JP2012126686A - スルホン化合物、スルホン化合物の製造方法、および電気化学デバイス用電解液 - Google Patents

スルホン化合物、スルホン化合物の製造方法、および電気化学デバイス用電解液 Download PDF

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Abstract

【課題】融点が比較的低く、熱的安定性に優れ、さらに水の溶解度が低く、高い分解電圧特性を有する非プロトン性極性溶媒に有用な新規のスルホン化合物を提供する。また、該スルホン化合物の製造方法、および該スルホン化合物を用いて製造される電気化学デバイス用電解液を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるスルホン化合物。
[化1]
Figure 2012126686

式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、主に電気化学デバイス用溶媒等に有用な新規のスルホン化合物に関する。また本発明は、該スルホン化合物の製造方法、および該スルホン化合物を用いて製造される電気化学デバイス用電解液に関する。
スルホン化合物は、抽出溶剤や各種反応溶剤として用いられる一方、誘電率が高いものは、非プロトン性極性溶媒として、電気化学デバイスの電解液用の溶媒としても用いられる。具体的には、スルホン化合物である、スルホランや3−メチルスルホラン等のスルホラン誘導体を電解液用の溶媒として用いる電気二重層コンデンサ(特許文献1)、スルホランや3−メチルスルホラン等のスルホラン誘導体とプロピレンカーボネートとの混合溶媒を電解液用の溶媒として用いる電気二重層コンデンサ(特許文献2)等が提案されている。
特開昭62−237715号公報 特開昭63−12122号公報
電気化学デバイス用溶媒等に用いられる非プロトン性極性溶媒には、一般的に融点が低く、熱的安定性に優れていることが望まれている。また、電気化学デバイスの種類によっては、系内水分の存在が問題になる場合があり、その際には、水の溶解度が低い溶媒が好ましく用いられる。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のスルホン化合物は、融点が比較的高いことから、低温環境においてこれらを用いた電気化学デバイスの機能が低下する等の不具合がある。また、これらと共に用いられるプロピレンカーボネートは、熱的安定性に劣り、水の溶解度が比較的高いといった不具合がある。
さらに、特許文献1および特許文献2に記載の電解液や、プロピレンカーボネートやγ−ブチロラクトンを溶媒に用いた従来の電解液では、分解電圧が未だ充分高いとはいえない。分解電圧が不充分である電解液では、2.5Vを越える高電圧の連続印加時に、ガスが発生したり、電極上に反応生成物が付着したりするおそれがある。その結果、内部抵抗の増加や容量の減少を招くという不具合があり、より高い電圧での使用に耐える電解液用の溶媒が望まれている。
本発明は、融点が比較的低く、熱的安定性に優れ、さらに水の溶解度が低く、高い分解電圧特性を有する非プロトン性極性溶媒に有用な新規のスルホン化合物を提供することを目的とする。また本発明は、該スルホン化合物の製造方法、および該スルホン化合物を用いて製造される電気化学デバイス用電解液を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)で表されるスルホン化合物、該スルホン化合物の製造方法、および該スルホン化合物を用いて製造される電気化学デバイス用電解液に関する。
即ち、本発明は、
項1.式(1)で表されるスルホン化合物、
項2.式(1)において、Rが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、またはイソプロピル基である項1に記載のスルホン化合物、
項3.式(2)で表されるスルフィド化合物と酸化剤とを反応させる、式(1)で表されるスルホン化合物の製造方法、
項4.式(1)で表されるスルホン化合物を含有する電気化学デバイス用電解液、
に関する。
Figure 2012126686
式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
Figure 2012126686
式(2)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。また、前記項3において、式(1)におけるRと式(2)におけるRとは同じ基を示す。以下、本発明を詳述する。
本発明にかかるスルホン化合物は前記式(1)で表される化合物である。
Rで示される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
Rで示される炭素数1〜6のアルキル基は、炭素数1〜3の鎖状アルキル基が好ましく、これらの中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、およびイソプロピル基がより好ましい。
