JP2012141050A - 円すいころ軸受及びこれを用いたピニオン軸支持装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円すいころ軸受6は、軸方向一方側の端部に大鍔部11bを有する内輪11、内輪11の径方向外方に配置された外輪12、内輪11と外輪12との間に転動自在に配置され、大鍔部11bに摺接する大端面13bを有する複数の円すいころ13、複数の円すいころ13の周方向の間隔を保持する保持器14を備える。保持器14の前記軸方向一方側の端部には、円すいころ軸受に供給された潤滑油の一部を保持可能な保持空間Sと、この保持空間Sに対する潤滑油の出入を可能とする開口部15eとを有する潤滑油保持部材15が設けられ、潤滑油保持部材15は、保持器14の回転が開始したときに保持空間Sに保持した潤滑油を開口部15eから流出させて大鍔部11bと大端面13bとの接触部に供給する。
【選択図】 図3
Description
前記保持器の前記軸方向一方側の端部に、当該円すいころ軸受に供給された潤滑油の一部を保持可能な保持空間と、この保持空間に対する前記潤滑油の出入を可能とする開口部とを有し、かつ前記保持器の回転が開始されたときに前記保持空間に保持した潤滑油を前記開口部から流出させて前記大鍔部と前記大端面との接触部に供給する、環状の潤滑油保持部が設けられていることを特徴とする。
このような構成によって、保持器の回転が停止しているときに、潤滑油保持部の下部側において保持空間に潤滑油を保持することができ、保持器の回転に伴う潤滑油保持部の回転によって保持空間に保持された潤滑油を開口部から流出させて、内輪の大鍔部と円すいころの大端面との接触部に潤滑油を供給することができる。
円すいころ軸受は、その回転によってポンプ作用を奏し、円すいころの小端面側から引き込んだ潤滑油を大端面側へ向けて軸方向一方側かつ径方向外側へ流動させる。そして、潤滑油保持部と外輪の軸方向一方側の端面との間にはラビリンス隙間が形成されているので、このラビリンス隙間へ向かう方向への潤滑油の流れ、すなわち円すいころ軸受の軸方向一方側で径方向外側へ抜ける潤滑油の流れが抑制され、径方向内側へ向かう潤滑油の流れが多くなる。これにより、内輪の大鍔部と円すいころの大端面との接触部に対してより多くの潤滑油を供給することができる。
このような構成によって、ハウジングの装着孔内面と潤滑油保持部との間のラビリンス隙間に向かう潤滑油の流れ、すなわち円すいころ軸受の軸方向一方側で径方向外側へ抜ける潤滑油の流れが抑制され、径方向内側へ向かう潤滑油の流れが多くなる。これにより、内輪の大鍔部と円すいころの大端面との接触部に対してより多くの潤滑油を供給することができる。
このような構成によって、保持器自身に加工を施すことによって潤滑油保持部を形成する必要が無くなる。そのため、保持器として、従来から使用されていた公知のものを流用し、当該保持器に対して潤滑油保持部材を装着することによって本発明の円すいころ軸受を安価に構成することが可能となる。
デファレンシャル装置1は、自動車のエンジンの出力を当該デファレンシャル装置1の左右方向(図1の紙面貫通方向)の両側にそれぞれ配置された駆動輪である後輪に伝達するためのものであり、エンジンの出力を伝達するためのプロペラシャフト(図示せず)に一体回転可能に接続されるピニオン軸2と、このピニオン軸2の軸方向一端部(先端部)に設けられたピニオンギヤ2aに噛合するリングギヤ3と、リングギヤ3に一体回転可能に連結され、後輪を回転させる差動機構4と、これらを収容するハウジング5とを備えている。
ピニオン軸2は、2つの円すいころ軸受6,10によってハウジング5に対して回転自在に支持されている。ハウジング5には、2つの円すいころ軸受6,10を嵌合するための装着孔5aが形成されている。ピニオン軸2の軸方向他端部はハウジング5の外部へ突出してプロペラシャフトが接続される。エンジンの回転動力は、トランスミッションを介してプロペラシャフト及びピニオン軸2に伝達され、このピニオン軸2のピニオンギヤ2aに噛み合うリングギヤ3に伝達される。
また、上述のように、デファレンシャル装置1は、ピニオン軸2の軸線Lと、車体水平方向を示す基準線Sとが角度θとなるように搭載されるので、自動車の車体が水平な状態にあるときには、油面R1は、基準線Sに平行となる。
第1,第2の円すいころ軸受6,10は、リングギヤ3によってはね上げられて第1,第2の円すいころ軸受6,10の間に供給された潤滑油Rによって潤滑される。第1,第2の円すいころ軸受6,10の間に供給された潤滑油Rは、これら軸受が有するポンプ作用によって、円すいころ13の小端面側から円すいころ軸受6,10内に引き込まれ(矢印T2)、円すいころ13の大端面側から排出される。
