以下に、照明パターンを用いた欠陥の検査方法を説明する。
図1(A)は、照明パターンを用いた検査方法の例を説明する図であり、図1(B)は撮像された画像を示しており、図1(C)は図1(B)のX線に沿った輝度を示している。図2は、図1(A)において、欠陥により反射して撮像される光線を説明する図である。
被検査体120の被検査面121は、例えば、塗装面である。被検査面121は、鏡面でなくても良いが、所定の方向から入射した光の大部分を正反射することが好ましい。被検査面121は、図1(A)及び図2に示すように、凸状の欠陥122を有する。このような欠陥122は、ゴミ等が付着した塗装面上に塗装がされる等して形成される。
図2に示すように、欠陥122は、被検査面121からなだらかに隆起した形状を有し、裾野は緩やかにひろがっている。
照明部111は、ストライプ状の2つの明部111a及び1つの暗部111bを有する照明パターンで、被検査面121上を面状に照明する。ここでは、このような照明をパターン照明と称する。照明部111は、図1(A)に示すように、明部111aの間に暗部111bが挟まれたパターン有し、後方に設けられた光源からの光がこのようなパターンを通過する。明部111aから照射される光は拡がりながら進行する。
また、照明部111は、例えば、発光ダイオード等の発光体を2次元的に配置して明部111aを形成し、発光体を配置しない領域を暗部111bとして形成することも可能である。
撮像部113は、照明部111に照らされた被検査面121の領域の画像を撮像する。撮像部113には、被検査面121から反射した光線が、レンズ117を介して入射する。撮像部113は、被検査面121が照明パターンを正反射する方向に配置される。
図1(B)に示すように、撮像部113により、照明部111により照射された被検査面121の領域の画像130が取得される。被検査面121は、照明部111によりストライプ状の照明パターンが照射されている。画像130は、明部111aに照らされた明領域T1及びT3と、暗部111bに照らされた暗領域T2とを有する。この検査方法の例では、画像130内の暗領域T2を用いて、欠陥の有無を判断する。これは、暗領域で輝く欠陥を検知することにより、欠陥の高い検出感度が得られるためである。図1(B)に示す例では、欠陥の画像Dは、明領域T1と暗領域T2との境界近傍の暗領域T2内に位置している。
このように、欠陥122は、被検査面121上の暗部111bに照らされる暗領域に配置されているものの、明部111aに照らされる明領域と近い場所に位置している。そして、明部111aから照射され拡がりながら進行した光の一部が欠陥122で反射される。
図2に示すように、撮像部113には、入射光を正反射の方向に反射する欠陥122の領域JDから反射した光線Jが入射する。領域JDは、緩やかな傾斜を有する欠陥122の部分なので、通常、比較的広い面積を有する。領域JDからは、多くの反射光が撮像部113に入射するので、欠陥の画像Dは、図1(C)に示すように、高い輝度を有するため、欠陥122の検知が容易となる。このように、被検査面121上に欠陥122が存在すると、図1(B)及び図1(C)に示すように、画像130の暗領域T2内において輝度の明るい領域として欠陥の画像Dが認識される。なお、図2では、レンズ117の記載を省略している。
上述したパターン照明を用いた検査方法では、被検査面121が照明パターンを正反射する方向に配置される撮像部113には、入射光を正反射の方向に反射する領域JDから反射した光線Jが入射する。
図3(A)は、照明パターンを用いた検査方法の例を説明する他の図であり、図3(B)は撮像された画像を示しており、図3(C)は図3(B)のX線に沿った輝度を示している。図4は、図3(A)において、欠陥により反射して撮像される光線を説明する図である。
図3(A)〜(C)に示す例では、被検査面121上の欠陥122の位置が、図1(A)〜(C)に示す例とは異なっている。図3(B)に示すように、欠陥の画像Dは、暗領域T2の幅方向の中央に位置している。この検査方法の例でも、画像130内の暗領域T2を用いて、欠陥の有無を判断する点は前述の例と同様である。
このように、欠陥122は、被検査面121上の暗部111bに照らされる暗領域の中央に配置されているので、明部111aに照らされる明領域からは離れている。しかし、明部111aから照射され拡がりながら進行した光の一部が欠陥122で反射される。
図4に示すように、撮像部113には、入射光を正反射の方向に反射する領域JDから反射した光線Jが入射する。領域JDは、急な傾斜を有する欠陥122の部分なので、通常、比較的狭い面積を有する。領域JDから撮像部113に入射する反射光の量が少ないので、欠陥の画像Dは、図3(C)に示すように、輝度が低いため、欠陥122の検知が困難な場合がある。このように、被検査面121上に欠陥122が存在しても、欠陥の位置によっては、画像130の暗領域T2内における欠陥の画像Dの輝度が低い場合がある。なお、図4では、レンズ117の記載を省略している。
図5(A)は、被検査面上の欠陥の位置を示している。図5(B)は、図5(A)に示すように欠陥の位置をX線上で移動させた場合の欠陥の画像の輝度と、Y線上の輝度とを比較して示すグラフである。
図5(A)に示すように、欠陥122の位置を、照明パターンで照らされた被検査面121上で移動させた場合には、図5(B)に示すように、欠陥の画像Dの輝度K1(実線)が得られる。図5(B)に示すように、欠陥の画像Dの輝度K1は、被検査面121上の暗領域の両端部Z1において高く、暗領域の中央部Z2において低い。
図1(C)及び図3(C)において説明したように、同じ欠陥122が被検査面121上の暗部111bに照らされる暗領域内に位置する場合でも、この暗領域内の欠陥122の位置によって、欠陥の画像Dの輝度K1が異なる。
図5(B)には、被検査面121上の欠陥を有さない領域の画像における輝度K2が鎖線で示されている。輝度K2は、例えば、図5(A)に示すように、被検査面121上の欠陥を有さない領域であるY線に沿った画像における輝度である。
図5(B)に示すように、暗領域の中央部Z2では、欠陥の画像Dの輝度K1と輝度K2とが近いものの、明部111aが照射される明領域Z3では、欠陥の画像Dの輝度K1と輝度K2とが大きく異なることが分かる。なお、暗領域の両端部Z1でも、欠陥の画像Dの輝度K1と輝度K2とが大きく異なっている。
この知見から、次の検査方法を導いた。欠陥の高い検出感度を得るために、被検査面を撮像した画像内の暗領域の輝度を、暗領域の輝度が比較される基準画像としての被検査面上の欠陥を有さない暗領域の画像の輝度と比較する。また、被検査面における欠陥の位置の影響を受けずに欠陥を検知するために、被検査面の同じ領域を撮像した画像内の明領域の輝度を、明領域の輝度が比較される基準画像としての被検査面上の欠陥を有さない明領域の画像の輝度と比較する。そして、これらの比較結果に基づいて、欠陥の有無を判断する。即ち、被検査面の所定領域の明部の明画像と、この明画像が比較される明基準画像と、被検査面の上記所定領域の暗部の暗画像と、この暗画像が比較される暗基準画像とを用いて、欠陥の検査を行う。
この際、被検査面の所定領域に対応する画像内の明領域の輝度を、明基準画像内の被検査面の上記所定領域に対応する領域の輝度と比較する。また、被検査面の所定領域に対応する画像内の暗領域の輝度を、暗基準画像内の被検査面の上記所定領域に対応する領域の輝度と比較する。このようにして、被検査面が模様を有する場合でも、模様の影響を除いて、欠陥の有無を判断することができる。
そこで、明部及び暗部の画像及びそれらの基準画像を用いて、被検査面における欠陥の位置に依存せずに欠陥の有無を判断できる検査方法及びそのような検査方法を用いる検査装置を、以下に説明するように提案する。
以下、本明細書で開示する検査装置の好ましい第1実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
図6は、本明細書に開示する検査装置の第1実施形態を示す図である。
図6に示すように、本実施形態の検査装置10は、明部11b及び暗部11cを有する照明パターンを被検査面21に照射する照明部11aと、照明部11aを制御する照明制御部11dとを備える。照明部11aは、2つの明部11b及び1つの暗部11cを有する照明パターンで被検査面21を照明する。照明部11aは、図1(A)に示す照明部111と同じ構造を有しており、照明部111について行った説明は、照明部11aに対して適宜適用される。
また、検査装置10は、被検査面21上の照明パターンで照射される領域を移動させる移動部としてのステージ12aと、ステージ12aを制御するステージ制御部12bとを備える。ステージ12aは、被検査体12を被検査面21と平行な方向に移動する。また、ステージ12aは、照明部11a又は撮像部13aに対する角度を調整して、被検査面21が照明パターンを撮像部13aの方向に正反射するように傾きを変える。
また、検査装置10は、撮像部13aと、撮像部13aを制御する撮像制御部13bとを備える。撮像部13aは、モノクロデジタルカメラである。検査装置10では、ステージ12aの角度を調整し、照明パターンを、照明パターンを正反射するように配置した被検査面21に照射して、撮像部13bで画像を取得する。撮像部13aは、ステージ12aによって移動する被検査面21について、被検査面21上の同じ領域が、明部11bに照らされる第1画像及び第3画像、並びに暗部11cに照らされる第2画像を取得する。各画像の画素の輝度は、2値又は3値以上の多値を有して保存されることが好ましい。
撮像部13aが有する被写界深度は、照明パターンが照らしている被検査体21の領域の全体に焦点が合う大きさを有することが好ましい。検査装置10は、撮像部13aと被検査体21との間に、レンズ、絞り等を配置して、被写界深度を調節しても良い。
また、検査装置10は、照明制御部11d及びステージ制御部12b及び撮像制御部13bを制御する装置制御部14を備える。装置制御部14は、所定のプログラムに基づいて、各制御を実行する演算部14aと、演算部14aが実行する所定のプログラム及び撮像部13aが取得した画像を記憶するメモリ14bと、を有する。また、装置制御部14は、照明制御部11d及びステージ制御部12b及び撮像制御部13bとの間の通信を行うインターフェース部14cを有する。なお、演算部14aは、プログラマブルロジックコントローラ等のハードウェアを用いて形成されても良い。
演算部14aは、被検査面21の所定領域に対応する第1画像内の領域の輝度を、基準被検査面が明部11bで照らされて取得された第1基準画像内の被検査面21の上記所定領域に対応する領域の輝度と比較する。また、演算部14aは、被検査面21の所定領域に対応する第2画像内の領域の輝度を、基準被検査面が暗部11cで照らされて取得された第2基準画像内の被検査面21の上記所定領域に対応する領域の輝度と比較する。更に、演算部14aは、被検査面21の所定領域に対応する第3画像内の領域の輝度を、基準被検査面が明部11bで照らされて取得された第3基準画像内の被検査面21の上記所定領域に対応する領域の輝度と比較する。演算部14aは、これらの比較により、被検査面21の所定領域の欠陥の有無を判断する。演算部14aの具体的な処理については、検査装置10の動作例の説明において後述する。
被検査体20は、例えば、携帯電話の筐体である。被検査面21は、例えば、携帯電話の筐体の塗装面である。被検査面21は、図6に示すように、凸状の欠陥22を有する。このような欠陥22は、ゴミ等が付着した塗装面上に塗装がされて形成され得る。欠陥22は、被検査面21から外方に向かってなだらかに隆起した形状を有している。欠陥22の裾野は緩やかにひろがっている。なお、欠陥は、被検査面21から内方に向かってなだらかに窪んだ凹形状を有していても良い。このような欠陥22は、例えば、脂等が付着した塗装面上に塗装がされる等して形成される。
