JP2012151930A - モータの冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力損失を抑制すると共に、モータを十分に冷却する。
【解決手段】モータ1を冷却するための冷却装置であって、モータ1のシャフト10の内部に設けられ、冷却用オイルが導入される冷媒通路11と、モータ1のケース40内に配置され、モータ1のロータ20の回転に応じて冷媒通路11からステータ30へオイルを供給するラジアルピストンポンプ50と、を備える。ラジアルピストンポンプ50は、ピストン53a〜hにカム65と当接するよう加えられる圧縮バネ55a〜hによる付勢力より大きい遠心力がロータ20の回転によって発生したときに、ピストン53a〜hがカム65から離間すると共に、吸入弁57a〜h及び吐出弁63a〜hが開放するよう構成される。
【選択図】図1
【解決手段】モータ1を冷却するための冷却装置であって、モータ1のシャフト10の内部に設けられ、冷却用オイルが導入される冷媒通路11と、モータ1のケース40内に配置され、モータ1のロータ20の回転に応じて冷媒通路11からステータ30へオイルを供給するラジアルピストンポンプ50と、を備える。ラジアルピストンポンプ50は、ピストン53a〜hにカム65と当接するよう加えられる圧縮バネ55a〜hによる付勢力より大きい遠心力がロータ20の回転によって発生したときに、ピストン53a〜hがカム65から離間すると共に、吸入弁57a〜h及び吐出弁63a〜hが開放するよう構成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、モータの冷却装置に関する。
従来、エンジンとモータとを動力源とするハイブリッド車両において、運転中のモータの発熱を抑制するために、ポンプ機能を利用してオイルなどの冷媒をモータ内に供給する技術が知られている。例えば、特許文献1には、エンジンとモータとを用いるハイブリッド車両用駆動装置において、駆動装置の出力軸に連結されるオイルポンプが、出力軸の駆動に伴って冷媒を吐出し、オイルポンプによって吐出された冷媒をモータへ供給し、モータを冷却する技術が開示されている。
特許文献1に記載されるようにポンプ機能を利用して冷媒を供給しモータを冷却する構成の場合、ポンプは出力軸と連動するため、出力軸が駆動する間は常にポンプも駆動されている。つまり、出力軸がポンプを駆動することによる動力損失が常に発生している。
ここで、ハイブリッド車両において、モータと直結する動力伝達部内に溜まった冷媒を、ディファレンシャルギヤのリングギヤで掻き上げて、動力伝達部ケース上部に設けられたキャッチタンクに送る技術が知られている。このようにキャッチタンクに掻き上げられた冷媒は、その一部がモータに供給されてモータの冷却に利用される。この技術によれば、運転開始後、キャッチタンクにオイルが掻き上げられはじめると、モータを冷却するのに充分な量の冷媒がモータに供給されるようになる。
特許文献1に記載されるようにポンプ機能を利用して冷媒を供給しモータを冷却する構成では、動力伝達部のキャッチタンクから充分な量の冷媒がモータに供給される状態となっても、出力軸が駆動している限りポンプも常時駆動するため、モータ冷却には不要なポンプによる冷媒供給が継続され、このポンプ駆動による無駄な動力損失を生じる虞があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、動力損失を抑制すると共に、モータを十分に冷却することができるモータの冷却装置を提供することを目的とする。
