JP2012124147A - 正極活物質及びその前駆体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非水電解質二次電池用正極活物質を製造するにあたり、装置が大型化することを回避しながら、効率的な製造が可能となる正極活物質及びその前駆体の製造方法を提供する。
【解決手段】非水電解質二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法は、リチウムの塩、Ni、Co、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素の塩、並びにリチウムの塩及び遷移金属元素の塩が溶解する水を含有する溶液から、気流乾燥によって水を除去し、リチウム及び遷移金属元素を含み正極活物質の前駆体である固体粒子を生成させる工程を有する。
【選択図】図3
【解決手段】非水電解質二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法は、リチウムの塩、Ni、Co、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素の塩、並びにリチウムの塩及び遷移金属元素の塩が溶解する水を含有する溶液から、気流乾燥によって水を除去し、リチウム及び遷移金属元素を含み正極活物質の前駆体である固体粒子を生成させる工程を有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、非水溶液を電解質とした非水電解質二次電池において用いられる正極活物質及びその前駆体の製造方法に関する。
リチウム二次電池などの非水電解質二次電池は、携帯電話やノートパソコン等の電源として既に実用化されており、さらに自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型用途においても、適用が試みられている。通常、非水電解質二次電池用正極活物質として、Liと、Ni、Mn、Co、Fe等の遷移金属とを含有する複合酸化物が用いられている。
上記複合酸化物を生成する方法として、乾式法や錯体重合法が知られている。しかしながら、乾式法には、均質混合が不充分である場合がある。また、錯体重合法には、複合錯体の溶液から溶媒を除去する工程に時間がかかり、均質性の確保が容易でない場合がある。このような課題を解決するものとして、特許文献1には、噴霧乾燥法を用いて、上記複合錯体の水溶液を乾燥する方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法では、処理量を増加させようとすると、噴霧室の容積を増やす必要があり、装置が大型化してしまうという課題がある。また、効率的な製造のためには、複合錯体の水溶液を高濃度とすることが望ましいが、高濃度の水溶液の粘度は一般的に高くなる。この場合、例えば回転ディスク等を用いた液滴発生装置等を用いて液滴を形成する必要があるが、このような液滴発生装置等を別途装備すると装置が大型化してしまう。
本発明は、正極活物質を製造するにあたり、装置が大型化することを回避しながら、効率的な製造を可能にする方法を提供することを目的とする。
本発明に係る正極活物質の前駆体の製造方法は、リチウムの塩、Ni、Co、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素の塩、並びにリチウムの塩及び遷移金属元素の塩が溶解する水を含有する溶液から、気流乾燥によって水を除去し、リチウム及び遷移金属元素を含み正極活物質の前駆体である固体粒子を生成させる工程を有する。
この製造方法によれば、高濃度の溶液であっても、比較的小型の装置を用いて効率的に乾燥することができ、液滴発生装置等を別途装備することなく、正極活物質の前駆体としての固体粒子を生成することが可能である。
気流乾燥は、加熱された気流が循環する環状の管路に上記溶液を供給し、供給された溶液を気流とともに管路を循環させることにより行われることが好ましい。この場合、管路の内周側に連結された排出管に、管路内で生成された前駆体を排出することができる。
この製造方法によれば、環状の管路を有する設置面積の小さい装置を用いて正極活物質の前駆体をより効率的に得ることができる。また、管路の内周側に接続された排出管から、慣性力の大小に基づいて、乾燥の程度に応じて選り分けながら、より均質な前駆体を連続的に取り出すことができる。
本発明に係る正極活物質の製造方法は、上述の製造方法により得ることのできる前駆体を焼成して、リチウムと遷移金属元素との複合酸化物を含む正極活物質を生成させる工程を有する。