更に、検査装置10は、入力した情報を装置制御部14に伝達し、装置制御部14から伝達された情報を出力する入出力部15を備える。
次に、上述した第1実施形態の検査装置10の動作例を、図7〜9を参照して、以下に説明する。以下に説明する検査装置10の動作は、演算部14aが所定のプログラムを実行することにより行われる。
まず、ステップS10において、被検査体20がステージ12a上に載置される。
次に、ステップS12において、被検査面21の被検査領域が照明パターンで照らされるように、ステージ12aが所定の位置に移動する。
次に、ステップS14において、照明パターンが、被検査面21に照射される。
次に、ステップS16において、初期撮像数mが設定される。初期撮像数mは、取得した画像を用いた欠陥検査の処理を行う前に撮像される画像の枚数を意味する。ここでは、初期撮像数mが3に設定される。また、撮像数nがゼロに設定される。本動作例では、欠陥の検査を行うために、3つの画像を用いる。そこで、ステップS18〜S24の処理において、まず3つの画像が取得される。
次に、ステップS18において、撮像数nがn+1に設定される。ここでは、n=1となる。これは、次に1回目の画像の撮像が行われることを意味する。
次に、ステップS20において、照明パターンで照らされた被検査面21の領域の画像が取得される。図10(A)の位置1は、ステップS20で1回目に撮像される被検査面21の領域を示している。図10(A)の位置1では、欠陥22が、撮像される被検査面21の領域の左側に位置している。図10(B)の第1画像は、ステップS20で1回目に取得された画像30aを示す図である。被検査面21には、照明部11aによりストライプ状の照明パターンが照射されている。画像30aは、明部11bに照らされた明領域T1及びT3と、暗部11cに照らされた暗領域T2とを有する。画像30aでは、欠陥の画像Dが、明領域T1内に低い輝度を有して映されている。これは、入射光が欠陥22によって散乱され、撮像部13bに対して正反射して入射する光量が減少するためである。取得された第1画像は、メモリ14bに記憶される。
画像30aの解像度は、求められる欠陥検査の分解能に応じて適宜設定される。明領域T1、T3及び暗領域T2それぞれ幅は、画像30aを横方向に3等分した領域に対応する。
次に、ステップS22において、撮像数nが、初期撮像数mと等しいかが判断される。もし、撮像数nと初期撮像数mとが等しければ、ステップS26に進む。一方、撮像数nが、初期撮像数mと等しくなければ、ステップS24に進む。
次に、ステップS24において、明部11bに照らされていた被検査面21の左側の同じ領域が、暗部11cに照らされるようにステージ12aが所定の方向に移動する。具体的には、ステージ12aは、照明パターンのストライプの幅方向に向かって、明部11bに照らされる明領域の幅と暗部11cに照らされる暗領域の幅との和である1ピッチの半分の1/2ピッチだけ移動する。図10(A)の位置2は、2回目に撮像される被検査面21の領域を示している。図10(A)の位置2では、欠陥22が、撮像される被検査面21の領域の中央に位置している。ステージ12aの移動量の精度は、画像30aの画素に対応する寸法と同等以下であることが好ましい。
このようにして、図10(A)の位置1において、明部11bによって照らされていた欠陥22を含む被検査面21の左側だった領域が、図10(A)の位置2に示すように、暗部11cに照らされることになる。一方、図10(A)の位置1において、明部11bによって照らされていた被検査面21の右側だった領域は、図10(A)の位置2では、撮像される領域から移動して消えている。このように、照明パターンを固定した状態で、被検査体20を移動させて第1画像及び次の第2画像が取得される。
次に、ステップS18に戻り、撮像数nがn+1に設定される。ここでは、n=2となる。これは、次に2回目の画像の撮像が行われることを意味する。
次に、1回目の撮像と同様にして、ステップS20において、2回目の撮像が行われる。図10(B)の第2画像30bは、ステップS20で2回目に取得された画像を示す図である。第2画像30bでは、欠陥の画像Dが、暗領域T2内に高い輝度を有して映されている。これは、入射光が欠陥22によって散乱され、撮像部13bに対して正反射して入射する光量が増加するためである。取得された第2画像30bは、メモリ14bに記憶される。
次に、ステップS22において、撮像数nが、初期撮像数mと等しいかが判断される。もし、撮像数nと初期撮像数mとが等しければ、ステップS26に進む。一方、撮像数nが、初期撮像数mと等しくなければ、ステップS24に進む。
次に、ステップS24において、明部11bに照らされていた被検査面21の左側の同じ領域が、暗部11cに照らされるようにステージ12aが所定方向に移動する。図10(A)の位置3は、3回目に撮像される被検査面21の領域を示している。図10(A)の位置3では、欠陥22が、撮像される被検査面21の領域の右側に位置している。
次に、ステップS18に戻り、撮像数nがn+1に設定される。ここでは、n=3となる。これは、次に3回目の画像の撮像が行われることを意味する。
次に、前回と同様にして、ステップS20において、3回目の撮像が行われる。図10(B)の第3画像30cは、ステップS20で3回目に取得された画像を示す図である。第3画像30cでは、欠陥の画像Dが、明領域T3内に低い輝度を有して映されている。取得された第3画像30cは、メモリ14bに記憶される。
次に、ステップS22において、撮像数nが、初期撮像数mと等しいかが判断される。もし、撮像数nと初期撮像数mとが等しければ、ステップS26に進む。
次に、ステップS26とステップS32との間において、取得した3つの画像30a、30b、30c内の被検査領域に対応する各画素に対して、基準画像の輝度との比較がなされることにより、被検査面の所定領域の欠陥の有無が判断される。ここで、被検査面の所定領域は、各画像30a、30b、30cの一画素に対応する寸法の領域である。
本実施形態では、被検査面は基準被検査面を含む。従って、第1画像30aの基準画像である第1基準画像は、第1画像30aに含まれ、被検査面21の所定領域に対応する第1画像30a内の領域の輝度が、第1画像30a内の他の領域の輝度と比較される。このことを、以下に更に説明する。
図11A(A)に示すように、第1画像30aには、行方向及び列方向に画素が並んで配置される。被検査面21の所定領域に対応する第1画像30a内の明領域T1の一画素Piの輝度が、第1画像30a内の一画素Piに対して、一画素Piが存在する行よりも前または後の行であって、一画素Piと同じ列に存在する画素の輝度と比較される。
図11A(A)に示す例では、第1画像30a内の一画素Piに対して、一画素Piが存在する行よりも1つ前の行であって、一画素Piと同じ列に存在する画素Pi−1の輝度と比較される。本動作例では、画素Pi−1は、第1基準画像である第1画像30a内の被検査面21の上記所定領域に対応する画素である。
この際、第1画像30a内の明領域T1内の一画素Piは、第2行目から比較が開始される。例えば、一画素Piが、一画素Piが存在する行よりもn行前の行(i−n行)と比較される場合には、第1画像30a内の明領域T1内の一画素Piは、第n+1行目から比較が開始される。従って、被検査面21の検査される領域の画像が第1画像30aの第n+1行目以降に含まれるように、第1画像30aが取得されることが好ましい。
上述した説明は、第2画像30b及びその基準画像である第2基準画像、並びに第3画像30c及びその基準画像である第3基準画像の説明にも適宜適用される。
図11Bは、図10(B)の各画像中の欠陥の画像の輝度と基準画像の輝度とを比較する図である。
図11Bでは、プロットG1は、図10(B)における第1画像30a、第2画像30b及び第3画像30c中の欠陥の画像Dの輝度を示す。具体的には、プロットG1は、図11における画素Pi、Qi及びRiが欠陥に対応する場合の各画素の輝度となる。また、プロットG2は、プロットG1に対応する基準画像の画素の輝度を示す。具体的には、プロットG2は、図11における画素Pi−1、Qi−1及びRi−1が欠陥に対応していない場合の各画素の輝度となる。
このように、被検査面21に欠陥が存在する場合には、第1画像30aの明領域T1の欠陥の画像Dの輝度と、欠陥が存在しない基準画像の輝度との差が大きい。同様に、被検査面21に欠陥が存在する場合には、第3画像30cの明領域T3の欠陥の画像Dの輝度と、欠陥が存在しない基準画像の輝度との差が大きい。従って、第2画像30bの暗領域の欠陥の画像Dの輝度と、欠陥が存在しない基準画像の輝度との差が小さくとも、欠陥の存在を検知することができる。
上述したように各基準画像を設定する考えは、被検査面が部分的に一様なテクスチャを有する場合には、部分的に一様なテクスチャの領域内では、被検査面の欠陥を有さない所定の箇所の近傍領域が、ほぼ同じ輝度を持つことに基づいている。従って、nの値は、ほぼ同じ輝度有する領域の寸法に基づいて決定されることが好ましい。また、被検査面上には欠陥が通常ほとんど存在しないので、欠陥を検査するために、i行の画素とi−n行前の画素とを比較することは問題がない。このように、本動作例では、各画像30a、30b、30c内の画素の輝度が、基準画像内の被検査面21の上記所定領域に対応する画素の輝度と比較されるので、被検査面21が全体として模様を有していても、模様の影響を受けずに欠陥の有無を判断できる。
次に、ステップS28において、演算部14aは、メモリ14bから第1画像30aを読み出して、被検査面21の所定領域に対応する第1画像30a内の明領域T1の画素Piの輝度と1行前の画素Pi−1の輝度との差の二乗を求める。同様にして、演算部14aは、メモリ14bから第2画像30bを読み出して、被検査面21の所定領域に対応する第2画像30b内の暗領域T2の画素Qiの輝度と1行前の画素Qi−1の輝度との差の二乗を求める。同様にして、演算部14aは、メモリ14bから第3画像30cを読み出して、被検査面21の所定領域に対応する第3画像30c内の明領域T3の画素Riの輝度と1行前の画素Ri−1の輝度との差の二乗を求める。そして、演算部14aは、各二乗の和Saを求める。
そして、和Saが所定の閾値Thよりも大きい場合に、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断される。もし、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断された場合には、ステップS30に進む。一方、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断されない場合には、ステップS32に進む。
ステップS30において、各画像における欠陥に対応する画素の行及び列が、和Saの値と共に、メモリ14bに記憶される。そして、ステップS32に進む。ここで、和Saが所定の閾値Thよりも大きい場合には、i行の画素(Pi、Qi、Ri)が欠陥に対応する場合と、i−1行の画素(Pi−1、Qi−1、Ri−1)が欠陥に対応する場合とがある。ここで、一画素に対応する被検査面の所定領域の寸法が十分に小さければ、欠陥が、i行に対応すると考えても、又はi−1行に対応すると考えても良い。ここでは、欠陥が、i行に対応すると考える。
また、欠陥の寸法が、一画素に対応する被検査面の所定領域の寸法よりも大きい場合には、和Saが所定の閾値Th以下になる場合がある。このような寸法を有する欠陥の処理は、後述するステップS38で行われる。
