JP2012129083A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温時におけるDCRの増大を抑制して入出力特性に優れた電池を提供する。
【解決手段】電極14,15に成分としてポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂とを併せて含有するバインダを含有させる。即ち、電極を有する電池100であって、該電極がバインダとしてポリオレフィン系樹脂及びゴム系樹脂を含み、該バインダのうち、ポリオレフィン系バインダの含有量が、該バインダの全量に対して、30重量%以上80重量%未満である。
【選択図】図2

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。
地球温暖化等の環境問題の顕在化により、例えば乗り物の排気ガスに由来する二酸化炭素の排出量削減が求められている。このような要求に対し、電気エネルギーを動力とする鉄道及び自動車等の減速時に生じるエネルギーを回生し、動力の一部として使用するハイブリッド鉄道及びハイブリッド自動車等の開発が急ピッチで進められている。そして、上記の鉄道及び自動車等の動力源として通常搭載される電池として、電極でのリチウムイオンの吸蔵放出反応を利用したリチウムイオン二次電池(即ち非水電解液二次電池)が注目されている。また、太陽光発電又は風力発電等で発電した電力を蓄え、電力系統に供給する用途にもリチウムイオン二次電池も注目されている。
鉄道及び自動車等に搭載されるリチウムイオン二次電池の特に重要な特性として入出力特性が挙げられる。この入出力特性は、電極の種類及び構造等に通常は大きく依存する。また、例えば、大電池容量が特に要求される鉄道、プラグインハイブリッド自動車及び電気自動車等に搭載されるリチウムイオン二次電池、並びに電力系統に接続されるリチウムイオン二次電池においては、負極に含有される負極活物質として黒鉛炭素が用いられることが多い。また、電極に任意の成分を含有させるために、通常は例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ゴムバインダ等のバインダが用いられる。そして、バインダ、正極及び負極活物質等の活物質、導電材、分散媒等を混合して電極合剤を調製し、調製された電極合剤をアルミニウム等の集電体に塗布及び乾燥することにより、電極に任意の成分を含有させることができる。なお、バインダとしてゴムバインダを用いる場合には、分散媒として水が用いられることが多い。
バインダは活物質間の結着による電極の物理的強度を高めるために極めて重要な役割を果たすものの、電池を充放電する際に生じるリチウムイオンの移動に関しては、その移動を抑制する成分として振る舞うことが知られている。即ち、充電時には正極側から負極側へ、対して放電時には負極側から正極側へとリチウムイオンが移動することにより二次電池としての能力が発揮されるが、いずれの場合においても、リチウムイオンの移動経路に存在するバインダが、移動の障害となる。この障害の程度は、電池の諸特性の中では、直流抵抗成分として顕著に観測される。
電池の直流抵抗成分は、電池を一定の電流値で充放電する際、充放電の開始から一定時間を経過した時点での電池電圧の降下又は上昇の度合いと、電流値との関係から導出される値である。充放電の電流が増大するにつれ、一定時間を経過した後の電池電圧の変化の度合いは大きくなる傾向があり、これらの値の間にはほぼ線形の関係が成り立つ。電流値(単位:A)の変化に対する電圧変化(単位:V)の近似式の傾きが直流抵抗成分(単位:Ω)である。
直流抵抗成分(以下DCRと略す)は、当然電流の損失につながる。また、通電時には発熱を伴うことから、特に大電流を通電する場合、発熱の程度が大きく、冷却などの副次的な操作が必要となる可能性が高まる。このため、DCRは可能な限り低減することが望ましい。
さらに、DCRは、充放電時の電池の温度が低下するにつれて増大する傾向がある。このことは、車載用等、屋外でかつ大電流による充放電を繰り返し行なう条件で使用される電池では、冬季の性能低下が大きくなるなどの影響として表れる。このため、特に低温におけるDCRの低減が重要である。
例えば、特許文献1には、負極集電体表面に凹凸形状を形成し、さらにこの凹凸形状の上に一定の条件を満たす柱状体を有する活物質層を形成する方法が記載されている。そして、特許文献2には、集電体層上にバインダ層を形成し、かつこのバインダ層を粗化処理して部分的に集電体を露出させた上に活物質層を形成する方法が記載されている。これら特許文献1、2に記載された方法は、いずれも活物質層と集電体との密着性を高めて通電を容易にすることで、低温時における電池の入出力特性の向上を図るものである。そして、特許文献3には、電解液組成を規定することによって、また、特許文献4には、負極活物質を一定の組成、形状とすることによって、低温時を含む電池の入出力特性の向上を図る方法が記載されている。
特開2007−234941号公報 特開2009−295474号公報 特開2006−173124号公報 特開2005−347147号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法においては、負極の製造途中に、集電体表面に一定の加工を与えることが必要であり、製造の操作が複雑となる。また、特許文献3及び4に記載の方法においては、電池材料の組成が規定されることから、使用可能な材料が制限されるという問題がある。
従って、負極製造の工程を複雑とすることなく、かつ活物質や電解液の選択の範囲を広くすることが出来れば、より多くの材料から最適なものを選択することが可能となる。このような目的のためには、電池の入出力特性の低下を抑制するバインダの適用が望ましい。
なお、電極中のバインダ含有量を低減させることにより、リチウムイオンの移動が抑制される効果を低減させる方法も考えられる。しかしながら、バインダの含有量を低減させると、電極の剥離強度が低下するおそれがある。また、バインダは、電極に可撓性を与える材料成分でもあることから、バインダの含有量を低減させることによって、可撓性が減少し、電極の捲回等の操作が困難となるおそれがある。したがって、電池の信頼性に影響を及ぼす可能性があり、電極中のバインダ含有量を低減することは困難である。
