C1sスペクトルを図11に示している。図11には、ポリアクリルアミン由来の3つのピークが観測されており、過酸化物ラジカルを起点としたポリアクリルアミン単分子鎖がグラフト重合されていることが示唆されている。
次に、フッ素系樹脂試料を水中プラズマ処理した後、大気圧プラズマ処理し、グラフト化処理を行った場合のXPS−C1sスペクトルを図12に示す。水中ストリーマ放電により表層部にナノオーダーの多孔質構造が導入されたことにより、フッ素系樹脂試料表面の比表面積の増大が期待できる。そこで、水中ストリーマ放電処理をおこなった表面に、連続して大気圧グロー放電処理を行った後、ポリアクリルアミンのグラフト化を行った。図11に示した大気圧グロー放電処理後のグラフト化表面のXPSC1sスペクトルと比較すると、第一級アミンに隣接したカーボン由来のピークの相対強度が増大していることから、粗面化による比表面積の増大によるポリアクリルアミン単分子鎖のグラフト密度の向上が示唆されている。
最後に、それぞれの処理後におけるフッ素系樹脂試料(フロロゴールド)とエポキシ樹脂系接着剤(アラロダイト)の界面の密着強度について実験した結果を図13に示す。図13には、本発明の水中プラズマ処理と大気圧プラズマ処理とグラフト化処理を行った場合(実施例1)、未処理(比較例1)、大気圧プラズマ処理のみ(比較例2)、大気圧プラズマ処理とグラフト化処理(比較例3)、水中プラズマ処理のみ(比較例4)、テトラエッチ処理(比較例5)の各場合の剥離試験結果を示している。
テトラエッチ処理表面では、約9.4N/mmの値が得られているのに対し、未処理試料では約1.2N/mmであった密着強度は、大気圧プラズマ処理による表面改質後には3.2N/mmまで増大した。それに、グラフト化処理を行うことにより、3.9N/mmまで増大した。これは、第一級アミンによるエポキシ環の開環反応の効果によるものと考えられる。また、水中プラズマ処理(処理時間10秒)により粗面化した表面では2.9N/mmであったが、水中プラズマ処理(処理時間10秒)により粗面化した後、大気圧プラズマ処理とグラフト化処理により表面改質した結果、剥離強度は実用化製品の規格値(5.4N/mm)を超える6.1N/mmまで増強されることが分かった。
水中プラズマ処理により粗面化した後、大気圧プラズマ処理とグラフト化処理による表面改質を行うことにより、実用品の規格値を超える高密着性を得ることがでた。しかしながら、従来用いられてきたテトラエッチ処理と比較して、その密着強度は充分とはいえない。テトラエッチ処理と水中プラズマ処理後の断面や表面を比較すると、テトラエッチ処理では、表面に形成された多孔質構造が深さ250μmまで処理が進行しているのに対し、水中プラズマ処理では極浅い表層部にのみ多孔質構造が導入されているに過ぎない。約10秒程度の水中プラズマ処理では、最表面層にのみ多孔質構造が形成されていたと考えられる。
そこで、水中プラズマ処理時間を変化させ、多孔質構造の変化に対する密着強度依存性について調べた。図14は、水中プラズマ処理時間が(a)5秒、(b)10秒、(c)20秒、(d)40秒の場合のフッ素系樹脂試料のSEM表面像を示している。図15は、水中プラズマ処理時間に対するフッ素系樹脂試料とエポキシ樹脂系接着剤界面の剥離強度の変化を示している。水中プラズマ処理時間を20秒行うことにより、その剥離強度が8.5N/mmと、テトラエッチ処理に相当する値を得ることができた。各水中プラズマ処理後のフッ素系樹脂試料表面のSEM画像から、処理時間20秒において、最も密に多孔質構造が形成されていることが分かる。一方で、過剰の水中プラズマ処理を行うと密着強度は激減することが分かる(図14(d)参照)。その表面は、基質部分が平滑化していることが分かる。過剰な水中プラズマ処理により、基材表面が加熱され、ガラス転移温度を超えて結果ゴム状態になってしまった結果、表面エネルギーの最小化により平滑化されたと考えられる。剥離試験後のフッ素系樹脂試料表面のSEM像から、高密着性が得られた界面については、エポキシ系樹脂とフッ素系樹脂試料界面が三次元的に接合されている様子が示唆されている。
