JP2012118430A - 偏光変換素子、偏光変換ユニット及び投射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機フィルム製のλ/2波長板を用いても長寿命な偏光変換素子、これを備えた偏光変換ユニット、投射装置を実現する。
【解決手段】互いに略平行な光入射面11及び光出射面12と、光出射面11に対して所定の角度をもって順次接合された複数の透光性基板13と、透光性ユニット13の間に交互に設けられた偏光分離膜14及び反射ミラー膜15とを有し、光入射面11に入射した光束を偏光方向が異なる2種類の偏光光束に分離して出射する偏光ビームスプリッタアレイ10と、2種類の偏光光束のうち、少なくとも一方の偏光方向を回転させて他方の偏光光束と揃える偏光回転素子40と、偏光回転素子40を一方の主面に形成され、高い熱伝導率を有する放熱透明基板30と、を備え、放熱透明基板30は、他方の主面において偏光分離手段10の光出射面12に対して変成メタクリレートを主成分とする接着層20により接合する。
【選択図】図4
【解決手段】互いに略平行な光入射面11及び光出射面12と、光出射面11に対して所定の角度をもって順次接合された複数の透光性基板13と、透光性ユニット13の間に交互に設けられた偏光分離膜14及び反射ミラー膜15とを有し、光入射面11に入射した光束を偏光方向が異なる2種類の偏光光束に分離して出射する偏光ビームスプリッタアレイ10と、2種類の偏光光束のうち、少なくとも一方の偏光方向を回転させて他方の偏光光束と揃える偏光回転素子40と、偏光回転素子40を一方の主面に形成され、高い熱伝導率を有する放熱透明基板30と、を備え、放熱透明基板30は、他方の主面において偏光分離手段10の光出射面12に対して変成メタクリレートを主成分とする接着層20により接合する。
【選択図】図4
Description
本発明は、光源からのランダム偏光光束を一種類の直線偏光光束に変換するための偏光変換素子に関する。
従来、液晶プロジェクター等の投写装置は、特許文献1や特許文献2に開示されているような構造を有する偏光変換素子を備えている。前記偏光変換素子は、光源から出射されるランダム偏光光束(互いに偏光面が直交するP偏光とS偏光や偏光面の方向がさまざまな直線偏光が混在した光束)を所定の直線偏光光束に統一して出射する素子である。
かかる偏光変換素子は、一般に、両主面にPBS膜(互いに直交関係のP偏光とS偏光のうち、何れか一方の直線偏光を透過させ、他方の直線偏光を反射させる機能を有する光学機能膜、所謂、偏光分離膜)と反射ミラー膜とを夫々形成された無色透明なガラス等の透光性基板を幾重にも交互に積層してなる積層体を作成し、入射面(積層面)に対して所定の角度、例えば45度(あるいは135度)の角度に切断して得た偏光ビームスプリッター(PBS:Polarizing Beam Splitter)アレイの出射側表面に、有機系材料、例えばポリカーボネートフィルム製のλ/2波長板を有機系の接着剤により接着した構成を備えており、光源からのランダム偏光光束は、光路上に配置された遮光板により選択的にPBS膜に入射してS偏光光束とP偏光光束とに分離され、P偏光光束は、前記PBS膜を透過し、S偏光光束は、前記PBS膜を反射する。
前記PBS膜を透過したP偏光光束は、λ/2波長板に入射すると、位相が180度ずれることにより、S偏光の光に変換されてλ/2波長板から入射し、前記PBS膜を反射したS偏光光束は、反射ミラー膜でさらに反射して、前記PBSアレイのλ/2波長板が配置されていない領域の出射面から出射する。
結果として、前記偏光変換素子から出射する光は、S偏光の光に統一されることとなる。
かかる偏光変換素子は、一般に、両主面にPBS膜(互いに直交関係のP偏光とS偏光のうち、何れか一方の直線偏光を透過させ、他方の直線偏光を反射させる機能を有する光学機能膜、所謂、偏光分離膜)と反射ミラー膜とを夫々形成された無色透明なガラス等の透光性基板を幾重にも交互に積層してなる積層体を作成し、入射面(積層面)に対して所定の角度、例えば45度(あるいは135度)の角度に切断して得た偏光ビームスプリッター(PBS:Polarizing Beam Splitter)アレイの出射側表面に、有機系材料、例えばポリカーボネートフィルム製のλ/2波長板を有機系の接着剤により接着した構成を備えており、光源からのランダム偏光光束は、光路上に配置された遮光板により選択的にPBS膜に入射してS偏光光束とP偏光光束とに分離され、P偏光光束は、前記PBS膜を透過し、S偏光光束は、前記PBS膜を反射する。
