JP2012144655A - 繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物、該接着剤組成物を用いた積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、比表面積と含有量が規定された親水性ヒュームドシリカ(C)からなる繊維性基材用の無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物をポリウレタン樹脂表皮層又は繊維性基材上に塗布し、ポリウレタン樹脂表皮層と繊維性基材を貼り合わせ硬化させることによって、接着性や耐屈曲性に優れた積層体を得ることができる。
【選択図】図1
Description
このようなポリウレタン樹脂の利用分野のなかには、異種材料との貼り合わせに使用される接着剤がある。これらポリウレタン樹脂接着剤は、接着性能や耐久性などに優れることから、電気・電子、建築、土木、車両、衣料、及び医療材料分野で多く用いられている。
また、ポリウレタン樹脂接着剤は、作業性、加工性、接着性能、及びスジやピンホール等の外観不良を低減させる観点から、接着剤の溶媒として有機溶剤が多用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、衣料や医療材料分野に使用されるポリウレタン樹脂接着剤においては、直接人体に触れる機会が多く、残存した溶剤が皮膚アレルギー症状などの健康被害の原因となることが危惧されており、無溶剤化が急務となっていた。
この有機溶剤の残存量を低減するために、例えば、生産工程において乾燥時間の延長や乾燥温度を上げるなどの対策が行われてきた。しかしながら、工程時間の延長に伴う作業性の低下や工程設備の大型化に伴う設備投資の増大などの問題を抱えていた。
更に、樹脂が水分散状態であるために、経時で凝集物の生成や沈降の発生が危惧されていた。
このため、硬化状態によって接着性能のバラツキが大きくなり、合成皮革や人工皮革の耐久性が低下する恐れがあった。また、直接基材上に塗布した場合、樹脂が基材に染み込み、目的とした膜厚や外観が得られず、意匠性が低下する恐れがあった。
本発明の目的は、繊維性基材に対する接着剤の浸透性を抑制できることによって繊維性基材と樹脂表皮層との接着性に優れ、且つ合成皮革としての耐久性に優れた繊維性基材用の無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物、該接着剤組成物を用いた積層体及び積層体の製造方法を提供することである。
ここで、ポリエステルポリオールの具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸またはこれらの無水物等の1種類以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分子量500以下の低分子ポリオール類の1種類以上との縮重合反応から得られるものを挙げることができる。また、ε−カプロラクトン、アルキル置換ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキル置換δ−バレロラクトン等の環状エステル(いわゆるラクトン)モノマーの開環重合から得られるラクトン系ポリエステルポリオール等を挙げることができる。更に、低分子ポリオールの一部をヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミン等の低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールに代えて得られるポリエステル−アミドポリオールを使用することもできる。
ポリエーテルポリオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、またはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等の低分子ポリアミン類等のような活性水素基を2個以上、好ましくは2〜3個有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のようなアルキレンオキサイド類を付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオール、或いはメチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマーを開環重合することで得られるポリエーテルポリオールを挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオールの1種類以上と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類との脱アルコール反応や脱フェノール反応から得られるものを挙げることができる。
また、ポリカーボネートポリオールとポリエステルポリオールと低分子ポリオールのエステル交換反応により得られたポリオールも好適に用いることができる。
ポリオレフィンポリオールの具体例としては、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等を挙げることができる。