フッ素系樹脂材料は低摩擦、耐薬品性,耐熱性に優れた特性を有しており、エレクトロニクスやバイオ・医療など様々な分野での応用が期待されてきた。近年では、免震建物により高い免震性能を与えるフッ素系樹脂の低摩擦特性を応用したすべり支承が注目されている。典型的なすべり支承は、ベアリング材として充填剤入りPTFE樹脂をステンレス鋼製ホルダ内に嵌めこみ、初期弾性付与と上部の回転吸収するエラストマー層を接着固定したベアリング部とステンレス鋼板にコーティングしたスライドプレートからなる。このように、すべり材としてのPTFEと相手材料としてのSUS304の組み合わせは,動摩擦係数が最も小さく安定性が高い。また、経年による固着性がほとんどなく、耐高圧性の点からも最も有望な材料となっている。すべり材であるPTFE被膜の下地材には特殊焼結剤やSUS403が用いられ、エポキシ系接着剤を介して両者を張り合わしている。本発明は、補強されたPTFEシートを下地材表面に強固に接着するためのPTFEシート表面の前処理として利用可能である。
1 水中プラズマ処理装置
2 処理容器
3 電極
4 気泡発生体
5 ヘリウムガスボンベ
6 マスフロメータ
7 ガス供給管
8 試料
9 対向電極
10 高周波電源
11 水槽
12 チューブポンプ
13 吸引管
14 マグネットポンプ
15 供給管
20 大気圧プラズマ処理装置
21 チャンバー
22 電極
23 対向電極
24 試料
25 高周波電源
26 インピダンスマッチング

Claims (9)

  1. フッ素系樹脂材料と他の材料との接着性を改善するためのフッ素系樹脂材料の表面改質方法であって、
    前記フッ素系樹脂材料を水中で発生させたプラズマに曝し、表層部に多孔質構造を導入して粗面化する水中プラズマ処理工程と、
    前記フッ素系樹脂材料の粗面化表面を大気圧プラズマに曝して脱フッ素化と、その後の大気暴露時に過酸化物ラジカル基を導入する大気圧プラズマ処理工程と、
    前記フッ素系樹脂材料の過酸化物ラジカル基導入面に、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物溶液を塗布し、前記過酸化物ラジカル基を反応点として、有機化合物を自発的に共有結合させて高密度にグラフト重合させるグラフト化工程と、
    よりなることを特徴とするフッ素系樹脂材料の表面改質方法。
  2. 前記フッ素系樹脂材料が、ポリテトラフルオロエチレンを主体としたものである請求項1記載のフッ素系樹脂材料の表面改質方法。
  3. 前記接着剤がエポキシ樹脂系接着剤であり、前記有機化合物溶液がエポキシ環の開環反応をする第一級アミンを有する有機化合物溶液である請求項1又は2記載のフッ素系樹脂材料の表面改質方法。
  4. 第一級アミンを有する有機化合物溶液が、水溶性ポリアクリルアミン誘導体である請求項3記載のフッ素系樹脂材料の表面改質方法。
  5. フッ素系樹脂材料と金属材料とを接着剤にて接着して積層したフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体であって、前記フッ素系樹脂材料を水中で発生させたプラズマに曝し、表層部に多孔質構造を導入して粗面化する水中プラズマ処理工程と、前記フッ素系樹脂材料の粗面化表面を大気圧プラズマに曝して脱フッ素化と、その後の大気暴露時に過酸化物ラジカル基を導入する大気圧プラズマ処理工程と、前記フッ素系樹脂材料の過酸化物ラジカル基導入面に、接着剤と反応性のある官能基を分子内に持つ有機化合物溶液を塗布し、前記過酸化物ラジカル基を反応点として、有機化合物を自発的に共有結合させて高密度にグラフト重合させるグラフト化工程と、を経て表面改質したフッ素系樹脂材料に接着剤を塗布して金属と接着したことを特徴とするフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体。
  6. 前記フッ素系樹脂材料が、ポリテトラフルオロエチレンを主体としたものである請求項5記載のフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体。
  7. 前記接着剤がエポキシ樹脂系接着剤であり、前記有機化合物溶液がエポキシ環の開環反応をする第一級アミンを有する有機化合物溶液である請求項5又は6記載のフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体。
  8. 第一級アミンを有する有機化合物溶液が、水溶性ポリアクリルアミン誘導体である請求項7記載のフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体。
  9. 前記金属材料が、ステンレス鋼、銅又はアルミニウムの内の1種である請求項5〜8何れか1項に記載のフッ素系樹脂材料と金属材料の積層体。
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