JP2012135976A - ゴム積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)およびポリアミン架橋剤(A2)を含有してなる架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)と、
カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)および架橋剤(B2)を含有してなる架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)、または
エポキシ基含有アクリルゴム(C1)および架橋剤(C2)を含有してなる架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)、とを架橋接着させてなるゴム積層体を提供する。
【選択図】なし
Description
(1)カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)およびポリアミン架橋剤(A2)を含有してなる架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)と、
カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)および架橋剤(B2)を含有してなる架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)、または
エポキシ基含有アクリルゴム(C1)および架橋剤(C2)を含有してなる架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)、とを架橋接着させてなるゴム積層体、
(2)カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)が、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を0.1〜20重量%含有することを特徴とする上記(1)に記載のゴム積層体、
(3)架橋剤(B2)が、ポリアミン架橋剤であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のゴム積層体、
(4)上記ポリアミン架橋剤が、芳香族多価アミン架橋剤であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム積層体、
(5)架橋剤(C2)が、カルボン酸のアンモミウム塩であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のゴム積層体、
(6)架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)および/または架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)が、さらに塩基性架橋促進剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のゴム積層体、
(7)ホースであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のゴム積層体、
(8)架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)と、架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)または架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)とを架橋接着させる際に、スチーム架橋を含む架橋を行うことを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のゴム積層体の製造方法、
が提供される。
カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)および架橋剤(B2)を含有してなる架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)、または
エポキシ基含有アクリルゴム(C1)および架橋剤(C2)を含有してなる架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)、とを架橋接着させてなる。
本発明で用いる架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)は、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)およびポリアミン架橋剤(A2)を含有してなる。
カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、カルボキシル基含有単量体および必要に応じて加えられる、上記各単量体と共重合可能な単量体を共重合する工程を経て得られる、ヨウ素価が120以下のゴムである。
共重合する場合の各単量体の割合は、共重合に供する全単量体量を100重量部とした場合に、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体が好ましくは10〜60重量部、より好ましくは15〜55重量部、特に好ましくは20〜50重量部であり、カルボキシル基含有単量体が好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜15重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部であり、共役ジエン単量体が好ましくは20〜89.9重量部、より好ましくは30〜84.8重量部、特に好ましくは40〜79.5重量部である。
本発明で用いるポリアミン架橋剤(A2)は、2つ以上のアミノ基を有する化合物、または、架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNH2で表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物および架橋時にその化合物の形態になるものが好ましい。
ポリアミン架橋剤(A2)としては、芳香族多価アミン架橋剤、脂肪族多価アミン架橋剤、ヒドラジド構造を2つ以上有する化合物、などが挙げられるが、スチーム架橋時の発泡が発生しにくいことから、芳香族多価アミン架橋剤が好ましい。なお、芳香族多価アミン架橋剤は、分子内に1個以上の芳香環を有する多価アミン架橋剤であるが、芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNH2で表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物が好ましい。
