JP2012142491A - 移載装置、及び、ワークのピックアップ方法 - Google Patents

移載装置、及び、ワークのピックアップ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 積層された薄いワークから、最上段のワークのみを、非接触で、かつ高速にピックアップすることが可能な移載装置を提供する。
【解決手段】 移載装置1は、ワーク80を非接触状態で保持するベルヌーイチャック12と、ベルヌーイチャック12が取り付けられたチャックベース10と、チャックベース10を空間内で移動させるパラレルメカニズムロボット3と、カセット70に積層されたワーク80の上層部に向けて側方からエアを吹き付けるエアノズル20とを備える。パラレルメカニズムロボット3によりチャックベース20が積層されたワーク80の上方から降下され、積層されたワーク80のうち最上段のワーク80がベルヌーイチャック12でピックアップされる際に、エアノズル20は、ベルヌーイチャック12が吸引を開始するよりも先に、エアの吹き付けを開始する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、ワークを移載する移載装置、及び、該ワークのピックアップ方法に関する。
特許文献1には、積層された薄板状ワークをロボット先端軸に取り付けた複数の吸着パッドにより最上段のものから順次取り出し搬送する産業用ロボットのハンド装置が開示されている。この産業用ロボットのハンド装置によれば、高低差を有する各吸着パッドのワークへの当接に伴って吸着作用が開始され、ワークが吊り上げられるときに、該ワークが一端側から持ち上げられる。そして、この先に持ち上げられるワーク一端側の側方へノズルからの空気が吹き付けられることによって最上段のワークが次段のワークから強制的に剥離される。その結果、ワークを1枚ずつ剥離させて取出し搬送することができる。
一方、近年、例えばリチウムイオン電池の電極や太陽電池ウェハーなどのより薄くて軽いワークを、より高速に移載(ピックアンドプレース)することが求められる場合がある。
特公平7−45298号公報
上述したように、特許文献1記載の産業用ロボットのハンド装置では、吸着パッドをワーク上面に当接して押し付け、該吸着パッドでワークの一端部を吸着して持ち上げた後、ワークの側方へ空気を吹き付けている。しかしながら、例えば、厚さ150μm以下のリチウムイオン電池の電極、あるいは結晶Si系太陽電池のセルやウェハなどのより薄くて軽いシート状のワークを、より高速にピックアップしようとした場合、空気が吹き付けられることにより、二段目以降のワークも一段目のワークと一緒に吹き上げられてしまい、最上段のワークのみを剥離して取り出すことができないことがある。そのため、複数枚のワークを一緒に取り上げてしまうおそれがある。すなわち、上述した産業用ロボットのハンド装置では、積層された薄くて軽いシート状のワークから、最上段のワークのみを高速にピックアップしようとした場合、最上段のワークだけを剥離してピックアップすることが難しかった。
また、上述した産業用ロボットのハンド装置では、吸着パッドをワーク上面に当接してワークを吸着しているが、リチウムイオン電池の電極などのより薄くて軽いワークを把持する際には、該ワークの変形や破損を防止する観点から、ワークに直接触れることなく、非接触でワークを把持することが好ましい。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、積層された薄いワークから、最上段のワークのみを、非接触で、かつ高速にピックアップすることが可能な移載装置、及び、ワークのピックアップ方法を提供することを目的とする。
本発明に係る移載装置は、ワークを非接触状態で保持するベルヌーイチャックと、ベルヌーイチャックが取り付けられたベース部材と、ベース部材を空間内で移動させる移動機構と、積層されたワークの上層部に向けて側方から気体を吹き付ける吹付け手段と、を備え、移動機構によりベース部材が積層されたワークの上方から降下され、積層されたワークのうち最上段のワークがベルヌーイチャックでピックアップされる際に、ベルヌーイチャックが吸引を開始するよりも先に、吹付け手段が、気体の吹き付けを開始することを特徴とする。
本発明に係る移載装置によれば、ベルヌーイチャックが吸引を開始するよりも先に、気体の吹き付けが開始される。そのため、まず、積層されたワークの上層部に向けて側方から気体が吹き付けられると、積層されたワークのうち、上層部に位置する複数枚のワークが、ばらされて吹き上げられる。そして、ワークが吹き上げられたところで、吹き上げられたワークの上方に位置しているベルヌーイチャックの吸引が開始され、ばらされて吹き上げられた複数枚のワークのうち、一番上のワークがピックアップされる。その結果、積層された薄いワークから、最上段のワークのみを、非接触で、かつ高速にピックアップすることが可能となる。
本発明に係る移載装置では、上記移動機構が、複数のリンクを介して、ベース部材を水平に保ったまま移動させるパラレルメカニズムロボットであることが好ましい。
パラレルメカニズムロボットは、可動部にアクチュエータがなく、軽量化が可能で、高速、高精度に駆動できるという特徴を有するため、ベルヌーイチャックが取り付けられたベース部材を非常に高速で動かすことができる。そのため、移動機構としてパラレルメカニズムロボットを用いることにより、ワークを高速に移載することが可能となる。
本発明に係る移載装置では、上記ベルヌーイチャックが、凹部及び該凹部内に気体を噴出するための噴出孔が形成された本体と、凹部の底面に取り付けられ、把持されているワークの横移動を防止する移動防止部材とを有することが好ましい。
この場合、噴出孔から凹部内に噴出された気体がワークとの間から排出されることによってベルヌーイ効果が生じ、吸引力が発生する。これによって、ワークを非接触で保持することができる。また、凹部の底面にはワークの横移動を防止する移動防止部材が取付けられているため、ワーク搬送時に、保持されているワークの横ずれを効果的に防止することが可能となる。
本発明に係る移載装置は、上記ベルヌーイチャックが、凹部及び該凹部内に流体を噴出するための噴出孔が形成された本体と、該本体の周囲に、ワークが把持される際に該ワークを包囲するように互いに間隔を空けて配置されて取り付けられた複数のガイド部材とを有することが好ましい。
この場合、噴出孔から凹部内に噴出された気体がワークとの間から排出されることによってベルヌーイ効果が生じ、吸引力が発生する。これによって、ワークを非接触で保持することができる。また、本体の周囲には複数のガイド部材がワークを包囲するように互いに間隔を空けて配置されて取り付けられているため、保持されたワークが搬送される際に、ワークの横方向の移動を適切に規制することが可能となる。
