以下、本発明の第一実施形態に係るアクチュエータについて、添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係るアクチュエータは、図1に示す如く、外観円柱状のシリンダ本体2と、該シリンダ本体2の一端面から突出するピストンロッド3と、前記シリンダ本体2の他端面から突出する回転軸4とを備えている。
より具体的に説明すると、該アクチュエータ1は、図2に示す如く、一方向に延びるボア20が形成されたシリンダ部21及び該シリンダ部21のボア20の両端を閉塞する一対の閉塞部22,23を有するシリンダ本体2と、一方の閉塞部22に液密状態で挿通されたロッド部30及び該ロッド部30の基端に同心で連結されてボア20に内装されたピストン部31を有するピストンロッド3と、他方の閉塞部23に液密状態で挿通された回転軸4と、前記シリンダ本体2に内装されてピストン部31を前記一方向の一方側(他方の閉塞部23側)に付勢するリターンスプリング5とを備えている。
該アクチュエータ1は、シリンダ本体2のボア20内に作動油(図示しない)が充填されている。すなわち、本実施形態に係るシリンダ本体2は、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側の領域及び他方の領域の何れにも作動油が充満されている。
本実施形態に係るシリンダ本体2は、ボア20が丸穴状に形成されている。より具体的には、前記シリンダ部21は、真円筒状に形成され、内穴で前記ボア20が構成されている。そして、一対の閉塞部22,23は、それぞれシリンダ部21の開口端部に嵌入される円板状の嵌入部220,230と、該嵌入部220,230の一端に連設されたフランジ部221,231とを備えている。
各閉塞部22,23は、嵌入部220,230の外周に環状溝222,232が形成されており、該環状溝222,232内に環状のシール材(本実施形態においてはOリング)Sを嵌め込んだ状態でシリンダ部21の開口端部に嵌入されている。そして、各閉塞部22,23は、嵌入部220,230をシリンダ部21の開口端部に嵌入した状態でフランジ部221,231がシリンダ部21の端面に固定(本実施形態においてはネジ止め)されている。これにより、シリンダ部21のボア20の両端が閉塞部22,23よって封止されている。
そして、一方の閉塞部22は、ボア20の穴中心と同心をなすロッド挿通穴223が穿設されている。そして、一方の閉塞部22は、ロッド挿通穴223を画定する内周面に環状の溝224が形成され、該溝224内に環状のシール材(本実施形態においてはOリング)Sが嵌め込まれている。
これに対し、他方の閉塞部23は、ボア20の穴中心と同心をなす回転軸挿通穴233が穿設されている。該回転軸挿通穴233は、外側ほど大径に設定された段付き穴で構成されており、最も内側にある軸挿通穴233aと、最も外側にあるベアリング嵌着穴233bと、軸挿通穴233aとベアリング嵌着穴233bとの間にあるシール嵌着穴233cとで構成されており、シール嵌着穴233cに環状のシール部材S1が嵌着され、ベアリング嵌着穴233bに環状のベアリングBが嵌着されている。
前記ピストンロッド3は、ピストン部31が軸心回りで回転不能にボア20に内装されている。該ピストンロッド3は、他方の閉塞部23側で開口した非貫通状態の軸挿入穴300が回転軸4の回転中心と同心で形成されている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係るピストンロッド3は、一端が閉塞した円筒状のロッド部30と、該ロッド部30の他端部に対して同心で連結された円環状のピストン部31とを備えており、ロッド部30の内穴とピストン部31の内穴とが連続することで丸穴状の軸挿入穴300が形成されている。前記ロッド部30は、外径が一方の閉塞部22に穿設されたロッド挿通穴223の穴径と略同等に設定されており、ロッド挿通穴223に挿通された状態でロッド挿通穴223を画定する内周面上の溝224に嵌着されたシール材Sが外周全周に亘って密接するようになっている。
前記ピストン部31は、シリンダ部21のボア20の穴径と略同等の外径に設定されている。そして、該ピストン部31は、ボア20と同心をなすように該ボア20に内装されている。なお、図示しないが、ピストン部31の外周の全周に無端環状の溝が形成され、該溝にOリングが嵌着されている。これにより、本実施形態に係るアクチュエータ1は、ピストン部31の一方向(ボア20の穴中心方向(ピストンロッド3の軸心方向))における移動が許容されつつピストン部31の外周面とシリンダ部21の内周面との間が液密になっている。
前記ピストン部31は、軸挿入穴300に向けて開口したプランジャ内装穴301が周方向に間隔をあけて複数穿設されるとともに、各プランジャ内装穴301に該プランジャ内装穴301の穴中心方向で移動可能なプランジャ302及び該プランジャ302を軸挿入穴300に向けて付勢するプランジャ付勢手段303が内装されている。
また、該ピストン部31は、前記一方向の他方側(一方の閉塞部22側)に向けて開口してプランジャ内装穴301に連通する第一流路304、及び前記一方向の一方側(他方の閉塞部23側)に向けて開口してプランジャ内装穴301に連通する第二流路305が各プランジャ302に対応して複数設けられている。また、ピストン部31は、第一流路304及び第二流路305のそれぞれに前記一方向の他方側から一方側に向けての作動油の流通を許容する一方で前記一方向の一方側から他方側に向けての作動油の流通を阻止する逆止弁306,307が内装されている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係るピストン部31は、図3に示す如く、半径方向で貫通した貫通穴が軸挿入穴300回りに複数穿設され、各貫通穴の外側の開口部にプラグPが嵌着されることで非貫通状態のプランジャ内装穴301が軸挿入穴300回りに複数形成されている。本実施形態において、プランジャ内装穴301が五つ設けられており、一カ所を除いて等間隔(60°毎)に配置されている。従って、本実施形態に係るピストン部31は、プランジャ内装穴301間の一カ所が120°の間隔になっており、その他の間隔が60°になっている。
そして、各プランジャ内装穴301には、ピン状のプランジャ302とプランジャ付勢手段であるコイルバネ303とが同心で内装されている。本実施形態において、プランジャ302及びプランジャ付勢手段(コイルバネ)303を貫通穴に挿入した上で該貫通穴にプラグPを嵌着することで、プランジャ302及びプランジャ付勢手段(コイルバネ)303がプランジャ内装穴301に内装された状態になっている。なお、プラグPは、外周に形成された環状の溝(採番しない)にシール材(Oリング)S(採番しない)が嵌着されており、貫通穴の内周面と当該プラグPとの間が液密になっている。
これにより、本実施形態に係るアクチュエータ1は、プランジャ付勢手段(コイルバネ)303がプラグPとプランジャ302の基端との間に介在して該プランジャ302を軸挿入穴300(ピストン部31の中心)に向けて付勢している。
前記プランジャ302は、外径がプランジャ内装穴301の穴径と同径に設定されており、外周面がプランジャ内装穴301の内周面と摺接した状態で自己の軸心方向に移動可能になっている。また、プランジャ302は、先端部が丸みを持った半球状に形成されている。
前記プランジャ付勢手段303は、プランジャ302を軸挿入穴300に向けて付勢し、プランジャ302の先端を後述する偏心軸部40の外周に常時接触させるようになっている。また、プランジャ付勢手段303は、プランジャ302が先端部をプランジャ内装穴301から軸挿入穴300内に突出させた状態と該プランジャ302全体がプランジャ内装穴301内に押し込まれた状態とにできるように撓み代が設定されている。
図2に戻り、本実施形態に係るピストン部31は、上述の如く、第一流路304及び第二流路305がプランジャ302(プランジャ内装穴301)毎に設けられており、第一流路304及び第二流路305のそれぞれに逆止弁306,307が設けられている。