また、ヒドラジド構造を2つ以上有する化合物の具体例としては、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。。
なお、カーボンブラックやシリカなどの補強性充填材を配合する場合の配合量は、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部である。
架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)の調製方法は、特に限定されないが、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)に、熱に不安定なポリアミン架橋剤(A2)および架橋助剤などを除いた各成分を、好ましくは、10〜200℃、より好ましくは20〜170℃で、バンバリーミキサ、ブラベンダーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で混練し、ロールなどに移して熱に不安定なポリアミン架橋剤(A2)および架橋助剤などを加えて、好ましくは10〜80℃の条件で、二次混練することにより調製できる。
本発明で用いる架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)は、カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)および架橋剤(B2)を含有してなる。
カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主たる構成単位とし、カルボキシル基含有単量体単位を有するゴムであり、好ましくは、カルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、および、必要に応じて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体を共重合する工程を経て得られるゴムである。
炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸やマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などが挙げられる。
炭素数4〜11のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル及びマレイン酸モノn−ブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル及びマレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル及びイタコン酸モノブチルなどのイタコン酸モノエステル;フマル酸モノ−2−ヒドロキシエチル;等が挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが例示される。
本発明で用いる架橋剤(B2)は、ポリアミン架橋剤、多価エポキシ架橋剤、多価イソシアナート架橋剤、アジリジン架橋剤、塩基性金属酸化物、有機金属ハロゲン化物などが挙げられるが、得られるゴム積層体の接着強度向上の観点から、ポリアミン架橋剤が好ましい。
なお、カーボンブラックやシリカなどの補強性充填材を配合する場合の配合量は、カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部である。
架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)の調製方法は、特に限定されないが、カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)に、熱に不安定な架橋剤(B2)および架橋助剤などを除いた各成分を、好ましくは、10〜200℃、より好ましくは20〜170℃で、バンバリーミキサ、ブラベンダーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で混練し、ロールなどに移して熱に不安定な架橋剤(B2)および架橋助剤などを加えて、好ましくは10〜80℃の条件で、二次混練することにより調製できる。
本発明で用いる架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)は、エポキシ基含有アクリルゴム(C1)および架橋剤(C2)を含有してなる。
エポキシ基含有アクリルゴム(C1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主たる構成単位とし、エポキシ基含有単量体単位を有するゴムであり、好ましくは、エポキシ基含有単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、および、必要に応じて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体を共重合する工程を経て得られるゴムである。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが例示される。
本発明で用いる架橋剤(C2)としては、安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、グルタル酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、ピメリン酸アンモニウム、スベリン酸アンモニウムなどのカルボン酸のアンモニウム塩;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどのハロゲン含有4級アンモニウム塩;ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメ−トなどの脂肪族多価アミン化合物、およびその炭酸塩;4,4’−メチレンジアニリンなどの芳香族多価アミン化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸金属塩;テトラデカン二酸などの多価カルボン酸;2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;イソシアヌル酸アンモニウムなどのイソシアヌル酸化合物;などが挙げられる。これらの中でも、架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物のスコーチ安定性向上の観点から、カルボン酸のアンモニウム塩が好ましく、安息香酸アンモニウムがより好ましい。なお、カルボン酸のアンモニウム塩としては、炭素数3〜15のものが好ましく、炭素数5〜10のものがより好ましい。
また、上記架橋剤(C2)は、1種単独で、又は2種以上を併せて使用することができる。