前記PBS膜を透過したP偏光光束は、λ/2波長板に入射すると、位相が180度ずれることにより、S偏光の光に変換されてλ/2波長板から入射し、前記PBS膜を反射したS偏光光束は、反射ミラー膜でさらに反射して、前記PBSアレイのλ/2波長板が配置されていない領域の出射面から出射する。
結果として、前記偏光変換素子から出射する光は、S偏光の光に統一されることとなる。
ところで、かかる構成を有する偏光変換素子を採用した液晶プロジェクター等に用いられる光源としての白色の光源ランプは、近年、高出力化、短アーク長化が進行しおり、上述のPBSアレイ、及びλ/2波長板に対する熱負荷が増大している。特に、樹脂フィルムからなり、光や熱による性能劣化(偏光回転効率や光透過性の劣化)を生じ易いλ/2波長板への熱負荷の影響は顕著である。
かかる問題に対し、特許文献3には、偏光変換素子において、少なくとも一方の偏光光束(直線偏光光束)の偏光方向を回転させるλ/2位相差(樹脂)フィルムを、熱伝導率が一般的な透明ガラス(熱伝導率:0.8W/m/K)よりも高い熱伝導性を有する放熱透明基板上に形成したことが記載されている。
同文献においては、例えば、λ/2位相差フィルムは、偏光ビームスプリッターアレイと熱伝導放熱透明基板とによって挟持されている。
なお、熱伝導放熱透明基板の材料としては、(1)酸化アルミニウムの結晶物であるサファイア、(2)酸化アルミニウムと酸化イットリウムの結晶物であるYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)、(3)酸化ケイ素の結晶物である水晶、の何れかが使用可能である。
耐熱性に課題のあるλ/2位相差フィルムを、高い熱伝導性を有する熱伝導放熱透明基板上に形成することで、λ/2位相差フィルムで発生した熱を熱伝導放熱透明基板に伝達して、速やかに外界(空気中)に放散させ、λ/2位相差フィルムの耐熱や蓄積を防止することが出来る。
かかる問題に対し、特許文献3には、偏光変換素子において、少なくとも一方の偏光光束(直線偏光光束)の偏光方向を回転させるλ/2位相差(樹脂)フィルムを、熱伝導率が一般的な透明ガラス(熱伝導率:0.8W/m/K)よりも高い熱伝導性を有する放熱透明基板上に形成したことが記載されている。
同文献においては、例えば、λ/2位相差フィルムは、偏光ビームスプリッターアレイと熱伝導放熱透明基板とによって挟持されている。
なお、熱伝導放熱透明基板の材料としては、(1)酸化アルミニウムの結晶物であるサファイア、(2)酸化アルミニウムと酸化イットリウムの結晶物であるYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)、(3)酸化ケイ素の結晶物である水晶、の何れかが使用可能である。
耐熱性に課題のあるλ/2位相差フィルムを、高い熱伝導性を有する熱伝導放熱透明基板上に形成することで、λ/2位相差フィルムで発生した熱を熱伝導放熱透明基板に伝達して、速やかに外界(空気中)に放散させ、λ/2位相差フィルムの耐熱や蓄積を防止することが出来る。
しかしながら、特許文献3に記載の構成を有する偏光変換素子について、λ/2位相差フィルムを、偏光ビームスプリッター及び熱伝導放熱透明基板(水晶放熱板)によって挟持し、熱伝導放熱透明基板とλ/2位相差フィルムとを変性アクリルレートを主成分とする接着剤(PHOTOボンドPB300:商品名)により接着したものを液晶プロジェクターに組み込み、実機条件60度〜80度の高温度下で加速エージング試験を実施したところ、水晶放熱板の真下に配置したフィルム製のλ/2波長板と、接着剤とが早期に黄変し、劣化してしまうという現象が発生した。
すなわち、偏光ビームスプリッターに水晶放熱板を配置することによりフィルム製λ/2波長板の冷却効果を高めるという技術的思想だけでは、偏光変換素子の長寿命化を達成することは出来ていないことが判明したのである。
上記の問題点を鑑みて、本発明は、有機フィルム製のλ/2波長板(位相差板)を用いても、耐熱・耐光性能に優れた構造を有する長寿命な偏光変換素子、これを備えた偏光変換ユニット、投射装置を実現することを目的とする。
すなわち、偏光ビームスプリッターに水晶放熱板を配置することによりフィルム製λ/2波長板の冷却効果を高めるという技術的思想だけでは、偏光変換素子の長寿命化を達成することは出来ていないことが判明したのである。