本発明は、上記の課題を解決するべくなされたものであり、その目的とするところは、低温時におけるDCRの増大を抑制して入出力特性に優れた非水電解液電池を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、電極に、異なる組成のバインダを特定量含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、バインダを含む電極を有する非水電解液二次電池であって、バインダは、ポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂を含有し、ポリオレフィン系樹脂のバインダに占める比率が30重量%以上80重量%未満であることを特徴としている。
本発明によれば、低温時におけるDCRの増大を抑制でき、入出力特性に優れた非水電解液二次電池を得ることができる。上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施形態に係る電池が有する電極における、バインダと活物質との相対的な位置関係を模式的に示した図。 本発明の一実施形態に係る電池の内部構造の模式的な斜視図。 バインダ総量に占めるポリオレフィン系樹脂の割合(重量%)と−30℃におけるDCRとの関係を示すグラフ。 本発明の効果の検証のために作製した非水電解液二次電池の模式図。
以下、本発明を実施するための形態(以下、適宜「本実施形態」と言う。)を詳細に説明するが、本実施形態は以下の内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
また、以下の記載においては、電池の具体例として非水電解液二次電池(即ちリチウムイオン二次電池)を挙げて、本実施形態に係る電池の説明を行う。ただし、本実施形態に係る電池は非水電解液二次電池に限定されるものではなく、本実施形態に係る電池が有する電極は任意の電池に適用することができる。
本実施形態に係る電池は、バインダを含む電極を有する非水電解液二次電池であって、バインダがポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂を含有し、ポリオレフィン系樹脂のバインダに占める比率が30重量%以上80重量%未満であること、換言すると、電極に含まれるバインダのうち、ポリオレフィン系樹脂の含有量が、バインダの全量に対して、30重量%以上80重量%未満であることを特徴とするものである。
この非水電解液二次電池によれば、バインダがリチウムイオンの移動の障害となるのを防ぐことができ、低温時におけるDCRの増大を抑制して入出力特性に優れた非水電解液二次電池を得ることができる。
[1.電池の構成]
[1−1.電極]
〔バインダ〕
本実施形態に係る電池が有する電極(以下、適宜「本実施形態に係る電極」と言う。)は、バインダとしてポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂とを含むものである。ここで、本実施形態において、「ポリオレフィン系樹脂」とは、エチレン、プロピレン及びそれらの誘導体である二重結合を有する1種以上の単量体を原料として得られる樹脂である。また、「ゴム系樹脂」とは、二重結合を有する1種以上の単量体を重合して得られるゴムからなるバインダのことを言う。
ポリオレフィン系樹脂は、主としてエチレン、プロピレン等の炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物もしくはその誘導体を単量体として重合させることにより得られる樹脂であり、その特徴としては、化学的安定性が挙げられる。さらに、工業的に大量に製造されることから、品質と価格が安定しているという側面も挙げられる。
反面、ポリオレフィン系樹脂は、成形品用途に広く用いられることから分かる通り、融点以下の温度では弾性に乏しく、折り曲げに対しての抵抗が大きい。この特性は、電極用バインダとして単独で用いた場合に顕著に現れ、電極を折り曲げる際、集電体の屈曲に追従できずに合剤層が破壊されてしまう。このことから、ポリオレフィン系樹脂のみをバインダに用いることは困難である。また、弾性に乏しいことから集電体への合剤層の密着性が乏しい可能性もある。
ただし、ポリオレフィン系樹脂は、原料である単量体は二重結合を有するものの、得られる樹脂は二重結合を有しない。そのため、樹脂中に二重結合を有するゴム系樹脂と比較した場合、樹脂自体の化学的な反応性は低いことが期待される。また、弾性が乏しい分子構造を取ることから、電解液等の有機溶媒との接触による膨潤も少ないことが期待できる。
ゴム系樹脂の種類としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、物性の制御を行いやすく、また、不純物が少ないという観点から、合成ゴムが好ましい。このような合成ゴムの具体的な種類としては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)及びその変性体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体、アクリルゴム及びその変性体、フッ素ゴム等が挙げられる。ゴムバインダは、1種のみからなってもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせてなってもよい。
上記のものの中でも、電池が通常有する非水電解液及びリチウムイオン等に対する優れた化学的安定性、並びに当該電池の通常の使用温度である−30℃以上50℃以下における温度変化に対して弾性率の変化が少ないという観点から、本実施形態に係る電極に含まれるゴムバインダとしては、SBRが好ましい。
ゴム系樹脂は、融点以下、ガラス転移点以上の温度領域では、特有のゴム弾性を示す。このため、電極にバインダとして用いることで集電体の屈曲に追従し、電池を製造する過程において、折り曲げによる電極合剤層の破壊を抑制する効果が高い。反面、前述の通り、ゴム系樹脂は分子内に二重結合を有することから、化学的には反応性が高い恐れがあり、かつ弾性に富むことで有機溶媒との接触時に大きく膨潤する可能性がある。