なお、カーボンブラックやシリカなどの補強性充填材を配合する場合の配合量は、エポキシ基含有アクリルゴム(C1)100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部である。
架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)の調製方法は、特に限定されないが、エポキシ基含有アクリルゴム(C1)に、熱に不安定な架橋剤(C2)および架橋助剤などを除いた各成分を、好ましくは、10〜200℃、より好ましくは20〜170℃で、バンバリーミキサ、ブラベンダーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で混練し、ロールなどに移して熱に不安定な架橋剤(C2)および架橋助剤などを加えて、好ましくは10〜80℃の条件で、二次混練することにより調製できる。
本発明のゴム積層体は、架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)と、架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)または架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)とを、架橋接着させてなる。
また、積層チューブを製造する場合は、架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)と、架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)または架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)とを二層押出法により積層チューブ(各層の厚さが、0.02〜10mmであることが好ましい)に成形した後に、架橋すれば良い。
なお、成形機としては、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどが挙げられる。
また、架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
架橋方法としては、プレス架橋、スチーム架橋、オーブン架橋などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択することができるが、スチーム架橋を含む架橋を行うことが好ましい。
また、ゴム積層体を構成するカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム架橋物層の厚みは、好ましくは0.02〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmである。そして、ゴム積層体を構成するカルボキシル基含有アクリルゴム架橋物層および架橋性エポキシ基含有アクリルゴム架橋物層の厚みは、好ましくは0.02〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmである。
このため、本発明のゴム積層体は、このような特性を活かし、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどのホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができるが、ホース用途に特に好適に用いられる。
ニトリルゴムのヨウ素価は、JIS K6235に準じて、測定した。
2mm角のニトリルゴム0.2gに、2−ブタノン100mlを加えて16時間攪拌した後、エタノール20mlおよび水10mlを加え、攪拌しながら水酸化カリウムの0.02N含水エタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、ニトリルゴム100gに対するカルボキシル基のモル数として求めた(単位はephr)。
JIS K6384に従い、ケルダール法によって測定したニトリルゴム中の窒素含有量から計算により求めた(単位は重量%)。
ニトリルゴムのムーニー粘度(ポリマームーニー)をJIS K6300に従って測定した(単位は(ML1+4、100℃))。
架橋性ニトリルゴム組成物または架橋性アクリルゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら160℃で45分間プレスすることにより一次架橋し、次いで、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに170℃、4時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、シート状のプレス架橋物を得た。得られたプレス架橋物を3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。次にこの試験片を用いて、JIS K6251に従い引張強度、および、伸びを、また、JIS K6253に従い、デュロメータ硬さ試験機(タイプA)を用いて硬さを、それぞれ測定した。
架橋性ニトリルゴム組成物または架橋性アクリルゴム組成物を、金型を用いて、温度160℃で45分間プレスすることにより一次架橋し、直径29mm、高さ12.7mmの円柱型の一次架橋物を得て、次いで、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに170℃、4時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、プレス架橋物を得た。そして、得られたプレス架橋物を用いて、JIS K6262に従い、プレス架橋物を25%圧縮させた状態で、150℃の環境下に168時間置いた後、圧縮永久歪みを測定した。
この値が小さいほど、耐圧縮永久歪み性に優れる。
架橋性ニトリルゴム組成物または架橋性アクリルゴム組成物を、金型を用いて100℃で5分間、5MPaの圧力下で成型を行い、厚さ2mmのシート状の成型物とし、得られた成型物を用いて、加硫釜にて、150℃、4時間の条件でスチーム架橋を行うことにより、シート状のスチーム架橋物を得た。次に、その表面を目視にて観察することにより、スチーム架橋物の発泡の数を数えた。
架橋接着性の評価は、JIS K6256に従って剥離試験を行った。実施例および比較例で示すゴム積層体(架橋物)を、幅25.4mm、長さ100mmの短冊状に打ち抜き、この両端を引張試験機のエアー駆動式のつかみ具で掴んで、50mm/分の速さで剥離した。この時の荷重を引張試験機のロードセルで読み取り、剥離強さ:TF(N/mm)で表記した。また、接着界面の状況を目視で確認した。
「ゴム破壊」との表記は、剥離の際にゴム層の破壊(材料の一部が相手側のゴム上に残る)ことを示し、「界面剥離」との表記は各ゴム層が破壊されることなく界面に沿って剥離されたことを示す。