アクリルポリオールとしては、アクリル酸エステルまたは/及びメタクリル酸エステル〔以下(メタ)アクリル酸エステルという〕と、反応点となりうる少なくとも分子内に1個以上の水酸基を有するアクリル酸ヒドロキシ化合物または/及びメタクリル酸ヒドロキシ化合物〔以下(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物という〕と、重合開始剤とを熱エネルギーや紫外線または電子線などの光エネルギー等を使用し、アクリルモノマーを共重合したものを挙げることができる。
ここで(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、炭素数1〜20のアルキルエステルものを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環属アルコールとのエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独または2種類以上組み合わせのものを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物の具体例としては、ポリイソシアネート(B)との反応点となりうる少なくとも分子内に1個以上の水酸基を有しており、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのアクリル酸ヒドロキシ化合物が挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートなどのメタクリル酸ヒドロキシ化合物が挙げられる。これらアクリル酸ヒドロキシ化合物または/及びメタクリル酸ヒドロキシ化合物は、単独または2種以上を組み合わせのものを挙げることができる。
シリコーンポリオールの具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを重合したビニル基含有シリコーン化合物、及び分子中に少なくとも1個の末端水酸基を有する、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジヒドロキシポリジフェニルシロキサン等のポリシロキサンを挙げることができる。
ヒマシ油系ポリオールの具体例としては、ヒマシ油脂肪酸とポリオールとの反応により得られる線状または分岐状ポリエステルポリオールが挙げられる。また、脱水ヒマシ油、一部分を脱水した部分脱水ヒマシ油、水素を付加させた水添ヒマシ油も使用することができる。
ここで、芳香族ジイソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート混合物、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族イソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω′−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン等を挙げることができる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ(4.4.0)デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上述したカルボン酸の混合物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸等のモノカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸類が挙げられる。
これらのカルボン酸金属塩は、単独でまたは2種以上を併用することができる。尚、アロファネート化触媒の使用量は、イソシアネート基末端プレポリマーに対して0.001〜0.1質量%の範囲で添加することが好ましい。
ここで親水性ヒュームドシリカの具体例としては、AEROSIL50(日本アエロジル社製、比表面積:50m2/g)、AEROSIL90G(日本アエロジル社製、比表面積:90m2/g)、AEROSIL130(日本アエロジル社製、比表面積:130m2/g)、AEROSIL200(日本アエロジル社製、比表面積:200m2/g)、AEROSIL200V(日本アエロジル社製、比表面積:200m2/g)、AEROSIL200CF(日本アエロジル社製、比表面積:200m2/g)、AEROSIL200FAD(日本アエロジル社製、比表面積:200m2/g)、AEROSIL300(日本アエロジル社製、比表面積:300m2/g)、AEROSIL300CF(日本アエロジル社製、比表面積:300m2/g)、AEROSIL380(日本アエロジル社製、比表面積:380m2/g)、AEROSILTT60(日本アエロジル社製、比表面積:200m2/g)、ML−367(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−369(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−361(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−367W(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−369W(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−386(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−389(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−381(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−386Y(東海化学工業所社製、比表面積:300m2/g)、ML−644(東海化学工業所社製、比表面積:600m2/g)、ML−836(東海化学工業所社製、比表面積:850m2/g)、HDKS13(旭化成社製、比表面積:125m2/g)、HDKV15(旭化成社製、比表面積:150m2/g)、HDKV15P(旭化成社製、比表面積:150m2/g)、HDKN20(旭化成社製、比表面積:200m2/g)、HDKN20P(旭化成社製、比表面積:200m2/g)、HDKT30(旭化成社製、比表面積:300m2/g)、HDKT40(旭化成社製、比表面積:400m2/g)などが挙げられる。