本実施形態において、第一流路304及び第二流路305は、いずれもプランジャ内装穴301のプランジャ付勢手段303が内装される領域に連通している。
第一流路304は、前記一方向に延びるように形成されており、途中位置に大径穴部304aが形成され、該大径穴部304aの両側に小径穴部304b,304bが形成されている。なお、本実施形態において、前記第一流路304は、ピストン部31に穿設された段付き穴と該段付き穴の開口部に嵌着された筒状のプラグ(採番しない)の内穴とが連続することで形成されている。
そして、本実施形態に係るアクチュエータ1は、第一流路304の大径穴部304a内に小径穴部304bの穴径よりも大径な球状の弁(以下、玉弁という)308が収容されるとともに該玉弁308を前記一方向の他方側に付勢するコイルバネ309が内装されることで第一流路304の逆止弁306が形成されている。かかる逆止弁306は、コイルバネ309による付勢で、前記一方向の他方側にある小径穴部304bと大径穴部304aとの境界に形成される環状の段差部分に玉弁308が押し付けられることで、玉弁308が小径穴部304bを閉塞するようになっている。
これにより、第一流路304の逆止弁306は、前記一方向の他方側のボア20内から第一流路304に作動油が流れ込もうとすると、その作動油の流体圧によって玉弁308がコイルバネ309の付勢力に抗してプランジャ内装穴301側に押され、作動油が一方向の他方側から一方側に流通可能となる一方で、プランジャ内装穴301から前記一方向の他方側のボア20内に作動油が流れ込もうとすると、玉弁308がコイルバネ309の付勢力で段差部分に圧接して小径穴部304bを閉塞し、プランジャ内装穴301から前記一方向の他方側にあるボア20内に作動油が流れ込むことを防止するようになっている。
第二流路305は、前記一方向に延びるように形成されており、途中位置に大径穴部305aが形成され、該大径穴部305aの両側に小径穴部305b,305bが形成されている。なお、本実施形態において、前記第二流路305は、ピストン部31に穿設された段付き穴と該段付き穴の開口部に嵌着された筒状のプラグ(採番しない)の内穴とが連続することで形成されている。
そして、本実施形態に係るアクチュエータ1は、第二流路305の大径穴部305b内に小径穴部305bの穴径よりも大径な球状の弁(以下、玉弁という)310が収容されるとともに該玉弁310を前記一方向の他方側に付勢するコイルバネ311が内装されることで第二流路305の逆止弁307が形成されている。かかる逆止弁307は、コイルバネ311による付勢で、前記一方向の他方側にある小径穴部305bと大径穴部305aとの境界に形成される環状の段差部分に玉弁310が押し付けられることで、玉弁310が小径穴部305bを閉塞するようになっている。
これにより、第二流路305の逆止弁307は、前記プランジャ内装穴301内から第二流路305に作動油が流れ込もうとすると、その作動油の流体圧によって玉弁310がコイルバネ311の付勢力に抗して前記一方向の一方側にあるボア20側に押され、作動油が一方向の他方側から一方側に流通可能となる一方で、前記一方向の一方側のボア20内から第二流路305に作動油が流れ込もうとすると、玉弁310がコイルバネ311の付勢力で段差部分に圧接して小径穴部305bを閉塞し、前記一方向の一方側にあるボア20内からプランジャ内装穴301内に作動油が流れ込むことを防止するようになっている。
本実施形態に係るピストン部31は、図3に示す如く、プランジャ302(プランジャ内装穴301)を躱した位置に前記一方向(ピストンロッド3の軸心方向)に延びるガイドバー6が挿通されており、該ガイドバー6に沿って一方向(軸心方向)に移動するようになっている。ガイドバー6は、両端が一対の閉塞部22,23に連結されている。該ガイドバー6は、ピストン部31における周方向で間隔をあけて配置されたプランジャ302(プランジャ内装穴301)間に挿通されている。本実施形態において、ガイドバー6は、二つ設けており、軸挿入穴300を基準とした対称位置に配置されている。
前記回転軸4は、図2に示す如く、他方の閉塞部23に形成された回転軸挿通穴233に挿通され、一端側がシリンダ部21(ボア20)内に位置し、他端側が外部に位置している。本実施形態に係る回転軸4は、一端側が軸挿入穴300に挿入され、少なくともピストン部31の移動範囲と対応する範囲に当該回転軸4の回転中心に対して偏心した偏心軸部40を備えている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る回転軸4は、前記ベアリングBに軸支される軸本体部41と、該軸本体部41の一端に連設され、該軸本体部41の軸心に対して偏心した偏心軸部40と、該偏心軸部40の先端に連設され軸本体部41と同心の先端軸部42とを備えている。
前記軸本体部41は、他方の閉塞部23に嵌着されたシール部材S1が外嵌されるシール部41aと、該シール部41aに連設されて前記ベアリングBが外嵌される軸支部41bと、該軸支部41bに連設されて別途モータの出力軸に対して直接的又は間接的に連結される入力部41cとを備えている。シール部41a、軸支部41b、及び入力部41cは、同心で形成されており、回転軸挿通穴233に挿通された状態で入力部41cが他方の閉塞部23から外方に突出するように形成されている。
前記偏心軸部40は、ピストンロッド3に穿設された軸挿入穴300の穴径よりも小径に設定されている。本実施形態に係る偏心軸部40は、回転軸4の回転中心(ベアリングBに軸支された軸本体部41の軸心)に対して略平行な状態で偏心しており、回転軸4全体を回転させたときに偏心方向の最も外側にある外周面が軸挿入穴300の内周面に沿って移動する(回転する)ようになっている。そして、該偏心軸部40は、ピストン部31(プランジャ302)の軸心方向の移動距離以上の長さに設定され、ピストンロッド3の軸挿入穴300に挿入されている。
前記先端軸部42は、ピストンロッド3の軸挿入穴300の穴径と略同径に設定されており、当該回転軸4を回転させたときに外周面が軸挿入穴300の内周面上を摺接するようになっている。本実施形態に係る回転軸4は、先端軸部42が軸本体部41と同心をなしているため、先端軸部42と偏心軸部40との境界部分に段差が形成されており、先端軸部42の段差(軸本体側に向く面)部分に前記一方向(軸線方向)に貫通した油抜用穴420が穿設されている。
前記リターンスプリング5は、圧縮コイルバネで構成されており、一方の閉塞部22とピストン部31との間に介設されている。本実施形態に係るリターンスプリング5は、前記ガイドバー6に外嵌されている。該リターンスプリング5は、ピストン部31を付勢して該ピストン部31が他方の閉塞部23に接触する位置(一方向の一方側の限界位置)まで押すことのできる長さに設定されている。
そして、本実施形態に係るアクチュエータ1は、上記構成に加え、図3及び図4に示す如く、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側にあるボア20内と前記一方向の他方側にあるボア20内とを連通させる連通路320が形成されるとともに、該連通路320の遮断と開放とを切り換える弁機構7を備えている。
前記弁機構7は、図4に示す如く、連通路320に軸線方向で移動可能に内挿された軸状弁70を備えている。該軸状弁70は、一方向の他方側に位置した状態で連通路320を遮断するとともに一方向の他方側にある一端部がピストン部31から一方の閉塞部22に向けて突出するように構成されている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る連通路320は、前記一方向でピストン部31を貫通するように形成されており、一方向の途中位置に設けられた大径穴部320aと、大径穴部320aと同心で連続し、該大径穴部320aの両側に設けられた一対の中径穴部320b,320bと、各中径穴部320bと同心で連続する一対の小径穴部320c,320cとで構成されている。なお、本実施形態に係る連通路320は、ピストン部31を貫通した貫通穴と該貫通穴の両端開口部に嵌着された筒状のプラグの内穴とが連続することで形成されている。
