JP2012138208A - 光学レンズ及び照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成により2方向の配光を別々に制御する。
【解決手段】照明装置100は、複数のLED111と光学レンズアレイ110と基板112とを備える。光学レンズアレイ110は、板状の透光性部材からなり、2つの板面の一方が光を入射し、他方が光を出射する。光学レンズアレイ110の2つの板面のうち、光を出射する側の板面の複数箇所には、光屈折部130が形成されている。光屈折部130は、当該板面に対して略垂直かつ互いに略垂直な2つの方向(X軸方向及びY’軸方向)の一方(X軸方向)からみた断面が凸状に湾曲している。そして、光屈折部130は、上記2つの方向の他方(Y’軸方向)からみた断面が凹状に湾曲している。基板112には、光学レンズアレイ110の光屈折部130が形成されている板面における光屈折部130の配置と同じ配置でLED111が実装されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学レンズ及び当該光学レンズを用いた照明装置に関するものである。本発明は、特に、LED光源の正面に透明な光学レンズを備え、狙いの配光に光を制御しつつ、光源の眩しさを軽減した照明装置に関するものである。
LEDには、消費電力が少なく、寿命が長いといった特長がある。このため、近年、LEDを光源とした照明装置が、省エネ等の観点からダウンライトやスポットライト等に用いられている。LEDは、こういった屋内用の照明器具に限らず、防犯灯や街路灯等の屋外照明器具の光源としても使用されている。
防犯灯に対しては、防犯上確保すべき照明効果として、クラスA(4メートル先の人の顔の概要がわかること)、あるいは、少なくともクラスB(4メートル先の歩行者の挙動・姿勢がわかること)が望まれる。照明効果を確保するための照度基準として、クラスAでは、路面上の水平面照度の平均値が5.0ルクス(lx)以上、鉛直面照度の最小値が1.0ルクス以上であること、クラスBでは、路面上の水平面照度の平均値が3.0ルクス以上、鉛直面照度の最小値が0.5ルクス以上であることが規定されている(非特許文献1参照)。ここで、水平面照度とは、道路面(5[メートル]×防犯灯の設置間隔[メートル])上での平均照度のことをいう。鉛直面照度とは、道路の中心線上で路面より1.5メートルの高さ、道路軸に対して直角な鉛直面の最小照度のことをいう。
上記の照明基準を満足しながら、防犯灯の設置間隔をできるだけ広くして設置コストを削減することや、使用する光源の個数を削減して消費電力を低減することも求められている。
上記の照明基準を満足するための技術として、特許文献1及び特許文献2に記載の方法がある。特許文献1に記載の方法では、光源の長手方向に沿って配置された側面反射鏡を用いて配光を制御している。特許文献2に記載の方法では、光源の取付部を断面V字状に形成し、複数の反射体を用いて配光を制御している。また、いずれの方法でも、さらに、プリズムを用いて配光を制御している。
特開2004−63174号公報 特開2010−153399号公報
「安全・安心なまちづくりをめざして 防犯照明ガイド vol.4」、社団法人日本防犯設備協会、平成22年2月
防犯灯は、道路の歩道側に設置された支柱の高所に取り付けて使用される照明装置である。このとき、照明装置から光を照射したい領域は、照明装置の鉛直(真下)方向ではなく、斜め下方向の道路面となる。このため、照明装置は、光を照射したい領域の方向を向くように所定の角度で設置される。
よって、道路の幅方向と道路の進行方向との2方向の配光を別々に(即ち、異なる配光特性をもつように)制御して、光を照射したい領域に効果的に光を照射するような配光を実現して、設置コストや消費電力を低減することが重要となる。
しかしながら、従来の技術では、2方向の配光を別々に制御することができないか、又は、それができても、構造が複雑になり、部品点数増、コスト高になるという課題があった。
また、LEDのような発光点の小さい光源を用いる場合、従来の技術では、照度ムラを低減するために、LEDを密接に配置して道路面に光を照射する必要があり、これによって照明装置の輝度が高くなり、眩しさが増すという課題があった。