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
ここで繊維性基材としては、有機繊維により構成されていれば特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン66、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ乳酸、綿、ウールから選ばれる少なくとも1種類を主成分とする有機繊維を挙げることができる。また、強度や不燃性の効果を付与するために、必要に応じ、ガラスウールなどの無機繊維や炭素繊維を併用することも可能である。
更には、これらの繊維性基材への接着性を上げることを目的として、繊維性基材表面をコロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、プライマー処理、及びオゾン処理等の処理を施したものを使用することもできる。
<合成例1>
攪拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを519g、ジエチルカーボネートを481g、触媒としてテトラ−n−ブトキシチタンを0.01g仕込み、これらを撹拌しながら窒素ガスバブリングし、留出開始温度から徐々に温度を昇温した。また、130℃で留出が止まった時点で副生したエタノールの生成量は、累積で理論留出量の83%であった。次に、反応温度160℃で、1.3kPaまで徐々に減圧を行い、1.3kPaの減圧度で分子末端エチル基が0.1KOHmg/g以下になるまで反応を行い、常温液状のポリオール1を得た。
得られたポリオール1は、JIS K1557に準じた方法により測定した水酸基価が56.3KOHmg/g、エチル基価が0.02KOHmg/g、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による数平均分子量が1990、25℃における粘度が4300mPa・sであった。
・測定器:「HLC−8120」(東ソー社製)
・カラム:「TSKguardcolumn HXL−L」(東ソー社製)
粒径=6μm、サイズ=6mmID×30cm×4本
・キャリア:テトラヒドロフラン(THF)
・検出器:視差屈折
・サンプル:0.1%THF溶液
・検量線:ポリスチレン
・測定器:「HV−12D」(ニチユ・テクノ社製)
・フタル化剤(組成比):無水フタル酸/イミダゾール/ピリジン=100/16/600
・中和剤:1mol/l水酸化ナトリウム水溶液
攪拌機、温度計、冷却管、および酸素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ポリエーテルポリオール(サンニックスPP−1000、数平均分子量:1000、三洋化成社製)を756g、1,4−ブタンジオールを68g、2,4−トリレンジイソシアネートを176g仕込み、これらを撹拌しながら窒素ガスバブリングし、80℃で5時間ウレタン化反応を行い、常温液状のポリオール2を得た。
得られたポリオール2は、水酸基含有量をJIS K1557に準じた方法により測定した水酸基価が56.1KOHmg/g、GPCによる数平均分子量が2050、25℃における粘度が23400mPa・sであった。
<合成例3>
攪拌機、温度計、冷却管、および酸素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートを700g、数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(PTG−650、数平均分子量:650、保土谷化学工業社製)を300g仕込み、これらを撹拌しながら窒素ガスバブリングし、80℃で4時間ウレタン化反応を行った。
この反応液を140℃×0.04kPaで薄膜蒸留を行い、未反応のHDIを取り除くことによってイソシアネート基末端プレポリマーのポリイソシアネート1を得た。
得られたポリイソシアネート1は、NCO含有量が8.0質量%、25℃における粘度が1050mPa・sであった。また、未反応のHDIは、GPCにより測定したところ、0.1質量%であった。
攪拌機、温度計、冷却管、および酸素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートを966g、イソプロピルアルコールを34g、仕込み、これらを撹拌しながら窒素ガスバブリングし、80℃でウレタン化反応を2時間行った。その後、オクチル酸ジルコニール(第一稀元素化学工業社製、オクチル酸ジルコニウム)を0.05g添加し、110℃でアロファネート化反応を2時間行った。NCO含有量が43.4質量%に達した後、JP−508(城北化学工業社製、酸性リン酸エステル)を0.06g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却した。
