JP2012118625A - 在庫計画立案装置、在庫計画立案プログラム、及び在庫計画立案プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

在庫計画立案装置、在庫計画立案プログラム、及び在庫計画立案プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】将来の需要の変化に正確に追随させることができる在庫計画立案を実行可能な在庫計画立案装置を提供する。
【解決手段】当日の適正在庫数から、当日開始時の実績在庫数又は在庫予定数と当日の予測出荷数との差分を減算して、当日補充されるべき暫定補充予定数を算出する。リードタイムを含む固定期間を設定し、固定期間の初日の開始時における実績在庫数をもとに算出された固定期間中の各日の在庫予定数に基づいて、固定期間の終了日の翌日について算出した補充予定数を、その日の確定補充予定数として設定し、すでに設定されているその日の暫定補充予定数を確定補充予定数に更新する。
【選択図】図2

Description

本発明は、商品の在庫計画を立案するための在庫計画立案装置、在庫計画立案プログラム及びプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
商品の在庫計画を立案する場合、過剰な在庫、商品の欠品を防止するために適正な在庫数を算出する装置が数々提案されている。商品の輸送日数等に過去数日間の平均出荷数を乗じることにより、適正な在庫数を予測する在庫補充計算装置である。つまり、商品を生産依頼してからすぐに製造入庫される(卸業の場合は発注依頼をしてからすぐに入荷される)ことは少ないため、製造日数及び原材料資材などの調達日数(卸業の場合は仕入れ調達日数)等を考慮し、さらに過去数日間の平均出荷数に各種リードタイム日数(「製造業に対する場合には商品を生産依頼してから製造入庫されるまでの日数」、「卸業に対する場合には発注依頼をしてから入荷されるまでの日数」をいう)を乗じて適正な在庫数とし、商品の過剰在庫、及び商品の欠品を防止するものである。
また、商品の在庫計画の立案にあたっては、商品の出荷数が急に増加した場合でも出荷する商品の不足があってはならない。その一方で、商品の不足を防止するための過剰な在庫を用意しておくことは、倉庫管理費及び保険料金等の問題からできるだけ低減させる必要がある。従来、これらの問題を解消するために、季節、天候、過去の販売実績又は特売計画等の各種情報に基づいて統計学的に商品の販売出荷数を予測し、これらの精度を向上させることで商品の欠品及び過剰在庫を防止していた。
さらに、商品の販売出荷数を適切に予測していても、思いもよらぬ需要が発生する場合があることから、従来の在庫計画の立案にあたっては安全在庫という概念を導入し、予測した出荷数に対して数%の余剰在庫を予め安全面から確保している。過去の需要の予測量と実績量から安全在庫率を算出し、算出した安全在庫率が上限と下限の範囲になければ、算出された安全在庫率の代わりに上限又は下限を適用して修正された安全在庫量を算出する安全在庫算出方法である。
図8は従来の安全在庫を有する在庫計画立案方法を示す概念図である。図8(a)に示すように過去の実績等に基づいて当日、翌日及び翌々日の出荷予測がそれぞれなされ、その予測に基づいて数日分(図では3日分)の商品を在庫として入庫(卸業の場合は入荷)する。さらに、急な需要に対応すべく安全在庫を出荷予測に基づいて算出し、余分に入庫(卸業の場合は入荷)しておく。図8(a)に示すように、日ごとの出荷予測した数量に安全在庫に係る数量を加算した値の商品が入庫(卸業の場合は入荷)される。
ここで、その商品に急な需要が発生した場合、当日の出荷予測を上まわるため図8(b)に示す如く、安全在庫から不足分を補う。一方、天候不順等の理由により大幅に需要が低迷した場合、図8(c)に示す如く安全在庫の商品が過剰となる。
上記の運用について、月に1度、商品別販売計画立案あるいは商品別出荷予測を行い、賞味期限等の販売出荷制約を正確に考慮せずに在庫計画を立案及び変更する運用が一般的である。
なお、特許文献1には、リードタイムと顧客要求納期との関係から安全在庫を算出する技術が開示されている。
特許第3698433号公報
従来の技術では、過去の平均出荷数を前提に適正な在庫を算出しているため、数日後に商品の特売計画が予定されている場合、並びに、気候又は季節変化に伴う需給の変化等、将来の需要の変化に対応できない。
さらに、従来の在庫管理方法は安全在庫を有することが前提であるため、大幅に需要が低迷した場合は、安全在庫の商品が過剰になるという問題が発生する。つまり、在庫を管理する業者にとって安全在庫分の商品を常に余分に確保する必要があり、その結果、過剰在庫の問題が発生し、その一方で商品の欠品を防止する必要がある。つまり、在庫を市場の変化にタイムリーに対応させることが可能な在庫計画立案方法の開発が要請されていた。
また、賞味期限等の法的制約を一定のメカニズムで管理統制できていないため、不用意に出荷可能な在庫を陳腐化し過剰在庫を招いていた。
そこで、本願発明は、将来の需要の変化に正確に追随させることができる在庫計画立案を実行可能な在庫計画立案装置、かかる在庫計画立案を行うためのプログラム、及びプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような構成を備えているので、その特徴点を説明する。なお、符号及び図面番号は、発明の実施の形態において用いた符号及び番号であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、図2に示されているように、商品の在庫計画を立案する装置であって、商品の補充を依頼してから補充されるまでに要する期間(以下リードタイムという)を構成する最短の1単位である単位期間について、予め定められた条件及び所定の入力情報に基づく予測出荷数を設定する予測出荷数設定手段31と、前記リードタイムを構成する単位期間の予測出荷数を合計して前記リードタイム中に保有すべき適正在庫数を単位期間ごとに算出する適正在庫数算出手段32と、1の単位期間の適正在庫数から、前記1の単位期間の開始時における実績在庫数(最終在庫数)又は在庫予定数と前記1の単位期間の予測出荷数との差分を減算して、前記1の単位期間に補充されるべき商品の補充予定数を算出する補充予定数算出手段33と、前記補充予定数算出手段33が1の単位期間について在庫予定数に基づいて算出した補充予定数を当該単位期間の暫定補充予定数として設定可能であるとともに、前記暫定補充予定数を前記補充予定数算出手段33が実績在庫数に基づいて算出した補充予定数に更新可能な補充予定数決定手段34と、前記リードタイムを含む所定数の単位期間から構成され前記補充予定数が更新不能となる固定期間を設定する固定期間設定手段36と、を備えている。そして、前記補充予定数決定手段34は、前記固定期間が設定されている場合には、前記固定期間の最前の単位期間の開始時における実績在庫数をもとに算出された固定期間中の各単位期間の在庫予定数に基づいて、前記補充予定数算出手段33が前記固定期間の終了後の単位期間について算出した補充予定数を、当該単位期間の確定補充予定数として設定し、当該単位期間についてすでに設定されている暫定補充予定数を前記確定補充予定数に更新して、予測に基づく適正在庫数と現実の在庫数との差分を、固定期間終了後の補充により調整するようにしたことを特徴とする。