本実施形態に係る電極におけるバインダの含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、乾燥後の電極合剤中の組成として、通常0.5重量%以上、また、その上限は、通常10重量%以下であるが、電池の高容量化の観点から好ましくは2.0重量%以下であり、より好ましくは0.8重量%以上1.2重量%以下である。バインダの含有量が少なすぎる場合、電極に通常含まれる集電体、活物質及び導電材を結着させることが困難となる可能性があり、電池の性能が低下する可能性がある。
電極に含有される全バインダ成分のうち、ポリオレフィン系樹脂は30重量%以上80重量%未満であり、より好ましくは、50重量%以上70重量%以下である。ポリオレフィン系樹脂が30重量%未満では、ゴム系樹脂の特性が優位となり、低温における入出力特性の改善が見られない。
また、本実施形態に係る電極は、バインダとしてポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂以外の樹脂を含んでもよい。このようなバインダとしては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の物性を有するものを用いることができるが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。なお、ポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂以外の樹脂は、1種が単独で含まれてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで含まれてもよい。
本実施形態に係る電極がポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂以外の樹脂をバインダとして含む場合、本発明の効果を著しく損なわない限りその含有量は任意である。ただし、電極に含まれるバインダの総量に対する、含まれるポリオレフィン系樹脂の量は、合計で30重量%以上80重量%未満の範囲とされる。
〔その他の成分〕
本実施形態に係る電極はバインダを含むものであるが、バインダ以外に含まれうるその他の成分は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本実施形態に係る電極は、上記バインダのほかに、通常は集電体、活物質及び導電材を含む。
(集電体)
本実施形態に係る電極に通常含まれる集電体の物性及び種類については、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。例えば集電体の厚さは、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、その上限は、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。集電体の厚さが薄すぎる場合、電極の強度が低下し、電極が容易に破損する可能性があり、厚すぎる場合、電極の柔軟性が損なわれ、後工程での電池作製方法について制約が生じる可能性がある。
また、集電体の種類も本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は導電性を有するものを用いる。このような導電性を有する集電体としては、例えば銅、アルミニウム等が好適に用いられる。なお、集電体は、1種が単独であってもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで用いられてもよい。
また、集電体の形状も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は箔状である。
(活物質)
さらに、本実施形態に係る電極に通常含まれる活物質の物性及び種類は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。以下、正極に含まれる正極活物質、及び負極に含まれる負極活物質に分けて、活物質の説明を行う。
・正極活物質
正極活物質は、電池が通常有する非水電解液中のリチウムイオンを吸蔵放出するものであり、電子を取り込むものである。正極活物質の物性及び種類は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、非水電解液二次電池に好適に用いられる、公知の任意の物性を有する正極活物質を用いればよい。
正極活物質としては、リチウム酸化物等が好適なものとして挙げられる。このようなリチウム酸化物の具体例としては、コバルト酸リチウム,マンガン酸リチウム,ニッケル酸リチウム,リン酸鉄リチウム,リチウム複合酸化物(即ち、コバルト,ニッケル,マンガンからなる群より選ばれる2種以上の金属を含むリチウム酸化物)等が挙げられる。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
・負極活物質
負極活物質は、電池が通常有する非水電解液中のリチウムイオンを吸蔵放出するものであり、電子を放出するものである。負極活物質の物性及び種類は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、非水電解液二次電池に好適に用いられる、公知の任意の物性を有する負極活物質を用いればよい。ただし、本実施形態に係る負極活物質としては、黒鉛が特に好適である。負極活物質として黒鉛を用いることにより、大容量が要求される例えばプラグインハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道等の車両に搭載される車両用非水電解液二次電池を製造することができる。なお、負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
(導電材)
導電材は、上記集電体と上記活物質との間での電子の授受を補助するものである。本実施形態に係る電極に通常含まれる導電材の物性及び種類は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、非水電解液二次電池に好適に用いられる、公知の任意の物性を有する導電材を用いればよい。
このような導電材の具体例としては、アセチレンブラック、黒鉛等が挙げられる。導電材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