本発明に係る移載装置は、積層されたワークが載置され、取り出されたワークの量に応じて昇降するステージを備えることが好ましい。
この場合、ワークの取り出しに伴い、積層されているワークの量(高さ)が変化した場合であっても、ワークの最上段の高さを略一定に保つことができる。そのため、ワークをピックアップする際の移動機構の昇降量、及び、吹付け手段との相対位置(高さ)を略一定に保つことが可能となる。
本発明に係る移載装置では、上記吹付け手段が、取り出されたワークの量に応じて昇降することが好ましい。
このようにすれば、ワークの取り出しに伴い、積層されているワークの量(高さ)が変化したとしても、ワークの上層部に対して略一定の相対位置を保ちつつ、ワークの上層部に向けて側方から気体を吹き付けることが可能となる。
本発明に係る移載装置は、吹付け手段に対する気体の供給、ベルヌーイチャックに対する気体の供給、及び、移動機構の駆動を制御する制御手段を備え、ワークをピックアップする際に、制御手段が、積層されたワークの上方からベース部材が降下されるように移動機構を制御するとともに、吹付け手段に対する気体の供給を開始し、その後、ベルヌーイチャックに対する気体の供給を開始し、続いて、吹付け手段に対する気体の供給を停止した後、ベース部材が上昇するように移動機構を制御することが好ましい。
また、本発明に係るワークのピックアップ方法は、積層されたワークのうち最上段のワークをピックアップするワークのピックアップ方法であって、積層されたワークの上方から、ベルヌーイチャックが取付けられたベース部材を降下しつつ、積層されたワークの上層部に向けて側方から気体を吹き付ける吹付けステップと、吹付けステップにおいて気体の吹き付けが開始された後、ベルヌーイチャックでワークを吸引する吸引ステップと、吸引ステップの後、積層されたワークの上層部に向けての気体の吹き付けを停止する停止ステップと、停止ステップの後、ベルヌーイチャックが取付けられたベース部材を上昇する上昇ステップとを備えることを特徴とする。
本発明に係る移載装置又はワークのピックアップ方法によれば、積層されたワークのうち最上段のワークをピックアップする際に、まず、積層されたワークの上方からベルヌーイチャックが取付けられたベース部材が降下されるとともに、吹付け手段に気体が供給され、積層されたワークの上層部に向けて側方から気体が吹き付けられる。これにより、積層されたワークのうち、上層部に位置する複数枚のワークが、ばらされて吹き上げられる。その後、ベルヌーイチャックに気体が供給され、ベルヌーイチャックによるワークの吸引が開始される。よって、ワークが吹き上げられたところで、吹き上げられたワークの上方に位置しているベルヌーイチャックの吸引が開始され、ばらされて吹き上げられた複数枚のワークのうち、一番上のワークがピックアップされる。その後、積層されたワークの上層部に向けての気体の吹き付けが停止される。そのため、吹き上げられたワークのうち、ベルヌーイチャックでピックアップされなかった2段目以降のワークが自由落下を始める。その後、ベルヌーイチャックが取付けられたベース部材が上昇され、ワークが取り出される。以上の結果、積層された薄いワークから、最上段のワークのみを、非接触で、かつ高速にピックアップすることが可能となる。
本発明に係る移載装置では、制御手段が、吹付け手段に対して気体が供給され、上層部のワークが浮き上がったところで最上段のワークが吸引されるように、移動機構を制御してベルヌーイチャックが取り付けられたベース部材を移動するとともに、吹付け手段に対する気体の供給が停止され、ベルヌーイチャックによって保持されていないワークが落下し始めた後に、ベース部材が上昇を開始するように移動機構を制御することが好ましい。
また、本発明に係るワークのピックアップ方法では、気体が吹き付けられて、上層部のワークが浮き上がったところで最上段のワークをベルヌーイチャックで吸引し、気体の吹き付けが停止され、ベルヌーイチャックで保持されていないワークが落下し始めた後に、ベース部材の上昇を開始することが好ましい。
このようにすれば、ばらされて吹き上げられた複数枚のワークのうち、一番上のワークのみをより的確にピックアップすることができる。
本発明によれば、積層された薄いワークから、最上段のワークのみを、非接触で、かつ高速にピックアップすることが可能となる。
実施形態に係る移載装置を構成するパラレルメカニズムロボットの構成を示す斜視図である。 図1中の矢印A1方向から見たパラレルメカニズムロボットを示す図である。 ベルヌーイチャックの構成を示す底面図及び縦断面図である。 実施形態に係る移載装置を構成する取り出し機構の構成を示す斜視図である。 ワークが積載されたカセットが載置された昇降ステージを図4中のカセット搬入方向から見た図である。 実施形態に係る移載装置の電子制御装置の構成を示すブロック図である。 リチウムイオン電池の正極材、負極材、及びセパレータの積層工程の概要を説明するための鳥瞰図である。 実施形態に係る移載装置によるピックアップ動作の処理手順を示すフローチャートである。 ワークをピックアップする際の各部の動きを示すタイミングチャートである。 変形例に係るベルヌーイチャックの構成を示す底面図及び縦断面図である。 昇降可能に構成されたエアノズルを示す図である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
まず、図1〜図6を併せて用いて、実施形態に係る移載装置1の構成について説明する。移載装置1は、図1,2に示されるパラレルメカニズムロボット3と、図3に示されるベルヌーイチャック12と、図4,5に示される取り出し機構5と、図6に示される電子制御装置7とを備えて構成されている。
はじめに、図1及び図2を用いて、実施形態に係る移載装置を構成するパラレルメカニズムロボット3の構成について説明する。図1は、パラレルメカニズムロボット3の構成を示す斜視図である。また、図2は、図1中の矢印A1方向から見たパラレルメカニズムロボット3を示す図である。
パラレルメカニズムロボット3は、上部にベース部102を有している。パラレルメカニズムロボット3は、ベース部102の下面側に形成された平らな取付面102a(図2参照)が例えば水平な天井等に固定されることによって支持される。一方、ベース部102の下面側には、3つの支持部材103が設けられている。各支持部材103には、それぞれ電動モータ104が支持されている。電動モータ104は、モータ軸の軸線C2がベース部102の取付面102aに対して平行(すなわち水平)となるように支持されている。それぞれの支持部材103は、ベース部102の鉛直方向軸線C1を中心として等しい角度(120度)を開けて配置されており、各電動モータ104もまた、ベース部102の鉛直方向軸線C1を中心として等しい角度(120度)を開けて配置される(図2参照)。
