JP2005308177A

JP2005308177A - ピニオン軸支持用軸受装置及びディファレンシャルギヤ装置

Info

Publication number: JP2005308177A
Application number: JP2004129372A
Authority: JP
Inventors: Kiyoshi Ogino; 清荻野; Yuzuru Takahashi; 譲高橋; Hiroyuki Oshima; 宏之大島; Koshi Kawaguchi; 幸志川口
Original assignee: Koyo Seiko Co Ltd
Current assignee: Koyo Seiko Co Ltd
Priority date: 2004-04-26
Filing date: 2004-04-26
Publication date: 2005-11-04

Abstract

【課題】ディファレンシャルギヤ装置のピニオン軸を支持する軸受装置における油の攪拌抵抗を低減する。
【解決手段】ピニオンギヤ４側の複列玉軸受７において、ピニオンギヤ４側の列の玉７３に近接して外輪軸端部側に環状部７５を設け、これにより、玉７３を内輪７２との間に隠蔽する。
【選択図】図１

Description

本発明は、自動車や産業機械のディファレンシャルギヤ装置においてピニオン軸を支持する軸受装置に関する。

ディファレンシャルギヤ装置において、ピニオン軸のピニオンギヤ側を支持する軸受として、タンデム型の複列玉軸受を用いた例がある（例えば、特許文献１，２参照。）。図３は、その一部の拡大断面図である。図において、複列玉軸受１００は、内輪１０１と、外輪１０２と、軸方向に複列の複数の玉１０３と、各列の保持器１０４とを備えている。内輪１０１は、ピニオン軸１０５のピニオンギヤ１０５ａ側に装着され、外輪１０２はハウジング１０６の一部に装着されている。内外輪１０１，１０２は軸方向に互いにずれており、玉１０３が外輪１０２左端から露出している。このような複列玉軸受１００では、玉１０３のピッチ円の直径が、一方の列と他方の列とで互いに異なっている。ピニオン軸１０５が軸周りに回転すると、内輪１０１の回転や玉１０３の転動によりポンプ作用が発揮され、複列玉軸受１００の右端側から吸い上げられた潤滑用の油が、図の矢印に示すように、軸受内を通過する。

特開２００３−２９４０３０号公報（第４〜第５頁、図１，図２）特開２００３−３１４５４１号公報（第３〜第４頁、図１，図２）

上記のような従来のディファレンシャルギヤ装置の複列玉軸受１００では、ポンプ作用による図の矢印方向への油の通過量が多く、その結果、軸受内部での油の攪拌抵抗が大きくなる。この攪拌抵抗は、トルク損失の主要な要因となる。
以上のような従来の問題点に鑑み、本発明は、ディファレンシャルギヤ装置のピニオン軸を支持する軸受装置における油の攪拌抵抗を低減することを目的とする。

本発明は、ピニオン軸のピニオンギヤ側に装着される内輪と、ハウジング側に装着され、ピニオンギヤと反対側の軸端部が前記内輪とは軸方向にずれた位置にある外輪と、軸方向に複列に配置され、ピッチ円が互いに異なる複数の玉と、各列の当該玉を保持する保持器とを備えたピニオン軸支持用軸受装置において、ピニオンギヤ側の列の玉に近接して外輪軸端部側に設けられ、当該玉を前記内輪との間に隠蔽する環状部を備えたことを特徴とするものである。
上記のように構成されたピニオン軸支持用軸受装置においては、環状部が玉を内輪との間に隠蔽し、玉が軸受の径方向に露出することを防止する。これにより、転動する玉に攪拌されながら玉間を通過する油が遠心力によって勢い良く径方向外方に放出されることが抑制され、ポンプ作用を低減することができる。また、環状部の存在によって、これと保持器との隙間、及び、ピニオンギヤとの隙間が狭くなり、軸受内からピニオンギヤ側に抜けようとする油に流通抵抗を付与する。これにより、軸受装置に流入する油は、出口を狭められた状態となり、油の流通抵抗が大きくなる。

他方、本発明のディファレンシャルギヤ装置は、内部に油を貯留したハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、先端にピニオンギヤを有するピニオン軸と、前記ハウジング内に設けられ、前記ピニオンギヤと噛み合う差動変速機構と、前記ピニオン軸を回転自在に支持する一方の軸受装置と、前記ピニオンギヤ側にあって前記ピニオン軸を回転自在に支持し、前記一方の軸受装置より油の流通抵抗が大きい他方の軸受装置とを備えたものである。
ピニオンギヤ側の軸受装置は、反対側の軸受装置に比べて油が流入しやすいので油の流入を抑制することが好ましい。一方、反対側の軸受装置は、油が流入しにくいので、油の流入量を確保することが先決である。そこで、上記のように、ピニオンギヤ側に、その反対側よりも流通抵抗の大きい軸受装置を設けることにより、ピニオンギヤ側の軸受装置は油の流入が抑制される。他方、ピニオンギヤと反対側の軸受装置には、油の流入抑制をしないことにより、一定の油の流入が確保される。