ここで、「単位期間」とは、商品の生産依頼から製造入庫されるまでの期間(卸業の場合は、発注依頼から入荷されるまでの期間)を構成する最短の1単位であって、時間、日、週、月単位で設定されるものである。「商品の補充を依頼してから補充されるまでに要する期間」とは、いわゆるリードタイムのことである。「1の単位期間」とは、期間が日数の場合には、任意の1日のことである。
「固定期間」は、リードタイムに基づいて設定される所定数の単位期間から構成される期間である。例えば、固定期間が2であり期間の間隔が1日である場合には、当日、翌日の2日となる。固定期間は、補充予定数を更新できないという制約を受ける期間である。例えば、固定期間中は、補充予定数算出手段33は補充予定数を算出できない。あるいは、補充予定数決定手段34は固定期間中の補充予定数を補充予定数算出手段33が算出した値に更新できない。なお、リードタイムも補充予定数を更新できない期間であるから、固定期間は必ずリードタイムを含んだ期間に設定される。また固定期間は、リードタイムを含む期間に設定されればよく、商品の生産事情等を考慮して、リードタイムよりも多い期間数に設定してもよい。
またここで、「予測出荷数」は、所定の条件に基づき当該商品がその単位期間中に出荷又は販売されるであろう個数であって、既存の方法により算出される。
前記「適正在庫数」は、リードタイム分として保有すべき予測在庫数であり、リードタイムが3で1単位が日、1の単位期間を当日とすれば、翌日、翌々日、翌々々日の予測出荷数を合計した値となる。
「実績在庫数」とは、現実の在庫数である。「1の単位期間の開始時における実績在庫数」とは、1の単位期間の開始時に現実にある在庫数、換言すれば、1の単位期間(当日)の前の単位期間(前日)が終了した時点における現実の在庫数(最終在庫数)である。「在庫予定数」とは、予測値に基づき算出される仮想在庫数である。例えば、現実の在庫数から予測出荷数を減じて補充予定数を加算した値、そのようにして算出された在庫予定数から予測出荷数を減じて補充予定数を加算した値のことである。「1の単位期間の開始時における在庫予定数」とは、例えば、前日の最終在庫数から当日の予測出荷数を減じて当日の補充予定数を加算した値、前日の在庫予定数から当日の予測出荷数を減じて当日の補充予定数を加算した値である。
前記「補充予定数」とは、製造業においては生産補充予定数、卸売業においては入荷補充予定数である。そして、補充予定数算出手段33は、1の単位期間(当日)の適正在庫数が、1の単位期間の開始時に現実にある実績在庫数、すなわち終了した単位期間(前日)の最終在庫数から1の単位期間の予測出荷数を減じて、これに補充予定数を加算した値と等しくなるように、当日補充されるべき補充予定数を設定する。なお、「暫定補充予定数」と「確定補充予定数」は、更新できるか否かを明確にするための表現上の名称であって、いずれも補充予定数である。ただし、確定補充予定数は、当該数の商品を実際に補充依頼(発注)してはじめて、実質的な確定補充予定数となる。
なお、本発明は、上記構成の他にも、予測出荷数、適正在庫数、最終在庫数、出荷数、補充数をそれぞれ記憶しておく記憶手段を備えていてもよい。これらの手段及び補充予定数記憶手段24は、RAMに格納された記憶領域とすることができる。また、前記固定期間設定手段36、予測出荷数設定手段31、適正在庫数算出手段32、補充予定数算出手段33、補充予定数決定手段34は、CPUが読み込むプログラム又は種々の入力情報に基づいて所定の機能を発揮する手段とすることができる。このように、本発明における在庫計画立案装置1は、パーソナルコンピュータ及びその周辺機器によって実現することができる装置である。
(作用)
本発明においては、所定の単位期間(例えば月初めの1日)について予測出荷数及び適正在庫数を算定し、実績在庫数(前月末の最終在庫数)に基づいて補充予定数を算出した後、以後の各単位期間について在庫予定数を適正在庫数の値に仮設定し、予測出荷数及び適正在庫数及び在庫予定数に基づき補充予定数を算出可能である。算出された補充予定数は暫定補充予定数として各日ごとに記憶される。
そして、上記した暫定補充予定数の設定が終了した後に、終了した(当日の出荷数、補充数が確定した)単位期間の次の単位期間(計画立案日)及び固定期間数(例えばリードタイム数)を指定して、当該単位期間を含む所定数の単位期間からなる固定期間を設定する。そして、終了した単位期間について、例えば入力装置を介して現実の出荷数や補充数を入力し、実績在庫数を算出(カウント)する。実績在庫数の確定により、当該単位期間の補充予定数の算出が可能となるが、固定期間内は補充予定数の更新ができないので、実績在庫数及びすでに設定されている在庫予定数と、設定されている補充予定数に基づき在庫予定数のみ順次更新される。そして、補充予定数算出手段33は、固定期間の最終単位期間(固定期間が3日であれば3日目)の在庫予定数に基づいて、固定期間終了後の単位期間(4日目)の補充予定数を算出する。算出値は、補充予定数決定手段34により、当該単位期間の確定補充予定数として設定される。単位期間が終了するごとに、指定する単位期間を順次更新して実績出荷数、補充数を入力していくことにより、実績に応じた確定補充予定数が順次算出設定されていく。
このように、本発明によれば、1の単位期間に補充されるべき商品の補充予定数を、リードタイムを超えた期間にわたって算出し、長期の在庫計画を立案可能であるとともに、現実の在庫数に基づくリードタイム(固定期間)を考慮に入れた補充予定数を算出
して、計画された補充予定数を逐次更新していくことができる。
すなわち、本発明によれば、将来の予測出荷数を考慮しつつ、適正在庫数を算出することを前提として、1の単位期間がリードタイム分として保有すべき在庫数と、実際の在庫数との間に生ずる差分を、新たに補充予定の商品数の調節によって埋め合わせるようにしてあるので、将来の需要にきめ細かく追随して適正な在庫数を予測することが可能であるとともに、市場の変化に対応する在庫を維持することができ、その結果、商品の欠品及び過剰在庫を防止するとともに、従来の安全在庫を不要とすることが可能となる。
