JP2012122145A - 遮熱性布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は太陽光等に含まれる赤外線を遮蔽することで衣服内温度の上昇を抑制し、外観、耐久性にすぐれた遮熱布帛を提供する。
【解決手段】繊維布帛の片面に光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料をバインダーを用いて部分的に固着してなる遮熱性布帛であって、その遮熱性布帛の固着面を肌側に使用してなる衣服。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽光等に含まれる赤外線を遮蔽することで衣服内の温度上昇を抑制し、衣服内環境を快適に保つための布帛に関する。
近年、直射日光下で着用しても衣服内の温度上昇を抑制し、衣服内環境を快適に保つための繊維及び布帛に対する要望が強く求められ、種々の技術が検討・開示されている。
特許文献1には、繊維基布上に酸化チタンなどの不定形無機化合物粒子を含む遮熱膜剤が開示されている。しかし、高い遮熱性を求める場合では十分な隠蔽力、赤外線遮蔽性を得るためには多量の不定形無機化合物粒子を必要とするため、風合い、洗濯耐久性、耐摩耗性に影響があるため限界がある。
特許文献2,3には、合成繊維中に赤外線反射性の無機微粒子、セラミックスを練り込んだ繊維及びそれを製織編してなる遮光体が開示されているが、適用されるのは合成繊維のみであり、また、多量の粒子を添加した場合には、染色性に影響を与えたり、糸強度を低下させる等問題が発生する虞があり、十分な遮熱性が得られにくい。
また、特許文献4,5には、熱線反射性の有機微粒子ポリマーをバインダーを用いて繊維表面に固着させた涼感性繊維が提案されているが、熱線の遮蔽能力としては不十分である。
また、特許文献6には、チタン等の熱線反射金属をバインダーで付着させた防暑布帛が開示されているが、その付着面は外側であるため外観、意匠的にも制限されたものであった。
特開昭62−242528号公報 特開平3−213536号公報 特開平7−189018号公報 特開平9−170176号公報 特開2004−346450号公報 特開2006−348414号公報
本発明は、太陽光等に含まれる赤外線を遮蔽することで衣服内温度の上昇を抑制できる遮熱性布帛を提供する。
本発明は、(1)に、繊維布帛の片面に光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料がバインダー樹脂により部分的に固着されてなる遮熱性布帛である。
また、(2)に、光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を含む樹脂を繊維布帛表面の10〜80%の面積で被覆することを特徴とする(1)に記載の遮熱性布帛である。
また、(3)に、光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料が部分的に固着された繊維布帛が未加工布に対して1℃以上の遮熱性を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の遮熱性布帛である。
また、(4)に、光輝性金属微粒子が鱗片状アルミニウムであり、セラミックス系白色顔料が酸化チタンであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の遮熱性布帛である。
また、(5)に、(1)乃至(4)のいずれかに記載の遮熱性布帛が用いられ、光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料が部分的に固着されてなる面を内側にして構成してなることを特徴とする衣服である。
本発明によれば、真夏の日差しのような強い赤外線を照射された場合であっても衣服内の温度上昇を抑えることができる繊維製品を提供することができる。
