JP2012142578A - スピントランスファトルクメモリ用の挿入層を有する磁性層を提供するための方法及びシステム - Google Patents

スピントランスファトルクメモリ用の挿入層を有する磁性層を提供するための方法及びシステム Download PDF

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Abstract

【課題】磁気デバイス用の磁気接合を提供する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】磁気接合は、ピンド層と、非磁性スペーサ層と、自由層とを含む。非磁性スペーサ層は、ピンド層と自由層との間に存在する。磁気接合は、書き込み電流が磁気接合に流された際に自由層が複数の安定磁気状態の間で切り替えられるように構成される。ピンド層及び自由層の少なくとも一方は磁気サブストラクチャを含む。磁気サブストラクチャは、少なくとも一つの挿入層と交互にされた少なくとも二つの磁性層を含む。各挿入層は、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、MgOのうち少なくとも一つを含む。磁性層は交換結合される。
【選択図】図3

Description

[関連出願の相互参照]
本願は、本願出願人による2010年12月31日出願の米国仮出願第61/429041号の優先権を主張し、その内容は参照として本願に組み込まれる。
[政府の権利]
本発明は、DARPAによるGrant/Contract第HR0011‐09‐C‐0023号の下での米国政府の補助で成されたものである。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
磁気メモリ、特に磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM,magnetic random access memory)は、高い読み出し/書き込み速度、優れた耐久性、不揮発性、及び動作中の低電力消費の可能性に起因して、興味を引いている。MRAMは、情報記憶媒体として磁性体を用いて情報を記憶することができる。MRAMの一つのタイプは、スピントランスファトルクランダムアクセスメモリ(STT‐RAM,spin transfer torque random access memory)である。STT‐RAMは、磁気接合を介して流れる電流によって少なくとも部分的に書き込まれた磁気接合を用いる。磁気接合を介して流れるスピン偏極電流は、磁気接合の磁気モーメントに対してスピントルクを与える。結果として、スピントルクに応答する磁気モーメントを有する層が所望の状態に切り替えられ得る。
例えば、図1は、従来のSTT‐RAMにおいて使用されるような従来の磁気トンネルリング接合(MTJ,magnetic tunneling junction)を示す。従来のMTJ10は、典型的に、底部コンタクト11の上に存在し、従来のシード層12、従来の反強磁性(AFM,antiferromagnetic)層14、従来のピンド層16、従来のトンネリング障壁層18、従来の自由層20、及び従来のキャッピング層22を用いる、また、頂部コンタクト24も示されている。
従来のコンタクト11及び24は、図1に示されるように、CPP(current‐perpendicular‐to‐plane)方向に、又はz軸に沿って電流を流すのに用いられる。従来のシード層12は、典型的に、AFM層14等の所望の結晶構造を有する後続の層の成長を補助するのに用いられる。従来のトンネリング障壁層18は、非磁性であり、例えばMgO等の薄い絶縁体である。
従来のピンド層16及び従来の自由層20は磁性である。従来のピンド層16の磁化17は、典型的にはAFM層14との交換バイアス相互作用によって、特定の方向に固定又はピン止めされている。単純な(単一の)層として図示されているが、従来のピンド層16は、複数の層を含み得る。例えば、従来のピンド層16は、Ru等の薄い導電層を介して反強磁性的に結合された磁性層を含む合成反強磁性(SAF,synthetic antiferromagnetic)層であり得る。このようなSAFでは、Ruの薄層と交互にされた複数の磁性層が用いられ得る。他の実施形態では、Ru層を横切る結合が強磁性であり得る。更に、従来のMTJ10の他のバージョンは、追加の非磁性障壁又は導電層(図示せず)によって自由層20から分離された追加のピンド層(図示せず)を含み得る。
従来の自由層20は、変更可能な磁化21を有する。単一層として図示されているが、従来の自由層20も、複数の層を含み得る。例えば、従来の自由層20は、Ru等の薄い導電層を介して反強磁性的に又は強磁性的に結合された磁性層を含む合成層であり得る。面内におけるものとして図示されているが、従来の磁性層20の磁化21は、垂直異方性を有し得る。従って、ピンド層16及び自由層20は、層の面に対してそれぞれ垂直に向いた磁化17及び21を有し得る。
従来の自由層20の磁化21を切り替えるには、電流を面に垂直に(z方向に)流す。十分な電流が頂部コンタクト24から底部コンタクト11に流れると、従来の自由層20の磁化21は、従来のピンド層16の磁化17に平行に切り替わり得る。十分な電流が底部コンタクト11から頂部コンタクト24に流れると、従来の自由層の磁化21は、ピンド層16の磁化と反平行に切り替わり得る。磁気配位の違いは、異なる磁気抵抗に対応するので、従来のMTJ10の異なる論理状態(例えば論理“0”及び論理“1”)に対応する。
STT‐RAM応用において用いる場合、従来のMTJ10の自由層21は、比較的低電流で切り替えられることが望まれる。臨界切り替え電流(Ic0)は、平衡配向周りでの自由層の磁化21の微小歳差運動が不安定になる最低電流である。例えば、Ic0は、数mA以下のオーダのものであることが望まれる。更に、短電流パルスが、より高いデータ転送速度で従来の磁気素子10をプログラムするのに用いるのに望まれる。例えば、20〜30ns以下のオーダの電流パルスが望まれる。
従来のMTJ10はスピントランスファを用いて書き込まれSTT‐RAMにおいて使用可能なものではあるが、欠点がある。例えば、書き込みエラー率は、許容可能なIc0及びパルス幅を有するメモリにおいて望まれるものよりも高くなり得る。書き込みエラー率(WER,write error rate)とは、セル(つまり、従来の磁気接合の自由層20の磁化21)が典型的な切り替え電流に少なくとも等しい電流に晒された際に切り替えられない確率のことである。WERは10−9以下であることが望ましい。しかしながら、従来の自由層20は典型的に、この値を大幅に超えるWERを有する。更に、WERは、より短い書き込み電流パルスに対しては改善が難しいことがわかっている。例えば、図2は、幅の異なるパルスに対するWERの傾向を示すグラフ50である。実際のデータがグラフ50にプロットされているのではなくて、このグラフ50は傾向を示すためのものである点に留意されたい。曲線52、54、56、58は、最も長いものから最も短いもののパルス幅に対するものである。グラフ50から見て取れるように、パルス幅が大きくなると、WER対書き込み電流はより大きな傾斜を有する。従って、同じパルス幅に対してはより高い書き込み電流の印加が、WERの顕著な減少をもたらし得る。しかしながら、パルス幅が曲線54、56、58と短くなると、曲線54、56、58の傾斜は減少する。パルス幅が減少すると、電流の増大は、WERの減少をあまりもたらさなくなる傾向がある。従って、従来のMTJを用いたメモリは、書き込み電流の増大によって治癒されないものであり得る許容不可能な高いWERを有し得る。