なお、本発明は、部品を注文して製品を製造する製造業、商品を注文して販売する卸売り又は小売業のいずれにも適用可能である。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の構成に加え、補充された商品の製造時期表示を含む各商品に関する識別データを、在庫データとして製造時期表示順に記憶する在庫データ記憶手段25と、所定の入力情報に基づき、補充された商品の識別データを単位期間ごとに割り当てて前記在庫データ記憶手段25に記憶させるとともに、出荷された商品に対応する識別データを削除させ、単位期間の終了時において当該単位期間に割り当てられた出荷予定商品が残っている場合には、当該商品の識別データを次の単位期間に割り当てられた識別データの先頭に繰り入れ、当該単位期間に割り当てられた出荷予定商品が不足した場合には、次の単位期間に割り当てられた出荷予定商品の識別データの先頭から填補することを順次行わせるための在庫データ管理手段35とを備え、商品の製造時期に基づいて出荷順を管理可能としたことを特徴とする。
前記在庫データ記憶手段25は、補充した商品に関する識別データを記憶するものである。識別データには、商品の製造時期表示(具体的には製造日付、製造業においては製造ナンバー、食品業では賞味期限を示す)の他に、保管場所等の管理情報が含まれる。かかる識別情報を付与するために、各商品にはICタグやバーコードを付することが望ましい。
前記在庫データ管理手段35は、在庫データ記憶手段25が記憶している在庫データの管理を行うものであり、商品の出荷を古いものから順に行わせるための指示表示を出力可能であってもよい。
(作用)
商品の補充数及び補充した商品の識別データが入力されると、在庫データ記憶手段25がそのデータを補充された単位期間用(例えば翌々々日用)の記憶部に製造時期表示順に記憶する。在庫データ記憶手段25が単位期間ごとに記憶する識別データは、その単位期間の出荷予定商品として位置づけられる。また、在庫データ管理手段35は、製造時期表示の古い商品から順に出荷させるための適正出荷指示情報を出力させることができる。例えば、製造時期表示の古い順に配列された商品の出荷リストを出力する。そして、商品の出荷情報(出荷数)が入力されると、在庫データ管理手段35は、在庫データ記憶手段25に、その単位期間用(例えば当日用)の記憶部に記憶している識別データについて該当する分だけ削除させる。この際、例えば当日出荷予定分の商品の識別データが残っている場合には、当該データを、翌日出荷分の識別データの先頭に移動させ、出荷数が当日出荷分の在庫データ数を超えている場合には、翌日出荷分の識別データの先頭から不足分だけ当日用に移動させる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、商品の在庫計画を立案するために、コンピュータを、商品の補充を依頼してから補充されるまでに要する期間(以下リードタイムという)を構成する最短の1単位である単位期間について、予め定められた条件及び所定の入力情報に基づく予測出荷数を設定する予測出荷数設定手段31、前記リードタイムを構成する単位期間の予測出荷数を合計して前記リードタイム中に保有すべき適正在庫数を単位期間ごとに算出する適正在庫数算出手段32、1の単位期間の適正在庫数から、前記1の単位期間の開始時における実績在庫数又は在庫予定数と前記1の単位期間の予測出荷数との差分を減算して、前記1の単位期間に補充されるべき商品の補充予定数を算出する補充予定数算出手段33、前記リードタイムを含む所定数の単位期間から構成され前記補充予定数が更新不能となる固定期間を設定する固定期間設定手段36、前記補充予定数算出手段33が1の単位期間について在庫予定数に基づいて算出した補充予定数を当該単位期間の暫定補充予定数として設定可能であるとともに、前記固定期間が設定されている場合には、前記固定期間の最前の単位期間の開始時における実績在庫数をもとに算出された固定期間中の各単位期間の在庫予定数に基づいて、前記補充予定数算出手段33が前記固定期間の終了後の単位期間について算出した補充予定数を、当該単位期間の確定補充予定数として設定し、当該単位期間についてすでに設定されている暫定補充予定数を前記確定補充予定数に更新可能な算出補充予定数決定手段34、として機能させるための在庫計画立案プログラムである。
本発明は、請求項1記載の在庫計画立案装置1を作動させることが可能な在庫計画立案プログラムである。本発明によれば、請求項1記載の発明と同様の作用効果を得られるものである。
(請求項4)
請求項4記載の発明は、請求項3記載の在庫計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明は、上記の通り構成されているので、将来の需要の変化に正確に追随させることができる在庫計画立案を実行可能な在庫計画立案装置、かかる在庫計画立案を行うためのプログラム、及びプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
本発明の実施の形態であって、在庫計画立案装置のシステム構成図である。 在庫計画立案装置の制御ブロック図である。 補充予定数を算出するための計算式である。 在庫計画立案処理の手順を示すフローチャートである。 在庫計画立案の具体例を示す表である。 在庫データ管理を示す概念図である。 在庫計画立案の他の例を示す表である。 従来の在庫計画立案方法を示す概念図である。
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ以下に説明する。
(在庫計画立案装置1)
本実施の形態に係る在庫計画立案装置1は、図1に示すように、CPU4、ROM5、RAM6を備え、入力装置2及び出力装置3が接続されている。そして、入力装置2からの入力又はROM5に記憶されたプログラムに基づき、CPU4が種々の演算処理を行うようになっている。ここで、入力装置2は、キーボードやマウス等であり、各種データの入力やCPU4に対する指示を行うためのものである。出力装置3は、液晶ディスプレイやプリンタ等であり、演算結果等を表示するためのものである。このように、在庫計画立案装置1は、パーソナルコンピュータ及びその周辺機器によって実現することができるものである。
ROM5には、図2に示すように、単位期間記憶手段10及び予測出荷数算出プログラム11が設けられている。単位期間記憶手段10は、所定の単位期間データを記憶しているものである。ここで、単位期間とは、商品の生産依頼や発注を行う最短期間の単位であって、日単位、週間単位に限られず、1日のうちに複数回商品の補充を行う場合には、半日単位(午前・午後)又は時間単位で設定される。本実施の形態では、1単位期間は1日と設定されているものとする。すなわち、単位期間記憶手段10は、暦に従って、例えば、1ヶ月ごとの単位期間データを記憶している。
予測出荷数算出プログラム11は、季節、暦などの予め定められた条件や、特売計画の有無、天候などの外部入力情報をもとに、商品の種類に応じた既存の方法で、所定の単位期間(本実施の形態では、所定の年月日)における予測出荷を算出するためのプログラムである。予測出荷数算出プログラム11は、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体上に格納されており、所定のコマンドに従ってメモリに読み込まれ実行される。