そして、前記軸状弁70は、大径穴部320aに内装される大径軸部70aと、該大径軸部70aと同心になるように該大径軸部70aの両端に延設され、前記中径穴部320b及び小径穴部320cに挿通される一対の小径軸部70b,70bとを備えている。
前記大径軸部70aは、軸心方向の長さが大径穴部320aの穴中心方向の長さよりも短く設定されており、大径穴部320a内で軸心方向にスライド可能になっている。本実施形態に係る弁機構7は、大径軸部70aが一方向の他方側に位置した状態で、大径軸部70aの一端面が中径穴部320bと大径穴部320aとの境界に形成される段差に密接することで、連通路320を遮断するようになっている。
そして、一対の小径軸部70b,70bのうち、少なくとも前記一方向の他方側にある一方の小径軸部70bは、大径軸部70aが大径穴部320aの一端側(一方向の他方側)にあるときに、先端部がピストン部31から外方に突出するように軸心方向の長さが設定されている。すなわち、一方の小径軸部70bは、大径軸部70aが連通路320を遮断した状態で、先端部がピストン部31から外方に突出するように軸心方向の長さが設定されている。これに対し、他方の小径軸部70bは、大径軸部70aが連通路320を遮断した状態で、先端がピストン部31の一方向における一方側に向く(他方の閉塞部23と対向する)面と略面一になり、大径軸部70aが連通路320を開放した状態(大径軸部70aが大径穴部320aの他端側(一方向の一方側)にあるとき)にピストン部31から外方に突出するように軸心方向の長さが設定されている。
かかる弁機構7は、一方向の一方側のボア20に作動油が供給されたときの流体圧で軸状弁70(他方の小径軸部70bの先端面)が前記一方向の他方側に押されることで、大径軸部70aが連通路320を遮断するようになっている。そして、該弁機構7は、ピストン部31が前記一方向の他方側の限界位置に到達したときに、一方の小径軸部70bが一方の閉塞部22に接触することで軸状弁70全体が一方向の一方側に押されて大径軸部70aの端面が中径穴部320bと大径穴部320aとの境界に形成される段差から離間することで、連通路320を開放するようになっている。
そして、本実施形態に係る弁機構7は、連通路320を開放した状態でピストン部31を前記一方向の一方側に移動させたときに、前記一方向の一方側のボア20内に存在する作動油の抵抗で軸状弁70が前記一方向の他方側に押し戻されるのを防止できるようになっている。
すなわち、本実施形態に係る弁機構7は、軸状弁70を一方向の一方側に付勢する弁付勢手段71を備えている。本実施形態に係る弁付勢手段71は、コイルバネで構成されており、一方向の他方側にある小径軸部70bに外嵌された状態で中径穴部320b内に内装されている。該弁付勢手段71は、小径穴部320cと中径穴部320bとの境界に形成される段差と大径軸部70aと小径軸部70bとの間に形成される段差とに反対向きの力を作用させるように配置されている。
本実施形態に係るアクチュエータ1は、以上の通りであり、次に、上記構成のアクチュエータ1の作動について説明する。
本実施形態に係るアクチュエータ1は、図2及び図3に示す如く、複数のプランジャ302のそれぞれがプランジャ付勢手段303の付勢で軸挿入穴300に向けて押されることで、各プランジャ302の先端が偏心軸部40の外周に常時接触した状態になるが、軸挿入穴300よりも小径である偏心軸部40が回転軸4の回転中心(軸挿入穴300の穴心)に対して偏心しているため、偏心軸部40が少なくとも何れか一つのプランジャ302をプランジャ内装穴301に押し込んだ状態となる(図3参照)。
そして、該アクチュエータ1は、モータの駆動を伝達して回転軸4を回転させると、ピストンロッド3(ピストン部31)がガイドバー6によって回り止めされた状態(非回転状態)で維持する一方、偏心軸部40が該回転軸4の回転軸4を中心に回転して軸挿入穴300回りに配置された複数のプランジャ302のそれぞれを順々に押圧してプランジャ内装穴301に押し込むことになる。そして、回転軸4の回転に伴って偏心軸部40による押圧が解除されたプランジャ302は、プランジャ付勢手段303の付勢で軸挿入穴300(偏心軸部40)側に突出することになる。
従って、上記構成のアクチュエータ1は、回転軸4を回転させることで複数のプランジャ302のそれぞれがタイミングをずらしてプランジャ内装穴301内で往復動する。これに伴い、プランジャ内装穴301の空間(プランジャ302の存在しない領域)が容積変化し、ピストン部31を境にした前記一方向の他方側のボア20内にある作動油がプランジャ内装穴301に流入してピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20内に押し出されることになる。
具体的には、プランジャ内装穴301に押し込まれたプランジャ302が回転軸4側に移動するとき(空間容積が拡大するとき)にボア20内に充填された作動油(ピストン部31を境にした前記一方向の他方側のボア20にある作動油)が第一流路304に引き込まれることになる。
そして、プランジャ302が最大に突出した状態で作動油の引き込みが完了し、第一流路304内の逆止弁306の作用でプランジャ内装穴301内に引き込まれた作動油がピストン部31を境にした前記一方向の他方側のボア20に逆流することが防止された状態になる。
これに対し、プランジャ302がプランジャ内装穴301に押し込まれるとき(空間容積が縮小するとき)に該プランジャ内装穴301内にある作動油が第二流路305を通ってピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20に押し出されることになる。
そして、プランジャ302がプランジャ内装穴301に最大に押し込まれた状態で、前記一方向の一方側のボア20に対する作動油の押し出しが完了し、第二流路305内の逆止弁307の作用で前記一方向の一方側のボア20に押し出された作動油がプランジャ内装穴301側に逆流することが防止される。
このように前記一方向の他方側のボア20内にある作動油が前記一方向の一方側のボア20に送られると前記一方向の一方側のボア20が作動油で充満する。本実施形態に係るアクチュエータ1は、軸挿入穴300が全長に亘って同径であるため、前記一方向の一方側のボア20内に流入した作動油は軸挿入穴300内にも入り込み、先端軸部42の段差上に穿設された油抜用穴420から該先端軸部42よりも奥側にも作動油が流れ込むことになる。
このようにピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20に作動油が充満した状態でさらに作動油が送り込まれると、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20内の圧力が高まる結果、ピストン部31が一方向の他方側に押されてピストンロッド3が一方向(軸線方向)に移動することになる。本実施形態に係るアクチュエータ1は、ピストン部31にガイドバー6が挿通されているため、ピストンロッド3全体が回り止めされた状態でガイドバー6に案内され、前記一方向の他方側(一方の閉塞部22側)に移動する。
そして、ピストンロッド3が前記一方向の他方側にある限界位置又は所定位置に到達した状態で、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側にある領域(ボア20)と軸挿入穴300とが作動油で充満した状態になる。
この状態で、前記一方向の一方側にある領域内の圧力上昇が止まるため、ピストンロッド3がリターンスプリング5の付勢で前記一方向の一方側に向けて移動することになる。本実施形態に係るアクチュエータ1は、弁機構7を備えているため、ピストンロッド3が前記一方向の他方側にある限界位置に到達した状態で、弁機構7が連通路320を開放することで前記一方向の一方側の領域内にある作動油が前記一方向の他方側の領域に流れ込んで前記一方向の一方側の領域(ボア20)内の圧力が低下することになる。
