JP2002104826A - リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法 - Google Patents
リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法Info
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Abstract
物を安価に量産する方法を提供する。 【構成】 リチウム源と遷移金属源とを有するスラリ
ーを噴霧乾燥し、これを焼成処理に供するリチウム遷移
金属酸化物の製造方法において、前記噴霧乾燥を、
(1)平滑面に沿って流動する気体流に交差するように
前記スラリー供給することによって、前記平滑面と前記
気体流との間にスラリーの薄膜流を形成させ、(2)前
記薄膜流を前記平滑面から離すことによって液滴を形成
し、(3)前記液滴を乾燥することによって行う。
Description
複合酸化物の製造方法及びこれを活物質として用いたリ
チウムイオン二次電池に関するものである。
としては、層状複合酸化物であるLiCoO2系、LiNiO2系
や、スピネル構造を有するLiMn2O4系化合物が、4V級
の高電圧を得ることができ、且つ高いエネルギー密度を
有することから、既に広く実用化されているか、若しく
は実用化段階に入っている。
ダーと混合して正極合剤とされるが、正極活物質の充填
密度が高い方が単位容積当たりのエネルギー密度が向上
するので、同じ大きさの電池を製造した場合、高容量の
電池が得られ、又同じエネルギー容量の電池であれば、
小型化が可能となる等の利点がある。そこで、これに対
して、正極活物質粒子を球状に造粒し、充填性を向上さ
せる手法等が提案されている。例えば、原料となるスラ
リーを噴霧乾燥する方法、原料となる溶液を噴霧熱分解
する方法等が知られている。
るような分野においては、正極合材層を極力薄くする方
向が好ましく、この様な用途に用いる活物質粒子は、塗
布膜の均一性の観点からより小さな粒子とすることが必
要となってくる。
の粒子を噴霧にて形成するのは困難である。特に平均粒
子径で10μm以下の領域となった場合、従来の噴霧乾
燥における液滴の微細化手法(ロータリーアトマイザー
法、二流体ノズル法)においては問題がある。即ち、ロ
ータリーアトマイザー法では、固形分濃度を極めて低く
する必要があり、また、二流体ノズル法では、ノズル1
本当たりの生産性が低いためにノズルの系列増により装
置が大型化する等工業的に安価に生産する点で必ずしも
十分とは言えなかった。
活物質として好適な、リチウムマンガン複合酸化物を製
造する方法、特に充填密度の高いリチウムマンガン複合
酸化物を安価に量産する方法を提供することを目的とす
るものである。
遷移金属複合酸化物の嵩密度を高める、より安価な製造
方法を鋭意検討を重ねた結果、噴霧乾燥のためのスラリ
ー液滴の形成方法として、平滑面に沿って流動する気体
流に交差するようにスラリー供給することによって、前
記平滑面と前記気体流との間にスラリーの薄膜流を形成
させた後、前記薄膜流を前記平滑面から離す方法を採用
する方法が有効であることを見出し本発明を完成した。
(14)に存する。 (1)リチウム源と遷移金属源とを含有するスラリーを
噴霧乾燥し、これを焼成処理に供するリチウム遷移金属
酸化物の製造方法において、前記噴霧乾燥を、平滑面に
沿って流動する気体流に交差するように前記スラリーを
供給することによって、前記平滑面と前記気体流との間
にスラリーの薄膜流を形成させ、前記薄膜流を前記平滑
面から離すことによって液滴を形成し、前記液滴を乾燥
することによって行うことを特徴とするリチウム遷移金
属酸化物の製造方法。 (2)噴霧乾燥を、乾燥ガス温度50〜120℃の条件
下で行うことを特徴とする(1)に記載の製造方法。 (3)気体流の噴射速度が、ガス線速100〜1000
m/sである(1)又は(2)に記載の製造方法。 (4)スラリー中の固形物の平均粒子径が2μm以下で
ある(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。 (5)得られるリチウム遷移金属酸化物の平均粒径を4
〜50μmとする(1)〜(4)のいずれかに記載の製
造方法。 (6)液滴を環状に噴霧させる(1)〜(5)のいずれ
かに記載の製造方法。 (7)液滴を略水平方向に向かって噴霧し、噴霧された
液滴をダウンフローで乾燥ガスを導入する(1)〜
(6)のいずれかに記載の製造方法。 (8)スラリーが、Al、Ti、V、Cr、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属元素源
を含む(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。 (9)金属元素源が、Al、Ti、V、Cr、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群か
ら選ばれる元素の、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化