次に、ステップS32において、取得した3つの画像30a、30b、30c内の被検査領域に対応する各画素の全てに対して、基準画像の輝度と比較されたのかが判断される。もし、各画像内の全ての画素に対して基準画像の輝度と比較がなされていれば、ステップS34に進む。一方、各画像の全ての画素に対する基準画像の輝度と比較がなされていなければ、ステップS28へ戻る。このようにして、第1画像30aの明領域T1内の画素と、第2画像30bの暗領域T2内の画素と、第3画像30cの明領域T3内の画素に対して、各基準画像の輝度との比較がなされる。
次に、ステップS34において、検査されていない被検査面の領域が有るのかが判断される。もし、検査されていない被検査面の領域が有れば、ステップS36に進む。一方、検査されていない被検査面の領域が無ければ、ステップS38に進む。
次に、ステップS36において、明部11bに照らされていた被検査面21の左側の同じ領域が、暗部11cに照らされるようにステージ12aを所定の方向に移動した後、照明パターンで照らされた被検査面21の画像が取得される。図12(A)の位置4は、4回目に撮像される被検査面21の領域を示している。図12(A)の位置4では、位置3では示されていた欠陥22を含む被検査面21の領域が、撮像される被検査面21の領域から移動して消えている。また、図12(A)の位置4では、新たな欠陥23が、撮像される被検査面21の領域の左側に現れている。そして、次の被検査面21の領域の欠陥の有無を判断するために、第2画像30b及び第3画像30c及び第4画像30dの3つの画像を用いて、ステップS26〜S32の処理が繰り返される。このようにして、被検査面21の全ての領域が検査される。
ステップS38に進んだ場合、メモリ14bに記憶された欠陥に対応する画素の位置(行及び列)に対して粒子解析が行われる。粒子解析では、欠陥に対応する画素領域が検出される。例えば、粒子解析では、エッジ検出により欠陥領域及びその面積が求められる。そして、求められた欠陥領域及びその面積が、欠陥に対応する画素の位置(行及び列)と共にメモリ14bに記憶される。
次に、ステップS39において、欠陥の位置及び面積が、和Saと共に、メモリ14bに記憶される欠陥データベースに登録される。検査装置10は、入出力部15を用いて、検査結果を出力する。
上述した本実施形態の検査方法及びそのような検査方法を用いた検査装置によれば、被検査面における欠陥の位置に依存せずに欠陥の有無を判断できる。また、被検査面121が模様を有する場合でも、模様の影響を除いて、欠陥の有無を判断することができる。従って、欠陥の検査精度を向上することができる。また、このような検査精度の高い検査装置を用いて、欠陥の検査を自動で行うことにより、検査時間を短縮することができる。
なお、上述した実施形態では、2つの明部11b及び1つの暗部11cを有する照明部11aを用いていたが、照明部11aは、他の照明パターンを有していても良い。例えば、照明部11aは、1つの明部11b及び1つの暗部11cを有していても良い。また、照明部11aは、明部11b及び暗部11cにより形成される4つ以上のパターンを有していても良い。この場合には、ステップS16で初期撮像数mの値は、照明部11aのパターン数に応じて適宜変更される。例えば、照明部11aが、1つの明部11b及び1つの暗部11cを有する場合には、初期撮像数mの値は2となり、ステップS26〜ステップS32では、第1画像及び第2画像と、その第1基準画像及び第2基準画像とが用いられる。
次に、上述した検査装置10の他の動作例を、図13及び図14を参照して、以下に説明する。
本動作例では、上述した動作例とは異なる基準画像が用いられる。
具体的には、本動作例では、欠陥を有さない基準被検査面を用いて基準画面が用意される。この基準被検査面は、被検査面21と同じ塗装面を有しているが、欠陥の存在しないことが確認されている。そして、この基準被検査面を用いて、上記被検査面21の同じ領域と対応する基準被検査面の領域が、明部11bで照らされる第1基準画像30e及び暗部11cで照らされる第2基準画像30fが取得される。更に、上記被検査面21の同じ領域と対応する基準被検査面の領域が、明部11bで照らされる第3基準画像30gが取得される。そして、被検査面21の所定領域に対応する第1画像内の画素の輝度が、被検査面21の所定領域に対応する第1基準画像30e内の画素の輝度と比較される。また、被検査面21の所定領域に対応する第2画像内の画素の輝度が、被検査面21の所定領域に対応する第2基準画像30f内の画素の輝度と比較される。更に、被検査面21の所定領域に対応する第3画像内の画素の輝度が、被検査面21の所定領域に対応する第3基準画像30g内の画素の輝度と比較される。
上述したように各基準画像を設定する考えは、被検査面のテクスチャに何らかの模様がある場合には、被検査面と同じ模様を有する基準被検査面を撮像した基準画像を用いることにより、模様に影響を受けない欠陥の判断ができることに基づいている。
本動作例のフローは、上述した動作例のステップS10〜S24までの処理は同じである。そこで、それ以降のフローについて、以下に説明する。
まず、ステップS40とステップS46(図13参照)との間において、取得した3つの画像30a、30b、画像30c内の被検査領域に対応する各画素に対して、ステップS42の処理が行われる。
ステップS42において、演算部14aは、メモリ14bから第1画像30aを読み出して、被検査面21の所定領域に対応する第1画像30a内の明領域T1の画素Piの輝度と第1基準画像30e内の明領域T1の画素RPi(図15(A)参照)の輝度との差の二乗を求める。
図15(A)は、ステップS42で比較される第1基準画像30e内の画素の位置を示す図である。第1基準画像30eは、第1画像30aと対応する基準被検査面の領域を撮像して取得されている。第1画像30a内の明領域T1の画素Piの輝度は、対応する基準被検査面の所定領域の画像である第1基準画像30eの明領域T1の画素RPiの輝度と比較される。
図15(B)は、ステップS42で比較される第2基準画像30f内の画素の位置を示す図である。第2基準画像30fは、第2画像30bと対応する基準被検査面の領域を撮像して取得されている。第2画像30b内の暗領域T2の画素Qiの輝度は、対応する基準被検査面の所定領域の画像である第2基準画像30fの暗領域T2の画素RQiの輝度と比較される。図15(C)は、ステップS42で比較される第3基準画像30g内の画素の位置を示す図である。第3基準画像30gは、第3画像30cと対応する基準被検査面の領域を撮像して取得されている。第3画像30c内の明領域T3の画素Riの輝度は、対応する基準被検査面の所定領域の画像である第3基準画像30gの明領域T3の画素RRiの輝度と比較される。
同様にして、ステップS42では、演算部14aは、メモリ14bから第2画像30bを読み出して、被検査面21の所定領域に対応する第2画像30b内の暗領域T2の画素Qiの輝度と第2基準画像30f内の暗領域T2の画素RQiの輝度との差の二乗を求める。同様にして、演算部14aは、メモリ14bから第3画像30cを読み出して、被検査面21の所定領域に対応する第3画像30c内の明領域T3の画素Riの輝度と第3基準画像30g内の明領域T3の画素RRiの輝度との差の二乗を求める。そして、演算部14aは、各二乗の和Saを求める。
そして、和Saが所定の閾値Thよりも大きい場合に、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断される。もし、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断された場合には、ステップS44に進む。一方、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断されない場合には、ステップS46に進む。
このように、本動作例では、各画像30a、30b、30c内の画素の輝度が、基準画像30e、30f、30g内の被検査面21の上記所定領域に対応する画素の輝度と比較されるので、被検査面21が模様を有していても、模様の影響を受けずに欠陥の有無を判断できる。
ステップS44において、各画像における欠陥に対応する画素の行及び列が、和Saの値と共に、メモリ14bに記憶される。そして、ステップS46に進む。
ステップS46〜S50の処理は、上述した動作例におけるステップS32〜S36の処理と同様である。但し、ステップS48において、検査されていない被検査面の領域が無ければ、ステップS52に進む。
ステップS52に進んだ場合、メモリ14bに記憶された欠陥に対応する画素の位置(行及び列)に対して粒子解析を行う。例えば、粒子解析では、欠陥領域及びその面積が求められる。そして、求められた欠陥領域及びその面積が、欠陥に対応する画素の位置(行及び列)と共にメモリ14bに記憶される。
次に、上述した検査装置の他の実施形態を、図16〜図36を参照しながら以下に説明する。他の実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
本実施形態の検査装置10は、照明部16a及び撮像部13bが、上述した第1実施形態とは異なっている。
照明部16aは、3つの異なる色相部を有する照明パターンを備える。具体的には、照明パターンは、赤色及び緑色及び青色の色相部を有する。面状の照明部16aは、ストライプ状の赤色を照射するR部16bと、ストライプ状の緑色を照射するG部16cと、ストライプ状の青色を照射するB部16dとを有する。各パターンは、異なる波長の光を照射する。
照明部16aにより、照明パターンで照らされた被検査面21は、例えば、図20(A)に示すように、左側から、ストライプ状のR部16bに照らされた領域と、ストライプ状のG部16cに照らされた領域と、ストライプ状のB部16dに照らされた領域と、を有する。図21(A)及び図22(A)には、照明パターンで照らされた他の領域の被検査面21が示されている。
また、検査装置10は、照明部16aを制御する照明制御部16dを備える。照明制御部16dは、装置制御部14により制御される。
本実施形態では、撮像部13aは、カラーデジタルカメラである。撮像部13aは、R部16b及びG部16c及びB部16dに照らされた被検査面21の領域をカラー画像で撮像する。
次に、上述した第2実施形態の検査装置10の動作例を、図17〜19を参照して、以下に説明する。以下に説明する検査装置10の動作は、演算部14aが所定のプログラムを実行することにより行われる。
まず、ステップS60において、被検査体20がステージ12a上に載置される。
次に、ステップS62において、被検査面21の被検査領域が照明パターンで照らされるように、ステージ12aが所定の位置に移動する。
次に、ステップS64において、照明パターンが、被検査面21に照射される。
図20(A)は、ステップS64で照明パターンが照射された被検査面を示している。図20(A)では、欠陥22が、撮像される被検査面21の領域の左側に位置している。図20(A)では、欠陥22が、R部16bに照らされている。
図21(A)は、ステップS64で照明パターンが照射された被検査面の他の領域を示している。図21(A)では、欠陥22が、撮像される被検査面21の領域の中央に位置している。図21(A)では、欠陥22が、G部16cに照らされている。
図22(A)は、ステップS64で照明パターンが照射された被検査面のまた他の領域を示している。図22(A)では、欠陥22が、撮像される被検査面21の領域の右側に位置している。図23(A)では、欠陥22が、B部16dに照らされている。
次に、ステップS66において、照明パターンで照らされた被検査面21のカラー画像が撮像される。