本発明は、ケース内部に回転可能に保持されたシャフト、前記シャフトの周囲に固設されたロータ、前記ロータの外周に配置されたステータを有するモータを冷却するための冷却装置であって、前記シャフトの内部に設けられ、冷媒が導入される冷媒通路と、前記ケース内に配置され、前記ロータの回転に応じて前記冷媒通路から前記ステータへ前記冷媒を供給するラジアルピストンポンプと、を備え、前記ラジアルピストンポンプは、ピストンと、前記ロータと共に回転可能に連結され、前記ロータの半径方向へ移動自在に前記ピストンを収容するシリンダブロックと、前記ケースに連結され、前記半径方向の内側から前記ピストンと対向するよう配置されたカムと、前記ピストンに対して前記半径方向の内側に向かって付勢力を加える付勢部材と、前記冷媒通路に開口された吸入口から前記シリンダブロックに前記冷媒を吸入する吸入弁と、前記シリンダブロックに開口された吐出口から前記ステータ30に前記冷媒を吐出する吐出弁と、を有し、前記ロータの回転によって、前記付勢力より大きい遠心力が発生したときに、前記ピストンが前記カムから離間すると共に、前記吸入弁及び前記吐出弁が開放するよう構成されることを特徴とする。
前記吐出口が、前記ステータと対向して設けられていることが好ましい。
前記ロータの回転によって、前記付勢力より大きい遠心力が発生したときに、前記ロータの回転数が大きくなるほど前記冷媒の吐出量を制限する吐出量制限部を備えることが好ましい。
さらに、前記吐出量制限部は、遠心力によって遠心方向に移動する前記ピストンのスカート部が、前記ロータの回転数が大きくなるほど前記吸入口からシリンダへの経路を絞る絞り機構であること好ましい。
本発明にかかるモータの冷却装置において、ロータの回転によって、ラジアルピストンポンプのピストンをカムに当接させている付勢力より大きい遠心力が発生したときに、ピストンがカムから離間すると共に、吸入弁及び吐出弁が開放する。このように、ロータの回転が増えたときにラジアルピストンポンプのポンプ機能が停止するため、無駄な動力損失を抑制することができる。また、ピストンがカムから離間してポンプ機能が停止するのと同時に、遠心力により吸入弁及び吐出弁が開放され、冷媒通路から吐出口へ冷媒をとおす経路が連通する。そして、冷媒通路内の冷媒が、ロータ回転による遠心力によって、吐出口から吐出される。このため、ポンプ機能が停止してもモータを充分に冷却させることができる。したがって、本発明にかかるモータの冷却装置は、動力損失を抑制すると共に、モータを十分に冷却することができるというという効果を奏する。
以下に、本発明に係るモータの冷却装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータの冷却装置の概略構成を示す断面図、図2は、図1に示すラジアルピストンポンプのII―II断面図である。
図1に示すモータ1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と、充放電可能な2次電池(バッテリ)から電力供給されるモータとを動力源とするハイブリッド自動車に搭載されたモータである。
図1に示すように、モータ1は、ロータ20と、ロータ20の外周に配置されたステータ30とを備える。ロータ20は、中心線Oに沿って延びるシャフト10に設けられている。ロータ20は、シャフト10の周囲に固設され、シャフト10とともに中心線Oを中心に回転する。なお、シャフト10、ロータ20及びステータ30は、ケース40(図1には一部のみ図示)の内部に収納されており、シャフト10は、このケース40に回転可能に保持されている。
ロータ20は、ロータコア21と、ロータコア21に埋設された永久磁石22とを有する。すなわち、モータ1は、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。ロータコア21は、中心線Oに沿った円筒形状を有する。ロータコア21は、中心線Oの軸方向に積層された複数の電磁鋼板から構成されている。中心線O方向に位置するロータ20の軸方向端面の一方20aには、エンドプレート23が設けられている。
ステータ30は、ステータコア31と、ステータコア31に巻回されたコイル32とを有する。ステータコア31は、中心線Oの軸方向に積層された複数の電磁鋼板から構成されている。なお、ロータコア21およびステータコア31は、電磁鋼板に限定されず、たとえば圧粉磁心から構成されても良い。