本発明は、例えば、簡単な構成により2方向の配光を別々に制御することを目的とする。また、さらに、眩しさを低減することを目的とする。
本発明の一の態様に係る光学レンズは、
板状の透光性部材からなり、2つの板面の一方が光を入射し他方が光を出射する光学レンズであって、
前記2つの板面のうちいずれかの板面の複数箇所に、当該板面に対して略垂直かつ互いに略垂直な2つの方向の一方からみた断面が凸状に湾曲し他方からみた断面が凹状に湾曲した光屈折部が形成されている。
本発明の一の態様によれば、簡単な構成により2方向の配光を別々に制御することが可能となる。
実施の形態1に係る防犯灯の設置例を示す図。 実施の形態1に係る照明装置の(a)斜視図、(b)設置角度の説明図。 実施の形態1に係る照明装置の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。 実施の形態1に係るLEDの(a)平面図、(b)C−C断面図。 実施の形態1に係る照明装置の(a)XZ’平面における配光特性を示す図、(b)Y’Z’平面における配光特性を示す図。 実施の形態1に係る照明装置の(a)XZ’平面における配光特性を示すグラフ、(b)Y’Z’平面における配光特性を示すグラフ。 実施の形態1に係る照明装置の(a)光学レンズアレイの第2入射面(第2入射面を拡散面としない場合)に入射した光のみの配光特性を示すグラフ、(b)照度を算出した結果を示す表。 実施の形態2に係る照明装置の斜視図。 実施の形態2に係る照明装置の(a)D−D断面図、(b)E−E断面図。 実施の形態2に係る照明装置の(a)XZ’平面における配光特性を示すグラフ、(b)Y’Z’平面における配光特性を示すグラフ。 実施の形態2に係る照明装置の照度を算出した結果を示す表。 実施の形態3に係る照明装置の(a)光学レンズアレイの位置をずらした状態のD−D断面図、(b)光学レンズアレイの位置をずらした状態の配光特性を示すグラフ。 実施の形態3に係る照明装置の(a)光学レンズアレイが元の位置にある状態の鉛直面照度の分布を示す図、(b)光学レンズアレイの位置をずらした状態の鉛直面照度の分布を示す図。 実施の形態3に係る照明装置の(a)調整機構の構成例を示すD−D断面図、(b)調整機構の別の構成例を示すD−D断面図。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る防犯灯200の設置例を示す図である。
防犯灯200は、照明装置100と、地上に立設された支柱101とを備える。照明装置100は、支柱101により高所に設置されている。支柱101は、例えば道路の歩道側に設置されている。照明装置100は、その発光面(底面)が道路の水平面102における所望の領域の方向を向くように、所定の角度θで支柱101の上部に取り付けられている。
以下では、図1に示すように、道路の進行方向にX軸、道路の幅方向にY軸、道路の鉛直方向にZ軸をおき、道路の水平面102をXY平面、道路の鉛直面103をYZ平面とする。また、Y軸に対する照明装置100の発光面の傾斜方向、即ち、Y軸を角度θ傾けた方向にY’軸をおき、Y軸に対して垂直方向、即ち、Z軸をY’軸と同様に角度θ傾けた方向にZ’軸をおく。
なお、本実施の形態では、照明装置100が防犯灯200に使用されているが、照明装置100は、街路灯その他の屋外照明器具に使用されてもよいし、建物内の廊下や通路等を照らす屋内用の照明器具に使用されてもよい。
図2(a)は、照明装置100の斜視図である。図2(b)は、照明装置100を設置する所定の角度(設置角度)θの説明図である。図3(a)は、図2(a)の照明装置100のA−A断面図である。図3(b)は、図2(a)の照明装置100のB−B断面図である。
照明装置100は、複数のLED111(光源の例)と、各LED111の正面(発光面と対向する位置)に配置された光学レンズアレイ110(光学レンズの例)と、基板112(光源モジュールの例)とを備える。光学レンズアレイ110と基板112とは、図示しないレンズホルダにより位置決めされている。
光学レンズアレイ110は、板状の透光性部材からなり、2つの板面の一方が光を入射し、他方が光を出射する。ここでは、透光性部材として、アクリル樹脂を用いているものとするが、LED111からの出射光を透過する材料であれば、他の透光性部材を用いてもよい。例えば、ポリカーボネイト樹脂、ガラス等の透明な材料を用いることができる。
