JP2012132856A - 回転軸保持機構及びこれを用いた回転粘度計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転する軸の回転中心から半径方向に距離hの接続点でヒンジにより軸に接続された可動辺と、互いに平行な複数の変形辺と、各変形辺の一端を可動辺に接続するヒンジと、各変形辺の多端を固定部に接続するヒンジとからなる平行バネリンクを少なくとも2つ備えた回転軸保持機構において、前記各変形辺の実行長をhとすることにより、軸の回転中心から半径方向に距離hの接続点でヒンジにより可動辺に接続された軸の回転を許容する回転軸保持機構又はそれを用いた回転粘度計。
【選択図】図4
Description
また、上記回転軸保持機構は、高精度のトルク測定が必要な分野の課題解決に向けて考案されたもので、特に、回転粘度計、或いは、回転粘度計型レオメータ(以下では、単に「回転粘度計」と記してもこの両者を指す。)におけるトルク測定に利用することを想定して考案されていることから、回転軸保持機構を有する粘度計に関するものである。
一方、並進運動する物体をバネの変形によって限られた範囲内で許容する保持機構は従来から知られている(特許文献1〜4参照)。
静的なトルク測定では、回転させる必要はないのでこの方法を用いることが出来る(回転しなくても、軸の回りに働くトルクだけを取り出すために、回転軸が固定される必要がある。)。複数の板バネを用いて、軸を懸架すれば、擬似的に回転軸を作ることが出来るが、しかし、単純な方法では、回転軸がバネの変形と共に移動し、回転に伴うトルク応力が大きな直線性からずれてしまうという問題ある。また、回転方向とそれ以外の方向の変形に対する応力係数の比を高めるための限界にもなり、高い軸精度を求めることは困難である。
また、本発明の回転軸保持機構は、上記各変形辺の両端のヒンジのバネ定数の総和を、上記接続点のヒンジのバネ定数に等しくしたことを特徴とする。
また、本発明は、上記回転軸保持機構を回転粘度計のトルク測定軸の保持機構として用いた回転粘度計。
また、本発明の回転軸保持機構を回転粘度計の軸受けに採用すれば、コンパクトで高精度な粘度計が実現できる。
平行バネは、理想的には、平行四辺形の頂点の角度のみ変わる構造で、一辺が固定され、それに繋がっている二辺が変形して、他の一辺を平行移動させるものである。物がずれ動くことが無いので、非常になめらかな移動が可能であり、高精度な計測が必要なところで、機構部品に使われている。可動側の辺の動きは、詳細に見ると、変形辺を半径とする円運動になっており、可動辺に固定された任意の一点は、変形辺の長さと向きによって定められる一点を中心とする円周上を動く。従って、この位置に、角度可変のヒンジを配置すれば、回転軸を構成する要素となることが分かる。この、任意の点は、可動辺上に存在する必要はなく、可動辺に相対位置が固定されていることのみが必要で、理論的には距離がいくら離れていてもよい。これにより構造設計の自由度が大きく向上する。但し、平行バネが一つでは、ヒンジの角度は自由であるため、回転軸を規定できない。2つ以上の場所から、同一の軸上に円運動の中心を持つヒンジを平行バネによって配置すれば、これらのヒンジを繋ぐ物体は、この軸に一致する回転軸を構成する。
図1において、Aは可動辺、Bは固定部、C1、C2は変形辺、Dはヒンジ、Oは回転軸(OからDに至る間は変形しない)である。そうすると、
(1)平行バネの可動辺Aは、半径hの弧を描く。
(2)回転軸Oの中心としたい場所より、平行バネに傾きと長さが一致する地点に回転軸Oと可動辺Aを接合するヒンジDを設ける。すると、OはAの円弧状の運動に従う回転軸を構成する。Dの位置に規定はないので、回転軸Oの位置は自由に設定できる。
(3)図1の平行バネによる回転系へのリンクが一つだけだと、ヒンジDによりOの位置は固定されない。しかし、方向の異なる二つ以上の平行バネによるリンクを組み合わせることで、回転軸Oの位置を決定できる。
板バネで結合している場合、変形辺は、傾くことで、見かけ上長くなる。回転軸との結合部の板バネの長さを変形辺の二つの結合部の板バネの長さの合計と合致させることで、この長さ効果を補償できる。
力の釣り合いから、変形辺の板バネの回転弾性係数と回転軸の係数を一致させることも必要である。
図2において、Aは可動辺、Bは固定部、Cは変形辺、Dは板バネ(ヒンジ)、Oは回転軸であり、図では、左側の変形辺Cは変形前の状態として描かれているが、実際には右側の変形辺Cと同様に変形して、2つの変形辺Cで平行四辺形リンクを構成するものである。