各電動モータ104の出力軸には、軸線C2に対して同軸に略六角柱形状のアーム支持部材105が固定されている。アーム支持部材105は、電動モータ104が駆動されることにより軸線C2を中心として回転する。なお、各電動モータ104は、モータドライバを含む電子制御装置7に接続されており、電動モータ104の出力軸の回転がこの電子制御装置7によって制御される。
パラレルメカニズムロボット3は、3本のアーム本体106を有しており、各アーム本体106は、第1アーム107及び第2アーム108を含んで構成される。第1アーム107は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等で形成された長尺の中空円筒部材である。第1アーム107の基端部は、アーム支持部材105の側面に取り付けられている。第1アーム107は、その軸線が上述した軸線C2と直交するように固定される。
第1アーム107の遊端部には、第2アーム108の基端部が連結され、第2アーム108が、第1アーム107の遊端部を中心として揺動できるように構成されている。第2アーム108は、一対の長尺のロッド109,109を含んで構成されており、一対のロッド109,109は、その長手方向において互いに平行となるように配置されている。ロッド109も、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等で形成された長尺の中空円筒部材である。各ロッド109の基端部は、第1アーム107の遊端部に、一対のボールジョイント110,110によって連結されている。なお、各ロッド109の基端部における各ボールジョイント110,110間を結ぶ軸線C3は、電動モータ104の軸線C2に対して平行となるよう配置されている。
また、第2アーム108の基端部付近において一方のロッド109と他方のロッド109とが連結部材111で互いに連結されており、第2アーム108の遊端部付近において一方のロッド109と他方のロッド109とが連結部材112で互いに連結されている。連結部材111、及び連結部材112は、例えば、付勢部材としての引張コイルバネを有しており、一対のロッド109,109を互いに引き合う方向に付勢する。なお、連結部材111と連結部材112とは、異なる構造であっても構わないが同一構造であることが低コストの観点から好ましい。いずれの連結部材111,112も、各ロッド109が自身の長手方向に平行な軸線まわりに回転することを防止する機能を有する。
また、パラレルメカニズムロボット3は、チャックベース10を回動可能に取り付けるためのブラケット114を有している。ブラケット114は、略正三角形状をした板状部材である。このブラケット114は、3本のアーム本体106によって、ブラケット114のチャックベース10の取付面114a(図1におけるブラケット114の下面)がベース部102の取付面102aと平行(すなわち水平)になるように保持される。
すなわち、ブラケット114の各辺には取付片115が形成されており、各取付片115がそれぞれのアーム本体106の遊端部(第2アーム108を構成する一対のロッド109,109の遊端部)に連結されることで、ブラケット114は、各アーム本体106に対して、各アーム本体106の遊端部を中心として揺動する。詳しくは、ブラケット114の各取付片115の各端部が、対応する各ロッド109,109の遊端部に各ボールジョイント116,116によって連結される。一対のボールジョイント116,116を結ぶ軸線C4(図2参照)は、各ロッド109のボールジョイント部110と116との間の距離が全て等しいことにより各アーム本体106に対応する軸線C3と平行になるため、電動モータ104の軸線C2に対しても平行となる。このため、各アーム本体106が駆動される際に、ブラケット114は、水平面に対して平行に移動することにより各アーム本体106に対して揺動する。そして、略正三角形状のブラケット114のすべての辺において、水平面に対して平行に移動できるように、ブラケット114が3本のアーム本体106によって支持されている。
上述したように、第1アーム107と第2アーム108との連結部における一対のボールジョイント110,110間の距離と、第2アーム108の各ロッド109とブラケット114との連結部における一対のボールジョイント116,116間の距離とは等しく設定されている。そのため、第2アームを構成する一対のロッド109,109は、必ずその長手方向の全長において互いに平行に配置される。ここで、軸線C2,C3,C4のいずれもが、ベース部102の取付面102aに平行であるから、3つの第1アーム107それぞれが軸線C2を中心にどのように回動したとしても、ブラケット114のチャックベース10の取付面114aとベース部102の取付面102aとの平行関係が維持される。
そして、電子制御装置7からの指令に応じて、各電動モータ104の出力軸に固定されたアーム支持部材105の回転位置が制御されることで、各第1アーム107の遊端部の位置が制御される。この制御された各第1アーム107の遊端部の位置に、各第2アーム108の遊端部の位置が追従し、その結果、ブラケット114のチャックベース10の取付面114aの位置が一意に決まる。このとき、上述したように、ブラケット114は、水平姿勢を維持したまま移動する。
また、パラレルメカニズムロボット3は、その中央にベース部102から下方に延びる旋回軸ロッド120と、この旋回軸ロッド120を回転するための電動モータ121とを有する。電動モータ121は、その軸出力を鉛直下方に向けた状態でベース部102に固定されている。旋回軸ロッド120の一端部は、自在継手(以下「ユニバーサルジョイント」という)122、及び、複数のギヤの組み合わせにより構成された減速機124を介して電動モータ121の出力軸に連結されている。なお、本実施形態では減速機124の減速比を5とした。一方、旋回軸ロッド120の他端部は、ユニバーサルジョイント123を介してチャックベース10に接続されている。さらに、チャックベース10及びユニバーサルジョイント123の下方接続部は、その中心軸が鉛直方向となるようにベアリング等を介してブラケット114に回転自在に固定されている。
旋回軸ロッド120は、ロッド120aとシリンダ120bとにより実現され、伸縮自在に構成されている。ここで、旋回軸ロッド120はボールスプラインであり、ロッド120aの回転をシリンダ120bに伝達することが可能である。また、旋回軸ロッド120の両端部にユニバーサルジョイント122,123が採用されているため、ブラケット114が3つの電動モータ104の駆動により上下、前後左右の所定の位置に移動したとしても、旋回軸ロッド120は、その所定位置に追従して移動することができる。なお、以下、旋回軸ロッド120、及びユニバーサルジョイント122,123を含む構成を旋回軸125という。