図2に示されるように、ピニオン軸2の軸方向一端側(ピニオンギヤ2a側)を支持する第1の円すいころ軸受6は、ピニオン軸2に一体回転可能に固定された内輪11と、ハウジング5に固定された外輪12と、内外輪11,12間に転動自在に配置された複数の円すいころ13と、複数の円すいころ13を内外輪11,12の周方向に沿って等間隔に保持するための保持器14とを備えている。なお、以下の説明において、図2及び図3の左側(円すいころ13の大端面13b側)を軸方向一方側(又は、軸方向一端側)といい、図2の右側(円すいころ13の小端面13c側)を軸方向他方側(又は、軸方向他端側)という。
すなわち、ピニオン軸2の回転が停止すると、保持空間S内の潤滑油Rは、専ら重力によって開口部15eから下方に流れるが、潤滑油保持部材15の下部側では、外周壁部15cと内外側壁部15b、15dとに囲まれた部分で潤滑油Rが保持される。そして、ピニオン軸2が回転を開始すると、これに伴って潤滑油保持部材15も周方向に回転し、潤滑油保持部材15の下部側に保持された潤滑油Rが上方へ引き上げられつつ開口部15eから流出する。この開口部15eは、円すいころ13の大端面13bの近傍で当該大端面13bに臨む位置に配置されているので、開口部15eから流出した潤滑油Rは、円すいころ13の大端面13bに供給され、内輪11の大鍔部11bとの接触部が適切に潤滑される。したがって、ピニオン軸2の回転開始時に、リングギヤ3によるはね上げ作用で十分に潤滑油Rが循環されていない状態であっても、大鍔部11bと大端面13bとの接触部を適切に潤滑し、焼付きやかじりの発生を抑制することができる。
例えば、潤滑油保持部材(潤滑油保持部)15は、保持器14と一体に形成されたものであってもよい。但し、潤滑油保持部材15を保持器14とは別体に形成することで、従来から使用されている保持器14を流用して潤滑油保持部材15を装着することで、本発明の円すいころ軸受6,10を安価に構成することができる。
潤滑油保持部材15は、保持器14の内周側に設けることも可能である。
また、本実施の形態では、2つのラビリンス隙間t1,t2が形成されているが、いずれか一方のみであってもよい。また、ピニオン軸2は、水平に配置されていてもよい。
Claims (6)
- 軸方向一方側の端部に大鍔部を有する内輪と、この内輪の径方向外方に配置された外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配置され、前記大鍔部に摺接する大端面を有している複数の円すいころと、この複数の円すいころの周方向の間隔を保持する保持器と、を備えている円すいころ軸受であって、
前記保持器の前記軸方向一方側の端部に、当該円すいころ軸受に供給された潤滑油の一部を保持可能な保持空間と、この保持空間に対する前記潤滑油の出入を可能とする開口部とを有し、かつ前記保持器の回転が開始されたときに前記保持空間に保持した潤滑油を前記開口部から流出させて前記大鍔部と前記大端面との接触部に供給する、環状の潤滑油保持部が設けられていることを特徴とする円すいころ軸受。 - 前記潤滑油保持部は、軸方向両側に配置された一対の側壁部と、径方向両側に配置された一対の周壁部とを備え、これら一対の側壁部及び周壁部によって囲まれた空間が前記保持空間とされており、
前記開口部は、軸方向他方側の前記側壁部の径方向内側であって、前記円すいころの大端面の近傍で当該大端面に臨む位置に形成されている請求項1に記載の円すいころ軸受。 - 前記潤滑油保持部は、前記保持器の外周側に設けられるとともに、前記外輪の前記軸方向一方側の端面との間にラビリンス隙間を形成している請求項1又は2に記載の円すいころ軸受。
- 前記潤滑油保持部は、前記保持器の外周側に設けられるとともに、前記外輪の外周面が嵌合されるハウジングの装着孔内面との間にラビリンス隙間を形成している請求項1〜3のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
- 前記潤滑油保持部は、前記保持器とは別体に形成された潤滑油保持部材により構成されており、当該潤滑油保持部材が前記保持器に装着されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
- 潤滑油が貯留されるハウジングと、このハウジングに装着された請求項1〜5のいずれか1項に記載の円すいころ軸受と、この円すいころ軸受によって回転自在に支持されるピニオン軸と、このピニオン軸のピニオンギヤに噛み合い、回転することによってハウジングに貯留された潤滑油をはね上げるリングギヤと、を備えていることを特徴とするピニオン軸支持装置。
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