JP2012132097A - ばね用鋼、ばね用鋼線及びばね - Google Patents
ばね用鋼、ばね用鋼線及びばね Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012132097A JP2012132097A JP2011257311A JP2011257311A JP2012132097A JP 2012132097 A JP2012132097 A JP 2012132097A JP 2011257311 A JP2011257311 A JP 2011257311A JP 2011257311 A JP2011257311 A JP 2011257311A JP 2012132097 A JP2012132097 A JP 2012132097A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- spring
- less
- amount
- steel
- spring steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Springs (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明は、質量%で、C:0.15〜0.40%、Si:0.40%以上、1.0%未満、Mn:0.2〜2%、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、Cr:0.01〜1.2%、Ti:0.005〜0.1%、B:0.005%以下(0%を含まない)、N:0.002〜0.015%を含有し、残部が鉄および不可避不純物であることを特徴とするばね用鋼である。また前記ばね用鋼を、焼入れした後、焼戻しをすることなく、スキンパス伸線して得られ、引張強さが1900MPa以上、耐力比が0.90以上であるばね用鋼線も本発明に包含される。
【選択図】なし
Description
れており、焼戻しを行わない焼入れのままで高強度、高靭性を確保する方法が要求されている。
本発明は、上記したばね用鋼を、焼入れした後、焼戻しをすることなく、スキンパス伸線して得られ、引張強さが1900MPa以上、耐力比が0.90以上であるばね用鋼線、およびこのばね用鋼線を、冷間でコイリングして得られるばねも包含する。
Cは、鋼の焼入れ性を高め、強度を確保するために有用な元素である。そこで、C量を0.15%以上と定めた。C量は、好ましくは0.18%以上、より好ましくは0.21%以上である。一方、C量が過剰になると強度が向上して靭性が低くなり、引抜き加工中に断線する。そこでC量を0.40%以下と定めた。C量は、好ましくは0.37%以下、より好ましくは0.35%以下である。
Siは、固溶強化により鋼の強度と耐力を確保するために有用な元素である。そこでSi量を0.40%以上と定めた。Si量は、好ましくは0.45%以上であり、より好ましくは0.50%以上である。一方、Si量が過剰になるとフェライト生成することによって伸線性が低下し、また粒界酸化が顕著となる。そこで、Si量は1.0%未満と定めた。Si量は、好ましくは0.95%以下であり、より好ましくは0.90%以下である。
Mnは、鋼の焼入れ性を高め、強度を確保するために有用な元素である。また、硫化物系介在物を形成することによって、Sによる粒界脆化を抑制し、靭性を向上させることができる。そこで、Mn量を0.2%以上と定めた。Mn量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは0.8%以上である。一方、Mn量が過剰になると、熱間圧延後に過冷組織が発生し、靭性が劣化する。また硫化物系介在物が過剰に生成したり、粗大化して、靭性が劣化する。そこでMn量を2%以下と定めた。Mn量は、好ましくは1.8%以下であり、より好ましくは1.6%以下である。
Pは、旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させるので、できるだけ抑制する必要がある。そこでP量を0.03%以下と定めた。P量は、好ましくは0.020%以下であり、より好ましくは0.015%以下である。P量の下限は特に限定されないが、通常0.003%程度である。
Sは、Pと同様に、旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させるので、できるだけ抑制する必要がある。そこで、S量を0.02%以下と定めた。S量は、好ましくは0.015%以下であり、より好ましくは0.010%以下である。S量の下限は特に限定されないが、通常0.003%程度である。
Crは、Mnと同様に、鋼の焼入れ性向上に有用な元素である。そこでCr量を0.01%以上と定めた。Cr量は、好ましくは0.03%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。一方、Cr量が過剰になると、焼入れ時に炭化物の溶け込みが起こりにくくなり、所定の強度を達成できなくなる。そこで、Cr量を1.2%以下と定めた。Cr量は、好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.7%以下である。