コイル32は、ハイブリッド自動車に搭載されたECU(Electrical Control Unit)(図示せず)から、モータ1が出力すべきトルクに応じたモータ制御電流を供給される。モータ制御電流がステータ30のコイル32に供給されると、ステータ30により磁場が発生し、この磁場によって、永久磁石22が埋設されたロータ20が回転する。そして、この回転が、ロータ20が固設されたシャフト10を介して、モータの出力トルクとして動力伝達部(図示せず。動力分配機構、モータリダクション機構、ディファレンシャルギヤ等からなる)に伝達される。
本実施形態では、モータ1を冷却するための冷却装置として、モータ1には、冷却用のオイル(冷媒)が導入される冷媒通路11がシャフト10の内部に中心線O方向に延びるよう設けられ、また、ロータ20の回転に応じて冷媒通路11からステータ30へ冷媒を供給し冷却するラジアルピストンポンプ50が、ケース40内に配設されている。
ここで、従来より、ハイブリッド車両システムにおいては、動力伝達部(図示せず)内に溜まったオイルを、ディファレンシャルギヤのリングギヤで掻き上げて、動力伝達部ケース上部に設けられたキャッチタンクに送り、動力伝達部の潤滑に用いると共に、その一部をモータに供給する構成がとられており、本実施形態も同様の構成をとるものである。つまり、シャフト10の冷媒通路11は、冷媒通路11より鉛直上方に配置されている動力伝達部のキャッチタンク(図示せず)と連通されており、キャッチタンクに貯留されたオイルを、重力を利用して自動的に冷媒通路11に導入されるよう構成されている。
また、冷媒通路11は、冷媒通路11より鉛直下方に配置されているオイルパン(図示せず)とも連通されており、ラジアルピストンポンプ50によるポンプ機能によって、オイルパンに貯留されているオイルが冷媒通路11を介してポンプ50に吸入されるようにも構成されている。
ラジアルピストンポンプ50は、シリンダブロック51、カム65、ならびに複数組のピストン53a〜h、圧縮バネ(付勢部材)55a〜h、吸入弁57a〜h及び吐出弁63a〜hを含んで構成される。
シリンダブロック51は、ロータ20と同様に、中心線Oに沿った円筒形状をとる。シリンダブロック51の軸方向端面のうち一方51aと、ロータ20の軸方向端面のうちエンドプレートが配設されていない面20bとが対向して、ロータ20に固定されている。また、シリンダブロック51は、ロータ20と同様にシャフト10の周囲に固設されており、シャフト10及びロータ20とともに中心線Oを中心に回転可能に連結されている。また、シリンダブロック51は、ステータ30の内周側に配置され、その外周面51bがステータ30の内周面30aと対向して配置されている。
シリンダブロック51には、周方向均等間隔に8つのシリンダ52a〜hが形成されている。各シリンダ52a〜hには、ピストン53a〜hがシリンダブロック51の半径方向(ロータ20の半径方向)に沿って移動自在に支持され収容されている。そして、この各ピストン53a〜hの内径側先端部にはローラ54a〜hが装着されており、これらローラ54a〜hは、シリンダブロック51の軸方向に平行な軸線を中心として回転自在に支持されている。また、各シリンダ52a〜h内には、ピストン53a〜hより半径方向外側には、付勢部材として圧縮バネ55a〜hが収容され、各ピストン53a〜hは、各圧縮バネ55a〜hにより、半径方向の内側に向かって付勢力が加えられている。
カム65は、シャフト10を回転支持するための軸受け(ケース40に固設)の周囲においてケース40と連結固定されている。図1,2に示すように、カム65は、中心線Oに沿った楕円筒形状をとり、その外周に、中心線O方向からみて、楕円形状をなすカム面65aが設けられている。そして、カム65は、このカム面65aが、半径方向内側から各ピストン53a〜hと対向して配置されている。