式(1)で表されるスルホン化合物としては、具体的には例えば、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸メチルエステル、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸エチルエステル、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸n−プロピルエステル、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸イソプロピルエステル、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸n−ブチルエステル、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸イソペンチルエステル、および(2−シアノエタンスルホニル)酢酸シクロヘキシルエステル等が挙げられる。これらの中でも、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸メチルエステル、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸エチルエステル、(2−シアノエタンスルホニル)酢酸n−プロピルエステル、および(2−シアノエタンスルホニル)酢酸イソプロピルエステルが好ましく用いられる。
式(1)で表されるスルホン化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。即ち、前記式(2)で表されるスルフィド化合物と酸化剤とを反応させることによって製造することができる。式(2)で表されるスルフィド化合物と酸化剤とを反応させる、式(1)で表されるスルホン化合物の製造方法もまた、本発明の1つである。
前記式(2)で表されるスルフィド化合物は、何れの製造方法によって得られたものでもよいが、例えば、以下の方法により製造することができる。即ち、下記式(3)で表されるチオグリコール酸エステルとアクリロニトリルとを反応させることによって製造することができる。
Figure 2012126686
式(3)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステルは、市販のものを用いることができる。
前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステルとしては、具体的には例えば、チオグリコール酸メチルエステル、チオグリコール酸エチルエステル、チオグリコール酸n−プロピルエステル、チオグリコール酸イソプロピルエステル、およびチオグリコール酸n−ブチルエステル等が挙げられる。
前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステルとアクリロニトリルとの反応において、アクリロニトリルの使用割合は、前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステル1モルに対して、0.5〜10モルであることが好ましく、0.8〜2モルであることがより好ましい。
前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステルとアクリロニトリルとの反応において、必要に応じて触媒を使用することができる。前記触媒としては、特に限定されるものではないが、公知の塩基触媒を用いることができ、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が好適に用いられる。
前記触媒の使用割合は、前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステル1モルに対して、1モル以下であることが好ましく、0.05〜0.2モルであることがより好ましい。
前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステルとアクリロニトリルとの反応において、溶媒は用いなくてもよいが、原料が固体であったり、または反応液粘度が高く攪拌が不充分となったりする場合などにおいては必要に応じて用いてもよい。用いる溶媒としては、特に制限されるものではないが、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ブロモプロパン、ブロモブタン、ブロモペンタン、ブロモヘキサン、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、およびヨウ化プロピル等のハロゲン化アルキル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンジン、ケロシン、トルエン、キシレン、メシチレン、およびベンゼン等の炭化水素類等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステル100重量部に対して、5000重量部以下であることが好ましい。
前記式(3)で表されるチオグリコール酸エステルとアクリロニトリルとの反応の反応温度の好ましい下限は0℃、好ましい上限は100℃であり、より好ましい下限は10℃、より好ましい上限は50℃である。反応時間は通常1〜10時間である。
かくして得られる前記式(2)で表されるスルフィド化合物は、水等により洗浄、分液した後に、濃縮、乾燥することにより、または蒸留することにより単離することができる。
前記式(2)で表されるスルフィド化合物の具体例としては、例えば、(2−シアノエタンチオ)酢酸メチルエステル、(2−シアノエタンチオ)酢酸エチルエステル、(2−シアノエタンチオ)酢酸n−プロピルエステル、(2−シアノエタンチオ)酢酸イソプロピルエステル、および(2−シアノエタンチオ)酢酸n−ブチルエステル等が挙げられる。
