JP2012132497A - 歯車の回転ロック機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る歯車の回転ロック機構は、歯車25の歯溝25mに挿入されて、歯25zの歯面25eを押さえる第1の挿入部材31と、別の歯溝25mに挿入されて、別の歯25zの歯面25eを押さえる第2の挿入部材32と、第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とをそれぞれ対応する歯溝25mに挿入し、あるいは歯溝25mから引き出せるように構成されたアクチュエータとを有しており、第1の挿入部材31が歯25zの歯面25eを押さえた状態で正転が禁止され、第2の挿入部材32が別の歯25zの歯面25eを押さえた状態で逆転が禁止される。
【選択図】図3
Description
特許文献1の歯車の回転ロック機構は、ネジ式クランプにおいて使用される機構である。前記歯車の回転ロック機構は、図10に示すように、切替えラッチ114と、その切替えラッチ114を第1の位置(図10参照)と第2の位置に保持するボール117及びバネ118とを備えている。そして、前記ボール117が切替えラッチ114の第1受け面114aを押圧し、その切替えラッチ114の第1突起115が歯車102と嵌合している状態(第1の位置)で、回転体100に対するハンドル110の右方向(B矢印)の回転が禁止される。即ち、ハンドル110により回転体100を右方向(B矢印)に回転させることができる。また、この状態で、回転体100に対するハンドル110の左回転(A矢印)が許容され、回転体100を被締付部材(図示省略)に保持した状態でハンドル110を左回転(A矢印)させることができる。
また、切替えラッチ114を第2の位置、即ち、ボール117が切替えラッチ114の第2受け面114bを押圧して、第2突起116が歯車102と嵌合している位置に切替えると、上記とは逆に回転体100に対するハンドル110の左回転(A矢印)が禁止され、バネ118に抗して右回転(B矢印)が許容される。
ここで、歯車を正転と逆転の両方向にロックする構造として、図11に示すように、ウォーム120とウォームホイール122との噛合作用を利用する構成が考えられる。即ち、モータ124でウォーム120を停止させることでウォームホイール122を正転と逆転の両方向にロックすることができる。しかし、この構成では、例えば、モータ124の故障等でウォーム120が停止状態に保持されるとウォームホイール122の回転ロックを解除できなくなるという問題がある。
請求項1の発明は、歯車の歯溝に挿入されて、その歯溝を構成する歯の歯面を押さえることができる第1の挿入部材と、前記歯車の別の歯溝に挿入されて、その歯溝を構成する別の歯の歯面を押さえることができる第2の挿入部材と、前記第1の挿入部材と第2の挿入部材とをそれぞれ対応する歯溝に挿入し、あるいは前記歯溝から引き出せるように構成されたアクチュエータとを有しており、前記第1の挿入部材が前記歯の歯面を押さえた状態で前記歯車の正転が禁止され、前記第2の挿入部材が前記別の歯の歯面を押さえた状態で前記歯車の逆転が禁止される構成であることを特徴とする。
また、アクチュエータの動作により、第1の挿入部材と第2の挿入部材とをそれぞれ対応する歯溝から引き出すことで歯車のロックを容易に解除できるようになる。
このように、第1の挿入部材と第2の挿入部材とが連結ピンを介して連結されているため、第1の挿入部材と第2の挿入部材とを同時に一つのアクチュエータで動作させることが可能になる。
即ち、第1の挿入部材、あるいは第2の挿入部材には、その第1の挿入部材、第2の挿入部材を長手方向から押圧するように歯車の回転力が加わるようになる。したがって、第1の挿入部材、あるいは第2の挿入部材の強度が最も大きな部分で歯車の回転力を受けられるようになり、第1の挿入部材、第2の挿入部材を薄肉化して軽量化を図ることが可能になる。
このため、弾性体の弾性力に抗して第1の挿入部材と第2の挿入部材とを引き出し方向に移動させることが可能であり、前記アクチュエータの故障時にもロック解除が可能になる。
請求項6の発明によると、アクチュエータは、弾性体の弾性力に抗して第1の挿入部材と第2の挿入部材とを引き出し方向に移動させるソレノイドを備えていることを特徴とする。
以下、図1から図9に基づいて本発明の実施形態1に係る歯車の回転ロック機構について説明する。本実施形態に係る歯車の回転ロック機構は、テーブルスライド機構において使用されるラック・アンド・ピニオン機構のピニオンの回転をロックするための機構である。
ここで、図中に記載された前後左右、および上下は、テーブルスライド機構の前後左右、及び上下に対応している。
先ず、歯車の回転ロック機構30について説明する前に、テーブルスライド機構10について簡単に説明する。
テーブルスライド機構10は、図2の模式図に示すように、水平な可動テーブル12をテーブル支持架台14に対して前後スライドさせるための機構である。テーブルスライド機構10は、可動テーブル12を前後スライドさせる駆動機構としてラック・アンド・ピニオン機構20を備えている。ラック・アンド・ピニオン機構20は、図1、図2に示すように、前記可動テーブル12の下面に前後方向に延びるように固定されたラック22と、テーブル支持架台14側に固定されたモータ及び減速器24(以下、モータ24という)の出力軸24pに固定されたピニオン25と、ピニオン25の回転をロックする歯車の回転ロック機構30とから構成されている。