WER等の特性を改善するために、従来、多様な解決策が提案されてきた。例えば、磁場補助切り替え、及び/又は、複雑な構造を有する磁気接合が用いられ得る。しかしながら、他の特性を保ちながらWERを減じようとするこのような従来のスキームの性能は限られたものである。例えば、スケーラビリティ、エネルギー消費及び/又は熱安定性は、このような従来の方法によって悪影響を受け得る。
WERに加えて、従来のMTJ10には他の問題も存在し得る。垂直に向いた磁化17及び21を有する従来のMTJ10にとって、磁気抵抗は、面内の磁化を有する従来のMTJ10よりも低くなり得る。結果として、従来のMTJ10からの信号が望まれるものよりも低くなり得る。このような垂直型の従来のMTJ10は、高いダンピングも示す。このように、切り替え性能が悪影響を受ける。従って、従来のMTJ10を用いたメモリの性能は依然として改良が望まれるものである。
従って、要求されているのは、スピントランスファトルクベースのメモリの性能を改善することができる方法及びシステムである。本願で説明される方法及びシステムはこうした要求に向けられている。
磁気デバイス用の磁気接合を提供するための方法及びシステムが説明される。磁気接合は、ピンド層と、非磁性スペーサ層と、自由層とを含む。非磁性スペーサ層は、ピンド層と自由層との間に存在する。磁気接合は、書き込み電流が磁気接合に流された際に自由層が複数の安定磁気状態の間で切り替え可能であるように構成される。ピンド層及び自由層の少なくとも一方は磁気サブストラクチャを含む。磁気サブストラクチャは、少なくとも一つの挿入層と交互にされた少なくとも二つの磁性層を含む。各挿入層は、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、MgOの少なくとも一つを含む。磁性層は交換結合される。
従来の磁気接合を示す。 書き込み電流対書き込みエラー率の傾向を示すグラフである。 磁気サブストラクチャの例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャの他の例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャの他の例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャの他の例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャを含む磁気接合の例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャを含む磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャを含む磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャを含む磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャを提供するための方法の例示的な実施形態を示す。 磁気サブストラクチャを含む磁気接合を製造するための方法の例示的な実施形態を示す。 ストレージセルのメモリ素子に磁気接合を用いたメモリの例示的な実施形態を示す。
例示的な実施形態は、磁気メモリ等の磁気デバイス用の磁気接合、及びそのような磁気接合を用いたデバイスに関する。以下の説明は、当業者が本発明を作製して利用できるようにするためのものであり、特許出願の文脈及びその要求において提供されるものである。本願で説明される例示的な実施形態及び一般原理及び特徴に対する多様な修正は容易に明らかになるものである。例示的な実施形態は、特定の実施において提供される特定の方法及びシステムに関して主に説明される。しかしながら、その方法及びシステムは、他の実施においても有効に動作する。“例示的な実施形態”、“一実施形態”、“他の実施形態”等の用語は、同一の又は異なる実施形態を指称するものであり得て、また複数の実施形態を指称するものであり得る。実施形態は、特定の構成要素を有するシステム及び/又はデバイスに関して説明される。しかしながら、そのシステム及び/又はデバイスは、図示されるものよりも多い又は少ない構成要素を含み得て、配置及び構成要素の種類の変更が、本発明の範囲から逸脱することなく、為され得る。また、例示的な実施形態は、特定のステップを有する特定の方法の文脈において説明される。しかしながら、その方法及びシステムは、例示的な実施形態に矛盾しない他のステップ及び/又は追加のステップ及び順番の異なるステップを有する他の方法に対して有効に動作する。従って、本発明は示される実施形態に限定されるものではなく、本願で説明される原理及び特徴に矛盾しない最も広範な範囲によるものである。
磁気接合、並びにその磁気接合を用いた磁気メモリを提供するための方法及びシステムが説明される。例示的な実施形態は、磁気デバイス用の磁気接合を提供するための方法及びシステムを提供する。磁気接合は、ピンド層と、非磁性スペーサ層と、自由層とを含む。非磁性スペーサ層は、ピンド層と自由層との間に存在する。磁気接合は、書き込む電流が磁気接合に流れた際に自由層が複数の安定磁性状態の間で切り替えできるように構成される。ピンド層及び自由層の少なくとも一方は、磁気サブストラクチャを含む。磁気サブストラクチャは、少なくとも一つの挿入層と交互にされた少なくとも二つの磁性層を含む。各挿入層は、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Ma、酸化アルミニウム、及びMgOの少なくとも一つを含む。磁性層は交換結合される。
例示的な実施形態は、特定の構成要素を有する特定の磁気接合及び磁気メモリの文脈において説明される。本発明が、本発明と矛盾しない他の構成要素及び/又は追加の構成要素及び/又は他の特徴を有する磁気接合及び磁気メモリの使用と矛盾しないものであることは当業者には明らかである。また、本方法及びシステムは、スピントランスファ現象、磁気異方性、及び他の物理現象における現状の理解の文脈において説明される。従って、方法及びシステムの挙動の理論的説明が、スピントランスファ、磁気異方性、及び他の物理現象の現状の理解に基づいて為されるものであることは当業者には容易に認識されるものである。しかしながら、本願で説明される方法及びシステムは特定の物理的説明に依拠するものではない。本方法及びシステムは、基板に対して特定の関係を有する構造の文脈において説明されることも当業者には容易に認識されるものである。しかしながら、本方法及びシステムは他の構造と矛盾しないものであることは当業者には容易に認識されるものである。更に、本方法及びシステムは、合成及び/又は単一なものである特定の層の文脈において説明される。しかしながら、層が他の構造を有することができることは当業者には容易に認識されるものである。更に、本方法及びシステムは、特定の層を有する磁気接合及び/又はサブストラクチャの文脈において説明される。しかしながら、本方法及びシステムと矛盾しない追加の層及び/又は異なる層を有する磁気接合及び/又はサブストラクチャも使用可能であることは当業者には容易に認識されるものである。更に、特定の構成要素は、磁性、強磁性、フェリ磁性であると説明される。本願において、磁性との用語は、強磁性、フェリ磁性、又はそのような構造を含み得る。従って、本願において、“磁性(磁気)”や“強磁性”との用語は、強磁性体、フェリ磁性体を含みが、それらに限定されるものではない。また、本方法及びシステムは、単一の磁気接合及びサブストラクチャの文脈において説明される。しかしながら、本方法及びシステムは、複数の磁気接合を有し複数のサブストラクチャを用いる磁気メモリの使用と矛盾しないことは当業者には容易に認識されるものである。更に、本願において、“面内”とは、磁気接合の一以上の層の実質的に面内にあるか、平行なことである。逆に、“垂直”は、磁気接合の一以上の層に実質的に垂直な方向に対応する。