本発明にかかるスルホン化合物を製造する方法において、前記式(2)で示されるスルフィド化合物の酸化に用いられる酸化剤としては、特に限定されることはなく、具体的には例えば、過マンガン酸カリウム、クロム酸、酸素、過酸化水素水、および3−クロロ過安息香酸等の有機化酸化物等が挙げられる。これらの中でも、3−クロロ過安息香酸が好ましく用いられる。
前記酸化剤の使用割合は特に限定されないが、前記式(2)で示されるスルフィド化合物1モルに対して、好ましい下限は1.8モル、好ましい上限は10モルであり、より好ましい下限は2モル、より好ましい上限は5モルである。
前記式(2)で示されるスルフィド化合物を酸化する際に、溶媒は用いなくてもよいが、原料が固体であったり、または反応液粘度が高く攪拌が不充分となったりする場合などにおいては必要に応じて用いてもよい。用いる溶媒としては、特に制限されるものではないが、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ブロモプロパン、ブロモブタン、ブロモペンタン、ブロモヘキサン、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、およびヨウ化プロピル等のハロゲン化アルキル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンジン、ケロシン、トルエン、キシレン、メシチレン、およびベンゼン等の炭化水素類等、並びに水等が挙げられる。これらの中でもハロゲン化アルキル類および水が好適に用いられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記溶媒の使用量は特に限定されないが、前記式(2)で示されるスルフィド化合物100重量部に対して5000重量部以下であることが好ましい。
前記式(2)で示されるスルフィド化合物を酸化する反応の反応温度の好ましい下限は0℃、好ましい上限は200℃であり、より好ましい下限は10℃、より好ましい上限は150℃である。また、前記式(2)で示されるスルフィド化合物を酸化する反応の反応時間は通常1〜30時間である。
かくして得られる前記式(1)で示されるスルホン化合物は、必要に応じて反応液を濾過し、水等により洗浄、分液した後に、濃縮、乾燥することにより、または蒸留することにより単離することができる。
本発明にかかるスルホン化合物は、例えば、電気化学デバイスの電解液用の溶媒に好適に使用することができる。前記式(1)で表されるスルホン化合物を含有する電気化学デバイス用電解液もまた、本発明の1つである。
前記電気化学デバイスとしては、例えば、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオン電池、燃料電池、太陽電池、および電気二重層コンデンサ等が挙げられる。
本発明にかかるスルホン化合物を電気化学デバイスの電解液用の溶媒として用いる場合、該スルホン化合物は単独で用いてもよいし、他の溶媒と混合して用いてもよい。
前記他の溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、プロピルイソブチルスルホン、プロピルsec−ブチルスルホン、プロピルt−ブチルスルホン、イソプロピルブチルスルホン、イソプロピルイソブチルスルホン、イソプロピルsec−ブチルスルホン、イソプロピルt−ブチルスルホン、ブチルイソブチルスルホン、ブチルsec−ブチルスルホン、イソブチルt−ブチルスルホン、sec−ブチルt−ブチルスルホン、ブチルt−ブチルスルホン、sec−ブチルイソブチルスルホン、プロピルイソブチルスルホン、プロピルイソペンチルスルホン、イソプロピルイソペンチルスルホン、プロピルイソヘキシルスルホン、イソプロピルイソヘキシルスルホン、およびスルホラン等が挙げられる。
前記他の溶媒を用いる際のスルホン化合物と他の溶媒とを混合する比率は特に限定されないが、スルホン化合物100重量部に対して、他の溶媒の使用量は4000重量部以下であることが好ましく、使用量に見合うだけの効果が得られなくなることから20〜2000重量部であることがより好ましい。
本発明にかかる電気化学デバイス用電解液に用いられる電解質としては特に限定されないが、例えば、リチウム等のアルカリ金属の六フッ化リン酸塩、四フッ化ホウ酸塩、過塩素酸塩、およびトリフルオロアルキルスルホン酸塩、並びにテトラアルキルアンモニウム等の六フッ化リン酸塩、四フッ化ホウ酸塩、過塩素酸塩、およびトリフルオロアルキルスルホン酸塩が挙げられる。
前記テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジメチルピロリジニウム、ジエチルピロリジニウム、エチルメチルピロリジニウム、スピロ−(1,1)−ピロリジニウム、N−メチル−N−スピロピロリジニウム、ジエチルピペリジニウム、およびスピロ−(1,1)−ピペリジニウム等が挙げられる。これらの中でも、溶媒に対する溶解度や電気化学的安定性等の観点からテトラアルキルアンモニウムの六フッ化リン酸塩および四フッ化ホウ酸塩が好ましい。これらの電解質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明にかかる電気化学デバイス用電解液中の前記電解質の濃度は特に限定されないが、充分な電気伝導性が得られることから、0.1〜1.0mol/Lであることが好ましく、0.6〜0.7mol/Lであることがより好ましい。
なお、本発明にかかる電解液には、電気化学的性能等を改良する目的で、安定化剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