図1は、本実施形態に係る電極における、活物質21とポリオレフィン系樹脂22aとゴム系樹脂22bとの相対的な位置関係を模式的に示した図である。図1においては、電極の記載を省略している。図1に示すように、本実施形態に係る電極においては、それぞれの活物質21が、ポリオレフィン系樹脂22aとゴム系樹脂22bとにより接着されている。なお、図1の符号23は、電極合剤に必要に応じて含まれるその他の成分である増粘剤である。
そして、本実施形態に係る電極は、図1に示すように、ポリオレフィン系樹脂22a及びゴム系樹脂22bをそれぞれ特定の割合で含有させることにより、電極の折り曲げに対する追従性を与えると共に剥離強度の低下を抑制することが出来る。
〔電極の剥離強度と折り曲げに対する追従性〕
このように、基本組成の異なる少なくとも2種の樹脂を特定の割合で電極に含有させることにより、電極の折り曲げに対する追従性を確保しつつも剥離強度の低下を抑制することができる。その理由としては、本発明者らの検討によると、ポリオレフィン系樹脂は、単独使用された場合には合剤層が剛直となり、かつ集電体への剥離強度は著しく上昇するものの、合剤層の可とう性が乏しくなり、電極の折り曲げに対して追従が困難となる。これに対し、柔軟性付与に効果が高いゴム系樹脂を共存させることで、ポリオレフィン系樹脂由来の剥離強度は低減されるものの、ゴム系樹脂も一定の剥離強度を確保できることから、合剤層全体の剥離強度が実用可能な範囲に維持される上、合剤層の可とう性が確保され、折り曲げに対する追従性が向上するためであると考えられる。
本実施形態に係る電極の具体的な剥離強度は、通常10N/m以上、好ましくは30N/m以上、より好ましくは60N/m以上である。なお、剥離強度は、JIS C 0806−3 1999に基づいて測定することができる。
〔電極の適用範囲〕
本実施形態に係る電極は、正極若しくは負極のいずれか片方のみとして用いてもよく、正極及び負極の両方として用いてもよい。ただし、本実施形態に係る電極は、負極として用いることが好ましい。
[1−2.非水電解液]
本実施形態に係る電池は、上記電極の他に、通常は非水電解液を有する。このような非水電解液は、リチウムイオンを上記活物質に対して吸蔵放出できるものであれば特に制限されない。
非水電解液は、通常は、非水溶媒と非水電解質とからなるものである。非水溶媒としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えば、カーボネート溶媒が好適なものとして挙げられる。カーボネート溶媒の具体例としては、エチレンカーボネート(EC),プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC),メチルエチルカーボネート(MEC)等の鎖状カーボネート等が挙げられる。非水溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、非水電解液に含まれる非水電解質としても、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のものを用いることができる。このような非水電解質の具体例としては、リチウム塩が特に好適である。このようなリチウム塩の具体例としては、フッ化リン酸リチウム(LiPF)、フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)等が挙げられる。なお、非水電解質も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
[2.電池の製造方法]
本実施形態に係る電池は、上記の構成を有する限り、公知の任意の方法で製造することができる。以下、本実施形態に係る電池の製造方法を一例を挙げて説明するが、本実施形態に係る電位の製造方法は、以下に記載の方法に限定されるものではない。
[2−1.電極の製造方法]
本実施形態に係る電極は、例えば、集電体に、活物質、バインダ、導電材、分散媒及び必要に応じてその他の成分からなる電極合剤を塗布し、乾燥することにより作製することができる。なお、バインダは、上記「[1−1.電極]の〔バインダ〕」において説明したものを用い、さらに、集電体、活物質及び導電材は、上記「[1−1.電極]の〔その他の成分〕」において説明したものを用いることができる。また、電極合剤中の各成分の量も、乾燥後の電極に含まれる各成分の量が上記[1−1.電極]において記載したものとなるように、適宜調整すればよい。
本実施形態に係る電極に含まれるバインダとして好適に用いることが出来るポリオレフィン系樹脂は、通常はエチレン又はプロピレンを共重合させることにより製造することが出来る。但し、ポリオレフィン系樹脂に所望の物性を有させる観点から、共重合可能成分を適宜追加した系でポリオレフィン系樹脂を合成しても良い。例えば、ガラス転移点(Tg)を低くする場合には、エチレンを主要な原料とするポリエチレンが好ましく、Tgを高くする場合にはプロピレンを主要な原料とするポリプロピレンが好ましい。さらに、より顕著に特定の物性を付与するためには、例えばエチレンやプロピレンの誘導体、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、またはマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸とそれらのエステル誘導体を適宜追加してポリオレフィン系樹脂を合成することもできる。
本実施形態に係る電極に含まれるバインダとして好適に用いることができるゴム系樹脂は、特にSBRが好ましく、通常はスチレンとブタジエンとを共重合させることにより製造することができる。ただし、SBRに所望の物性を有させる観点から、共重合可能成分を適宜追加した系でSBRを合成してもよい。例えば、SBRのガラス転移温度(Tg)を所望のものとするためには、これらの原料比率を変更することで対応できる。高Tgとする場合にはスチレンの比率を高め、低Tgとする場合にはブタジエンの比率を高めることが有効である。また、例えばSBRの耐薬品性又は耐水性を向上させるためにアクリロニトリル、2−ビニルピリジン等の成分を共重合可能成分として用いることができる。