次に、ステップS68において、演算部14aが、撮像したカラー画像から、各色相部の色相を成分とする画像として、赤色(R)画像及び緑色(G)画像及び青色(B)画像をフィルタリングにより取得して、それぞれの画像がメモリ14bに記憶される。R画像は、撮像したカラー画像の内、赤色の成分により形成される。G画像は、撮像したカラー画像の内、緑色の成分により形成される。B画像は、撮像したカラー画像の内、青色の成分により形成される。なお、はじめから、R画像及びG画像及びB画像を取得する撮像部13aを用いて、各色相の画像を取得しても良い。各画像の画素の輝度は、2値又は3値以上の多値を有して記憶されることが好ましい。
図20(B)の右側の図は、ステップS68で取得された図20(A)のR画像40aを示している。R画像40aでは、赤色部は明部として働き、緑色部及び青色部は暗部として働く。即ち、R画像40aは、明部であるR部16bに照らされる明領域S1と、暗部であるG部16cに照らされる暗領域S2と、暗部であるB部16dに照らされる暗領域S3とを有する。R画像40aでは、欠陥の画像Dが、明領域S1内に低い輝度を有して映されている。これは、R部16bから照射された光が欠陥22によって散乱して、撮像部13bに対して正反射して入射する光量が減少するためである。
このように、R画像40aを取得する上で、3つの異なる色相部を有する照明パターンを備えた照明部16aは、1つの明部及び2つの暗部を有するということができる。
図20(B)の中央の図は、ステップS68で取得された図20(A)のG画像40bを示している。G画像40bでは、緑色部は明部として働き、赤色部及び青色部は暗部として働く。即ち、G画像40bは、明部であるG部16cに照らされる明領域S1と、暗部であるR部16bに照らされる暗領域S2と、暗部であるB部16dに照らされる暗領域S3とを有する。G画像40bでは、欠陥の画像Dが、暗領域S2内に高い輝度を有して映されている。これは、G部16cから拡がりながら進行する光線が欠陥22によって散乱して、撮像部13bに対して正反射して入射するためである。
このように、G画像40bを取得する上で、3つの異なる色相部を有する照明パターンを備えた照明部16aは、1つの明部及び2つの暗部を有するということができる。
図20(B)の右側の図は、ステップS68で取得された図20(A)のB画像40cを示している。B画像40cでは、青色部は明部として働き、赤色部及び緑色部は暗部として働く。B画像40cは、明部であるB部16dに照らされる明領域S1と、暗部であるR部16bに照らされる暗領域S2と、暗部であるG部16cに照らされる暗領域S3とを有する。B画像40cでは、欠陥の画像Dが、暗領域S2内に高い輝度を有して映されている。これは、B部16dから拡がりながら進行する光線が欠陥22によって散乱して、撮像部13bに対して正反射して入射するためである。
このように、B画像40cを取得する上で、3つの異なる色相部を有する照明パターンを備えた照明部16aは、1つの明部及び2つの暗部を有するということができる。
図20(C)の左側の図は、図20(B)のR画像40aのX線に沿った輝度を示しており、図20(D)の左側の図は、図20(B)のR画像40aのY線に沿った輝度を示している。このY線は、被検査面21の欠陥が存在しない領域に沿って選択されている。図20(C)では、R画像40aの明領域S1では、X線に沿って高い輝度が示されるが、欠陥の画像Dの部分では輝度が低くなっている。また、図20(D)では、R画像40aの明領域S1には、欠陥の存在しないY線に沿って一定の高い輝度が示されている。また、図20(C)及び図20(D)では、R画像40aの暗領域S2及び暗領域S3では、共に低い輝度が示されている。
図20(C)の中央の図は、図20(B)のG画像40bのX線に沿った輝度を示しており、図20(D)の中央の図は、図20(B)のG画像40bのY線に沿った輝度を示している。このY線は、被検査面21の欠陥が存在しない領域に沿って選択されている。図20(C)では、G画像40bの暗領域S2には、X線に沿って低い輝度が示されるが、欠陥の画像Dの部分では輝度が高くなっている。また、図20(C)では、G画像40bの明領域S1には、X線に沿って一定の高い輝度が示されており、G画像40bの暗領域S3には、X線に沿って低い輝度が示されている。また、図20(D)に示すように、G画像40bの明領域S1では、Y線に沿って一定の高い輝度が示されており、暗領域S2及び暗領域S3では、Y線に沿って低い輝度が示されている。
図20(C)の右側の図は、図20(B)のB画像40cのX線に沿った輝度を示しており、図20(D)の右側の図は、図20(B)のB画像40cのY線に沿った輝度を示している。このY線は、被検査面21の欠陥が存在しない領域に沿って選択されている。図20(C)では、B画像40cの暗領域S2には、X線に沿って低い輝度が示されるが、欠陥の画像Dの部分では輝度が高くなっている。ただし、このB画像40cの欠陥の輝度は、欠陥22の位置がB部16dに照らされる領域から離れているので、G画像40bのものよりも低くなっている。また、図20(C)では、B画像40cの明領域S1には、X線に沿って一定の高い輝度が示されており、B画像40cの暗領域S3には、X線に沿って低い輝度が示されている。また、図20(D)に示すように、B画像40cの明領域S1では、Y線に沿って一定の高い輝度が示されており、暗領域S2及び暗領域S3では、Y線に沿って低い輝度が示されている。
上述した説明は、図21(B)〜図21(D)及び図22(B)〜図22(D)に対しても適宜適用される。
ここで、図23(A)〜図23(C)を用いて、本実施形態の検査方法の考え方を以下に説明する。
図23(A)は、図20(C)の各画像の欠陥の輝度とY線に沿った輝度とを比較した図である。図23(A)には、図20(C)におけるR画像40aの欠陥の画像Dの輝度L1と、G画像40bの欠陥の画像Dの輝度L2と、B画像40cの欠陥の画像Dの輝度L3とがプロットされている。また、図23(A)には、図20(D)におけるR画像40aの明領域S1の輝度M1と、G画像40bの暗領域S2の輝度M2と、B画像40cの暗領域S2の輝度M3とがプロットされている。輝度M1、M2、M3は、欠陥の画像の位置と対応するY線の位置の輝度が選択されている。
図23(A)に示すように、被検査面21に欠陥が存在する場合には、R画像40aの欠陥の画像Dの輝度と、欠陥が存在しないY線の部分の輝度との差が大きい。同様に、G画像40bの欠陥の画像Dの輝度と、欠陥が存在しないY線の部分の輝度との差も比較的大きい。更に、輝度の差が縮まるものの、B画像40cの欠陥の画像Dの輝度と、欠陥が存在しないY線の部分の輝度との間に差がある。
一方、被検査面21に欠陥が存在しない場合には、図23(A)の図には、L1及びL2及びL3のような輝度は現れずに、M1及びM2及びM3の位置のみにプロットが形成される。
従って、図23(A)のような図において、M1及びM2及びM3のような基準の輝度に対して、異なる輝度が存在することを調べることにより、欠陥の有無を判断できることが分かる。
図23(B)には、図21(C)の各画像の欠陥の輝度とY線に沿った輝度とを比較した図が示されており、図23(C)には、図22(C)の各画像の欠陥の輝度とY線に沿った輝度とを比較した図が示されている。図23(A)の説明は、図23(B)及び図23(C)に対して、適宜適用される。次ぎに、再びフローのステップS70に戻って、検査装置10の動作の続きを以下に説明する。
ステップS70において、R画像40a及びG画像40b及びB画像40cの輝度の平均値を一致させる。具体的には、図20(B)のR画像40aの明領域S1の輝度の平均値と、G画像40bの明領域S1の輝度の平均値と、B画像40cの明領域S1の輝度の平均値とを一致させる。この処理は、例えば、白い紙を撮像して、各画像の明領域の輝度の平均値を一致させる係数を求め、この係数を用いて被検査面を撮像した各画像の輝度を一致させれば良い。
このように、輝度の平均値を一致させたR画像40a及びG画像40b及びB画像40cを用いて、所定領域の欠陥の有無を判断することにより、色相の違いによる欠陥の輝度の違いが補正される。
次に、ステップS72とステップS78との間において、R画像40a、G画像40b及びB画像40c内の被検査領域に対応する各画素に対して、基準画像の輝度との比較がなされることにより、被検査面の所定領域の欠陥の有無が判断される。ここで、被検査面の所定領域は、各画像40a、40b、40cの一画素に対応する寸法の領域である。
本実施形態では、被検査面は基準被検査面を含む。従って、R画像40aの基準画像であるR基準画像は、R画像40aに含まれ、被検査面21の所定領域に対応するR画像40a内の領域の輝度が、R画像40a内の領域の輝度と比較される。このことを、以下に更に説明する。
図24(A)に示すように、R画像40aには、行方向及び列方向に画素が並んで配置される。被検査面21の所定領域に対応するR画像40a内の明領域S1の一画素Piの輝度が、R画像40a内の一画素Piに対して、一画素Piが存在する行よりも前または後の行であって、一画素Piと同じ列に存在する画素の輝度と比較される。本動作例では、画素Pi−1は、第1基準画像であるR画像40a内の被検査面21の上記所定領域に対応する画素である。
図24(A)に示す例では、R画像40a内の一画素Piに対して、一画素Piが存在する行よりも1つ前の行であって、一画素Piと同じ列に存在する画素Pi−1の輝度と比較される。
上述した説明は、G画像40b及びその基準画像であるG基準画像、並びにB画像40c及びその基準画像であるB基準画像の説明にも適宜適用される。
上述したように各基準画像を設定する考えは、被検査面が一様なテクスチャを有する場合には、被検査面の欠陥を有さない所定の箇所の近傍領域が、ほぼ同じ輝度を持つことに基づいている。また、上述したように各基準画像を設定する考えは、被検査面が欠陥を有するとしても、ほとんどの領域には欠陥が存在しないという考えに基づいている。
次に、ステップS74において、演算部14aは、メモリ14bからR画像40aを読み出して、被検査面21の所定領域に対応するR画像40a内の明領域S1の画素Piの輝度と1行前の画素Pi−1の輝度との差の二乗を求める。同様にして、演算部14aは、メモリ14bからG画像40bを読み出して、被検査面21の所定領域に対応するG画像40b内の暗領域S2の画素Qiの輝度と1行前の画素Qi−1の輝度との差の二乗が求める。同様にして、演算部14aは、メモリ14bからB画像40cを読み出して、被検査面21の所定領域に対応するB画像40c内の暗領域S2の画素Riの輝度と1行前の画素Ri−1の輝度との差の二乗が求める。そして、演算部14aは、各二乗の和Saを求める。
そして、和Saが所定の閾値Thよりも大きい場合に、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断される。もし、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断された場合には、ステップS76に進む。一方、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断されない場合には、ステップS78に進む。
ステップS76において、各画像における欠陥に対応する画素の行及び列が、和Saの値と共に、メモリ14bに記憶される。そして、ステップS78に進む。
次に、ステップS78において、R画像40a、G画像40b及びB画像40c内の被検査領域に対応する各画素の全てに対して、基準画像の輝度と比較されたのかが判断される。このようにして、R画像40aの明領域S1内の画素と、G画像40bの暗領域S2内の画素と、B画像40cの暗領域S2内の画素に対して、各基準画像の輝度との比較がなされる。また、R画像40aの暗領域S2内の画素と、G画像40bの明領域S1内の画素と、B画像40cの暗領域S3内の画素に対して、各基準画像の輝度との比較がなされる。更に、R画像40aの暗領域S3内の画素と、G画像40bの暗領域S3内の画素と、B画像40cの明領域S1内の画素に対して、各基準画像の輝度との比較がなされる。