光学レンズアレイ110の2つの板面のうち、光を出射する側の板面の複数箇所には、光屈折部130が形成されている。図3(b)に示すように、光屈折部130は、当該板面に対して略垂直かつ互いに略垂直な2つの方向(X軸方向及びY’軸方向)の一方(X軸方向)からみた断面が凸状に湾曲している。そして、図3(a)に示すように、光屈折部130は、上記2つの方向の他方(Y’軸方向)からみた断面が凹状に湾曲している。図2(a)に示すように、ここでは、光屈折部130が24箇所(3個×8列)に形成されているものとするが、光屈折部130の数はこれに限らない。
光学レンズアレイ110の光屈折部130が形成されている板面と逆側の板面、即ち、光を入射する側の板面において、光屈折部130に対向する位置のそれぞれには、光入射部140が形成されている。光入射部140は、上記2つの方向の両方(X軸方向及びY’軸方向)からみた断面が凹状に湾曲している。
光学レンズアレイ110の光入射部140が形成されている板面の光入射部140の周囲には、光を拡散させる光拡散部150が形成されている。なお、光学レンズアレイ110の光屈折部130が形成されている板面の光屈折部130の周囲に、光を拡散させる光拡散部150が形成されていてもよい。
光学レンズアレイ110において、光入射部140の表面には第1入射面110aが形成され、光拡散部150の表面には第2入射面110bが形成され、光屈折部130の表面には第1出射面110cが形成される。前述したように、光拡散部150が光屈折部130の周囲にも形成される場合、この光拡散部150の表面には第2出射面110dが形成される。
このように、光学レンズアレイ110の2つの板面のうち、光を入射する側の板面には、LED111の正面(発光面から一定間隔離れたところ)に位置する第1入射面110aと、第1入射面110aを取り囲む第2入射面110bとが形成されている。図3(a)に示すように、第1入射面110aは、XZ’平面において、LED111の略中心を通る光軸120に対して対称で、中心が凹形状になっており、LED111の光軸120から離れた位置において変曲点に達し、さらに外側にいくにしたがって、凸形状に変化している。第2入射面110bは、XY’平面と略平行であり、略平らな形状をしている。
また、光学レンズアレイ110の2つの板面のうち、光を出射する側の板面には、主として第1入射面110aからの光を屈折させて出射する第1出射面110cと、第1出射面110cを取り囲む第2出射面110dとが形成されている。図3(b)に示すように、第1出射面110cは、Y’Z’平面において、光軸120に対して対象で、光軸120付近を頂点とした凸の形状になっている。第2出射面110dは、XY’平面と略平行であり、略平らな形状をしている。
基板112には、光学レンズアレイ110の光屈折部130が形成されている板面における光屈折部130(及び光入射部140)の配置と同じ配置でLED111が実装されている。
図2(b)に示すように、照明装置100は、上記2つの方向(X軸方向及びY’軸方向)のうち、光学レンズアレイ110の光屈折部130の断面が凹状にみえる方向(Y’軸方向)において、光学レンズアレイ110が角度θで傾斜するように、支柱101に取り付けられる。つまり、照明装置100は、YZ平面内で角度θ傾けられる。
図4(a)は、LED111の平面図(発光面側をみた図)である。図4(b)は、図4(a)のC−C断面図である。
LED111は、セラミックスパッケージ111aと、LED素子111bと、蛍光体が混入されたシリコーン樹脂111cとを備える。LED素子111bは、セラミックスパッケージ111aの開口面111d(発光面)を形成する凹部に実装されている。シリコーン樹脂111cは、当該凹部に充填されている。例えば、LED素子111bが青色光を発すると、この青色光の一部の波長成分によりシリコーン樹脂111cに混入された蛍光体が励起されて黄色光を発する。これにより、青色光と黄色光との混色光である白色光がセラミックスパッケージ111aの開口面111dから出射される。なお、セラミックスパッケージ111aは、図示しない電力供給用の電極を有し、この電極から図示しないワイヤを介してLED素子111bに電力が供給される。