また、SBRは、通常は水中に分散された状態で保管されているため、分散された液体を通常は上記電極合剤に含有させることが好ましい。
電極合剤に通常含まれる分散媒の種類としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、水等を用いることができる。分散媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。電極合剤における分散媒の量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電極合剤の全量に対して、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、また、その上限は、通常70重量%以下、好ましくは65重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。分散媒の量が少なすぎる場合、電極合剤に含まれる各成分を適切に分散できずに集電体上で各成分が偏在する可能性があり、多すぎる場合、塗布後の乾燥に時間がかかりすぎる可能性がある。
電極合剤に必要に応じて含まれるその他の成分としては、例えば界面活性剤、消泡材、増粘剤等が挙げられる。電極合剤が界面活性剤を含有することにより、電極合剤に含まれるゴムバインダの分散安定性を向上させることができる。また、電極合剤が消泡剤を含有することにより、上記界面活性剤を含有させた電極合剤を塗布する際の泡立ちを抑制することができる。さらに、電極合剤が増粘剤を含有することにより、電極合剤の粘度を所望のものとすることができ、集電体への電極合剤の塗布が容易になる。
このような界面活性剤の具体例としては、n−ドデシル硫酸ナトリウム等が挙げられ、界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。また、消泡剤の具体例としては、n−オクタノール、ポリシロキサン等が挙げられ、消泡剤も1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。さらに、増粘剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられ、増粘剤も1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
上記の、活物質、バインダ、導電材、分散媒及び必要に応じてその他の成分を、公知の任意の方法により混合して、電極合剤を作製することができる。混合方法としては、各成分を均一に分散媒中に分散させることができ、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
作製した電極合剤の固形分率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常35重量%以上、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上、また、その上限は、通常70重量%以下、好ましくは65重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。固形分率が小さすぎる場合、電極作製時、塗布乾燥の工程に時間がかかり過ぎる可能性があり、大きすぎる場合、塗布性が低くなる可能性がある。なお、固形分率は、電極合剤の加熱乾燥の方法により測定することができる。
また、電極合剤の粘度(塗布乾燥前の粘度)は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.5Pa・s以上、好ましくは1Pa・s以上、また、その上限は、通常100Pa・s以下、好ましくは10Pa・s以下である。粘度が小さすぎる場合、塗布乾燥の工程で流動し、均一な電極合剤層が得られない可能性があり、大きすぎる場合、塗布が困難となる可能性がある。なお、粘度は、JIS Z 8803準拠の粘度計等の測定装置を用いて測定することができる。
作製した電極合剤を集電体に塗布する際の塗布方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。具体的な塗布方法としては、例えばロール塗工法、スリットダイ塗工法等が挙げられる。なお、塗布は1種の方法のみによって行ってもよく、2種以上の方法を任意に組み合わせて行ってもよい。また、塗布は、1回のみ行ってもよく、例えば1回塗布した後乾燥させ、さらにその上に電極合剤を塗布してもよい。
電極合剤を集電体に塗布する際の塗布量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、集電体の片側表面積に対して、通常10g/m以上、好ましくは20g/m以上、より好ましくは30g/m、また、その上限は、通常500g/m以下、好ましくは350g/m以下、より好ましくは200g/m以下である。電極合剤の量が少なすぎる場合、電極作製のための塗布が困難となる可能性があり、多すぎる場合、作製した電極が剛直となる傾向を強め、電池組み立て工程での取り回しが困難となる可能性がある。
また、電極合剤を集電体に塗布した後の乾燥方法も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。また、乾燥時間も特に制限されず、電極合剤に含まれる活物質等を集電体に十分に固定できる程度まで乾燥すればよい。
また、本実施形態に係る電池が有する非水電解液も、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の方法で作製することができる。例えば、上記[1−2.非水電解液]において説明した非水電解質を、所望の濃度となるように非水溶媒に溶解させて非水電解液を作製することができる。
以上のように作製した、電極及び非水電解液を組み合わせ、所望の電池を製造すればよい。
[3.電池の構造]
上記電極及び非水電解液を用いた電池の具体的な構造を、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の記載及び図面に記載の内容は、本実施形態に係る電池の構造のあくまでも一例に過ぎず、本実施形態に係る電池の構造は、以下の記載及び図面に記載の内容に限定されるものではない。