もし、被検査領域に対応する各画像の全ての画素に対して基準画像の輝度と比較がなされていれば、ステップS80に進む。一方、各画像の全ての画素に対する基準画像の輝度と比較がなされていなければ、S74へ戻る。
ステップS82に進んだ場合、被検査面21の次の検査領域が、照明パターンで照らされるようにステージ12aを移動する。そして、ステップS66に移動する。
また、ステップS84に進んだ場合、ステップS84〜S86の各処理は、第1実施形態において説明したステップS38〜S39の処理と同様である。
上述した本実施形態の検査装置によれば、1つのカラー撮像により、欠陥の検査を行えるので、検査速度が更に向上する。また、上述した第1実施形態と同様の効果が奏される。
また、本実施形態の検査装置10において、第1実施形態の他の動作例において説明したように、基準被検査面を撮像した基準画像を用いて、欠陥の検査を行っても良い。
また、上述した第2実施形態では、3つの異なる色相部を有する照明パターンを用いていたが、2つの異なる色相部を有する照明パターンを用いて、例えば、R部及びG部等を用いて、カラー画像を撮像しても良い。この場合、カラー画像から、各色相部の色相を成分とする2つの画像が取得される。また、検査装置では、4つ以上の異なる色相部を有する照明パターンを有する照明部を用いて、4つ以上の色相を成分とする画像を取得して、取得した4つ以上の画像を用いて、欠陥の検査を行っても良い。
上述した実施形態の検査装置では、被検査面上の欠陥が、照射された照明パターンの明部と暗部との境界付近に位置していると、欠陥の画像の輝度と、基準画像内の欠陥ではない領域の輝度との差が小さくなるので、欠陥の検出が困難になる場合がある。
図25は、欠陥の位置を図5(B)のようにX線上で移動させた場合の欠陥の画像の輝度を示すグラフである。
図25は、図5(B)に対応する図であり、輝度K1は、欠陥の位置を、照明パターンで照らされた被検査面上で移動させた場合の欠陥の画像の輝度変化を示す。また、輝度K2は、被検査面121上の欠陥を有さない領域を、照明パターンで照らされた被検査面上で移動させた場合の画像の輝度変化を示す。そして、被検査面上の欠陥が、照射された照明パターンの明部と暗部との境界に位置している場合には、輝度K1(○印)と輝度K2(●印)との差が小さくなる。
このような場合には、欠陥の画像の輝度と、基準画像内の欠陥ではない領域の輝度との差が小さい。従って、欠陥の検出が困難になるおそれがある。例えば、撮像する画像の数を増やすことにより、欠陥の検出の精度を向上することもできるが、この方法を用いると検査時間が増加することになる。
次に説明する本明細書に開示する第3実施形態の検査装置では、上述した問題を解決するものである。
図26は、本明細書に開示する検査装置の第3実施形態を示す図である。
本実施形態の検査装置10は、照明部17aが、上述した第1実施形態とは異なっている。照明部17aは、正弦波状に輝度が変化する明部及び暗部を有する。照明部17aは、照明制御部17bにより制御される。
図27は、照明パターンの正弦波状の輝度変化を示す図である。
照明部17aは、周期Tで正弦波状に輝度変化する照明パターンを有する。最も明るい明部は、周期Tの間隔で繰り返される。同様に、最も暗い暗部も、周期Tの間隔で繰り返される。最も明るい明部と最も暗い暗部との間は、輝度が正弦波状に変化する。そして、照明パターン17aは、最も明るい明部の部分が形成する直線状の縞と最も暗い暗部の部分が形成する直線状の縞とが、周期Tで繰り返される縞模様の輝度変化を被検査面21上に映し出す。
照明部17aには、照明パターンの縞模様が周期Tで繰り返して被検査面21上に照射されるように配置される。具体的には、照明部17aの面の部分が、被検査面21に対して平行になるように、照明部17aが配置される。
照明部17aは、例えば、光透過性の白いスクリーンの後方から、プロジェクタ等を用いて正弦波パターンをスクリーンに投影し、スクリーンに投影された正弦波パターンを、被検査面21に照射しても良い。または、照明部17aは、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイに正弦波パターンを表示して、ディスプレイ上に表示された正弦波パターンを被検査面21に直接照射するようにしても良い。
撮像部13aは、照明部17aに照射された被検査面21の領域を、上方から撮像するように配置される。
撮像部13aは、ステージ12aによって移動する被検査面21について、被検査面21上の同じ領域が、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なるn箇所(nは3以上の整数)の位相の位置で照らされた第1画像から第n画像のn個の画像を取得する。
演算部14aは、被検査面21の所定領域に対応する第1画像から第n画像内の領域の輝度と、基準被検査面が、第1画像から第n画像が取得されたのと同様に、照明パターンの輝度変化の1周期内の上記異なるn箇所の位相の位置で照らされて取得された第1基準画像から第n基準画像内の被検査面の所定領域に対応する領域の輝度とに基づいて、所定領域の欠陥の有無を判断する。
検査装置10では、照明部17aにおける照明パターンの輝度変化の1周期内の異なるn箇所の位相の位置が等間隔であり、欠陥の有無を判断するために、位相シフト法を用いて、各画像内の領域の輝度が処理される。
次に、検査装置10が用いる位相シフト法について、図28を参照しながら、以下に説明する。
図28は、位相シフト法を説明する図である。
図28には、照明パターンの位相を1周期に亘り変化させた場合の被検査面21上の同じ領域を撮像した画像内の輝度が示されている。具体的には、図28には、被検査面21上の欠陥を有さない領域が、照明部17aによって、正弦波状に輝度変化する照明パターンの1周期に亘って照射されるのを撮像した場合の輝度変化を示す鎖線のカーブC1が示されている。また、図28には、被検査面21上の欠陥が、照明部17aによって、正弦波状に輝度変化する照明パターンの1周期に亘って照射されるのを撮像した場合の輝度変化を示す実線のカーブC2が示されている。照明パターンの直線状の縞模様が欠陥に対して直交するように照明パターンの位相が変化するように、被検査面21を固定された撮像部13aに対して移動させている。
カーブC1は、照明部17aの正弦波状の照明パターンと同じ周期で輝度が変化する。
同様に、カーブC2も、照明部17aの正弦波状の照明パターンと同じ周期で輝度が変化するが、図28に示すように、周囲からの光の映り込みの影響により初期位相がカーブC1とは異なる場合がある。また、カーブC2の輝度は、照射された光が欠陥によって散乱されて撮像される光量が減少するので、被検査面21上の欠陥を有さない領域よりも低くなる。なお、欠陥によっては、カーブC2の位相が、カーブC1と同じになる場合もある。
カーブC1上には、1周期が4等分されて、4つの位相の位置R1、R2、R3、R4がπ/2の間隔で示されている。同様に、カーブC2上には、1周期が4等分されて、4つの位相の位置D1、D2、D3、D4がπ/2の間隔で示されている。即ち、位置R1、R2、R3、R4と位置D1、D2、D3、D4とは、それぞれ、照明パターンの同じ位相の位置にある。
カーブC1上の4つの位相の位置R1、R2、R3、R4における輝度I1、I2、I3、I4は、式(1)で表される。ここで、Aは、縞の平均明るさであり、Bは、縞のビジビリティである。
同様に、カーブC2上の4つの位相の位置D1、D2、D3、D4における輝度I’1、I’2、I’3、I’4は、式(2)で表される。ここで、A’は、縞の平均明るさであり、B’は、縞のビジビリティである。式(2)におけるφ’は、φ+α(αは初期位相)の意味である。
図28では、縞の平均明るさA及びA’は同じ値としている。
そして、カーブC1について、縞のビジビリティBと縞の平均明るさAとの比である正規化された縞のコントラストである基準比γは、式(3)で表される。
同様に、カーブC2について、縞のビジビリティB’と縞の平均明るさA’との比である正規化された縞のコントラストである測定比γ’は、式(4)で表される。
基準比γ及び測定比γ’は、0〜1の間の値である。被検査面が鏡面に近いと、基準比γは1に近い値となる。一方、欠陥による散乱が大きいと、測定比γ’は0に近い値となる。
そして、検査装置10では、測定比γ’と基準比γとに基づいて、被検査面上の所定領域の欠陥の有無を判断する。
測定比γ’は、被検査面上の欠陥が正弦波状の照明パターンのどこに位置していても、安定して得られる数値である。従って、位相シフト法を用いて、撮像した画像を解析すれば、上述した問題を解消して、欠陥の検査を行うことができる。
具体的には、被検査面21上の同じ領域が、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なる4箇所の位相の位置(D1〜D4に対応する)で照らされた第1画像から第4画像の4個の画像が取得される。そして、被検査面21の所定領域に対応する第1画像から第4画像内の領域の輝度(I’1〜I’4)と、基準被検査面が、第1画像から第4画像が取得されたのと同様に、照明パターンの輝度変化の1周期内の上記異なる4箇所の位相の位置(R1〜R4に対応する)で照らされて取得された第1基準画像から第4基準画像内の被検査面の所定領域に対応する領域の輝度(I1〜I4)と、に基づいて、所定領域の欠陥の有無が判断される。
図28に示す例では、1周期内の位相の位置を4等分にしていたが、位相シフト法を用いる場合には、1周期内の位相の位置がn等分(nは3以上の整数)されていれば良い。通常、nは、欠陥の寸法に基づいて決定され得る。例えば、寸法の大きな欠陥は、nを小さくしても良いが、寸法の小さな欠陥は、nを大きくすることが好ましい。
位相シフト法の詳細な説明については、例えば、DANIEL MALACARA、Optical Shop Testing、Second Edtion、USA、John Wiley & Sons, Inc.、1992、pp.501−598(Chapter 14. Phase Shifting Interferometers)を参照されたい。
次に、上述した第3実施形態の検査装置10の動作例を、図29〜32を参照して、以下に説明する。以下に説明する検査装置10の動作は、演算部14aが所定のプログラムを実行することにより行われる。
まず、ステップS100において、被検査体20がステージ12a上に載置される。
次に、ステップS102において、被検査面21の被検査領域が照明パターンで照らされるように、ステージ12aが所定の位置に移動する。
次に、ステップS104において、照明パターンが、被検査面21に照射される。
次に、ステップS106において、検査撮像数wが設定される。検査撮像数wは、被検査面21の所定領域を検査するために取得される画像の枚数を意味する。ここでは、検査撮像数wが4に設定される。また、撮像数nがゼロに設定される。本動作例では、欠陥の検査を行うために、4つの画像を用いる。そこで、ステップS108〜S114の処理において、4つの画像が取得される。
次に、ステップS108において、撮像数nがn+1に設定される。ここでは、n=1となる。これは、次に1回目の画像の撮像が行われることを意味する。