すなわち、電動モータ121とチャックベース10との間では、減速機124、ユニバーサルジョイント122、旋回軸ロッド120(ロッド120a,シリンダ120b)、ユニバーサルジョイント123の機械要素が直列に接続されており、電動モータ121の回転駆動力は、直列に接続されたこれらの機械要素を介して、チャックベース10に伝達される。電動モータ121は、電子制御装置7に接続されており、電動モータ121の回転がこの電子制御装置7により制御されることにより、チャックベース10の回転角度位置が制御される。
チャックベース(特許請求の範囲に記載のベース部材に相当)10は、外形寸法が、保持されるワーク80よりも一回り大きく形成された、正方形の板状の部材である。チャックベース10は、軽量で強度に優れる工業用プラスチック等から形成されている。なお、チャックベース10の形状、寸法などは、保持されるワークの形状、寸法などに応じて設定されることが好ましい。チャックベース10の上面中央部にはアタッチメント11(図4参照)が取り付けられている。このアタッチメント11により、チャックベース10は、ブラケット114を介して旋回軸ロッド120と接続されており、旋回軸ロッド120によって回動可能に構成されている。
チャックベース10の下面側には、高圧エアを噴出して吸引力を発生させる4つのベルヌーイチャック12が取付けられている(図3,4参照)。ここで、4つの内、1つのベルヌーイチャック12について、その底面図及び縦断面図を図3に示す。図3に示されるように、各ベルヌーイチャック12は、チャックベース10の下面側に取り付けられる円柱状の本体13を有している。円柱状の本体13の端面には凹部14が形成されている。そして、ベルヌーイチャック12は、本体13に形成された凹部14の開口面が、保持されるワーク80と対向するように、すなわち、凹部14の開口面が下側を向くようにして取り付けられる。ベルヌーイチャック12の本体13の開口面は、ワーク80を非接触で保持するワーク保持面を形成する。
凹部14の背面には、チャックベース10との間にチャンバ18が形成されている。また、本体13の凹部14に臨む面には、凹部13内に高圧エアを噴出するための噴出孔15が複数(本実施形態では45度間隔で8つ)形成されている。噴出孔15は、チャンバ18から凹部14の底面にかけて、凹部14の内周面と接する方向に、本体13を斜め下方向に貫通するように形成されている。チャンバ18にはエア配管(図示省略)が取り付けられている。このエア配管は、高圧エアを供給するエアコンプレッサ(図示省略)に接続されている。
エアコンプレッサからエア配管、チャンバ18を通して噴出孔15に高圧エアが供給されると、噴出孔15を通して凹部14内に高圧エアが噴出される。噴射された高圧エアは、凹部14の内周面に沿って斜め下方向に進み、開口端面とワーク80との隙間から排出される。これによって、高圧エアが凹部14の内周面から開口端面に突入する際に流速が上がり、凹部14の内部圧力が下降する。この負圧によって、ワーク80に対して吸引力が発生する。その結果、ワーク80が非接触保持される。
また、ベルヌーイチャック12の凹部14の底面の略中心部には、把持されているワーク80の横移動を防止するための円筒状のパッド(特許請求の範囲に記載の移動防止部材に相当)16が取り付けられている。なお、パッド16の端面と、凹部14の開口端面とは、平行かつ略同一平面内に配置される。より詳細には、パッド16の端面は、ワーク80が把持された状態において該ワーク80と略当接するように、凹部14の開口端面から、約0.1〜0.6mm突出した位置に配置されることが好ましく、本実施形態では、約0.2mm突出させて配置した。パッド16は、把持されたワーク80との間で摩擦力を生じさせるウレタンゴム等のフリクション部材であり、この摩擦力によって、ワーク80の横移動を防止する。
ここで、ワーク80を非接触で把持するベルヌーイチャックとしては、上述した図3に示されるベルヌーイチャック12に代えて、例えば、図10に示されるベルヌーイチャック12Bを用いることもできる。ここで、図10は、変形例に係るベルヌーイチャック12Bの構成を示す底面図及び縦断面図である。ベルヌーイチャック12Bの本体13Bは、矩形(正方形)の薄板である。本体13Bの下面には6行6列のマトリックス状に合計36個の凹部14Bが形成されている。なお、本体13Bに形成される凹部14Bの配置及び数はこれらには限られない。凹部14Bの背面には、チャックベース10との間にチャンバ18Bが形成されている。また、チャンバ18Bと各凹部14Bとを連結し、チャンバ18Bに導かれた高圧エアを凹部14B内に噴出する複数(図10では4つ)の噴出孔15Bが、本体13Bを板厚方向に貫通するように形成されている。4つの噴出孔15Bは、円柱形状の凹部14Bの中心軸に対し、互いに軸対象になるよう、所定角度傾けられて形成されている。
チャンバ18Bには、エア配管(図示省略)が取り付けられている。エア配管は、高圧エアを供給するエアコンプレッサ(図示省略)に接続される。エアコンプレッサからエア配管、チャンバ18Bを介して噴出孔15Bに高圧エアが供給されると、噴出孔15Bを通して凹部14B内へ高圧エアが噴出される。噴出された高圧エアは、凹部14Bの内壁に沿って旋回しつつ、本体13Bとワーク80との隙間から排出される。これによって、ベルヌーイ効果が生じ、ベルヌーイチャック12Bとワーク80との間に負圧が生まれる。この負圧によって、ワーク80に対して吸引力が発生する。なお、この例によれば、負圧をより均一に発生させることができる。
また、本体13Bの外側面には、ワーク80が把持される際に該ワーク80を包囲するように互いに間隔を空けて配置された複数(図10の例では8つ)の板状のガイド部材17が取り付けられている。より詳細には、各ガイド部材17は、本体13Bの各辺に2つずつ配置され、本体13Bを挟んで、対向するように配置されている。また、各ガイド部材17は、本体13Bの下面に対して垂直方向に取り付けられており、その先端は、ベルヌーイチャック12Bのワーク保持面よりも下側に突出している。各ガイド部材17は、保持されたワーク80と略当接するように、より詳細には、ガイド部材17とワーク80の各辺とが、0.1〜0.2mm程度のクリアランスを有するように配置されている。各ガイド部材17は、例えば、フッ素ゴム、ウレタンゴム又はシリコンゴムなどの弾性体から形成されている。また、その表面には、滑りを良くし、耐磨耗性を向上させるために、例えば、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングなどを施してもよい。保持されたワーク80が搬送される際に、8つのガイド部材17によって、ワーク80の横方向の移動が規制される。