本発明にかかる電気化学デバイス用電解液の含水率は、30ppm以下であることが好ましい。前記含水率が30ppmを超えると、電気化学デバイスの性能に悪影響を与えることがある。
本発明にかかる電気化学デバイス用電解液を調製する際の雰囲気は、大気が混入しない環境、例えば、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気のグローブボックス内において調製することが好ましく、その場合は作業環境の水分を露点計で管理することができる。電解液中の水分は電気化学デバイスの性能に悪影響を与えるため、本発明にかかる電気化学デバイス用電解液の調製は低露点雰囲気下で行うことが好ましい。具体的には、露点が−15℃以下の雰囲気下で調製を行うことが好ましく、露点が−50℃〜−80℃(水分含有量としては約39ppm〜約0.5ppm)の雰囲気下で調製を行うことがより好ましい。露点が−15℃を超えた場合、作業時間が長くなると、電解液が雰囲気中の水分を吸収するため、電解液中の水分が上昇するおそれがある。本発明にかかる電気化学デバイス用電解液を調製する際の温度は室温でよい。
本発明にかかるスルホン化合物は、融点が比較的低く、熱的安定性に優れることから、低温から高温まで広い温度範囲で使用することができる。また、本発明にかかるスルホン化合物は、水の溶解度が低く、分解電圧が高いという特徴も有するため、電気化学デバイスの電解液に用いた場合、水の混入を抑制することができ、電流効率の低下や、内圧上昇等の不具合を防止することができ、より高い電圧に耐えることができる。
実施例3、比較例3、および比較例4で得られた電解液のリニアスウィープボルタンメトリーの結果を示すグラフである。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[(2−シアノエタンスルホニル)酢酸メチルエステル(CEAMH)の製造]
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび冷却器を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、チオグリコール酸メチルエステル246.7g(2.32モル)およびジエチルアミン8.50g(0.12モル)を仕込み、さらにアクリロニトリル123.3g(2.32モル)を徐々に加えた後、30℃で2時間撹拌した。
その後、超純水100.0gを加え、有機層を分取し、蒸留することにより、前記式(2)におけるRがメチル基である(2−シアノエタンチオ)酢酸メチルエステル255.6gを取得した。得られた(2−シアノエタンチオ)酢酸メチルエステルの収率は、チオグリコール酸メチルエステルに対して69%であった。
なお、得られた(2−シアノエタンチオ)酢酸メチルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):2.75(t,J=7.2Hz,2H),2.80(t,J=7.2Hz,2H),3.40(s,2H),3.80(s,3H)
次に、得られた(2−シアノエタンチオ)酢酸メチルエステル178.7g(1.12モル)、およびジクロロメタン1116.5gを、攪拌機、温度計、滴下ロートおよび冷却器を備え付けた3L容の四つ口フラスコに仕込んだ。さらに、窒素雰囲気下で、77重量%の3−クロロ過安息香酸503.0g(純分として2.24モル)を徐々に加えた後、50℃に維持して20時間攪拌した。これを室温まで冷却した後、残存する3−クロロ過安息香酸等を除去するために反応液を濾過し、濾液を5重量%亜硫酸ナトリウム水溶液55gで1回洗浄し、さらに5重量%炭酸ナトリウム水溶液55gで2回洗浄した。
得られた濾液を濃縮、乾燥することによって、前記式(1)におけるRがメチル基である(2−シアノエタンスルホニル)酢酸メチルエステル156.0gを取得した。得られた(2−シアノエタンスルホニル)酢酸メチルエステルの収率は、(2−シアノエタンチオ)酢酸メチルエステルに対して73%であった。
なお、得られた(2−シアノエタンスルホニル)酢酸メチルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):2.97(t,J=7.2Hz,2H),3.66(t,J=7.2Hz,2H),3.86(s,3H),4.13(s,2H)
(実施例2)
[(2−シアノエタンスルホニル)酢酸エチルエステル(CEAEH)の製造]
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび冷却器を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、チオグリコール酸エチルエステル180.3g(1.50モル)およびジエチルアミン5.49g(0.075モル)を仕込み、さらにアクリロニトリル79.6g(1.50モル)を徐々に加えた後、30℃で2時間撹拌した。
その後、超純水60.0gを加え、有機層を分取し、蒸留することにより、前記式(2)におけるRがエチル基である(2−シアノエタンチオ)酢酸エチルエステル181.9gを取得した。得られた(2−シアノエタンチオ)酢酸エチルエステルの収率は、チオグリコール酸エチルエステルに対して70%であった。
なお、得られた(2−シアノエタンチオ)酢酸エチルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):1.34(t,J=6.8Hz,3H),2.80(t,J=7.2Hz,2H),2.83(t,J=7.2Hz,2H),3.45(s,2H),4.22(t,J=6.8Hz,2H)
