JP2012140273A - 美観剤およびセメント組成物の美観改善方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 モルタルやコンクリート等のセメント系施工物表面の美観低下の主原因たる白華と色ムラの発生を十分防止でき、しかも比較的安価で環境安全性も高い美観剤および非常に簡単・容易で作業労力・コストを著しく低減できるセメント組成物の美観改善方法を提供する。
【解決手段】 リン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムを有効成分とすることを特徴とする塗布用美観剤及び該塗布用美観剤を、保形化したセメント組成物の表面が乾燥する前に、該表面に単位面積あたり、リン酸カリウムとリン酸水素カリウムの合計量(何れか一方が無含有の場合は、含有される方のみの量)が2〜20g/m2となるように塗布することを特徴とするセメント組成物の美観改善方法。。
【選択図】 なし
【解決手段】 リン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムを有効成分とすることを特徴とする塗布用美観剤及び該塗布用美観剤を、保形化したセメント組成物の表面が乾燥する前に、該表面に単位面積あたり、リン酸カリウムとリン酸水素カリウムの合計量(何れか一方が無含有の場合は、含有される方のみの量)が2〜20g/m2となるように塗布することを特徴とするセメント組成物の美観改善方法。。
【選択図】 なし
Description
本発明は、セメント組成物硬化体表面の醜い色ムラや白華等を防いで美観を改善するために対象とするセメント組成物表面に塗布使用する美観剤に関する。
セメントペースト、モルタル、コンクリートなどのセメント系の組成物では、施工物の表面にセメントスラリーから溶出したカルシウムイオンが浮上析出し、空気と反応して白濁上の斑、即ち白華を生じることがあり、美観上問題となっている。白華を防ぐため、カルシウムイオンと反応して不溶性の化合物を生成する物質(例えば、特許文献1参照。)を白華防止剤としてモルタルやコンクリートに混和させる方法、或いは硬化体に吸水防止性を付与する方法(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。
しかし、白華は、施工されたセメント組成物の表面状態、即ち乾燥状況や平滑性などによっても発生状況が影響されるため、例えば白華発生量が少なくなっても、疎らに散在するとその領域が色ムラとなって見られ、美観の低下がより強く認識される。このため表面状態も併せて改質する必要があるものの、乾燥環境をコントロールすることは、施工物に対しては容易ではなく、施工物表面の凹凸を施工作業的に平坦に整えるには施工面が広範囲なときは、膨大な作業量と施工コストを要すため、適した方策とはなり得なかった。また、色ムラ発生防止剤として脂肪酸やシリコーンエマルジョンをセメント組成物に混和配合すると相応の効果が期待されるも、このような油脂類や有機ケイ素化合物等の配合は、比較的大量に配合しないと効果が得難いため、原料コストの増大化や環境安全性の面からは、適したものとは云い難かった。
本発明は、セメント系施工物表面の美観低下の主原因たる白華と色ムラの発生を十分防止でき、しかも比較的安価で環境安全性も高い美観剤および非常に簡単・容易で作業労力・コストを著しく低減できるセメント組成物の美観改善方法を提供することを課題とする。
本発明者は、検討を重ねた結果、白華や色ムラの発生程度はモルタル等のセメント組成物の表層部の乾燥状態に多大な影響を受け、当該部位が高水分量となっている場合や、逆に殆ど絶乾状態となっている場合は、白華も発生し難いが、乾燥がある程度進み、少量の含水状態であると白華が大量に発生し易いということがわかった。そこで、吸湿性があってセメント組成物の表層の水分量を適度に保つ作用があり、さらにはカルシウムイオンと反応して難水溶性化合物を生成でき、環境安全性にも適った特定の物質をセメント組成物の表面部に塗布すだけで、容易に施工物表面の美観が大幅に向上するという知見を得、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、次の[1]〜[3]で表される美観剤および[4]で表されるセメント組成物の美観改善方法である。
[1]リン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムを有効成分とする塗布用美観剤。
[2]さらに、水溶性多糖類を含有することを特徴とする前記[1]の塗布用美観剤。