以下では、本実施の形態の作用効果について説明する。
図5(a)は、照明装置100のXZ’平面における配光特性を示す図である。図5(b)は、照明装置100のY’Z’平面における配光特性を示す図である。図5(a)及び(b)において、矢印はLED111から出射された光の進行方向(軌跡)を表している。図6(a)は、照明装置100のXZ’平面における配光特性を示すグラフである。図6(b)は、照明装置100のY’Z’平面における配光特性を示すグラフである。図7(a)は、光学レンズアレイ110の第2入射面110b(第2入射面110bを拡散面としない場合)に入射した光のみの配光特性を示すグラフである。
まずは、第1入射面110aを通過する光について説明する。
LED111から出射され、第1入射面110aに到達した光は、屈折の作用を受けて光学レンズアレイ110内に入射され、大部分の光は第1出射面110cに到達し、さらに屈折の作用を受けて光学レンズアレイ110から出射される。
図5(a)及び(b)に示すように、第1入射面110aはコーニック形状(例えば、放物面、楕円面、双曲面)になっており、LED111から出射された光を、出射角121が大きくなる方向に屈折させる。つまり、光学レンズアレイ110の光入射部140は、LED111から出射された光を入射すると、その光を光軸120から離れる方向に屈折させる。
図5(a)に示すように、第1出射面110cは、XZ’平面において、中心の凹んだ形状になっており、光をより出射角121が大きくなる方向に屈折させる。つまり、光学レンズアレイ110の光屈折部130は、前述した2つの方向(X軸方向及びY’軸方向)のうち、光屈折部130の断面が凹状にみえる方向(Y’軸方向)からみた場合、光入射部140に入射した光を、さらに光軸120から離れる方向に屈折させて出射する。これにより、図6(a)に示すように、大きい出射角121の照度が強くなるように配光を制御することができる。
図5(b)に示すように、第1出射面110cは、Y’Z’平面において、凸形状になっており、LED111からの広がった光を集めて、道路面に照射するように作用する。つまり、光学レンズアレイ110の光屈折部130は、上記2つの方向(X軸方向及びY’軸方向)のうち、光屈折部130の断面が凸状にみえる方向(X軸方向)からみた場合、光入射部140に入射した光を、光軸120に近づく方向に屈折させて出射する。これにより、図6(b)に示すように、光軸120中心付近の小さい出射角121の照度が最も強くなるように配光を制御することができる。
図6(a)のように、大きい出射角121の照度が強くなっている配光では、道路の広い範囲を照射できる。しかし、この平面を傾けて使用すると、道路面において、局所的に照度が高くなる部分ができるため適当ではない。
図6(b)のように、光軸120中心付近の小さい出射角121の照度が最も強くなっている配光では、道路の広い範囲を照射することはできないが、所定の角度θで傾けて、比較的狭い領域を均一に照らすことができる。
よって、本実施の形態では、所定の角度θで傾けるY’Z’平面の配光としては、小さい出射角121の照度が最も強くなる図6(b)のような配光を選択し、道路の進行方向を広く照射したいXZ’平面の配光としては、大きい出射角121の照度が強くなる図6(a)のような配光を選択している。これにより、2方向の配光を別々に制御することが可能となっている。
なお、本実施の形態では、第1出射面110cを用いて、2方向の配光を別々に制御しているが、第1入射面110aを用いて2方向の配光を制御しても、同様の効果を得ることができる。つまり、光学レンズアレイ110の光屈折部130は、光学レンズアレイ110の2つの板面のうち、光を入射する側の板面の複数箇所に形成されていてもよい。この場合、光屈折部130は、当該板面に対して略垂直かつ互いに略垂直な2つの方向(X軸方向及びY’軸方向)の一方(Y’軸方向)からみた断面が凸状に湾曲し、他方(X軸方向)からみた断面が凹状に湾曲したものとなる。
次に、第2入射面110bを通過する光について説明する。
図5(a)及び(b)に示すように、LED111から出射され、第2入射面110bに到達した光は、拡散されて光学レンズアレイ110内に入射され、第1出射面110c、第2出射面110dに到達し、光学レンズアレイ110から出射される。