図2は、本発明の一実施形態(第一実施形態)に係る電池の内部構造の模式的な斜視図である。図2に示す第一実施形態に係る電池100は、電池容器1と、ガスケット2と、上蓋3と、上蓋ケース4と、正極集電板5と、負極集電板6と、電極群8と、正極リード9と、からなっている。
電池容器1は、正極集電板5、負極集電板6、電極群8、正極リード9及び非水電解液(図示しない。)を収納するものである。本実施形態に係る電池100において、電池容器1は円筒形状となっているが、角型形状であってもよい。また、電池容器1の材質としては、収納される非水電解液により腐食されない金属を用いることが好ましい。
ガスケット2は、電池容器1と上蓋ケース4との間に設けられるものである。ガスケット2により、電池容器1が密封され、かつ、電池容器1と上蓋3及び上蓋ケース4とが電気的に絶縁されたものとなる。ガスケット2の材質は、例えば弾性樹脂等の公知の封止部材を用いることができる。
上蓋3は、電池100により得られた電力を外部に取り出す外部端子、具体的には正極外部端子である。
上蓋ケース4は、上蓋3と同一の材質により一体となって形成され、上蓋3と上蓋ケース4とは電気的に導通されたものとなっている。上蓋3及び上蓋ケース4の材質としては、導電性を有する金属を用いることができる。また、上蓋ケース4と正極集電板5とは、金属からなる正極リード9を介して電気的に接続されている。
正極集電板5及び負極集電板6は、それぞれ、後述する正極タブ12及び負極タブ13と電気的に接続されている。この電気的な接続は、例えば超音波溶接等により行うことができる。また、正極集電板5及び負極集電板6の中央部には孔が設けられており、軸心7(後述する)が当該孔に嵌められることにより、正極集電板5及び負極集電板6を軸心7に対して固定している。正極集電板5及び負極集電板6の材質としては、導電性を有する金属が用いられる。
また、負極集電板6は、電池容器1の底部と電気的に接続され、電池容器1の底部が電池100にて得られた電力を外部に取り出す端子、具体的には負極外部端子として機能している。従って、電池容器1の底部と側面部とは、絶縁体(図示しない。)で相互に絶縁されたものとなっている。
軸心7は、電極群8の中心部に位置するものであり、正極電極14、負極電極15及びセパレータ18を重ね合わせて積層した状態で捲回させるものである。また、軸心7の上下端部においては、正極集電板5及び負極集電板6を貫通したものとなっている。軸心の形状は任意であるが、第一実施形態においては中空状の円柱を用いている。また、その材質としては、導電性を有さない、若しくは導電性が著しく低い例えば樹脂等を用いることができる。
電極群8は、セパレータ18と、乾燥後の正極合剤(乾燥正極合剤)16がその両面に設けられた正極電極14と、乾燥後の負極合剤(乾燥負極合剤)17がその両面に設けられた負極電極15とが、セパレータ18を介して交互に積層されている。そして、その最外周には、セパレータ18が設けられている。そして、電極群8は、その最外周の設けられたセパレータ18に対して捲回部材19により固定され、電極群8の捲回が解けないようになっている。また、正極電極14の上部には正極タブ12が設けられ、さらに負極電極15の下部には負極タブ13が設けられている。
正極タブ12及び正極電極14はアルミニウム等の金属からなるものであり、上記[1−1.電極]において説明した集電体に相当するものである。そして、正極電極14の両表面には乾燥正極合剤16が設けられている。乾燥正極合剤16は、正極合剤を正極電極14に塗布後に乾燥させたものである。正極合剤は、上記[2.電池の製造方法]において説明した電極合剤に相当するものである。
また、負極タブ13及び負極電極15は、銅等の金属からなるものであり、上記[1−1.電極]において説明した集電体に相当するものである。そして、負極電極15の両表面には乾燥負極合剤17が設けられている。乾燥負極合剤17は、負極合剤を負極電極15に塗布後に乾燥させたものである。負極合剤は、上記[2.電池の製造方法]において説明した電極合剤に相当するものである。
さらに、正極電極14と負極電極15とは、セパレータ18を介して設けられている。セパレータ18は、多孔質かつ絶縁性を有するものであり、リチウムイオン二次電池に用いることができる、公知の任意のセパレータを用いることができる。
本実施形態に係る電池100は、上記及び図2に示す構成を有することにより、電池容器1の外部から充電、若しくは電池容器1の外部へ放電することができる。即ち、例えば電池100の放電時には、電極群8の負極電極15にて発生した電子は、負極タブ13、負極集電板6及び電池容器1の底部をこの順で経由して外部に取り出される。一方で、上蓋3、上蓋ケース4、正極リード9及び正極タブ12を介して、外部から電極群8の正極電極14に電子が到達するようになっている。
[4.本実施形態に係る電池の用途]
本実施形態に係る電池は、公知の任意の用途に用いることができる。特に、本実施形態に係る電池が有する性能は、低温での入出力に優れるという利点を有するため、使用環境が低温となる可能性が高い用途、例えば、屋外で使用される鉄道、自動車(電池容量が通常3.5Ah以上)等に搭載する電池として好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
〔実施例1〕
黒鉛と、ポリオレフィン系樹脂(平均粒径0.1μm)と、ゴム系樹脂(平均粒径0.15μm)と、カルボキシメチルセルロース(数平均重合度1500、エーテル化度0.7)とを、重量比で98:0.7:0.3:1となるように混合し、水に分散させて負極用の電極合剤を作成した。本実施例では、ゴム系樹脂としてSBRを用いた。作製した電極合剤の固形分率は50重量%、粘度は3200mPa・sであった。なお、粘度は、JIS Z 8803準拠の円錐平板型粘度計を用いて測定した。そして、作製した電極合剤を、厚さ10μmの銅箔の表面に、塗布量が90g/mとなるようにロール塗工法により塗布して十分に乾燥させ、負極を作製した。
ポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂の平均粒径は、例えば、SEM観察により測定することができる。平均粒径は、粒子の絶対最大長で表すものとする。絶対最大長とは、輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の長さの平均をとるものとする。そして、値は、10個から求めた平均値とする。