すなわち、本実施形態に係るアクチュエータ1は、ピストン部31が前記一方向の他方側の限界位置に到達すると、弁機構7の軸状弁70の一方の小径軸部70bが一方の閉塞部22の内面に当接して他方の閉塞部23側に押されて連通路320が開放(連通)し、前記一方向の一方側のボア20内の作動油が連通路320を介して前記一方向の他方側のボア20に流れて一方側のボア20の圧力が低下することになり、リターンスプリング5の付勢力でピストン部31が前記一方向の一方側に向けて迅速に移動することになる。
そして、回転軸4を回転させ続けても連通路320を介して前記一方向の一方側のボア20から他方側のボア20に作動油が流れ込んで前記一方向の一方側のボア20内の圧力が上昇しないため、リターンスプリング5の付勢力が前記一方向の一方側のボア20内の圧力に勝り、ピストン部31が前記一方向の一方側に迅速に押し戻されることになる。なお、ピストン部31が前記一方向の一方側に押し戻される際に軸挿入穴300の奥側(先端軸部42よりも奥側)にある作動油は、ロッド部30の移動に伴って先端軸部42側に押されることになるが、本実施形態に係るアクチュエータ1は、先端軸部42に軸心方向の油抜用穴420が穿設されているため、ピストン部31が前記一方向の一方側に移動するに際して軸挿入穴300内の作動油が油抜用穴420を介して前記一方向の一方側にある領域に押し出された上で、連通路320から前記一方向の他方側にあるボア20に送り出されることになる。
そして、ピストン部31が前記一方向の一方側に設定された限界位置に到達すると、弁機構70の他方の小径軸部70bが他方の閉塞部23に当接して軸状弁70全体が前記一方向の他方側に押され連通路320が遮断される。これにより、一方向の一方側のボア20に作動湯が供給されたときに、当該領域が圧力上昇できる状態になる。
従って、上記アクチュエータ1は、上記動作が繰り返されることでピストンロッド3のロッドが軸線方向で往復動することになる。
以上のように、上記構成のアクチュエータ1は、シリンダ本体2内(ボア20内)のピストン部31に作動油の流体圧を作用させてピストンロッド3を移動させるため、油圧シリンダと同等の性能を発揮することができ、また、シリンダ本体2内のみで作動油の流動させるとともにシリンダ本体2内に作動油を流動させる構成を内装しているため、小型化及び軽量化することができる。
次に、本発明の第二実施形態に係るアクチュエータについて説明する。なお、本実施形態において、第一実施形態で説明した構成と共通する構成或いは相当する構成については、第一実施形態と同一名称及び同一符号を付すこととする。
本実施形態に係るアクチュエータ1は、図5に示す如く、第一実施形態と同様に、外観円柱状のシリンダ本体2と、該シリンダ本体2の一端面から突出するピストンロッド3と、前記シリンダ本体2の他端面から突出する回転軸4とを備えている。
より具体的に説明すると、アクチュエータ1は、図6に示す如く、一方向に延びるボア20が形成されたシリンダ部21及び該シリンダ部21のボア20の両端を閉塞する一対の閉塞部22,23を有するシリンダ本体2と、一方の閉塞部22に液密状態で挿通されたロッド部30及び該ロッド部30の基端に同心で連結されてボア20に内装されたピストン部31を有するピストンロッド3と、他方の閉塞部23に液密状態で挿通された回転軸4と、シリンダ本体2に内装されてピストン部31を前記一方向の一方側(他方の閉塞部23側)に付勢するリターンスプリング5とを備えている。
該アクチュエータ1は、シリンダ本体2のボア20内に作動油(図示しない)が充填されている。すなわち、本実施形態に係るシリンダ本体2は、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側の領域及び他方の領域の何れにも作動油が充満されている。
本実施形態に係るシリンダ本体2は、ボア20が丸穴状に形成されている。より具体的には、前記シリンダ部21は、真円筒状に形成され、内穴で前記ボア20が構成されている。そして、一対の閉塞部22,23は、それぞれシリンダ部21の開口端部に嵌入される円板状の嵌入部220,230と、該嵌入部220,230の一端に連設されたフランジ部221,231とを備えている。
各閉塞部22,23は、嵌入部220,230の外周に環状溝222,232が形成されており、該環状溝222,232内に環状のシール材(本実施形態においてはOリング)Sを嵌め込んだ状態でシリンダ部21の開口端部に嵌入されている。そして、各閉塞部22,23は、嵌入部220,230をシリンダ部21の開口端部に嵌入した状態でフランジ部221,231がシリンダ部21の端面に固定(本実施形態においてはネジ止め)されている。これにより、シリンダ部21のボア20の両端が閉塞部22,23よって封止されている。
そして、一方の閉塞部22は、ピストンロッド3のロッド部30を挿通するための貫通穴がボア20の穴中心と同心で穿設されている。より具体的に説明すると、一方の閉塞部22は、ボア20の穴中心と同心をなす丸穴状のロッド挿通穴223と、該ロッド挿通穴223に同心で非円形状の案内用穴225とが連続して形成されている。前記ロッド挿通穴223は、閉塞部22の外面側に配置されて外側に向けて開口し、案内用穴225は閉塞部22(嵌入部220)の内面側に配置されてボア20に向けて開口している。
前記案内用穴225を画定する内周面上には、穴中心を挟んで互いに対向する一対のガイド面226,226が形成されている。該ガイド面226,226は、平面で構成されており、案内用穴225の穴中心方向の全長に亘って形成されている。
そして、一方の閉塞部22は、ロッド挿通穴223を画定する内周面に環状の溝224が形成され、該溝224内に環状のシール材(本実施形態においてはOリング)Sが嵌め込まれている。
これに対し、他方の閉塞部23は、ボア20の穴中心と同心をなす回転軸挿通穴233が穿設されている。該回転軸挿通穴233は、外側ほど大径に設定された段付き穴で構成されており、最も内側にある軸挿通穴233aと、最も外側にあるベアリング嵌着穴233bと、軸挿通穴233aとベアリング嵌着穴233bとの間にあるシール嵌着穴233cとで構成されており、シール嵌着穴233cに環状のシール部材S1が嵌着され、ベアリング嵌着穴233bに環状のベアリングBが嵌着されている。
前記ピストンロッド3は、ロッド部30及びピストン部31が回転軸4の回転中心と同心になるようにピストン部31がシリンダ部21内に配置された状態でロッド部30が一方の閉塞部22に挿通されている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係るピストンロッド3は、軸状のロッド部30と、該ロッド部30に対して同心で連結されたピストン部31とを備えている。前記ロッド部30は、丸棒状のロッド本体30aと、該ロッド本体30aと同心をなすように該ロッド本体30aの一端に連設された断面非円形の回止用軸部30bとで構成されている。
前記ロッド本体30aは、外径が一方の閉塞部22に穿設されたロッド挿通穴223の穴径と略同等に設定されており、ロッド挿通穴223に挿通された状態でロッド挿通穴223を画定する内周面状の溝224に嵌着されたシール材Sが外周全周に亘って密接するようになっている。
前記回止用軸部30bは、軸心を挟んで一対の平面部350,350が軸線方向に延びるように形成されており、一方の閉塞部22に形成された案内用穴225に挿入されている。すなわち、回止用軸部30bは、案内用穴225を画定する内周面上にある一対のガイド面226,226に対して平面部350,350のそれぞれが摺接状態になるように案内用穴225に挿入されている。そして、回止用軸部30bは、ピストン部31が前記一方向の一方側の限界位置に位置した状態でロッド本体30a側の一部が案内用穴225内に位置するように長さ設定されている。
前記ピストン部31は、ボア20の穴径と略同等の外径に設定されている。そして、該ピストン部31は、ボア20と同心をなすように該ボア20に内装されている。より具体的に説明すると、本実施形態に係る前記ピストン部31は、ロッド部30に連設されて前記回転軸4と同心をなす外周円形状のピストン本体31aと、該ピストン本体31aの外周を包囲する環状のピストン外輪部31bとを備えている。