また、本発明は、リチウムの塩、Ni、Co、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素の塩、並びにリチウムの塩及び遷移金属元素の塩が溶解する水を含有する溶液から、気流乾燥によって水を除去することにより生成したリチウム及び遷移金属元素を含む固体粒子の、正極活物質の前駆体としての使用に関する。
さらに、本発明は、上記正極活物質の前駆体の製造方法により得ることのできる前駆体を焼成することにより生成したリチウムと遷移金属元素との複合酸化物の、正極活物質としての使用に関する。
本発明に係る正極活物質及びその前駆体の製造方法によれば、正極活物質を製造するにあたり、装置が大型化することを回避しながら、効率的な製造が可能となる。
以下、図面を参照して非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質の製造装置(以下、正極活物質製造装置1と示す)の概略構成図である。正極活物質製造装置1は、リチウムの塩と遷移金属元素の塩とを含む水溶液(溶液)を調製する調製部10と、調製部10から供給される水溶液p1を気流乾燥により乾燥する乾燥部20と、乾燥部20で得られた固体粒子p2を焼成する熱処理部40とを備えている。
調製部10は、リチウムの塩、遷移金属元素の塩を水に溶解する溶解器11と、溶解器11から水溶液p1を乾燥部20に搬送する搬送部13とを有している。
溶解器11は、投入された原料を攪拌する攪拌部12を有しており、原料が攪拌により混合される。水溶液p1は、リチウムの水溶性塩と、Ni、Co、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素の水溶性塩とを含有する。水溶液p1は、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mg、Sc、Y、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ir、Pd、Cu、Ag及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいてもよい。水溶液p1は、遷移金属元素としてNi、Mn及びFeを含むことが好ましい。水溶性塩としては、例えば硝酸塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物、酢酸塩、又は水酸化物が用いられる。水溶液p1は、リチウム及び遷移金属元素と錯体を生成する錯化剤を更に含有することが好ましい。錯化剤は、例えば、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、酢酸及びマロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。水溶性塩等を高濃度で含む水溶液p1は、高粘度の状態となることがある。高粘度の水溶液であっても、気流乾燥によれば極めて効率的に乾燥が可能である。
搬送部13としては、ダイヤフラムポンプ、プランジャーポンプ等の液送用ポンプを適宜用いることができる。搬送部13においては、溶解器11の気相部にかけられる不活性ガスの圧力によって水溶液p1の流量を制御する圧送方式が、簡便で、好ましい。
図1及び図2に示されるように、乾燥部20は、高温の気流が高速で循環する環状の管路から構成される本体部21と、本体部21へ水溶液p1を供給する投入口22と、本体部21に加熱された圧縮空気(以下、「熱風」と示す)を供給するノズル23と、ノズル23に熱風を供給する熱風供給部24と、本体部21を循環する固体粒子p2をその乾燥度合いに基づいて選り分ける分級部25と、分級部25に連結された排出管26と、気流を排出する排気部28と、サイクロン27と、バンカー容器29とを有している。
投入口22から、本体部21に水溶液p1が定量的に供給される。投入口22から導入された水溶液p1は、本体部21の管路内を高温の気流とともに移動する。本体部21では、熱風による熱エネルギーと排気用ブロワー28bによる減圧効果とにより水溶液から水分が蒸発し固体粒子p2を生成させる。本体部21は、ノズル23から熱風が供給される乾燥領域21Aと、熱風により固体粒子p2が搬送される循環領域21Bと、本体部21の内周側上方に配置され、固体粒子p2を乾燥品と未乾燥品とに分離される分級領域21Cとを有している。
ノズル23は、後述する熱風供給部24から供給される熱風を、本体部21の内部に高速で吐出す。