本発明でいう繊維布帛としては、ナイロン6,ナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維や、トリアセテート等の半合成繊維、あるいは、ナイロン6/木綿、ポリエチレンテレフタレート/木綿等の合成繊維と天然繊維の混合繊維からなる織物、編物、不織布等を挙げることができ特に限定されるものではない。
本発明に用いることのできる光輝性金属微粒子としては、赤外線を反射、遮蔽するものであればよく、金、銀、アルミニウム等の単体微粉末が挙げられるが、重量、コスト、加工性の面からアルミニウムが好ましく用いられる。
光輝性金属微粒子の粒子径は0.1〜100μmであることが好ましく、更に、0.1〜60μmであることが好ましい。0.1μm未満であると、赤外線が透過しやすくなり、遮蔽性能が低下しやすくなる。100μmを超えると洗濯や摩耗により粒子が脱落し易くなる傾向にある。
また、光輝性金属微粒子の形状としては鱗片状であることが好ましく、そのアスペクト比は1.0〜3.0であることが好ましい。鱗片状にした場合は少ない使用量で優れた赤外線遮蔽性を示す。
しかし、鱗片状アルミニウムを単独で使用した場合、繊維布帛表面の凹凸により鱗片状粒子が整列しにくくなることで、反射性能が低下し赤外線を吸収しやすくなる。この場合、繊維布帛の生地表面温度は高くなり易くなるため好ましくない。
また、本発明で用いることのできるセラミックス系白色顔料としては、酸化チタン、酸化マグネシウムや酸化亜鉛などの金属酸化物を単独若しくは混合して使用することができるが、屈折率の点で酸化チタンが好ましい。
セラミックス系白色顔料の粒径は2μm以下、特に0.1〜1.5μmのものを使用することが好ましい。2μmより大きいと比重が重いことにより樹脂液中で沈降等が発生するとともに、固着表面がざらついたり、洗濯や摩耗による脱落等の問題が発生する虞がある。
更に、その形状は鱗片状、略球状、破砕状や不定形状等のものを用いることができる。球状、破砕状、不定形状のセラミックス系白色顔料を用いた場合、コスト、加工性の点のみならず、素材表面の凹凸に影響を受けずに赤外線を乱反射するため生地温度の上昇は低く抑えられるため好ましい。しかし、充分な遮蔽性能を得る為には多量のセラミックス白色顔料が必要となり、風合いが硬くなる虞がある。
上記の欠点を解決し、より高い遮熱性を得るために、赤外線遮蔽性の高い光輝性金属微粒子と赤外線反射能の高いセラミックス系白色顔料を併用することで、繊維布帛の赤外線吸収を極力抑えつつも、高い遮熱性を得ることが可能となる。
光輝性金属微粒子に対するセラミックス系白色顔料の重量比率については1:0.1〜10であることが好ましい。1:0.1以下であるとセラミックス系白色顔料に起因する白度や赤外線反射性が十分得られず、赤外線照射時に生地温度が上昇しやすくなる。1:10以上であると光輝性金属微粒子の赤外線遮蔽性が得らえにくくなるため遮熱性が十分得られない虞がある。
また、本発明においては、光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料の固着面を肌面(内側)に用いて衣服として使用することが好ましい。光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料の複合による高い赤外線遮蔽性と赤外線反射性により、赤外線照射面に対して生地を介した反対面に固着したにも関わらず、高い遮熱性を有し、生地温度の上昇も最小限に抑えることが可能となる。また、固着面を肌側に使用することで繊維布帛素材本来の外観、色目に影響を与えることが少なくなり、意匠性が必要とされる衣服用途に広く使用できる。
光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料は繊維布帛の表面に10〜80%の面積比率で固着されることが好ましい。被覆面積が10%未満であると十分な遮熱効果が得られず、80%より多いと風合いが堅くなるとともに、特に織物素材の場合では引裂き強度、通気性の低下等の問題が発生する虞がある。
光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料の固着量は乾燥状態で塗布面積あたり0.