図3は、磁気デバイス(例えば磁気トンネリング接合(MTJ)、スピンバルブ、バリスティック磁気抵抗構造、又はこれらの組み合わせ)用の磁気サブストラクチャ100の例示的な実施形態を示す。磁気サブストラクチャ100が用いられる磁気デバイスは多様な応用において使用可能である。例えば、磁気デバイス、つまりは磁気サブストラクチャは、STT‐RAM等の磁気メモリにおいて使用可能である。明確性のため、図3は縮尺通りではない。磁気サブストラクチャ100は、第一の強磁性層110と、挿入層120と、第二の強磁性層130とを含む。層110、120及び130は、特定の配向で示されているが、この配向は他の実施形態において変更可能である。例えば、強磁性層110が磁気サブストラクチャ100の頂部(図示されていない基板から最も離れている)にあり得る。
強磁性層110及び130は、Ni、Fe及びCoのうち一以上を、特に合金状で含み得る。一部実施形態では、強磁性層110及び130はCoFeを含む。このような一部実施形態では、強磁性層110及び130はCoFeBから成る。強磁性層110及び130の一方又は両方は、室温において安定であるように構成される。例えば、強磁性層110及び/又は130に対する磁気異方性エネルギーは、kTの少なくとも60倍であり得る。一部実施形態では、強磁性層110及び/又は130の磁気異方性エネルギーは、室温(略30℃)においてkTの少なくとも80倍であり得る。更に、層110及び130は磁気結合される。このような一部実施形態では、層110及び130は交換結合される。一部実施形態では、この交換結合は、強磁性層110及び130の磁化(図3に示さず)の実質的に平行な配向を促進する。他の実施形態では、交換結合は、層110及び130の磁化の実質的に反平行な又は他の相対的な配向を促進し得る。こうした実施形態の一部では、層110及び/又は130は、高い垂直異方性を有し得る。言い換えると、層110及び層130は弱面内のものとなり得る。例えば、このような一部実施形態では、層110及び/又は130の垂直異方性エネルギーは、面外消磁(demagnetization)エネルギーに近づくが、それ未満のものであり得る(大きなセルに対して4πMに近づき、縁における消磁場の減少に起因して小さなセルに対しては4πM未満である)。例えば、垂直異方性エネルギーは、面外消磁エネルギーの少なくとも40パーセントであり得る。このような一部実施形態では、垂直異方性エネルギーは、消磁エネルギーの90パーセント以下であり得る。他の実施形態では、層110及び130の磁化は両方とも垂直である。更に他の実施形態では、層110及び130の磁化の一方又は両方が、面内成分及び面に垂直な成分を有する。
挿入層120は、強磁性層110及び130の間に存在する非磁性層である。挿入層120は導電性であり得る。例えば、挿入層は、Cr、Ta、Ti、W及びRuのうち少なくとも一つ等の物質を含み得る。このような一部実施形態では、挿入層120は、Cr、Ta、Ti、W及びRuのうち一つから成る。他の実施形態では、挿入層120は、酸化アルミニウム及び/又はMgO等の絶縁体であり得る。挿入層120を用いて、層110及び130の間の磁気結合を調整し得る。また、挿入層120を用いて、磁気サブストラクチャ100を用いた磁気トンネリング接合のトンネリング磁気抵抗(TMR,tunneling magnetoresistance)を改善し得る。磁気サブストラクチャ100の強磁性層の間の結合、及び、磁気サブストラクチャ100を用いた磁気トンネリング接合のTMRは、挿入層の組成及び厚さ、並びに、強磁性層110及び130の厚さ及び組成を変更することによって調整され得る。
磁気サブストラクチャ100の性質は、挿入層120及び強磁性層110及び130の組み合わせを用いて調整され得る。結果として、磁気サブストラクチャ100が用いられる磁気デバイスの性質も所望の通りに構成され得る。例えば、磁気サブストラクチャ100が用いられる磁気デバイスのTMRは、自由層の結晶化の改善、及び、トンネリング接合(特に二つの障壁を備えたトンネリング接合)の格子整合によって、増強され得る。WERやデータ転送速度等の切り替え特性は、磁気サブストラクチャ100が用いられる磁気デバイスにおいて増強され得る。
図4は、磁気デバイス(例えば、MTJ、スピンバルブ、バリスティック磁気抵抗構造、又はこれらの組み合わせ)用の磁気サブストラクチャ100’の例示的な実施形態を示す。磁気サブストラクチャ100’が用いられる磁気デバイスは、多様な応用において使用可能である。例えば、磁気デバイス、つまりは磁気サブストラクチャは、STT‐RAM等の磁気メモリにおいて使用され得る。明確性のため、図4は縮尺通りではない。磁気サブストラクチャ100’は磁気サブストラクチャ100に類似している。従って、類似の構成要素は、同じ様にラベル付けされている。磁気サブストラクチャ100’は、第一の強磁性層110、挿入層120、第二の強磁性層130と類似の第一の強磁性層110’と、挿入層120’と、第二の強磁性層130’とを含む。層110’、120’及び130’は、特定の配向で示されているが、この配向は他の実施形態において変更可能である。例えば、強磁性層110’が磁気サブストラクチャ100’の頂部(図示されていない基板から最も離れている)にあり得る。
磁気サブストラクチャ100’は、強磁性層110’が弱い面内異方性を有するように構成される。従って、層110’の垂直異方性エネルギーは、面外消磁エネルギーに近づき得るが、それ未満となり得る。例えば、垂直異方性エネルギーは、層110’に対する面外消磁エネルギーの少なくとも40パーセントとなり得る。そのような実施形態の一部では、垂直異方性エネルギーは、面外消磁エネルギーの90パーセント以下となり得る。従って、層130’との相互作用が無いと、強磁性層110の磁化は面内のものとなる。対照的に、層130’は高い垂直異方性を有する。従って、垂直異方性エネルギーは、面外消磁エネルギーよりも大きい。一部実施形態では、垂直異方性エネルギーは、面外消磁エネルギーよりも顕著に大きい。例えば、一部実施形態では、垂直異方性エネルギーは、面外消磁エネルギーよりも2〜4キロエルステッド(又はそれ以上)大きくなり得る。
強磁性層110’及び130’は、Ni、Fe及びCoの一以上を、特に合金状で含み得る。一部実施形態では、強磁性層110’及び130’は、CoFeB等の特定の形態でCoFeを含む。例えば、一部実施形態では、強磁性層110’及び/又は130’は、単一層としてCoFeB、CoPd、CoPt、FePt等の合金、及び/又は、Co/Pd、Co/Pt、Fe/Pt、Co/Ru等の多層を含み得る。強磁性層110’及び130’の少なくとも一方は、室温において安定であるように構成される。例えば、強磁性層110’及び/又は130’の一方又は両方の磁気異方性エネルギーは、kTの少なくとも60倍であり得る。一部実施形態では、強磁性層110’及び/又は130’の一方又は両方の磁気異方性エネルギーは、室温(略30℃)においてkTの少なくとも80倍である。