熱風供給部24は、ノズル23に熱風を供給する。熱風供給部24としては、例えば圧縮空気を生成するブロワー24aと、ブロワー24aからの空気を加熱するヒータ24bとから構成される。これにより、ブロワー24aによって生成された空気は、ヒータ24bによって加熱され、熱風としてノズル23に供給することができる。
分級部25は、本体部21を循環する固体粒子p2を、当該固体粒子p2の質量に基づいて乾燥品と未乾燥品とを選り分ける。分級部25における固体粒子p2の選り分けは、本体部21への熱風の供給量(風量)を調整すること等により制御することができる。
分級部25に連結された排出管26に、分級部25によって選り分けられた固体粒子p2、すなわち水分量が所定の値以下の固体粒子p2を排出する。排出管26は、後述するサイクロン27と連結されており、空気搬送により固体粒子p2を当該サイクロン27へ搬送する。乾燥部20と後述する熱処理部40とを連結する配管としての排出管26は、気流によって固体粒子p2が搬送されるので、レイアウトの自由度を高めることができる。
サイクロン27は、排出管26を介して搬送されてくる固体粒子p2を捕集し、バンカー容器29は、当該固体粒子p2を貯蔵する。
排気部28は、サイクロン27に対して固体粒子p2と共に供給される気流を排出する。排気部28としては、例えばバグフィルタ28aと排気用ブロワー28bとよって構成することができる。これにより、固体粒子p2と共にサイクロン27に搬送される気流を、バグフィルタ28aによって清浄し、排気用ブロワー28bから排出することができる。
次に、このようにして構成される乾燥部20の動作について説明する。乾燥部20は、熱風供給部24からノズル23に熱風が供給されると、当該熱風がノズル23を介して本体部21の内部に高速で吐出される。ノズル23から吐き出された熱風は、図2に示す矢印の向き、すなわち、乾燥領域21A、循環領域21B、分級領域21C、乾燥領域21Aの順番で循環する。
このような熱風の循環状態において、投入口22から水溶液p1を供給すると、水溶液p1は、本体部21の内部を循環する熱風によって搬送される。搬送された水溶液p1は、乾燥領域21A周辺において、水が迅速に除去されて固体粒子p2となる。この固体粒子p2は、本体部21の内部を循環する熱風によって搬送され、循環領域21Bを通過して分級領域21Cに搬送される。分級部25は、分級領域21Cに搬送されてきた固体粒子p2の水分量が所定の条件を満たすとき、当該固体粒子p2を排出管26に排出させる。分級領域21Cに搬送されてきた固体粒子p2の水分量が所定の条件を満たさないとき、当該固体粒子p2を乾燥領域21Aに再び搬送させるようにして、再度の乾燥処理を施させる。
熱処理部40は、乾燥部20によって乾燥された固体粒子p2を熱処理(焼成)し、均質な組成の非水電解質二次電池用正極活物質p3を生成する部分である。熱処理部40は、固体粒子p2を焼成するロータリーキルン41と、焼成された固体粒子p2を冷却する冷却器42と、製品としての非水電解質二次電池用正極活物質p3を回収する回収部43とを有している。
排出管26内を気流により搬送され、サイクロン27によって捕集され、バンカー容器29に貯蔵された固体粒子p2は、ロータリーキルン41に供給される。ロータリーキルン41は、バンカー容器29から供給される固体粒子p2を連続的又は断続的に動かしながら焼成する。ロータリーキルン41では、製造する非水電解質二次電池用正極活物質の組成や構造に応じて、例えば焼成温度、焼成時間、炉内雰囲気等が制御される。なお、熱処理部40としては、所定の温度、雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、例えばローラーハースキルン、トンネルキルン、流動層焼成炉等を使用することができる。また、バッチ式キルンを用いて回分処理をしてもよい。
冷却器42は、ロータリーキルン41において焼成された固体粒子p2を、所定の条件の雰囲気中で冷却する。冷却器42では、製造する非水電解質二次電池用正極活物質p3の組成や構造に応じて、例えば冷却時間、冷却速度、冷却温度、冷却器内雰囲気等が制御される。
回収部43は、冷却器42において冷却された固体粒子p2を、製品p3として回収する。
図3は、本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法の処理を示したフローチャートである。なお、ここでは、非水電解質二次電池用正極活物質の一例として、Li(Ni0.47Mn0.48Fe0.05)O2を製造する方法について説明する。
本実施形態のLi(Ni0.47Mn0.48Fe0.05)O2の製造方法では、まず、図3に示すように、リチウムの水溶性塩と、Ni、MnおよびFeの遷移金属元素の水溶性塩と、必要により錯化剤とを溶解した水溶液を得る(S1:調製工程)。