第2入射面110bを拡散面にしたことにより得られる作用効果を説明する。
基板112に実装されているLED111以外の電子部品の高さ等によるが、LED111と、その正面に配置する光学レンズアレイ110とを、ある程度間隔をあけて配置する場合がある。この場合、LED111から出射される光の一部は、第1入射面110aに入射されず、第2入射面110bに入射されることになる。
このとき、第2入射面110bに入射された光が、光学レンズアレイ110から出射される際に、一方向に集中する傾向があるため、その方向の輝度が高くなってしまう。
図7(a)のグラフでは、第2入射面110bを拡散面としない場合に、第2入射面110bに入射した光のみの配光特性を算出した結果を示している(第1入射面110aを鏡面にしたときの、照明装置100のXZ’平面の配光特性である)。この結果では、出射角50°付近で照度が集中して強くなるという現象が起こっていることがわかる。図7(a)では、第2入射面110bが単なる平坦面であるため、LED111から出射された光が、光軸120に近づく方向に屈折し、この光が、第1出射面110cで集光されて、上記のような現象が起こっていると想定される。LED111と光学レンズアレイ110との間隔にもよるが、LED111から出射される光の約20%が、第2入射面110bに入射される場合もあり、この場合、かなり眩しくなるため、上記のような現象を回避することは重要である。そこで、本実施の形態では、第2入射面110bを拡散面とし、第2入射面110bに入射した光を拡散させ、背景光とすることで、眩しさを低減する。
図7(b)は、照明装置100の照度を算出した結果を示す表である。
図7(b)の表では、照明装置100を用いて、設置高さ4.5メートル、設置間隔30メートルでの、道路に対する水平面照度と鉛直面照度とを算出した結果を示している。この結果から、照明装置100が、防犯灯の照度基準であるクラスA及びクラスBを満足していることがわかる。
以上のように、本実施の形態では、LED111の正面に配置された透明な光学レンズアレイ110が、少なくともLED111の正面に位置する第1入射面110aと、第1入射面110aを取り囲む第2入射面110bとで構成される入光面を有する。また、この光学レンズアレイ110が、主として第1入射面110aからの光を屈折させて出射する第1出射面110cと、第1出射面110cを取り囲む第2出射面110dとを有する。そして、第1出射面110cのXZ’平面の断面形状は、中心の凹んだ形状になっており、Y’Z’平面の断面形状は、凸形状になっている。このため、簡単な構成で、道路の幅方向であるYZ平面と道路の進行方向であるXZ平面との2方向の配光を別々に制御して所望の配光を実現し、設置コストや消費電力を低減した照明装置100を提供することができる。
また、本実施の形態では、光学レンズアレイ110の第2入射面110bの全体もしくは一部が拡散特性を有する。このため、眩しさを低減した照明装置100を提供することができる。
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
図8は、本実施の形態に係る照明装置100の斜視図である。図9(a)は、図8の照明装置100のD−D断面図である。図9(b)は、図8の照明装置100のE−E断面図である。
図8に示すように、本実施の形態では、光学レンズアレイ110の光屈折部130が、光学レンズアレイ110の2つの板面のうち、光を出射する側の板面の6箇所(3個×2列)に形成されている。
図9(a)及び(b)に示すように、本実施の形態では、光学レンズアレイ110の光屈折部130が形成されている板面と逆側の板面、即ち、光を入射する側の板面において、光入射部140が形成されていない。つまり、当該板面は、実施の形態1における第1入射面110a、第2入射面110bの区別がなく、全体が略平らな形状の入射面110eになっている。
図10(a)は、照明装置100のXZ’平面における配光特性を示すグラフである。図10(b)は、照明装置100のY’Z’平面における配光特性を示すグラフである。