強磁性層110’及び130’は、磁気結合される。このような実施形態の一部では、層110’及び130’は交換結合される。磁化の正味の結果が図4に示されている。強磁性層110’の磁化112、強磁性層130’の磁化132、及びストラクチャ100’の正味の磁化102が示されている。図4に見て取れるように、磁化112は面内にない。これは、層110’と130’との間の磁気結合によるものである。高垂直異方性エネルギー層130’は、弱面内層110’と磁気的に結合して、層110’の磁化112を面外にする。従って、磁化112は、面内成分及び面に垂直な成分を有する。結果として、磁気ストラクチャ100’の正味のモーメントは、面内成分及び面に垂直な成分を有する。層110’及び130’の間の交換相互作用に起因して、磁気ストラクチャ100’の磁化102は、z軸(磁気サブストラクチャ100’の面に垂直)から角度θにある。正味の結果は、磁気サブストラクチャ100’の磁化102がz軸からの或る角度において安定であるというものである。従って、切り替え特性、熱安定性及びスケーラビリティの改善が得られ得る。
このゼロではない初期角度は、磁気サブストラクチャ100’の磁化をスピントランスファトルクによってより簡単に切り替えられるようにする。例えば、磁気サブストラクチャ100’はMTJにおいて用いられ得る。この特性は、このような磁気素子におけるより低い書き込みエラー率に対応する。より低いWERは、小さなパルス幅(高いデータ転送速度)においても達成され得る。特に、書き込みエラー率対書き込み電流の傾斜は、10ns未満のパルス幅に対しても十分に大きいままであり得る。一部実施形態では、10−9以下の許容可能な書き込みエラー率が、10〜30ns又はこれ以下のパルス幅に対して達成され得る。従って、外場等の機構を用いて切り替えを補助する代わりに、高いエラー率の物理的原因に対処する。従って、MTJ等の磁気素子において用いられる場合、磁気サブストラクチャ100’は、より低いパルス幅に対しても改善された書き込みエラー率を有し得る。
図5は、磁気デバイス(例えば、MTJ、スピンバルブ、バリスティック磁気抵抗構造、又はそれらの組み合わせ)用の磁気サブストラクチャ100”の例示的な実施形態を示す。磁気サブストラクチャ100”が用いられる磁気デバイスは、多様な応用において使用され得る。例えば、磁気デバイス、つまりは磁気サブストラクチャは、STT‐RAM等の磁気メモリにおいて使用され得る。明確性のため、図5は縮尺通りではない。磁気サブストラクチャ100”は、磁気サブストラクチャ100及び100’に類似する。そこで、類似の構成要素は同じ様にラベル付けされている。従って、磁気サブストラクチャ100”は、第一の強磁性層110/110’、挿入層120/120’、第二の強磁性層130/130’に類似の第一の強磁性層110”と、挿入層120”と、第二の強磁性層130”とを含む。層110”、120”及び130”は、特定の配向で示されているが、この配向は他の実施形態では変更可能である。例えば、強磁性層110”が磁気サブストラクチャ100”の頂部(図示されていない基板から最も離れている)にあり得る。
磁気サブストラクチャ100”は、追加の挿入層140及び他の強磁性層150も含む。図示される実施形態では、層110”及び150は弱い面内異方性を有する。従って、何かが無ければ、強磁性層110”及び150の磁化は面内にある。層130”は強い垂直性のものである。一部実施形態では、層130”は、層110”及び150よりも厚い。例えば、層130”は、層110”及び150の厚さの和に等しい厚さを有し得る。層110”、130”及び150は磁気結合される。一部実施形態では、層110”、130”及び150は交換結合される。更に、層130”は室温において磁気的に安定である。一部実施形態では、強磁性層130”の磁気異方性エネルギーは、室温においてkTの少なくとも60倍である。このような実施形態の一部では、強磁性層130”の磁気異方性エネルギーは、室温においてkTの少なくとも80倍である。
図5は、層110”、130”及び150に対する磁化112’、132’及び152もそれぞれ示す。更に、磁気サブストラクチャ100”の正味の磁化102’が示されている。磁化112’及び152は、同じであるとして示されている。しかしながら、他の実施形態では、112’及び152の磁化が異なり得る。図5から見て取れるように、磁化112’及び152は面内にない。これは、層110”/150と130”との間の磁気結合によるものである。結果として、磁気ストラクチャ100”の正味のモーメント102’は、面内成分及び面に垂直な成分を有する。層110”/150と130”の間の交換相互作用に起因して、磁気サブストラクチャ100’の磁化102’は、z軸(磁気サブストラクチャ100”の面に垂直)から角度θ’にある。正味の結果は、磁気サブストラクチャ100”の磁化102がz軸からの或る角度において安定であるというものである。従って、切り替え特性、熱安定性、及びスケーラビリティの改善が達成され得る。
磁気サブストラクチャ100”は、磁気サブストラクチャ100’の利点を共有する。特に、MTJ等の磁気素子において用いられる場合、MTJは、より低いWERを有し得る。従って、MTJ等の磁気素子において用いられる場合、磁気サブストラクチャ100”は、より小さなパルス幅に対しても改善された書き込みエラー率を有し得るのと同時に、磁気サブストラクチャ100”が磁気的に安定になり得る。
図6は、磁気デバイス(例えば、MTJ、スピンバルブ、バリスティック磁気抵抗構造、又はこれらの組み合わせ)用の磁気サブストラクチャ100’’’の例示的な実施形態を示す。磁気サブストラクチャ100’’’が用いられる磁気デバイスは、多様な応用において使用され得る。例えば、磁気デバイス、つまりは磁気サブストラクチャは、STT‐RAM等の磁気メモリにおいて使用され得る。明確性のため、図6は縮尺通りではない。磁気サブストラクチャ100’’’は、磁気サブストラクチャ100、100’及び100”に類似する。そこで、類似の構成要素は同じ様にラベル付けされている。従って、磁気サブストラクチャ100’’’は、第一の強磁性層110/110’/110”、挿入層120/120’/120”、第二の強磁性層130/130’/130”、追加の挿入層140、追加の強磁性層150と類似する第一の強磁性層110’’’と、挿入層120’’’と、第二の強磁性層130’’’と、追加の挿入層140’と、追加の強磁性層150’とを含む。層110’’’、120’’’、130’’’、140’及び150’は特定の配向で図示されているが、この配向は他の実施形態では変更可能である。例えば、強磁性層130’’’が、磁性サブストラクチャ100’’’の頂部(図示されていない基板から最も離れている)にあり得る。