例えば、所定の濃度となるように秤量された、遷移金属元素としてのNi(NO3)2、Mn(NO3)2およびFe(NO3)2もしくはFe(NO3)3と、水溶性塩としてのLiCO3と、錯化剤としてのC6H8O7(クエン酸)およびC3H4O4(マロン酸)のいずれか1つを図1に示すような溶解器11において水に溶解させて水溶液を得る。錯化剤を用いると、錯化剤を介して各イオンが化学量論的に配位するため、リチウムイオンと遷移金属イオンとの混合状態は均質である。
次に、水溶液p1から、気流乾燥によって水を除去し、リチウム及び遷移金属元素を含む非水電解質二次電池用正極活物質の前駆体である固体粒子を得る(S2:乾燥工程)。具体的には、図2に示すような構成を有する乾燥部20を用いることによって固体粒子を得る。以下、図2を参照しながら、水溶液p1の乾燥方法について説明する。
ノズル23を介して本体部21に熱風を供給する(S21)。このとき供給する熱風温度(入口温度)は、70〜300℃であることが好ましく、100〜250℃であることがより好ましく、130〜200℃であることがより一層好ましい。
次に、本体部21に水溶液p1を供給する(S22)。このときの水溶液p1の溶質濃度は、0.01〜0.4kg−溶質/kg−水であることが好ましく、0.1〜0.4kg−溶質/kg−水であることがより好ましい。本体部21に供給される熱風の流量(Nm3/min)は、固体粒子p2が排出管26内を輸送し得る流速(10〜30m/sであることが好ましい)を確保するように設定する。水溶液p1の供給量(kg/h)は、熱風の熱量(空気比熱×(熱風温度−排出管温度)×流量)が、水分蒸発熱量(蒸発潜熱+顕熱)以上になるように設定する。
このような、温度条件、熱風流量、複合錯体の供給量の条件の下、投入口22から水溶液p1を供給することで、当該水溶液p1から当該熱風によって、水が迅速に除去される。水溶液p1は、水が除去されることによって固体粒子p2となる。固体粒子p2の粒子径は、水溶液p1の供給量、水溶液p1の溶質濃度、熱風の流量、熱風の入口温度等を適宜選定することによって制御することができる。
次に、この固体粒子p2は、水分量等に基づいて分級される(S23)。例えば、固体粒子p2の水分量が所定の値未満であるとき、分級部25は、当該固体粒子p2を排出管26に排出する。一方、固体粒子p2の水分量が所定の値以上であるとき、分級部25は、当該固体粒子p2を乾燥領域21Aに再び搬送し、再度の乾燥処理に施させる。
次に、排出管26に排出された固体粒子p2をサイクロン27にまで空気搬送する(S24)。この排出管26の長さは1〜30mであることが好ましい。また、排出管26から排出される熱風の温度(出口温度)としては、50〜150℃であることが好ましい。
次に、ステップS2において得られた固体粒子p2を加熱して、リチウムと遷移金属元素との複合酸化物を含む粒子状の非水電解質二次電池用正極活物質を生成させる(S3:熱処理工程)。具体的には、図1に示すような構成を有する熱処理部40を用いることによって固体粒子p2を熱処理する。以下、図1を参照しながら、固体粒子p2の焼成方法について説明する。
まず、バンカー容器29から供給される固体粒子p2を連続的又は断続的に動かしながら焼成する。このときのロータリーキルン41における焼成温度は、750〜1000℃、焼成時間は1〜10時間であることが好ましく、炉内は酸素又は空気雰囲気である。
次に、ロータリーキルン41において焼成された固体粒子p2を、所定の条件の雰囲気中で室温程度にまで冷却する。このときの冷却器42における冷却時間は1〜4時間、冷却速度は250〜1000℃/h、冷却器内は水分の無い空気又は不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
次に、冷却器42において冷却された固体粒子p2を、製品(非水電解質二次電池用正極活物質)p3として回収する。
以上に説明したように、本実施形態に係る製造方法によれば、装置が大型化することを回避しながら、非水電解質二次電池正極活物質を製造することができる。ノズルから噴霧することができないような粘度の高い水溶液であっても、液滴発生装置等を別途装備することなく、直接乾燥処理をすることができる。
図1および図2に示すような正極活物質製造装置1では、処理量を増やす場合、本体部21の管径を大きくして対応することができる。このことは、従来の噴霧乾燥装置が噴霧室の容積を増やして処理量の増加に対応することと比べて、設置面積の増加を小さくすることができる。