また、上記ディファレンシャルギヤ装置において、他方の軸受装置は、ピニオン軸のピニオンギヤ側に装着される内輪と、ハウジング側に装着された外輪と、軸方向に複列に配置され、ピッチ円が互いに異なる複数の玉と、各列の当該玉を保持する保持器とを備えたものであり、かつ、ピニオンギヤ側の列の玉に近接して外輪軸端部側に設けられ、当該玉を内輪との間に隠蔽する環状部を備えたものであってもよい。
この場合、環状部が玉を内輪との間に隠蔽し、玉が軸受の径方向に露出することを防止する。これにより、転動する玉に攪拌されながら玉間を通過する油が遠心力によって勢い良く径方向外方に放出されることが抑制され、ポンプ作用を低減することができる。また、環状部の存在によって、これと保持器との隙間、及び、ピニオンギヤとの隙間が狭くなり、軸受内からピニオンギヤ側に抜けようとする油に流通抵抗を付与する。これにより、軸受装置に流入する油は、出口を狭められた状態となり、油の流通抵抗が大きくなる。

本発明のピニオン軸支持用軸受装置によれば、環状部が玉を内輪との間に隠蔽し、玉が軸受の径方向に露出することを防止するので、玉によるポンプ作用を低減することができる。また、環状部の存在によって、これと保持器との隙間、及び、ピニオンギヤとの隙間が狭くなり、軸受内からピニオンギヤ側に抜けようとする油に流通抵抗を付与する。これにより、軸受装置に流入する油は、出口を狭められた状態となり、油の流通抵抗が大きくなる。従って、当該ピニオン軸支持用軸受装置をディファレンシャルギヤ装置のピニオン軸支持に使用することにより、軸受内部への油の流入抑制の効果が得られ、油の攪拌抵抗を低減することができる。
また、本発明のディファレンシャルギヤ装置によれば、ピニオンギヤを支持する一対の軸受装置について、ピニオンギヤ側に、その反対側よりも流通抵抗の大きい軸受装置を設けることにより、油が流入し易いピニオンギヤ側の軸受装置は油の流入を抑制して攪拌抵抗を低減し、油が流入しにくい反対側の軸受装置には流入抑制をすることなく、潤滑に必要な油量を確保することができる。

図１は、本発明の一実施形態によるディファレンシャルギヤ装置の断面図である。図において、このディファレンシャルギヤ装置１は、ハウジング２内に、図示しないドライブシャフトにより回転駆動されるピニオン軸３と、差動変速機構５とを備えている。ピニオン軸３の先端にはピニオンギヤ４が設けられ、これが、差動変速機構５のリングギヤ６と噛み合っている。ハウジング２の内部には、内周が円形の支持部２ａが、ハウジング２の一部として形成されている。ピニオン軸３は、ピニオンギヤ４側（以下、ヘッド側という。）において、タンデム型の複列玉軸受７によって支持部２ａに対して回転自在に支持されているとともに、その反対側（以下、テール側という。）において、タンデム型の複列玉軸受８によってハウジング２に対して回転自在に支持されている。上記支持部２ａは、図の矢印で示すように油を導入して各軸受７，８の軌道面を潤滑するための潤滑油供給路Ｐを、ハウジング２内に形成している。

テール側の複列玉軸受８は、ピニオン軸３に装着される内輪８１と、ハウジング２に装着される外輪８２と、内外輪間において軸方向に複列に設けられた複数の玉８３と、各列の保持器８４とを備えている。両軸受７，８間におけるピニオン軸３には、円筒状のスペーサ９が装着されている。テール側の複列玉軸受８の内輪８１は、このスペーサ９と、環状の遮蔽板１０とによって軸方向に挟まれている。遮蔽板１０は、ピニオン軸３の右端側に螺着されたフランジ１１により押さえられている。フランジ１１とハウジング２との間にはオイルシール１２が装着され、さらに、フランジ１１に取り付けられた保護カップ１３によりオイルシール１２が覆われている。

図２は、ヘッド側の複列玉軸受７の拡大断面図である。図において、当該複列玉軸受７は、ピニオン軸３に装着される内輪７１と、ハウジング２の支持部２ａに装着される外輪７２と、内外輪間において軸方向に複列に設けられた複数の玉７３と、各列の保持器７４と、外輪７２のピニオンギヤ４側端部に設けられた環状部７５とを備えている。環状部７５は、ピニオンギヤ４側の列の玉７３に対して外輪軸端部側からこれに近接し、当該玉７３を内輪７１との間に隠蔽している。なお、環状部７５に合わせて、支持部２ａの左端部も左方へ延設されている。また、左列の玉７３のピッチ円の直径Ｄ１（Ｄ１／２を図示。）は、右列の玉７３のピッチ円の直径Ｄ２（Ｄ２／２を図示。）とは異なっている（これは、複列玉軸受８についても同様である。）。