Tiは、焼入れ後の旧オーステナイト結晶粒を微細化して靭性を向上させる効果を有する元素である。そこでTi量は、0.005%以上と定めた。Ti量は、好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.02%以上である。一方、Ti量が過剰になると粗大な介在物(例えば、Ti窒化物)が析出し、焼入れ後の軽度の冷間加工(スキンパス伸線など)時に鋼線が破断する。そこでTi量は、0.1%以下と定めた。Ti量は、好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.06%以下である。
Bは、鋼の焼入れ性を向上させ、また鋼線またはばねの延性や靭性を向上させるのに有用な元素である。このような効果を有効に発揮させるため、B量は0.0005%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.0010%以上である。一方、B量が過剰になっても上記効果が飽和するため、B量は0.005%以下とする。B量は、好ましくは0.0040%以下であり、より好ましくは0.0035%以下である。
Nは、CrやTiなどと窒化物を形成して結晶粒を微細にする効果を有する元素である。そこで、N量を0.002%以上と定めた。N量は、好ましくは0.003%以上であり、より好ましくは0.004%以上である。一方、N量が過剰になると、前記窒化物が粗大化して伸線中に断線する可能性がある。そこでN量を、0.015%以下と定めた。N量は、好ましくは0.012%以下であり、より好ましくは0.009%以下である。
NiおよびCuは、いずれも鋼の焼入れ性を高めて、強度を向上させるのに有用な元素である。さらに、Niは、鋼の低温脆化を防ぐ作用があり、Cuはフェライト脱炭を抑制し、表層部の初析フェライト分率を低下させ、表層硬度を上昇させる作用を有する。このような作用を有効に発揮させるために、Ni量、Cu量はいずれも、0.05%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.10%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上である。一方、Ni量が過剰になると焼入れ時に残留オーステナイトが多量に残り、強度が低下してしまう。またCu量が過剰になると前記効果は飽和し、むしろ熱間圧延による素材の脆化を引き起こす恐れが生じる。そこでNi量は2%以下とすることが好ましく、Cu量は0.5%以下とすることが好ましい。Ni量は、より好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.8%以下である。Cu量は、より好ましくは0.4%以下であり、さらに好ましくは0.35%以下である。
NbおよびVは、いずれも焼入れ後の旧オーステナイト結晶粒を微細化して強度や耐力比を向上させ、また靭性を向上させて耐へたり性の向上に寄与する元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Nb量は0.005%以上とすることが好ましく、V量は0.05%以上とすることが好ましい。Nb量は、より好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.013%以上である。V量は、より好ましくは0.10%以上、さらに好ましくは0.13%以上である。一方、Nb量及びV量が過剰になると、粗大な炭窒化物を形成することによって靭性が劣化し、伸線ができなくなる。そこでNb量は0.05%以下とすることが好ましく、V量は0.25%以下とすることが好ましい。Nb量は、より好ましくは0.04%以下、さらに好ましくは0.03%以下である。V量は、より好ましくは0.23%以下、さらに好ましくは0.20%以下である。
Moは、靭性を高めて耐へたり性の向上に寄与する元素であり、また焼入れ性を高めて、鋼の強度と靭性を高める元素である。こうした効果を有効に発揮させるため、Mo量は0.05%以上とすることが好ましい。Mo量は、より好ましくは0.10%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上である。一方、Mo量が過剰になっても、上記効果は飽和するため、Mo量は0.6%以下とすることが好ましい。Mo量は、より好ましくは0.50%以下であり、さらに好ましくは0.40%以下である。
実験No.1〜15については、焼入れままの線材および引抜き加工後の線材について、実験No.16については、焼入れ・焼戻し後の線材について、JIS Z2241に基づいて引張り試験を行い、引張強さ(TS)、0.2%耐力(表2では、「0.2%YP」と示す)、破断面の最小断面積(A)を測定した。引張強さ(TS)と0.2%耐力(0.2%YP)から耐力比(0.2%耐力/引張強さ)を計算し、引張り試験片の原断面積(A0)と破断面の最小断面積(A)から減面率(RA)を計算した。