次に、得られた(2−シアノエタンチオ)酢酸エチルエステル173.2g(1.00モル)、およびジクロロメタン1000.7gを、攪拌機、温度計、滴下ロートおよび冷却器を備え付けた3L容の四つ口フラスコに仕込んだ。さらに、窒素雰囲気下で、77重量%の3−クロロ過安息香酸448.2g(純分として2.00モル)を徐々に加えた後、50℃に維持して20時間攪拌した。これを室温まで冷却した後、残存する3−クロロ過安息香酸等を除去するために反応液を濾過し、濾液を5重量%亜硫酸ナトリウム水溶液50gで1回洗浄し、さらに5重量%炭酸ナトリウム水溶液50gで2回洗浄した。
得られた濾液を濃縮、乾燥することによって、前記式(1)におけるRがエチル基である(2−シアノエタンスルホニル)酢酸エチルエステル90.3gを取得した。得られた(2−シアノエタンスルホニル)酢酸エチルエステルの収率は、(2−シアノエタンチオ)酢酸エチルエステルに対して44%であった。
なお、得られた(2−シアノエタンスルホニル)酢酸エチルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):1.30(t,J=6.8Hz,3H),2.95(t,J=7.2Hz,2H),3.82(t,J=7.2Hz,2H),4.05(t,J=6.8Hz,2H),4.12(s,2H)
実施例1および実施例2で得られたスルホン化合物について、窒素雰囲気下、示差走査熱量計を用いて、融点および発熱開始温度を測定した。また、カールフィッシャー電量滴定装置を用いて、水を飽和溶解させた当該スルホン化合物の水分を測定することにより水の溶解度を測定した。
それぞれの測定結果を、比較例1としてのプロピレンカーボネート、比較例2としてのスルホランとともに表1に示す。
Figure 2012126686
表1の結果から、実施例1および実施例2で得られたスルホン化合物は、比較例2と比較して融点が低く、比較例1および比較例2と比較して熱的安定性に優れ、かつ水の溶解度が低いことがわかる。
(実施例3)
[(2−シアノエタンスルホニル)酢酸メチルエステル(CEAMH)を含有する電解液の調製]
露点−50℃未満のドライボックス中において、5mLのメスフラスコにテトラブチルアンモニウムの四フッ化ホウ酸塩1.07g(0.00325mol)を仕込み、実施例1で得られた(2−シアノエタンスルホニル)酢酸メチルエステル(CEAMH)にて5mLにメスアップし、電解質濃度が0.65mol/Lの電解液を調製した。調製した電解液の含水率は20ppmであった。
(比較例3)
CEAMHに代えて、スルホランを用いた以外は、実施例3と同様にして、電解液を調製した。
(比較例4)
実施例3において、CEAMHに代えて、プロピレンカーボネートを用いた以外は、実施例3と同様にして、電解液を調製した。
測定装置としてポテンショガルバノスタット(BAS社製)を用い、作用電極として電極外径6mm、電極サイズ1.6mmのグラッシーカーボン電極と、カウンター電極として長さ5cm、白金直径0.5mmの白金電極とを用いた。また、溶媒系参照電極として、内部溶液アセトニトリル/テトラブチルアンモニウム過塩素酸塩の銀/銀イオン電極を備えたセルに調製した前記電解液を仕込み、電位走査速度5mV/sの条件でリニアスウィープボルタンメトリー(LSV)により分解電位を測定した。
実施例3で得られたCEAMHを含有する電解液のリニアスウィープボルタンメトリーの結果を、比較例3および比較例4で得られた電解液の測定結果とともに、図1に示す。
図1から、実施例3の電解液は、比較例3および比較例4の電解液と比較して分解電圧が高いことがわかる。従って、実施例3で得られたCEAMHを含有する電解液は、より高い電圧での使用が可能であることがわかる。
本発明によれば、融点が比較的低く、熱的安定性に優れ、さらに水の溶解度が低く、高い分解電圧特性を有する非プロトン性極性溶媒に有用な新規のスルホン化合物を提供することができる。また本発明によれば、該スルホン化合物の製造方法、および該スルホン化合物を用いて製造される電気化学デバイス用電解液を提供することができる。

Claims (4)

  1. 式(1)で表されるスルホン化合物。
    Figure 2012126686
    式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
  2. 式(1)において、Rが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、またはイソプロピル基である請求項1に記載のスルホン化合物。
  3. 式(2)で表されるスルフィド化合物と酸化剤とを反応させる、式(1)で表されるスルホン化合物の製造方法。
    Figure 2012126686
    式(2)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
    Figure 2012126686
    式(1)中、Rは式(2)におけるRと同じ基を示す。
  4. 式(1)で表されるスルホン化合物を含有する電気化学デバイス用電解液。
    Figure 2012126686
    式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
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