JP2012132600A - 冷蔵庫 - Google Patents

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尚宏 濱田
Hitoshi Takase
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【課題】結露水が長期間冷蔵庫内に保持されることにより生じる種々の問題を根本的に解決するとともに、結露水対策のための機器の増加や、消費電力の増加を招くことがない冷蔵庫を提供する。
【解決手段】食品を貯蔵する冷蔵貯蔵庫1と、前記冷蔵貯蔵庫1内の天井面に顕出した結露水を該天井面を伝って背面側又は側面側に導く結露対策機構7と、前記結露対策機構7により背面側又は側面側に導かれた結露水を排水する排水機構とを具備した。
【選択図】図1

Description

本発明は、結露対策機構を設けた冷蔵庫に関するものである。
家庭用冷蔵庫の冷蔵貯蔵室内は、温度が通常0℃以上の低温に保持されているので、貯蔵庫の扉開閉により外気水分が庫内に侵入すると、室内壁面で結露が発生する。この結露により生じた水内には、空気中の雑菌が混じっており、これらは壁面に付着している栄養分や水分を糧に増殖し、衛生上の問題が生じる恐れがある。
また、冷蔵貯蔵室内の天井面に形成した上記結露水が、自重や扉開閉時の衝撃で滴下した場合には、当該冷蔵貯蔵室内の底面において水たまりとなる等して、貯蔵品に直接雑菌が触れる可能性もある。
これらのような問題を解決するために、従来までは、天井面に結露水を受けるダクトを設ける等の様々な措置を施している。
例えば、特許文献1に記載の冷蔵庫の野菜室内には、傾斜した送風機カバーに結露した水滴を吸湿シート上に滴下する工夫をしているが、前記吸湿シートに結露水を滴下させるための循環送風機と、吸湿シートに蓄えられる水分が長期間あったとしても雑菌等が繁殖しないようにするための除菌用のマイナスイオン発生器を具備する必要がある。
これに対して、特許文献2では、多孔質の親水性に優れた透湿板を冷蔵貯蔵室壁面に配置しているが、この工夫は貯蔵室の高湿化を狙っており、結露問題は解決されていない。
特許文献3では、冷蔵貯蔵室の天井面に結露を受けるダクトを設け、そのダクトに親水処理が施されている。さらに、ダクトに貯蔵された結露水を再び貯蔵庫内の加湿に利用するようになっているが、結露対策そのものを行ったものではない。
以上のように、先行技術においては結露に対する幾つかの方策が提案されているが、これらの技術は結露水を利用することを前提とした方策であるため、再利用のための機構や、シート等に蓄えられた過剰な結露水を定期的に何らかの方法で排出する特別な機構を必要とし、装置の複雑化と高コスト化を招いている。
さらに、結露水を内部に保持し再利用するのは省エネ化にも相反する方法であるため、家庭用冷蔵庫の高効率化に対して、必ずしも得策であるとは言えない。
特開2004−028498号公報 特開2003−028555号公報 特開2004−170041号公報
本発明は上述したような問題点を鑑みてなされたものであり、結露水が長期間冷蔵庫内に保持されることにより生じる種々の問題を根本的に解決するとともに、結露水対策のための機器の増加や、消費電力の増加を招くことがない冷蔵庫を提供することを目的とする。
本発明では、前記の先行技術の問題を解決する方策として、冷蔵貯蔵室内の結露水を保持することなく室内外に排出する対策機構を冷蔵貯蔵庫内の天井面と背面に具備することにより、何ら付加機器を必要とせずに、結露による衛生上の問題点を解決するものである。
すなわち、本発明に係る冷蔵庫は、食品を貯蔵する冷蔵貯蔵室と、前記冷蔵貯蔵庫内の天井面に顕出した結露水を該天井面を伝って背面側又は側面側に導く結露対策機構と、前記結露対策機構により背面側又は側面側に導かれた結露水を排水する排水機構とを具備する特徴をもち、これにより上記の問題を解決する。
このようなものであれば、前記冷蔵貯蔵庫内の天井面に自然結露の機構を具備させることにより、先行技術では必要であった付加機器や付加電力を用いずとも結露を誘導でき、さらに得られた結露水を背面に具備した排出機構によりダクトへと導き排出可能としており、部品点数を少なくでき、極めて低コストかつ付加電力無しで結露水の排出を可能としている。さらに、結露水を長期間、前記冷蔵貯蔵室内に留まることなく排出することができるので、結露水による衛生上の問題を根本から解決することができる。
前記結露対策機構には、種々のものが考えうるが、その有効な方策として、前記天井面を、背面側又は側面側に結露水が移動するように傾斜させて構成する構成が考えられる。前記の構成を達成する具体的方法としては、前記天井面を、前面側よりも背面側が低くなるように、又は一方の側面側よりも他方の側面側が低くなるように、又は中央部よりも各側面が低くなるように傾斜させる方法が考えられる。
前記結露対策機構には、前記冷蔵貯蔵庫内の天井面に傾斜方向に沿って延伸するように設けられて結露水を導く溝を具備することにより、効率よく天井面にて結露させることが可能となる。その溝の高さは1.5mm以上、幅3mm以下で、溝のピッチが3mm以上9mm以下であるように寸法設計することにより、所望のように天井面にて結露させることが可能である。なお、この寸法諸元の範囲については、実験的な考察により導かれている。
さらに、効率よく天井面に結露させる他の機構として、天井面にサンドブラスト処理などの親水処理を施すことにより結露水の表面張力を低下させる機構も利用できる。
一旦、前記冷蔵貯蔵室内の天井面において結露水が得られた後には、前記冷蔵貯蔵庫の背面に設けられた結露水を排水する機構へ、結露水を導く必要があるが、その構造として、前記冷蔵貯蔵庫内の天井面を、扉から背面に向かって5°以上傾斜するようにする。
他方、前記冷蔵貯蔵庫内の底面については、所定距離上方に配置され、水を透過させるとともに貯蔵物は保持する保持部材をさらに具備していることを特徴としている。この前記保持部材には、どのようなものを利用してもよいが、ワイヤラックを用いるのが有効である。これにより、貯蔵する野菜が底面を流れる結露水と直接接触しないで、結露水を流すことができる。