物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸
塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種であ
る(8)に記載の製造方法。 (10)リチウム源が、Li2CO3、LiNO3、Li
OH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、CH3CO
OLi、Li2O、酢酸Li、ジカルボン酸Li、クエ
ン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム、リチウムハ
ロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種であ
る(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。 (10)遷移金属源が、Mn3O4、Mn2O3、Mn
O2、MnCO3、Mn(NO 3)2 、MnSO4、酢酸マ
ンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂
肪酸マンガン、マンガンオキシ水酸化物、マンガン水酸
化物、マンガンハロゲン化物からなる群から選ばれた少
なくとも一種である(1)〜(10)のいずれかに記載
の製造方法。 (12)リチウム遷移金属複合酸化物が、下記一般式
(I)で表される(1)〜(11)のいずれか1つに記
載の製造方法。
の数、MはAl、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、
Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素、δは−0.1〜0.1の数を表
す) (13)(1)〜(12)のいずれか1つに記載の方法
で得られたリチウム遷移金属複合酸化物とバインダーと
を有する合剤と溶媒とを含む塗料を、集電体上に塗布・
乾燥することを特徴とする電極の製造方法。 (14)(1)〜(12)のいずれか1つに記載の方法
で得られたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質と
して使用したリチウム二次電池。
チウム源と遷移金属源とを有する。スラリーの分散媒と
しては、各種の有機溶媒、水性溶媒が使用できるが、好
ましくは水を使用する。スラリー中の未溶解固形物の平
均粒子径は通常2μm以下、好ましくは1μm以下、よ
り好ましくは0.5μm以下とする。スラリー中の固形
物の平均粒子径が大きすぎると、球状度が低下し、最終
的な粉体充填密度が低くなる傾向にある。この傾向は、
特に平均粒子径で50μm以下の造粒粒子を製造しよう
とした場合に顕著である。スラリー中の固形物の平均粒
子径を制御する方法としては、原料粉末を予めボールミ
ル、ジェットミル等により乾式粉砕し、これを分散媒に
分散させる方法、原料粉末を分散媒に分散後、媒体攪拌
型粉砕機等を使用して湿式粉砕する方法が挙げられる。
なお、必要以上に小粒子化することは、粉砕のコストア
ップに繋がり好ましくないので、固形物の平均粒径は通
常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、さ
らに好ましくは0.1μm以上とする。
めのスラリーに含有させるリチウム源としては、Li2
CO3、LiNO3、LiOH、LiOH・H2O、Li
Cl、LiI、CH3COOLi、Li2O、酢酸Li、
ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキ
ルリチウム、リチウムハロゲン化物等を用いることがで
きる無論複数種を併用することもできる。
めのスラリーに含有させる遷移金属源は、マンガン、ニ
ッケル、コバルト、鉄、銅等の各種の遷移金属を含有す
る。通常、遷移金属源としては、遷移金属の酸化物、炭
酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸等の有機酸塩、水酸化物、
オキシ水酸化物、ハロゲン化物等を使用する。無論、こ
れらを複数種を併用することができる。好ましい遷移金
属源は、マンガン化合物、具体的には、Mn3O4、Mn
2O3、MnO2、MnCO3、Mn(NO3)2、MnSO
4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マ
ンガン、脂肪酸マンガン、マンガンオキシ水酸化物、マ
ンガン水酸化物、マンガンハロゲン化物からなる群から
選ばれた少なくとも一種である。
遷移金属源以外の他の元素を含む化合物を含有すること
もできる。例えば、リチウム遷移金属酸化物中の遷移金
属サイトの一部を置換する等のために、Al、Ti、
V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、G
a、Zr等の銀元素を含む金属元素源をスラリー中に含
有させることができる。具体的には、金属元素源とし
て、上記元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硝
酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩及び
アンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種を挙げるこ
とができる。
ち、リチウムマンガン複合酸化物を製造する場合、リチ
ウムマンガン複合酸化物のマンガンサイトの一部を上記
他元素にて置換することにより、高温特性、安全性等を
向上させることができる。得られたスラリーは、噴霧乾
燥に供される。本発明においては、この噴霧乾燥を、
(1)平滑面に沿って流動する気体流に交差するように
前記スラリー供給することによって、前記平滑面と前記
気体流との間にスラリーの薄膜流を形成させ、(2)前
記薄膜流を前記平滑面から離すことによって液滴を形成
し、(3)前記液滴を乾燥することによって行う。
ることができる噴霧乾燥機のノズル部分の模式的側面
図、図2は、図1のノズル先端を拡大して、気体流及び
スラリーの流れと共に示す模式的断面図である。円筒状
のノズル1には、平滑な傾斜面2を有するノズル先端3
が円筒の周囲に環状に設けられる。ノズル先端3には、
ガス供給管7を通じて、傾斜面2に沿って流動する高速
の気体流を供給するガス出射口4が、傾斜面2に向けて
設けられる。また、ノズル先端3には、スラリー供給管
8を通じて、前記スラリーを供給するスラリー出射口5
が、出射されたスラリーが傾斜面に沿って出射された気
体流の流動方向と交差するように設けられている。
気、窒素等を用いることができるが、通常は空気が用い
られる。これらは加圧して使用することが好ましい。気
体流は、ガス線速として、通常100m/s以上、好ま
しくは200m/s以上、さらに好ましくは300m/
s以上で噴射される。あまり小さすぎると適切な液滴が
形成しにくくなる。ただし、あまりに大きな線速は得に
くいので、通常噴射速度は1000m/s以下である。
傾斜面と平行に傾斜面に沿って高速流動する。一方、気
体流Gの流動方向に交差するようにスラリー出射口5か
ら出射されたスラリーは、高速流動する気体流によって
傾斜面に押し付けられて薄膜流Sとされる。傾斜面に沿
って流動する薄膜流Sは、通常超音速で流動し、ノズル
エッジ6で傾斜面を離れると同時に、液滴となり所定の
方向に噴霧される。この際、同様に形成されたもう一方
の薄膜流と衝突して液滴とし噴霧するのがより小さな液
滴を形成する上で好ましい。図1においては、ノズルエ
ッジはノズル周囲に環状に設けられているので、液滴も
同様に環状に噴霧される。環状に噴霧することによっ
て、噴霧量を増加させる、即ち生産量を増加させること
ができる。噴霧の方向は、略水平方向とするのがノズル
設計が容易であるので好ましい。なお、略水平方向と
は、水平方向に対して±40°程度の幅を許容する。
のノズルで大量に行えるので、生産性を向上させること
ができる。また、形成される液滴は極めて微細なので、
これを乾燥・焼成して得られるリチウム遷移金属複合酸
化物の粒径を小さくすることができる。なお、液滴微細
化技術そのものに関しては、特許第2797080号に
記載されており、液滴を形成すること自体は、上記公知
文献を参照することによりより容易に実施することがで
きる。
る。乾燥の際、好ましくは、乾燥塔上部から下部に向か
いダウンフローで乾燥ガスを導入するのが好ましい。こ
の様な構造とすることにより、乾燥塔単位容積当たりの
処理量を大幅に向上させることができる。また、液滴を
略水平方向に噴霧する場合、水平方向に噴霧された液滴
をダウンフローガスで抑え込むことにより、乾燥塔の直
径を大きく低減させることが可能となり、安価且つ大量
に製造することが可能となる。乾燥ガス温度は、通常5
0以上、好ましくは70℃以上とし、一方通常120℃
以下、好ましくは100℃以下とする。温度が高すぎる
と、得られた造粒粒子が中空構造の多いものとなり、粉
体の充填密度が低下する傾向にあり、一方、低すぎると
粉体出口部分での水分結露による粉体固着・閉塞等の問
題が生じる可能性があある。
粒粒子が得られるが、造粒粒子径としては、平均粒子径
で好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm
以下となるようにする。ただし、あまりに小さな粒径は
得にくい傾向にあるので、通常は4μm以上、好ましく
は5μm以上である。造粒粒子の粒子径は、噴霧形式、
加圧気体流供給速度、スラリー供給速度、乾燥温度等を
適宜選定することによって制御することができる。
いで焼成される。焼成温度としては、原料として使用さ
れる遷移金属、置換元素の種類によって異なるものの、
通常、500℃以上であり、また1000℃以下とする
のが通常である。温度が低すぎると、結晶性の良いリチ
ウム遷移金属複合酸化物を得るために長時間の焼成時間
を要する傾向にある。また、温度が高すぎると、目的と
するリチウム遷移金属複合酸化物以外の結晶相が生成す
るか、あるいは欠陥が多いリチウム遷移金属複合酸化物
を生成する結果となり、二次電池とした際に容量の低下
あるいは充放電による結晶構造の崩壊による劣化を招く
ことがある。