磁気サブストラクチャ100’’’において、弱面内層110’’’は、垂直層130”と150’との間に存在する。何かが無ければ、強磁性層110’’’の磁化は面内にある。一部実施形態では、層110’’’は、層130’’’及び150’よりも厚い。例えば、層110’’’は、層130’’’及び150’の厚さの和に等しい厚さを有し得る。層110’’’、130’’’及び150’は磁気的に結合される。一部実施形態では、層110’’’、130’’’及び150’は交換結合される。更に、層130’’’及び150’は室温において磁気的に安定である。一部実施形態では、強磁性層130’’’及び/又は150’の磁気異方性エネルギーは室温においてkTの少なくとも60倍である。他の実施形態では、強磁性層130’’’及び/又は150’の磁気異方性エネルギーは室温においてkTの少なくとも80倍である。
図6は、層110’’’、130’’’及び150’の磁化112”、132”及び152’もそれぞれ示す。更に、磁気サブストラクチャ100’’’の正味の磁化102”が示されている。磁化132”及び152’は、同じであるとして示されている。しかしながら、他の実施形態では、磁化132”及び152’は異なり得る。図6に見て取れるように、磁化112”は面内にない。これは、層110’’’と層130’’’/150’との間の磁気結合によるものである。結果として、磁気ストラクチャ100’’’の正味のモーメント102”は面内成分及び面に垂直な成分を有する。層110’’’と130’’’/150’との間の交換相互作用に起因して、磁気サブストラクチャ100’’’の磁化102”は、z軸(磁気サブストラクチャ100’’’の面に垂直)から角度θ”にある。正味の結果は、磁気サブストラクチャ100’’’の磁化102”がz軸からの或る角度において安定であるというものである。従って、切り替え特性、熱安定性及びスケーラビリティの改善が達成され得る。
磁気サブストラクチャ100’’’は、磁気サブストラクチャ100’の利点を共有する。特に、MTJ等の磁気素子において用いられる場合、MTJは、より低いWERを有し得る。従って、MTJ等の磁気素子において用いられる場合、磁気サブストラクチャ100’’’は、より小さなパルス幅に対しても改善された書き込みエラー率を有し得るのと同時に、磁気サブストラクチャ100’’’が磁気的に安定になり得る。
図7は、磁気サブストラクチャを含む磁気接合200の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図7は縮尺通りではない。磁気接合200は、ピンド層210と、非磁性スペーサ層220と、自由層230とを含む。層210、220及び230は、特定の配向で示されているが、この配向は他の実施形態では変更可能である。例えば、ピンド層210は磁気接合200の頂部(図示されていない基板から最も離れている)により近づき得る。任意のシード層202、任意のピニング層204、及び任意のキャッピング層240も示されている。任意のピニング層204は、ピンド層210の磁化(図示せず)を固定するのに用いられ得る。一部実施形態では、任意のピニング層204は交換バイアス相互作用によってピンド層210の磁化(図示せず)をピン止めするAFM層又は多層であり得る。しかしながら、他の実施形態では、任意のピニング層204は省略されるか、又は他の構造が使用され得る。磁気接合200は、書き込み電流が磁気接合200に流される際に自由層230が安定磁気状態の間で切り替えられるようにも構成される。従って、自由層230はスピントランスファトルクを用いて切り替え可能である。
単一層として図示されているが、ピンド層210は複数の層を含み得る。例えば、ピンド層210は、Ru等の薄層を介して反強磁性的又は強磁性的に結合された磁性層を含むSAFであり得る。このようなSAFでは、Ru又は他の物質の薄層と交互にされた複数の磁性層が使用され得る。ピンド層210は他の多層でもあり得る。磁化は図7に示されていないが、ピンド層210は、面外消磁エネルギーを超える垂直異方性エネルギーを有し得る。従って、ピンド層210は、面に垂直に向いた磁気モーメントを有し得る。他の実施形態では、ピンド層210の磁気モーメントは面内にある。ピンド層210の磁化の他の配向も考えられる。
スペーサ層220は非磁性である。一部実施形態では、スペーサ層220は絶縁体、例えばトンネリング障壁である。このような実施形態では、スペーサ層220は、結晶MgOを含み得て、磁気接合のTMRを増強し得る。他の実施形態では、スペーサ層は、Cu等の導体であり得る。代替実施形態では、スペーサ層220は他の構造、例えば、絶縁マトリクス中の導電性チャネルを含む粒状層を有し得る。
自由層230は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’を含む。一部実施形態では、自由層230は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’から成る。
磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’は自由層230内で用いられるので、磁気接合200は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’の利点を共有し得る。特に、磁気接合200は熱的に安定であり得る。更に、自由層230の正味の磁化は、90度未満であるが0度よりも大きい角度にあり得る。言い換えると、自由層230の正味の磁化は、z軸から傾斜している。従って、自由層230は、スピントランスファトルクを用いて容易に切り替え可能である。更に、磁気接合のWERが減じられ得る。
図8は、磁気サブストラクチャを含む磁気接合200’の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図8は縮尺通りではない。磁気接合200’は磁気接合200に類似する。従って、類似の層は同じ様にラベル付けされている。磁気接合200’は、層210、220及び230にそれぞれ類似するピンド層210’と、非磁性スペーサ層220’と、自由層230’とを含む。層210’、220’及び230’は特定の配向で図示されているが、この配向は他の実施形態では変更可能である。例えば、ピンド層210’は、磁気接合200’の頂部(図示されていない基板から最も離れている)により近づき得る。任意のシード層202、任意のピニング層204、任意のキャッピング層240に類似の任意のシード層202’、任意のピニング層204’及び任意のキャッピング層240’も示されている。磁気接合200’は、書き込み電流が磁気接合200’に流される際に自由層230’が安定磁気状態の間で切り替えられるようにも構成される。従って、自由層230’はスピントランスファトルクを用いて切り替え可能である。
スペーサ層220’は非磁性である。一部実施形態では、スペーサ層220’は絶縁体、例えばトンネリング障壁である。このような実施形態では、スペーサ層220’は、結晶MgOを含み得て、磁気接合のトンネリング磁気抵抗(TMR)を増強し得る。他の実施形態では、スペーサ層はCu等の導体であり得る。代替実施形態では、スペーサ層220’は、他の構造、例えば絶縁マトリクス中の導電性チャネルを含む粒状層を有し得る。
自由層230’は、単一層であるか、又は複数の層を含み得る。例えば、自由層230’は、Ru等の薄層を介して反強磁性的に又は強磁性的に結合された磁性層を含むSAFであり得る。このようなSAFでは、Ru又は他の物質の薄層と交互にされた複数の磁性層が使用され得る。自由層230’は他の多層でもあり得る。磁化は図8に示されていないが、自由層は、面外消磁エネルギーを超える垂直異方性エネルギーを有し得る。