すなわち、シリンダブロック51内の各ピストン53a〜hは、それぞれのローラ54a〜hがカム65のカム面65aと当接するように、各圧縮バネ55a〜hの付勢力によって拘束されている。そして、各ピストン53a〜hと各シリンダ52a〜hとの間には密閉された油室66a〜hが形成されており、ロータ20が回転すると、各ピストン53a〜hがローラ54a〜hを介してカム面65aにより往復運動することで、油室66a〜hの容積が拡大縮小する。
また、ピストン53a〜hは、ロータ20の回転による遠心力が圧縮バネ55a〜hによる付勢力より大きくなった場合には、付勢力に抗して半径方向外側へ移動しカム65から離間する。このとき、ピストン53a〜hの往復運動は停止し、ラジアルピストンポンプ50のポンプ機能も停止する。また、さらに遠心力が増大すると、遠心力の増大にともなって、ピストン53a〜hの位置はさらに半径方向外側に徐々に移動するようになる。
シリンダブロック51の冷媒通路11上の周面には、冷媒を各シリンダ52a〜hに吸入するための吸入口56a〜hが開口されている。吸入口56a〜hには、吸入弁57a〜hが設けられており、吸入弁57a〜hの開閉によって冷媒の吸入が調整される。吸入弁57a〜hには、半径方向外側に圧縮バネ58a〜hが連結され、半径方向内側に向けて付勢力が加えられ通常は閉じられており、例えばシリンダ52a〜hとピストン53a〜hにより形成される油室66a〜hの容積が拡大され、シリンダ内が負圧となった場合に、吸入弁57a〜hがバネ58a〜hの付勢力に抗して半径方向外側へ移動し、開くように構成されている。
吸入弁57a〜hの後には、軸方向のロータ20側へ向かう第一連通孔59a〜hが設けられ、続いて、ロータ20の端面20bと接触しながら半径方向外側へ延びる連結通路60a〜hが設けられ、さらに、連結通路60a〜hとシリンダ52a〜hとを連通する第二連通孔61a〜hが設けられている。
シリンダブロックの外周面51b上には、各シリンダ52a〜hから冷媒をステータ30に吐出するための吐出口62a〜hが開口されている。吐出口62a〜hは、各シリンダ52a〜hから半径方向外側に向けた直線状の位置に開口されている。すなわち、上述のとおりシリンダブロック51はステータ30の内周に配置されているので、吐出口62a〜hはステータ30の内周面30aと対向して設けられている。
吐出口62a〜hには、吐出弁63a〜hが設けられており、吐出弁63a〜hの開閉によって冷媒の吐出が調整される。吐出弁63a〜hには、半径方向外側に圧縮バネ64a〜hが連結され、半径方向内側に向かって付勢力が加えられ通常は閉じられており、例えばシリンダ52a〜hとピストン53a〜hにより形成される油室66a〜hの容積が圧縮され、シリンダ52a〜h内の圧力が増大した場合に、吐出弁63a〜hが圧縮バネ64a〜hの付勢力に抗して半径方向外側へ移動し、開くように構成されている。
また、吸入弁57a〜h及び吐出弁63a〜hは、共にロータ20の回転による遠心力がバネ58a〜h,64a〜hの付勢力より大きくなった場合には半径方向外側へ移動するよう構成されている。この場合、吸入弁57a〜h及び吐出弁63a〜hは常に開いた状態となる。
次に、本実施形態に係るモータの冷却装置の動作について説明する。
まず、ECUによりモータ1が出力すべきトルクに応じたモータ制御電流がステータ30のコイル32に供給されると、ステータ30により発生する磁場によって永久磁石22が埋設されたロータ20が回転しはじめ、ロータ20と連結されたシリンダブロックも回転しはじめる。シリンダブロックに回転が生じると、シリンダブロック51に収容される各ピストン53a〜hの先端部のローラ54a〜hが、ケース40に固設されているカム65のカム面65aに沿って摺動し、楕円状の軌道を移動するため、ローラ54a〜hと連結するピストン53a〜hは、シリンダ52a〜h内を半径方向に沿って往復移動し、これによりラジアルピストンポンプ50が作動する。
このとき、図1,2に示すように、カム面65aのうち楕円形状の長軸にあたる位置で押されたピストン(図2のピストン53a,53e)は、圧縮バネの付勢力に抗してシリンダに押し込まれる。一方、カム面65aのうち楕円形状の短軸にあたる位置で当接するピストン(図2のピストン53c,53g)は、圧縮バネの付勢力によって強制的に半径方向内側に押し戻される。
