JP2012135914A - 樹脂レンズの成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂転写型が吸湿によって変形する場合であっても、目的とする面形状を十分な精度で形成することができる樹脂レンズの成形方法を提供すること。
【解決手段】樹脂転写型であるサブサブマスタ型50の成形時における水分含有量がサブサブマスタ型50の作製直後における水分含有量と実質的に等しいので、成形時におけるサブサブマスタ型50の第3光学転写面53aの表面形状を第3光学転写面53aの作製直後の状態に略等しい状態とすることができ、第3光学転写面53aによって成形される樹脂レンズであるウェハレンズ100の形状精度を高めることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】樹脂転写型であるサブサブマスタ型50の成形時における水分含有量がサブサブマスタ型50の作製直後における水分含有量と実質的に等しいので、成形時におけるサブサブマスタ型50の第3光学転写面53aの表面形状を第3光学転写面53aの作製直後の状態に略等しい状態とすることができ、第3光学転写面53aによって成形される樹脂レンズであるウェハレンズ100の形状精度を高めることができる。
【選択図】 図5
Description
この発明は、樹脂転写型を用いた樹脂レンズの成形方法に関し、特にウェハレンズの成形方法に関する。
マイクロ光学素子等の製造方法として、マスタ構造やサブマスタ構造から複製ツールを作製し、この複製ツールを用いて複製を行うことによって、レプリカとしてのマイクロ構造素子を得るものがある(特許文献1参照)。上記複製ツールは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)その他の弾性材料で形成され、レプリカは、例えばUV硬化型のエポキシ樹脂等で形成される。
また、ウェハレンズの製造方法として、ガラス平板と成形型との間に硬化性樹脂を注入して、レンズ部を成形するものがある(特許文献2参照)。この際、オリジナルのマスタ型から硬化性樹脂製のサブマスタ型を形成するとともに、サブマスタ型を成形型として硬化性樹脂製のサブサブマスタ型を形成し、このサブサブマスタ型からレンズ部を成形する。
しかしながら、最終製品を複製するための樹脂転写型としての複製ツールやサブサブマスタ型は、吸湿によって表面形状が変化し最終製品の形状精度が劣化する場合がある。特に樹脂転写型がエポキシ樹脂等の吸湿量の大きな樹脂である場合、吸湿によって表面形状が大きく変化し、光学素子やレンズの面形状を十分な精度で形成することができない。
本発明は、樹脂転写型が吸湿によって変形する場合であっても、目的とする面形状を十分な精度で形成することができる樹脂レンズの成形方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る樹脂レンズの成形方法は、複数の光学転写面を含む型面を有する樹脂転写型を用いた樹脂レンズの成形方法であって、樹脂転写型の成形時における水分含有量は、樹脂転写型の作製直後における水分含有量と実質的に等しい。
上記樹脂レンズの成形方法によれば、樹脂転写型の成形時における水分含有量が樹脂転写型の作製直後における水分含有量と実質的に等しいので、成形時における樹脂転写型の表面形状を樹脂転写型の作製直後の状態と略等しい状態にすることができ、樹脂転写型によって成形される樹脂レンズの形状精度を高めることができる。
本発明の具体的な側面では、上記成形方法において、樹脂転写型の成形時における含水率の、樹脂転写型の作製直後における含水率に対する差は、0.5重量%以下である。この場合、作製直後の樹脂転写型の表面形状が成形時の樹脂転写型の表面形状から大きくはずれることを確実に防止できる。
本発明の別の側面では、樹脂転写型の温度25℃湿度80%における飽和吸水率は、1.0%重量以上である。この場合、樹脂転写型の吸水性が比較的高く、湿度環境によって樹脂転写型の表面形状が変化しやすいが、上記のように樹脂転写型の成形時における水分含有量を作製直後の水分含有量に近づけることで、樹脂転写型によって成形される樹脂レンズの形状精度を高めることができる。
本発明のさらに別の側面では、樹脂転写型の作製後から樹脂転写型による成形前まで樹脂転写型を真空保管することによって樹脂転写型の吸湿を防止する。この場合、樹脂転写型の表面形状を成形前まで作製直後の状態のままに維持することができる。
本発明のさらに別の側面では、樹脂転写型による成形前に樹脂転写型を加熱乾燥することによって樹脂転写型の水分含有量を減少させる。この場合、樹脂転写型の表面形状を成形前に作製直後の状態に戻すことができる。
本発明のさらに別の側面では、樹脂転写型と樹脂レンズとは、光硬化性樹脂で形成される。この場合、樹脂転写型や樹脂レンズを簡易な工程で作製することができる。
本発明のさらに別の側面では、樹脂転写型が、光透過性の基板と、基板の一方の基板面上に形成され型面を有する樹脂部とを有する。この場合、樹脂転写型を薄型で十分な強度を有するものとできる。
〔第1実施形態〕
図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る樹脂レンズの成形方法及びこれによって得られるウェハレンズについて説明する。
図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る樹脂レンズの成形方法及びこれによって得られるウェハレンズについて説明する。
ウェハレンズの構造
図1(A)〜1(C)に示すように、ウェハレンズ100は、円盤状の樹脂レンズであり、基板101と、第1樹脂層102と、第2樹脂層103とを有する。
図1(A)〜1(C)に示すように、ウェハレンズ100は、円盤状の樹脂レンズであり、基板101と、第1樹脂層102と、第2樹脂層103とを有する。