[3]水溶性多糖類が、アルギン酸カリウム、水溶性大豆多糖類、水溶性セルロースからなる群から選定される1種又は2種以上である前記[1]の塗布用美観剤。
[4]前記[1]〜[3]の何れかの塗布用美観剤を、保形化したセメント組成物の表面が乾燥する前に、該表面に単位面積あたり、リン酸カリウムとリン酸水素カリウムの合計量(何れか一方が無含有の場合は、含有される方のみの量)が2〜20g/m2となるように塗布することを特徴とするセメント組成物の美観改善方法。
[1]リン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムを有効成分とする塗布用美観剤。
[2]さらに、水溶性多糖類を含有することを特徴とする前記[1]の塗布用美観剤。
[3]水溶性多糖類が、アルギン酸カリウム、水溶性大豆多糖類、水溶性セルロースからなる群から選定される1種又は2種以上である前記[1]の塗布用美観剤。
[4]前記[1]〜[3]の何れかの塗布用美観剤を、保形化したセメント組成物の表面が乾燥する前に、該表面に単位面積あたり、リン酸カリウムとリン酸水素カリウムの合計量(何れか一方が無含有の場合は、含有される方のみの量)が2〜20g/m2となるように塗布することを特徴とするセメント組成物の美観改善方法。
本発明の塗布用美観剤は、施工したセメント組成物表面に任意の方法で塗布して使用するものであり、セメント組成物に発生する白華や色ムラを防ぎ、施工物表面の美観を高めることができる。また本発明の美観剤は、美観上必要とされる施工部位のみを限定して使用対象とすることができるのでコスト的にも無駄が無く、さらには例えば食品添加物を原材料に使用できるため、環境安全性も十分具備することができる。また、本発明によれば、施工後の対象物の表面に任意の方法で塗布するだけで非常に簡単容易に表面美観を向上でき、特殊な施工機材も必要なく、さらには煩雑な施工作業を行う必要もないため、低コストでセメント組成物表面の美観改善を行うことができる。
本発明の塗布用美観剤は、リン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムを有効成分として含有する。リン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムは、セメント組成物、特に水性スラリー化すると溶出し易いカルシウムイオンを不溶化する作用を有するものと考えられ、白華源となるカルシウムイオンのセメント組成物表面への浮上を大幅に抑制することができる。さらにリン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムは、強い保水力を有することからセメント組成物に均質な潤いを与え、セメント組成物表層部の水分偏在化を防止する作用が期待でき、その点からも白華と色ムラの発生抑制に寄与する。本発明で使用可能なリン酸カリウムは、K3PO4の化学式を呈するものなら特に限定されない。また使用可能なリン酸水素カリウムは、K2HPO4かKH2PO4の何れかの化学式を呈するものなら特に限定されない。リン酸カリウムとリン酸水素カリウムは何れかを単独使用しても、また両者を併用しても良く、その場合の両者の含有割合は特に制限されない。好ましくは重量比でリン酸カリウム1に対し、リン酸水素カリウム1〜10が白華と色ムラの発生抑制の点から良い。好ましくは、白華と色ムラがより抑制し易くなることからリン酸水素ナトリウムを有効成分として使用するのが良い。
本発明の塗布用美観剤は、リン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムを有効成分として含有するものであるが、その形態は施工使用の行い易さの点から、水溶液であることが好ましい。本美観剤中のリン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムの濃度は、2〜20質量%であることが望ましい。かかる濃度は、リン酸カリウムとリン酸水素カリウムを併用する場合はその合計量に対する濃度とし、何れか一方しか使用含有されない場合は含有する方の濃度とする。