実験No.1〜15は引抜き加工後の線材から、実験No.16は焼入れ・焼戻し後の線材から、機械加工によって腐食試験片を切り出し、下記の手順によって腐食試験を行った。5%NaCl水溶液を用いて、前記腐食試験片に8時間、塩水噴霧を行った後、35℃、相対湿度60%の湿潤環境で16時間保持するという組み合わせを1サイクルとし、これを14サイクル繰り返した。試験前後の試験片の質量差を腐食減量とした。
Claims (6)
- 質量%で、
C :0.15〜0.40%、
Si:0.40%以上、1.0%未満、
Mn:0.2〜2%、
P :0.03%以下(0%を含まない)、
S :0.02%以下(0%を含まない)、
Cr:0.01〜1.2%、
Ti:0.005〜0.1%、
B :0.005%以下(0%を含まない)、
N :0.002〜0.015%
を含有し、残部が鉄および不可避不純物であることを特徴とするばね用鋼。 - 更に、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCu:0.5%以下(0%を含まない)から選択される少なくとも一種を含有する請求項1に記載のばね用鋼。
- 更に、Nb:0.05%以下(0%を含まない)およびV:0.25%以下(0%を含まない)から選択される少なくとも一種を含有する請求項1または2に記載のばね用鋼。
- 更に、Mo:0.6%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のばね用鋼。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のばね用鋼を、焼入れした後、焼戻しをすることなく、スキンパス伸線して得られ、引張強さが1900MPa以上、耐力比が0.90以上であることを特徴とするばね用鋼線。
- 請求項5に記載のばね用鋼線を、冷間でコイリングして得られるばね。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011257311A JP5679455B2 (ja) | 2010-11-30 | 2011-11-25 | ばね用鋼、ばね用鋼線及びばね |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010266782 | 2010-11-30 | ||
JP2010266782 | 2010-11-30 | ||
JP2011257311A JP5679455B2 (ja) | 2010-11-30 | 2011-11-25 | ばね用鋼、ばね用鋼線及びばね |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012132097A true JP2012132097A (ja) | 2012-07-12 |
JP5679455B2 JP5679455B2 (ja) | 2015-03-04 |
Family
ID=46648009
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011257311A Expired - Fee Related JP5679455B2 (ja) | 2010-11-30 | 2011-11-25 | ばね用鋼、ばね用鋼線及びばね |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5679455B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104060180A (zh) * | 2014-07-01 | 2014-09-24 | 南通志邦新材料科技有限公司 | 一种高性能弹簧钢板材料 |
CN106195084A (zh) * | 2016-07-06 | 2016-12-07 | 安徽红桥金属制造有限公司 | 一种机车专用扭力弹簧及其加工工艺 |
CN111705261A (zh) * | 2020-05-25 | 2020-09-25 | 湖北神风汽车弹簧有限公司 | 一种高应力弹簧钢及其制备工艺 |
CN115522154A (zh) * | 2022-10-09 | 2022-12-27 | 浙江吉利控股集团有限公司 | 一种稳定杆及其制备方法、悬架总成和车辆 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1053814A (ja) * | 1996-06-05 | 1998-02-24 | Kobe Steel Ltd | 溶接性に優れた高強度熱延鋼材及びこれを用いた高強度鋼線並びに高強度棒鋼 |
JP2010185109A (ja) * | 2009-02-12 | 2010-08-26 | Jfe Bars & Shapes Corp | 耐食性と低温靭性に優れた車両用高強度スタビライザ用鋼及びその製造方法とスタビライザ |
-
2011
- 2011-11-25 JP JP2011257311A patent/JP5679455B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1053814A (ja) * | 1996-06-05 | 1998-02-24 | Kobe Steel Ltd | 溶接性に優れた高強度熱延鋼材及びこれを用いた高強度鋼線並びに高強度棒鋼 |