歯車の回転ロック機構30は、ピニオン25を正転と逆転との両方向にロックするための機構である。歯車の回転ロック機構30は、図1、図3(A)(B)に示すように、第1の挿入部材31と、第2の挿入部材32と、連結機構34と、ソレノイド36、及びコイルバネ38とから構成されている。
第1の挿入部材31は、ピニオン25の左回転(正転)を禁止する部材であり、図3(A)等に示すように、先端側が細い帯板状に形成されている。第1の挿入部材31の基端部は端面が半円形に形成されており、その半円と同軸になるように、第1の挿入部材31の基端部には貫通孔31kが形成されている。そして、第1の挿入部材31の貫通孔31kに、図4に示すように、テーブル支持架台14の縦壁14wに固定された第1支持部材15の支持ピン部15pが挿通されている。
第1の挿入部材31の中央部先端寄りの位置には、図3(A)に示すように、長穴状のカム穴31aが形成されている。さらに、第1の挿入部材31の先端部には、ピニオン25の歯溝25mに挿入可能に構成された挿入角部31kが形成されている。そして、挿入角部31kの先端面31fがピニオン25の歯面25eと当接可能に構成されている。
第2の挿入部材32の中央部先端寄りの位置には、図3(B)に示すように、長穴状のカム穴32aが形成されており、先端部にはピニオン25の歯溝25mに挿入可能に構成された挿入角部32kが形成されている。そして、挿入角部32kの先端面32fがピニオン25の歯面25eと当接可能に構成されている。
ソレノイド36は、図1に示すように、ソレノイド本体36mと、前記駆動軸36jとから構成されている。そして、ソレノイド36の駆動軸36jが連結機構34の連結バー34bの延長線上に配置されるように、ソレノイド本体36mがテーブル支持架台14の縦壁14w(図4参照)の所定位置に取付けられている。
ソレノイド36の駆動軸36jの回りには、コイルバネ38が装着されている。コイルバネ38は、ソレノイド本体36mの通電が解除された状態で、前記駆動軸36jをソレノイド本体36mから軸方向に突出させられるように付勢されている。また、ソレノイド本体36mが通電されると、前記駆動軸36jはコイルバネ38のバネ力に抗してソレノイド本体36m内に引き込まれるようになる。
先ず、歯車の回転ロック機構30のロック解除動作について説明する。
ラック・アンド・ピニオン機構20のピニオン25の回転ロックを解除する場合には、ソレノイド36のソレノイド本体36mを通電する(通電オン)。これにより、ソレノイド36の駆動軸36jがコイルバネ38のバネ力に抗してソレノイド本体36m内に引き込まれ、連結機構34の連結バー34bが駆動軸36jに引っ張られて図1、図5において前斜め下方に移動する。そして、連結バー34bの前斜め下方移動に伴い、連結バー34bの先端位置に設けられた連結ピン34pが前斜め下方に移動する。これにより、連結ピン34pが第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とのカム穴31a,32aの内壁面を前斜め下方に引っ張るようになる。この結果、図5に示すように、第1の挿入部材31が支持ピン部15pを中心に左回動し、第2の挿入部材32が支持ピン部16pを中心に右回動して、その第1の挿入部材31の挿入角部31kと第2の挿入部材32の挿入角部32kとがそれぞれピニオン25の歯溝25mから引き抜かれる。これにより、前記ピニオン25の回転ロックが解除される。
また、図6に示す回転ロック状態で、前記ピニオン25が右回転(逆転)させられると、第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とに挟まれた歯25zの下隣に位置する歯25zの歯面25eが第2の挿入部材32の先端面32f(図7参照)に当接するようになる。これにより、前記ピニオン25の右回転(逆転)が禁止される。このときにも、ピニオン25の回転力が第2の挿入部材32の長手方向に加わるようになる。
即ち、ピニオン25が左回転(正転)すると、挟まれた下側の歯25zが第1の挿入部材31と第2の挿入部材32との間から外れ、挟まれた歯25zの上隣の歯25zの歯面25eが第1の挿入部材31の先端面31fに当接する。これにより、前記ピニオン25の左回転(正転)が禁止される。
また、図9の状態からピニオン25が右回転(逆転)すると、挟まれた上側の歯25zが第1の挿入部材31と第2の挿入部材32との間から外れ、挟まれた歯25zの下隣の歯25zの歯面25eが第2の挿入部材32の先端面32fに当接する。これにより、前記ピニオン25の右回転(逆転)が禁止される。
ここで、回転ロック状態において、仮にソレノイド36が故障等した場合には、手動で連結機構34の連結バー34bをコイルバネ38のバネ力に抗して前斜め下方に移動させることで、回転ロック状態を解除することが可能になる。
即ち、前記ソレノイド36及びコイルバネ38等が本発明のアクチュエータに相当する。
本実施形態に係る歯車の回転ロック機構30によると、ソレノイド36、コイルバネ38(アクチュエータ)の動作により、第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とをそれぞれ対応する歯溝25mに挿入することで、第1の挿入部材31で歯25zの歯面25eを押さえ、第2の挿入部材32で別の歯25zの歯面25eを押さえることができる。これにより、ピニオン25(歯車)の正転と逆転とが禁止される。即ち、ピニオン25(歯車)を正転と逆転との両方向にロックできるようになる。