この点について具体的に示す。図4は、本体部21に対応する気流乾燥装置と、従来の噴霧乾燥装置とについて、処理量としての水分蒸発速度(横軸)と直径、幅、高さといった装置の大きさ(縦軸)との関係を実測により評価したものである。
図4において示される白三角は、水分蒸発速度(kg/h)に対する気流乾燥装置の幅(m)を示し、黒三角は、水分蒸発速度(kg/h)に対する気流乾燥装置の高さ(m)を示す。また、図4において示される白丸は、水分蒸発速度(kg/h)に対する噴霧乾燥装置の直径(m)を示し、黒丸は、水分蒸発速度(kg/h)に対する噴霧乾燥装置の高さ(m)を示す。
気流乾燥装置の幅及び噴霧乾燥装置の直径は、いずれも高さ方向と直交する水平方向に対する大きさであることを考慮すると、図4によれば、本発明に係る製造方法に用いられる一実施形態としての気流乾燥装置は、従来の噴霧乾燥装置と比較して、同じ水分蒸発速度に対する水平方向の大きさを約2〜3倍小さくできることが分かる。同様に、図4によれば、上記気流乾燥装置は、従来の噴霧乾燥装置と比較して、同じ水分蒸発速度に対する高さ方向の大きさを約4〜5倍小さくできることが分かる。例えば、水分蒸発速度が170kg/hのとき、気流乾燥装置の水平方向の大きさは噴霧乾燥装置の1/2、気流乾燥装置の高さ方向の大きさは噴霧乾燥装置の1/4となっている。
噴霧乾燥により水溶液を乾燥させる工程を有する従来の製造方法では、当該工程が液滴発生装置を有する噴霧乾燥装置を用いて行われるので、液滴又は当該液滴が乾燥した固体粒子の粒子径は揃っている。一方、気流乾燥により水溶液を乾燥させる工程を有する製造方法では、当該工程に液滴発生装置が使用されることはないので、乾燥した固体粒子の粒子径は不揃いである。このため、気流乾燥により水溶液を乾燥させた場合には、固体粒子群を充填したときの単位体積あたりの充填質量が、噴霧乾燥により水溶液を乾燥させた場合と比べて増大する。この結果、非水電解質二次電池用正極材の単位容積あたりの性能を向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、非水電解質二次電池用正極活物質として、Li(Ni0.47Mn0.48Fe0.05)O2を製造する例を挙げて説明したがこれ限定されるものではない。例えばLiCoO2、LiNiO2、LiFeO2、LiMn2O4、LiCoxMn(1−x)O2、LiNiyMn(1−y)O2、LiCoxNiyMn(1−x−y)O2のような非水電解質二次電池用正極活物質を製造する際も、本発明を適用することができる。
次に、正極活物質の前駆体の製造方法について、上記作用効果が具体的に得られる点について、実験例1及び2を基に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実験例1〕
本実験例1では、ガラス製ビーカー及びマグネチックスターラーを使用し、以下の原料を混合することにより、気流乾燥に付す水溶液を調製した。得られた水溶液の溶質濃度は、0.3kg−溶質/kg−水であった。
本実験例1では、ガラス製ビーカー及びマグネチックスターラーを使用し、以下の原料を混合することにより、気流乾燥に付す水溶液を調製した。得られた水溶液の溶質濃度は、0.3kg−溶質/kg−水であった。
硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO3)2・6H2O) 48.8g
硝酸マンガン6水和物(Mn(NO3)2・6H2O) 49.2g
硝酸鉄9水和物(Fe(NO3)3・9H2O) 7.1g
炭酸リチウム(Li2CO3) 14.0g
クエン酸 140.7g
水 700.0g
硝酸マンガン6水和物(Mn(NO3)2・6H2O) 49.2g
硝酸鉄9水和物(Fe(NO3)3・9H2O) 7.1g
炭酸リチウム(Li2CO3) 14.0g
クエン酸 140.7g
水 700.0g
次に、上記調製した水溶液を、上述した乾燥部20に該当する図5に示すような構成の気流乾燥装置に、チューブポンプを使用して23g/分の供給速度で供給した。気流乾燥装置20において、本体部21の高さH21は277cm、幅W21は250cm、本体部21としての管路の内径φ21は53.5mmである。このような本体部21を有する気流乾燥装置20において、熱風温度(入口温度)を152〜158℃、排出管内の熱風流速を26m/秒とする条件で気流乾燥を行って、正極活物質の前駆体としての固体粒子を得た。この固体粒子は、内径φ26が53.5mm、長さL26が1.5mの排出管26から排出された。
次に、上記方法により得られた正極活物質の前駆体としての固体粒子を、バッチ式キルンを用いて空気雰囲気で焼成温度900℃で6時間焼成し、正極活物質を得た。