ピンド層210’は磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’を含む。一部実施形態では、ピンド層210’は磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’から成る。
図9は、磁気サブストラクチャを含む磁気接合200”の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図9は縮尺通りではない。磁気接合200”は、磁気接合200及び200’に類似する。従って、類似の層は同じ様にラベル付けされている。磁気接合200”は、層210/210’、220/220’、230/230’にそれぞれ類似するピンド層210”と、非磁性スペーサ層220”と、自由層230”とを含む。層210”、220”及び230”は特定の配向で示されているが、この配向は他の実施形態では変更可能である。例えば、ピンド層210”は、磁気接合200”の頂部(図示されていない基板から最も離れている)により近づき得る。任意のシード層202/202’、任意のピニング層204/204’、任意のキャッピング層240/240’に類似の任意のシード層202”、任意のピニング層204”及び任意のキャッピング層240”も示されている。磁気接合200”は、書き込み電流が磁気接合200”に流された際に自由層230”が安定磁気状態の間で切り替えられるようにも構成される。従って、自由層230”はスピントランスファトルクを用いて切り替え可能である。
ピンド層210”は磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’を含む。一部実施形態では、ピンド層210”は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’から成る。
スペーサ層220”は非磁性である。一部実施形態では、スペーサ層220”は絶縁体、例えばトンネリング障壁である。このような実施形態では、スペーサ層220”は結晶MgOを含み得て、磁気接合のTMRを増強し得る。他の実施形態では、スペーサ層220”はCu等の導体であり得る。代替実施形態では、スペーサ層220”は他の構造、例えば、絶縁マトリクス中の導電性チャネルを含む粒状層を有し得る。
自由層230”は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’を含む。一部実施形態では、自由層230”は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’から成る。
磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’が自由層230”内で使用されるので、磁気接合200”は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’の利点を共有し得る。特に、磁気接合200”は熱的に安定になり得る。更に、自由層230”の正味の磁化は、90度未満であるが0度よりも大きいz軸からの角度にあり得る。言い換えると、自習層230”の正味の磁化はz軸から傾斜している。従って、自由層230”は、スピントランスファトルクを用いて容易に切り替えられ得る。更に、磁気接合のWERが減じられ得る。
図10は、磁気サブストラクチャを含む磁気接合200’’’の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図10は縮尺通りではない。磁気接合200’’’は、磁気接合200、200’及び200”に類似する。従って、類似の層は同じ様にラベル付けされている。磁気接合200’’’は、層210/210’/210”、220/220’/220”、230/230’/230”にそれぞれ類似のピンド層210’’’と、非磁性スペーサ層220’’’と、自由層230’’’とを含む。磁気接合200’’’は、層202/202’/202”、204/204’/204”、240’’’にそれぞれ類似の任意の層202’’’、204’’’及び240’’’を含むものとしても示されている。追加の非磁性スペーサ層250、追加のピンド層260、追加で任意のピニング層270も図示されている。層250、260及び270は、層220/220’/220”/220’’’、210/210’/210”/210’’’、204/204’/204”/204’’’にそれぞれ類似する。従って、磁気接合200’’’は二重磁気接合である。層210’’’、220’’’、230’’’、250及び260は、特定の配向で図示されているが、この配向は他の実施形態では変更可能である。例えば、ピンド層210’’’は、磁気接合200’’’の頂部(図示されていない基板から最も離れている)により近づき得る。磁気接合200’’’は、書き込み電流が磁気接合200’’’に流された際に自由層230’’’が安定磁気状態の間で切り替えられるようにも構成される。従って、自由層230’’’は、スピントランスファトルクを用いて切り替え可能である。
ピンド層210’’’、自由層230’’’及び/又はピンド層260は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’を含む。一部実施形態では、ピンド層210’’’、自由層230’’’及び/又はピンド層260は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’から成る。
磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’は、自由層230’’’内で使用され得るので、磁気接合200’’’は、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’の利点を共有し得る。特に、磁気接合200’’’は熱的に安定になり得る。更に、自由層230’’’の正味の磁化は、90度未満であるが0度よりも大きいz軸からの角度にあり得る。言い換えると、自由層230’’’の正味の磁化は、z軸から傾斜している。従って、自由層230’’’は、スピントランスファトルクを用いて容易に切り替えられ得る。更に、磁気接合のWERが減じられ得る。
図11は、磁気サブストラクチャを製造するための方法300の例示的な実施形態を示す。明確性のため、一部ステップは省略されるか又は組み合わされ得る。方法300は、磁気サブストラクチャ100の文脈で説明される。しかしながら、方法300は、サブストラクチャ100’、100”及び/又は100’’’等の他のサブストラクチャにおいても使用可能である。更に、方法300は、磁気メモリの製造内に組み込まれ得る。従って、方法300は、STT‐RAM又は他の磁気メモリの製造において使用され得る。
強磁性層110が、ステップ302で提供される。ステップ302は、強磁性層110の所望の厚さで所望の物質を堆積させることを含む。挿入層120がステップ304で提供される。ステップ304は、所望の非磁性体を堆積させることを含む。更に、所望の厚さの物質がステップ304において堆積され得る。第二の強磁性層がステップ306で提供される。挿入層及び他の強磁性層を提供するステップが、ステップ308で任意で繰り返される。従って、所望の数の強磁性層及び挿入層を有する磁気サブストラクチャが提供され得る。こうして、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’が形成される。従って、本磁気サブストラクチャの利点が得られ得る。