ウェハレンズ100のうち基板101は、円形の平板であり、ガラスで形成されている。基板101の外径は、第1及び第2樹脂層102,103の外径と略同じである。基板101の厚さは、基本的には光学的仕様によって決定されるが、ウェハレンズ100の離型時において破損しない程度の厚さとなっている。
第1樹脂層102は、樹脂製であり、基板101の一方の面101a上に形成されている。第1樹脂層102は、平面視において円形の外形を有する。具体的には、第1樹脂層102は、第1レンズ本体11aと第1フランジ部11bとを一組とする多数の第1レンズ要素11をXY面内で2次元的に配列している。これらの第1レンズ要素11は、平坦な連結部11cを介して一体に成形されている。各第1レンズ要素11と連結部11cとを合わせた表面は、転写によって一括成形される第1成形面102aとなっている。第1レンズ本体11aは、例えば凸形状の非球面型又は球面型のレンズ部であり、第1光学面11dを有している。周囲の第1フランジ部11bは、第1光学面11dの周囲に広がる平坦な第1フランジ面11gを有し、第1フランジ面11gの外周は、連結部11cの表面ともなっている。第1フランジ面11gは、光軸OAに垂直なXY面に対して平行に配置されている。
第1樹脂層102は、例えば光硬化樹脂で形成されている。光硬化樹脂には、主成分である光硬化性樹脂の重合硬化を開始させる光重合開始剤が含まれており、必要に応じて各種添加剤が追加されている。光硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アリルエステル樹脂、ビニル樹脂等がある。エポキシ樹脂を使用する場合、光重合開始剤のカチオン重合により反応硬化させることができ、アクリル樹脂、アリルエステル樹脂、及びビニル樹脂を使用する場合、光重合開始剤のラジカル重合により反応硬化させることができる。
第2樹脂層103は、第1樹脂層102と同様に、樹脂製であり、基板101の他方の面101b上に形成されている。第2樹脂層103は、平面視において円形の外形を有する。具体的には、第2樹脂層103は、第2レンズ本体12aと第2フランジ部12bとを一組とする多数の第2レンズ要素12をXY面内で2次元的に配列している。これらの第2レンズ要素12は、平坦な連結部12cを介して一体に成形されている。各第2レンズ要素12と連結部12cとを合わせた表面は、転写によって一括成形される第2成形面103aとなっている。第2レンズ本体12aは、例えば凹形状の非球面型又は球面型のレンズ部であり、第2光学面12dを有している。周囲の第2フランジ部12bは、第2光学面12dの周囲に広がる平坦な第2フランジ面12gを有し、第2フランジ面12gの外周は、連結部12cの表面ともなっている。第2フランジ面12gは、光軸OAに垂直なXY面に対して平行に配置されている。
以上において、第1樹脂層102に設けたいずれか1つの第1レンズ要素11と、これに対向する第2樹脂層103の第2レンズ要素12と、これらのレンズ要素11,12間に挟まれた基板101の部分とは、1つのレンズを構成している。
第2樹脂層103に用いられる光硬化樹脂は、第1樹脂層102の光硬化樹脂と同様のものである。ただし、両樹脂層102,103を同一の光硬化性樹脂で形成する必要はなく、別の光硬化性樹脂で形成することができる。
なお、ウェハレンズ100において、基板101と第1又は第2樹脂層102,103との間に絞りを設けてもよい。また、基板101の一方の面101a又は他方の面101bにのみ樹脂層を設けてもよい。
レンズ用の成形型
以下、図2(A)〜2(C)を参照しつつ、図1(A)等に示すウェハレンズ100を製造するための成形型の一例について説明する。
以下、図2(A)〜2(C)を参照しつつ、図1(A)等に示すウェハレンズ100を製造するための成形型の一例について説明する。
ウェハレンズ100の成形には、成形型として、マスタ型30と、サブマスタ型40と、サブサブマスタ型50とが用いられる。ウェハレンズ100を転写成形するために、マスタ型30でなくサブサブマスタ型50を用いることにより、マスタ型30の寿命を長くすることができるが、サブマスタ型40やサブサブマスタ型50の形状精度に対する要求が高まり、サブマスタ型40やサブサブマスタ型50の転写面は、収縮や変形の少ないものが望ましくなる。
図2(A)に示すように、マスタ型30は、例えば直方体状又は板状であり、その端面30a上に、後述するサブマスタ型40の第2転写面43を形成するための第1転写面31を有する。この第1転写面31は、最終的にウェハレンズ100の第1樹脂層102の第1成形面102aに対応する。第1転写面31は、第1成形面102aのうち第1光学面11dを形成するための第1光学転写面31aと、第1フランジ面11gを形成するための第1フランジ転写面31bとを含む。第1光学転写面31aは、アレイ状に複数個配置されており、略半球の凹形状に形成されている。
マスタ型30は、一般に金属材料で形成されている。金属材料としては、例えば鉄系材料、鉄系合金、非鉄系合金等が挙げられる。このうち、鉄系材料としては、例えば熱間金型、冷間金型、プラスチック金型、高速度工具鋼、一般構造用圧延鋼材、機械構造用炭素鋼、クロム・モリブデン鋼、ステンレス鋼が挙げられる。また、鉄系合金としては、例えば特開2005−113161や特開2005−206913に示されている合金が挙げられる。非鉄系合金としては主に、銅合金、アルミ合金、亜鉛合金がよく知られており、例えば特開平10−219373、特開2000−176970に示されている合金が挙げられる。なお、マスタ型30は、金属ガラスやアモルファス合金で形成されてもよい。金属ガラスとしては、例えばPdCuSiやPdCuSiNi等が挙げられる。金属ガラスはダイヤモンド切削における被削性が高く、工具の磨耗が少ない。アモルファス合金としては、例えば無電解又は電解のニッケルリンメッキ等があり、ダイヤモンド切削における被削性がよい。これらの高被削性材料は、マスタ型30全体を構成してもよいし、メッキやスパッタ等の方法によって特に光学転写面の表面だけを覆ってもよい。