前記ピストン本体31aは、ピストン外輪部31bの内周面(外側)に向けて開口したプランジャ内装穴301が周方向に間隔をあけて複数穿設されるとともに、各プランジャ内装穴301に該プランジャ内装穴301の穴中心方向で移動可能なプランジャ302及び該プランジャ302をピストン外輪部31b(径方向外側)に向けて付勢するプランジャ付勢手段303が内装されている。
また、該ピストン本体31aは、前記一方向の他方側(一方の閉塞部22側)に向けて開口してプランジャ内装穴301に連通する第一流路304、及び前記一方向の一方側(他方の閉塞部23側)に向けて開口してプランジャ内装穴301に連通する第二流路305が各プランジャ302に対応して複数設けられている。また、ピストン本体31aは、第一流路304及び第二流路305のそれぞれに前記一方向の他方側から一方側に向けての作動油の流通を許容する一方で前記一方向の一方側から他方側に向けての作動油の流通を阻止する逆止弁306,307が内装されている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係るピストン本体31aは、図7に示す如く、外周面上で開口した非貫通状態のプランジャ内装穴301が周方向に間隔をあけて複数設けられている。本実施形態において、プランジャ内装穴301が六つ設けられており、それぞれ等間隔(60°毎)に配置されている。
そして、各プランジャ内装穴301には、外観ピン状のプランジャ302とプランジャ付勢手段であるコイルバネ303とが同心で内装されている。
前記プランジャ302は、外径がプランジャ内装穴301の穴径と同径に設定されており、外周面がプランジャ内装穴301の内周面と摺接した状態で自己の軸心方向に移動可能になっている。また、プランジャ302は、先端部が丸みを持った半球状に形成されている。
前記プランジャ付勢手段303は、プランジャ302を外側(ピストン外輪部31b)に向けて付勢し、プランジャ302の先端をピストン外輪部31bの内周面に常時接触させるようになっている。また、プランジャ付勢手段303は、プランジャ302が先端部をプランジャ内装穴301から外側に突出させた状態と該プランジャ302全体がプランジャ内装穴301内に押し込まれた状態とにできるように撓み代が設定されている。なお、本実施形態に係るプランジャ内装穴301は、奥側が小径穴になっており、穴径の変更に伴う段差部でプランジャ付勢手段303を支持するようになっている。
そして、本実施形態に係るピストン本体は、上述の如く、第一流路304及び第二流路305がプランジャ302(プランジャ内装穴301)毎に設けられており、第一流路304及び第二流路305のそれぞれに逆止弁306,307が設けられている。
図6に戻り、第一流路304は、前記一方向に延びるように形成されており、プランジャ内装穴301側に大径穴部304aが形成され、前記一方向の他方側(一方の閉塞部22側)に大径穴部304aと連続する小径穴部304bが形成されている。なお、本実施形態において、第一流路304(小径穴部304b)は、プランジャ内装穴301の奥側にある小径穴に連通している。
そして、本実施形態に係るアクチュエータ1は、第一流路304の大径穴部304a内に小径穴部304bの穴径よりも大径な球状の弁(以下、玉弁という)308が収容されるとともに該玉弁308を前記一方向の他方側に付勢するコイルバネ309が内装されることで第一流路304の逆止弁306が形成されている。かかる逆止弁306は、コイルバネ309による付勢で、前記一方向の他方側にある小径穴部304bと大径穴部304aとの境界に形成される環状の段差部分に玉弁308が押し付けられることで、玉弁308が小径穴部304bを閉塞するようになっている。
これにより、第一流路304の逆止弁306は、前記一方向の他方側のボア20内から第一流路304に作動油が流れ込もうとすると、その作動油の流体圧によって玉弁308がコイルバネ309の付勢力に抗してプランジャ内装穴301側に押され、作動油が一方向の他方側から一方側に流通可能となる一方で、プランジャ内装穴301から前記一方向の他方側のボア20内に作動油が流れ込もうとすると、玉弁308がコイルバネ309の付勢力で段差部分に圧接して小径穴部304bを閉塞し、プランジャ内装穴301から前記一方向の他方側にあるボア20内に作動油が流れ込むことを防止するようになっている。
第二流路305は、前記一方向に延びるように形成されており、途中位置に大径穴部305aが形成され、該大径穴部305aの両側に小径穴部305b,305bが形成されている。なお、本実施形態に係る第二流路305は、ピストン部31に穿設された穴と該段付き穴の開口部に嵌着された筒状のプラグ(採番しない)の内穴とが連続することで形成されている。
そして、本実施形態に係るアクチュエータ1は、第二流路305の大径穴部305a内に小径穴部305bの穴径よりも大径な球状の弁(以下、玉弁という)310が収容されるとともに該玉弁310を前記一方向の他方側に付勢するコイルバネ311が内装されることで第二流路305の逆止弁307が形成されている。かかる逆止弁307は、コイルバネ311による付勢で、前記一方向の他方側にある小径穴部305bと大径穴部305aとの境界に形成される環状の段差部分に玉弁310が押し付けられることで、玉弁310が小径穴部305bを閉塞するようになっている。
これにより、第二流路305の逆止弁307は、前記プランジャ内装穴301内から第二流路305に作動油が流れ込もうとすると、その作動油の流体圧によって玉弁310がコイルバネ311の付勢力に抗して前記一方向の一方側にあるボア20側に押され、作動油が一方向の他方側から一方側に流通可能となる一方で、前記一方向の一方側のボア20内から第二流路305に作動油が流れ込もうとすると、玉弁310がコイルバネ311の付勢力で段差部分に圧接して小径穴部305bを閉塞し、前記一方向の一方側にあるボア20内からプランジャ内装穴301内に作動油が流れ込むことを防止するようになっている。
なお、本実施形態に係るアクチュエータ1は、第二流路305のプランジャ内装穴301側にある小径穴部305bは、第一流路304の大径穴部304aと同径に設定され、該大径穴部304aと同心になる配置されてプランジャ内装穴301の奥側にある小径穴に連通している。これに伴い、第二流路305の小径穴部305bと第一流路304の大径穴部304aとが連続穴を構成することになるため、第一流路304の逆止弁306のコイルバネ309は、当該第一流路304の逆止弁306の玉弁308と第二流路305の逆止弁307の玉弁310との間に介装されている。
該ピストン外輪部31bは、ボア20の穴径と略同等の外径に設定されている。該ピストン外輪部31bは、ピストン本体31aとともに前記一方向に移動可能に構成されるとともに回転軸4の軸心を回転中心にしてピストン本体31a周りで回転可能に設けられている。
より具体的に説明すると、ピストン外輪部31bは、ピストン本体の中心(回転軸4の回転中心)回りで回転可能に設けられている。そして、ピストン外輪部31bは、図7に示す如く、内穴が回転軸4の回転中心からずれた位置に中心が設定された偏心穴で構成されている。本実施形態に係るピストン外輪部の内穴(偏心穴)は、丸穴状に形成されており、中心線が回転軸4の回転中心(ベアリングBに軸支された軸本体部の軸心)に対して略平行な状態で偏心しており、回転軸4の回転中心にして回転させたときに偏心方向とは反対側の内周面の一部がピストン本体31aの外周面に沿って移動する(回転する)ようになっている。
本実施形態において、ピストン外輪部31bは、図6に示す如く、一方向の両端に一対の環状部330,330が設けられている。該一対の環状部330,330は、径方向内側に延出しており、前記ピストン本体31aが一対の環状部330,330間に介装されている。本実施形態に係るピストン外輪部31bは、ピストン本体31a回りで回転したときに、一対の環状部330,330がピストン本体31aの軸心方向の両面に摺接するようになっている。これにより、本実施形態に係るピストン外輪部31bは、ピストン本体31a回りで単独で回転しつつも、ピストン本体31aとももに一方向に移動できようになっている。