また、RAM6には、図2に示すように、予測出荷数記憶手段20、適正在庫数記憶手段21、出荷数記憶手段22、最終在庫数記憶手段23、補充予定数記憶手段24、在庫データ記憶手段25、の各記憶手段が設けられている。予測出荷数記憶手段20は、予測出荷数設定手段31の設定した予測出荷数を記憶するものであり、適正在庫数記憶手段21は、適正在庫数算出手段32が算出した適正在庫数を記憶するものである。また、出荷数記憶手段22は、入力装置2から入力される当日の出荷情報(出荷数、販売数)を記憶するものである。最終在庫数記憶手段23は、当日終了時の在庫数を記憶するものであり、補充予定数記憶手段24は、補充予定数算出段33が算出した補充予定数を補充予定決定出段34が決定した日の補充予定数として記憶するものである。
在庫データ記憶手段25は、補充された商品に関する識別データを記憶するものである。具体的には、在庫データ管理手段35からの入力情報に基づいて、補充日に対応して設けられた記憶部に、商品の識別データを製造時期表示順に記憶する。この在庫データ記憶手段25が日付ごとに記憶する識別データは、その日の出荷予定商品として位置づけられる。また、記憶されている識別データの総数は、現在ある商品数を表すものとなる。換言すれば、在庫データ記憶手段25は、現実の在庫数を記憶する手段としても機能する。ここで、識別データには、商品の製造時期表示(具体的には製造日付、製造業においては製造ナンバー、食品業では賞味期限を示す)の他に、保管場所等の管理情報が含まれる。かかる識別情報を付与するために、各商品にはICタグやバーコードを付すこととし、入荷、出荷の際には個々の識別情報を入力させる。
CPU4は、図2に示すように、単位期間設定手段30、予測出荷数設定手段31、適正在庫数算出手段32、補充予定数算出手段33、補充予定数決定手段34、在庫データ管理手段35、固定期間設定手段36、在庫予定数算出手段37の各手段を備えている。
(単位期間設定手段30)
単位期間設定手段30は、入力装置2からの入力情報に基づいて、在庫計画立案の計画対象となる所定単位期間を設定するものである。例えば、計画対象期間として1ヶ月が指定された場合には、単位期間記憶手段10の記憶している1ヶ月分の単位期間データ(日付データ)を読み出して、所定の記憶部に記憶する。
(予測出荷数設定手段31)
予測出荷数設定手段31は、個々の単位期間の予測出荷数を設定するものである。具体的には、予測出荷数設定手段31は、単位期間記憶手段10から読み出された各単位期間の単位期間データ(つまり年月日、曜日)及び外部入力情報(例えば特売の有無、天候等)に基づき、予測出荷数算出プログラム11を実行させ、算出された予測出荷数を、各単位期間に対応する予測出荷数として設定する。設定された予測出荷数は、単位期間ごとに、予測出荷数記憶手段20に記憶される。
(適正在庫数算出手段32)
適正在庫数算出手段32は、予測出荷数に基づく適正在庫数を算出するためのものである。適正在庫数とは、リードタイムを構成する各日の予測出荷数に基づいて、リードタイム(例えば3日)の間、保有しておくべき予測在庫数である。具体的には、適正在庫数算出手段32は、計画立案日として指定された日の翌日からリードタイム分の予測出荷数の合計値を、当該指定日の適正在庫数として算出する。例えば、リードタイムが3日の場合には、指定した日(当日)の翌日、翌々日、及び翌々日の予測出荷数を合計した値を算出する。日によって予測出荷数が変動すれば、適正在庫数もこれに伴い日によって変動する。適正在庫数として算出された値は、その日の適正在庫数として、適正在庫数記憶手段21に記憶される。適正在庫数は、当日終了時(換言すれば翌日開始時)に、リードタイム分として保有しているべき在庫数を示すものとなる。なお、適正在庫数は予測に基づく理論値であるので、適正在庫数記憶手段21に記憶された日ごとの適正在庫数は変更されることはない。
(補充予定数算出手段33)
補充予定数算出手段33は、適正在庫数記憶手段21の記憶している適正在庫数と、最終在庫数記憶手段23の記憶している最終在庫数と、予測出荷数記憶手段20の記憶している予測出荷数に基づいて、その日に補充されるべき商品の補充予定数を算出するものである。
具体的には、補充予定数算出手段33は、図3(A)に示す計算式に従って補充予定数を算出する。計算式の左辺は、当日(計画立案日)の適正在庫数、すなわち翌日以降リードタイム期間の予測出荷数の合計値を表すものであり、Pはリードタイム日数、Xiはi日における予測出荷数、λiはi日における最終在庫数、Aiはi日における補充予定数である。この式によれば、リードタイム日数分(P=3ならば3日分)の予測出荷数の合計値(つまり適正在庫数)は、前日の最終在庫数λi-1から当日の予測出荷数Xiを減じた値に当日の補充予定数Aiを加算して得られた数値である。すなわち、前日の最終在庫数(換言すれば当日の開始時に現実にある在庫数)から、当日の予測出荷数を減じて、これに当日の補充予定数を加算した値が、当日の適正在庫数となるように、補充予定数を設定する。つまり、当日の補充予定数は、当日の適正在庫数から、前日の最終在庫数と当日の予測出荷数との差分を減じた値となる。
ここで、前日の最終在庫数は、前日終了時に保有しているリードタイム分(例えば3日分)の実績在庫数(換言すれば当日開始時に保有しているリードタイム分の実績在庫数)を意味する。図3(B)に示すように、1日分の在庫数(出荷予定数)をそれぞれ長方形で表すと、ABCが当日開始時に保有している3日分の在庫数、BCDが翌日開始時時に保有すべき3日分の在庫数である。従って、Dを、当日の予測出荷数を除いたリードタイム分の在庫数BCと適正在庫数との差分に設定すれば、BCの値の如何にかかわらず、翌日開始時に保有すべき在庫数BCDが、予測出荷数に基づく適正在庫数と合致することとなる。このように、適正在庫と現実の在庫とのギャップを埋めるように、補充予定数が決定されるものである。ただし、商品が実際に補充されるのはリードタイム(固定期間)の経過後であるから、当日発生した適正在庫と現実の在庫とのギャップは、リードタイムの経過後に補正されることとなるが、これについては後述する。
また、補充予定数算出手段33は、現実の出荷数に基づく補充予定数の算出だけでなく、予測出荷数に基づく仮想の最終在庫数(在庫予定数)に基づいて、補充予定数を算出することができる。これにより、リードタイムを遙かに超えた期間について補充予定数を算出することが可能となるものであるが、この詳細についても後述する。
(補充予定数決定手段34)
補充予定数決定手段34は、前記補充予定数算出手段33が算出した補充予定数の補充予定日を決定するものである。具体的には、後述する固定期間が設定されていない場合には、補充予定数算出手段33が在庫予定数に基づいて算出した補充予定数を、その日の暫定補充予定数として設定する。一方、固定期間が設定されている場合には、固定期間の前日の最終在庫数をもとに後述する在庫予定数算出手段37が算出した固定期間中の在庫予定数に基づいて、固定期間の終了日の翌日について補充予定数算出手段33が算出した補充予定数を、その日の確定補充予定数として設定するものである。この際、その日の分として設定されている暫定補充予定数を、固定期間の前日の最終在庫数をもとに算出された確定補充予定数に更新する。これにより、現実の出荷変動に応じて適正な補充予定を設定することができるものとなる。