上記の問題点を鑑みて、本発明は、有機フィルム製のλ/2波長板(位相差板)を用いても、耐熱・耐光性能に優れた構造を有する長寿命な偏光変換素子、これを備えた偏光変換ユニット、投射装置を実現することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る偏光変換素子は、互いに略平行な光入射面及び光出射面を有し、前記光出射面に対して所定の傾斜角度を有した接合面によって接合された複数の透光性基板と、複数の前記透光性基板の接合面間に交互に設けられ、前記光入射面に入射した光束を偏光方向が互いに直交して異なる2種類の直線偏光光束に分離して一方の直線偏光光束を透過させ、他方の直線偏光光束を反射させる偏光分離手段と、反射された前記他方の直線偏光光束を反射し、光路の向きをかえる反射手段と、前記光出射面側に接着層を介して接合された放熱透明基板と、該放熱透明基板の出射面に配置され、前記2種類の偏光光束のうち何れか一方の直線偏光光束の偏光面を回転させて他方の直線偏光光束の偏光面と平行な直線偏光拘束に変換して出射する有機材料からなる偏光回転素子と、を備え、前記接着層は、変成メタクリレートを主成分とする接着剤よりなることを特徴とする。
上記のように構成したので、本発明によれば、耐熱性に問題のあるフィルム製の偏光回転手段を用いても、透光性基板、偏光分離手段及び反射手段からなる素子本体と、偏光回転手段と、の間に放熱透明基板を設け、さらに、放熱透明基板を偏光回転手段に対して、変成メタクリレートを主成分とする接着剤で接着したことにより、接着剤の黄変を抑制し、耐熱・耐光性能に優れた構造を有する長寿命な偏光変換素子を実現することが出来る。
[適用例2]本適用例に係る偏光変換素子は、適用例1において、前記放熱透明基板は、前記偏光分離手段と前記反射手段との配列方向に平行な両端部に、第1の溝部を設けたことを特徴とする。
本適用例によれば、放熱透明基板の結晶光学軸が出射光の偏光面に対して0度または90度となるように、放熱透明基板を素子本体に対して高精度で積層することが可能になり、偏光変換素子からの出射光に不必要な位相差が付くことを防止することが出来る。
[適用例3]本適用例に係る偏光変換素子は、適用例2において、前記放熱透明基板は、前記透光性基板と、前記偏光分離手段又は前記反射手段と、の間の積層接着面に対応する箇所に、第2の溝部を設けたことを特徴とする。
本適用例によれば、偏光分離手段と放熱透明基板との接着面、反射手段と放熱透明基板との接着面付近に発生する気泡を、接着時に第2の溝部から逃がして光の透過率を確保することが可能になる。
[適用例4]本適用例に係る偏光変換素子は、適用例3において、前記第1の溝部及び前記第2の溝部の深さは、前記放熱透明基板の厚みに対して3乃至3.5対10の比率であることを特徴とする。
本適用例によれば、放熱透明基板に対する溝入れの安定化と、強度保証とを両立することが出来る。
[適用例5]本適用例に係る偏光変換素子は、適用例3又は4において、前記第1の溝部及び前記第2の溝部の幅は、0.1mm以上0.2mm以下であることを特徴とする。
本適用例によれば、溝部による放熱透明基板における光の透過率の低下を防ぐことが可能になる。
[適用例6]本適用例に係る偏光変換ユニットは、適用例1乃至5の何れか一項に記載の偏光変換素子と、当該偏光変換素子及び光源からの光束を選択的に前記偏光分離手段に入射させるための遮光板と、を着脱可能に組み込むための治具と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、適用例1乃至5の偏光変換素子を、液晶プロジェクターなどの投射装置に組み込む時に、光源からの光束が偏光変換素子に入射する角度が常に一定になって、PS変換が正確に行えるような姿勢で組み込むことが出来る。
[請求項7]本適用例に係る投写装置は、光源と、適用例6に記載の偏光変換ユニットと、前記偏光変換ユニットから出射された光を、画像信号に基づいて変調する光変調手段と、前記光変調手段から射出された変調光を投写する投写光学系と、を備える。
本適用例によれば、適用例1乃至5の耐熱・耐光性能に優れた偏光変換素子を備え、高輝度の光源を使って鮮明な映像を長時間投影可能な投影装置を提供することが出来る。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る偏光変換素子を適用した液晶プロジェクターの一例を示す図である。