次に、図4,5を併せて参照しつつ、ベルヌーイチャック12が取り付けられたパラレルメカニズムロボット3と共に移載装置1を構成する取り出し機構5について説明する。ここで、図4は、取り出し機構5の構成を示す斜視図である。また、図5は、ワーク80が積載されたカセット70が載置された昇降ステージ43を図4中のカセット搬入方向から見た図である。
取り出し機構5は、カセット70が載置された昇降ステージ43を鉛直方向に昇降させるリニアアクチュエータ40と、カセット70に積載されたワーク80の上層部に向けて側方からエアを吹き付けるエアノズル20とを備えている。なお、エアノズル20は、特許請求の範囲に記載の吹付け手段として機能する。取り出し機構5は、架台(ベース)50を備えており、該架台50には、昇降ステージ43を昇降させるリニアアクチュエータ40が取り付けられている。リニアアクチュエータ40は、直線的に伸縮するロッド41を有しており、該ロッド41の先端部には、昇降ステージ43が取り付けられている。
昇降ステージ43の下面には、2本のリニアガイド42,42も取り付けられており、昇降ステージ43は、リニアアクチュエータ40のロッド41に加え、これら2本のリニアガイド42,42によって支持されている。なお、リニアアクチュエータ40としては、例えば、電動モータを内蔵し、微小な位置決めが可能なものが好適に用いられる。リニアアクチュエータ40が駆動されると、ロッド41が、鉛直方向に直線運動を行い、その結果、昇降ステージ43が昇降動作を行う。
昇降ステージ43には、ワーク80を積層して載置するカセット70が載置される。昇降ステージ43の端部にはカセット70の位置決めを行うためのカセットストッパ44が取付けられている。カセット70がカセットストッパ44に当接することにより、該カセット70のカセット搬入方向の位置決めが行われる。なお、例えば、カセット70がローラコンベア200によって搬送される際には、図5に示されるように、カセット70の両端部が、一対のローラ210,210の上に置かれる。そして、この状態で、一対のローラ210,210が回転することにより、カセット70が搬送される。
架台50の側部には、また、エアノズル20を支持する板状の支持部材30が垂直に取り付けられている。支持部材30の上端部には、円筒状のエアノズル20が取り付けられている。エアノズル20の円筒面には、複数の吹出孔22が形成されている。複数の吹出孔22は、エアノズル20の軸線方向に沿って、互いに一定の間隔を空けて一列に形成されている。エアノズル20は、軸線が水平になるように、かつ、複数の吹出孔22の軸線が略水平になるように取り付けられている。なお、エアノズル20は、回動可能に取り付けられており、エアの吹出角度が調節可能となっている。エアノズル20の両端部にはエア配管21,21が接続されている。エアノズル20の両端に接続されたエア配管21,21は、上流で1本のエア配管(図示省略)に統合された後、エアノズル20に対する空気の供給を断続する第1エアバルブ173を介してエアコンプレッサ(図示省略)に接続されている。
次に、図6を参照しつつ、移載装置1を制御する電子制御装置7の構成について説明する。ここで、図6は、移載装置1を制御する電子制御装置7の構成を示すブロック図である。電子制御装置7は、パラレルメカニズムロボット3を駆動する3つの電動モータ(第1〜第3電動モータ)104、並びに電動モータ(θ軸電動モータ)121、昇降ステージ43を昇降するリニアアクチュエータ40、エアノズル20に対するエアの供給を断続する第1エアバルブ173、及び、ベルヌーイチャック12に対するエアの供給を断続する第2エアバルブ174それぞれを制御する。電子制御装置7は、特許請求の範囲に記載の制御手段として機能する。
より詳細には、電子制御装置7は、コントローラ171及びシーケンサ(PLC)172を備えている。コントローラ171は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM等により構成されている。コントローラ171には、電動モータ104、電動モータ121、リニアアクチュエータ40が電気的に接続されている。コントローラ171は、パラレルメカニズムロボット3の座標計算などを行い、その結果に基づいて、3つの電動モータ104を制御することによってアーム本体106を駆動し、チャックベース10を目標位置まで動かす。また、コントローラ171は、電動モータ121を制御することによって旋回軸ロッド120を駆動し、チャックベース10を目標回転角度位置まで回転させる。
また、コントローラ171は、リニアアクチュエータ40を制御して昇降ステージ43の高さを調節する。より詳細には、コントローラ171は、例えば、取り出されたワーク80の枚数をカウントし、ワーク80が所定枚数(例えば5枚)取り出されたときに、所定幅(例えば0.5mm)だけ、昇降ステージ43を上昇させる。これにより、ワーク80が取り出され、積層されているワーク80の量(高さ)が減少したとしても、昇降ステージ43が上昇することにより、カセット70に積層されたワーク80の最上面の高さが略一定に保たれる。よって、パラレルメカニズムロボット3のワーク取り出し高さが略一定に保たれる。
一方、シーケンサ172には、エアノズル20に対するエアの供給を断続する第1エアバルブ173、及びベルヌーイチャック12に対するエアの供給を断続する第2エアバルブ174が電気的に接続されている。シーケンサ172は、コントローラ171から出力されるコントローラ信号をトリガとして、第1エアバルブ173、及び第2エアバルブ174の開弁/閉弁制御を実行する。
電子制御装置7には、オペレータによる操作入力を受け付ける設定手段およびパラレルメカニズムロボット3の状態や設定内容を表示する表示手段としての入出力装置131が接続されている。なお、入出力装置131としては、例えば、タッチパネルディスプレイ、又は、液晶ディスプレイとキーボード等が好適に用いられる。オペレータは、入出力装置131を用いて、電動モータ104,121の制御データ、及び、第1エアバルブ173、第2エアバルブ174の開弁・閉弁タイミングを設定することができる。
電子制御装置7は、設定された制御データを用いてプログラムを実行することにより、電動モータ104及び電動モータ121を駆動して、チャックベース10の3次元空間における位置(x,y,z)及び回転角度(θ)を制御する。また、電子制御装置7を構成するコントローラ171及びシーケンサ172は、互いに協調し、カセット70に積層されたワーク80をピックアップする際に、積層されたワーク80の上方からチャックベース10(ベルヌーイチャック12)が降下されるように電動モータ104を制御するとともに、第1エアバルブ173を開弁し、その後、第2エアバルブ174を開弁し、続いて、第1エアバルブ173を閉弁した後、ベルヌーイチャック12が上昇するように電動モータ104を制御する。