剥離強さの値が大きい程、また、「界面剥離」よりも「ゴム破壊」である程、架橋接着による接着強度が強いゴム積層体(架橋物)であることを示す。
金属製ボトルに、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn−ブチル6部、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.75部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン57部を仕込んだ。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応した。その後、濃度10重量%のハイドドキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止し、引き続いて、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、アクリロニトリル−ブタジエン−マレイン酸モノn−ブチル共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次に、該ラテックスに含有されるゴム重量に対してパラジウム含有量が1000ppmになるようにオートクレーブにパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(a1)のラテックスを得た。
そして、得られたカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(a1)のラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、60℃で12時間真空乾燥することにより、カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(a1)を得た。得られたカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(a1)は、ヨウ素価が10、カルボキシル基含有量は3.2×10−2ephr、ポリマームーニー粘度(ML1+4、100℃)は45であった。
なお、ケルダール法でアクリロニトリル単位含有量を求め、カルボキシル基含有量からマレイン酸モノn−ブチル単位含有量を求め、残部を1,3−ブタジエン単位として計算により求めたカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(a1)の組成は、アクリロニトリル単位36重量%、ブタジエン単位(水素化されたものも含む)58.5重量%、マレイン酸モノn−ブチル単位5.5重量%であった。
温度計、攪拌装置を備えた重合反応器に、水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリル酸エチル49部、アクリル酸n−ブチル49部及びマレイン酸モノn−ブチル2部を仕込み、減圧脱気及び窒素置換を2度行って酸素を十分に除去した後、クメンハイドロパーオキサイド0.005部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.002部を加えて常圧下、温度30℃で乳化重合を開始し、重合転化率95%に達するまで反応させた。得られた乳化重合液を塩化カルシウム溶液で凝固し、水洗、乾燥してカルボキシル基含有アクリルゴム(b1)を得た。カルボキシル基含有アクリルゴム(b1)の組成は、アクリル酸エチル単位49重量%、アクリル酸n−ブチル単位49重量%、及びマレイン酸モノn−ブチル単位2重量%であり、ポリマームーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
温度計、攪拌装置を備えた重合反応器に、水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリル酸エチル48部、アクリル酸n−ブチル48部及びアリルグリシジルエーテル4部を仕込み、減圧脱気及び窒素置換を2度行って酸素を十分に除去した後、クメンハイドロパーオキサイド0.005部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.002部を加えて常圧下、温度30℃で乳化重合を開始し、重合転化率95%に達するまで反応させた。得られた乳化重合液を塩化カルシウム溶液で凝固し、水洗、乾燥してエポキシ基含有アクリルゴム(c1)を得た。エポキシ基含有アクリルゴム(c1)の組成は、アクリル酸エチル単位48重量%、アクリル酸n−ブチル単位48重量%及びアリルグリシジルエーテル単位4重量%であり、ポリマームーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
温度計、攪拌装置を備えた重合反応器に、水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリル酸エチル49部、アクリル酸n−ブチル49部及びクロロ酢酸ビニル2部を仕込み、減圧脱気及び窒素置換を2度行って酸素を十分に除去した後、クメンハイドロパーオキサイド0.005部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.002部を加えて常圧下、温度30℃で乳化重合を開始し、重合転化率95%に達するまで反応させた。得られた乳化重合液を塩化カルシウム溶液で凝固し、水洗、乾燥して活性塩素基含有アクリルゴム(f1)を得た。活性塩素基含有アクリルゴム(f1)の組成は、アクリル酸エチル単位49重量%、アクリル酸n−ブチル単位49重量%及びクロロ酢酸ビニル単位2重量%であり、ポリマームーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
バンバリーミキサを用いて、製造例1で得られたカルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(a1)100部に、FEFカーボンブラック(商品名:シーストSO、東海カーボン社製)30部、シリカ(商品名:ニプシルER、東ソーシリカ社製)10部、トリメリット酸エステル(商品名:アデカサイザーC−8、ADEKA社製、可塑剤)5部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:ナウガード445、Crompton社製、老化防止剤)1.5部、ステアリン酸(架橋促進助剤)1部を添加して、50℃で5分間混合した。次いで、得られた混合物を50℃のロールに移して、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(芳香族多価アミン架橋剤、架橋剤(a2))6.77部、および1,3−ジ−o−トリルグアニジン(商品名:ノクセラーDT、大内新興化学工業社製、塩基性架橋促進剤)2部を配合して、混練することにより、架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(a3)を得た。架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(a3)の架橋物を用いて、常態物性、圧縮永久歪み,およびスチーム架橋物の発泡の有無の各評価を行った。結果を表1に示す。