次に、ステップS110において、照明パターンで照らされた被検査面21の領域の画像が取得される。図32(A1)は、ステップS110で1回目に撮像される被検査面21の領域を示している。ここで、鎖線で示される領域FVは、撮像部13aの視野を示しており、領域FV内の被検査面21の領域が撮像されて、メモリ14bに記憶される。領域FVの幅は、照明パターンの正弦波状の周期Tの輝度変化が3つ含まれる長さに相当するように設定される。ここで、領域FVの幅方向は、固定された撮像部13aに対して、ステージ12aが移動する方向と一致する。図32(A1)に示す例では、領域FV内に欠陥22が含まれている。
演算部14aは、メモリに記憶された画像に基づいて、領域FVの左側の周期Tの1/4の位相の位置から(1+1/4)Tの位相の輝度変化が含まれる長さの部分FRを取り出し第1画像50aとして、メモリ14bに記憶する。図32(B1)は、第1画像50aを示している。第1画像50aは、正弦波状の照明パターンの(1+1/4)周期分の輝度変化を含んでいる。第1画像50aには欠陥の画像Dが含まれており、欠陥の画像Dは、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部に位置している。
次に、ステップS112において、撮像数nが、検査撮像数wと等しいかが判断される。もし、撮像数nと検査撮像数wとが等しければ、ステップS116に進む。一方、撮像数nが、検査撮像数wと等しくなければ、ステップS114に進む。
次に、ステップS114において、被検査面21の同じ領域が、照明パターンの輝度変化の周期Tの1/4の位相量だけずれて照らされるようにステージ12bを移動する。具体的には、照明パターンの直線状の縞の位置が、領域FVの幅方向に向かって周期Tの1/4の位相量だけずれて照らされるようにステージ12bを移動する。図32(A2)は、2回目に撮像される被検査面21の領域を示している。領域FVにおいて、欠陥22の位置は、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から、周期Tの1/4の位相量だけずれて照らされている。
次に、ステップS108に戻り、撮像数nがn+1に設定される。ここでは、n=2となる。これは、次に2回目の画像の撮像が行われることを意味する。
次に、1回目の撮像と同様にして、ステップS110において、2回目の撮像が行われて、画像がメモリ14bに記憶される。演算部14aは、メモリに記憶された画像に基づいて、領域FVの左側の周期Tの2/4の位相の位置から(1+1/4)Tの位相の輝度変化が含まれる長さの部分FRを取り出し第2画像50bとして、メモリ14bに記憶する。図32(B2)は、ステップS110で2回目に取得された第2画像50bを示す図である。第2画像50bでは、欠陥の画像Dは、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から周期Tの1/4の位相量だけずれて位置する。
次に、ステップS112において、撮像数nが、検査撮像数wと等しいかが判断される。もし、撮像数nと検査撮像数wとが等しければ、ステップS116に進む。一方、撮像数nが、検査撮像数wと等しくなければ、ステップS114に進む。
次に、ステップS114において、被検査面21の同じ領域が、照明パターンの輝度変化の周期Tの1/4の位相量だけずれて照らされるようにステージ12bを移動する。図32(A3)は、3回目に撮像される被検査面21の領域を示している。領域FVにおいて、欠陥22の位置は、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から、周期Tの2/4の位相量だけずれて照らされており、欠陥22の位置は、最も明るい明部に位置する。
次に、ステップS108に戻り、撮像数nがn+1に設定される。ここでは、n=3となる。これは、次に3回目の画像の撮像が行われることを意味する。
次に、前回と同様にして、ステップS110において、3回目の撮像が行われて、画像がメモリ14bに記憶される。演算部14aは、メモリに記憶された画像に基づいて、領域FVの左側の周期Tの3/4の位相の位置から(1+1/4)Tの位相の輝度変化が含まれる長さの部分FRを取り出し第3画像50cとして、メモリ14bに記憶する。図32(B3)は、ステップS110で3回目に取得された第3画像50cを示す図である。第3画像50cでは、欠陥の画像Dが、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から周期Tの2/4の位相量だけずれて位置する。
次に、ステップS112において、撮像数nが、検査撮像数wと等しいかが判断される。もし、撮像数nと検査撮像数wとが等しければ、ステップS116に進む。一方、撮像数nが、検査撮像数mと等しくなければ、ステップS114に進む。
次に、ステップS114において、被検査面21の同じ領域が、照明パターンの輝度変化の1周期Tの1/4の位相量だけずれて照らされるようにステージ12bを移動する。図32(A4)は、4回目に撮像される被検査面21の領域を示している。領域FVにおいて、欠陥22の位置は、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から、周期Tの3/4の位相量だけずれて照らされている。
次に、ステップS108に戻り、撮像数nがn+1に設定される。ここでは、n=4となる。これは、次に4回目の画像の撮像が行われることを意味する。
次に、前回と同様にして、ステップS110において、4回目の撮像が行われて、画像がメモリ14bに記憶される。演算部14aは、メモリに記憶された画像に基づいて、領域FVの左側の周期Tの位相の位置から(1+1/4)Tの位相の輝度変化が含まれる長さの部分FRを取り出し第4画像50dとして、メモリ14bに記憶する。図32(B4)は、ステップS110で4回目に取得された第4画像50dを示す図である。第4画像50dでは、欠陥の画像Dが、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から周期Tの3/4の位相量だけずれて位置する。
次に、ステップS112において、撮像数nが、検査撮像数wと等しいかが判断される。もし、撮像数nと検査撮像数wとが等しければ、ステップS116に進む。
次に、ステップS116とステップS122との間において、取得した4つの画像50a、50b、50c、50d内の被検査領域に対応する各画素に対して、基準画像の輝度との比較がなされることにより、被検査面の所定領域の欠陥の有無が判断される。ここで、被検査面の所定領域は、各画像50a、50b、50c、50dの一画素に対応する寸法の領域である。
本実施形態では、被検査面は基準被検査面を含む。従って、第1画像50aの基準画像である第1基準画像は、第1画像50aに含まれ、被検査面21の所定領域に対応する第1画像50a内の領域の輝度が、第1画像50a内の他の領域の輝度と比較される。このことを、以下に更に説明する。
被検査面21の所定領域に対応する第1画像50a内の領域の輝度が、第1画像50a内の他の領域の輝度と比較されることについては、上述した第1実施形態と同様である。即ち、被検査面21の所定領域に対応する第1画像50a内の一画素Piの輝度が、第1画像30a内の一画素Piに対して、一画素Piが存在する行よりも前または後の行であって、一画素Piと同じ列に存在する画素の輝度と比較される(図11(A)参照)。図32(B1)に示す第1画像50aの例では、例えば、欠陥Dに対応する一画素Piに対して、一画素Piが存在する行よりも前の行であって、一画素Piと同じ列に存在する一画素Rが示されている。ここで、一画素Rは、一画素Piが存在する行よりも一つ前の行(i−1行)の画素とする。
そして、第1画像50aから求められた一画素Piの輝度が、式(2)のI’1として用いられる。また、第1画像50aから求められた一画素Rの輝度が、式(1)のI1として用いられる。
同様に、第2画像50bから求められた一画素Piの輝度が、式(2)のI’2として用いられる。また、第2画像50bから求められた一画素Rの輝度が、式(1)のI2として用いられる。
同様に、第3画像50cから求められた一画素Piの輝度が、式(2)のI’3として用いられる。また、第3画像50cから求められた一画素Rの輝度が、式(1)のI3として用いられる。
同様に、第2画像50dから求められた一画素Piの輝度が、式(2)のI’4として用いられる。また、第2画像50dから求められた一画素Rの輝度が、式(1)のI4として用いられる。
ここで、説明をフローチャートのステップS118に戻る。
次に、ステップS118において、演算部14aは、上述したようにメモリ14bから第1画像50a〜第4画像50dを読み出して、被検査領域に対応する各画素について、輝度I’1、I’2、I’3、I’4及び輝度I1、I2、I3、I4を求める。そして、演算部14aは、上記輝度を式(3)及び式(4)に代入して、測定比γ’及び基準比γを求める。
そして、演算部14aは、基準比γと測定比γ’との差の絶対値が、所定の閾値Thよりも大きい場合に、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断する。もし、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断された場合には、ステップS120に進む。一方、被検査面21の所定領域が欠陥を有すると判断されない場合には、ステップS122に進む。
ステップS120において、各画像における欠陥に対応する画素の行及び列が、和Saの値と共に、メモリ14bに記憶される。そして、ステップS122に進む。なお、各画像50a〜50dにおける欠陥に対応する画素の行及び列は同じ値である。ここで、基準比γと測定比γ’との差の絶対値が所定の閾値Thよりも大きい場合には、一画素Piが欠陥に対応する場合と、一画素Rが欠陥に対応する場合とがある。一画素に対応する被検査面の所定領域の寸法が十分に小さければ、欠陥が、i行に対応すると考えても、又はi−1行に対応すると考えても良い。ここでは、欠陥が、i行に対応すると考える。
また、欠陥の寸法が、一画素に対応する被検査面の所定領域の寸法よりも大きい場合には、基準比γと測定比γ’との差の絶対値が所定の閾値Th以下になる場合がある。このような寸法を有する欠陥の処理は、後述するステップS128で行われる。
次に、ステップS122において、取得した4つの画像50a、50b、50c、50d内の被検査領域に対応する各画素の全てに対して、基準画像の輝度と比較されたのかが判断される。もし、各画像内の全ての画素に対して基準画像の輝度と比較がなされていれば、ステップS126に進む。一方、各画像の全ての画素に対する基準画像の輝度と比較がなされていなければ、ステップS118へ戻る。このようにして、第1画像〜第4画像50a〜50dの画素と、各基準画像の輝度との比較がなされる。
次に、ステップS124において、検査されていない被検査面の領域が有るのかが判断される。もし、検査されていない被検査面の領域が有れば、ステップS126に進む。一方、検査されていない被検査面の領域が無ければ、ステップS128に進む。
次に、ステップS126において、被検査面21が照明パターンの輝度変化の1周期の2/4の位相量だけずれて照らされるようにステージ12aを移動する。図32(A5)は、5回目に撮像される被検査面21の領域を示している。図32(A5)では、次に検査される被検査面領域が部分FRに示されている。図32(A5)は、図32(A1)に対応する状態である。図32(A5)の部分FRには、別の欠陥23が示されている。そして、次の被検査面21の領域の欠陥の有無を判断するために、ステップS106〜S126の処理が繰り返される。このようにして、被検査面21の全ての領域が検査される。
次に、ステップS128に進んだ場合、メモリ14bに記憶された欠陥に対応する画素の位置(行及び列)に対して粒子解析が行われる。粒子解析では、欠陥に対応する画素領域が検出される。例えば、粒子解析では、エッジ検出により欠陥領域及びその面積が求められる。そして、求められた欠陥領域及びその面積が、欠陥に対応する画素の位置(行及び列)と共にメモリ14bに記憶される。