が、通常前述の温度範囲であれば30分以上、50時間
以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウ
ム遷移金属複合酸化物が得られにくくなり、また長すぎ
るのは実用的ではない。結晶欠陥が少ないリチウム遷移
金属複合酸化物を得るためには、焼成反応後、ゆっくり
と冷却することが好ましく、例えば5℃/min.以下
の冷却速度で徐冷することが好ましい。
や構造に応じて、空気等の酸素含有ガス雰囲気や、窒素
やアルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることができる。
例えば、層状構造のリチウムマンガン複合酸化物を製造
する場合には真空中あるいは窒素やアルゴン等の不活性
雰囲気中で行うことが好ましく、LiCoO2系、LiNiO2系、
或いはスピネル型リチウムマンガン複合酸化物等を製造
する際には、少なくとも徐冷過程においては、大気中あ
るいは酸素中等の酸素含有雰囲気中で行うことが好まし
い。
雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、例え
ば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を
使用することができる。かくして得られたリチウム遷移
金属酸化物は、1次粒径としては0.1〜3μmである
のが好ましく、また、2次粒径は1〜50μmであるの
が好ましく、さらに、窒素吸着による比表面積が0.1
〜5m2/gであることが好ましい。1次粒子の大きさ
は、焼成温度、焼成時間等により制御することが可能で
あり、これらの1つ以上を増加させることにより、1次
粒子の粒子径を大きくすることができる。2次粒子の粒
子径は、焼成前の粉砕または噴霧乾燥工程における気液
比等の噴霧条件により制御することが可能である。比表
面積は1次粒子の粒径および2次粒子の粒径により制御
することが可能であり、1次粒子の粒径及び/又は2次
粒子の粒径を大きくすることにより減少する。又、充填
密度は、タップ密度(200回タップ後)で1.50g
/cc以上であることが好ましい。
は、例えば、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコ
バルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物等各種
のものが挙げられる。本発明の方法は、中でも、スピネ
ル型の構造を有するリチウムマンガン複合酸化物を製造
するのに好適である。上記スピネル型リチウムマンガン
複合酸化物の具体的な基本組成は、LiMn204と表す
ことができるが、リチウムとマンガンと酸素との比は必
ずしも厳密である必要はない。また、前述のように、リ
チウムマンガン複合酸化物を製造する際、マンガンサイ
トの一部を、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等の他の元素で置換
することによって、特性を向上させることができる。こ
の場合のスピネル型リチウムマンガン複合酸化物の基本
組成は、下記一般式(I)で表すことができる。
の数、MはAl、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、
Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素、−0.1〜0.1の数を表す) 得られたリチウム遷移金属複合酸化物を活物質として、
電極さらには電池を作製することができる。例えば、電
池の一例としては、正極、負極、電解質を有するリチウ
ム二次電池が挙げられる。具体的には、正極と負極との
間には電解質が存在し、かつ必要に応じてセパレーター
が正極と負極が接触しないようにそれらの間に配置され
た二次電池を挙げることができる。
属複合酸化物(正極活物質)とバインダーと必要に応じ
て導電剤を有する合剤に、これらを均一に分散させる為
の溶媒を一定量で混合して塗料とした後、集電体上に塗
布・乾燥することのよって得ることができる。ここで用
いられる導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチ
レンブラック等を挙げることができ、またバインダーと
してはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチ
レン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポ
リエチレン、ニトロセルロース等が、分散用の溶媒とし
てはN−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメ
チルホルムアミド等が挙げられる。集電体の材質として
はアルミニウム、ステンレス等が挙げられる。正極は、
通常、集電体上に正極合剤層を形成後、通常、ローラー
プレス、その他の手法により圧密する。
然黒鉛、熱分解炭素等)をCu等の集電体上に塗布した
もの、或いはリチウム金属箔、リチウム−アルミニウム
合金等が使用できる。リチウム二次電池に使用する電解