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(芳香族多価アミン架橋剤)6.77部に代えて、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(商品名:Diak#1、デュポンダウエラストマー社製、脂肪族多価アミン架橋剤、架橋剤(d2))2.6部を用いた以外は、架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(a3)と同様にして、架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(d3)を得た。架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(d3)の架橋物を用いて、常態物性、圧縮永久歪み,およびスチーム架橋物の発泡の有無の各評価を行った。結果を表1に示す。
バンバリーミキサを用いて、水素化ニトリルゴム(商品名:Zetpol 2000L、日本ゼオン社製、アクリロニトリル単位含有量36重量%、ブタジエン単位(水素化されたものも含む)64重量%、ヨウ素価4、ムーニー粘度65)100部に、FEFカーボンブラック(商品名:シーストSO、東海カーボン社製)30部、シリカ(商品名:ニプシルER、東ソーシリカ社製)10部、トリメリット酸エステル(商品名:アデカサイザーC−8、ADEKA社製、可塑剤)5部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:ナウガード445、Crompton社製、老化防止剤)1.5部、ステアリン酸(架橋促進助剤)1部を添加して、50℃で5分間混合した。次いで、得られた混合物を50℃のロールに移して有機過酸化物架橋剤(1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、商品名:Vulcup40KE、ハーキュレス製)8部を配合して、混練することにより、架橋性高飽和ニトリルゴム組成物(e3)を得た。架橋性高飽和ニトリルゴム組成物(e3)の架橋物を用いて、常態物性、圧縮永久歪み,およびスチーム架橋物の発泡の有無の各評価を行った。結果を表1に示す。
バンバリーミキサを用いて、製造例2で得られたカルボキシル基含有アクリルゴム(b1)100部に、FEFカーボンブラック(商品名:シーストSO、東海カーボン社製)60部、シリカ(商品名:ニプシルER、東ソーシリカ社製)10部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:ナウガード445、Crompton社製、老化防止剤)2部、ステアリン酸(架橋促進助剤)2部、を添加して、50℃で5分間混合した。次いで、得られた混合物を50℃のロールに移して、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(芳香族多価アミン架橋剤、架橋剤(b2))1部、および1,3−ジ−o−トリルグアニジン(商品名:ノクセラーDT、大内新興化学工業社製、塩基性架橋促進剤)2部を配合して、混練することにより、架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(b3)を得た。架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(b3)の架橋物を用いて、常態物性、圧縮永久歪み,およびスチーム架橋物の発泡の有無の各評価を行った。結果を表1に示す。
バンバリーミキサを用いて、製造例3で得られたエポキシ基含有アクリルゴム(c1)100部に、FEFカーボンブラック(商品名:シーストSO、東海カーボン社製)60部、シリカ(商品名:ニプシルER、東ソーシリカ社製)10部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:ナウガード445、Crompton社製、老化防止剤)2部、ステアリン酸(架橋促進助剤)2部、を添加して、50℃で5分間混合した。次いで、得られた混合物を50℃のロールに移して、安息香酸アンモニウム(商品名:バルノックAB、大内新興化学工業社製、架橋剤(c2))1.5部を配合して、混練することにより、架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(c3)を得た。架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(c3)の架橋物を用いて、常態物性、圧縮永久歪みおよびスチーム架橋物の発泡の有無の各評価を行った。結果を表1に示す。
バンバリーミキサを用いて、製造例4で得られた活性塩素基含有アクリルゴム(f1)100部に、FEFカーボンブラック(商品名:シーストSO、東海カーボン社製)60部、シリカ(商品名:ニプシルER、東ソーシリカ社製)10部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:ナウガード445、Crompton社製、老化防止剤)2部、ステアリン酸(架橋促進助剤)2部、を添加して、50℃で5分間混合した。次いで、得られた混合物を50℃のロールに移して、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン(商品名:ZISNET−F、日本ゼオン(株)製、架橋剤)0.5部、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛(製品名:ノクセラーBZ、大内新興社製)1.5部、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(商品名:サントガードPVI、三菱モンサント化成社製)0.2部、ジエチルチオ尿素(商品名:ノクセラーEUR、大内新興社製)0.3部を配合して、混練することにより、架橋性活性塩素基含有アクリルゴム組成物(f3)を得た。架橋性活性塩素基含有アクリルゴム組成物(f3)の架橋物を用いて、常態物性、圧縮永久歪み、およびスチーム架橋物の発泡の有無の各評価を行った。結果を表1に示す。