次に、図7〜9を併せて用いて、移載装置1の動作について説明する。ここでは、リチウムイオン電池の正極材、負極材、及びセパレータの積層工程を例にして、ワーク(この場合は、リチウムイオン電池の正極材、負極材、セパレータ)80が積層されたカセット70からワーク80を取り出す際の、移載装置1によるワーク80のピックアップ動作を説明する。なお、図7は、リチウムイオン電池の正極材80A、負極材80B、及びセパレータ80Cの積層工程の概要を説明するための鳥瞰図である。
まず、図7を参照しつつ、リチウムイオン電池の正極材80A、負極材80B、及びセパレータ80Cの積層工程の概要について説明する。なお、リチウムイオン電池の正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cそれぞれは、例えば、厚さ約0.1mmの矩形の薄板である。この工程では、正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cそれぞれが積層されたカセット70を供給する6本のローラコンベア201〜206と、正極材80A、負極材80B、及びセパレータ80Cが所定の順番に積み重ねられたカセット70を排出する2本のローラコンベア207,208とが、パラレルメカニズムロボット3を挟んで対向するように配設されている。
第1ローラコンベア201〜第6ローラコンベア206それぞれは、互いに平行に並んで配置されている。第1ローラコンベア201〜第6ローラコンベア206それぞれには、リチウムイオン電池の正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cを積層したカセット70が載せられ、該カセット70が図面上側から下側へ送り出される。送り出されたカセット70は、カセットストッパ44で止められ、セットされる。第1ローラコンベア201、第2ローラコンベア202では、正極材80Aが積層されたカセット70が送り出されて、セットされる。第3ローラコンベア203、第4ローラコンベア204では、セパレータ80Cが積層されたカセット70が送り出されて、セットされる。また、第5ローラコンベア205、第6ローラコンベア206では、負極材80Bが積層されたカセット70が送り出されて、セットされる。第1ローラコンベア201、第3ローラコンベア203、第5ローラコンベア205にセットされた正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cのいずれかが無くなった場合、それに隣接する第2ローラコンベア202、第4ローラコンベア204、第6ローラコンベア206にセットされた正極材80A、負極材80B、又はセパレータ80Cが取り出される。そして、その間に、第1ローラコンベア201、第3ローラコンベア203、又は第5ローラコンベア205の空になったカセット70が一旦排出され、正極材80A、負極材80B、又はセパレータ80Cが補充された別のカセット70が、送り出されてセットされる。第2ローラコンベア202、第4ローラコンベア204、第6ローラコンベア206にセットされた正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cが無くなった場合も同様である。
一方、第7ローラコンベア207と第8ローラコンベア208とは、互いに平行に並んで配置されている。第7ローラコンベア207、第8ローラコンベア208それぞれには、空のカセット70が載せられ、該カセット70が図面下側から上側へ送り出される。送り出されたカセット70は、カセットストッパ44で止められ、セットされる。パラレルメカニズムロボット3は、第1ローラコンベア201〜第6ローラコンベア206のカセット70から正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cを取り出し、取り出した正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cを、第7ローラコンベア207、第8ローラコンベア208のカセット70に、正極材80A、セパレータ80C、負極材80B、セパレータ80C、正極材80A、セパレータ80C、負極材80B、・・・・の順番に積層してゆく。所定枚数の積層が終了した場合、第7,8ローラコンベア207,208は、積層が終了したカセット70を排出する。なお、第7ローラコンベア207のカセット70を排出しているときには、パラレルメカニズムロボット3は、第8ローラコンベア208のカセット70に正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cを積層してゆく。
パラレルメカニズムロボット3は、各電動モータ104を回転してアーム本体106を駆動し、第1ローラコンベア201〜第6ローラコンベア206のカセット70に積層された正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cに上方からアクセスして正極材80A、負極材80B、セパレータ80Cをベルヌーイチャック12でピックアップしては第7,8ローラコンベア207,208のカセット70まで搬送し、積み重ねるといった動作を繰り返し実行する。
続いて、図8,9を併せて参照しつつ、正極材80A、負極材80B、セパレータ80C(以下、これらを総称して「ワーク80」という)が積層されたカセット70からワーク80を取り出する際の、移載装置1によるワーク80のピックアップ動作を説明する。ここで、図8は、パラレルメカニズムロボット3によるピックアップ動作の処理手順を示すフローチャートである。また、図9は、ワーク80をピックアップする際の各部の動きを示すタイミングチャートである。なお、図9の横軸は時刻、縦軸は、上から順に、コントローラ信号、シーケンサ信号(第1エアバルブ173駆動信号)、下層のワーク80の挙動、シーケンサ信号(第2エアバルブ174駆動信号)、取り出されるワーク80の挙動(吸着)、チャックベース10(ベルヌーイチャック12)の昇降速度をそれぞれ示す。
ワーク80をカセット70から取り出す際には、ベルヌーイチャック12が鉛直方向に降下し、カセット70に接近する。そして、図9に示される時刻t1(−11.5ms:時刻t2を基準(0ms)とした場合、その11.5ms前)に達したときに、パラレルメカニズムロボット3に取り付けられたチャックベース10の減速が開始される(図9の6段目参照)(図8に示されるステップS100)。
その後、時刻t2(0ms)において、チャックベース10が第1エアバルブ173を開弁するように設定された高さ(H=28.5mm)に到達したときに、コントローラ信号(第1エアバルブ173及び第2エアバルブ174の開閉弁制御を開始するためのトリガ信号)がコントローラ171から出力されシーケンサ172に入力される。コントローラ信号を受けて、第1エアバルブ173が開弁され、エアノズル20に対するエアの供給が開始される。そして、積層されたワーク80の上層部に向けて側方からエアが吹き付けられる(ステップS102)。これにより、積層されたワーク80のうち、上層部に位置する複数枚のワーク80が、ばらされて吹き上げられる。ただし、第1エアバルブ173が開弁されてから実際にエアの噴射が始まるまでにはディレイがあるため、約17ms後にワーク80が浮き始める(図9の3段目参照)。