なお、確定補充予定数は、その日に補充される予定の商品数であるから、確定補充予定数は固定期間の初日すなわち計画立案日の補充依頼数(発注数)ということになる。つまり、確定補充予定数は、当該数の商品を実際に補充依頼(発注)してはじめて、実質的な確定補充予定数となる。換言すると、補充予定数決定手段34は、計画立案日にこれから補充依頼すべき商品数を決定可能な手段としても機能することとなる。
(在庫データ管理手段35)
在庫データ管理手段35は、在庫データ記憶手段25の記憶する在庫データの管理を行うためのものである。すなわち、所定の入力情報に基づき、補充された商品の識別データを単位期間ごとに割り当てて前記在庫データ記憶手段25に記憶させるとともに、出荷された商品に対応する識別データを削除させ、単位期間の終了時において当該単位期間に割り当てられた出荷予定商品が残っている場合には、当該商品の識別データを次の単位期間に割り当てられた識別データの先頭に繰り入れ、当該単位期間に割り当てられた出荷予定商品が不足した場合には、次の単位期間に割り当てられた出荷予定商品の識別データの先頭から填補することを順次行わせるものである。
具体的には、在庫データ管理手段35は、商品の入荷情報(補充数及び補充した商品の識別データ)が入力されると、補充された商品の識別データを、前記在庫データ記憶手段25の該当する日用(例えば翌々日用)に設けられた記憶部に記憶させる。また、商品の出荷情報(出荷数)が入力されると、在庫データ記憶手段25がその日用(例えば当日用)の記憶部に記憶している識別データを、該当する分だけ削除させる。この際、当日出荷分の商品の識別データが残っている場合には、当該データを、翌日出荷分の識別データの先頭に移動させ、入力された出荷数が当日出荷分の識別データ数を超えている場合には、翌日出荷分の識別データの先頭から不足分だけ当日用に移動させる。
さらに、在庫データ管理手段35は、製造時期表示が古い(日付が早い、製造番号が若い)商品から順に出荷させるための適正出荷指示情報を出力させることができる。例えば、製造時期表示の古い順に配列された商品の出荷予定リストを出力する。この出荷予定リストに従って、商品がその順に出荷されるように采配すればよい。
また、本実施の形態では、在庫データ記憶手段25が日付ごとに個々の商品の識別データを記憶しているので、当日の最終在庫数(実績)は、在庫データ管理手段35が当日の出荷及び補充が終了した時点で在庫データとして記憶されている識別データの総数をカウントし、その値は最終在庫数記憶手段23に記憶される。在庫データ管理の詳細については後述する。
(固定期間設定手段36)
固定期間設定手段36は、入力装置2からの入力情報に基づいて、リードタイムを含む複数の単位期間を、補充予定数を更新不能な固定期間として設定するためのものである。固定期間は、補充予定数を更新できないという制約を与える期間である。具体的には、補充予定数算出手段33が固定期間内の補充予定数を算出できないようにするか、あるいは、補充予定数決定手段34が固定期間内の既設補充予定数を補充予定数算出手段33の算出した補充予定数に更新できないように制御することにより、補充予定数の更新を禁止する。
ここで、リードタイムの間(例えば当日から翌々日まで)は、すでに商品の補充依頼を済ませてしまっているので、補充予定を更新することができない。従って、固定期間は、少なくともリードタイム日数に設定する必要があるが、商品の生産体制や流通形態に基づき、リードタイムを超えた固定期間を設定することもできる。
(在庫予定数算出手段37)
在庫予定数算出手段37は、前日の最終在庫数又は在庫予定数及び当日の補充予定数及び当日の予測出荷数に基づいて、当日の在庫予定数を算出するものである。当日の在庫予定数とは、当日終了時にあるべき最終在庫数の予測数であり、最終在庫数記憶手段23の記憶している前日の最終在庫数(実績)、又は前日の在庫予定数に、当日の補充予定数を加算し当日の予測出荷数を減じて算出される。すなわち、在庫予定数算出手段37は、実際の前日最終在庫に基づき当日の在庫予定数を算出可能であるとともに、前日の在庫予定数に基づき当日の在庫予定数を算出することもできるものである。在庫予定数算出手段37の算出した在庫予定数は、図示しない在庫予定数記憶手段に記憶される。
(在庫計画立案処理)
上記構成を有する在庫計画立案装置1による在庫計画立案処理の流れを、図5の表を参照しつつ、図4のフローチャートに基づき説明する。
ここで、本実施の形態に係る在庫計画立案処理は、大きく分けて、予測出荷数に基づく補充予定数算定処理と、実績出荷数に基づく補充予定数決定処理の二つから構成される。補充予定数設定算定理は、計画立案対象となる期間について、予測値に基づいて補充予定数を仮決めする処理であり、補充予定数決定処理は、仮決めされた補充予定数を実績に応じて算出された数値に更新する処理である。
またここで、図5の表は、本実施の形態の在庫計画立案を実行する際のフォーマットの一例を示すものであり、例えば工場倉庫から出庫された商品を入荷して販売する卸売り拠点での使用例を示す。表の縦列は日付欄、横列はその日の予測出荷数、実績出荷数、適正在庫数、在庫予定数、最終在庫数、補充予定数及び実績補充数を示す欄である。表では日付欄は日付番号を表示しているが、実際にはここに年月日曜日が表示される。なお、警報については後述する。また、リードタイム(P)は3とし、固定期間はリードタイムと同一の設定である。さらに、計画立案は当日の開始時(例えば朝)に実行するものとする。
以下、補充予定数算定処理について、図4(A)及び図5(A)に基づき説明する。
まず、前段として、計画立案に係る計画期間を設定する。例えば、入力装置2により、計画期間として10月を指定すると、単位期間設定手段30が10月に対応する1ヶ月分の日付データが読み出し、図5(A)の日付の欄に10月に対応する1ヶ月分の日付が表示される。この際、現時点で確定している数値、具体的には、前月末日分の最終在庫数や、前日までにすでに補充依頼が行われている補充予定数については、確定値として設定される。ここでは、説明を簡素化するため、立案日の開始時点で在庫数80を保有しているという前提で、前日(日付番号0)の最終在庫数の欄には80が表示される。
次に、ステップ100において、計画日の指定を行う。例えば、1日目(表における日付番号1。以下同様)を指定する。
ステップ101において、予測出荷数の設定が行われる。すなわち、指定された計画日と入力される特定条件(例えば特売日等の情報)に応じて、予測出荷数設定手段31が予測出荷数算出プログラム11に基づき予測出荷数を設定し、設定された予測出荷数を予測出荷数記憶手段20が記憶する。具体的には、図5(A)の予測出荷数の欄に、例えば計画日を含む4日分の予測出荷数が表示される。