図2(B)に示すように、サブマスタ型40は、例えば直方体状又は板状の樹脂転写型であり、サブマスタ成形部41とサブマスタ基板42とを有する。サブマスタ成形部41とサブマスタ基板42とは、積層構造となっている。サブマスタ成形部41は、樹脂で構成されており、その端面41a上に、後述するサブサブマスタ型50の第3転写面53を形成するための第2転写面43を有する。この第2転写面43は、最終的に得られるウェハレンズ100の第1樹脂層102の第1成形面102aのポジ型に対応し、第1成形面102aのうち第1光学面11dを形成するための第2光学転写面43aと、第1フランジ面11gを形成するための第2フランジ転写面43bとを含む。第2光学転写面43aは、第1光学転写面31aによって転写され、アレイ状に複数個配置されており、略半球の凸形状に形成されている。
サブマスタ成形部41は、樹脂41bによって形成されている。樹脂41bとしては、光硬化性樹脂が挙げられ、上記第1樹脂層102と同様のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、アリルエステル樹脂、ビニル樹脂等が使用可能である。また、樹脂41bとしては、離型性の良好な樹脂、特に透明樹脂が好ましく、離型剤を塗布しなくても離型できる樹脂が好ましい。
サブマスタ基板42は、例えば石英、ガラス等のほか、樹脂、シリコンウェハ、金属等の平滑性を有する材料で形成されている。光透過性すなわち透明性の観点(サブマスタ型40の上からでも下からでも光照射できるという点)を考慮すると、サブマスタ基板42は、好ましくは石英やガラス等で構成される。なお、サブマスタ基板42を例えば熱硬化性樹脂で形成する場合、サブマスタ基板42の光透過性を考慮する必要はない。
図2(C)に示すように、サブサブマスタ型50は、例えば直方体状又は板状の樹脂転写型であり、サブサブマスタ成形部51とサブサブマスタ基板52とを有する。サブサブマスタ成形部51とサブサブマスタ基板52とは、積層構造となっている。サブサブマスタ成形部51は、樹脂で構成されており、その端面51a上に、ウェハレンズ100の第1樹脂層102を転写によって形成するための第3転写面53を有する。この第3転写面53は、ウェハレンズ100の第1樹脂層102の第1成形面102aに対応する形状を有し、第1成形面102aのうち第1光学面11dを形成するための第3光学転写面53aと、第1フランジ面11gを形成するための第3フランジ転写面53bとを含む。すなわち、サブサブマスタ型50は、第1樹脂層102の第1成形面102aを形成するための樹脂転写型として機能する。第3光学転写面53aは、上述のように第2光学転写面43aによって転写され、アレイ状に複数個配置されており、略半球の凹形状に形成されている。
なお、図2においては、サブマスタ型40とサブサブマスタ型50とが、マスタ型30と同程度のサイズを有するものとして図示しているが、これに限るものではなく、例えば、加工に最も手間がかかるマスタ型30のみを相対的に小サイズとできる。つまり、マスタ型30によってサブマスタ型40の第2転写面43の複数に区分された領域単位で分割して形成することができ、この場合、サブマスタ型40やサブサブマスタ型50は、マスタ型30よりも光学転写面の数が多く含まれるサイズの大きいものとなる。
サブサブマスタ成形部51は、サブマスタ成形部41の樹脂41bと同様の樹脂51bで形成され、サブサブマスタ基板52は、サブマスタ基板42と同様の材料で形成される。すなわち、サブサブマスタ成形部51の樹脂51bとしては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アリルエステル樹脂、ビニル樹脂等の光硬化性樹脂が使用可能である。また、サブサブマスタ基板52としては、例えば石英、ガラス等のほか、樹脂、シリコンウェハ、金属等の平滑性を有する材料が使用可能であるが、光透過性すなわち透明性の観点から、石英やガラス等の使用が好ましい。なお、サブマスタ成形部41とサブサブマスタ成形部51とは、必ずしも同一の材料で形成される必要はなく、異なる光硬化性樹脂等で形成されてもよい。また、サブマスタ基板42とサブサブマスタ基板52も、必ずしも同一の材料で形成される必要はなく、異なる材料で形成されてもよい。
以下、サブサブマスタ型50のサブサブマスタ成形部51の形成に用いられる光硬化性樹脂の詳細について説明する。光硬化性樹脂は、光重合開始剤の存在下で紫外線などの光を照射されることにより硬化する樹脂であり、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、アリルエステル樹脂、ビニル樹脂等の使用が可能である。
エポキシ樹脂は、分子末端にエポキシ基を含む一種以上の反応性モノマー若しくはオリゴマー又は混合物を重合硬化させた樹脂である。エポキシ樹脂の種類は、光により重合硬化するものであれば特に限定されず、硬化剤として光感受性を有するカチオン発生剤等を用いることができる。エポキシ樹脂は硬化収縮率が低いため、成形精度の優れた光学素子とすることができる点で好ましい。光学的な用途に適するエポキシ樹脂の種類としては、例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2'−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等を重合したものが挙げられる。