LED111から出射され、入射面110eに入射した光は、第1出射面110cに到達し、屈折の作用を受けて出射される。また、入射面110eに入射した光の一部は、第2出射面110dから出射される。
図9(a)に示すように、第1出射面110cは、実施の形態1と同様に、XZ’平面において、中心の凹んだ形状になっており、光をより出射角121が大きくなる方向に屈折させる。これにより、図10(a)に示すように、大きい出射角121の照度が強くなるように配光を制御することができる。なお、本実施の形態では、入射面110e全体が略平坦であるため、図6(a)に示した実施の形態1の配光よりも出射角121の幅が狭くなっている。よって、実施の形態1よりも照明装置100の設置間隔を狭くすることが望ましい。
図9(b)に示すように、第1出射面110cは、実施の形態1と同様に、Y’Z’平面において、凸形状になっており、LED111からの広がった光を集めて、道路面に照射するように作用する。これにより、図10(b)に示すように、光軸120中心付近の小さい出射角121の照度が最も強くなるように配光を制御することができる。
このように、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、2方向の配光を別々に制御することが可能となっている。
図11は、照明装置100の照度を算出した結果を示す表である。
図11の表では、照明装置100を用いて、設置高さ4.5メートル、設置間隔10メートルでの、道路に対する水平面照度と鉛直面照度とを算出した結果を示している。この結果から、照明装置100が、防犯灯の照度基準であるクラスA及びクラスBを満足していることがわかる。
以上より、設置間隔の狭い照明装置100であれば、入射面110e全体が平坦であっても、道路に対する水平面照度と鉛直面照度との基準を満たすことができる。本実施の形態によれば、レンズ金型の作製が容易になる等、より簡単な構成で、所望の配光特性を実現した照明装置100を提供することができる。
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態2との差異を説明する。
図12(a)は、図8の照明装置100の光学レンズアレイ110の位置をずらした状態のD−D断面図である。図12(b)は、図12(a)と同じ状態における照明装置100の配光特性を示すグラフである。
図12(a)に示すように、本実施の形態では、実施の形態2と同じ形状の光学レンズアレイ110の位置を、Y’軸方向にずらすことができる。つまり、前述した2つの方向(X軸方向及びY’軸方向)のうち、光学レンズアレイ110の光屈折部130の断面が凹状にみえる方向(Y’軸方向)において、光学レンズアレイ110と基板112(及びLED111)との相対位置を調整することができる。図示していないが、照明装置100は、そのための調整機構(具体例は後述する)を備えるものとする。
図12(b)に示すように、本実施の形態では、図10(a)に示した実施の形態2の配光よりも出射角121の幅が大きくなっている。このように、本実施の形態では、光学レンズアレイ110の位置を変えることで、出射角121の幅を調整することができる。
図13(a)は、光学レンズアレイ110が元の位置にある状態、即ち、図9(a)の照明装置100の鉛直面照度の分布を示す図である。図13(b)は、光学レンズアレイ110の位置をずらした状態、即ち、図12(a)の照明装置100の鉛直面照度の分布を示す図である。
図13(a)の分布では、図13(b)よりも、照度の高い点が中心に移動している。このように、本実施の形態では、光学レンズアレイ110の位置を変えることで、道路の鉛直面103(YZ平面)における照度分布を調整することができる。
ここで、鉛直面照度を調整する利点について説明する。
防犯上の照明効果として規定されている鉛直面照度は、道路の中心線上で路面より1.5メートルの高さ、道路軸に対して直角な鉛直面103の最小照度である。このとき、防犯灯200の配光特性が同じであれば、設置間隔と角度θとに依存して、鉛直面照度の分布は異なってくるため、道路の中心線上での照度が弱くなってしまう場合がある。そのため、特に、設置間隔の異なる防犯灯200の鉛直面照度の規格を、1つのレンズカバー(光学レンズアレイ110)で対応しようとしたときには、鉛直面照度を調整することが重要となる。