続いて、時刻t3(15ms)において、ベルヌーイチャック12に対する高圧エアの供給を断続する第2エアバルブ174が開弁され、ベルヌーイチャック12による吸引が開始される(図9の4段目参照)(ステップS104)。よって、ワーク80が吹き上げられたところで、吹き上げられたワーク80の上方に位置しているベルヌーイチャック12の吸引が開始される。
次に、時刻t5(25ms)において、エアノズル20へのエアの供給を断続する第1エアバルブ173が閉弁される(図9の2段目参照)(ステップS106)。第1エアバルブ173が閉弁されることにより、積層されたワーク80の上層部に向けてのエアの吹き付けが停止される。ただし、第1エアバルブ173が閉弁されてから実際にエアの吹き付けが終わるまでにはディレイがあるため、約30ms後に2段目以降のワーク80が落ち始める(図9の3段目参照)。
そして、時刻t6において、最上段のワーク80がベルヌーイチャック12に吸着される。ここで、第2エアバルブ174が開弁されてから実際にベルヌーイチャック12がワーク80を吸引し始めるまでにはディレイがあるため、第2エアバルブ174が開弁されてから約20ms後(t6)に、ばらされて吹き上げられた複数枚のワーク80のうち、最上段のワーク80がベルヌーイチャック12に吸着される(図9の5段目参照)(ステップS108)。
その後、時刻t7(38.5ms)において、ベルヌーイチャック12が目標位置(H=10mm)に到達する(ステップS110)。そして、時刻t8(=68.5ms)において、ベルヌーイチャック12の上昇が開始され、ワーク80が取り出される(ステップS112)。以上のようにして、積層された薄いワーク80から、最上段のワーク80のみが、非接触で、かつ高速にピックアップされる。
本実施形態によれば、ベルヌーイチャック12が吸引を開始するよりも先に、エアの吹き付けが開始される。そのため、まず、積層されたワーク80の上層部に向けて側方からエアが吹き付けられると、積層されたワーク80のうち、上層部に位置する複数枚のワーク80が、ばらされて吹き上げられる。ただし、その数mm上方には、ベルヌーイチャック12が降下しているため、ワーク80が必要以上に上昇して飛散することはない。そして、ワーク80が浮き上がったところで、浮き上がったワーク80の上方に位置しているベルヌーイチャック12の吸引が開始され、ばらされて浮き上がった複数枚のワーク80のうち、一番上のワーク80がピックアップされる。その結果、積層された薄くて軽いワーク80から、最上段のワーク80のみを、非接触で、かつ高速にピックアップすることが可能となる。
より詳細には、本実施形態によれば、積層されたワーク80のうち最上段のワーク80をピックアップする際に、まず、積層されたワーク80の上方からベルヌーイチャック12が取付けられたチャックベース10が降下されるとともに(すなわち、チャックベース10が最下点(取出高さ)に到達する前に)、第1エアバルブ173が開弁されてエアノズル20にエアが供給され、積層されたワーク80の上層部に向けて側方からエアが吹き付けられる。これにより、積層されたワーク80のうち、上層部に位置する複数枚のワーク80が、ばらされて吹き上げられる。その後、第2エアバルブ174が開弁されてベルヌーイチャック12に高圧エアが供給され、ベルヌーイチャック12によるワーク80の吸引が開始される。よって、ワーク80が浮き上がったところで、浮き上がったワーク80の上方に位置しているベルヌーイチャック12の吸引が開始され、ばらされて浮き上がった複数枚のワーク80のうち、一番上のワーク80がピックアップされる。その後、第1エアバルブ173が閉弁されて、積層されたワーク80の上層部に向けてのエアの吹き付けが停止される。そのため、吹き上げられたワーク80のうち、ベルヌーイチャック12でピックアップされなかった2段目以降のワーク80が自由落下を始める。これにより、その後、ベルヌーイチャック12が取付けられたチャックベース10が上昇する際、ピックアップされたワーク80と2段目以降のワーク80との間の距離が一定以上確保され、ベルヌーイチャック12の上昇加速度に伴う下方の負圧の発生による2段目以降のワーク80の巻き上げが防止される。その結果、最上段のワーク80のみが取り出される。以上の結果、積層された薄くて軽いワーク80から、最上段のワーク80のみを、非接触で、かつ高速にピックアップすることが可能となる。
また、本実施形態によれば、最上段のワーク80が浮き上がったところ(タイミング)で該ワーク80を吸引するようにチャックベース10の位置が制御される。そのため、ばらされて吹き上げられた複数枚のワーク80のうち、一番上のワーク80のみをより的確にピックアップすることができる。
ところで、パラレルメカニズムロボット3は、可動部にアクチュエータがなく、軽量化が可能で、高速、高精度に駆動できるという特徴を有するため、ベルヌーイチャック12が取り付けられたチャックベース10を非常に高速で動かすことができる。そのため、本実施形態によれば、移動機構としてパラレルメカニズムロボット3を用いることにより、ワーク80を高速に移載することが可能となる。
また、本実施形態によれば、ベルヌーイチャック12の凹部14の底面に、把持されているワーク80の横移動を防止するパッド16が取り付けられている。そのため、ワーク80搬送時に、保持されているワーク80の横ずれを効果的に防止することが可能となる。
本実施形態によれば、積層されたワーク80が載置され、取り出されたワーク80の量に応じて昇降する昇降ステージ43を備えている。そのため、ワーク80の取り出しに伴い、積層されているワーク80の量(高さ)が変化した場合であっても、ワーク80の最上段の高さを略一定に保つことができる。そのため、ワーク80をピックアップする際のパラレルメカニズムロボット3の昇降量、及び、エアノズル20との相対位置(高さ)を略一定に保つことが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、チャックベース10の形状・大きさ・材質、ベルヌーイチャック12,12Bの大きさ、数、配置、及び、パッド16並びにガイド部材17の形状・大きさ・数・配置などは上記実施形態に限定されるものではなく、保持するワーク80の形状・大きさ・重量などに応じて任意に設定することができる。