JP2010185109A (ja) * | 2009-02-12 | 2010-08-26 | Jfe Bars & Shapes Corp | 耐食性と低温靭性に優れた車両用高強度スタビライザ用鋼及びその製造方法とスタビライザ |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104060180A (zh) * | 2014-07-01 | 2014-09-24 | 南通志邦新材料科技有限公司 | 一种高性能弹簧钢板材料 |
CN106195084A (zh) * | 2016-07-06 | 2016-12-07 | 安徽红桥金属制造有限公司 | 一种机车专用扭力弹簧及其加工工艺 |
CN111705261A (zh) * | 2020-05-25 | 2020-09-25 | 湖北神风汽车弹簧有限公司 | 一种高应力弹簧钢及其制备工艺 |
CN115522154A (zh) * | 2022-10-09 | 2022-12-27 | 浙江吉利控股集团有限公司 | 一种稳定杆及其制备方法、悬架总成和车辆 |
CN115522154B (zh) * | 2022-10-09 | 2024-04-16 | 浙江吉利控股集团有限公司 | 一种稳定杆及其制备方法、悬架总成和车辆 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5679455B2 (ja) | 2015-03-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4476863B2 (ja) | 耐食性に優れた冷間成形ばね用鋼線 | |
JP4423254B2 (ja) | コイリング性と耐水素脆化特性に優れた高強度ばね鋼線 | |
JP5064060B2 (ja) | 高強度ばね用鋼線及び高強度ばね並びにそれらの製造方法 | |
JP5973903B2 (ja) | 耐水素脆性に優れた高強度ばね用鋼線およびその製造方法並びに高強度ばね | |
JP6027302B2 (ja) | 高強度焼戻し省略ばね用鋼 | |
JP5364859B1 (ja) | コイリング性と耐水素脆性に優れた高強度ばね用鋼線およびその製造方法 | |
JP4486040B2 (ja) | 冷間切断性と疲労特性に優れた冷間成形ばね用鋼線とその製造方法 | |
KR20120010261A (ko) | 고강도 스프링용 중공 시임리스 파이프 | |
JP5408398B1 (ja) | ばね鋼 | |
WO2013146675A1 (ja) | 皮削り性に優れた高強度ばね用鋼線材および高強度ばね | |
WO2013132829A1 (ja) | ばね鋼 | |
JP2019178405A (ja) | 鋼線材の製造方法 | |
JP5679455B2 (ja) | ばね用鋼、ばね用鋼線及びばね | |
JP6460883B2 (ja) | 加工性に優れた熱処理鋼線の製造方法 | |
JP5871085B2 (ja) | 冷間鍛造性および結晶粒粗大化抑制能に優れた肌焼鋼 | |
JP2012052218A (ja) | ばね用鋼線及びその製造方法、並びにばね | |
JP7133705B2 (ja) | 靭性及び腐食疲労特性が向上されたスプリング用線材、鋼線及びその製造方法 | |
JP6453693B2 (ja) | 疲労特性に優れた熱処理鋼線 | |
CN103998640A (zh) | 具有优异抗腐蚀性的弹簧用线材和钢丝,弹簧用钢丝,以及制造弹簧的方法 | |
JP5941439B2 (ja) | コイルばね、およびその製造方法 | |
JP2005350736A (ja) | 耐食性および疲労特性に優れた高強度ばね用鋼およびその製造方法 | |
JP4515347B2 (ja) | ばね用鋼線材およびばね用鋼線の耐疲労性の判定方法 | |
JP6453138B2 (ja) | 曲げ加工性に優れた熱処理鋼線 | |
JP6225880B2 (ja) | ばね用鋼およびばね |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130902 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140929 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141007 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141205 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141224 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141226 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5679455 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |