JP2012131972A - ポリマーコンポジット変性物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性に優れた触媒として用いることが可能なポリマーコンポジット変性物を提供することを目的とする。
【解決手段】下記条件(1)及び(2)を満たす高分子と、分子量が300以上の金属錯体、およびカーボン、を含む混合物に、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理を行うことにより得られる。
(1)窒素含有率が1質量%以上
(2)不活性ガス雰囲気下で300℃から500℃まで昇温した際の質量減少率が50%以内
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマーコンポジット変性物に関する。さらに本発明は、ポリマーコンポジット変性物を含む燃料電池用触媒組成物、該燃料電池用触媒組成物を用いて形成する燃料電池用電極触媒、該触媒を用いた膜電極接合体、および燃料電池に関する。
金属を担持させた炭素複合体は、不均一触媒として工業的に、酸素添加反応、酸化カップリング反応、脱水素反応、水素添加反応、酸化物分解反応等の電子移動を伴うレドックス反応における触媒(レドックス触媒)として作用し、種々の化合物の製造に使用されている。さらに、添加剤、改質剤、電池、センサーの材料、吸着剤、消臭剤、フィラー、種々の用途にも使用されている。
特に、燃料電池用電極触媒においては通常白金の微粒子を導電性カーボンに担持させたものを利用している。しかし白金は、コストが高く、埋蔵量が限られているため、将来的に資源が枯渇する可能性がある。そのため、近年では、白金に代替可能であり、かつ比較的安価で資源量が多い物質を用いた電極触媒用の材料が検討されている。
こうした検討の中に、金属錯体、カーボン前駆体となる樹脂、およびメラミンを混合し、不活性雰囲気下にて加熱処理を行うことで、貴金属を担持しない酸素還元能を有する炭素触媒が報告されている(特許文献1)。
また、高分子金属錯体と炭素との混合物を加熱処理することで炭素化し、得られる炭素化物に対しさらに窒素原子を含む化合物をドープすることにより得られる炭素触媒が報告されている(特許文献2)。
特開2009−208061号公報 特開2008−282725号公報
しかし、従来知られた非白金系の触媒は、耐久性が不十分であり、その結果、長期間に渡り安定に使用することが困難であった。そのため、満足する信頼性を有する燃料電池を形成することはできなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、耐久性に優れた触媒として用いることが可能な材料を提供することを目的とする。また、該変性物を含む燃料電池用触媒組成物、該燃料電池用触媒組成物を用いて形成する燃料電池用電極触媒、該触媒を用いた膜電極接合体、および燃料電池を提供することをあわせて目的とする。
本発明は、下記条件(1)及び(2)を満たす高分子と、分子量が300以上の金属錯体、およびカーボン、を含む混合物に、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理を行うことにより得られるポリマーコンポジット変性物を提供する。
(1)窒素含有率が1質量%以上
(2)不活性ガス雰囲気下で300℃から500℃まで昇温した際の質量減少率が50%以内
本発明においては、前記混合物が、更に分子量300未満の銅化合物を含むことを特徴とすることが望ましい。
本発明においては、前記変性処理は、前記混合物が600℃以上1200℃以下に熱せられる処理条件で行われることが望ましい。
本発明においては、前記高分子が、不活性ガス雰囲気下で600℃まで加熱処理した後の窒素含有率が1質量%以上であることが望ましい。
本発明においては、前記高分子がイミダゾール骨格を有することが望ましい。
本発明においては、前記金属錯体が三座以上の配位結合が可能な配位子と、該配位子が配位結合する金属原子とを有することが望ましい。
本発明においては、前記金属錯体がピロール骨格若しくはピリジン骨格、又はこれらの両方を含むことが望ましい。
本発明においては、前記金属錯体が、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、及び、銅からなる群から選ばれる1種以上の金属原子を含むことが望ましい。
また、本発明は、上述のポリマーコンポジット変性物を含む燃料電池用電極触媒を提供する。
本発明において燃料電池用触媒組成物は、上述のポリマーコンポジット変性物と、カーボンおよび高分子のいずれか一方または両方を含むことが望ましい。
また、本発明は、上述の燃料電池用触媒組成物からなる燃料電池用電極触媒を提供する。
また、本発明は、燃料電池用電極触媒を含む触媒層を電解質膜の両側に備えた膜電極接合体であって、該触媒層の少なくとも一方が上述の燃料電池用電極触媒を含む、膜電極接合体を提供する。
また、本発明は、上述の膜電極接合体を有する燃料電池を提供する。
本発明のポリマーコンポジット変性物は、従来と比較して高耐久性を有するため、長期間に渡り、安定に使用できるものである。
本発明の好適な一実施態様の燃料電池のセルについての縦断面図である。
[ポリマーコンポジット変性物]
以下、本発明のポリマーコンポジット変性物(以下、変性物)について説明する。
本発明の第一の実施形態である変性物は、以下の2つの条件を満たす高分子と、分子量が300以上の金属錯体およびカーボン、を含む混合物に、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理を行うことにより得られる。
(1)窒素含有率が1質量%以上
(2)不活性ガス雰囲気下で300℃から500℃まで昇温した際の質量減少率が50%以内
(高分子)
まず、高分子について説明する。本明細書において「高分子」とは、複数の単量体の繰り返し構造から構成される分子を意味する。本実施形態の変性物に用いる高分子は、数平均分子量が2000以上のものが好ましく、2500以上のものがより好ましく、3000以上のものが特に好ましい。また、高分子の数平均分子量は、100万以下が好ましく、50万以下がさらに好ましく、10万以下が特に好ましい。
高分子の分子量が規定できないときは、好ましい高分子を固有粘度で規定することができる。本実施形態の変性物に用いる高分子は、固有粘度が0.05L/g以上が好ましく、0.06L/g以上がより好ましく、0.07L/g以上がさらに好ましい。また、高分子の固有粘度は、0.3L/g以下が好ましく、0.25L/g以下がより好ましく、0.20L/g以下がさらに好ましい。
上記高分子の中でも、金属錯体と相互作用しやすいので、構造内に窒素原子を含むものを用いる。このような高分子としては、含有する窒素原子の割合(窒素含有率)が、高分子全体に対して1質量%以上であるが、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、特に好ましくは4質量%以上である。また、窒素原子の割合(窒素含有率)は、高分子全体に対して40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。上記高分子の窒素含有率が1%未満である場合、ポリマーコンポジット変性物の耐久性が不十分になることがある。
さらに高分子の中でも、300℃以上500℃以下の加熱下で完全に熱分解されないものを用いる。後述するように、本実施形態の変性物を製造する際の変性処理において、高分子、金属錯体、カーボンを含む混合物は600℃を超える温度、好ましくは1000℃近くにまで昇温される。
上述の熱分解の指標として、不活性ガス雰囲気下で300℃から500℃まで昇温した際に、下式で示される質量減少率が50%以内であること、が例示できる。用いる高分子の質量減少率は、より好ましくは40%以内であり、さらに好ましくは30%以内であり、とりわけ好ましくは20%以内である。
Figure 2012131972
質量減少率は、熱質量分析により求めることができる。具体的には、窒素雰囲気下で、40℃から10℃/分で昇温して500℃まで加熱した際に、300℃から500℃までの質量減少の差を読み取り、差が最初(300℃に昇温した際)の質量から50%以下であればよい。
また、用いる高分子は、不活性ガス雰囲気下で、前記混合物を600℃まで加熱処理した後の、高分子に含まれる窒素原子の含有率(窒素含有率)が1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、加熱処理後の高分子中の窒素含有率が2質量%以上であり、特に好ましくは、3質量%以上であり、とりわけ好ましくは、4質量%以上である。この窒素含有率は元素分析等により求めることができる。なお、前記混合物の加熱処理は、通常、40℃から開始する。
本実施形態の変性物の材料として好適に用いることができる高分子としては、ポリ(アクリルアミド)、芳香族ポリイミン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリアクリロニトリル、ポリエステルイミド、ポリイミド、ポリベンズチアゾール、ポリキノキサリン、ポリフェニレンテトラアゾピレン、ポリ(フェニレン−フェニルトリアゾール)、ポリ(フェニレンオキサジアゾール)、ポリ(フェニレンチアジアゾール)、ポリイミダゾピロロン、ポリ(ベンゾイレンベンズイミダゾール)、ポリ(ベンズイミダゾキナゾリン)、ポリ(ベンゾイミダゾキノキサリン)、ポリ(フェニレンベンゾビスイミダゾール)、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアニリン以外の芳香族アミン重合体が例示される。