架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(a3)と架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(b3)を、それぞれ厚さ2mmのシート形状に成型した。それらを積層し、160℃×45分でプレス架橋を行い、架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(a3)と架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(b3)を架橋接着させて、ゴム積層体(架橋物)を得た。得られたゴム積層体(架橋物)を用いて、剥離試験を行った結果を表2に示す。
架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(b3)に代えて、架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(c3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム積層体(架橋物)を得た。得られたゴム積層体(架橋物)を用いて、剥離試験を行った結果を表2に示す。
架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(b3)に代えて、架橋性活性塩素基含有アクリルゴム組成物(f3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム積層体(架橋物)を得た。得られたゴム積層体(架橋物)を用いて、剥離試験を行った結果を表2に示す。
架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(a3)に代えて、架橋性高飽和ニトリルゴム組成物(e3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム積層体(架橋物)を得た。得られたゴム積層体(架橋物)を用いて、剥離試験を行った結果を表2に示す。
架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(a3)に代えて、架橋性高飽和ニトリルゴム組成物(e3)を用いた以外は、実施例2と同様にして、ゴム積層体(架橋物)を得た。得られたゴム積層体(架橋物)を用いて、剥離試験を行った結果を表2に示す。
架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(a3)に代えて、架橋性高飽和ニトリルゴム組成物(e3)を用い、架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(b3)に代えて、架橋性活性塩素基含有アクリルゴム組成物(f3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム積層体(架橋物)を得た。得られたゴム積層体(架橋物)を用いて、剥離試験を行った結果を表2に示す。
活性塩素基含有アクリルゴムを用いたために、本発明の要件を満たさない場合は、ゴム積層体の接着強度に劣っていた(比較例1)。
カルボキシル基を含有しない高飽和ニトリルゴムを用い、かつ、架橋剤として有機過酸化物架橋剤を用いたたために、本発明の要件を満たさない場合は、ゴム積層体の接着強度に劣っていた(比較例2および比較例3)。
カルボキシル基を含有しない高飽和ニトリルゴムを用い、かつ、架橋剤として有機過酸化物架橋剤を用い、さらに活性塩素基含有アクリルゴムを用いたために、本発明の要件を満たさない場合は、ゴム積層体の接着強度に劣っていた(比較例4)。
これに対して、本発明の要件を満たす場合には、架橋接着して得られるゴム積層体が接着強度に優れるものであった(実施例1および2)。
なお、表1より、架橋剤として、芳香族多価アミン架橋剤を用いた場合には、スチーム架橋時の発泡が抑制され、スチーム架橋を含む架橋に好適であることがわかった。
Claims (8)
- カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)およびポリアミン架橋剤(A2)を含有してなる架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)と、
カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)および架橋剤(B2)を含有してなる架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)、または
エポキシ基含有アクリルゴム(C1)および架橋剤(C2)を含有してなる架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)、とを架橋接着させてなるゴム積層体。 - カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム(A1)が、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を0.1〜20重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のゴム積層体。
- 架橋剤(B2)が、ポリアミン架橋剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム積層体。
- 前記ポリアミン架橋剤が、芳香族多価アミン架橋剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム積層体。
- 架橋剤(C2)が、カルボン酸のアンモミウム塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム積層体。
- 架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)および/または架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)が、さらに塩基性架橋促進剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム積層体。
- ホースであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム積層体。
- 架橋性カルボキシル基含有高飽和ニトリルゴム組成物(A3)と、架橋性カルボキシル基含有アクリルゴム組成物(B3)または架橋性エポキシ基含有アクリルゴム組成物(C3)とを架橋接着させる際に、スチーム架橋を含む架橋を行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム積層体の製造方法。
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