また、本発明の塗布用美観剤は、好ましくは前記のリン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムに加えて、さらに水溶性多糖類を含有するものである。水溶性多糖類を有効成分とすることで、本美観剤に付着性が付与され、特に施工対象物が垂直面や傾斜面となっていても、本美観剤が垂れ落ちたりすることもなく、しっかりと均一に留まれる作用を付与し、白華や色ムラ抑制がより確実に達っせられる。本発明で使用できる水溶性多糖類は特には限定されないが、好ましくは、環境安全性が特に高いことから、アルギン酸カリウム、水溶性大豆多糖類、水溶性セルロース誘導体の群から選定される何れか1種又は2種以上とする。アルギン酸カリウムはウロン酸を構成糖とする食物繊維であり、好適には食品添加物などで用いられているものを使用できる。また、水溶性大豆多糖類は、特に限定されず、例えばガラクトース、アラビノース等の何れの多糖類から構成されるものでも良い。また、水溶性セルロース誘導体は、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等を挙げることができ、食品添加物用、医薬品用、モルタル・コンクリート増粘用の何れのものでも良い。本発明の塗布用美観剤中の水溶性多糖類の含有量は、好ましくは、水溶液状の美観剤中の濃度として0.01〜0.5g/Lとする。より好ましくは0.05〜0.2g/Lとする。0.01g/L未満では、セメント組成物表面に対する美観剤の付着力が弱く、施工物の傾き角度によっては垂れたりするので適当ではない。また0.5g/Lを超えると、粘性が高くなり過ぎて施工性が低下することがあるので適当ではない。
また、本発明の塗布用美観剤は、本発明の効果を喪失しない範囲で、前記以外の成分を含有することができる。このような成分の好適な一例を示すと、消泡剤を挙げることができる。
また、本発明は、セメント組成物の美観改善方法である。この美観改善方法は、前記の本発明による塗布用美観剤を、施工したセメント組成物が保形化した段階で、その表面が乾燥する前に、セメント組成物の表面に単位面積あたり、リン酸カリウムとリン酸水素カリウムの合計量(何れか一方が無含有の場合は、含有される方のみの量)が2〜20g/m2となるように塗布することによって行われる。ここで対象となるセメント組成物は、セメントペースト(骨材無含有)、モルタル又はコンクリートの何れであっても良く、また使用セメント種も含めてその構成成分は何ら限定されない。混練水を加えたセメント組成物が任意の方法で躯体上などに施工されると、セメント等の水硬性物質の水和反応による凝結とその後のセメント組成物としての硬化が起こる。本発明の美観剤の塗布時期は、施工したセメント組成物の表面が乾燥する前として、凝結が概ね終了した時点又は凝結進行中であっても保形化がほぼ達成できた段階のものが好適である。また、セメント施工物の表面が完全に乾燥した状態のものでは既に白華源となるカルシウムイオンが表層に浮上・蓄積されているため、美観剤を塗布しても十分な美観改善効果が得られ難いことがある。一方、セメント施工物の表面が湿潤状態で保形性も十分備わっていない段階のものでは美観剤がセメント組成物に浸透するのが妨げられることがあるので適当ではない。
また、セメント組成物表面への塗布用美観剤の塗布方法は特に限定されるものではない。好ましくは吹付け塗布又は刷毛塗りで行う。また、セメント組成物の表面への美観剤の塗布量は単位面積あたり、リン酸カリウムとリン酸水素カリウムの合計量(何れか一方が無含有の場合は、含有される方のみの量)が2〜20g/m2とするが、塗布量が2g/m2未満では所望の美観効果が得られないことがあるため好ましくなく、塗布量が20g/m2を超えると塗布量過多となり、コスト増となる割にはこれ以上の性状向上が実質見られないため好ましくない。塗布時の環境は、概ね5〜35℃が適する。塗布後は特に要すべき作業はなく、セメント組成物の硬化と共に所望の美観効果が発現される。
以下、実施例により本発明を具体的に詳しく説明するが、本発明はここに表す実施例に限定されるものではない。
次のA1〜C3から選定された材料を及び蒸留水用い、表1に記載の配合量となるようにミキサーに入れ、常温下で120秒間混合し、塗剤を作製した。
A1;リン酸水素二カリウム(食品添加物、市販品)
A2;リン酸カリウム(試薬)
B1;アルギン酸カリウム(キミカ(株)、商品名;キミカアルギンK−3)
B2;水溶性大豆多糖類(不二製油(株)、商品名;ソヤファイブ−S)
B3;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)、商品名;90SH−4000)
C1;ステアリン酸(市販試薬)
C2;カリウムメチルシリコネート(旭化成ワッカーシリコーン社製、商品名;BS16)
C3;ケイ酸カリウム(市販試薬)
A1;リン酸水素二カリウム(食品添加物、市販品)
A2;リン酸カリウム(試薬)
B1;アルギン酸カリウム(キミカ(株)、商品名;キミカアルギンK−3)
B2;水溶性大豆多糖類(不二製油(株)、商品名;ソヤファイブ−S)