次に、ステップS130において、欠陥の位置及び面積が、基準比γと測定比γ’との差の絶対値と共に、メモリ14bに記憶される欠陥データベースに登録される。検査装置10は、入出力部15を用いて、検査結果を出力する。
上述した本実施形態の検査装置10によれば、被検査面上の欠陥が正弦波状の照明パターンのどこに位置していても、欠陥の有無の判断を正確に行うことができる。
上述した検査装置10の動作例では、部分FRが、(1+1/4)Tの位相の長さに設定されていたが、部分FRは、他の位相の長さに設定することができる。また、ステップS114では、被検査面の同じ領域が、照明パターンの輝度変化の1周期の1/n(nは3以上の整数)の位相量だけずれて照らされるようにステージを移動するようにしても良い。この場合には、ステップS106では、検査撮像数wはnに設定される。
また、本実施形態の検査装置10において、第1実施形態の他の動作例において説明したように、別に用意された基準被検査面を撮像した基準画像を用いて、欠陥の検査を行っても良い。
次に、上述した動作例における画像の撮像及びステージの移動等のタイミングを、図面を参照して以下に説明する。
図33(A)は撮像信号のタイミング図であり、図33(B)はステージ駆動信号のタイミング図であり、図33(C)は撮像及び転送時間のタイミング図であり、図33(D)はステージ移動時間のタイミング図であり、図33(E)はステージ静定時間のタイミング図である。
まず、図29に示すステップS102において、装置制御部14は、被検査面21の被検査領域が照明パターンで照らされるように、ステージ12aを所定の位置に移動させた後、ステージ12aの振動が静まるのを待つために、所定のステージ静定時間の間待機する(図33(E)参照)。
次に、図29に示すステップS110において、装置制御部14から、撮像制御部13bに対して、撮像信号が送信される(図33(A)参照)。撮像信号を受信した撮像制御部13bは、撮像部13aを制御して被検査面21の1回目の画像を撮像する。撮像制御部13bは、撮像部13aが撮像した画像データを、装置制御部14に転送する(図33(C)参照)。画像データの転送は、次の撮像までに終了する。
次に、図29に示すステップS114において、装置制御部14から、ステージ制御部12bに対して、ステージ駆動信号が送信される(図33(B)参照)。ステージ駆動信号を受信したステージ制御部12bは、被検査面21の同じ領域が、照明パターンの輝度変化の1周期Tの1/4の位相量だけずれて照らされるように、ステージ12aを移動する。
次に、装置制御部14は、ステージ12aを所定の位置に移動した後、ステージ12aの振動が静まるのを待つために、所定のステージ静定時間を待機する(図33(E)参照)。
以下、同様にして、2回目から4回目の画像の撮像が行われる。
そして、4回目の画像の撮像が行われた後に、図30のステップS126において、装置制御部14から、ステージ制御部12bに対して、ステージ駆動信号が送信される(図33(B)参照)。ステージ制御部12bは、被検査面21が照明パターンの輝度変化の1周期の2/4の位相量だけずれて照らされるようにステージ12aを移動する。その後、装置制御部14は、ステージ12aの振動が静まるのを待つために、所定のステージ静定時間の間待機する(図33(E)参照)。この4回目の画像の撮像が行われた後のステージ静定時間は、1回〜3回目の画像の撮像後のものよりも長い。
以下、同様にして、検査されていない被検査面の領域について、画像の撮像が続けられる。
以上が、動作例における画像の撮像及びステージの移動等のタイミングの説明である。
次に、上述した第3実施形態の検査装置の変形例を、図面を参照しながら、以下に説明する。
図34(A)〜図34(D)は、第3実施形態の検査装置の変形例において、撮像される被検査面を示す図である。図35(A)〜図35(D)は、第3実施形態の検査装置の変形例において、取得された画像を示す図である。図36(A)は撮像信号のタイミング図であり、図36(B)はステージ駆動信号のタイミング図であり、図36(C)は撮像及び転送時間のタイミング図であり、図36(D)はステージ移動時間のタイミング図である。
本変形例では、被検査体20が載置されたステージ12aが、停止することなく所定の速度で移動し続ける。そして、移動する被検査面20の画像が、撮像部13aにより、所定の間隔で撮像される。
まず、図36(A)及び図36(B)に示すように、装置制御部14から、撮像制御部13bに対して撮像信号が送信されると共に、ステージ制御部12bに対してステージ駆動信号が送信される。撮像部13aは、1回目の画像を撮像して、撮像した画像が装置制御部14bに転送される(図33(C)参照)。装置制御部14は、被検査面の検査される領域の撮像が終了するまで、ステージ駆動信号をステージ制御部12bに対して送信し続ける(図33(B)参照)。
図34(A)は、本変形例において、1回目に撮像される被検査面21の領域を示している。ここで、鎖線で示される領域FVは、撮像部13aの視野を示しており、領域FV内の被検査面21の領域が撮像されて、メモリ14bに記憶される。領域FVの幅は、照明パターンの(1+1/4)Tの4倍の位相の輝度変化が含まれる長さに相当するように設定される。ここで、領域FVの幅方向は、固定された撮像部13aに対して、ステージ12aが移動する方向と一致する。図34(A)に示す例では、領域FV内に欠陥22が含まれている。
演算部14aは、メモリに記憶された画像から、領域FVの左側の(1+1/4)Tの位相の輝度変化が含まれる長さの部分FRを取り出し第1画像60aとして、メモリ14bに記憶する。図35(A)は、第1画像60aを示している。第1画像60aは、正弦波状の照明パターンの(1+1/4)周期分の輝度変化を含んでいる。第1画像60aには欠陥の画像Dが含まれており、欠陥の画像Dは、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部に位置している。
次に、装置制御部14は、被検査面21の同じ領域が、周期Tを有する照明パターンの輝度変化の(1+1/4)Tの位相量だけずれて照らされるタイミングで画像が取得されるように、2回目の撮像信号を撮像制御部13bに対して送信する(図33(A)参照)。
図34(B)は、本変形例において、2回目に撮像される被検査面21の領域FVを示している。ここで、鎖線で示される領域FVは、撮像部13aの視野を示しており、領域FV内の被検査面21の領域が撮像されて、メモリ14bに記憶される。領域FVでは、1回目に部分FRとして撮像された被検査面21の領域が、領域FVの左側から2個目の(1+1/4)Tの位相区間に位置している。
演算部14aは、メモリに記憶された画像を読み出して、領域FVの左側から2個目の(1+1/4)Tの位相区間に位置する部分FRを取り出し第2画像60bとして、メモリ14bに記憶する。図35(B)は、第2画像60bを示している。第2画像60bは、正弦波状の照明パターンの(1+1/4)周期分の輝度変化を含んでいる。第2画像60bには欠陥の画像Dが含まれている。欠陥の画像Dは、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から周期Tの1/4の位相量だけずれて位置する。
次に、装置制御部14は、被検査面21の同じ領域が、周期Tを有する照明パターンの輝度変化の(1+1/4)Tの位相量だけずれて照らされるタイミングで画像が取得されるように、3回目の撮像信号を撮像制御部13bに対して送信する。
図34(C)は、本変形例において、3回目に撮像される被検査面21の領域FVを示している。ここで、鎖線で示される領域FVは、撮像部13aの視野を示しており、領域FV内の被検査面21の領域が撮像されて、メモリ14bに記憶される。領域FVでは、2回目に部分FRとして撮像された被検査面21の領域が、領域FVの左側から3個目の(1+1/4)Tの位相区間に位置している。
演算部14aは、メモリに記憶された画像を読み出して、領域FVの左側から3個目の(1+1/4)Tの位相区間に位置する部分FRを取り出し第3画像60cとして、メモリ14bに記憶する。図35(C)は、第3画像60cを示している。第3画像60cは、正弦波状の照明パターンの(1+1/4)周期分の輝度変化を含んでいる。第3画像60cには欠陥の画像Dが含まれている。欠陥の画像Dは、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から周期Tの2/4の位相量だけずれて位置する。
次に、装置制御部14は、被検査面21の同じ領域が、周期Tを有する照明パターンの輝度変化の(1+1/4)Tの位相量だけずれて照らされるタイミングで画像が取得されるように、4回目の撮像信号を撮像制御部13bに対して送信する。
図34(D)は、本変形例において、4回目に撮像される被検査面21の領域FVを示している。ここで、鎖線で示される領域FVは、撮像部13aの視野を示しており、領域FV内の被検査面21の領域が撮像されて、メモリ14bに記憶される。領域FVでは、3回目に部分FRとして撮像された被検査面21の領域が、領域FVの左側から4個目の(1+1/4)Tの位相区間に位置している。
演算部14aは、メモリに記憶された画像を読み出して、領域FVの左側から4個目の(1+1/4)Tの位相区間に位置する部分FRを取り出し第4画像60dとして、メモリ14bに記憶する。図35(D)は、第4画像60dを示している。第4画像60dは、正弦波状の照明パターンの(1+1/4)周期分の輝度変化を含んでいる。第4画像60dには欠陥の画像Dが含まれている。欠陥の画像Dは、正弦波状の照明パターンにおいて、最も暗い暗部の位置から周期Tの3/4の位相量だけずれて位置する。
そして、演算部14aは、取得した4つの画像60a、60b、60c、60dを用いて、上述した第3実施形態と同様の処理を行って、欠陥の有無を判断する。
撮像部13aが移動する被検査面21を撮影する際の露光時間は、欠陥の寸法に基づいて、適宜設定し得る。具体的には、欠陥の寸法が撮影画像の一画素程度である場合には、露光時間を、一画素分の距離をステージが移動する時間の半分以下の時間にすることにより、欠陥の画像のブレを防止できる。また、欠陥の寸法が、例えば2画素分程度である場合には、露光時間を、一画素分の距離をステージが移動する時間以下の時間にすることにより、欠陥の画像のブレを防止できる。
上述した本変形例によれば、ステージ12aが停止している時間がないので、検査時間が短縮される。
上述した第3実施形態の検査装置又は変形例では、位相シフト法を用いて、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なる4箇所の位相の位置が等間隔である場合について説明した。この位相シフト法を用いる場合には、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なるn箇所(nは3以上の整数)は等間隔であれば良い。
そこで、次に、位相シフト法を用いて、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なる3箇所の位相の位置が等間隔である場合について、以下に説明する。
まず、基準画像の画素の輝度を、図28の式(1)を一般化して、式(5)のように表す。
Ii=A+Bcos(φ+δi) (5)
ここで、δi=−α、0、α i=1,2,3とすると、式(5)は、下記の式(6)のように表される。
I1=A+Bcos(φ−α)
I1=A+Bcos(φ) (6)
I1=A+Bcos(φ+α)