本実施の形態では、光学レンズアレイ110をY’軸方向に調整することで、最適な鉛直面照度になるように簡単に調整することができる。また、製品組み立て時にも同様の調整を行い出荷することで、製品の歩留まり向上に貢献できる。
図14(a)及び(b)は、それぞれ図8の照明装置100における調整機構の構成例を示すD−D断面図である。
図14(a)の例では、光学レンズアレイ110を支持するレンズホルダ113に、前述した調整機構として、光学レンズアレイ110の端部110fがY’軸方向にスライド自在に嵌められる溝160が設けられている。
図14(b)の例では、光学レンズアレイ110に、前述した調整機構として、レンズホルダ113の端部113aがY’軸方向にスライド自在に嵌められる溝160が設けられている。
以上のように、本実施の形態では、照明装置100が、Y’軸に平行な方向に、LED111と光学レンズアレイ110との相対位置を調整できる機構を有している。例えば、そのような機構として、光学レンズアレイ110又はレンズホルダ113に調整溝を作製している。このため、防犯灯200の照度基準である鉛直面照度を、最適な分布に調整することができる。また、製品組み立て時にも同様の調整を行い出荷することで、製品の歩留まり向上に貢献できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
100 照明装置、101 支柱、102 水平面、103 鉛直面、110 光学レンズアレイ、110a 第1入射面、110b 第2入射面、110c 第1出射面、110d 第2出射面、110e 入射面、110f 端部、111 LED、111a セラミックスパッケージ、111b LED素子、111c シリコーン樹脂、111d 開口面、112 基板、113 レンズホルダ、113a 端部、120 光軸、121 出射角、130 光屈折部、140 光入射部、150 光拡散部、160 溝、200 防犯灯。

Claims (8)

  1. 板状の透光性部材からなり、2つの板面の一方が光を入射し他方が光を出射する光学レンズであって、
    前記2つの板面のうちいずれかの板面の複数箇所に、当該板面に対して略垂直かつ互いに略垂直な2つの方向の一方からみた断面が凸状に湾曲し他方からみた断面が凹状に湾曲した光屈折部が形成されていることを特徴とする光学レンズ。
  2. 前記光屈折部が形成されている板面と逆側の板面において、前記光屈折部に対向する位置のそれぞれに、前記2つの方向の両方からみた断面が凹状に湾曲した光入射部が形成され、
    前記光屈折部は、前記光入射部に入射した光を屈折させて出射することを特徴とする請求項1の光学レンズ。
  3. 前記光入射部が形成されている板面の前記光入射部の周囲に、光を拡散させる光拡散部が形成されていることを特徴とする請求項2の光学レンズ。
  4. 前記光屈折部が形成されている板面の前記光屈折部の周囲に、光を拡散させる光拡散部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの光学レンズ。
  5. 請求項1から4のいずれかの光学レンズと、
    前記光屈折部が形成されている板面における前記光屈折部の配置と同じ配置で光源が実装された光源モジュールと
    を備えることを特徴とする照明装置。
  6. 前記照明装置は、さらに、
    前記2つの方向のうち前記光屈折部の断面が凹状にみえる方向において前記光学レンズと前記光源モジュールとの相対位置を調整するための調整機構を備えることを特徴とする請求項5の照明装置。
  7. 前記照明装置は、さらに、
    前記光学レンズを支持するレンズホルダを備え、
    前記調整機構として、前記光学レンズと前記レンズホルダとの一方に、他方の端部がスライド自在に嵌められる溝が設けられていることを特徴とする請求項6の照明装置。
  8. 前記照明装置は、地上に立設された支柱に、前記2つの方向のうち前記光屈折部の断面が凹状にみえる方向において前記光学レンズが所定の角度で傾斜するように取り付けられることを特徴とする請求項5から7のいずれかの照明装置。
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