ピストン53a〜hが押し戻されたシリンダ52a〜hでは、図1の上部に示すように、油室66a〜h内のオイルの負圧によって吐出弁63a〜hが閉塞され、吸入弁57a〜hが開放される。そして、図1の矢印Aで示すように、冷媒通路11から、吸入口56a〜h、第一連通孔59a〜h、連結通路60a〜h、第二連通孔61a〜hを介して、シリンダ52a〜hにオイルを吸い上げる。このとき、連結通路60a〜hにはロータ20の永久磁石22の端面が露出しており、オイルが連結通路60a〜hを通過する際には、耐熱性の低い永久磁石22をオイルによって冷却することができる。
また、ピストン53a〜hが押し込まれたシリンダ52a〜hでは、図1の下部に示すように、油室66a〜h内のオイルの正圧によって吸入弁57a〜hが閉塞され、吐出弁63a〜hが開放される。そして、図1の矢印Bで示すように、吐出口62a〜hからステータ30の内周面30aに向けてオイルが吐出され、ステータ30に供給される。
なお、モータ1が駆動しはじめた時点では、シャフト10を介してモータ出力が伝達される動力伝達部(図示せず)においては、キャッチタンク(図示せず)へのオイル掻き上げ動作がはじまったばかりであるため、いまだ充分な量のオイルがキャッチタンクに貯留されておらず、キャッチタンクから冷媒通路11へ充分なオイル供給は行われていない状態である。そこで、キャッチタンクから冷媒通路11へ充分なオイル供給が行われるようになるまでは、ラジアルピストンポンプ50のポンプ機能を利用して、オイルパン(図示せず)に貯留されているオイルが吸い上げて利用される。
そして、特に本実施形態では、モータ1が駆動しはじめてから充分に時間が経過し、キャッチタンクから冷媒通路11へ充分なオイル供給が行われるようになると、ラジアルピストンポンプ50によるポンプ機能を停止し、遠心力の作用のみによって冷媒をステータ30に供給するように、冷媒の供給手段を切り替える構成がとられている。
図3は、ポンプ機能を停止したときのラジアルピストンポンプ50を示す図である。図3に示すように、ロータ20がある所定の回転数を超え、遠心力が圧縮バネ55a〜hの付勢力より大きくなると、圧縮バネ55a〜hによりカム面65aと当接するよう拘束されていたピストン53a〜hが、半径方向外側へ移動してカム65から離間する。ピストン53a〜hがカム65から離間すると、シリンダブロック51が回転してもピストン53a〜hが往復運動しなくなるため、オイル吸入やオイル吐出が行われなくなり、ラジアルピストンポンプ50のポンプ機能が停止する。
また、ピストン53a〜hがカム65から離間すると共に、吸入弁57a〜h及び吐出弁63a〜hも圧縮バネ58a〜h,64a〜hによる付勢力より大きい遠心力を受けて半径方向外側に移動し、吸入弁57a〜h及び吐出弁63a〜hの両方が開放される。そして、図3に示すように、ラジアルピストンポンプ50内に、吸入口56a〜h、第一連通孔59a〜h、連結通路60a〜h、第二連通孔61a〜h、シリンダ52a〜h、吐出口62a〜hを介する、冷媒通路11からステータ30への冷媒供給経路が連通される。
このとき、ラジアルピストンポンプ50のポンプ機能は停止しているため、オイルパンに貯留されているオイルを吸い上げて利用することはできないが、その代わりに、動力伝達部のキャッチタンクには既にオイルが掻き上げられ貯留されており、キャッチタンクからモータ1を冷却するのに充分な量のオイルが冷媒通路11へ導入されている状態である。そこで、冷媒通路11へ導入されたオイルは、ロータ20の回転により作用する遠心力によって、図3の矢印Cで示すように、吸入口56a〜h、第一連通孔59a〜h、連結通路60a〜h、第二連通孔61a〜h、シリンダ52a〜h、吐出口62a〜hを経て、ステータ30の内周面30aに向けて吐出され、ステータ30に供給される(図1参照)。なお、この場合、ピストン53a〜hは動作せずシリンダ52a〜h内に負圧が発生しないため、ポンプ作動時よりも吐出量は少なくなり、また、消費動力も小さくできる。