5〜5g/mの範囲にあることが好ましい。0.5g/m未満では十分な遮熱性が得られず、5g/mより多い場合には遮熱性については必要量以上となり、性能の向上が見込めないばかりか、コストUP、風合いの硬化、脱落が生じ易くなる等の問題が発生する虞がある。
光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を固着するための樹脂については ポリウレタン、ポリアクリル、ポリエステル、シリコーン樹脂等が用いられ、特に限定されるものではない。これらの樹脂は単独または複合して使用してもよく、密着性、洗濯耐久性を向上させるために架橋剤を併用してもよい。
光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を繊維布帛に固着させるための樹脂量は光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料の重量に対して固形分換算にて2〜20倍であることが好ましい。2倍未満では十分に固着できず、洗濯耐久性、磨耗に対して十分でない。20倍より多いと風合いが硬くなる等の問題が発生する虞がある。
本発明の光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を固着させる方法としてはグラビ
アコーティングまたは捺染方式が用いられる。
グラビアコーティング方式の場合には光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料の粉
体または分散体を樹脂液中で分散させ、粘度200〜2000cps程度に調整後、25〜500メッシュ、深度20〜200μmのグラビアロールを用いてコーティングを行う。
また、捺染方式の場合では、樹脂液粘度を5000〜50000cpsに調整後、50〜150メッシュのスクリーンを用いて捺染を行う。
遮熱機能の他に、繊維布帛に必要とされる機能に応じて撥水加工、吸水加工、防汚加工、
抗菌加工、防炎加工、カレンダー加工、防風加工など任意の加工を遮熱加工の前又は後に
施してもよい。
これらの方法で加工した遮熱性布帛は、特に用途が限定されるものではないが、光輝性
金属微粒子とセラミックス系白色顔料の固着面を肌側(内面)として縫製、着用される衣
服で、スポーツ、アウトドア等屋外で使用されるシャツ、パンツ、帽子等で使用した場合
に遮熱効果が得られる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
<遮熱性評価>
発泡スチロールの台座上に黒画用紙を密着させ、高さ1.5cm、巾3cmの額縁状にカットした発泡スチロールを設置、黒画用紙上の中央部に温度センサーを固定した後、12cm×12cmに採取した試験布を固着面を下側にしてセットする。20℃65%RH環境下にて60Wのレフランプを試験布の真上15cmの距離から15分照射し、15分後での昇温温度を測定した。
<蓄熱性評価>
発泡スチロールの台座上に黒画用紙を密着させ、黒画用紙上の中央部に温度センサーを固定した後、12cm×12cmに採取した試験布の固着面を下側にしてセットする。20℃65%RH環境下にて60Wのレフランプを試験布の真上15cmの距離から15分照射し、15分後での昇温温度を記録した。
<赤外線遮蔽率>
(株)島津製作所製 自記分光光度計UV−3100PCを用いて、波長0.4〜1.5μmの時の平均遮蔽率を測定した。
〔実施例1〕
経糸、緯糸の双方にナイロンマルチフィラメント76dtex/68fを用い、経糸密度180本/インチ、緯糸密度80本/インチのナイロンタフタを製織し、常法により精練を行った後、アサヒガードAG7000(明成化学工業(株)製、フッ素系撥水剤)5%水溶液でパディングし、乾燥後、170℃で30秒間の熱処理を行った。そしてさらに温度170℃、圧力30kgf/cmの条件にてカレンダー加工を行った。
次に、下記の樹脂処方1に示す組成の鱗片状アルミおよび酸化チタンの粘度35000cpsの分散樹脂液を、柄面積40%の100メッシュのロータリー捺染機を用いて、上述のカレンダー面に柄状に塗布した後、120℃にて乾燥、さらに150℃にて90秒熱処理して遮熱性布帛を得た。評価結果を表1に示す。得られた布帛は光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を使用していない比較例1に対して6℃の高い温度差を有し、生地蓄熱性も0.3℃にとどまるものであった。
<樹脂処方1>
バインダーCB501 100重量部
(林化学工業(株)製、エステル系ポリウレタン樹脂 固形分45%)
アルミペースト 5重量部
(鱗片状アルミ 平均粒径 20μm 固形分60%)
チタンペースト 5重量部
(林化学工業(株)製、酸化チタン 平均粒径 0.3μm 固形分55%)
オキザールUL−3 3重量部
(林化学工業(株)製、ブロックイソシアネート)
水 5重量部