作製した負極を2軸のロールプレスを用いて合剤密度が1.5g/cmとなるように圧縮加工した。加工後、合剤層の幅56mm、長さ570mmとなるよう切断した。得られた負極を、2mmφの丸棒に捲きつけて折り曲げに対する追従性を試験した。負極の電極表面には割れ又は剥離等は見られず、良好な追従性を示した。また、作製した負極の端部にニッケル製の負極タブを取り付けた。同時に、負極の電極合剤層の剥離強度を評価した。剥離強度の評価方法は、JIS C 0806−3 1999に準拠し、180°剥離にて測定した。測定された剥離強度は208N/m(212gf/cm)であった。
正極活物質(マンガン酸リチウム)と、正極導電材(黒鉛とアセチレンブラックとの混合物)と、バインダ(ポリフッ化ビニリデン)とを、重量比で80:10:10となるように混合し、NMPに分散させてスラリーを作製した。作製した電極合剤の固形分率は60重量%、粘度は12000mPa・sであった。なお、粘度は負極と同様の方法にて測定した。そして、作製した電極合剤を、厚さ15μmのアルミニウム箔の表面に、塗布量が200g/mとなるようにロール塗工法により塗布して十分に乾燥させ、正極を作製した。
作製した正極を2軸のロールプレスを用いて合剤密度が3.0g/cmとなるように圧縮加工した。加工後、合剤層の幅54mm、長さ520mmとなるよう切断した。得られた正極の端部にアルミニウム製の正極タブを取り付けた。
次に、非水電解液二次電池100を作製した。上記の方法により作製した正極と負極とを、ポリエチレン多孔膜からなるセパレータ18(厚さ25μm、幅58mm)を介して渦巻き状に捲回した捲回群(電極群)を作製した。この捲回群を、ポリエチレンからなるインシュレータとともに電池容器1に挿入した。その後、負極タブ13を電池容器1の底面に溶接し、正極タブ12を正極端子と溶接した。その後、電池容器1に非水電解液(EC,DMC,DECの体積比で1:1:1の混合溶媒に1.0モル/リットルのLiPF6を溶解させたもの)を注入し、正極端子を電池容器1にかしめて密閉し、直径18mm、長さ65mmの円筒形の非水電解液二次電池とした。作製した非水電解液二次電池の模式図(正面図)を図4に示す。図4の左側半分は、非水電解液二次電池100の断面の模式図(正面図)である。なお、図4中の正極端子は、非水電解液二次電池の上蓋3を兼ねており、電池100内の圧力が上昇すると開裂して電池内部の圧力を開放する開裂弁(図示せず)が備え付けられている。
同様の電池100を10本作製し、電池100の容量を確認した。充放電評価時の条件は、充電は定電流−定電圧方式により行い終止条件は上限電圧4.1Vかつ下限電流50mAとした。また、放電は定電流方式とし、終止条件は下限電圧2.7Vとした。電池の初回充電容量は平均1420mAh、初期効率は平均88%であり、評価前の電池容量は平均1249mAhであった。その後、SOC(State of Charge)100%に充電した電池の−30℃における出力特性を評価し、電流値を250mA、500mA、1000mAの3条件とし、放電前電圧と、放電開始10秒後の電圧からDCRを算出した結果、473mΩであった。
〔実施例2〕
負極用電極合剤における各成分の含有量を、重量比で98:0.5:0.5:1としたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。作製した電極合剤の固形分率は50重量%、粘度は3400mPa・sであった。また、圧縮加工後に測定された剥離強度は、192N/m(196gf/10mm)であった。折り曲げに対する追従性を試験した結果、電極表面には割れ又は剥離等は見られず、良好な追従性を示した。作製した負極を用いて、そのほかの部材及び製造方法は実施例1と同様に電池を10本作製した。−30℃におけるDCRは平均で480mΩであった。
〔比較例1〕
電極合剤にゴム系樹脂を含有させず、黒鉛と、オレフィン系樹脂と、カルボキシメチルセルロースとを、重量比で98:1:1としたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。作製した電極合剤の固形分率は50重量%、粘度は3000mPa・sであった。圧縮加工後に測定された剥離強度は、247N/m(252gf/10mm)であった。折り曲げに対する追従性を試験した結果、合剤層は剛直で、折り曲げに対する追従性は低く、折り曲げの試験中に合剤層が割れ、集電体が容易に露出し、捲回に耐えないことが分かった。捲回に耐えないことから、電池の作製は不可能であった。
〔比較例2〕
電極合剤にオレフィン系樹脂を含有させず、黒鉛と、ゴム系樹脂と、カルボキシメチルセルロースとを、重量比で98:1:1としたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。作製した電極合剤の固形分率は50重量%、粘度は4000mPa・sであった。圧縮加工後に測定された剥離強度は、194N/m(198gf/10mm)であった。折り曲げに対する追従性を試験した結果、電極表面には割れ又は剥離等は見られず、良好な追従性を示した。作製した負極を用いて、そのほかの部材及び製造方法は実施例1と同様に電池を10本作製した。−30℃におけるDCRは平均で498mΩであった。
〔比較例3〕
黒鉛と、ポリオレフィン系樹脂と、ゴム系樹脂と、カルボキシメチルセルロースとを、重量比で98:0.8:0.2:1となるように混合したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。作製した電極合剤の固形分率は50重量%、粘度は3100mPa・sであった。また、測定された剥離強度は、220N/m(224gf/10mm)であった。折り曲げに対する追従性を試験した結果、比較例1よりも合剤層は柔軟であり、明確な亀裂や剥離は見られなかったが、折り曲げに対する追従性は不足しており、折り曲げの際に合剤層に微細なひび割れが多く見られ、捲回は困難であることが分かった。捲回が困難であることから、電池の作製は不可能であった。
〔比較例4〕