ここで、本実施形態では、ポンプ機能を停止し遠心力のみを利用したオイル供給に切り替えるタイミングとして、「圧縮バネ55a〜hによる付勢力より大きい遠心力が発生したとき」と規定しているが、より詳細には、動力伝達部のキャッチタンクにオイルが充分掻き上げられて貯留され、キャッチタンクからシャフト10内の冷媒通路11へ、モータ1を冷却するのに充分な量のオイルが導入され始めた時点であり、ポンプ機能を利用しなくても冷媒の供給が可能となった時点であることが好ましく、この時点において遠心力と付勢力が釣り合うように圧縮バネ55a〜hの各種条件(バネ定数やバネ長など)が設定されている。
また、吸入弁57a〜h及び吐出弁63a〜hの圧縮バネ58a〜h,64a〜hは、圧縮バネ55a〜hと同等またはそれ以上の付勢力を発生するよう各種条件(バネ定数やバネ長など)が設定されている。
このように、本実施形態に係るモータ1の冷却装置によれば、ロータ20の回転が増し、ピストン53a〜hをカム面65aと当接するように拘束する圧縮バネ55a〜hの付勢力より大きい遠心力が発生すると、ラジアルピストンポンプ50のポンプ機能が停止され、ロータ20に連結されたピストン53a〜hが、ケース40に連結されたカム65から離間するので、ロータ20は、ピストン53a〜hとカム65との接触による抵抗力を低減して回転可能となる。これにより、ピストン運動などポンプ駆動のために使われていたエネルギーを抑制できるので、無駄な動力損失が抑制される。
また、初動時や低回転時など動力伝達部のキャッチタンクから充分なオイルが導入されない状態では、ラジアルピストンポンプ50のポンプ機能を利用してステータ30側へオイル供給を行い、キャッチタンクから充分なオイルが導入されるようになると、ポンプ機能を停止してロータ20の回転による遠心力によってステータ30側へオイル供給を行うよう切り替える。これにより、モータ1の運転状態に依存することなく冷却用のオイルをモータ1内に供給することができるので、モータ1を充分に冷却させることができる。
したがって、本発明にかかるモータ1の冷却装置は、動力損失を抑制すると共に、モータ1を充分に冷却することができる。また、ラジアルピストンポンプ50の構成要素であるピストン53a〜hとカム65との接触状態によってポンプ機能の運転停止を切り替えることができるため、別途クラッチ等の切り替え手段を設ける必要がなく装置の小型化を図れる。
また、吐出口62a〜hが、ステータ30と対向して設けられているため、ピストン53a〜hが吐出口62a〜hからオイルを押し出すとき、シリンダ52a〜h内の押し出し方向を変えずにステータ30側に供給することができる。これにより、吐出までの間にオイルが経路上で余計な抵抗を受けることが抑制され、無駄な圧力損失(機械損失)が抑制できる。また、シリンダ52a〜hから吐出口62a〜hまで一直線上となるので、オイルが吐出前に漏れるのも抑制でき、より効率的な冷却が可能となる。
また、本実施形態に係るモータ1の冷却装置は、ロータ20の回転によって、付勢力より大きい遠心力が発生したときに、ロータ20の回転数が大きくなるほどオイルの吐出量を制限する吐出量制限部67a〜hを備えている。吐出量制限部67a〜hとは、具体的には、第二連通孔61a〜hとピストンのスカート部68a〜hによって構成され、遠心力によって遠心方向に移動するピストンのスカート部68a〜hが、ロータ20の回転数が大きくなるほど吸入口からシリンダへの経路(第二連通孔61a〜h)を絞る絞り機構である。
遠心力のみによってオイルをステータ30に供給する場合、冷媒供給の経路は常時開放しており、吐出口62a〜hから常時オイルが吐出されている。ロータの回転数が増大すると、ステータ30に供給されるオイルの総量も増大する。オイルの量が増えると、例えば、冷却には余分なオイルがロータ20とステータ30との間に浸入してロータ20の回転時に引き摺り損失を発生する虞がある。そこで、ロータ20の回転数が増大すると、吐出量制限部67a〜hにより経路(第二連通孔61a〜h)を絞り、ステータ30に供給される一回当たりのオイルの量を少なくする。これにより、ステータ30に供給されるオイルの総量の増加を抑制し、引き摺り損失の発生を抑制することができる。