図1に示す投写型表示装置(液晶プロジェクター)100は、光源110と、第1のレンズアレイ111と、本発に係る偏光変換素子を組み込んだ偏光変換ユニット120と、重畳レンズ121と、で構成される照明光学系を備えている。また、ダイクロイックミラー131、132と、反射ミラー133とを含む色光分離光学系130を備えている。さらに、入射側レンズ140と、リレーレンズ141と、反射ミラー142、143とを含む導光光学系を備えている。また、3枚のフィールドレンズ144、145、146と、3枚の液晶ライトバルブ150R、150G、150Bと、クロスダイクロイックプリズム160と、投写レンズ170とを備えている。
図1は、本発明の実施の形態に係る偏光変換素子を適用した液晶プロジェクターの一例を示す図である。
図1に示す投写型表示装置(液晶プロジェクター)100は、光源110と、第1のレンズアレイ111と、本発に係る偏光変換素子を組み込んだ偏光変換ユニット120と、重畳レンズ121と、で構成される照明光学系を備えている。また、ダイクロイックミラー131、132と、反射ミラー133とを含む色光分離光学系130を備えている。さらに、入射側レンズ140と、リレーレンズ141と、反射ミラー142、143とを含む導光光学系を備えている。また、3枚のフィールドレンズ144、145、146と、3枚の液晶ライトバルブ150R、150G、150Bと、クロスダイクロイックプリズム160と、投写レンズ170とを備えている。
反射ミラー146は、重畳レンズから射出された光を色光分離光学系130の方向に反射する機能を有している。色光分離光学系130は、2枚のダイクロイックミラー131、132により、重畳レンズ121から射出される光を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。第1のダイクロイックミラー131は、重畳レンズ121から射出される光のうち赤色光成分を透過させるとともに、青色光成分と緑色光成分とを反射する。第1のダイクロイックミラー131を透過した赤色光は、反射ミラー133で反射され、フィールドレンズ144を通って赤光用の液晶ライトバルブ150Rに達する。このフィールドレンズ144は、重畳レンズ121から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶ライトバルブの前に設けられたフィールドレンズ145、146も同様である。
第1のダイクロイックミラー131で反射された青色光と緑色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー132によって反射され、フィールドレンズ145を通って緑光用の液晶ライトバルブ150Gに達する。一方、青色光は、第2のダイクロイックミラー132を透過し、導光光学系、すなわち、入射側レンズ140、反射ミラー142、リレーレンズ141、反射ミラー143を通り、さらに、フィールドレンズ146を通って青色光用の液晶ライトバルブ150Bに達する。
なお、青色光に導光光学系が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ140に入射した光束をそのまま、フィールドレンズ146に伝えるためである。
なお、青色光に導光光学系が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ140に入射した光束をそのまま、フィールドレンズ146に伝えるためである。
3つの液晶ライトバルブ150R、150G、150Bは、入射した光を、与えられた画像情報(画像信号)に従って変調する光変調手段としての機能を有している。これにより、3つの液晶ライトバルブ150R、150G、150Bに入射した各色光は、与えられた画像情報に従って変調されて各色光の画像を形成する。
3つの液晶ライトバルブ150R、150G、150Bから射出された3色の変調光は、クロスダイクロイックプリズム160に入射する。
クロスダイクロイックプリズム160は、3色の変調光を合成してカラー画像を形成する色光合成部としての機能を有している。クロスダイクロイックプリズム160には、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3色の変調光が合成されて、カラー画像を投写するための合成光が形成される。クロスダイクロイックプリズム160で生成された合成光は、投写レンズ170の方向に射出される。投写レンズ170は、この合成光を投写スクリーン上に投写する機能を有し、投写スクリーン上にカラー画像を表示する。
3つの液晶ライトバルブ150R、150G、150Bから射出された3色の変調光は、クロスダイクロイックプリズム160に入射する。