ここで上記ディファレンシャルギヤ装置１の潤滑動作について説明する。ハウジング２の底部にはディファレンシャルギヤ装置１の内部全体を潤滑するための潤滑油（図示せず。）が貯留されている。差動変速機構５のリングギヤ６は、車両が前進駆動状態において図中の矢印で示す方向に回転駆動されるようになっており、このリングギヤ６の回転により、ハウジング２の底部に貯留されている潤滑油を上方に跳ね上げる。跳ね上げられた潤滑油は、潤滑油供給路Ｐを通って、一対の複列玉軸受７，８間に導かれ、当該軸受の軌道面に供給される。ヘッド側の複列玉軸受７内を通過した潤滑油は、ハウジング２の底部に戻される。また、テール側の複列玉軸受８内を通過した潤滑油は、図示しない還流路を通過してハウジング２の底部に戻される。このようにして、油は、ディファレンシャルギヤ装置１の内部を循環している。

ここで、図２において、環状部７５は、左列の玉７３を内輪７１との間に隠蔽し、玉７３が軸受の径方向に露出することを防止している。これにより、転動する玉７３に攪拌されながら玉間を通過する油が遠心力によって勢い良く径方向外方に放出されることが抑制され、ポンプ作用を低減することができる。また、環状部７５の存在によって、これと保持器７４との隙間、及び、ピニオンギヤ４との隙間が狭くなり、軸受内からピニオンギヤ４側に抜けようとする油に流通抵抗を付与する。これにより、複列玉軸受７の右方から流入する油は、出口を狭められた状態となり、油の流通抵抗が大きくなる。従って、軸受内部への油の流入抑制の効果が得られ、油の攪拌抵抗を低減することができる。また、油には金属粉等の異物が含まれることが多いため、油の流入を抑制することはこれらの異物の流入を抑制することにもなり、複列玉軸受７の耐久性向上に寄与する。

一方、テール側の複列玉軸受８には上記の環状部７５に相当する部材は設けられていない。これは、テール側はヘッド側より油が流入しにくいので、流入抑制をしない方が好ましいからである。ヘッド側はピニオンギヤ４の回転がポンプ作用を増大させ、また、油の戻り経路も短いことからテール側よりも油が流入・流出しやすい。その結果として、テール側には相対的に油が流入しにくくなる。
すなわち、油が流入しやすいヘッド側の複列玉軸受７は、油の流通抵抗をテール側より大きくして油の流入を抑制することが好ましいが、油が流入しにくいテール側は、油の流入抑制をすることなく、潤滑に必要な油量を確保することが先決である。従って、ディファレンシャルギヤ装置のピニオンギヤを支持する一対の複列玉軸受においては、ピニオンギヤ４側に、その反対側よりも流通抵抗の大きい複列玉軸受を設けることが好ましい。

なお、上記実施形態では環状部７５を外輪７２とは別に設けたが、環状部７５を外輪７２の一部として一体に形成してもよい。

本発明の一実施形態によるディファレンシャルギヤ装置の断面図である。図１におけるピニオンギヤ側の複列玉軸受の拡大断面図である。従来のディファレンシャルギヤ装置におけるピニオンギヤ側の複列玉軸受の拡大断面図である。

符号の説明

１ディファレンシャルギヤ装置
２ハウジング
３ピニオン軸
４ピニオンギヤ
５差動変速機構
７，８複列玉軸受（軸受装置）
７１内輪
７２外輪
７３玉
７４保持器
７５環状部

Claims

ピニオン軸のピニオンギヤ側に装着される内輪と、ハウジング側に装着され、ピニオンギヤと反対側の軸端部が前記内輪とは軸方向にずれた位置にある外輪と、軸方向に複列に配置され、ピッチ円が互いに異なる複数の玉と、各列の当該玉を保持する保持器とを備えたピニオン軸支持用軸受装置において、
ピニオンギヤ側の列の玉に近接して外輪軸端部側に設けられ、当該玉を前記内輪との間に隠蔽する環状部を備えたことを特徴とするピニオン軸支持用軸受装置。
内部に油を貯留したハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、先端にピニオンギヤを有するピニオン軸と、
前記ハウジング内に設けられ、前記ピニオンギヤと噛み合う差動変速機構と、
前記ピニオン軸を回転自在に支持する一方の軸受装置と、
前記ピニオンギヤ側にあって前記ピニオン軸を回転自在に支持し、前記一方の軸受装置より油の流通抵抗が大きい他方の軸受装置と
を備えたことを特徴とするディファレンシャルギヤ装置。
前記他方の軸受装置は、前記ピニオン軸のピニオンギヤ側に装着される内輪と、前記ハウジング側に装着された外輪と、軸方向に複列に配置され、ピッチ円が互いに異なる複数の玉と、各列の当該玉を保持する保持器とを備えたものであり、かつ、前記ピニオンギヤ側の列の玉に近接して外輪軸端部側に設けられ、当該玉を前記内輪との間に隠蔽する環状部を備えた請求項２記載のディファレンシャルギヤ装置。