JP2012139693A - 熱間押出管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中空ビレットを用いて熱間押出製管法により継目無管である熱間押出管を製造する方法であって、中空ビレットを加熱して外周部温度が1050〜1300℃で、かつ内外温度差ΔTが(1)式を満たす温度にし、当該中空ビレットをコンテナ内に挿入して熱間押出加工することを特徴とする熱間押出管の製造方法である。ただし、内外温度差ΔT(℃)、外周部温度Tx(℃)および内周部温度Ty(℃)である。本発明は、中空ビレットとして、材質が二相ステンレス鋼であるものを用いるのが好ましい。
ΔT=Tx―Ty≧150 ・・・(1)
【選択図】なし
Description
中空ビレットを加熱して外周部温度が1050〜1300℃で、かつ内外温度差ΔTが(1)式を満たす温度にし、当該中空ビレットをコンテナ内に挿入して熱間押出加工することを特徴とする熱間押出管の製造方法。
ΔT=Tx―Ty≧150 ・・・(1)
ここで、内外温度差ΔT(℃)、外周部温度Tx(℃)および内周部温度Ty(℃)である。
(1)中空ビレットの端面温度を測定して径方向の温度分布を得る。
(2)得られた径方向の温度分布で内面位置の温度を内周部温度とし、外面位置から所定幅の範囲における最高温度を外周部温度とする。
(1)中空ビレットを加熱して内周部温度を外周部温度に比べて低温とし、内外温度差を150℃以上とする。当該中空ビレットを熱間押出加工することにより、押出管に生じる偏肉を低減することができる。
(2)このため、生産性の低下および工具原単位の悪化の問題を発生させることなく、押出管に生じる偏肉を低減することができる。
ΔT(℃)=Tx―Ty≧150 ・・・(1)
ここで、内外温度差ΔT(℃)、外周部温度Tx(℃)および内周部温度Ty(℃)である。以下に、本発明の熱間押出管の製造方法を、上記のように規定した理由および好ましい範囲について説明する。
Cは、オーステナイト相を安定させて強度を向上させる効果とともに、熱処理における昇温時に炭化物を析出させて微細組織を得る効果を有する元素である。しかし、その含有量が0.03%を超えると、熱処理や溶接時などの熱影響により炭化物の析出が過剰となり、鋼の耐食性および加工性を劣化させる。このため、その上限を0.03%とするのが好ましい。
Siは、脱酸剤として有効な元素であり、また、熱処理における昇温時に金属間化合物を析出させて微細組織を得る効果を有する元素でもあるから、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、その含有量が1%を超えると熱処理や溶接時の熱影響により金属間化合物の析出が過剰となり、鋼の耐食性および加工性を劣化させるので、Si含有量は1%以下とするのが好ましい。
Mnは、上記のSiと同様に、脱酸剤として有効な元素であるとともに、鋼中に不可避的に含有されるSを硫化物として固定し熱間加工性を改善する。その効果は0.1%以上の含有量で得られる。しかし、その含有量が4%を超えると熱間加工性が低下するだけでなく、耐食性に悪影響を及ぼす。このため、Mn含有量は0.1〜4%とするのが好ましい。
Crは、耐食性を維持し強度を向上するために有効な基本成分である。これらの効果は、Crの含有量を20%以上とすることにより、得ることができる。しかし、Crの含有量が35%を超えると、σ相が析出し易くなり耐食性と靭性がともに劣化する。したがって、Cr含有量は20〜35%とするのが好ましい。
Niは、オーステナイト相を安定させ、二相組織を得るために含有される元素である。その含有量が3%未満の場合は、フェライト相が主体となって二相組織が得られない。一方、10%を超えると、オーステナイト主体となり二相組織が得られないこと、また、Niが高価な元素であるために経済性も損なわれることから、Ni含有量は3〜10%とするのが好ましい。
Moは、耐孔食性および耐隙間腐食性を向上させるとともに固溶強化により強度を向上させる元素であるので、必要に応じて含有させることができる。一方、過剰に含有させるとσ相が析出し易くなり靭性が劣化する。このため、Mo含有量は0〜6%とするのが好ましい。
Wは、Moと同様に、耐孔食性および耐隙間腐食性を向上させるとともに固溶強化により強度を向上させる元素であるので、必要に応じて含有させることができる。一方、過剰に含有させるとσ相が析出し易くなり靭性が劣化する。このため、W含有量は0〜6%とするのが好ましい。