この反応液を140℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを取り除くことによってアロファネート基含有イソシアネートのポリイソシアネート2を得た。
得られたポリイソシアネート2は、NCO含有量が21.2質量%、25℃における粘度が410mPa・s、GPCにより測定したところ、未反応のHDIは0.1質量%であった。
配合量は、表1〜表3に示すように、ポリオール(A)と、親水性ヒュームドシリカ(C)を配合し、スリーワンモータで撹拌速度300rpm×10min行った。その後、硬化反応を促進する触媒と、反応遅延剤と、ポリイソシアネート(B)をR(イソシアネート基/水酸基のモル比)=1になるように配合し、繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物を得た。
ポリオール(A)で得られたポリオール1と、ルチル型酸化チタン(製品名:CR−90、石原産業社製)を樹脂全量に対して2質量%配合し、スリーワンモータで撹拌速度300rpm×10min行った。その後、硬化反応を促進する触媒(ジオクチル錫ジラウレート:DOTDL)と、ポリイソシアネート(B)で得られたポリイソシアネート1をR(イソシアネート基/水酸基のモル比)=1になるように配合し、ウレタン樹脂表皮層用樹脂液を得た。
以下の二種類の製造方法で積層体を作製した。
<製造方法1>
第1工程:調整したウレタン樹脂表皮層用樹脂液をポリエチレンラミネートされた剥離紙上に流し、バーコーターにて厚さ100μmになるように塗布。その後、120℃×10min硬化させウレタン樹脂表皮層を形成。
第2工程:第1工程で得られたウレタン樹脂表皮層の上に繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物をバーコーターにて任意の厚さになるように塗布。その後、繊維性基材を貼り合わせ、2kgの圧着ローラーで圧着し、任意の温度で硬化させ積層体を作製。
<製造方法2>
第1工程:調整したウレタン樹脂表皮層用樹脂液をポリエチレンラミネートされた剥離紙上に流し、バーコーターにて厚さ100μmになるように塗布。その後、120℃×10min硬化させウレタン樹脂表皮層を形成。
第2工程:繊維性基材上に繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物をバーコーターにて任意の厚さになるように塗布。その後、第1工程で得られたウレタン樹脂表皮層を貼り合わせ、2kgの圧着ローラーで圧着し、任意の温度で硬化させ積層体を作製。
・ポリオール1:ポリカーボネートポリオール、数平均分子量:1990、水酸基価:56.3KOHmg/g、エチル基価:0.02KOHmg/g
・ポリオール2:水酸基末端ウレタンプレポリマー(PP−1000/1,4−BG/TDI)、数平均分子量:2050、水酸基価:56.1KOHmg/g
・ポリオール3:アクリル樹脂、東亞合成社製、製品名:UH−2023、数平均分子量:2040、水酸基価:110.0KOHmg/g
・ポリイソシアネート1:ウレタン基含有イソシアネート(HDI/PTMG)、NCO含有量:8.0質量%
・ポリイソシアネート2:アロファネート基含有イソシアネート(HDI/IPA)、NCO含有量:21.2質量%
・ポリイソシアネート3:ポリメリックMDI、二核体量:40質量%、NCO含有量:31.1質量%
・AEROSIL50:親水性ヒュームドシリカ、日本アエロジル社製、比表面積:50m2/g
・AEROSIL200:親水性ヒュームドシリカ、日本アエロジル社製、比表面積:200m2/g
・ML−644:親水性ヒュームドシリカ、東海化学工業所社製、比表面積:600m2/g
・AEROSILR812S:疎水性ヒュームドシリカ、日本アエロジル社製、比表面積:220m2/g
・CR−90:ルチル型酸化チタン、石原産業社製、平均粒子径:0.25μm
・ゼオラムA−3:合成ゼオライト、東ソー社製、平均粒径:14μm
・繊維性基材1:ナイロン6繊維、厚さ:1.0mm、見かけ密度:0.320g/cm3
・繊維性基材2:ポリエステル繊維、厚さ:1.0mm、見かけ密度:0.112g/cm3
・繊維性基材3:ポリエステル繊維、厚さ:1.4mm、見かけ密度:0.072g/cm3
・DOTDL:ジオクチル錫ジラウレート
・JP−508:酸性リン酸エステル(城北化学工業社製)
これに対して、比較例1、及び比較例2の接着剤組成物、及び該接着剤組成物を用いた積層体は、剥離状態が繊維性基材と樹脂表皮層の界面剥離であり、耐屈曲性試験において一部樹脂表皮の浮きが見られるものであった。また、比較例3、及び比較例4の酸化チタン、及び合成ゼオライトを配合した混合液は、経時により添加剤の沈降が見られ貯蔵安定性に劣るものであり、ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物を用いた積層体は、積層体の接着性、耐摩耗性、及び耐屈曲性に劣るものであった。
これに対して、比較例1〜比較例4は変曲点を持たず、温度の上昇とともに粘度が低下するものであった。
<貯蔵安定性試験>
ポリオール(A)と親水性ヒュームドシリカ等の添加剤を配合した混合液を25℃×7日間放置後、目視により添加剤の沈降の有無を確認した。
・添加剤の沈降がある:不合格(評価:×)