〔実施例2〕
樹脂液を下記の樹脂処方2(粘度35000cps)に変更した以外は実施例1と同様に加工し、遮熱性布帛を得た。評価結果を表1に示す。得られた布帛は光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を使用していない比較例1に対して3.0℃の温度差を有するものであった。
<樹脂処方2>
バインダーCB501 100重量部
(林化学工業(株)製、エステル系ポリウレタン樹脂 固形分45%)
アルミペースト 2.5重量部
(鱗片状アルミ 平均粒径 20μm 固形分60%)
チタンペースト 2.5重量部
(林化学工業(株)製、酸化チタン 平均粒径 0.3μm 固形分55%)
オキザールUL−3 3重量部
(林化学工業(株)製、ブロックイソシアネート)
水 3重量部
〔実施例3〕
樹脂液を下記の樹脂処方3(粘度35000cps)に変更した以外は実施例1と同様に加工し、遮熱性布帛を得た。評価結果を表1に示す。光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を使用していない比較例1に対して8.2℃の温度差が有りすぐれた遮熱性を有するものであった。
<樹脂処方3>
バインダーCB501 100重量部
(林化学工業(株)製、エステル系ポリウレタン樹脂 固形分45%)
アルミペースト 15重量部
(鱗片状アルミ 平均粒径 20μm 固形分60%)
チタンペースト 20重量部
(林化学工業(株)製、酸化チタン 平均粒径 0.3μm 固形分55%)
オキザールUL−3 3重量部
(林化学工業(株)製、ブロックイソシアネート)
水 12重量部
〔比較例1〕
光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を固着しない以外は、実施例1と同様に加工し、加工布を得た。評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
樹脂液を下記の樹脂処方4(粘度35000cps)に変更した以外は実施例1と同様に加工し、遮熱性布帛を得た。評価結果を表1に示す。アルミを単独で使用した結果、遮熱評価において8.0℃の温度差が得られたが、3.4℃の生地蓄熱効果を有しており、すぐれた遮熱性布帛とは言い難いものであった。
<樹脂処方4>
バインダーCB501 100重量部
(林化学工業(株)製、エステル系ポリウレタン樹脂 固形分45%)
アルミペースト 20重量部
(鱗片状アルミ 平均粒径 20μm 固形分60%)
オキザールUL−3 3重量部
(林化学工業(株)製、ブロックイソシアネート)
水 8重量部
〔比較例3〕
樹脂液を下記の樹脂処方5(粘度35000cps)に変更した以外は実施例1と同様に加工し、遮熱性布帛を得た。評価結果を表1に示す。酸化チタンを単独で使用した結果、赤外線の遮蔽効果が鱗片状アルミと併用したものに比べて低く、結果として比較例1に対して0.9℃の温度差にとどまり遮熱性布帛として不十分なものであった。
<樹脂処方5>
バインダーCB501 100重量部
(林化学工業(株)製、エステル系ポリウレタン樹脂 固形分45%)
チタンペースト 15重量部
(林化学工業(株)製、酸化チタン 平均粒径 0.3μm 固形分55%)
オキザールUL−3 3重量部
(林化学工業(株)製、ブロックイソシアネート)
水 10重量部
Figure 2012122145

Claims (5)

  1. 繊維布帛の片面に光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料がバインダー樹脂により部分的に固着されてなる遮熱性布帛。
  2. 光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料を含む樹脂を繊維布帛表面の10〜80%の面積で被覆することを特徴とする請求項1に記載の遮熱性布帛。
  3. 光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料が部分的に固着された繊維布帛が未加工布に対して1℃以上の遮熱性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の遮熱性布帛。
  4. 光輝性金属微粒子が鱗片状アルミニウムであり、セラミックス系白色顔料が酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかにに記載の遮熱性布帛。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の遮熱性布帛が用いられ、光輝性金属微粒子とセラミックス系白色顔料が部分的に固着されてなる面を肌側にして構成してなることを特徴とする衣服。
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