質は非水電解液であり、通常電解塩を非水系溶媒に溶解
してなる。電解塩としてはLiClO4、LiAsF6、
LiPF6、LiBF4、LiBr、LiCF3SO3等の
リチウム塩が挙げられる。また、非水系溶媒としては、
テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホ
ルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチル
カーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これ
ら電解塩や非水系溶媒は単独で用いても良いし、2種類
以上を混合して用いても良い。
テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル等の高分子、又はガラス繊維等の不織
布フィルター、或いはガラス繊維と高分子繊維の複合不
織布フィルター等を挙げることができる。
に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以
下の実施例に制約されるものではない。 <実施例1>Mn2O3、AlOOH、LiOH・H2O
を、それぞれ最終的なスピネル型リチウムマンガン複合
酸化物中の組成で、Li:Mn:Al=1.04:1.
84:0.12(モル比)となるように秤量し、これに
純水を加えて固形分濃度30重量%のスラリーを調製し
た。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿
式粉砕器を用いて、スラリー中の固形分の平均粒子径が
0.5μmになる迄、粉砕した後、液滴微細化機構を有
するノズルを設けたスプレードライヤー(藤崎電機株式
会社製、マイクロミストドライヤーMDP−050、ノ
ズルタイプはサークルエッジノズル、乾燥塔寸法は2500
mmφ×4800mmH)を用いて、噴霧乾燥を行った。
n、乾燥ガス入口温度は90℃とした。また、噴霧ノズ
ルとしては、直径30mmφで、360°(環状)方向に水
平噴霧可能なタイプを使用し、ノズルのスラリー出口ク
リアランスを600μm、スラリーを微細化する為の加
圧気体流出口のクリアランスを350μmにセットし
た。スラリー供給速度は、700g/min、加圧気体
流の供給速度は1300L/minとした(気体流のガ
ス線速は330m/s)。この条件で噴霧乾燥した際の
排気ガス温度は45℃であった。乾燥された造粒粒子は
サイクロンで捕集した後、900℃で10時間焼成し
た。その結果、平均粒子径7.5μm、最大粒径18μ
mのほぼ球状の造粒粒子が得られた。X線回折を測定し
たところ、立方晶のスピネル型リチウムマンガン複合酸
化物の構造を有していることが確認された。なお、粒度
分布の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置
(HORIBA製 LA910)を用いて行った。この粉末10gを
25mlのガラス製メスシリンダーに入れ、200回タ
ップした後の、粉体充填密度(タップ密度)を測定した
ところ、1.70g/ccであった。このようにして得
られた正極活物質10gと、アセチレンブラック(A
B)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、N−メチル−
2−ピロリドンを溶媒として、固形分濃度40wt%と
なるように50ccポリエチレン容器に分取した。この
時の各成分の配合比は、正極活物質:AB:PVDF=90:
5:5(wt%)とした。更に1mmφのジルコニアビー
ズを20g加え、容器を密栓し、振とう機にセットして
30分間混合を行った。混合の終了した正極剤塗液を、
クリアランス350μmのアプリケーターを使用して、
厚さ21μmのアルミニウム電極シート上に塗布し、1
20℃で乾燥後、ポンチで打ち抜いて、12mmφの正
極ペレットを得た。この打ち抜いたペレットは、ハンド
プレス機にて、24MPaの圧力で1分間の圧密処理を
実施した。
み立て、電池評価を行った。この際、負極材にはリチウ
ム金属を、電解液には、エチレンカーボネートとジエチ
ルカーボネートの3:7混合溶媒に、1mol/Lの六
フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解した溶液を
使用した。この電池を用いて、1mA/cm2の電流密
度で充放電した際の充放電容量を測定したところ、充電
容量120mAh/g、放電容量117mAh/g、充
放電効率97.5%の良好な特性を有することが確認さ
れた。
なる固形物を含有するようなスラリー系での噴霧微細化
に関して、加圧気体流並びにスラリー薄膜流の速度が超
音速の領域であることから、得られる造粒粒子に関し
て、一部化合物の偏在化、組成変動等に起因する電池性
能低下も懸念されたが、上記の実施例により、非常に良
好な電池特性が得られることが分かった。
性能的にも良好なリチウム遷移金属複合酸化物を安価
に、大量に生産することが可能である。また、このよう
に充填密度が高められたリチウム遷移金属複合酸化物を
リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用するこ
とにより、単位容積当たりのエネルギー密度が向上し、
同じ大きさの電池の場合には高容量の電池が得られ、又
同じエネルギー容量であれば、より小型化された電池を
得ることが可能となる。
ノズル部分を、一部断面を露出して示す模式的側面図。
ラリーの流れと共に示す模式的断面図。
Claims (14)
- 【請求項1】 リチウム源と遷移金属源とを含有するス
ラリーを噴霧乾燥し、これを焼成処理に供するリチウム
遷移金属酸化物の製造方法において、 前記噴霧乾燥を、(1)平滑面に沿って流動する気体流
に交差するように前記スラリーを供給することによっ
て、前記平滑面と前記気体流との間にスラリーの薄膜流
を形成させ、(2)前記薄膜流を前記平滑面から離すこ
とによって液滴を形成し、(3)前記液滴を乾燥するこ
とによって行うことを特徴とするリチウム遷移金属酸化
物の製造方法。 - 【請求項2】 噴霧乾燥を、乾燥ガス温度50〜120
℃の条件下で行う請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 気体流の噴射速度が、ガス線速100〜
1000m/sである請求項1又は2に記載の製造方
法。 - 【請求項4】 スラリー中の固形物の平均粒子径が2μ
m以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方
法。 - 【請求項5】 得られるリチウム遷移金属酸化物の平均
粒径を4〜50μmとする請求項1〜4のいずれかに記
載の製造方法。 - 【請求項6】 液滴を環状に噴霧させる請求項1〜5の
いずれかに記載の製造方法。 - 【請求項7】 液滴を略水平方向に向かって噴霧し、噴
霧された液滴をダウンフローで乾燥ガスを導入する請求
項1〜6のいずれかに記載の製造方法。 - 【請求項8】 スラリーが、Al、Ti、V、Cr、F
e、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからな
る群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属
元素源を含む請求項1〜7のいずれかに記載の製造方
法。 - 【請求項9】 金属元素源が、Al、Ti、V、Cr、
Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrから
なる群から選ばれる元素の、酸化物、水酸化物、オキシ
水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、
脂肪酸塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一
種である請求項8に記載の製造方法。 - 【請求項10】 リチウム源が、Li2CO3、LiNO
3、LiOH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、C
H3COOLi、Li2O、酢酸Li、ジカルボン酸L
i、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム、リ
チウムハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも
一種である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。 - 【請求項11】 遷移金属源が、Mn3O4、Mn2O3、
MnO2、MnCO3、Mn(NO3)2 、MnSO4、酢
酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガ
ン、脂肪酸マンガン、マンガンオキシ水酸化物、マンガ
ン水酸化物、マンガンハロゲン化物からなる群から選ば
れた少なくとも一種である請求項1〜10のいずれかに
記載の製造方法。 - 【請求項12】 リチウム遷移金属複合酸化物が、下記
一般式(I)で表される請求項1〜11のいずれか1つ
に記載の製造方法。 【化1】 (ただし、xは−0.1〜0.1の数、yは0〜0.3
の数、MはAl、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、
Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素、δは−0.1〜0.1の数を表
す) - 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1つに記載
の方法で得られたリチウム遷移金属複合酸化物とバイン
ダーとを有する合剤と溶媒とを含む塗料を、集電体上に
塗布・乾燥することを特徴とする電極の製造方法。 - 【請求項14】 請求項1〜12のいずれか1つに記載
の方法で得られたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活
物質として使用したリチウム二次電池。
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