・添加剤の沈降がない:合格(評価:○)
<耐摩耗性>
JIS L1096に準じ、テーバー摩耗試験機(安田精機製作所社製)により、荷重1kg、円板回転速度60rpm×500回転、磨耗輪H−22を使用し、磨耗性を測定した。
・等級1:貫通孔を生じたもの(不合格、評価:×)
・等級2:樹脂表皮層を越えて繊維性基材の一部が破壊されたもの(不合格、評価:×)
・等級3:樹脂表皮層の大部分が消滅したもの(不合格、評価:×)
・等級4:樹脂表皮層の一部が消滅したもの(合格、評価:△)
・等級5:外観の変化が認められないもの(合格、評価:○)
<接着力・剥離状態>
日本ケミカルシューズ工業組合作成「ケミカルシューズ試験方法」に準じ、繊維性基材と樹脂表皮層の接着力、及び剥離状態を測定した。
作製した積層体から幅25mm、長さ150mmの短冊状片を2本切り出し、一本の短冊状片を長さ方向の一端から100mmまでR(イソシアネート基/水酸基のモル比)=1に配合したポリオール1とポリイソシアネート1を評価用接着剤として樹脂表皮層上に塗布し、残りの短冊状片の樹脂表皮層側と貼り合わせた。2kgのハンドローラーで接着剤層に気泡が入らないように圧着し、40℃×24時間放置して試験片とした。
試験片を予め20mm剥離し、テンシロンUTA−500(オリエンテック社製)引張試験機のつかみ具に両片をはさみ、剥離速度50mm/minで接着力と剥離状態を評価した。
・繊維性基材と樹脂表皮層間で界面剥離する:不合格(評価:×)
・繊維性基材と樹脂表皮層間での界面剥離と繊維性基材の破壊とが混在している:合格(評価:△)
・繊維性基材の破壊を生じる:合格(評価:○)
<耐屈曲性>
JIS K6505に準じ、フレキシオメーター(安田精機製作所社製)により、温度25℃、屈曲回数30000回行い耐屈曲性を測定した。
・等級1:部分的に切断を生じたもの(不合格、評価:×)
・等級2:樹脂表皮層を越えて繊維性基材の一部に亀裂を生じたもの(不合格、評価:×)
・等級3:樹脂表皮層を越えて繊維性基材との界面に達する亀裂及び樹脂表皮層の大部分の浮きを生じたもの(不合格、評価:×)
・等級4:僅かに樹脂表皮層の浮きを生じたもの(合格、評価:△)
・等級5:変化が認められないもの(合格、評価:○)
<増粘性>
ポリオール(A)と親水性ヒュームドシリカ等の添加剤を配合した混合液をJIS K7117−1に準じ、アルミニウム製サンプルパンに約13g採取し、ブルックフィールド粘度計(ブルックフィールド社製)により、回転速度5rpm条件下における80〜90℃における変曲点と120℃の粘度を測定し、120℃の粘度/変曲点の粘度の比率を算出した。
Claims (11)
- ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、親水性ヒュームドシリカ(C)からなることを特徴とする繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物。
- ポリイソシアネート(B)が、ポリオールと有機ジイソシアネートとの反応により得られたイソシアネート基末端プレポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物。
- 親水性ヒュームドシリカ(C)が、BET法による比表面積が90〜400m2/gであることを特徴とする請求項1に記載の繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物。
- 全樹脂量に対し、親水性ヒュームドシリカ(C)の含有量が3〜6%であることを特徴とする請求項1に記載の繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物。
- ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)が、何れも常温で液状であることを特徴とする請求項1に記載の繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物。
- 繊維性基材と接着剤層と樹脂表皮層の三層から構成される積層体において、接着剤層が請求項1〜5のいずれかに記載の繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物からなり、樹脂表皮層がウレタン樹脂であることを特徴とする積層体。
- 繊維性基材が、厚さ0.1〜10mmであり、JIS K7222に規定された見かけ密度が0.05〜0.5g/cm3であることを特徴とする請求項6に記載の積層体。
- 繊維性基材が、有機繊維により構成されていることを特徴とする請求項6に記載の積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物をポリウレタン樹脂表皮層上に少なくとも10g/m3塗布し、繊維性基材を貼り合わせ、硬化させることを特徴とする積層体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の繊維性基材用無溶剤型ポリウレタン樹脂形成性接着剤組成物を繊維性基材上に少なくとも10g/m3塗布し、ポリウレタン樹脂表皮層を貼り合わせ、硬化させることを特徴とする積層体の製造方法。
- 90〜150℃で積層体を熱硬化させることを特徴とする請求項9、及び請求項10に記載の積層体の製造方法。
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