ステップ102において、適正在庫数の設定が行われる。すなわち、適正在庫数算出手段32が予測出荷数に基づき適正在庫数を算出し、その値を適正在庫数記憶手段21が記憶する。具体的には、図5(A)の適正在庫数の欄に、日付に対応する適正在庫数が表示される。例えば1日目の適正庫数aは、2日目、3日目、4日目の予測出荷数bcdを合計した80である。なお、計画期間が設定された段階で、その期間(1ヶ月)分の予測出荷数及び適正在庫数を設定するようにしてもよい。
ステップ103において、在庫予定数の設定を行う。初期設定においては、各日の在庫予定数はその日の適正在庫数と同じ数値に設定する。
ステップ104において、補充予定数を設定する。すなわち、補充予定数算出手段33が、図3(A)に示す計算式に従って、指定された日の補充予定数を算出し、当該数値を補充予定数決定手段34がその日の暫定補充予定数として決定するとともに、補充予定数記憶手段24がその日の暫定補充予定数として記憶する。具体的には、1日目を指定して算出指示を実行すると、補充予定数算出手段33は、当日の適正在庫数aから、前日の最終在庫予定数fと当日の予測出荷数gの差分を減算して当日の補充予定数eを算出し、その日の補充予定数の欄に算出値が表示される。そして、処理を終了する。
以下この作業を1日ごとに繰り返すことにより、例えば1週間分、あるいは半月分の暫定補充予定数を設定することができる。
なお、図5(A)に示す初期設定の段階で、例えば1日目と2日目の補充予定数が確定している(既に発注済みである)場合には、1日目の補充予定数をもとに2日目の在庫予定数を計算し直し、3日目からの補充予定数を設定していけばよい。
次に、補充予定数決定処理について、図4(B)及び図5(B)(C)に基づき説明する。
まず、ステップ200において、計画日の指定を行う。例えば、2日目を指定する。
次に、ステップ201において、前日最終在庫数の読み出しを行う。具体的には、前日の実績出荷数及び実績補充数に基づき在庫データ管理手段35がカウントし最終在庫数記憶手段23が記憶した最終在庫数を出す。読み出された最終在庫数は、前日の最終在庫数の欄に表示される。
ステップ202において、固定期間の設定を行う。具体的には、入力装置2により立案日を指定すると、固定期間設定手段36は、立案日を含め、予め定められた日数(3日分)が固定期間として設定される。例えば、図5(B)に示すように、2日目を立案日に指定すると、2日目を含む3日目、4日目が固定期間として設定される。この期間は、補充予定数が更新不能となる。
ステップ203において、固定期間内の在庫予定数の更新を行う。すなわち、在庫予定数算出手段37が、前日終在庫数に当日の補充予定数を加算し当日の予測出荷数を減じて、当日の在庫予定数を算出する。具体的には、図5(B)に示すように、2日目の前日最終在庫数jに2日目の補充予定数kを加算し2日目の予測出荷数bを減じて、2日目の在庫予定数hを算出する。次に3日目の前日在庫予定数(2日目の在庫予定数h)に3日目の補充予定数を加算し3日目の予測出荷数を減じて、3日目の在庫予定数を算出する。以下同様にして、固定期間内の在庫予定数が算出される。これに伴い、在庫予定数記憶手段の記憶している数値が更新される。具体的には、2日目、3日目、4日目の在庫予定数がそれぞれ70から80に更新される。
ステップ204において、固定期間終了後の翌日の補充予定数の算出が行われる。すなわち、補充予定数算出手段33が、固定期間終了日の翌日の補充予定数を、その日の適正在庫数及びその日の予測出荷数と、前日の在庫予定数とに基づいて算出する。例えば、図5(B)に示すように、固定期間終了日の翌日すなわち5日目の補充予定数は、80−(80−20)=20となる。また、図5(C)に示すように、固定期間終了日の翌日すなわち6日目の補充予定数は、90−(70−30)=50となる。なお、上記した例は補充予定数と実績補充数が一致している場合であって、現実には、諸事情により、補充予定数と実績補充数が一致しない場合もある。しかし、その場合であっても、その差分は、固定期間が終了した翌日の補充予定数に反映される。従って、予測に基づく適正在庫数と現実の在庫数との差分は、固定期間が終了した翌日の補充予定数に反映されるということができる。また補充予定数とは、その日に補充される予定の数であるから、さらに言い換えると、適正在庫数と現実の在庫数との差分は、固定期間終了後の補充数によって相殺されるということになる。
ステップ205において、すでに設定されている補充予定数の更新が行われる。すなわち、補充予定数決定手段34が、算出された補充予定数を、固定期間の最終日の翌日の補予定数として設定し、補充予定数算出手段33が仮想値に基づいて算出した暫定補充予定数を、現実の出荷数に基づいて算出した確定補充予定数に更新する。具体的には、図5(B)においては5日目の補充予定数が30から20に変更され、図5(C)においては6日目の補充予定数が40から50に変更される。暫定補充予定数と確定補充予定数が同じ場合には数値は変更されないが、当該補充予定数が確定したことを知らせる報知が行われる。例えば、本日補充依頼(発注)をすべき商品数として、出力する。
なお、上記したフローでは、固定期間中期は補充予定数算出手段33が補充予定数の算出を行わない仕様となっていたが、補充予定数算出手段33は算出を行うけれども、補充予定数決定手段34が固定期間内の補充予定数を更新しない(できない)ように形成してもよい。
以上のようにして、1日の出荷及び補充が終了(前日が終了)するごとに、当日補充依頼すべき商品の補充数を算出し、算出した数値に基づき商品の補充依頼を行うとともに、算出した数値を、補充予定日(リードタイム終了日の翌日)に補充されるべき確定した補充予定数として設定することができる。つまり、最終在庫数及び将来の出荷予測に基づく適正在庫数をパラメータとして、逐次補充すべき補充予定数を算出し、現実の出荷数が変動しても在庫数を市場要請に基づく適正値に保つことが可能となるものである。
ここで、在庫予定数の更新により、在庫予定数と適正在庫数が合致しなくなった場合には、所定の警報(アラーム)を発するように形成してもよい。つまり、在庫が適正な予定在庫と外れていることを報知するものである。例えば、図5(B)の2日目〜4日目、図5(C)の5日目の在庫予定数は、各日の適正在庫数と合致していないので、所定の警報を出して注意を喚起する。警報は、在庫予定数が適正在庫数と完全に一致しない場合だけでなく、在庫予定数が所定の基準を満たさなくなった場合、例えば所定の算出方法により算出される在庫率や在庫日数が、一定の基準値の範囲から外れた場合に、警報を発するようにしてもよい。このようなアラーム機能を設けることにより、データ管理を効率的に行うことが可能となる。
(在庫データ管理手段35による在庫データ管理)
次に、在庫データ管理手段35による在庫データ管理のメカニズムを、図6の概念図に基づき説明する。