また、前記冷蔵貯蔵庫内の結露水を排出するために、前記冷蔵貯蔵庫内の背面と底面に通じるダクトを具備するようにする。これにより、背面の結露水を排水する機構を通じて集められた天井面からの結露水とともに、底面を流れる結露水を貯蔵する野菜が結露水と直接接触することなく集めることが可能となる。
このように本発明によれば、従来先行技術がもつ多くの課題を本質的に解決することができる。すなわち、前記冷蔵貯蔵庫内の天井面に自然結露の機構を具備させることにより、先行技術では必要であった付加機器や付加電力を用いずとも結露を誘導でき、さらに得られた結露水を背面に具備した排出機構によりダクトへと導き排出可能としており、部品点数を少なくでき、極めて低コストかつ付加電力無しで結露水の排出を可能としている。さらに、結露水を長期間前記冷蔵貯蔵室内に留まることなく排出することができるので、結露水による衛生上の問題を根本から解決することができる。また、底面はワイヤラック状から構成され、貯蔵する野菜が底面を流れる結露水と直接接触することがないので、生鮮品においては、特に鮮度保持において有利となる。
本発明の一実施形態に係る冷蔵庫の内部を示す模式的断面図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に、本発明の実施形態の一例である冷蔵庫1の冷蔵貯蔵庫たる野菜室1の部分のみを図示したものを示す。本実施形態に係る結露対策機構を有する冷蔵庫1は、前記冷蔵庫ドア2、前記上面外壁3、前記背面外壁4、前記下面外壁5と、その内部に、庫内天井部材6、庫内底部材8、庫内背部部材9と、を具備する。
前記冷蔵庫ドア2及び庫内底面部材8は、一体となって前後に摺動可能に前記上面外壁3、前記背面外壁4、前記下面外壁5とで形成される空間内に収容又は引き出し可能に取り付けてある。
さらに、前記庫内底面部材8は断面視で概略L字上のものであり、垂直部材と水平部材とから構成され、前記水平部材の上には、ワイヤラック10が配置される。また、庫内底面部材8の背面側に、野菜室の内部から外部へと通じるダクト11が上下方向に伸びるように設けられている。
前記庫内天井部材6は、概略三角柱状の部材であり、その野菜室内部に接する面である天井面を前記冷蔵庫ドア2から庫内背面部材9に向かって傾斜させる、前面側よりも背面側が低くなるように構成することにより、結露水を背面側に導いている。その傾斜角度を5°以上にすることにより効率よく結露水を導くことができる。
また、前記庫内天井部材6に形成された天井面は、その断面表面7に示したように、その傾斜方向に沿って延伸するように結露水を導く溝を形成することにより、効率よく天井面にて結露させることが可能となる。その溝の高さは1.5mm以上、幅3mm以下で、溝のピッチが3mm以上9mm以下であるように寸法設計することにより、所望のように天井面にて結露させることが可能である。また、このように溝を形成することにより、ドアの開け閉めなどの衝撃では結露水が滴下しにくく、且つ、天井面に沿って背面側へと移動させることができるように構成してある。以上のように前記天井面及び天井面の表面構造により結露対策機構を形成してある。
前記ワイヤラック10は、前記庫内底面部材8の水平部材部分の上に載置してあるものである。前記水平部材部分も前面側から背面側へと傾斜面を有するようにしてある。その傾斜面と略平行となる面を上面に有するように前記ワイヤラック10は構成してある。すなわち、所定距離上方に配置され、水を透過させるとともに貯蔵物は保持する保持部材として、ワイヤラック10を設けてあるので、前記水平部材の傾斜面で結露した結露水は、その傾斜に沿って前面側から背面側へと移動して、ワイヤラック10上に載置して貯蔵する野菜が底面を流れる結露水と直接接触しないようにして、底面に発生した結露水をダクト11へと流すことができる。この傾斜面及びワイヤラック10の上面も天井面と同様に5%程度の傾斜をつけてある。
また、前述したような位置に前記ダクト11を設けてあるので、天井面で結露した結露水が、天井面から庫内背面部材9の表面を伝って前記ダクト11へと移動させて排出することができる。このようにダクト11及び前記背面により排水機構を形成してある。
このように本実施形態の冷蔵庫1によれば、付加機器や付加電力を用いずとも主に形状のみで結露をダクト11に誘導でき、さらに得られた結露水を背面に具備した排出機構によりダクトへと導き排出可能としており、部品点数を少なくでき、極めて低コストかつ付加電力無しで結露水の排出を可能としている。さらに、結露水を長期間前記冷蔵貯蔵室内に留まることなく排出することができるので、結露水による衛生上の問題を根本から解決することができる。また、底面はワイヤラック状から構成され、貯蔵する野菜が底面を流れる結露水と直接接触することがないので、生鮮品においては、特に鮮度保持において有利となる。
その他の実施形態について説明する。
前記実施形態では、天井面に顕出した結露水を天井面に沿って背景面側へと移動させていたが、傾斜方向を例えば天井面中央部から側面側へと傾斜し、天井部の中央部が書く側面よりも低くしたもの等にして、側面側へと結露水を導くように構成してもかまわない。天井面を片方の側面側よりも、もう片方の側面側のほうが低くなるように形成してもかまわない。
効率よく天井面に結露させる他の機構として、天井面にサンドブラスト処理などの親水処理を施すことにより結露水の表面張力を低下させ、背面側への移動を容易にする機構であってもよい。
また、本発明は、冷蔵庫の野菜室に限られるものではなく、その他の部位に適用してもかまわない。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨に反しない限りにおいて様々な変形や、実施形態の組み合わせを行うことが可能である。
1・・・冷蔵庫
2・・・冷蔵庫ドア
3・・・上面外壁
4・・・背面外壁
5・・・下面外壁
6・・・庫内天井部材
7・・・庫内天井部材の天井面の表面
8・・・庫内底面部材
9・・・庫内背面部材
10・・・ワイヤラック構造
11・・・ダクト