アクリル樹脂は、アクリル基を含む一種以上の反応性モノマー(具体的には(メタ)アクリレート)若しくはオリゴマー又は混合物を重合硬化させた樹脂である。アクリル樹脂の種類は、光により重合硬化するものであれば特に限定されず、硬化剤として光感受性を有するラジカル発生剤等を用いることができる。光学的な用途に適するアクリル樹脂の種類としては、例えば、エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレート等を重合したものが挙げられる。これらを1種類又は2種類以上を用いることができる。
アリルエステル樹脂は、分子末端にアリル基を含む一種以上の反応性モノマー若しくはオリゴマー又は混合物を重合硬化させた樹脂である。アリルエステル樹脂の種類は、光により重合硬化するものであれば特に限定されず、硬化剤として光感受性を有するラジカル発生剤等を用いることができる。光学的な用途に適するアリルエステル樹脂の種類としては、例えば、芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(特開2005−2064号公報参照)等が挙げられる。
ビニル樹脂は、ビニル基を含む一種以上の反応性モノマー若しくはオリゴマー又は混合物を重合硬化させた樹脂である。ビニル樹脂の種類は、光により重合硬化するものであれば特に限定されず、硬化剤として光感受性を有するラジカル発生剤等を用いることができる。光学的な用途に適するビニル樹脂の種類としては、例えば芳香族ビニル系化合物を用いたものとできる。芳香族ビニル系化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等が挙げられ、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。これらの芳香族ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の主成分樹脂の種類、重合に使用する光の波長等に応じて適宜選択される。具体的には、光重合開始剤として、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物等を使用することができる。なお、必要に応じて硬化促進剤等の添加剤が含有されてもよい。硬化促進剤の種類は、硬化性が良好で、着色がなく、光硬化性樹脂の透明性を損なわないものであれば、特に限定されるものではなく、目的に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本実施形態のサブサブマスタ成形部51を形成する具体的な材料は、光学的性能と耐環境性とを併せ持つものが選択される結果、比較的吸湿性が高いものとなり、温度25℃湿度80%における飽和吸水率は、例えば1.0%重量以上である。この場合、サブサブマスタ型50が使用される標準的な大気環境下でも吸水率すなわち水分含有量が徐々に増加し、サブサブマスタ型50を放置した場合、第3光学転写面53aの形状精度が低下し、サブサブマスタ型50の転写によって成形されるウェハレンズ100の第1成形面102aの形状精度を劣化させる可能性が高まる。このため、本実施形態では、サブサブマスタ型50を後述するように真空下で保管することで、形状精度が劣化することを防止している。
以上では、サブサブマスタ型50の元になるサブマスタ型40のサブマスタ成形部41を形成する材料について、具体的な説明を省略したが、サブサブマスタ成形部51と同様の材料を使用することができる。したがって、サブマスタ型40も真空下で保管して形状精度が劣化することを防止することが望ましい。
成形型の保管装置
図3に示す真空保管装置70は、成形用のサブサブマスタ成形部51が吸湿して含水率又は吸水量が増加することを防止するためのものである。
図3に示す真空保管装置70は、成形用のサブサブマスタ成形部51が吸湿して含水率又は吸水量が増加することを防止するためのものである。
真空保管装置70は、減圧空間を形成する真空容器71と、真空容器71内の真空度を計測する真空計73と、真空ポンプ等によって真空容器71内を減圧する真空排気装置74と、これらの動作を制御する制御装置75とを備える。
真空容器71は、サブサブマスタ型50を搬出入するための搬出入部(不図示)を備え、内部の棚71a上にサブサブマスタ型50を支持する。図示の例では、真空容器71中に、複数のサブサブマスタ型50を保管することができ、さらに、複数のサブマスタ型40を保管することもできる。
制御装置75は、作業者の指示に基づいて、真空容器71の真空度を調整する。具体的には、真空計73の出力を監視しながら真空排気装置74を動作させて、真空容器71内を例えば大気圧より低く保持する。真空容器71内の真空度は、サブサブマスタ型50を構成するサブサブマスタ成形部51の材料に応じて、サブサブマスタ成形部51の吸湿を防止できる範囲、例えば、1kPa以下に設定される。なお、真空保管装置70は、サブサブマスタ型50等の吸湿を防止するためのものであるので、真空容器71内の水蒸気の分圧を主に監視して低く維持することも可能である。
真空保管装置70により、サブサブマスタ型50のサブサブマスタ成形部51の含水率は、サブサブマスタ型50の作製直後における含水率と略等しく保たれる。具体的には、保管中のサブサブマスタ型50におけるサブサブマスタ成形部51の含水率と、作製直後のサブサブマスタ型50におけるサブサブマスタ成形部51の含水率との差は、作製直後を基準として0.5重量%以下となっている。
ウェハレンズの成形又は製造方法
図4(A)〜4(F)等を参照しつつ、上述のマスタ型30、サブマスタ型40、サブサブマスタ型50を使用して行われるウェハレンズ100の製造工程について説明する。なお、以下は第1樹脂層102の成形について説明するが、第2樹脂層103の成形についても同様の工程を行う。