図6に示す長方形は、在庫データ記憶手段25の記憶部を模式的に表しており、長方形の内部に記載された数値は、商品の識別データ(製造時期表示等)を表すものである。このように、在庫データは、複数の商品の識別データから構成されるものである。また、在庫データ記憶手段25は、複数の記憶部を備えており、在庫データ管理手段35の指示に基づき、各記憶部に記憶されているデータの保管場所を移動させることができるようになっている。さらに、在庫データ記憶手段25は、在庫データ管理手段35の指示に基づき、各記憶部に記憶可能なデータ数を、当該記憶部に対応する日の予測出荷数に設定することができる。
例えば、図6に示すように、1日目の開始前において、在庫データ記憶手段25の当日用、翌日用、翌々日用の3つの記憶部に、それぞれ30ずつの商品データが記憶されていると仮定する。具体的には、当日分として商品番号1〜30、翌日分として31〜60、翌々日分として61〜90が、製造番号順に記憶されている。なお、当日用の記憶部に記憶されている当日分のデータ数30、翌日分のデータ数30、翌々日分のデータ数30は、それぞれ、当日、翌日、翌々日の日付の予測出荷数の値となるように割り振られているものとする。
次に、1日目において、前々日に補充依頼済みの商品が補充され、その入荷情報が入力された場合には、在庫データ管理手段35は、翌々々日分の記憶部に補充数分の商品の識別データ(製造番号n1〜n20)を割り振り、在庫データ記憶手段25はそのデータを製造番号順に記憶する。
そして、1日目の営業が終了した時点で、20個が出荷され、その出荷情報(出荷数及び製造番号)が入力されたものとする。そうすると、在庫データ管理手段35は、在庫データ記憶手段25の当日用の記憶部から、出荷された1〜20の識別データを削除させる。そして、日付が更新されると、当日用の記憶部を前日用に、翌日用の記憶部を当日用に、翌々々日用の記憶部を翌々日用に置換し、前日用の記憶部に残っている残り21〜30の識別データを当日用の記憶部の先頭に移動させる。この移動によって当日分の予測出荷数の範囲に入らなくなる識別データ51〜60を、翌日用の記憶部の先頭に移動させる。さらに、この移動によって、翌日分の予測出荷数の範囲に入らなくなる識別データ81〜90を、翌々日用の記憶部に移動させるとともに、翌々日分の予測出荷数の範囲に入らなくなる識別データn11〜n20を、翌々々日用の記憶部に移動させる。
次に、2日目において、翌々々日に出荷予定の商品が補充され、その入荷情報が入力された場合には、在庫データ管理手段35は、翌々々日分の記憶部に補充数分の商品の識別データ(製造番号m1〜m20)を割り振り、在庫データ記憶手段25はそのデータを、先に記憶されているn11〜n20の後に、製造番号順に記憶する。
そして、2日目の営業が終了した時点で、40個が出荷され、その出荷情報が入力された場合には、在庫データ管理手段35は、在庫データ記憶手段25の当日用の記憶部から、出荷された21〜50の識別データを削除させるとともに、翌日用の記憶部から51〜60の識別データを削除させる。そして、日付が更新されると、前記移動により当日分の予測出荷数に満たない分を埋めるために、翌日分の識別データ81〜90を当日用の記憶部の識別データ80の後に移動させる。さらに、この移動によって、翌日分の予測出荷数に満たない分を埋めるために、翌々日分の識別データn11〜n20を翌日用の記憶部の識別データn10の後に移動させる。
このように、在庫データ管理手段35は、単に在庫数を管理するだけでなく、在庫データ記憶手段25の記憶している在庫データを、製造日付と関連づけて管理しているので、不足分の補充は古いものから順に行い、過剰分が発生した場合にはその分を先に出荷させる指示を、人の手を煩わせずに適正に行うことができる。例えば1日の出荷数が確定した後に、次に出荷するべき商品に関する出荷指示情報(例えば出荷リスト)を出力して、商品の出荷を古いものから順に行わせるための情報を、出荷予定数だけでなく、個々の商品情報(賞味期限、保管場所等)とともに報知するように形成することができる。
なお、上記した例は個々の商品にそれぞれ異なる製造番号が付されている場合を想定したものであったが、食品のように複数の商品に同一の消費期限・賞味期限が設定されているものについては、期限ごとに識別データをブロック化して、期限の古いものから順に出荷されるようブロック単位のデータ管理を行うとともに、ブロック内の個別の識別データについても例えば管理番号を付して、上記の例と同様のデータ管理を行うようにすると好適である。
(在庫立案計画の他の例)
上記した実施の形態では、固定期間をリードタイムと同一に設定してあったが、例えば、工場で生産した商品を卸売り拠点に出庫する工場倉庫などにおいては、生産依頼から入庫までのリードタイムは3日であるが、商品を生産している工場においては1日の生産数(製造出荷数)を短期間のうちに変えられないことから、一定期間(例えば7日間)は補充数が変更できないという場合もある。このような場合には、固定期間を、工場が生産数を変更できない期間に設定することができる。この場合であっても、補充予定数の算出決定方法は、上記した実施の形態と同様である。例えば、図7に示すように、終了した日(5日目)の最終在庫数をもとに、固定期間内の在庫予定数を再算出し、7日間の固定期間が終了した翌日(13日目)の補充予定数イを、前日の在庫予定数ロ、当日の適正在庫数ハ及び予測出荷数ニに基づいて算出することができる。
上記した在庫計画立案を、流通システムを構成する各階層について実施し、かつ、それらを連動させて運用することにより、さらに優れた効果を発揮し得ることになる。この際、商品ごと、拠点ごとに日々管理すべき情報は膨大なものとなるが、前述したアラーム機能を活用すれば、警報が出ている箇所のみをチェックして適宜対策を講じることも可能である。
(総括)
以上のように、本実施の形態では、ある単位期間において予測出荷数よりも実際は出荷数が多くなった場合は、従来のように安全在庫から不足分を補うのではなく、次の補充計画を変更してこれに応じた最適な補充予定数を算出し、算出した補充予定数に係る商品から商品数の不足を補う。一方、予測出荷数と比較して出荷数が減少した場合は、次の補充計画を変更して最適な補充予定数を算出し、過剰在庫を次の単位期間以降に利用するようにしている。つまり、将来の予測出荷数を考慮しつつ、適正在庫数を算出するようにしたので、例えば、近日中に特売計画がなされている場合など、将来の需要にきめ細かく追随して適正な在庫数を予測することが可能である。一方、予測された出荷数と現実の出荷数とのずれを、最新の補充予定数を調整することによって吸収させるようにしてあるので、市場の変化に対応する在庫を維持することができ、その結果、商品の欠品及び過剰在庫を防止するとともに、従来の安全在庫を不要とすることが可能となる。
また、リードタイムを遙かに超えた期間について、適正在庫数及び補充予定数を算出可能としてあるので、市場の動向に追従した在庫計画の立案が可能となり、その結果、商品欠品及び過剰在庫を防止することが可能となる等、優れた効果を奏し得る。