次に、ICP発光分析法により、このようにして得られた正極活物質に含まれるリチウム、ニッケル、マンガン及び鉄のモル比を求めた。この結果を以下の表1に示す。表1におけるMは、ニッケルとマンガンと鉄との総モル数を示している。
〔実験例2〕
本実験例2では、ガラス製ビーカー及びマグネチックスターラーを使用し、以下の原料を混合することにより、気流乾燥に付す水溶液を調製した。得られた水溶液の溶質濃度は、0.2kg−溶質/kg−水であった。
本実験例2では、ガラス製ビーカー及びマグネチックスターラーを使用し、以下の原料を混合することにより、気流乾燥に付す水溶液を調製した。得られた水溶液の溶質濃度は、0.2kg−溶質/kg−水であった。
硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO3)2・6H2O) 48.8g
硝酸マンガン6水和物(Mn(NO3)2・6H2O) 49.2g
硝酸鉄9水和物(Fe(NO3)3・9H2O) 7.1g
炭酸リチウム(Li2CO3) 14.0g
マロン酸 76.2g
水 700.0g
硝酸マンガン6水和物(Mn(NO3)2・6H2O) 49.2g
硝酸鉄9水和物(Fe(NO3)3・9H2O) 7.1g
炭酸リチウム(Li2CO3) 14.0g
マロン酸 76.2g
水 700.0g
次に、上記調製した水溶液を、上記実験例1で使用した気流乾燥装置20を用いて、気流乾燥を行い、正極活物質の前駆体としての固体粒子を得た。熱風温度(入口温度)を175〜182℃とした点以外は、上記実験例1と同じ条件とした。
次に、上記方法により得られた正極活物質の前駆体としての固体粒子を、実験例1と同様にバッチ式キルンを用いて空気雰囲気で焼成温度900℃で6時間焼成し、正極活物質を得た。次に、上記実験例1と同様に、ICP発光分析法により、このようにして得られた正極活物質に含まれるリチウム、ニッケル、マンガン及び鉄のモル比を求めた。この結果を以下の表1に示す。
表1に示す比較結果によれば、実験例1及び実験例2で得た正極活物質に含まれるリチウム、ニッケル、マンガン及び鉄のそれぞれのモル比は、水溶液調製時における上記それぞれのモル比がほぼ維持されることを示している。これにより、気流乾燥によってリチウムの塩、ニッケル、マンガン及び鉄からなる遷移金属元素の塩、並びにリチウムの塩及び遷移金属元素の塩が溶解する水を含有する溶液から水が除去され、リチウム及び遷移金属元素を含む正極活物質が効率的に生成されることが確認された。
1…非水電解質二次電池用正極活物質製造装置、10…調製部、11…溶解器、12…攪拌部、13…搬送部、20…乾燥部、21…本体部、21A…乾燥領域、21B…循環領域、21C…分級領域、22…投入口、23…ノズル、24…熱風供給部、24a…ブロワー、24b…ヒータ、25…分級部、26…排出管、27…サイクロン、28…排気部、28a…バグフィルタ、28b…排気用ブロワー、29…バンカー容器、40…熱処理部、41…ロータリーキルン、42…冷却器、43…回収部。
Claims (5)
- リチウムの塩、Ni、Co、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素の塩、並びに前記リチウムの塩及び前記遷移金属元素の塩が溶解する水を含有する溶液から、気流乾燥によって前記水を除去し、前記リチウム及び前記遷移金属元素を含み正極活物質の前駆体である固体粒子を生成させる工程を有する、
正極活物質の前駆体の製造方法。 - 前記気流乾燥が、加熱された気流が循環する環状の管路に前記溶液を供給し、供給された前記溶液を前記気流とともに前記管路を循環させることにより行われ、
前記管路の内周側に連結された排出管に、前記管路内で生成した前記前駆体を排出する、請求項1記載の製造方法。 - 請求項1又は2記載の製造方法により得ることのできる前駆体を焼成して、前記リチウムと前記遷移金属元素との複合酸化物を含む正極活物質を生成させる工程を有する、
正極活物質の製造方法。 - リチウムの塩、Ni、Co、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素の塩、並びに前記リチウムの塩及び前記遷移金属元素の塩が溶解する水を含有する溶液から、気流乾燥によって前記水を除去することにより生成した前記リチウム及び前記遷移金属元素を含む固体粒子の、正極活物質の前駆体としての使用。
- 請求項1記載の製造方法により得ることのできる前駆体を焼成することにより生成した前記リチウムと前記遷移金属元素との複合酸化物の、正極活物質としての使用。
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