図4(A)〜4(F)等を参照しつつ、上述のマスタ型30、サブマスタ型40、サブサブマスタ型50を使用して行われるウェハレンズ100の製造工程について説明する。なお、以下は第1樹脂層102の成形について説明するが、第2樹脂層103の成形についても同様の工程を行う。
まず、研削加工等によって第1樹脂層102の最終形状に対応するマスタ型30を作製する(図5のステップS1参照)。
次に、図4(A)に示すように、マスタ型30の第1転写面31上に樹脂41bを塗布し、マスタ型30の上方からサブマスタ基板42を押圧しながら不図示のUV発生装置により紫外線を照射させ、間に挟まれた樹脂41bを硬化させる。この際、マスタ型30とサブマスタ基板42とを周囲から加熱して、樹脂41bの硬化を早めることもできる。結果として、樹脂41bにマスタ型30の第1転写面31が転写され、樹脂41bに第2転写面43(第2光学転写面43a及び第2フランジ転写面43b)が形成される。これにより、サブマスタ成形部41が形成される。UV発生装置で用いる光源の例としては、高圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、メタルハライドランプ、UVレーザ、キセノンフラッシュランプ、LED等が挙げられる。
次に、図4(B)に示すように、マスタ型30からサブマスタ成形部41とサブマスタ基板42とを一体として離型し、独立したサブマスタ型40が完成する(図5のステップS2参照)。
次に、図4(C)に示すように、サブマスタ型40の第2転写面43上に樹脂51bを塗布し、サブマスタ型40の上方からサブサブマスタ基板52を押圧しながら不図示のUV発生装置により紫外線を照射させ、間に挟まれた樹脂51bを硬化させる。この際、紫外線の照射は、サブマスタ型40側から行ってもよいし、サブサブマスタ基板52側から行ってもよいし、両側から行ってもよい。また、紫外線の照射後、又は、紫外線の照射時に、サブマスタ型40とサブサブマスタ基板52とを周囲から加熱して、樹脂51bの硬化を早めることもできる。結果として、樹脂51bにサブマスタ型40の第2転写面43が転写され、樹脂51bに第3転写面53(第3光学転写面53a及び第3フランジ転写面53b)が形成される。これにより、サブサブマスタ成形部51が形成される。
次に、図4(D)に示すように、サブマスタ型40からサブサブマスタ成形部51とサブサブマスタ基板52とを一体として離型し、独立したサブサブマスタ型50が完成する(図5のステップS3参照)。
その後、サブサブマスタ型50は、図3に示す真空保管装置70に保管されて吸湿が防止される(図5のステップS4参照)。サブサブマスタ型50は、ウェハレンズ100の作製時にのみ必要であり、サブサブマスタ型50の作製から最初のウェハレンズ100の成形時まで所定の上限時間以上経過する場合や、その後のウェハレンズ100の成形後から次のウェハレンズ100の成形時まで所定の上限時間以上経過する場合、サブサブマスタ型50は、真空保管装置70に保管されてサブサブマスタ成形部51の吸水量が一定に保たれる。
次に、ウェハレンズ100の作製を開始する。図4(E)に示すように、サブサブマスタ型50の第3転写面53上に樹脂102b(第1樹脂層102を形成する光硬化性樹脂)を塗布し、サブサブマスタ型50の上方から基板101を押圧しながら不図示のUV発生装置により紫外線を照射させ、間に挟まれた樹脂102bを硬化させる。この際、紫外線の照射は、サブサブマスタ型50側から行ってもよいし、基板101側から行ってもよいし、両側から行ってもよい。また、紫外線の照射後、又は、紫外線の照射時に、サブサブマスタ型50と基板101とを周囲から加熱して、樹脂102bの硬化を早めることもできる。結果として樹脂102bにサブサブマスタ型50の第3転写面53が転写され、樹脂102bに第1成形面102a(第1光学面11d及び第2フランジ面11g)が形成される。このようにして、第1樹脂層102が形成される。
なお、基板101の他方の面101bに対しても、上述と同様の工程を行うことができる。これにより、基板101の他方の面101b上に第2樹脂層103が形成される。
その後、図4(F)に示すように、サブサブマスタ型50から第1樹脂層102と基板101とを一体として離型する。既に第2樹脂層103が形成されている場合、ウェハレンズ100が完成する(図5のステップS5参照)。第2樹脂層103が形成されていない場合、第1樹脂層102と同様の工程を行うことで第2樹脂層103が形成され、第2樹脂層103用のサブサブマスタ型50から第2樹脂層103と基板101とを一体として離型することで、ウェハレンズ100が完成する(図5のステップS5参照)。
この後、ウェハレンズ100は、単体のまま、あるいは、上記と同様の工程で複数種類作製されこれらが適宜積層された後に、第1レンズ本体11a等を中心として四角柱状にダイシングによって切り出されることにより、複数の分割されたレンズ又は複数のウェハレンズが積層された複合レンズ(不図示)となる。
以上で説明したサブサブマスタ型50は、適当な上限まで複数回使用される(図5のステップS6でYのとき)。ここで、サブサブマスタ型50を連続的に使用しないで、成形を上記上限期間以上に休止させる場合(図5のステップS7でYのとき)、図5のステップS4に戻ってサブサブマスタ型50を真空保管装置70に保管する。
なお、サブサブマスタ型50だけでなく、マスタ型30やサブマスタ型40も複数回使用される。つまり、これらの型50,40,30が劣化して型交換又は型変更が必要となった場合(図5のステップS8でYのとき)、サブサブマスタ型50、サブマスタ型40、及びマスタ型30のいずれを交換するかを選択して、図5のステップS1〜S3、S5が適当な上限回数まで実行される。結果的に、例えばマスタ型30がi回転写に用いられ、これによって得られたi個のサブマスタ型40がそれぞれj回転写に用いられ、こうして得られたi×j個のサブサブマスタ型50がそれぞれk回転写に用いられることで、計i×j×k枚のウェハレンズ100を得ることができる。