なお、図示しないが、ピストン部31(ピストン外輪部31b)の外周の全周に無端環状の溝が形成され、該溝にOリングが嵌着されている。これにより、本実施形態に係るアクチュエータ1は、ピストン部31の一方向(ピストンロッド3の軸心方向)における移動が許容されつつピストン部31の外周面とシリンダ部21の内周面との間が液密になっている。
該回転軸4は、他方の閉塞部23に形成された回転軸挿通穴233に挿通され、一端側がシリンダ部21(ボア20)内に位置し、他端側が外部に位置している。そして、本実施形態に係る回転軸4は、ボア20内に配置されたフランジ43と、フランジ43から一方の閉塞部22に向けて延出するガイドバー6とを備えている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る回転軸4は、前記ベアリングBに軸支される軸本体部41と、該軸本体部の一端に連設され、該軸本体部の軸心と同心のフランジ43と、フランジ43の外周部から一方の閉塞部22に向けて延出するガイドバー6とを備えている。
前記軸本体部41は、他方の閉塞部23に嵌合されたシール部材S1が外嵌されるシール部41aと、該シール部41aに連設されて前記ベアリングBが外嵌される軸支部41bと、該軸支部41bに連設されて別途モータの出力軸に対して直接的又は間接的に連結される入力部41cとを備えている。シール部41a、軸支部41b、及び入力部41cは、同心で形成されており、回転軸挿通穴233に挿通された状態で入力部41cが他方の閉塞部23から外方に突出するように形成されている。
前記フランジ43は、円板状に形成されており、他方の閉塞部23の内面に沿うように配置されている。該フランジ43は、ボア20内で該ボア20の穴心を回転中心にして回転可能になっている。
前記ガイドバー6は、フランジ43の周方向に間隔をあけて一対設けられており、ピストン外輪部31bの二カ所に挿通されている(図7参照)。本実施形態に係るアクチュエータ1は、ガイドバー6の先端を支持するための環状のガイドリング44がシリンダ本体2に内装されている。かかるガイドリング44は、前記一方向の他方側のボア20内で一方の閉塞部22に沿うように配置されている。該ガイドリング44は、外周がシリンダ部21の内周面に案内されてボア20の穴中心(回転軸4の回転中心)を回転中心にして回転可能になっている。そして、フランジ43から延出した前記ガイドバー6は、先端がガイドリング44に連結されている。これにより、各ガイドバー6は、回転軸4のフランジ43とガイドリング44によって両端が支持され、回転軸4が回転したときに撓み(ぶれ)が生じることが防止されている。
前記リターンスプリング5は、圧縮コイルバネで構成されており、一方の閉塞部22とピストン部31との間に介設されている。本実施形態に係るリターンスプリング5は、前記ガイドバー6に外嵌されている。該リターンスプリング5は、ピストン部31を付勢して該ピストン部31が他方の閉塞部23に接触する位置(一方向の一方側の限界位置)まで押すことのできる長さに設定されている。
そして、本実施形態に係るアクチュエータ1は、上記構成に加え、図7及び図8に示す如く、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側にあるボア20内と前記一方向の他方側にあるボア20内とを連通させる連通路320が形成されるとともに、該連通路320の遮断と開放とを切り換える弁機構7を備えている。
前記弁機構7は、図8に示す如く、連通路320に軸線方向で移動可能に内挿された軸状弁70を備えている。該軸状弁70は、一方向の他方側に位置した状態で連通路320を遮断するとともに一方向の他方側にある一端部がピストン部31から一方の閉塞部22に向けて突出するように構成されている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る連通路320は、前記一方向でピストン部31(ピストン外輪部31b)を貫通するように形成されており、一方向の途中位置に設けられた大径穴部320aと、大径穴部320aと同心で連続し、該大径穴部320aの一端側(一方向の他方側)に設けられた中径穴部320b,320bと、中径穴部320bと同心で連続する小径穴部320cと、大径穴部320aと同心で連続し、大径穴部320aの他端側(一方向の一方側)に設けられた小径穴部320cとで構成されている。
そして、前記軸状弁70は、大径穴部320aに内装される大径軸部70aと、該大径軸部70aと同心になるように該大径軸部70aの両端に延設され、小径穴部320cに挿通される一対の小径軸部70b,70bとを備えている。
前記大径軸部70aは、軸心方向の長さが大径穴部320aの穴中心方向の長さよりも短く設定されており、大径穴部320a内で軸心方向にスライド可能になっている。本実施形態に係る弁機構7は、大径軸部70aが一方向の他方側に位置した状態で、大径軸部70aの端面が中径穴部320bと大径穴部320aとの境界に形成される段差に密接することで、連通路320を遮断するようになっている。
そして、一対の小径軸部70b,70bのうち、少なくとも前記一方向の他方側にある一方の小径軸部70bは、大径軸部70aが大径穴部320aの一端側(一方向の他方側)にあるときに、先端部がピストン部31から外方に突出するように軸心方向の長さが設定されている。すなわち、一方の小径軸部70bは、大径軸部70aが連通路320を遮断した状態で、先端部がピストン部31から外方に突出するように軸心方向の長さが設定されている。これに対し、他方の小径軸部70bは、大径軸部70aが連通路320を遮断した状態で、先端がピストン部31の一方向における一方側に向く(他方の閉塞部23と対向する)面と略面一になり、大径軸部70aが連通路320を開放した状態(大径軸部70aが大径穴部320aの他端側(一方向の一方側)にあるとき)にピストン部31から外方に突出するように軸心方向の長さが設定されている。
かかる弁機構7は、一方向の一方側のボア20に作動油が供給されたときの流体圧で軸状弁70(他方の小径軸部70bの先端面)が前記一方向の他方側に押されることで、大径軸部70aが連通路320を遮断するようになっている。そして、該弁機構7は、ピストン部31が前記一方向の他方側の限界位置に到達したときに、一方の小径軸部70bが一方の閉塞部22に接触することで軸状弁70全体が一方向の一方側に押されて大径軸部70aの端面が中径穴部320bと大径穴部320aとの境界に形成される段差から離間することで、連通路320を開放するようになっている。
そして、本実施形態に係る弁機構7は、連通路320を開放した状態でピストン部31を前記一方向の一方側に移動させたときに、前記一方向の一方側のボア20内に存在する作動油の抵抗で軸状弁70が前記一方向の他方側に押し戻されるのを防止できるようになっている。
すなわち、本実施形態に係る弁機構7は、軸状弁70を一方向の一方側に付勢する弁付勢手段71を備えている。本実施形態に係る弁付勢手段71は、コイルバネで構成されており、一方向の他方側にある小径軸部70bに外嵌された状態で中径穴部320bに内装されている。該弁付勢手段71は、小径穴部320cと中径穴部320bとの境界に形成される段差と大径軸部70aと小径軸部70bとの間に形成される段差とに反対向きの力を作用させるように配置されている。
本実施形態に係るアクチュエータ1は、以上の通りであり、次に、上記構成のアクチュエータ1の作動について説明する。
本実施形態に係るアクチュエータ1は、図6及び図7に示す如く、複数のプランジャ302のそれぞれがプランジャ付勢手段303の付勢でピストン外輪部31bに向けて押されることで、各プランジャ302の先端がピストン外輪部31bの内周面に常時接触した状態になるが、ピストン外輪部31bの偏心穴(内穴)が回転軸4の回転中心に対して偏心しているため、ピストン外輪部31bの内周面が少なくとも何れか一つのプランジャ302をプランジャ内装穴301に押し込んだ状態となる(図7参照)。