上記実施形態では、パラレルメカニズムロボット3をリチウムイオン電池の正極材、負極材、セパレータの積層工程に適用した場合を例として説明したが、パラレルメカニズムロボット3の適用範囲は、リチウムイオン電池の正極材、負極材、セパレータの積層工程には限られない。
上記実施形態では、エアノズル20の高さを固定とするとともに、昇降ステージ43を昇降可能な構成としたが、例えば、昇降ステージ43の高さを固定にするとともに、図11に示されるように、エアノズル20を昇降可能な構成としてもよい。ここで、図11は、昇降可能に構成されたエアノズル20の例を示す図である。
上記実施形態では、支持部材30は架台50に固定されて取り付けられていたが、図11に示される例では、支持部材30Bは、直線的に昇降するリニアアクチュエータ31に取り付けられている。この場合、コントローラ171は、リニアアクチュエータ31を制御してエアノズル20の高さを調節する。より詳細には、コントローラ171は、例えば、取り出されたワーク80の枚数をカウントし、ワーク80が所定枚数(例えば5枚)取り出されたときに、所定幅(例えば0.5mm)だけ、エアノズル20を降下させる。これにより、ワーク80の取り出しに伴い、積層されているワーク80の量(高さ)が変化したとしても、エアノズル20が昇降することにより、ワーク80の上層部に対して略一定の相対位置を保ちつつ、ワーク80の上層部に向けて側方からエアを吹き付けることができる。また、その場合は、カセット70内のワーク80の減少に同期させて、パラレルメカニズムロボット3のワーク取出高さを下げるように制御することにより、ピックアップ時のベルヌーイチャック12とワーク80とエアノズル20との互いの位置関係を、常に略一定に保つことができる。
1 移載装置
3 パラレルメカニズムロボット
5 取り出し機構
7 電子制御装置
10 チャックベース
12,12B ベルヌーイチャック
13,13B 本体
14,14B 凹部
15,15B 噴出孔
16 パッド
17 ガイド部材
20 エアノズル
40 リニアアクチュエータ
43 昇降ステージ
70 カセット
80 ワーク
171 コントローラ
172 シーケンサ
173 第1エアバルブ
174 第2エアバルブ

Claims (10)

  1. ワークを非接触状態で保持するベルヌーイチャックと、
    前記ベルヌーイチャックが取り付けられたベース部材と、
    前記ベース部材を空間内で移動させる移動機構と、
    積層されたワークの上層部に向けて側方から気体を吹き付ける吹付け手段と、を備え、
    前記吹付け手段は、前記移動機構により前記ベース部材が、積層された前記ワークの上方から降下され、積層された前記ワークのうち最上段のワークが前記ベルヌーイチャックでピックアップされる際に、ベルヌーイチャックが吸引を開始するよりも先に、気体の吹き付けを開始することを特徴とする移載装置。
  2. 前記移動機構は、複数のリンクを介して、前記ベース部材を水平に保ったまま移動させるパラレルメカニズムロボットであることを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
  3. 前記ベルヌーイチャックは、凹部及び該凹部内に気体を噴出するための噴出孔が形成された本体と、前記凹部の底面に取り付けられ、把持されているワークの横移動を防止する移動防止部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の移載装置。
  4. 前記ベルヌーイチャックは、凹部及び該凹部内に流体を噴出するための噴出孔が形成された本体と、該本体の周囲に、前記ワークが把持される際に該ワークを包囲するように互いに間隔を空けて配置されて取り付けられた複数のガイド部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の移載装置。
  5. 積層された前記ワークが載置され、取り出されたワークの量に応じて昇降するステージを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の移載装置。
  6. 前記吹付け手段は、取り出されたワークの量に応じて昇降することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の移載装置。
  7. 前記吹付け手段に対する気体の供給、前記ベルヌーイチャックに対する気体の供給、及び、前記移動機構の駆動を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記ワークをピックアップする際に、積層された前記ワークの上方から前記ベース部材が降下されるように前記移動機構を制御するとともに、前記吹付け手段に対する気体の供給を開始し、その後、前記ベルヌーイチャックに対する気体の供給を開始し、続いて、前記吹付け手段に対する気体の供給を停止した後、前記ベース部材が上昇するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の移載装置。
  8. 前記制御手段は、前記吹付け手段に対して気体が供給され、上層部のワークが浮き上がったところで最上段のワークが吸引されるように、前記移動機構を制御して前記ベルヌーイチャックが取り付けられた前記ベース部材を移動するとともに、前記吹付け手段に対する気体の供給が停止され、前記ベルヌーイチャックによって保持されていないワークが落下し始めた後に、前記ベース部材が上昇を開始するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項7に記載の移載装置。
  9. 積層されたワークのうち最上段のワークをピックアップするワークのピックアップ方法であって、
    積層された前記ワークの上方から、ベルヌーイチャックが取付けられたベース部材を降下しつつ、積層された前記ワークの上層部に向けて側方から気体を吹き付ける吹付けステップと、
    前記吹付けステップにおいて気体の吹き付けが開始された後、前記ベルヌーイチャックで前記ワークを吸引する吸引ステップと、
    前記吸引ステップの後、積層された前記ワークの上層部に向けての気体の吹き付けを停止する停止ステップと、
    前記停止ステップの後、前記ベルヌーイチャックが取付けられた前記ベース部材を上昇する上昇ステップと、を備えることを特徴とするワークのピックアップ方法。
  10. 前記吸引ステップでは、気体が吹き付けられて、上層部のワークが浮き上がったところで最上段のワークを前記ベルヌーイチャックで吸引し、
    前記上昇ステップでは、気体の吹き付けが停止され、前記ベルヌーイチャックで保持されていないワークが落下し始めた後に、前記ベース部材の上昇を開始することを特徴とする請求項9に記載のワークのピックアップ方法。
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