以上説明した第1実施形態に係るウェハレンズ100の成形方法によれば、樹脂転写型であるサブサブマスタ型50の成形時における水分含有量がサブサブマスタ型50の作製直後における水分含有量と実質的に等しく保たれるので、成形時におけるサブサブマスタ型50の第3光学転写面53aの表面形状を第3光学転写面53aの作製直後の状態と略等しい状態に維持することができ、第3光学転写面53aによって成形される樹脂レンズであるウェハレンズ100の形状精度を高めることができる。
具体的な実施例
以下、具体的な実施例の成形方法について説明する。
(サブサブマスタ型の作製)
マスタ型30として、直方体のクローム・モリブデン鋼に、第1光学転写面31aとして、R:4mm、光軸上の深さ:0.35mm、直径φ:2mmの凹の球面が形成されたものを用いた。そして、ガラス板をサブマスタ基板40とし、樹脂材料としてビスフェノールA型エポキシ樹脂に光重合開始剤としてトリアリールスルホニウム塩を1重量%添加したものを用い、上記マスタ型30とサブマスタ基板40との間に樹脂材料を介在させ、水銀ランプにより2000mJのUV露光を行って樹脂材料を硬化させ、その後、離型することにより、凸部の形成された樹脂層を有するサブマスタ型40を作製した。次に、サブマスタ型40の凸部及び露出したガラス表面に、蒸着により無機酸化物膜(SiO2)を形成し、その後、SiO2膜に離型剤(ダイキン工業(株)製 オプツールDSX)を塗布し離型処理を施した。この後、ガラス板をサブサブマスタ基板とし、樹脂材料として、(1)光硬化性樹脂α:ビスフェノールA型エポキシ、(2)光硬化性樹脂β:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(「A−DCP」)、(3)光硬化性樹脂γ:3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート (「セロキサイド2021P」)のいずれかを用い、上記サブマスタ型40とサブサブマスタ基板52との間に樹脂材料を介在させて、高圧水銀ランプを使用して上記光硬化性樹脂を15mWの照射強度で硬化させ、離型することにより、サブマスタ型40の凸部に対応するネガ形状の凹部が形成されたサブサブマスタ型50を作製した。得られたサブサブマスタ型50に形成された第1レンズ要素11の第1光学面11dに対応する表面について、その表面形状測定を形状測定装置UA3P(パナソニック製)にて確認した。この際、成形直後をリファレンスとし、成形直後から真空保管装置70に真空保管された複数のサンプルを実施例とし、比較的高湿下で故意に吸湿させた複数のサンプルを比較例とした。結果は、以下の表1のようなものとなった。なお、表中の判定欄は、表面形状測定によって得た面形状誤差の許容値を実用的な範囲である100nm程度以下とした場合を基準としている。
表1からも明らかなように、光硬化性樹脂αを用いた実施例1,2の樹脂層102,103は、温度25℃湿度80%における飽和吸水率が2.0重量%程度の材料となっている。また、真空保管された実施例1,2の場合、含水率は、それぞれ当初に近い0.1重量%、0.5重量%に維持されており、成形直後からのズレとしての面形状誤差は、10nm、100nmになっている。一方、比較的高湿下で吸湿させた比較例1の場合、含水率は、当初より増加して0.6重量%となっており、成形直後からのズレとしての面形状誤差は、150nmにまで増加している。
以下、具体的な実施例の成形方法について説明する。
(サブサブマスタ型の作製)
マスタ型30として、直方体のクローム・モリブデン鋼に、第1光学転写面31aとして、R:4mm、光軸上の深さ:0.35mm、直径φ:2mmの凹の球面が形成されたものを用いた。そして、ガラス板をサブマスタ基板40とし、樹脂材料としてビスフェノールA型エポキシ樹脂に光重合開始剤としてトリアリールスルホニウム塩を1重量%添加したものを用い、上記マスタ型30とサブマスタ基板40との間に樹脂材料を介在させ、水銀ランプにより2000mJのUV露光を行って樹脂材料を硬化させ、その後、離型することにより、凸部の形成された樹脂層を有するサブマスタ型40を作製した。次に、サブマスタ型40の凸部及び露出したガラス表面に、蒸着により無機酸化物膜(SiO2)を形成し、その後、SiO2膜に離型剤(ダイキン工業(株)製 オプツールDSX)を塗布し離型処理を施した。この後、ガラス板をサブサブマスタ基板とし、樹脂材料として、(1)光硬化性樹脂α:ビスフェノールA型エポキシ、(2)光硬化性樹脂β:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(「A−DCP」)、(3)光硬化性樹脂γ:3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート (「セロキサイド2021P」)のいずれかを用い、上記サブマスタ型40とサブサブマスタ基板52との間に樹脂材料を介在させて、高圧水銀ランプを使用して上記光硬化性樹脂を15mWの照射強度で硬化させ、離型することにより、サブマスタ型40の凸部に対応するネガ形状の凹部が形成されたサブサブマスタ型50を作製した。得られたサブサブマスタ型50に形成された第1レンズ要素11の第1光学面11dに対応する表面について、その表面形状測定を形状測定装置UA3P(パナソニック製)にて確認した。この際、成形直後をリファレンスとし、成形直後から真空保管装置70に真空保管された複数のサンプルを実施例とし、比較的高湿下で故意に吸湿させた複数のサンプルを比較例とした。結果は、以下の表1のようなものとなった。なお、表中の判定欄は、表面形状測定によって得た面形状誤差の許容値を実用的な範囲である100nm程度以下とした場合を基準としている。