そして、該アクチュエータ1は、モータの駆動を伝達して回転軸4を回転させると、回転軸4のフランジ部221,231に延設されたガイドバー6を介してピストン外輪部31bに回転トルクが伝達され、該ピストン外輪部31bが回転軸4を回転中心にしてピストン本体31aに配置された複数のプランジャ302のそれぞれを順々に押圧してプランジャ内装穴301に押し込むことになる。そして、回転軸4の回転に伴ってピストン外輪部31bによる押圧が解除されたプランジャ302は、プランジャ付勢手段303の付勢で外側(ピストン外輪部31bの内周面側)に突出することになる。
従って、上記構成のアクチュエータ1は、回転軸4を回転させることで複数のプランジャ302のそれぞれがタイミングをずらしてプランジャ内装穴301内で往復動する。これに伴い、プランジャ内装穴301の空間(プランジャ302の存在しない領域)が容積変化し、ピストン部31を境にした前記一方向の他方側のボア20内にある作動油がプランジャ内装穴301に流入してピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20内に押し出されることになる。
具体的には、プランジャ内装穴301に押し込まれたプランジャ302が外側(ピストン外輪部31b側)に移動するとき(空間容積が拡大するとき)にボア20内に充填された作動油(ピストン部31を境にした前記一方向の他方側のボア20にある作動油)が第一流路304に引き込まれることになる。
そして、プランジャ302が最大に突出した状態で作動油の引き込みが完了し、第一流路304内の逆止弁306の作用でプランジャ内装穴301内に引き込まれた作動油がピストン部31を境にした前記一方向の他方側のボア20に逆流することが防止された状態になる。
これに対し、プランジャ302がプランジャ内装穴301に押し込まれるとき(空間容積が縮小するとき)に該プランジャ内装穴301内にある作動油が第二流路305を通ってピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20に押し出されることになる。
そして、プランジャ302がプランジャ内装穴301に最大に押し込まれた状態で、前記一方向の一方側のボア20に対する作動油の押し出しが完了し、第二流路305内の逆止弁307の作用で前記一方向の一方側のボア20に押し出された作動油がプランジャ内装穴301側に逆流することが防止される。
このように前記一方向の他方側のボア20内にある作動油が前記一方向の一方側のボア20に送られると前記一方向の一方側のボア20が作動油で充満する。このようにピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20に作動油が充満した状態でさらに作動油が送り込まれると、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20内の圧力が高まる結果、ピストン部31が前記一方向の他方側に押されてピストンロッド3が軸線方向に移動することになる。本実施形態に係るアクチュエータ1は、ピストン外輪部31bにガイドバー6が挿通されているため、ピストン外輪部31bは回転軸4の軸心を回転中心に回転しつつガイドバー6に沿って移動するが、ロッド部30の回止用軸部30bが案内用穴225に挿入されているため、ロッド部30及びピストン本体31aは回転軸4の軸線回りで回転することなくピストン外輪部31bに押されて軸心方向にのみ移動することになる。
そして、ピストンロッド3が前記一方向の他方側にある限界位置又は所定位置に到達した状態で、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側にある領域(ボア20)が作動油で充満した状態になる。
この状態で、前記一方向の一方側にある領域内の圧力上昇が止まるため、ピストンロッド3がリターンスプリング5の付勢で前記一方向の一方側に向けて移動することになる。本実施形態に係るアクチュエータ1は、弁機構7を備えているため、ピストンロッド3が前記一方向の他方側にある限界位置に到達した状態で、弁機構7が連通路320を開放することで前記一方向の一方側の領域内にある作動油が前記一方向の他方側の領域に流れ込んで前記一方向の一方側の領域(ボア20)内の圧力が低下することになる。
すなわち、本実施形態に係るアクチュエータ1は、ピストン部31が前記一方向の他方側の限界位置に到達すると、弁機構7の軸状弁70の一方の小径軸部70bが一方の閉塞部22の内面に当接して他方の閉塞部23側に押されて連通路320が開放(連通)し、前記一方向の一方側のボア20内の作動油が連通路320を介して前記一方向の他方側のボア20に流れて一方側のボア20の圧力が低下することになり、リターンスプリング5の付勢力でピストン部31が前記一方向の一方側に向けて迅速に移動することになる。
そして、回転軸4を回転させ続けても連通路320を介して前記一方向の一方側のボア20から他方側のボア20に作動油が流れ込んで前記一方向の一方側のボア20内の圧力が上昇しないため、リターンスプリング5の付勢力が前記一方向の一方側のボア20内の圧力に勝り、ピストン部31が前記一方向の一方側に迅速に押し戻されることになる。
そして、ピストン部31が前記一方向の一方側に設定された限界位置に到達すると、弁機構70の他方の小径軸部70bが他方の閉塞部23に当接して軸状弁70全体が前記一方向の他方側に押され連通路320が遮断される。これにより、一方向の一方側のボア20に作動湯が供給されたときに、当該領域が圧力上昇できる状態になる。
従って、上記アクチュエータ1は、上記動作が繰り返されることでピストンロッド3のロッドが軸線方向で往復動することになる。
以上のように、上記構成のアクチュエータ1は、シリンダ本体2内(ボア20内)のピストン部31に作動油の流体圧を作用させてピストンロッド3を移動させるため、油圧シリンダと同等の性能を発揮することができ、また、また、シリンダ本体2内のみで作動油の流動させるとともにシリンダ本体2内に作動油を流動させる構成を内装しているため、小型化及び軽量化することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変換を加え得ることは勿論である。
上記各実施形態において、複数のプランジャ内装穴301を形成して各プランジャ内装穴301にプランジャ302とプランジャ付勢手段303を内装したが、これに限定されるものではなく、例えば、一つのプランジャ内装穴301を形成して該プランジャ内装穴301にプランジャ302とプランジャ付勢手段303を内装するとともに、これに対応して逆止弁306,307の内装された第一流路304及び第二流路305を設けるようにしてもよい。このようにしてもプランジャ302がプランジャ内装穴301内で往復動することで、前記一方向の他方側の領域(ボア20)から前記一方向の一方側の領域(ボア20)に作動油を送り込むことができ、ピストンロッド3を一方向(軸心方向)に移動させることができる。なお、ピストンロッド3の移動速度を速めるには、上記各実施形態と同様に複数のプランジャ内装穴301を形成して各プランジャ内装穴301にプランジャ302とプランジャ付勢手段303を内装し、それぞれに対応して逆止弁306,307の内装された第一流路304及び第二流路305を設ければよい。
上記各実施形態において、一方向の一方側のボア20に作動油を供給してピストン部31(ピストンロッド3)を一方向の他方側に移動させるとともに、リターンスプリング5の付勢力でピストン部31(ピストンロッド3)を一方向の一方側に押し戻すことを前提に、リターンスプリング5をシリンダ本体2の一方向の他方側に内装し、前記一方向の他方側に向けて開口してプランジャ内装穴301に連通する第一流路304、及び前記一方向の一方側に向けて開口してプランジャ内装穴301に連通する第二流路305をプランジャ内装穴301に対応して設け、第一流路304及び第二流路305のそれぞれに前記一方向の他方側から一方側に向けての作動油の流通を許容する一方で前記一方向の一方側から他方側に向けての作動油の流通を阻止する逆止弁306,307を内装したが、これに限定されるものではない。