前記ポリアニリン以外の芳香族アミン重合体としては、例えばAnalytical Chemistry、Vol.80、5307−5311、2008に記載されているような、芳香族アミン(1,5−ナフタレンジアミン)を、酸化重合、電解重合などにより、高分子としたものを用いることができる。
中でも、イミダゾール骨格を持つものが、窒素を多く含み、かつ耐熱性が高いため好ましい。具体的には、ベンズイミダゾール骨格を主鎖に含むポリアミド、ベンズイミダゾール骨格を主鎖に含むポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミダゾピロロン、ポリ(ベンゾイレンベンズイミダゾール)、ポリ(ベンズイミダゾキナゾリン)、ポリ(ベンゾイミダゾキノキサリン)、ポリ(フェニレンベンゾビスイミダゾール)等が挙げられる。
この中でも、ベンズイミダゾール骨格を主鎖に含むポリアミド、ベンズイミダゾール骨格を主鎖に含むポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミダゾピロロン、ポリ(ベンズイミダゾキナゾリン)、ポリ(フェニレンベンゾビスイミダゾール)がさらに好ましく、ベンズイミダゾール骨格を主鎖に含むポリアミド、ベンズイミダゾール骨格を主鎖に含むポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミダゾピロロン、ポリ(フェニレンベンゾビスイミダゾール)が特に好ましい。
上記ポリベンズイミダゾールとしては、芳香族テトラミンと芳香族ジカルボン酸を重縮合させて製造される公知の樹脂を用いることができる。
上記高分子の中でも、さらに具体的な好ましい構造を下記(i)〜(viii)に記す。この中でも、(i)〜(vii)がとりわけ好ましい。
Figure 2012131972
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
上記記載の高分子および構造式(i)〜(viii)で示される高分子は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲノ基;ヒドロキシ基;カルボキシル基;メルカプト基;スルホン酸基;ニトロ基;ホスホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基を有するシリル基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、n−へキシル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、n−ノニル基、シクロノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、アダマンチル基、n−ドデシル基、シクロドデシル基、n−ペンタデシル基、n−オクタデシル基、n−ドコシル基等の直鎖の炭素数1〜50の1価の飽和炭化水素基、分岐状又は環状の炭素数3〜50の1価の飽和炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピオキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等の直鎖の炭素数1〜50のアルコキシ基、分岐状又は環状の炭素数3〜50のアルコキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基等の炭素数6〜60のアリール基等が挙げられる。
これらの中でも好ましくは、ハロゲノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは、クロロ基、ブロモ基、カルボキシル基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基である。
なお、本明細書において、「置換基」という場合には同様の置換基を意味することとする。
(金属錯体)
次に金属錯体について説明する。本実施形態の金属錯体は、金属原子(以下、金属イオンの状態を含む。)と有機配位子とを有し、有機配位子の分子構造に含まれる原子の一部と金属原子との間に配位結合を持つ化学種である。なお、多核金属錯体とは、1分子に金属原子が2つ以上含まれる金属錯体であり、本発明に用いる金属錯体としては、多核金属錯体を用いることが好ましい。
金属錯体の分子量は、300以上であると、該金属錯体が変性処理時に安定であるので望ましい。なかでも、該金属錯体の分子量は350以上が好ましく、400以上がより好ましく、450以上が特に好ましい。また、金属錯体の分子量は2000未満が好ましく、1900以下がより好ましく、1800以下が特に好ましい。
まず、金属錯体を構成する配位子について説明する。
金属錯体の配位子は、窒素、酸素、硫黄、リンなどのヘテロ原子を持つ有機化合物であるが、中でも金属との相互作用を強めるため、三座以上の配位結合が可能な配位子を有する金属錯体が好ましい。
金属錯体の配位子としては、ターピリジン、シッフ塩基、ポリフィリン、フタロシアニン、コロール、アザクラウンエーテル、クラウンエーテル、ポルフィリノイド、クリプタンド、スフェランドおよびそれらの誘導体が好ましい。その中でも、具体例として以下の構造式(a)〜(w)で表される化合物が好ましい。
これらのなかでも、金属原子を内包することが可能な環状化合物であることがより好ましい。環状化合物を配位子として用いると、錯形成した後に金属原子が配位子から遊離しにくく、金属錯体を高分子やカーボンと混合して混合物としたときや、変性処理のときにも錯体の構造を維持しやすいためである。
Figure 2012131972
前記金属錯体において、フェノール骨格が存在する場合、該フェノール骨格中のヒドロキシ基がプロトンを放出してフェノラート骨格となり、金属原子と配位していてもよく、ピロール骨格が存在する場合、該ピロール骨格中のプロトンを放出して、金属原子と配位していてもよい。
また、上記構造式は置換基を有していてもよく、上記記載の置換基から選ばれる。
三座以上の配位子の中でもピロール骨格若しくはピリジン骨格、またはこれら両方を含む配位子が化学的に安定であるので好ましい。具体的な構造式を挙げると、上記構造式(a)〜(n)で表される化合物がより好ましい。この中でも、1つの金属原子に対して四座で配位しうる化合物は、錯形成時の金属との相互作用が、他の配位座数を有する化合物よりも強いことから、上記構造式(a)〜(m)で表される化合物がさらに好ましい。
上述の有機配位子は、分子構造に含まれるヘテロ原子が金属原子と配位結合することにより、金属錯体を形成する。また、金属錯体中に2個以上の金属原子が存在する場合には、該金属原子同士がヘテロ原子を介して架橋配位していてもよい。ヘテロ原子が酸素原子であり、金属原子及び金属イオンが合計2個である場合における架橋配位の状態を、金属原子と酸素原子のみについて以下に例示する。
Figure 2012131972
(Mは、金属原子又は金属イオンを表し、2つのMは、同じでも異なっていてもよい。以下、同様である。)
以下に、本発明に用いることのできる好ましい金属錯体の具体例を示す。下記金属錯体は置換基を有していてもよい。なお、金属錯体の電荷は省略してある。
Figure 2012131972
なお、上述の金属錯体において、配位子の結合位置に起因して幾何異性体や光学異性体が存在する場合、これらの異性体も本発明に用いることができる。その場合、異性体ごとに単離して用いてもよいし、幾何異性体の混合物、または光学異性体のラセミ体を用いてもよい。
次に、金属錯体をなす金属原子について説明する。
該金属原子は原子の状態であってもイオンの状態であってもよい。
前記金属原子は、第4周期の遷移金属が好ましく、中でもバナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、及び、銅からなる群から選ばれる1種以上の金属が好ましい。中でも、バナジウム、鉄、コバルト、及び、銅からなる群から選ばれる1種以上の金属であることがより好ましく、鉄、コバルト、及び、銅からなる群から選ばれる1以上の金属であることがさらに好ましい。金属錯体が複数の金属原子を有する場合、金属の種類は同一でも異なっていてもよい。
さらに、金属錯体は、中性分子、金属錯体を電気的に中性にする対イオンを有していてもよい。
前記中性分子としては、溶媒和して溶媒和塩を形成する分子等が挙げられ、好ましくは、水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサンである。
より好ましくは、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンである。