変形辺Cでは両端にそれぞれ長さ2a(=L)の板バネが角度2θだけ円弧状に曲がるとする。このとき、仮想的な平行四辺形の頂点は、円弧の中心点からθの角度の延長上にある。この点と接続点までの距離は、円弧の半径をRとおいて、Rtanθと表すことが出来る。実際の長さは、a=Rθなので、この差がずれとなる。回転軸側はヒンジが一つなので、一つで変形辺の二つ分の変化があるようにすればこれらのずれを相殺することが出来る。θは共通であるから、単純に、ヒンジの有効長を2倍にすることで、これが達成される。可動部(回転軸O)に力が働いていないと仮定すると(通常の使用方法)、回転軸からの力と、平行バネの固定側からの力は釣り合っている。これらは、ヒンジ部分の曲げモーメントとして働く、変形辺のヒンジは4つあり、これに対して、回転軸側のヒンジは一つで、これが同じ曲げ角で釣り合っている。そのためには、バネ定数はDの回転軸側が、Eの変形辺側の4倍である必要がある。(バネ定数が一致しない場合は、円弧状の変形でなくなり、理想長からのずれが正確に相殺されない。)
図3は、本発明の回転軸保持機構の一実施例を示す図であり、図4はその主要部を拡大した図である。
図3に、ワイヤカット加工等を用いて、本発明の回転軸保持機構を実現させた一例を示す。図3に示した例では、平行バネによるリンクが90°おきに4箇所導入されている。図3のAの部分が平行バネの可動部、Bの部分が平行バネの固定部を構成し、Oが回転軸である。図4は、図3で4箇所設けられた平行バネによるリンクの一つを拡大して示して説明するための図である。図4において、Aは平行バネの可動部、Bは平行バネの固定部(厳密には図3の形状と一致しないが説明のために簡略化して描いたものである)、Dはヒンジ、Eは平行バネのヒンジ、Oは軸である。
ヒンジ部Dはワイヤカットの半径がヒンジ部Eの2倍である。またヒンジ部の厚みも、DはEの2倍になっている。平行バネによるリンクが半径hの回転を行うと、可動部A上の任意の点も同様に半径hの回転を行いA上に設けられたヒンジDも半径hの回転を行う。このとき、ヒンジDが軸Oの回転中心からhの位置に設けられているので、軸Oが無理なく回転し、回転の中心がずれることがない。回転可能な範囲は、平行バネの可動範囲に一致し、この例では、±0.1ラジアン程度である。
回転に対する応力トルクを小さくする目的等には、ヒンジ部分を板バネを用いて制作することも可能である。
本発明の回転軸保持機構は平行バネ構造であるので、トルクと回転角度は、理論的には比例関係にある。よって、回転角度を測定すれば、トルクメータとして使用が可能である。このことを利用して、回転粘度計のトルク測定ユニットとすることができる。或いは、トルク測定軸が回転変位したときその回転変位を相殺するだけのトルクをトルク測定軸に負荷し、負荷したトルクの値を算出することによっても、トルクメータとして使用が可能である。
図5に従来の回転粘度計(共軸二重円筒型)を示し、図のa・e・fはトルク検出機構、bはエアベアリング、cは内筒・外筒、dは恒温槽、g・hは外筒の回転機構、iは恒温槽の昇降機構である。図5の回転粘度計では、回転させる円筒軸(外筒)とトルクを測定する円筒軸(内筒)が異なっており、内筒側の回転軸は殆ど回転しない。しかし、軸に掛かるトルクを精密に測定するためには、回転の負荷変動が小さいエアベアリングが使用されてきた。
そこで、本発明では、従来のエアベアリングbを、実施例1の回転軸保持機構で置き換えた回転粘度計とすることにより、コストと扱いやすさの両面でより優れた回転粘度計とすることが可能である。
このようにして得られた回転粘度計のトルクメータは、軸の剛性を高く、且つ、慣性モーメントを小さくできるので、回転粘度計のトルクメータとしては理想的である。これにより、測定可能な領域を広げることが出来る。慣性モーメントが小さいことで、応答速度が上昇し、特に、レオメータの周波数領域拡大に貢献する。高精度な回転粘度計では、これまで、トルク測定軸の保持に高価なエアベアリングが用いられてきたが、本発明の回転軸保持機構に置き換えることで、価格面だけでなく、性能の向上、メンテナンスの軽減や扱いやすさの向上が見込める。
Claims (3)
- 回転する軸の回転中心から半径方向に距離hの接続点でヒンジにより軸に接続された可動辺と、互いに平行な複数の変形辺と、各変形辺の一端を可動辺に接続するヒンジと、各変形辺の多端を固定部に接続するヒンジとからなる平行バネリンクを少なくとも2つ備えた回転軸保持機構において、
前記各変形辺の実行長をhとすることにより、軸の回転中心から半径方向に距離hの接続点でヒンジにより可動辺に接続された軸の回転を許容することを特徴とする回転軸保持機構。 - 前記各変形辺の両端のヒンジのバネ定数の総和を、前記接続点のヒンジのバネ定数に等しくしたことを特徴とする請求項1記載の回転軸保持機構。
- 請求項1又は2記載の回転軸保持機構を、回転粘度計のトルク測定軸の保持機構として用いた回転粘度計。
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