同様に表1において、光硬化性樹脂βを用いた実施例3,4の樹脂層102,103は、温度25℃湿度80%における飽和吸水率が1.5重量%程度の材料となっている。また、真空保管された実施例3,4の場合、含水率は、それぞれ当初に近い0.1重量%、0.5重量%に維持されており、成形直後からのズレとしての面形状誤差は、0nm、30nmになっている。一方、比較的高湿下で吸湿させた比較例2の場合、含水率は、当初より増加して0.6重量%になっており、成形直後からのズレとしての面形状誤差は、130nmにまで増加している。
同様に表1において、光硬化性樹脂γを用いた実施例5,6の樹脂層102,103は、温度25℃湿度80%における飽和吸水率が2.2重量%程度の材料となっている。また、真空保管された実施例5,6の場合、含水率は、それぞれ当初に近い0.1重量%、0.5重量%に維持されており、成形直後からのズレとしての面形状誤差は、20nm、100nmになっている。一方、比較的高湿下で吸湿させた比較例3の場合、含水率は、当初より増加して0.6重量%になっており、成形直後からのズレとしての面形状誤差は、160nmにまで増加している。
なお、第1実施形態により作製したサブサブマスタ型50のうち、形状誤差の小さかった実施例1〜6のサンプルを用いて、エポキシアクリレートを主成分とするUV硬化型アクリル樹脂材料をサブサブマスタ型とガラス基板との間に介在させて、UV光を照射して樹脂材料を硬化させ、離型した後に後加熱処理を行ってウェハレンズを成形したところ、所望の面形状のレンズを安定して精度良く成形することができた。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る樹脂レンズの成形方法について説明する。第2実施形態の成形方法では、図3に示す真空保管装置70に代えて図6に示す加熱乾燥装置80を用いる。なお、本実施形態は、第1実施形態の樹脂レンズの成形方法を変形したものであり、第1実施形態の場合と同様の部分については、図示及び説明を省略する。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る樹脂レンズの成形方法について説明する。第2実施形態の成形方法では、図3に示す真空保管装置70に代えて図6に示す加熱乾燥装置80を用いる。なお、本実施形態は、第1実施形態の樹脂レンズの成形方法を変形したものであり、第1実施形態の場合と同様の部分については、図示及び説明を省略する。
加熱乾燥装置80は、断熱壁を有する加熱室81と、加熱室81内の温度を上げる一対のヒーター82と、加熱室81内の温度を測定する温度センサー83と、加熱室81内を減圧して蒸気等を排出する減圧装置84と、これら動作を制御する制御装置85とを備える。
加熱室81は、サブサブマスタ型50を搬出入するための搬出入部(不図示)を備え、内部の棚81a上にサブサブマスタ型50を支持する。なお、加熱室81は、内部が減圧されるため、一種の真空容器となっている。
制御装置85は、作業者の指示に基づいて、加熱室81内の温度を調整する。具体的には、温度センサー83の出力を監視しながらヒーター82を動作させて、加熱室81内を例えば50〜100℃程度に保持し、1〜24時間程度の経過を待つ。加熱室81内の温度は、サブサブマスタ型50を構成するサブサブマスタ成形部51の材料に応じて、サブサブマスタ成形部51の脱水を達成できる範囲に適宜設定される。
加熱乾燥装置80での乾燥により、サブサブマスタ型50のサブサブマスタ成形部51の含水率は、サブサブマスタ型50の作製直後における含水率と略等しい状態に復元される。具体的には、乾燥後のサブサブマスタ型50におけるサブサブマスタ成形部51の含水率と、作製直後のサブサブマスタ型50におけるサブサブマスタ成形部51の含水率との差は、作製直後を基準として0.5重量%以下となるようにする。
本実施形態の場合、サブサブマスタ型50は、当初、適当な上限期間まで複数回使用される(図7のステップS16でNで、ステップS18でYのとき)。サブサブマスタ型50の使用期間が上限期間を超えた場合(図7のステップS16でYのとき)、成形前にサブサブマスタ型50を加熱乾燥装置80にセットし、サブサブマスタ型50を加熱乾燥して元の含水率の復元することによって、樹脂転写型としてのサブサブマスタ型50の水分含有量を減少させる(図7のステップS17参照)。
以上説明した第2実施形態に係るウェハレンズ100の成形方法によれば、樹脂転写型であるサブサブマスタ型50の成形時における水分含有量がサブサブマスタ型50の作製直後における水分含有量と実質的に等しくなるように復元されるので、成形時におけるサブサブマスタ型50の第3光学転写面53aの表面形状を第3光学転写面53aの作製直後の状態と略等しい状態に戻すことができ、第3光学転写面53aによって成形される樹脂レンズであるウェハレンズ100の形状精度を高めることができる。
なお、サブサブマスタ型50の元になるサブマスタ型40のサブマスタ成形部41を形成する材料も、サブサブマスタ成形部51と同様の材料を使用することができるので、サブマスタ型40も加熱乾燥を行うことで形状精度が劣化することを防止することが望ましい。
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、サブサブマスタ成形部51の温度25℃湿度80%における飽和吸水率が1.0%重量以上であるとしたが、サブサブマスタ成形部51の飽和吸水率が1.0%重量未満であっても、成形されるウェハレンズ100等の樹脂レンズに要求される精度に応じて、上記真空保管装置70や加熱乾燥装置80によるサブサブマスタ成形部51の吸湿防止が有効になり、樹脂レンズの精度向上を図ることができる。