B3;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)、商品名;90SH−4000)
C1;ステアリン酸(市販試薬)
C2;カリウムメチルシリコネート(旭化成ワッカーシリコーン社製、商品名;BS16)
C3;ケイ酸カリウム(市販試薬)
また、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)100質量部、細骨材(山形県産珪砂、F.M.=2.5)100質量部及び水45質量部の配合となるよう、ホバートミキサーで混練し、モルタルを作製した。次いで、表面寸法600mm×600mmで厚み60mmのコンクリート製平板を、表面が地面と水平になるよう設置し、この表面に作製したモルタルを厚さ約10mmとなるよう鏝塗りした。これを温度10℃、湿度70%に保った屋内に24時間放置した。放置後、モルタル塗面が地面と垂直になるよう平板を設置した。この平板のモルタル表面上に前記の塗剤を市販の手動噴霧器を用い、表2で表す塗布量となるよう塗布した。塗布物は7日間温度10℃、湿度50%に保った屋内に放置した。放置後の塗剤や塗付したモルタルの表面状態を肉眼で観察することによって、次の(1)〜(3)の評価を行った。その結果を表2に併せて記す。
(1)塗剤の付着性;モルタル表面に塗りつけた塗剤が垂れ落ちていなかったものを、付着性良好(○)と評価し、それ以外の状況となったものを付着性が良好でない(×)と評価した。
(2)白華防止性;白華の存在が肉眼による観察では明白に確認されなかったものを白華発生無しと判断し、白華防止ができた(○)と評価した。これ以外の状態のものはを白華防止できていない(×)と評価した。
(3)色ムラ防止性;白華以外の色ムラが肉眼による観察で明白に確認されなかったものを色ムラ無しと判断し、色ムラが防止された(◎)と評価した。また、実用上殆ど支障のない程度の極めて淡い色ムラのみが見られたものを色ムラ抑制効果あり(○)と評価した。これら以外の状態のものはを色ムラ防止できていない(×)と評価した。
表2の結果より、本発明の塗剤を塗布したモルタルは、何れも、白華および色ムラの抑制効果が確認され、良好な美観を呈した。しかも、該塗剤は垂直壁面などの傾斜した施工物表面に対しても十分留まって白華および色ムラ抑制ができることがわかる。
Claims (4)
- リン酸カリウム及び/又はリン酸水素カリウムを有効成分とすることを特徴とする塗布用美観剤。
- さらに、水溶性多糖類を含有することを特徴とする請求項1記載の塗布用美観剤。
- 水溶性多糖類が、アルギン酸カリウム、水溶性大豆多糖類、水溶性セルロースからなる群から選定される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の塗布用美観剤。
- 請求項1〜3の何れかの塗布用美観剤を、保形化したセメント組成物の表面が乾燥する前に、該表面に単位面積あたり、リン酸カリウムとリン酸水素カリウムの合計量(何れか一方が無含有の場合は、含有される方のみの量)が2〜20g/m2となるように塗布することを特徴とするセメント組成物の美観改善方法。
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JP2010293503A JP2012140273A (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | 美観剤およびセメント組成物の美観改善方法 |
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JPH09328351A (ja) * | 1996-06-10 | 1997-12-22 | Agency Of Ind Science & Technol | 透明ガラス質形成組成物及びコーテイング膜形成方法 |
JP2002173614A (ja) * | 2000-12-05 | 2002-06-21 | Inax Corp | 無機質塗料及び無機質塗膜 |
JP2007535462A (ja) * | 2004-04-29 | 2007-12-06 | ジョンソンディバーシー・インコーポレーテッド | 汚れた多孔性表面の外観を向上させ維持する方法 |
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2010
- 2010-12-28 JP JP2010293503A patent/JP2012140273A/ja active Pending
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