例えば、一方向の他方側のボア20に作動油を供給してピストン部31(ピストンロッド3)を一方向の一方側に移動させるとともに、リターンスプリング5の付勢力でピストン部31(ピストンロッド3)を一方向の他方側に押し戻すようにする場合には、リターンスプリング5をシリンダ本体2の一方向の一方側に内装し、前記一方向の一方側に向けて開口してプランジャ内装穴301に連通する第一流路304、及び前記一方向の他方側に向けて開口してプランジャ内装穴301に連通する第二流路305をプランジャ内装穴301に対応して設け、第一流路304及び第二流路305のそれぞれに前記一方向の一方側から他方側に向けての作動油の流通を許容する一方で前記一方向の他方側から一方側に向けての作動油の流通を阻止する逆止弁306.307を内装するようにしてもよい。
また、この場合、弁機構7を設ける場合、前記軸状弁70は、一方向の他方側に位置した状態で連通路を遮断するとともに一方向の一方側にある一端部がピストン部から一方側にある閉塞部に向けて突出するように構成され、ピストン部が一方向の一方側に設定された限界位置又は所定位置に位置した状態で、軸状弁の一端部が一方側にある閉塞部と干渉して該軸状弁が一方向の他方側に移動し、連通路が開放されるように構成すればよい。
上記各実施形態において、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20と前記一方向の他方側のボア20とを連通させる連通路320をピストン部31に貫通して設けるとともに弁機構7を連通路320に内装したが、これに限定されるものではなく、例えば、ピストン部31を境にした前記一方向の一方側のボア20と前記一方向の他方側のボア20とを連通させる連通路320のみをピストン部31に設けてもよい。このようにしても、ピストン部31が一方向の他方側にある限界位置に来るとボア20内の作動油の略全量が一方向の一方側のボア20内にあるため、圧力上昇が止まることになり、一方向の一方側のボア20内にある作動油が連通路320から一方向の他方側のボア20流れてリターンスプリング5の付勢力でピストン部31を前記一方向の一方側に押し戻すことができる。
また、ロッド部30が外方に突出した状態で回転軸4の回転を止めるようにすれば、前記一方向の一方側のボア20内の圧力が上昇することがないため、前記連通路320を設けなくてもリターンスプリング5の付勢力でピストン部31を一方向の一方側に押し戻すこともできる。
上記各実施形態において、ピストン部31に第一流路304及び第二流路305を形成するとともに第一流路304及び第二流路305のそれぞれに玉弁308,310及びコイルバネ309,311を内装することで逆止弁306,307を形成したが、これに限定されるものではなく、独立した逆止弁306,307(ユニットとして組み立てられた逆止弁306,307)を第一流路304及び第二流路305に内装するようにしても勿論よい。
上記各実施形態において、ピストン部31を境にした一方向の一方側のボア20と一方向の他方側のボア20とを連通させる連通路320をピストン部31に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、シリンダ部21の外側に配置した配管を介してピストン部31を境にした一方向の一方側のボア20と一方向の他方側のボア20とを連通させるようにしてもよい。そして、この場合、配管上に仕切弁等の弁機構を設け、ボア20内の圧力を開放できるようにすれば、上記実施形態と同様に、ピストン部31(ピストンロッド3)を迅速に押し戻すことができる。
また、弁機構7は、上記各実施形態で説明したものに限定されるものではなく、例えば、弁機構7は、図9(a)及び図9(b)に示す如く、加圧側のボア20(上記実施形態においては一方向の一方側のボア20)と連通するバイパス流路321を連通路320の途中位置に接続するとともに、軸状弁70の途中位置に大径軸部70aを形成し、該大径軸部70aの外周面が連通路320の内周面上を摺接しつつ軸心方向に移動するようにしてもよい。
この場合、大径軸部70aがバイパス流路321の接続位置よりも負圧側のボア20側に変位したときに、バイパス流路321が加圧側のボア20(領域)と連通し、大径軸部70aがバイパス流路321の接続位置よりも加圧側のボア20側に変位したときに、バイパス流路321が負圧側のボア20(領域)と連通する。
従って、上記構成の弁機構7をピストン部31に内装する場合、前記大径軸部70aに対して負圧側のボア20(上記実施形態においては一方向の他方側のボア20)に向けて突出する小径軸部70bを設け、ピストン部31が負圧側の限界位置に到達したときに小径軸部70bがシリンダ本体2(閉塞部22)に接触し、大径軸部70a)を加圧側のボア20に向けて移動させるようにすれば、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
上記第二実施形態において、回転軸4を他方の閉塞部23に挿通される軸本体部41、シリンダ本体2内に配置されるフランジ43、及びフランジ43に延設されたガイドバー6で構成し、該ガイドバー6をピストン外輪部31bに挿通したが、これ以外にも、図10に示す態様にすることもできる。
具体的には、ピストン部31を第二実施形態と同様に構成することを前提に、ピストンロッド3のロッド部30をシリンダ本体2(一方の閉塞部22)に対して軸心回りで回転可能に挿通し、他方の閉塞部23の外面にボア20の中心と同心をなす回転軸4を突設するとともに、他方の閉塞部23の内面に一方の閉塞部22に向けて延出するガイドバー6を延設し、該ガイドバー6をピストン外輪部31bに挿通してもよい。なお、図10においてリターンスプリング5をロッド部30に外嵌しているが、リターンスプリング5は、ピストン部31を付勢できればよく、ガイドバー6に外嵌してもよいし、その他の箇所に配置してもよい。
このようにすれば、モータの駆動を伝達して回転軸4を回転させると、該回転軸4とともにシリンダ本体2が回転軸4と同心で回転し、該シリンダ本体2を構成する他方の閉塞部から延出するガイドバー6も回転軸4と同心で回転する。
これに伴い、ガイドバー6を介してピストン外輪部31bに回転トルクが伝達され、該ピストン外輪部31bが回転軸4と同心で回転する。そうすると、ピストン外輪部31bの内周面がプランジャ302を押圧する状態とプランジャ302を押圧しない状態とに交互に切り替わる。
その結果、プランジャ302は、ピストン外輪部31bの内周面による押圧でプランジャ内装穴301に押し込まれた状態と、プランジャ付勢手段303の付勢で外側に突出した状態とに切り変わる。そうすると、プランジャ302の出退に伴ってプランジャ内装穴301の空間(プランジャ付勢手段303の内装された領域)が容積変化することになり、ピストン部31を境にした一方向の他方側の領域(ボア)内にある作動油がプランジャ内装穴301に流入してピストン部31を境にした一方向の一方側の領域(ボア20)内に押し出されることになり、該領域内の圧力上昇に伴ってピストンロッド3を一方向の他方側に移動させることができる。
そして、第二実施形態と同様にピストン部31が一方向の他方側にある限界位置又は所定位置に到達したときに連通路320が開放すれば、リターンスプリング5による付勢力でピストンロッド3を一方向の一方側に押し戻すことができる。
上記第二実施形態において、弁機構7をピストン外輪部31bに内装したが、これに限定されるものではなく、ピストン本体31aに連通路320を形成して該連通路320内に弁機構7を内装しても勿論よい。
上記第二実施形態において、ガイドバー6を支持するためのガイドリング44を設けたがこれに限定されるものではなく、ガイドバー6を回転軸4のフランジ43のみに支持させたものであってもよい。また、ガイドバー6は、二つ設けられたものに限定されるものではなく、一つ又は三つ以上設けたものであっても勿論よい。
上記各実施形態では言及しなかったが、本発明に係るアクチュエータは、モータを一体的に組み込んだものや、減速機とモータを一体的に組み込んだものであってもよい。また、シリンダ本体を機器のケースと一体的に形成し、その機器と分離不能に構成されてもよい。そして、本発明に係るアクチュエータは、手持ち工具の分野以外にも自動車分野、産業機械分野等、各種機械分野に採用することができる。