Claims (11)

  1. 食品を貯蔵する冷蔵貯蔵庫と、
    前記冷蔵貯蔵庫内の天井面に顕出した結露水を該天井面を伝って背面側又は側面側に導く結露対策機構と、
    前記結露対策機構により背面側又は側面側に導かれた結露水を排水する排水機構とを具備する冷蔵庫。
  2. 前記結露対策機構が、前記天井面を、背面側又は側面側に結露水が移動するように傾斜させて構成したものである請求項1記載の冷蔵庫。
  3. 前記天井面を、前面側よりも背面側が低くなるように、又は一方の側面側よりも他方の側面側が低くなるように、又は中央部よりも各側面が低くなるように傾斜させている請求項1乃至2いずれかに記載の冷蔵庫。
  4. 前記結露対策機構が、前記冷蔵貯蔵庫内の天井面に傾斜方向に沿って延伸するように設けられて結露水を導く溝を具備するものである請求項1乃至3いずれかに記載の冷蔵庫。
  5. 前記結露対策機構が、前記天井面上に設けられて結露水を導く溝を具備し、該溝の高さが1.5mm以上、幅3mm以下で、溝のピッチが3mm以上9mm以下である請求項1乃至4いずれかに記載の冷蔵庫。
  6. 前記結露対策機構が、前記冷蔵貯蔵庫内の天井面にサンドブラスト処理などの親水処理を施して構成されたものである請求項1乃至5いずれかに記載の冷蔵庫。
  7. 前記天井面の傾斜角度が、5°以上である請求項2乃至6いずれかに記載の冷蔵庫。
  8. 前記冷蔵貯蔵庫内の底面から所定距離上方に配置され、水を透過させるとともに貯蔵物は保持する保持部材をさらに具備している請求項1乃至7いずれかに記載の冷蔵庫。
  9. 前記保持部材がワイヤラックである請求項8記載の冷蔵庫。
  10. 前記冷蔵貯蔵庫内の結露水を排出するためのダクトを有する請求項1乃至9いずれかに記載の冷蔵庫。
  11. 前記冷蔵貯蔵庫が、野菜室である請求項1乃至10いずれかに記載の冷蔵庫。
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