黒鉛と、ポリオレフィン系樹脂と、ゴム系樹脂と、カルボキシメチルセルロースとを、重量比で98:0.3:0.7:1となるように混合したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。作製した電極合剤の固形分率は50重量%、粘度は3800mPa・sであった。また、測定された剥離強度は、180N/m(184gf/10mm)であった。折り曲げに対する追従性を試験した結果、電極表面には割れ又は剥離等は見られず、良好な追従性を示した。作製した負極を用いて、そのほかの部材及び製造方法は実施例1と同様に電池を10本作製した。−30℃におけるDCRは平均で490mΩであった。
上記した実施例1、実施例2、比較例1〜4における、電極合剤の組成及び評価結果を表1にまとめた。また、オレフィン系樹脂の含有量に対する作製した電池の−30℃におけるDCRのグラフを図3に示す。
Figure 2012129083
表1及び図3に示すように、ポリオレフィン系樹脂の含有量が0.7重量%の実施例1と、0.5重量%の実施例2では、電極の剥離強度はゴム系樹脂のみをバインダとする比較例2と同等であった。
そして、これらの電極を用いた電池の低温(−30℃)DCRを比較すると、実施例1では473mΩであり、比較例2の498mΩに対して25mΩ低く、実施例2では480mΩであり、比較例2の498mΩに対して18mΩ低い値となった。
この結果から、剥離強度に関して同等の強度を有する電極では、ポリオレフィン系樹脂の含有量を高めることで、低温DCRが低減される。即ち、低温時における入出力特性が向上することが示された。
ポリオレフィン樹脂の含有量が0.8重量%の比較例3では、比較例1に見られた様な合剤層の割れや集電体の露出は見られなかったが、合剤層表面に微細な亀裂の発生が観察された。電極の柔軟性が損なわれていることを示す結果であり、捲回が困難となることが分かった。
実施例1、2及び、比較例3から、捲回に適する電極を得るためには、含まれるバインダの全量に占めるポリオレフィン樹脂の含有量は50重量%から70重量%程度が好ましいが、低温DCRの測定結果を勘案すると、前記の範囲の中でも特に含有比率が高いことがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の含有量が0.3重量%の比較例4では、電池の低温DCRが比較例2と同等であり、ポリオレフィン系樹脂の含有量が0.5重量%以下では、DCR低減の効果が低いことが分かった。なお、表1に示すように、室温25℃では、DCRは実施例1、2、及び比較例1〜4においてほぼ同一の値となっている。
以上のように、バインダにポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂とを含んだ電極において、ポリオレフィン系樹脂の含有量が、含まれるバインダの全量に対して50重量%以上80%未満である場合、それを用いた電極は、比較例1(ポリオレフィン系樹脂のみを含有させた電極)と異なり、折り曲げに対する追従性が確保され、捲回等の電極の変形を伴う電池の製造工程に適用可能であることが分かった。さらに、この電極を用いた電池は、従来の技術である比較例2(ゴム系樹脂のみを含有させた電極を用いた電池)と比較して特に低温におけるDCRが低く、入出力特性に優れることが分かった。即ち、低温環境において使用する場合、電流の損失が少ない電池を製造することが可能となる。
本実施形態に係る電極を用いた電池は、特に鉄道や自動車用等の低温環境に晒される用途に好適に用いることができる。
尚、本発明は、上述の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態及び実施例では、ゴム系樹脂の例として、SBRを使用する場合を例に説明したが、他のゴム系樹脂を使用してもよい。
1 電池容器
2 ガスケット
3 上蓋
4 上蓋ケース
5 正極集電板
6 負極集電板
7 軸心
8 電極群
9 正極リード
12 正極タブ
13 負極タブ
14 正極電極
15 負極電極
16 乾燥正極合剤
17 乾燥負極合剤
18 セパレータ
19 捲回部材
21 活物質
22a ポリオレフィン系樹脂
22b ゴム系樹脂
23 増粘剤
100 電池(非水電解液二次電池)

Claims (7)

  1. バインダを含む電極を有する非水電解液二次電池であって、
    前記バインダは、ポリオレフィン系樹脂とゴム系樹脂を含有し、
    該ポリオレフィン系樹脂の前記バインダに占める比率が30重量%以上80重量%未満であることを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂の前記バインダに占める比率が50重量%以上70重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記電極は、前記バインダを含む電極合剤を有し、
    前記バインダの前記電極合剤に占める比率が0.5重量%以上2.0重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記バインダの前記電極合剤に占める比率が0.8重量%以上1.2重量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記電極合剤は、増粘剤を含有し、
    該増粘剤は、前記バインダの全量に対して、90〜110重量%であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記ゴム系樹脂は、スチレンーブタジエン共重合体ゴム(SBR)であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  7. 車両に搭載されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
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JPWO2020067379A1 (ja) * 2018-09-28 2021-02-15 積水化学工業株式会社 リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池
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