なお、モータ1が超高回転となり、遠心力によって圧縮バネ55a〜hが完全に圧縮された場合にも、スカート部68a〜hによって第二連通孔61a〜hが完全に塞がれないように、圧縮バネ55a〜hの密着高さやスカート部68a〜hの長さや形状を調整するのが好ましい。これにより、モータ1の運転状態(低回転〜超高回転)によらず、オイルの流量制御が可能となる。
以上、本発明について好適な実施形態を示して説明したが、本発明はこれらの実施形態により限定されるものではない。例えば、シリンダブロック51のシリンダ52a〜hの数は8個以外でもよいし、間隔は均等としなくてもよい。また、カム65の形状は楕円形以外でもよい。
また、上記実施形態では、ラジアルピストンポンプ50の吐出口62a〜hはステータ30の内周面30aと対向するよう設けられているが、吐出されたオイルがステータに供給可能であれば吐出口62a〜hは他の位置に設けてもよい。
1…モータ、10…シャフト、11…冷媒通路、20…ロータ、30…ステータ、40…ケース、50…ラジアルピストンポンプ、51…シリンダブロック、52a-h…シリンダ、53a-h…ピストン、55a-h…圧縮バネ(付勢部材)、56a-h…吸入口、57a-h…吸入弁、61a-h…第二連通孔(経路)、62a-h…吐出口、63a-h…吐出弁、65…カム、67a-h…吐出量制限部、68a-h…スカート部。
Claims (4)
- ケース内部に回転可能に保持されたシャフト、前記シャフトの周囲に固設されたロータ、前記ロータの外周に配置されたステータを有するモータを冷却するための冷却装置であって、
前記シャフトの内部に設けられ、冷媒が導入される冷媒通路と、
前記ケース内に配置され、前記ロータの回転に応じて前記冷媒通路から前記ステータへ前記冷媒を供給するラジアルピストンポンプと、を備え、
前記ラジアルピストンポンプは、
ピストンと、
前記ロータと共に回転可能に連結され、前記ロータの半径方向へ移動自在に前記ピストンを収容するシリンダブロックと、
前記ケースに連結され、前記半径方向の内側から前記ピストンと対向するよう配置されたカムと、
前記ピストンに対して前記半径方向の内側に向かって付勢力を加える付勢部材と、
前記冷媒通路に開口された吸入口から前記シリンダブロックに前記冷媒を吸入する吸入弁と、
前記シリンダブロックに開口された吐出口から前記ステータに前記冷媒を吐出する吐出弁と、
を有し、
前記ロータの回転によって、前記付勢力より大きい遠心力が発生したときに、前記ピストンが前記カムから離間すると共に、前記吸入弁及び前記吐出弁が開放するよう構成されることを特徴とする、モータの冷却装置。 - 前記吐出口が、前記ステータと対向して設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のモータの冷却装置。
- 前記ロータの回転によって、前記付勢力より大きい遠心力が発生したときに、前記ロータの回転数が大きくなるほど前記冷媒の吐出量を制限する吐出量制限部を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のモータの冷却装置。
- 前記吐出量制限部は、遠心力によって遠心方向に移動する前記ピストンのスカート部が、前記ロータの回転数が大きくなるほど前記吸入口からシリンダへの経路を絞る絞り機構であることを特徴とする、請求項3に記載のモータの冷却装置。
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2011
- 2011-01-17 JP JP2011006798A patent/JP2012151930A/ja not_active Withdrawn
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