また、ソレノイド36の動作により、第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とをそれぞれ対応する歯溝25mから引き出すことでピニオン25(歯車)のロックを容易に解除できるようになる。
また、第1の挿入部材31、あるいは第2の挿入部材32には、その第1の挿入部材31、第2の挿入部材32を長手方向から押圧するようにピニオン25の回転力が加わるようになる。このため、第1の挿入部材31、あるいは第2の挿入部材32の強度が最も大きな部分でピニオン25の回転力を受けられるようになり、第1の挿入部材31、第2の挿入部材32を薄肉化して軽量化を図ることが可能になる。
また、回転ロック状態において、コイルバネ38のバネ力に抗して第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とを引き抜き方向に移動させることが可能な構成であるため、ソレノイド36の故障時等にもロックを解除できるようになる。
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とを交差させて連結ピン34pにより連結し、一台のソレノイド36によって同時に両挿入部材31,32を動作させる例を示した。しかし、ソレノイド36を二組設け、各々のソレノイド36によって第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とを個別に動作させる構成でも可能である。また、第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とを個別に動作させる場合に、第1の挿入部材31と第2の挿入部材32とをピニオン25の中心を挟んで一端側と他端側とに配置することも可能である。
また、本実施形態では、ラック・アンド・ピニオン機構20のピニオン25の回転ロック機構について説明したが、本発明をピニオン25以外の円形の歯車に適用することも可能である。
25z・・・歯
25m・・・歯溝
25e・・・歯面
31・・・・第1の挿入部材
31a・・・カム穴
31f・・・先端面
32・・・・第2の挿入部材
32f・・・先端面
32a・・・カム穴
34p・・・連結ピン
36・・・・ソレノイド(アクチュエータ)
36j・・・駆動軸(アクチュエータ)
38・・・・コイルバネ(アクチュエータ)
Claims (6)
- 歯車の歯溝に挿入されて、その歯溝を構成する歯の歯面を押さえることができる第1の挿入部材と、
前記歯車の別の歯溝に挿入されて、その歯溝を構成する別の歯の歯面を押さえることができる第2の挿入部材と、
前記第1の挿入部材と第2の挿入部材とをそれぞれ対応する歯溝に挿入し、あるいは前記歯溝から引き出せるように構成されたアクチュエータとを有しており、
前記第1の挿入部材が前記歯の歯面を押さえた状態で前記歯車の正転が禁止され、前記第2の挿入部材が前記別の歯の歯面を押さえた状態で前記歯車の逆転が禁止される構成であることを特徴とする歯車の回転ロック機構。 - 請求項1に記載された歯車の回転ロック機構であって、
第1の挿入部材と第2の挿入部材とは、互いに交差するように配置されて、交差部分が連結ピンによって相対回動可能なように連結されており、
前記第1の挿入部材の先端部と第2の挿入部材の先端部とが互いに接近するように両挿入部材が相対回動することで、前記第1の挿入部材の先端部と前記第2の挿入部材の先端部とが前記歯車の対応する歯溝に挿入されるように構成されていることを特徴とする歯車の回転ロック機構。 - 請求項2に記載された歯車の回転ロック機構であって、
前記第1の挿入部材と第2の挿入部材とには、前記連結ピンが通される長穴状のカム穴が形成されており、前記連結ピンと前記カム穴との働きで前記第1の挿入部材の先端部と第2の挿入部材の先端部との移動軌跡が設定されていることを特徴とする歯車の回転ロック機構。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載された歯車の回転ロック機構であって、
前記第1の挿入部材と第2の挿入部材とは、前記歯車の回転力を長手方向における端面で受ける構成で、前記歯車の回転力が第1の挿入部材、あるいは第2の挿入部材の長手方向に加わるように、前記第1の挿入部材と第2の挿入部材とが配置されていることを特徴とする歯車の回転ロック機構。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載された歯車の回転ロック機構であって、
前記アクチュエータは、前記第1の挿入部材と第2の挿入部材とを常に挿入方向に付勢する弾性体を備えていることを特徴とする歯車の回転ロック機構。 - 請求項5に記載された歯車の回転ロック機構であって、
前記アクチュエータは、前記弾性体の弾性力に抗して前記第1の挿入部材と第2の挿入部材とを引き出し方向に移動させるソレノイドを備えていることを特徴とする歯車の回転ロック機構。
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