上記実施形態では、サブサブマスタ成形部51の成形時における含水率と、作製直後におけるサブサブマスタ成形部51の含水率との差(増加量)が0.5重量%以下であるとしたが、含水率の増加量が0.5重量%を越えても、成形されるウェハレンズ100等の樹脂レンズに要求される精度に応じて、樹脂レンズの精度向上を図ることができる。
以上では、樹脂レンズとしてウェハレンズ100を成形する場合について説明したが、ウェハレンズ100以外の樹脂レンズ、例えば単独のレンズを成形する場合も、そのための樹脂転写型を上記のように真空保管や加熱乾燥することによって高精度の状態に保つことができる。また、樹脂レンズは、光透過性の基板を有しないものであってもよい。
なお、ウェハレンズ100を構成するレンズ要素11,12の数や配列は、単なる例示であり、ウェハレンズ100に所望の個数のレンズを所望の配列で形成することができる。
以上では、樹脂転写型としてサブサブマスタ型50を用いてウェハレンズ100等の樹脂レンズを成形する場合について説明したが、樹脂製のサブマスタ型から樹脂レンズを成形する場合も、樹脂製のサブマスタ型を上記のように真空保管や加熱乾燥することによって高精度の状態に保つことができる。
以上の具体例では、サブサブマスタ型50、ウェハレンズ100等を光硬化性樹脂で形成しているが、サブサブマスタ型50、ウェハレンズ100等を熱硬化性樹脂で形成することもでき、この場合も、サブサブマスタ型50を上記のように真空保管や加熱乾燥することによって高精度の状態に保つことができる。
上記第2実施形態では、加熱室81を減圧しているが、これに代えて、加熱室81内に乾燥空気を供給して湿度を一定以下にすることもできる。
また、真空保管と加熱乾燥とを組み合わせて、サブサブマスタ型50を水分含有量の少ない乾燥した状態に維持することもできる。
また、ウェハレンズ100、サブサブマスタ型50の成形に際して樹脂51b,102bを加熱する場合、雰囲気を乾燥させ加熱時間を通常よりも長くすることによっても、サブサブマスタ型50の乾燥を実現することができる。
11,12…レンズ要素、 11a,12a…レンズ本体、 11b,12b…フランジ部、 11d,12d…光学面、 11g,12g…フランジ面、 30…マスタ型、 31…転写面、 40…サブマスタ型、 41…サブマスタ成形部、 42…サブマスタ基板、 43…第2転写面、 50…サブサブマスタ型(樹脂転写型)、 51…サブサブマスタ成形部(樹脂部)、 52…サブサブマスタ基板(光透過性の基板)、 53…第3転写面、 70…真空保管装置、 71…真空容器、 74…真空排気装置、 80…加熱乾燥装置、 81…加熱室、 82…ヒーター、 100…ウェハレンズ(樹脂レンズ)、 101…基板、 102,103…樹脂層、 102a…第1成形面、 103a…第2成形面、 OA…光軸
Claims (7)
- 複数の光学転写面を含む型面を有する樹脂転写型を用いた樹脂レンズの成形方法であって、
前記樹脂転写型の成形時における水分含有量は、前記樹脂転写型の作製直後における水分含有量と実質的に等しいことを特徴とする樹脂レンズの成形方法。 - 前記樹脂転写型の成形時における含水率の、前記樹脂転写型の作製直後における含水率に対する差は、0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂レンズの成形方法。
- 前記樹脂転写型の温度25℃湿度80%における飽和吸水率は、1.0重量%以上であることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の樹脂レンズの成形方法。
- 前記樹脂転写型の作製後から前記樹脂転写型による成形前まで前記樹脂転写型を真空保管することによって前記樹脂転写型の吸湿を防止することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂レンズの成形方法。
- 前記樹脂転写型による成形前に前記樹脂転写型を加熱乾燥することによって前記樹脂転写型の水分含有量を減少させることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂レンズの成形方法。
- 前記樹脂転写型と前記樹脂レンズとは、光硬化性樹脂で形成されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の樹脂レンズの成形方法。
- 前記樹脂転写型は、光透過性の基板と、前記基板の一方の基板面上に形成され前記型面を有する樹脂部とを有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の樹脂レンズの成形方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2014129342A1 (ja) * | 2013-02-19 | 2017-02-02 | 株式会社ダイセル | ウェハレベルレンズ用硬化性組成物、ウェハレベルレンズの製造方法及びウェハレベルレンズ、並びに光学装置 |
-
2010
- 2010-12-24 JP JP2010288918A patent/JP2012135914A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2014129342A1 (ja) * | 2013-02-19 | 2017-02-02 | 株式会社ダイセル | ウェハレベルレンズ用硬化性組成物、ウェハレベルレンズの製造方法及びウェハレベルレンズ、並びに光学装置 |
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