金属錯体が錯イオンである場合、該金属錯体と錯塩を形成する対イオンは、該金属錯体を電気的に中性にする陰イオンが選ばれる。例えば、錯イオンが正に帯電している場合、対イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、トリフルオロ酢酸イオン、チオシアン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、アセチルアセトナート、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン等が挙げられ、好ましくは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、アセチルアセトナート、テトラフェニルホウ酸イオンである。
また、錯イオンが負に帯電している場合、対イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウムイオン;テトラフェニルホスホニウムイオン等のテトラアリールホスホニウムイオンが例示できる。
これらの中でも、好ましいものとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンが挙げられ、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンがより好ましく、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオンがさらに好ましい。
なお、対イオンが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。また、中性分子とイオンとが共存していてもよい。
(金属錯体の製造方法)
前記金属錯体は、例えば、以下に示すように、配位子となる化合物を有機化学的に合成し、これを金属原子又は金属イオンを付与する反応剤(以下、「金属付与剤」と言う。)と混合する工程を有する方法で製造できる。前記金属付与剤としては、前記金属原子の酢酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、過塩素酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフェニルホウ酸塩等が挙げられ、酢酸塩が好ましい。酢酸塩としては、例えば、酢酸コバルト(II)、酢酸鉄(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)、酢酸ニッケル(II)、酢酸銅(II)、酢酸亜鉛(II)が挙げられ、好ましくは、酢酸コバルト(II)である。
前記金属付与剤は、水和物であってもよく、例えば、酢酸コバルト(II)4水和物、酢酸マンガン(II)4水和物、酢酸マンガン(III)2水和物、酢酸銅(II)1水和物が挙げられる。
前記配位子化合物は、例えば、「Journal of Organic Chemistry,69,5419(2004)」に記載されているように、アルデヒド基を有するフェノール化合物と、アミノ基を有する化合物とを、アルコール等の溶媒中で反応させる工程を有する方法で製造できる。また、例えば、「Australian Journal of Chemistry,23,2225(1970))に記載されているように、反応時に金属塩又は酸を添加する方法で、目的とする配位子化合物を製造することもできる。また、「Tetrahedron.,1999,55,8377.」に記載されているように、有機金属反応剤の複素環への付加反応及び酸化反応を行い、ハロゲン化反応、次いで遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応を行う工程を有する方法でも、目的とする配位子化合物を製造できる。また、複素環のハロゲン化物を用いて、段階的にクロスカップリング反応を行う工程を有する方法でも、目的とする配位子化合物を製造できる。
前記配位子化合物及び金属付与剤を混合する工程は、適当な溶媒の存在下で行う。
前記溶媒としては、水、酢酸、アンモニア水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、デカリン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジンが例示でき、前記配位子化合物及び金属付与剤が溶解し得る溶媒が好ましい。
前記溶媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記配位子化合物及び金属付与剤の混合温度は、好ましくは−10℃以上200℃以下であり、より好ましくは0℃以上150℃以下であり、特に好ましくは0℃以上100℃以下である。また、混合時間は、好ましくは1分間以上1週間以下であり、より好ましくは5分間以上24時間以下であり、特に好ましくは1時間以上12時間以下である。なお、前記混合温度及び混合時間は、前記配位子化合物及び金属付与剤の種類を考慮して調節することが好ましい。
生成した前記金属錯体は、公知の再結晶法、再沈殿法、クロマトグラフィー法から適した方法を選択して適用することで、前記溶媒から取り出すことができ、この時、複数の前記方法を組み合わせてもよい。なお、前記溶媒の種類によっては、生成した前記金属錯体が析出することがあり、この場合には、析出した前記金属錯体を濾別等で分離した後、洗浄、乾燥等を行えばよい。
以上の金属錯体は、混合物を調製する際に、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(カーボン)
次に、カーボンについて説明する。本明細書においてカーボンとは、炭素材料全般を意味するが、導電性を持ったカーボン(導電性カーボン)が触媒用途として好ましい。
導電性カーボンは一般的に、炭化水素ガス、石油、原油、ピッチ等を原料に用いて1250℃以上の高温下で燃焼させることにより合成されている。より高温で燃焼させた方が、カーボンのグラファイト化が進むので、燃焼温度は1300℃以上が好ましく、1400℃以上がより好ましく、1500℃以上が特に好ましい。導電性カーボンは具体的に、黒鉛、無定形炭素、カーボンブラック、C60、C70等のフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等のカーボン繊維が例示される。この中でも、担体として用いる場合にはカーボンブラックが好ましい。さらに、カーボンブラックとしては、ノーリット(登録商標)、ケッチェンブラック(登録商標)、バルカン(登録商標)、ブラックパール(登録商標)、アセチレンブラック(登録商標)等の導電性カーボン粒子がより好ましい。特に好ましくは、ケッチェンブラック、バルカン、ブラックパール、アセチレンブラックであり、とりわけ好ましくは、ケッチェンブラック、バルカンである。なお、これらのカーボンに窒素を化学修飾した窒素修飾導電性カーボンを用いていてもよい。
導電性カーボンとしては、1×10−2S/cm以上の導電率を示す導電性カーボンが好ましく、1×10−1S/cm以上がより好ましく、1S/cm以上が特に好ましく、10S/cm以上の導電率がとりわけ好ましい。
前記カーボンは比表面積が大きいほうが、より多くの触媒を担持できるため好ましい。前記カーボンの比表面積は、100m/g以上が好ましく、300m/g以上がより好ましく、600m/g以上が特に好ましい。また、前記カーボンの耐久性も考慮すると、前記カーボンの比表面積は、3000m/g以下が好ましく、2500m/g以下がより好ましく、2000m/g以下が特に好ましい。
(銅化合物)
上記高分子、金属錯体、カーボン以外に、変性物の原料である混合物には、更に銅化合物を含んでいてもよい。銅化合物は、分子量300未満のものが好適に用いられる。ここで、「銅化合物」には、銅塩および銅錯体が含まれているものとする。具体的には、好適に用いられる銅化合物として、フッ化銅(I)、フッ化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、水酸化銅(II)などが挙げられる。このような銅塩や銅錯体などの銅化合物を加えて変性物を作製すると、変性処理時に触媒の表面積が増大し、その結果、触媒活性が向上するため好ましい。また、前記銅化合物は、中性分子が溶媒和して、溶媒和塩を形成した状態で用いてもよい。中性分子の具体的な例としては、上記記載の中性分子が挙げられる。
(変性物の製造方法)
次に、本実施形態のポリマーコンポジット変性物の製造方法について説明する。本実施形態のポリマーコンポジット変性物は、上述の高分子、金属錯体およびカーボンの混合物を調製した後に、該混合物を変性処理することにより製造する。
(混合物の調製方法)
高分子、金属錯体およびカーボンを含む混合物を調製する方法としては、制限はなく、分散媒に分散させた状態で混合する湿式法であってもよく、また分散媒を用いずに各成分を混合して機械的な混合処理を行う乾式法であってもよい。より均質な混合物が得られることから、湿式法により混合物を調製することが好ましい。
湿式法の場合、高分子、金属錯体およびカーボンを、それぞれ適切な分散媒に分散させてから混合して調製することとしてもよく、また同一の分散媒に高分子、金属錯体およびカーボンを加え混合することで調製することとしてもよい。また、高分子、金属錯体およびカーボンは、別個に分散させてから混合してもよいし、2種類をあらかじめ分散させたのち、残りの1種類を分散させて混合してもよいし、すべてを同時に分散させて混合してもよい。
なお、混合物という表現には、分散媒は含まない。
混合時の温度は、冷却、加熱、室温条件でもよいが、0℃以上250℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以上200℃以下であり、特に好ましくは20℃以上180℃以下である。
湿式法で用いる分散媒としては、具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−メトキシエタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサンが例示できる。
中でも、混合を促進する上で分散液を加熱することを想定した場合、高沸点分散媒を用いた方がより高温に加熱して混合を行えるため、沸点が100℃以上である分散媒、水、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジクロロベンゼン、ベンゾニトリルが好ましい。より好ましくは、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジクロロベンゼン、ベンゾニトリルであり、特に好ましくは、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ベンゾニトリルである。
前記混合物を調製する際、高分子、金属錯体、およびカーボンの量は、混合物を100質量部としたとき、高分子の量が、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。高分子の量の上限は、60質量部であることが好ましく、50質量部であることがより好ましく、40質量部であることが特に好ましい。
また、金属錯体の量は、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。金属錯体の量の上限は、60質量部であることが好ましく、50質量部であることがより好ましく、40質量部であることが特に好ましい。
カーボンの量は、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが特に好ましい。カーボンの量の上限は、90質量部であることが好ましく、80質量部であることがより好ましく、70質量部であることが特に好ましい。
なお、混合物は、高分子、金属錯体、カーボン以外の成分を含んでいてもよく、具体的には金属塩、複素環式化合物が挙げられる。
(変性処理方法)
次に変性処理の方法について説明する。
本実施形態において変性処理とは、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理のいずれかの方法により、混合物を処理することを意味する。これらの処理の中でも加熱処理が好ましい。なお、加熱処理は、通常、混合物を加熱することにより行う。
なお、変性処理に先だって、前記混合物を予め15℃以上200℃以下で、加圧、常圧または減圧のいずれかの条件で、6時間以上乾燥させた後に変性処理することが好ましい。このような事前乾燥を行うことで、混合を湿式法で行った場合に用いる分散媒や、高分子中に含まれる残存モノマーなどの低分子量物質を除去する。事前乾燥時の圧力条件は、除去対象とする化合物の性質に応じて適宜選択することができる。
変性処理は、処理前後の質量減少率(即ち、処理前の混合物の質量に対する、処理後に得られる変性金属錯体の質量の減少率)が、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、特に好ましくは5%以上となるまで行えばよい。また、質量減少率の上限は、好ましくは80%、より好ましくは70%、特に好ましくは60%である。
また、処理後の変性物は炭素含有率が高いと、得られる変性物を電極触媒として用いた場合、該電極触媒の安定性が良好である。そのため、炭素含有率が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上、とりわけ好ましくは40質量%以上となるように前記変性処理を行うことがよい。なお、炭素含有率は、変性物全体の質量に対して、炭素原子がしめる割合を質量%で表したものであり、元素分析等により求めることができる。
上記混合物を変性処理することにより変性物を調製するが、その際、変性処理は、混合物が600℃以上1200℃以下に加熱される条件で行われると、該混合物を十分に変性できるため好ましい。変性処理の下限温度は、さらに好ましくは、700℃であり、特に好ましくは800℃である。また、上限温度は、さらに好ましくは1100℃であり、特に好ましくは1000℃である。
変性処理が加熱処理である場合、加熱時間を、変性処理を行う雰囲気や加熱温度に応じて調整することができる。例えば、変性処理を行う処理室内に混合物を配置し、室内温度を室温から徐々に温度を上昇させて熱処理を行う場合、室内温度が目的とする上記処理条件の温度(熱処理温度)に到達後、すぐに冷却してもよい。また、目的とする熱処理温度に到達後、室内温度を当該温度に維持することで、処理室内に配置した混合物を加熱し続けることができるため、該混合物を十分に変性することができ好ましい。目的とする温度に到達後の保持時間は、好ましくは30分以上100時間以下であり、より好ましくは1時間以上40時間以下であり、さらに好ましくは1時間以上10時間以下であり、特に好ましくは1時間以上3時間以下である。
変性処理が加熱処理である場合、加熱装置としては、オーブン、ファーネス(管状炉など)、IHホットプレート等を用いることができる。また加熱処理は、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アンモニアガス、酸素ガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、アセトニトリルガスの雰囲気下、又はこれらのうちの二種以上の混合ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アンモニアガス、酸素ガス、ネオンガス、アルゴンガス、又はこれらのうちの二種以上の混合ガスの雰囲気下で行うことがより好ましく、水素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、アルゴンガス、又はこれらのうちの二種以上の混合ガスの雰囲気下で行うことが特に好ましい。
変性処理が放射線照射処理である場合には、混合物にα線、β線、中性子線、電子線、γ線、マイクロ波、X線、電波、レーザー等の電磁波、粒子線等の放射線、好ましくは、マイクロ波、X線、電子線、レーザー、より好ましくは、マイクロ波、レーザーを照射すればよい。
変性処理が放電処理である場合には、混合物にコロナ放電、グロー放電、プラズマ処理(低温プラズマを含む)を行うが、中でも低温プラズマ処理を行うことが好ましい。
なお、放射線照射処理、放電処理は、通常、高分子フィルムの表面改質処理に用いられる機器、処理方法に準じて行うことが可能であり、例えば、文献(日本接着学会編、「表面解析・改質の化学」、日刊工業新聞社、2003年12月19日発行)等に記載された方法を用いることができる。
放射線照射処理、放電処理は、通常、10時間以内、好ましくは3時間以内、より好ましくは1時間以内、特に好ましくは30分以内で行えばよい。
以上のようにして、本実施形態の変性物を製造することができる。
本実施形態の変性物は、主として金属錯体に由来する金属原子と、変性処理により高分子や金属錯体の配位子が炭化した炭化物と、カーボンとを含むものである。
変性物中、金属原子の近傍に窒素原子が存在している。これは、混合物の状態において、高分子に含まれる窒素原子や金属錯体の配位子に含まれる窒素原子が金属錯体に含まれる金属原子と配位結合を形成することで、変性処理時には金属原子の近傍に窒素原子が配置され、そのような状態で変性処理がなされるために、変性物中において窒素原子が金属原子の近傍に存在しやすくなっているためである。
このように、本実施形態の変性物は、金属原子の近傍に窒素原子が存在する構造を有することで、高耐久性が得られると考えられる。
本実施形態の変性物の用途としては、燃料電池用の電極触媒や膜劣化防止剤(例えば、固体高分子電解質型燃料電池用や水電気分解用のイオン伝導膜の劣化防止剤)、過酸化水素等の過酸化物の分解触媒、芳香族化合物の酸化カップリング触媒、排ガス・排水浄化用触媒(例えば、脱硫・脱硝触媒)、色素増感太陽電池の酸化還元触媒層、二酸化炭素還元触媒、改質水素製造用触媒、酸素センサー、医農薬や食品の抗酸化剤等が挙げられる。
本実施形態の変性物を芳香族化合物の酸化カップリング触媒として用いる場合、ポリフェニレンエーテルやポリカーボネート等のポリマー製造に関わる触媒として使用することができる。使用形態としては、変性物を反応溶液に直接添加する方法や、ゼオライトやシリカ等に担持させる方法が挙げられる。
本実施形態の変性物を脱硫・脱硝触媒として用いる場合、使用形態としては、工場からの排ガスが通気する塔に充填する方法、自動車のマフラーに充填する方法が挙げられる。
さらに、本実施形態の変性物は、改質水素中のCOを変成させる触媒として使用することもできる。改質水素中にはCOなどが含まれており、改質水素を燃料電池として使用する場合、燃料極がCOの被毒を受けることが問題であり、COの濃度を極力低減することが望まれる。具体的な使用形態については、例えば、Chemical Communication,3385(2005)に記載の方法が挙げられる。
これらの用途に用いる場合、変性物は加工して形状を変えてもよい。
[組成物]
また、本実施形態の触媒は、そのまま単独で用いてもよいが、その他の成分と併用して組成物として用いてもよい。ここで、変性物と併用するその他の成分としては、カーボン、または高分子が挙げられる。なお、本実施形態の組成物において、各成分は、それぞれ一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。カーボンとしては、前記記載のカーボンと同様の具体例が挙げられる。
含まれる高分子としては、ナフィオン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレン・エーテル)、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリベンズイミダゾール、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリピリジン及びその単独重合体にスルホン酸基が導入されたものが好ましく、スルホン酸基が導入された上記高分子がより好ましい。
本実施形態の組成物において、その他の成分の合計含有量は、本実施形態の変性物100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下が好ましく、30質量部以上200質量部以下がより好ましい。
本実施形態の組成物において、高分子の含有量は、本実施形態の変性物100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下が好ましく、30質量部以上200質量部以下がより好ましい。
本実施形態の組成物において、カーボンの含有量は、本実施形態の変性物100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下が好ましく、30質量部以上200質量部以下がより好ましい。
その他、本実施形態の組成物は、上述の変性物の用途と同様の用途に用いることができる。その際、組成物は加工して形状を変えてもよい。
[膜電極接合体]
本発明の膜電極接合体は、上述の燃料電池用電極触媒を含む触媒層を電解質膜の両側に備えた膜電極接合体であって、該触媒層の少なくとも一方が該燃料電池用電極触媒を含む。
本発明の膜電極接合体を作製するためには、まず、上述の組成物を、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、または、それらの混合液に分散させた後、ナフィオン(登録商標)等の電解質膜の少なくとも一方の側に、ダイコーターやスプレーを用いて塗布する。また、組成物を適当な大きさに成型した後、前述の電解質膜に熱転写することにより、圧着させる。こうして、膜電極接合体を作製することができる。
膜電極接合体は、セパレータ、ガスケット、集電板を組み合わせて、エンドプレート等で固定し、燃料電池セルとして用いることができる。
[燃料電池]
次に、本発明の変性物を備えた燃料電池の好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の好適な一実施態様の燃料電池のセルについての縦断面図である。図1では、燃料電池10は、電解質膜12(プロトン伝導膜)と、これを挟む一対の触媒層14a,14bとから構成された膜電極接合体20を備えている。燃料電池10は、膜電極接合体20の両側に、これを挟むようにガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18b(セパレータ18aは、触媒層14a側に、セパレータ18bは、触媒層14b側に、それぞれ燃料ガス等の流路となる溝(図示せず)が形成されていると好ましい)を順に備えている。なお、電解質膜12、触媒層14a,14b及びガス拡散層16a,16bとからなる構造体は、一般的に、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)と呼ばれることがある。
触媒層14a及び14bは、燃料電池における電極層として機能する層であり、これらの一方がアノード電極層となり、他方がカソード電極層となる。かかる触媒層14a及び14bには、電極触媒(即ち、本発明の変性物である)とナフィオン(登録商標)に代表されるプロトン伝導性を有する電解質とを含む。本発明の燃料電池用電極触媒は、カソード電極層(カソード電極)用として好適である。その場合、アノード電極層(アノード電極)に用いる触媒としては、燃料電池用触媒として一般に用いられているPt触媒、Pt合金触媒等を用いることが好ましい。
前記電解質膜(プロトン伝導膜)としては、例えば、Nafion NRE211、Nafion NRE212、Nafion112、Nafion1135、Nafion115、Nafion117(いずれもデュポン社製)、フレミオン(旭硝子社製)、アシプレックス(旭化成社製)(いずれも商品名、登録商標)などフッ素系電解質膜を用いることができる。また、炭化水素系電解質膜としては、ポリアリーレンエーテルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸、ポリフェニレンエーテルスルホン酸、変性ポリフェニレンエーテルスルホン酸、ポリエーテルスルホンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニレンサルファイドスルホン酸等からなる炭化水素系電解質膜を用いることができる。
ガス拡散層16a及び16bは、触媒層14a及び14bへの原料ガスの拡散を促進する機能を有する層である。このガス拡散層16a及び16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されることが好ましい。前記多孔質材料としては、多孔質性のカーボン不織布、カーボンペーパーが、原料ガスを触媒層14a及び14bへ効率的に輸送することができるために好ましい。
セパレータ18a及び18bは、電子伝導性を有する材料で形成されている。前記電子伝導性を有する材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレスが挙げられる。
次いで、燃料電池10の好適な製造方法を説明する。
まず、電解質を含む溶液と電極触媒とを混合してスラリーを形成させる。これを、カーボン不織布やカーボンペーパーの上にスプレーやスクリーン印刷法により塗布し、溶媒等を蒸発させることで、ガス拡散層16a上に触媒層14aが形成され、ガス拡散層16b上に触媒層14bが形成された積層体をそれぞれ得る。得られた一対の積層体をそれぞれの触媒層が対向するように配置するとともに、その間に電解質膜12を配置し、これらを圧着することにより、MEGAが得られる。このMEGAを、一対のセパレータ18a及び18bで挟み込み、これらを接合させることで、燃料電池10が得られる。この燃料電池10は、ガスシール等で封止することもできる。
なお、ガス拡散層16a上への触媒層14aの形成及びガス拡散層16b上への触媒層14bの形成は、例えば、ポリイミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)等の基材の上に、前記スラリーを塗布し、乾燥させて触媒層を形成させた後、これをガス拡散層に熱プレスで転写することにより行うこともできる。
また、燃料電池10は、固体高分子型燃料電池の最小単位であるが、単一の燃料電池10(セル)の出力は限られている。そこで、必要な出力が得られるように複数の燃料電池10を直列に接続して、燃料電池スタックとして使用することが好ましい。
本発明の燃料電池は、燃料が水素である場合は固体高分子型燃料電池として、また、燃料がメタノールである場合は直接メタノール型燃料電池として動作させることができる。
本発明の電極触媒は、燃料電池用電極触媒、水電気電解用触媒として用いることができるが、燃料電池用電極触媒として用いることが好ましい。本発明の電極触媒を用いた燃料電池は、例えば、自動車用電源、家庭用電源、携帯電話、携帯用パソコン等のモバイル機器用小型電源として有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
・金属錯体(A)の合成
金属錯体(A)を以下の反応式に従って合成した。
Figure 2012131972
金属錯体(A)の配位子として用いる化合物である、反応式左辺に示す化合物(X)は、Tetrahedron.,1999,55,8377に記載の方法を用いて合成した。
窒素雰囲気下において、化合物(X)1.39gと酢酸コバルト4水和物(Aldrich社製)1.245gとを含んだ2−メトキシエタノール(TCI社製)200ml溶液を500mlナスフラスコに入れ、80℃に加熱しながら2時間攪拌したところ、褐色固体が生成した。
この褐色固体を濾取し、2−メトキシエタノール20mlで洗浄した後、乾燥させることにより、金属錯体(A)を得た(収量1.54g、収率74%)。
生成物が目的とする金属錯体(A)であることは、元素分析およびESI−MS(エレクトロスプレー質量分析、Agilemt 1100 LC/MSD 質量分析計)測定を行うことにより確認した。
元素分析値(質量%):
Calcd for C4950Co:C,62.56;H,5.36;N,5.96;Co, 12.53.
Found:C,62.12;H,5.07;N,6.03;Co, 12.74.
ESI−MS[M−CHCOO]:805.0
・高分子(P)の合成
高分子(P)を以下の反応式に従って合成した。
Figure 2012131972
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
窒素雰囲気下において、100mlフラスコにポリリン酸(Aldrich社製)60gを入れ、3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩二水和物(和光純薬社製)2.00gを溶解させ、140℃に加熱しながら1時間攪拌した。
次に、イソフタルアミド(和光純薬社製)0.800gを加えて200℃に加熱しながら10時間攪拌した。
その後、放冷し、500mlの水を加えて得られた固体を濾取した。固体を200mlの水で洗浄し、さらに、炭酸水素ナトリウム水溶液、メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより高分子(P)を得た。一部を1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬社製)溶液にして、振動式粘度計(CBC株式会社製VM−100A)を用いて固有粘度を算出したところ、7.9×10−2L/gであった。
元素分析値(質量%):C,65.29;H,5.93;N,15.19
次に、熱重量/示差熱分析装置(セイコーインスツルメンツEXSTAR-6200)を用いて、高分子(P)の加熱処理時における質量変化(TGA)を測定した。測定条件は窒素雰囲気下(昇温速度10℃/分)であり、加熱処理にはアルミナ皿を使用した。測定した結果、高分子(P)の300℃から500℃における質量減少率は0.5%であった。
・変性物(A1)の合成
窒素雰囲気下において、高分子(P)0.020gと、カーボン担体(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン製)0.080gとを混合し、1−メチル−2−ピロリドン10mlで分散させた。分散液を80℃で5時間攪拌したのち、金属錯体(A)0.020gを入れ、室温で5時間攪拌した。得られた分散液をろ過して、黒色固体を得た。得られた黒色固体を、200Paの減圧下で60℃に加熱しながら12時間乾燥させることにより、混合物(Q)を調製した。
次いで、混合物(Q)を、管状炉を用いて、窒素雰囲気下、950℃で1時間加熱したのち、0.5Mの硫酸溶液中80℃にて1時間処理し、ろ過後、室温にて200Paの減圧下で一晩乾燥することにより、変性物(A1)を得た。用いた管状炉及び加熱条件を以下に示す。
管状炉:プログラム制御開閉式管状炉EPKRO−14R、いすゞ製作所製
加熱処理雰囲気:窒素ガスフロー(200ml/分)
昇温速度及び降温速度:200℃/時間
・カソード用触媒インク(A2)の作製
変性物(A1)0.05gに0.32mlの水を加え、5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(Aldrich社製、製品番号274704)1.04gとエタノール2.75mlとを加えた後、30分間超音波処理することでカソード用触媒インク(A2)を得た。
・アノード用触媒インクの作製
20質量%白金が担持された白金担持カーボン(EC−20−PTC、エレクトロ・ケム社製)0.2gに1.28mlの水を加えた後、市販の5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物、Aldrich社製:製品番号274704)1.6gを滴下し、11.0mlのエタノールを加えた後、30分間超音波処理することでアノード用触媒インクを得た。
・ガス拡散層付き膜電極接合体(A3)の作製
まず、燃料電池のガス拡散層に相当する、片面に撥水処理を行ったカーボンペーパー(AvCarb(登録商標)、GDS2120カーボンファイバーペーパー、バラード社製)を3.0cm角に切り出した。
次いで、カーボンペーパーの撥水処理をしている面に、スプレー法にて前記カソード用触媒インク(A2)を塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cmに、ステージ温度は80℃に設定した。同様の操作を行って重ね塗りをした後、カソード用触媒インク(A2)を塗布したカーボンペーパーをステージ上に15分間放置し、溶媒を除去して、変性物(A1)とナフィオン(登録商標)とを含む4.5mg/cmのカソード用触媒層が配置されたガス拡散層付きカソード電極(カソード用触媒層付きカーボンペーパー)を得た。
また、同様にして、前記アノード用触媒インクをカーボンペーパーにスプレー塗布し、白金担持カーボンとナフィオン(登録商標)とを含む2.3mg/cmのアノード用触媒層が配置されたガス拡散層付きアノード電極(アノード用触媒層付きカーボンペーパー)を得た。
前記カソード用触媒層付きカーボンペーパー、前記アノード用触媒層付きカーボンペーパー及び電解質膜(Nafion(登録商標)、NRE212、デュポン社製)を用いて、該カーボンペーパーの触媒層が電解質膜に接するように順次積層し、140℃、9.8MPaの条件で3分間熱プレスを施し、ガス拡散層付き膜電極接合体(A3)を得た。
・燃料電池セル(A4)の作製及びその発電性能評価
前記ガス拡散層付き膜電極接合体(A3)の両側に、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータを配置し、その外側に集電体及びエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締めることによって、有効膜面積9cmの燃料電池セル(A4)を組み立てて作製した。
この燃料電池セル(A4)を80℃に保ちながら、アノードに加湿水素、カソードに加湿空気を供給した。この際、セルのガス出口における背圧が0.1MPaGとなるようにした。各ガスの加湿は、バブラーにガスを通すことで行い、水素用バブラーの水温は80℃、空気用バブラーの水温は80℃とした。ここで、水素のガス流量は100ml/分、空気のガス流量は400ml/分とした。
燃料電池セル(A4)の0.4Vにおける電流密度の経時変化を測定した。燃料電池セル(A4)の0.4Vにおける電流密度は、運転開始時は183mA/cmであったが、徐々に性能が向上して、運転後4時間で220mA/cmの値で安定した。運転4時間後から7時間後の、単位時間あたりの電流密度減少量は0mA/cmhであり、運転開始から7時間経過後でも触媒性能を維持していた。さらに、運転開始から50時間経過後でも、燃料電池セル(A4)の0.4Vにおける電流密度は220mA/cmであり、触媒性能を維持していることを確認した。
(実施例2)
・金属錯体(B)の合成
金属錯体(B)を以下の反応式に従って合成した。
Figure 2012131972
金属錯体(B)の配位子として用いる化合物である、反応式左辺に示す化合物(AA)は、特開2009−173627号公報に記載の方法を用いて合成した。
窒素雰囲気下において、化合物(AA)0.045gと酢酸コバルト4水和物(Aldrich社製)0.040gとを含んだメタノール3ml、クロロホルム3mlの混合溶液を50mlフラスコに入れ、80℃に加熱しながら5時間攪拌した。
得られた溶液を濃縮し、乾燥させることにより、固化させて青色固体を取り出し、この青色固体を水で洗浄した後、乾燥させることにより、金属錯体(B)を、収量47mg、収率90%で得た。
生成物が目的とする金属錯体(B)であることは、ESI−MS(エレクトロスプレー質量分析、Agilemt 1100 LC/MSD 質量分析計)測定を行うことにより確認した。
ESI−MS[M・]:866.0
・高分子(T)の合成
高分子(T)を以下のとおり合成した。
窒素雰囲気下において、100mlフラスコにポリリン酸(Aldrich社製)22.8gを入れ、攪拌しながら140℃まで加熱した。これに、3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩二水和物(和光純薬社製)0.594gを加え、140℃で攪拌しながら1時間加熱した。次に、トリメシン酸(TCI社製)0.189gを加えて200℃に加熱しながら6時間攪拌した。
その後、放冷し、200mlの水を加えて得られた固体を濾取した。固体を炭酸水素ナトリウム水溶液、メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより高分子(T)を得た。一部を1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬社製)溶液にして、振動式粘度計(CBC株式会社製VM−100A)を用いて固有粘度を算出したところ、0.19L/gであった。
元素分析値(質量%):C,55.29;H,4.84;N,16.36
次に、熱重量/示差熱分析装置(セイコーインスツルメンツEXSTAR-6200)を用いて、高分子(T)の加熱処理時における質量変化(TGA)を測定した。測定条件は窒素雰囲気下(昇温速度10℃/分)であり、加熱処理にはアルミナ皿を使用した。測定した結果、高分子(T)の300℃から500℃における質量減少率は2.4%であった。
・変性物(A21)の合成
窒素雰囲気下において、高分子(T)0.030gを1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬社製)に加え、130℃に加熱した後、無水酢酸銅(II)0.010g(和光純薬社製)を加えて、130℃に保ったまま4時間攪拌した。
また、金属錯体(B)0.040gと、カーボン担体(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン製)0.080gと、を混合し、1−メチル−2−ピロリドン10mlに分散させて、室温で2時間攪拌した。
その後、2つの分散液を混合し、80℃に保ったまま2時間攪拌した。得られた分散液を濃縮することにより、黒色固体を得た。得られた黒色固体を、200Paの減圧下で60℃に加熱しながら12時間乾燥させることにより、混合物(V)を調製した。
次いで、実施例1と同様にして、管状炉を用い、混合物(V)を、窒素雰囲気下950℃で1時間加熱したのち、0.5Mの硫酸溶液中80℃にて1時間処理し、ろ過後、室温にて200Paの減圧下で一晩乾燥することにより、変性物(A21)を得た。
・カソード用触媒インク(A22)の作製
実施例1の変性物(A1)を変性物(A21)に替えた以外は、実施例1と同様にして、カソード用触媒インク(A22)を得た。
・ガス拡散層付き膜電極接合体(A23)の作製
実施例1のカソード用触媒インク(A2)の代わりにカソード用触媒インク(A22)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層付き膜電極接合体(A23)を作製した。ガス拡散層付き膜電極接合体(A23)のカソード側には、変性物(A21)とナフィオン(登録商標)とを含む4.4mg/cmのカソード用触媒層が配置され、アノード側には、白金担持カーボンとナフィオン(登録商標)とを含む2.1mg/cmのアノード用触媒層が配置されていた。
・燃料電池セル(A24)の作製及びその発電性能評価
実施例1において、ガス拡散層付き膜電極接合体(A3)の代わりにガス拡散層付き膜電極接合体(A23)を用いた以外は実施例1と同様にして、燃料電池セル(A24)を作製し、その評価を行った。
燃料電池セル(A24)の0.4Vにおける電流密度は、運転開始時は326mA/cmであり、運転後4時間で326mA/cmの値で安定した。運転4時間後から7時間後の、単位時間あたりの電流密度減少量は0mA/cmhであり、運転開始から7時間経過後でも触媒性能を維持していた。
(実施例3)
・高分子(U)の合成
高分子(U)を以下の反応式に従って合成した。
Figure 2012131972
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
窒素雰囲気下において、100mlフラスコにポリリン酸(Aldrich社製)12.7gを入れ、攪拌しながら140℃まで加熱した。これに、1,2,4,5−ベンゼンテトラミン四塩酸塩(Aldrich社製)0.332gを加え、140℃で攪拌しながら1時間加熱した。
次に、イソフタル酸(TCI社製)0.173gを加えて200℃に加熱しながら10時間攪拌した。
その後、放冷し、300mlの水を加えて得られた固体を濾取した。固体を炭酸水素ナトリウム水溶液、メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより高分子(U)を得た。一部を1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬社製)溶液にして、振動式粘度計(CBC株式会社製VM−100A)を用いて固有粘度を算出したところ、0.50L/gであった。
元素分析値(質量%):C,60.77;H,5.05;N,15.95
次に、熱重量/示差熱分析装置(セイコーインスツルメンツEXSTAR-6200)を用いて、高分子(U)の加熱処理時における質量変化(TGA)を測定した。測定条件は窒素雰囲気下(昇温速度10℃/分)であり、加熱処理にはアルミナ皿を使用した。測定した結果、高分子(U)の300℃から500℃における質量減少率は7.7%であった。
・変性物(A31)の合成
実施例1の高分子(P)の代わりに高分子(U)0.030gを用いた以外は、実施例1と同様にして混合物(W)を調製した。
次いで、実施例2と同様にして、管状炉を用い、混合物(W)を、窒素雰囲気下950℃で1時間加熱したのち、0.5Mの硫酸溶液中80℃にて1時間処理し、ろ過後、室温にて200Paの減圧下で一晩乾燥することにより、変性物(A31)を得た。
・カソード用触媒インク(A32)の作製
実施例1の変性物(A1)を変性物(A31)に替えた以外は、実施例1と同様にして、カソード用触媒インク(A32)を得た。
・ガス拡散層付き膜電極接合体(A33)の作製
実施例1のカソード用触媒インク(A2)の代わりにカソード用触媒インク(A32)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層付き膜電極接合体(A33)を作製した。ガス拡散層付き膜電極接合体(A33)のカソード側には、変性物(A31)とナフィオン(登録商標)とを含む4.6mg/cmのカソード用触媒層が配置され、アノード側には、白金担持カーボンとナフィオン(登録商標)とを含む3.0mg/cmのアノード用触媒層が配置されていた。
・燃料電池セル(A34)の作製及びその発電性能評価
実施例1において、ガス拡散層付き膜電極接合体(A23)の代わりにガス拡散層付き膜電極接合体(A33)を用いた以外は実施例1と同様にして、燃料電池セル(A34)を作製し、その評価を行った。
燃料電池セル(A34)の0.4Vにおける電流密度は、運転開始時は291mA/cmであり、運転後4時間で340mA/cmの値で安定した。運転4時間後から7時間後の、単位時間あたりの電流密度減少量は1mA/cmhであり、運転開始から7時間経過後でも触媒性能を維持していた。
<実施例4>
・高分子(Y)の合成
高分子(Y)を以下の方法で調製した。
100mlのナス型フラスコに0.576gの塩化鉄(III)6水和物(和光純薬社製)及び0.20gのケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製)を入れ、15mlのメタノールを加えた。
その後、得られた混合物を氷浴にて冷却し、0.337gの1,5−ジアミノナフタレン(東京化成社製、製品コードD0101)を溶解したメタノール溶液を滴下し重合反応を行い、エバポレーターで溶媒を留去後、乾燥させることで高分子(Y)を得た。
元素分析値(質量%):C,34.86;H,2.76;N,4.82
次に、熱重量/示差熱分析装置(セイコーインスツルメンツEXSTAR-6200)を用いて、高分子(Y)の加熱処理時における質量変化(TGA)を測定した。測定条件は窒素雰囲気下(昇温速度10℃/分)であり、加熱処理にはアルミナ皿を使用した。
測定した結果、高分子(Y)の300℃から500℃における質量減少率は8.7%であった。
・変性物(A41)の合成
200mgの前記高分子(Y)と50mgの金属錯体(A)と15mlのメタノール中で混合後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した後、得られた混合物を室温にて200Paの減圧下で12時間乾燥させることで、混合物(Z)を得た。
その後、得られた混合物(Z)を、石英を炉心管とする管状炉を用いて、200ml/分の窒素気流下において、800℃で1時間加熱、放冷後、0.5Mの硫酸溶液中80℃にて1時間処理し、ろ過後、室温にて200Paの減圧下で一晩乾燥することにより、変性物(A41)を得た。
・カソード用触媒インク(A42)の作製
実施例1の変性物(A1)を変性物(A41)に替えた以外は、実施例1と同様にして、カソード用触媒インク(A42)を得た。
・ガス拡散層付き膜電極接合体(A43)の作製
実施例1のカソード用触媒インク(A2)の代わりにカソード用触媒インク(A42)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層付き膜電極接合体(A23)を作製した。ガス拡散層付き膜電極接合体(A43)のカソード側には、変性物(A41)とナフィオン(登録商標)とを含む4.1mg/cmのカソード用触媒層が配置され、アノード側には、白金担持カーボンとナフィオン(登録商標)とを含む1.8mg/cmのアノード用触媒層が配置されていた。
・燃料電池セル(A44)の作製及びその発電性能評価
実施例1において、ガス拡散層付き膜電極接合体(A3)の代わりにガス拡散層付き膜電極接合体(A43)を用いた以外は実施例1と同様にして、燃料電池セル(A44)を作製し、その評価を行った。
燃料電池セル(A44)の0.4Vにおける電流密度は、運転開始時は193mA/cmであり、運転後4時間で211mA/cmの値で安定した。運転4時間後から7時間後の、単位時間あたりの電流密度減少量は0mA/cmhであり、運転開始から7時間経過後でも触媒性能を維持していた。
<比較例1>
・変性物(B1)の合成
窒素雰囲気下において、0.062gの高分子(P)および0.067gの酢酸コバルト4水和物を含んだ、1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬社製)溶液20mlを100mlナスフラスコに入れ、60℃に加熱しながら2時間攪拌したところ、固体が生成した。この褐色固体を濾取し、1−メチル−2−ピロリドンで洗浄して、ポリマー金属塩(PM)を合成した。
次いで、窒素雰囲気下において、カーボン担体(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン製)をポリマー金属塩(PM)に対して、カーボン担体:ポリマー金属塩(PM)=4:1の質量比で混合し、1−メチル−2−ピロリドンに分散させた。得られた分散液を、室温にて攪拌後、ろ過して固体を取り出し、200Paの減圧下で12時間乾燥させることにより、混合物(R)を調製した。
次いで、実施例1と同様にして、混合物(R)を、管状炉を用いて900℃に加熱したのち、0.5M硫酸で、80℃、1時間洗浄して、変性物(B1)を得た。
・カソード用触媒インク(B2)の作製
変性物(B1)0.05gに0.32mlの水を加えた後、5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(Aldrich社製、製品番号274704)1.04gとエタノール2.75mlを加え、得られた混合物を30分間超音波処理して、カソード用触媒インク(B2)を得た。
・ガス拡散層付き膜電極接合体(B3)の作製
実施例1において、カソード用触媒インク(A2)の代わりにカソード用触媒インク(B2)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層付き膜電極接合体(B3)を作製した。ガス拡散層付き膜電極接合体(B3)のカソード側には、変性物(B1)とナフィオン(登録商標)とを含む3.9mg/cmのカソード用触媒層が配置されており、アノード側には、白金担持カーボンとナフィオン(登録商標)とを含む1.8mg/cmのアノード用触媒層が配置されている。
・燃料電池セル(B4)の作製及びその発電性能評価
実施例1において、ガス拡散層付き膜電極接合体(A3)の代わりにガス拡散層付き膜電極接合体(B3)を用いた以外は実施例1と同様にして、燃料電池セル(B4)を作製し、その評価を行った。
燃料電池セル(B4)の0.4Vにおける電流密度は、運転開始直後は197mA/cmであったが、徐々に低下し、運転開始後1時間から4時間までの単位時間あたりの電流密度減少量は10mA/cmhであった。
表1,2は、以上に示した実施例および比較例についてまとめたものである。表1には、実施例1〜4に示す混合物について、加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱後の炭素含有率(元素分析値)及び窒素含有率(元素分析値)と共に示す。また、表2には、実施例1〜4および比較例1の燃料電池セルの電流密度について示す。
Figure 2012131972
Figure 2012131972
これにより、本発明の変性物は、耐久性に優れていることが分かり、また、燃料電池の電極触媒として用いた場合に良好な物性を発現することが確認でき、本発明の有用性が確かめられた。
10…燃料電池、12…電解質膜(プロトン伝導膜)、14a,14b…触媒層、16a,16b…ガス拡散層、18a,18b…セパレータ、20…膜電極接合体

Claims (13)

  1. 下記条件(1)及び(2)を満たす高分子と、分子量が300以上の金属錯体、およびカーボン、を含む混合物に、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理を行うことにより得られるポリマーコンポジット変性物。
    (1)窒素含有率が1質量%以上
    (2)不活性ガス雰囲気下で300℃から500℃まで昇温した際の質量減少率が50%以内
  2. 前記混合物が、更に分子量300未満の銅化合物を含む請求項1に記載のポリマーコンポジット変性物。
  3. 前記変性処理は、前記混合物が600℃以上1200℃以下に熱せられる処理条件で行われる請求項1または2に記載のポリマーコンポジット変性物。
  4. 前記高分子が、不活性ガス雰囲気下で前記混合物を600℃まで加熱処理した後の窒素含有率が1質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーコンポジット変性物。
  5. 前記高分子がイミダゾール骨格を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマーコンポジット変性物。
  6. 前記金属錯体が三座以上の配位結合が可能な配位子と、該配位子が配位結合する金属原子とを有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマーコンポジット変性物。
  7. 前記金属錯体がピロール骨格若しくはピリジン骨格、又はこれらの両方を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマーコンポジット変性物。
  8. 前記金属錯体が、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、及び、銅からなる群から選ばれる1種以上の金属原子を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマーコンポジット変性物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマーコンポジット変性物を含む燃料電池用触媒組成物。
  10. 前記ポリマーコンポジット変性物と、カーボンおよび高分子のいずれか一方または両方を含む請求項9に記載の燃料電池用触媒組成物。
  11. 請求項9または10記載の燃料電池用触媒組成物からなる燃料電池用電極触媒。
  12. 燃料電池用電極触媒を含む触媒層を電解質膜の両側に備えた膜電極接合体であって、該触媒層の少なくとも一方が請求項11に記載の燃料電池用電極触媒を含む、膜電極接合体。
  13. 請求項12に記載の膜電極接合体を有する燃料電池。
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