Cuは、耐食性および粒界腐食抵抗を改善する元素であり、必要に応じて含有させることができる。一方、含有量が3%を超えるとその効果は飽和し、逆に熱間加工性および靱性が低下する。このため、Cu含有量は0〜3%とするのが好ましい。
Nは、オーステナイトの安定性を高めるとともに、二相ステンレス鋼の耐孔食性および耐隙間腐食性を高める元素である。また、Cと同等にオーステナイト相を安定させて強度を向上させる元素である。その含有量が0.15%未満では十分な効果が得られない。一方、0.60%を超えると靭性および熱間加工性を劣化させるため、その含有量を0.15〜0.60%とするのが好ましい。
これらの成分は、必要に応じて含有させることができる。いずれも、含有させれば、熱間加工性を阻害するSを硫化物として固着し、熱間加工性を向上させる効果がある。しかしながら、CaおよびMgについてはいずれも0.01%を超えると、そして、REMについては0.2%を超えると、粗大な酸化物が生成し、かえって熱間加工性の低下を招く。したがって、これらを含有させる場合には、それぞれの上限は、CaおよびMgについては0.01%、そして、REMについては0.2%とするのが好ましい。
本試験では、二相ステンレス鋼からなる中空ビレットを誘導加熱し、当該中空ビレットをコンテナ内に挿入して熱間押出加工することにより、継目無管である押出管を得た。中空ビレットは、材質がASTMで規定されるA312−S39274に相当する二相ステンレス鋼からなるものを用いた。本試験で用いた二相ステンレス鋼からなる中空ビレットの代表組成を表1に示す。
中空ビレット:外径177.0mm、内径29.0mm、長さ417mm
工具寸法 :ダイス内径34.7mm、マンドレル外径26.0mm、
コンテナ内径182.0mm
押出管 :外径34.0mm、肉厚(平均)4.0mm、長さ24738mm
中空ビレット:外径177.0mm、内径31.0mm、長さ466mm
工具寸法 :ダイス内径40.7mm、マンドレル外径28.0mm、
コンテナ内径182.0mm
押出管 :外径40.0mm、肉厚(平均)6.0mm、長さ16299mm
得られた押出管の偏肉を目視により観察し、前記図2に示すような最も薄肉の部分の肉厚(t1)と、最も厚肉の部分の肉厚(t2)とを測定するとともに、最も厚肉の部分から±90°位置でそれぞれ肉厚(t3およびt4)を測定した。肉厚の測定は、トップ側の端面(熱間押出加工で初期に加工される側の端面)からの長手方向に200mmの位置で押出管を切断し、切断面での肉厚をデジタル式ハンドキャリパー(株式会社古里精機製作所製)により測定して行った。
h1=t2−t1 ・・・(2)
また、測定した4点の肉厚(t1〜t4、単位mm)から、下記(3)式により、偏肉率h2(%)を算出した。
h2=(t2−t1)/ta ・・・(3)
ただし、平均肉厚ta(mm)は、測定した4点の肉厚(t1〜t4)の平均である。
○:算出された偏肉率が20%以下であることを示す。
×:算出された偏肉率が20%を超えたことを示す。
図4は、中空ビレットの内外温度差と押出管の偏肉率との関係を示す図である。同図から、中空ビレットの内外温度差と押出管の偏肉率とが相関関係を有し、内外温度差を大きくすると偏肉率が低下することが確認できた。
(1)中空ビレットを加熱して内周部温度を外周部温度に比べて低温とし、内外温度差を150℃以上とする。当該中空ビレットを熱間押出加工することにより、押出管に生じる偏肉を低減することができる。
(2)このため、生産性の低下および工具原単位の悪化の問題を発生させることなく、押出管に生じる偏肉を低減することができる。
5:マンドレル、 6:ステム、 7:ダミーブロック、 8:ガラスディスク、
9:ダイバッキングリング、 B:中空ビレット、 P:熱間押出管、 Px:外面、
Py:内面、 t1:最も薄肉の部分の肉厚、 t2:最も厚肉の部分の肉厚、
A:肉厚が最も薄肉となる部分と厚肉となる部分とがなす角度
Claims (2)
- 中空ビレットを用いて熱間押出製管法により継目無管である熱間押出管を製造する方法であって、
中空ビレットを加熱して外周部温度が1050〜1300℃で、かつ内外温度差ΔTが(1)式を満たす温度にし、当該中空ビレットをコンテナ内に挿入して熱間押出加工することを特徴とする熱間押出管の製造方法。
ΔT=Tx―Ty≧150 ・・・(1)
ここで、内外温度差ΔT(℃)、外周部温度Tx(℃)および内周部温度Ty(℃)である。 - 前記中空ビレットの材質が二相ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載の熱間押出管の製造方法。
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