図12は、磁気サブストラクチャを製造するための方法310の例示的な実施形態を示す。明確性のため、一部ステップは省略されるか又は組み合わされ得る。方法310は磁気接合200の文脈において説明される。しかしながら、方法310は、接合200’、200”及び/又は200’’’等の他の磁気接合に対しても使用可能である。更に、方法310は、磁気メモリの製造内に組み込まれ得る。従って、方法310は、STT‐RAMや他の磁気メモリを製造するのに用いられ得る。方法310は、シード層302及び任意のピニング層204が提供された後に開始され得る。
ピンド層210がステップ312で提供される。ステップ312は、ピンド層210の所望の厚さで所望の物質を堆積させることを含み得る。更に、ステップ312は、SAFを提供することを含み得る。他の実施形態では、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’が提供され得る。非磁性層220がステップ314で提供される。ステップ314は、結晶MgO(これに限定されるものではない)等の所望の非磁性体を堆積させることを含み得る。更に、所望の厚さの物質がステップ314において堆積され得る。
磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び/又は100’’’を任意で含む自由層230がステップ316で提供される。追加の非磁性スペーサ層(層250等)がステップ318で提供され得る。追加のピンド層(層260等)が、ステップ320で任意で提供され得る。製造はステップ322で完了し得る。例えば、キャッピング層240が提供され得る。他の実施形態では、任意で追加のピニング層270が提供され得る。磁気接合の層が積層体として堆積されて形成される一部実施形態では、ステップ322は、磁気接合200を形成し、アニーリングを実施し、又は磁気接合200/200’の製造を完了させることを含み得る。更に、磁気接合200/200’がSTT‐RAM等のメモリ内に組み込まれる場合、ステップ322は、コンタクト、ビア構造、及びメモリの他の部分を提供することを含み得る。従って、本磁気接合の利点が得られ得る。
更に、磁気接合200、200’、200”及び/又は200’’’は磁気メモリにおいて用いられ得る。図13は、そのようなメモリ400の例示的な実施形態を示す。磁気メモリ400は、読み出し/書き込みコラム選択ドライバ402及び406、並びにワードライン選択ドライバ404を含む。他の構成要素及び/又は異なる構成要素が提供され得る点には留意されたい。メモリ400のストレージ領域は、磁気ストレージセル410を含む。各磁気ストレージセルは、少なくとも一つの磁気接合412と、少なくとも一つの選択デバイス414とを含む。一部実施形態では、選択デバイス414はトランジスタである。磁気接合412は、磁気接合200、200’、200”及び/又は200’’’の一つであり得る。セル410毎に一つの磁気接合412が示されているが、他の実施形態では、他の数の磁気接合412がセル毎に提供され得る。このようにして、磁気メモリ400は、より低いソフトエラー率や低い臨界切り替え電流等の上述の利点を享受し得る。
多様な磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び100’’’並びに磁気接合200、200’、200”及び200’’’が開示された。磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び100’’’並びに磁気接合200、200’、200”及び200’’’の多様な特徴を組み合わせ得ることは留意されたい。従って、磁気サブストラクチャ100、100’、100”及び100’’’並びに磁気接合200、200’、200”及び200’’’の利点(書き込みエラー率の減少、垂直異方性、熱安定性、及び/又はスケーラビリティ等)の一以上が得られ得る。
磁気サブストラクチャ、磁気接合、及びその磁気接合を用いて製造されたメモリを提供するための方法及びシステムを説明してきた。本方法及びシステムは、図示された例示的な実施形態に従って説明されているが、当業者は、それら実施形態にはバリエーションが存在し得て、あらゆるバリエーションが本方法及びシステムの精神及び範囲内にあることを容易に認識するものである。従って、多様な修正が、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって為され得る。
100 磁気サブストラクチャ
110 第一の強磁性層
120 挿入層
130 第二の強磁性層
200 磁気接合
202 シード層
204 ピニング層
210 ピンド層
220 非磁性スペーサ層
230 自由層
240 キャッピング層240

Claims (40)

  1. 磁気デバイス用の磁気接合であって、
    ピンド層と、
    非磁性スペーサ層と、
    自由層とを備え、
    前記非磁性スペーサ層が、前記ピンド層と前記自由層との間に存在し、
    該磁気接合が、書き込み電流が該磁気接合に流された際に前記自由層が複数の安定磁気状態の間で切り替えられるように構成されていて、
    前記ピンド層及び前記自由層の少なくとも一方が磁気サブストラクチャを含み、前記磁気サブストラクチャが、少なくとも一つの挿入層と交互にされた少なくとも二つの磁性層を含み、前記少なくとも二つの磁性層が交換結合されている、磁気接合。
  2. 前記少なくとも二つの磁性層が、弱面内異方性を有する第一の磁性層と、高垂直異方性を有する第二の磁性層とを含む、請求項1に記載の磁気接合。
  3. 前記弱面内異方性が、垂直異方性を引いた消磁場を含み、前記垂直異方性が前記消磁場よりも小さい、請求項2に記載の磁気接合。
  4. 前記垂直異方性が、前記消磁場の少なくとも0.4倍であり、且つ前記消磁場の0.9倍以下である。請求項3に記載の磁気接合。
  5. 前記第二の強磁性層が、前記高垂直異方性に対応する消磁エネルギー及び垂直異方性エネルギーを含み、前記垂直異方性エネルギーが前記消磁エネルギーを超えている、請求項2に記載の磁気接合。
  6. 前記磁気サブストラクチャが所望の交換結合を有し、前記挿入層が前記所望の交換結合を提供するように調整された厚さを有する、請求項2に記載の磁気接合。
  7. 前記少なくとも二つの磁性層が第三の磁性層を含み、前記少なくとも一つの挿入層が、前記第三の磁性層に隣接する第二の挿入層を含む、請求項1に記載の磁気接合。
  8. 前記自由層が前記磁気サブストラクチャを含む、請求項1に記載の磁気接合。
  9. 前記ピンド層が前記磁気サブストラクチャを含む、請求項1に記載の磁気接合。
  10. 前記ピンド層及び前記自由層の両方が前記磁気サブストラクチャを含む、請求項1に記載の磁気接合。
  11. 追加の非磁性層と、
    追加のピンド層とを更に備え、
    前記追加の非磁性層が、前記自由層と前記追加のピンド層との間に存在している、請求項2に記載の磁気接合。
  12. 前記追加のピンド層が、少なくとも一つの追加の挿入層と交互にされた少なくとも二つの追加の磁性層を有する追加の磁気サブストラクチャを含み、前記少なくとも二つの追加の磁性層が交換結合されている、請求項11に記載の磁気接合。
  13. 複数の磁気ストレージセルと、
    複数のビットラインとを備えた磁気メモリであって、