さらに、賞味期限等の販売出荷制約を出荷順に管理することができるので、販売出荷制約による在庫の陳腐化を防止し、それに伴う過剰在庫を防止することが可能となる。
なお、本発明に係る在庫計画立案装置1は、商品の在庫計画を立案するために、コンピュータを、商品の補充を依頼してから補充されるまでに要する期間(以下リードタイムという)を構成する最短の1単位である単位期間について、予め定められた条件及び所定の入力情報に基づく予測出荷数を設定する予測出荷数設定手段31、前記リードタイムを構成する単位期間の予測出荷数を合計して前記リードタイム中に保有すべき適正在庫数を単位期間ごとに算出する適正在庫数算出手段32、1の単位期間の適正在庫数から、前記1の単位期間の開始時における実績在庫数又は在庫予定数と前記1の単位期間の予測出荷数との差分を減算して、前記1の単位期間に補充されるべき商品の補充予定数を算出する補充予定数算出手段33、前記リードタイムを含む所定数の単位期間から構成され前記補充予定数が更新不能となる固定期間を設定する固定期間設定手段36、前記補充予定数算出手段33が1の単位期間について在庫予定数に基づいて算出した補充予定数を当該単位期間の暫定補充予定数として設定可能であるとともに、前記固定期間が設定されている場合には、前記固定期間の最前の単位期間の開始時における実績在庫数をもとに算出された固定期間中の各単位期間の在庫予定数に基づいて、前記補充予定数算出手段33が前記固定期間の終了後の単位期間について算出した補充予定数を、当該単位期間の確定補充予定数として設定し、当該単位期間についてすでに設定されている暫定補充予定数を前記確定補充予定数に更新する算出補充予定数決定手段34、として機能させるための在庫計画立案プログラムによって作動させることができる。
また、前記した在庫計画立案プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって作動させることができる。
1 在庫計画立案装置 2 入力装置
3 出力装置 4 CPU
5 ROM 6 RAM
10 単位期間記憶手段 11 予測出荷数算出プログラム
20 予測出荷数記憶手段 21 適正在庫数記憶手段
22 出荷数記憶手段 23 最終在庫数記憶手段
24 補充予定数記憶手段 25 在庫データ記憶手段
30 単位期間設定手段 31 予測出荷数設定手段
32 適正在庫数算出手段 33 補充予定数算出手段
34 補充予定数決定手段 35 在庫データ管理手段
36 固定期間設定手段 37 在庫予定数算出手段

Claims (4)

  1. 商品の在庫計画を立案する装置であって、
    商品の補充を依頼してから補充されるまでに要する期間(以下リードタイムという)を構成する最短の1単位である単位期間について、予め定められた条件及び所定の入力情報に基づく予測出荷数を設定する予測出荷数設定手段と、
    前記リードタイムを構成する単位期間の予測出荷数を合計して前記リードタイム中に保有すべき適正在庫数を単位期間ごとに算出する適正在庫数算出手段と、
    1の単位期間の適正在庫数から、前記1の単位期間の開始時における実績在庫数又は在庫予定数と前記1の単位期間の予測出荷数との差分を減算して、前記1の単位期間に補充されるべき商品の補充予定数を算出する補充予定数算出手段と、
    前記補充予定数算出手段が1の単位期間について在庫予定数に基づいて算出した補充予定数を当該単位期間の暫定補充予定数として設定可能であるとともに、前記暫定補充予定数を前記補充予定数算出手段が実績在庫数に基づいて算出した補充予定数に更新可能な算出補充予定数決定手段と、
    前記リードタイムを含む所定数の単位期間から構成され前記補充予定数が更新不能となる固定期間を設定する固定期間設定手段とを備え、
    前記補充予定数決定手段は、前記固定期間が設定されている場合には、前記固定期間の最前の単位期間の開始時における実績在庫数をもとに算出された固定期間中の各単位期間の在庫予定数に基づいて、前記補充予定数算出手段が前記固定期間の終了後の単位期間について算出した補充予定数を、当該単位期間の確定補充予定数として設定し、当該単位期間にすでに設定されている暫定補充予定数を前記確定補充予定数に更新し、
    予測に基づく適正在庫数と現実の在庫数との差分を、固定期間終了後の補充により調整するようにしたことを特徴とする在庫計画立案装置。
  2. 補充された商品の製造時期表示を含む各商品に関する識別データを、在庫データとして製造時期表示順に記憶する在庫データ記憶手段と、
    所定の入力情報に基づき、補充された商品の識別データを単位期間ごとに割り当てて前記在庫データ記憶手段に記憶させるとともに、出荷された商品に対応する識別データを削除させ、単位期間の終了時において当該単位期間に割り当てられた出荷予定商品が残っている場合には、当該商品の識別データを次の単位期間に割り当てられた識別データの先頭に繰り入れ、当該単位期間に割り当てられた出荷予定商品が不足した場合には、次の単位期間に割り当てられた出荷予定商品の識別データの先頭から填補することを順次行わせるための在庫データ管理手段とを備え、
    商品の製造時期に基づいて出荷順を管理可能としたことを特徴とする請求項1記載の在庫計画立案装置。
  3. 商品の在庫計画を立案するために、コンピュータを、
    商品の補充を依頼してから補充されるまでに要する期間(以下リードタイムという)を構成する最短の1単位である単位期間について、予め定められた条件及び所定の入力情報に基づく予測出荷数を設定する予測出荷数設定手段、
    前記リードタイムを構成する単位期間の予測出荷数を合計して前記リードタイム中に保有すべき適正在庫数を単位期間ごとに算出する適正在庫数算出手段、
    1の単位期間の適正在庫数から、前記1の単位期間の開始時における実績在庫数又は在庫予定数と前記1の単位期間の予測出荷数との差分を減算して、前記1の単位期間に補充されるべき商品の補充予定数を算出する補充予定数算出手段、
    前記リードタイムを含む所定数の単位期間から構成され前記補充予定数が更新不能となる固定期間を設定する固定期間設定手段、
    前記補充予定数算出手段が1の単位期間について在庫予定数に基づいて算出した補充予定数を当該単位期間の暫定補充予定数として設定可能であるとともに、前記固定期間が設定されている場合には、前記固定期間の最前の単位期間の開始時における実績在庫数をもとに算出された固定期間中の各単位期間の在庫予定数に基づいて、前記補充予定数算出手段が前記固定期間の終了後の単位期間について算出した補充予定数を、当該単位期間の確定補充予定数として設定し、当該単位期間についてすでに設定されている暫定補充予定数を前記確定補充予定数に更新する算出補充予定数決定手段、
    として機能させるための在庫計画立案プログラム。
  4. 請求項3記載の在庫計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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