式(6)を、縞のビジビリティBと縞の平均明るさAとの比である基準比γについて解くと、図37(A)に示す式(7)のように表される。測定比γ’についても、同様の式で表される。
ここで、α=2π/3(120°)として、式(7)に代入すると、基準比γは、図37(B)に示す式(8)のように表される。同様に、測定比γ’は、図37(C)に示す式(9)のように表される。
式(8)及び(9)を用いれば、上述した第3実施形態と同様にして、欠陥の検査を行うことができる。
以上が、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なる3箇所の位相の位置が等間隔である場合の説明である。
上述した説明では、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なるn箇所の位相の位置が等間隔である場合について、位相シフト法を用いて、基準比γ及び測定比γ’を求めることについて説明した。
次に、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なるn箇所の位相の位置が不等間隔である場合について、基準比γ及び測定比γ’を求めることを以下に説明する。
まず、基準画像の画素の輝度を、上述した式(5)のように表す。
Ii=A+Bcos(φ+δi) (5)
式(5)は加法定理を用いて、下記の式(10)のように変形される。
Ii=A+Bcos(φ+δi)
=A+B(cos(φ)cos(δi)−sin(φ)sin(δi))
=A+Bcos(φ)cos(δi)−Bsin(φ)sin(δi) (10)
そして、図37(D)に示す式(11)を用いて、E2を最小にするようにa0、a1及びa2を求めて、輝度Iiを正弦波に適合させる。
ここで、
a0=A
a1=Bcos(φ) (12)
a2=−Bsin(φ)
である。
そして、得られたa0、a1及びa2と、式(12)と用いて、縞の平均明るさA及び縞のビジビリティBの比が求められる。このようにして、基準比γが得られる。測定比γ’についても、同様に求めることができる。このようにして得た基準比γ及び測定比γ’を用いれば、上述した第3実施形態と同様にして、欠陥の検査を行うことができる。
なお、照明パターンの輝度変化の1周期内の異なるn箇所の位相の位置が不等間隔である場合についての詳細な説明は、DANIEL MALACARA、Optical Shop Testing、Second Edtion、USA、John Wiley & Sons, Inc.、1992、pp.522−524 Chapter 14. 8.2. Least−Squares Algorithmsを参照されたい。
本発明では、上述した実施形態の検査方法及びそのような検査方法を用いる検査装置は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、一の実施形態が有する構成要件は、他の実施形態にも適宜適用することができる。
例えば、上述した各実施形態では、ステージ12aを用いて被検査体21を移動させていたが、固定された被検査体21に対して、照明部及び撮像部を移動させて被検査面を撮像しても良い。
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
以上の上述した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
明部及び暗部を有する照明パターンを、被検査面に照射し、
被検査面の同じ領域が、前記明部で照らされる第1画像及び前記暗部で照らされる第2画像を取得し、
被検査面の所定領域に対応する前記第1画像内の領域の輝度と、基準被検査面が前記明部で照らされて取得された第1基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度と、前記所定領域に対応する前記第2画像内の領域の輝度と、基準被検査面が前記暗部で照らされて取得された第2基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度とに基づいて、前記所定領域の欠陥の有無を判断する検査方法。
(付記2)
異なる色相部を有する照明パターンを被検査面に照射してカラー画像を撮像し、
前記カラー画像から、第1の色相部の色相を成分とする第1画像及び第2の色相部の色相を成分とする第2画像を取得し、
被検査面の所定領域に対応する前記第1画像内の領域の輝度と、基準被検査面が前記第1の色相部で照らされて取得された第1基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度と、前記所定領域に対応する前記第2画像内の領域の輝度と、基準被検査面が前記第2の色相部で照らされて取得された第2基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度とに基づいて、前記所定領域の欠陥の有無を判断する検査方法。
(付記3)
輝度の平均値を一致させた前記第1画像及び第2画像を用いて、前記所定領域の欠陥の有無を判断する付記2に記載の検査方法。
(付記4)
被検査面は基準被検査面を含み、
被検査面の前記所定領域に対応する前記第1画像内の領域の輝度を、前記第1画像内の領域の輝度と比較し、
前記所定領域に対応する前記第2画像内の領域の輝度を、前記第2画像内の領域の輝度と比較する付記1〜3の何れか一項に記載の検査方法。
(付記5)
前記第1画像及び前記第2画像それぞれには、行方向及び列方向に画素が並んで配置され、
被検査面の前記所定領域に対応する前記第1画像内の一画素の輝度を、前記第1画像内の前記一画素に対して、前記一画素が存在する行よりも前または後の行であって、前記一画素と同じ列に存在する画素の輝度と比較し、
被検査面の前記所定領域に対応する前記第2画像内の一画素の輝度を、前記第2画像内の前記一画素に対して、前記一画素が存在する行よりも前の行であって、前記一画素と同じ列に存在する画素の輝度と比較する付記4に記載の検査方法。
(付記6)
被検査面の同じ領域と対応する基準被検査面の領域が、前記明部で照らされる前記第1基準画像及び前記暗部で照らされる前記第2基準画像を取得し、
被検査面の前記所定領域に対応する前記第1画像内の領域の輝度を、前記所定領域に対応する前記第1基準画像内の領域の輝度と比較し、
前記所定領域に対応する前記第2画像内の領域の輝度を、前記所定領域に対応する前記第2基準画像内の領域の輝度と比較する付記1に記載の検査方法。
(付記7)
被検査面の前記所定領域と対応する基準被検査面の領域が、前記第1の色相部で照らされる前記第1基準画像及び前記第2の色相部で照らされる前記第2基準画像を取得し、
被検査面の前記所定領域に対応する前記第1画像内の領域の輝度を、前記所定領域に対応する前記第1基準画像内の領域の輝度と比較し、
前記所定領域に対応する前記第2画像内の領域の輝度を、前記所定領域に対応する前記第2基準画像内の領域の輝度と比較する付記2に記載の検査方法。
(付記8)
前記所定領域の欠陥の有無を判断することは、
前記所定領域に対応する前記第1画像内の領域の輝度と、前記第1基準画像の輝度との差の二乗と、前記所定領域に対応する前記第2画像内の領域の輝度と、前記第2基準画像の輝度との差の二乗との和を求め、
前記和が所定の閾値よりも大きい場合に、前記所定領域が欠陥を有すると判断する付記1〜7の何れか一項に記載の検査方法。
(付記9)
前記照明パターンを、前記照明パターンを正反射するように配置した被検査面に照射して、前記第1画像及び前記第2画像を取得する付記1〜8の何れか一項に記載の検査方法。
(付記10)
前記照明パターンを固定した状態で、被検査体を移動させて前記第1画像及び前記第2画像を取得する付記1に記載の検査方法。
(付記11)
明部及び暗部を有する照明パターンを被検査面に照射する照明部と、
被検査面上の前記照明パターンで照射される領域を移動させる移動部と、
前記移動部によって移動する被検査面について、被検査面上の同じ領域が、前記明部で照らされる第1画像及び前記暗部で照らされる第2画像を取得する撮像部と、
被検査面の所定領域に対応する前記第1画像内の領域の輝度と、基準被検査面が前記明部で照らされて取得された第1基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度と、前記所定領域に対応する前記第2画像内の領域の輝度と、基準被検査面が前記暗部で照らされて取得された第2基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度とに基づいて、前記所定領域の欠陥の有無を判断する演算部と、
を備える検査装置。
(付記12)
異なる色相部を有する照明パターンを被検査面に照射する照明部と、
被検査面上の前記照明パターンで照射される領域のカラー画像を撮像する撮像部と、
前記カラー画像から、第1の色相部の色相を成分とする第1画像及び第2の色相部の色相を成分とする第2画像を取得し、且つ、
被検査面の所定領域に対応する前記第1画像内の領域の輝度と、基準被検査面が前記第1の色相部で照らされて取得された第1基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度と、前記所定領域に対応する前記第2画像内の領域の輝度と、基準被検査面が前記第2の色相部で照らされて取得された第2基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度とに基づいて、前記所定領域の欠陥の有無を判断する演算部と、
を備える検査装置。
(付記13)
前記照明パターンが、正弦波状に輝度が変化する明部及び暗部を有し、
被検査面の同じ領域が、前記照明パターンの輝度変化の1周期内の異なるn箇所(nは3以上の整数)の位相の位置で照らされた第1画像から第n画像のn個の画像を取得し、
被検査面の所定領域に対応する前記第1画像から第n画像内の領域の輝度と、基準被検査面が、前記照明パターンの輝度変化の1周期内の前記異なるn箇所の位相の位置で照らされて取得された第1基準画像から第n基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度とに基づいて、前記所定領域の欠陥の有無を判断する付記1に記載の検査方法。
(付記14)
前記照明パターンの輝度変化の1周期内の前記異なるn箇所の位相の位置が等間隔である付記10に記載の検査方法。
(付記15)
被検査面の所定領域に対応する前記第1画像から第n画像内の領域の輝度に基づいて、位相シフト法を用いて被検査面上の輝度変化パターンの縞のビジビリティと縞の平均明るさとの比である測定比を求め、前記第1基準画像から前記第n基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度に基づいて、位相シフト法を用いて被検査面上の輝度変化パターンの縞のビジビリティと縞の平均明るさとの比である基準比を求め、前記測定比と前記基準比とに基づいて、前記所定領域の欠陥の有無を判断する付記11に記載の検査方法。
(付記16)
前記照明部は、正弦波状に輝度が変化する明部及び暗部を有する照明パターンを被検査面に照射し、
前記撮像部は、前記移動部によって移動する被検査面について、被検査面上の同じ領域が、前記照明パターンの輝度変化の1周期内の異なるn箇所(nは3以上の整数)の位相の位置で照らされた第1画像から第n画像のn個の画像を取得し、
前記演算部は、被検査面の所定領域に対応する前記第1画像から第n画像内の領域の輝度と、基準被検査面が、前記照明パターンの輝度変化の1周期内の前記異なるn箇所の位相の位置で照らされて取得された第1基準画像から第n基準画像内の被検査面の前記所定領域に対応する領域の輝度とに基づいて、前記所定領域の欠陥の有無を判断する付記8に記載の検査装置。