    前記複数の磁気ストレージセルの各々が少なくとも一つの磁気接合を含み、前記少なくとも一つの磁気接合がピンド層と、非磁性スペーサ層と、自由層とを含み、前記非磁性スペーサ層が前記ピンド層と前記自由層との間に存在し、前記磁気接合が、書き込み電流が前記磁気接合に流された際に前記自由層が複数の安定磁気状態の間で切り替えられるように構成されていて、前記ピンド層及び前記自由層の少なくとも一方が磁気サブストラクチャを含み、前記磁気サブストラクチャが、少なくとも一つの挿入層と交互にされた少なくとも二つの磁性層を含み、前記少なくとも二つの磁性層が交換結合されている、メモリ。
  14. 前記少なくとも二つの磁性層が、弱面内異方性を有する第一の磁性層と、高垂直異方性を有する第二の磁性層とを含む、請求項13に記載のメモリ。
  15. 前記弱面内異方性が、垂直異方性を引いた消磁場を含み、前記垂直異方性が前記消磁よりも小さい、請求項14に記載のメモリ。
  16. 前記垂直異方性が、前記消磁場の少なくとも0.4倍であり、且つ前記消磁場の0.9倍以下である、請求項15に記載のメモリ。
  17. 前記第二の強磁性層が、前記高垂直異方性に対応する消磁エネルギー及び垂直異方性エネルギーを含み、前記垂直異方性エネルギーが前記消磁エネルギーを超えている、請求項13に記載のメモリ。
  18. 前記磁気サブストラクチャが所望の交換結合を有し、前記挿入層が前記所望の交換結合を提供するように調整された厚さを有する、請求項14に記載のメモリ。
  19. 前記少なくとも二つの磁性層が第三の磁性層を含み、前記少なくとも一つの挿入層が、前記第三の磁性層に隣接する第二の挿入層を含む、請求項13に記載のメモリ。
  20. 前記自由層が前記磁気サブストラクチャを含む、請求項13に記載のメモリ。
  21. 前記ピンド層が前記磁気サブストラクチャを含む、請求項13に記載のメモリ。
  22. 前記ピンド層及び前記自由層の両方が前記磁気サブストラクチャを含む、請求項13に記載のメモリ。
  23. 追加の非磁性層と、
    追加のピンド層とを更に備え、
    前記追加の非磁性層が、前記自由層と前記追加のピンド層の間に存在している、請求項14に記載のメモリ。
  24. 前記追加のピンド層が、少なくとも一つの追加の挿入層と交互にされた少なくとも二つの追加の磁性層を有する追加の磁気サブストラクチャを含み、前記少なくとも二つの追加の磁性層が交換結合されている、請求項14に記載のメモリ。
  25. 磁気デバイス用の磁気接合を提供するための方法であって、
    ピンド層を提供するステップと、
    非磁性スペーサ層を提供するステップと、
    自由層を提供するステップとを備え、
    前記非磁性スペーサ層が前記ピンド層と前記自由層との間に存在し、
    前記磁気接合が、書き込み電流が前記磁気接合に流された際に前記自由層が複数の安定磁気状態の間で切り替えられるように構成され、
    前記ピンド層を提供するステップ及び前記自由層を提供するステップの少なくとも一方が、磁気サブストラクチャを提供するステップを含み、前記磁気サブストラクチャが、少なくとも一つの挿入層と交互にされた少なくとも二つの磁性層を含み、前記少なくとも二つの磁性層が交換結合される、方法。
  26. 前記少なくとも一つの挿入層の各々が、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、及びMgOのうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の磁気接合。
  27. 前記少なくとも一つの挿入層の各々が、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、及びMgOのうちの一つから成る、請求項1に記載の磁気接合。
  28. 前記少なくとも二つの磁性層の各々が、消磁場及び垂直異方性を有し、前記垂直異方性が前記消磁場よりも小さい、請求項1に記載の磁気接合。
  29. 前記少なくとも二つの磁性層の各々が、消磁場及び垂直異方性を有し、前記垂直異方性が前記消磁場よりも大きい、請求項1に記載の磁気接合。
  30. 前記少なくとも一つの追加の挿入層の各々が、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、及びMgOnoうち少なくとも一つを含む、請求項12に記載の磁気接合。
  31. 前記少なくとも一つの挿入層の各々が、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、及びMgOnoうち少なくとも一つを含む、請求項13に記載のメモリ。
  32. 前記少なくとも一つの挿入層の各々が、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、及びMgOnoうち一つから成る、請求項13に記載のメモリ。
  33. 前記少なくとも二つの磁性層の各々が、消磁場及び垂直異方性を有し、前記垂直異方性が前記消磁場よりも小さい、請求項13に記載のメモリ。
  34. 前記少なくとも二つの磁性層の各々が、消磁場及び垂直異方性を有し、前記垂直異方性が前記消磁場よりも大きい、請求項13に記載のメモリ。
  35. 前記少なくとも一つの追加の挿入層の各々が、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、及びMgOnoうち少なくとも一つを含む、請求項24に記載のメモリ。
  36. 前記少なくとも一つの挿入層の各々が、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、及びMgOnoうち少なくとも一つを含む、請求項25に記載の方法。
  37. 前記少なくとも一つの挿入層の各々が、Cr、Ta、Ti、W、Ru、V、Cu、Mg、酸化アルミニウム、及びMgOnoうち一つから成る、請求項25に記載の方法。
  38. 磁気デバイス用の磁気接合であって、
    ピンド層と、
    非磁性スペーサ層と、
    自由層とを備え、
    前記非磁性スペーサ層が、前記ピンド層と前記自由層との間に存在し、
    該磁気接合が、書き込み電流が該磁気接合に流された際に前記自由層が複数の安定磁気状態の間で切り替えられるように構成されていて、
    前記ピンド層及び前記自由層の少なくとも一方が磁気サブストラクチャを含み、前記磁気サブストラクチャが、少なくとも一つの挿入層と交互にされた少なくとも二つの磁性層を含み、前記少なくとも二つの磁性層が交換結合されていて、前記少なくとも二つの磁性層が、弱面内異方性を有する第一の磁性層と、高垂直異方性を有する第二の磁性層とを含み、前記弱面内異方性が、第一の垂直異方性を引いた第一の消磁場を含み、前記第一の垂直異方性が前記第一の消磁場よりも小さく、前記第二の強磁性層が、前記高垂直異方性に対応する第二の消磁エネルギー及び第二の垂直異方性エネルギーを含み、前記第二の垂直異方性エネルギーが前記第二の消磁エネルギーを超えている、磁気接合。
  39. 前記第一の垂直異方性が、前記第一の消磁場の少なくとも0.4倍である、請求項38に記載の磁気接合。
  40. 前記第一の垂直異方性が、前記第一の消磁場の0.9倍以下である、請求項38に記載の磁気接合。
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