クロスダイクロイックプリズム160は、3色の変調光を合成してカラー画像を形成する色光合成部としての機能を有している。クロスダイクロイックプリズム160には、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3色の変調光が合成されて、カラー画像を投写するための合成光が形成される。クロスダイクロイックプリズム160で生成された合成光は、投写レンズ170の方向に射出される。投写レンズ170は、この合成光を投写スクリーン上に投写する機能を有し、投写スクリーン上にカラー画像を表示する。
図2は、図1の液晶プロジェクターの光学エンジン内に搭載される、本発明の実施の形態に係る偏光変換素子を組み込んだ偏光変換ユニットの外観を示す図である。
図3は、図2の偏光変換ユニットの分解斜視図である。
図2、図3に示す偏光変換ユニット120は、ユニット枠200と、本発明の偏光変換素子1、遮光板210と、レンズアレイ220と、クリップ230と、を備えている。ユニット枠200の一方の開口面(図3では下面)側からは、後述する2つの偏光変換素子本体を有する偏光変換素子1が挿入され、もう一方の開口面(図3では上面)側からは、遮光板210とレンズアレイ220とがこの順に挿入される。これらの光学素子210、220は、ユニット枠200に収納された状態で、4つのクリップ230で上下2方向から挟持される。クリップ230は弾性体で形成されているので容易に着脱することができ、偏光変換ユニット120の各部品もユニット枠に容易に着脱することができる。
かかるユニット枠200によって、液晶プロジェクターに対して、偏光変換素子1を、光源からの光束が偏光変換素子1(特に後述のPBS膜)に入射する角度が常に一定になって、PS変換が正確に行える姿勢で組み込むことが出来る。
後述するような、耐熱・耐光性能に優れた本発明の偏光変換素子を備えた偏光変換ユニットを組み込むことで、高輝度・高発熱の光源を使って鮮明な映像を長時間投影可能な液晶プロジェクターとすることが出来る。
図3は、図2の偏光変換ユニットの分解斜視図である。
図2、図3に示す偏光変換ユニット120は、ユニット枠200と、本発明の偏光変換素子1、遮光板210と、レンズアレイ220と、クリップ230と、を備えている。ユニット枠200の一方の開口面(図3では下面)側からは、後述する2つの偏光変換素子本体を有する偏光変換素子1が挿入され、もう一方の開口面(図3では上面)側からは、遮光板210とレンズアレイ220とがこの順に挿入される。これらの光学素子210、220は、ユニット枠200に収納された状態で、4つのクリップ230で上下2方向から挟持される。クリップ230は弾性体で形成されているので容易に着脱することができ、偏光変換ユニット120の各部品もユニット枠に容易に着脱することができる。
かかるユニット枠200によって、液晶プロジェクターに対して、偏光変換素子1を、光源からの光束が偏光変換素子1(特に後述のPBS膜)に入射する角度が常に一定になって、PS変換が正確に行える姿勢で組み込むことが出来る。
後述するような、耐熱・耐光性能に優れた本発明の偏光変換素子を備えた偏光変換ユニットを組み込むことで、高輝度・高発熱の光源を使って鮮明な映像を長時間投影可能な液晶プロジェクターとすることが出来る。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る偏光変換素子の一例を示す図であり、(a)は各部材の積層関係を示す断面図、(b)は水晶放熱板(放熱透明基板)の光軸方向を示す図である。
本発明の偏光変換素子1は、互いに略平行な光入射面11及び光出射面12を備え、図1に示す遮光板210からのランダム偏光光束の、光入射面11への入射方向と直交する方向に2つ結合された素子本体としての偏光分離スプリッターアレイ(以下、PBSアレイと称する)10(10A、10B)と、PBSアレイ10の光出射面12に対して接着層20により接合された、例えば水晶を材料とする熱伝導性の高い放熱透明基板(以下、水晶放熱板と記載する)30と、さらに、水晶放熱板30上に接着された有機材料からなる偏光回転素子(以下、λ/2位相差フィルムと記載する)40と、を備えている。
水晶放熱板30上のλ/2位相差フィルムは、変性アクリルレート又は変性メタクリレートを主成分とする接着剤あるいはプラズマ重合法(特開2010−113056号公報)などを用いて接合することが可能である。
本発明の偏光変換素子1は、互いに略平行な光入射面11及び光出射面12を備え、図1に示す遮光板210からのランダム偏光光束の、光入射面11への入射方向と直交する方向に2つ結合された素子本体としての偏光分離スプリッターアレイ(以下、PBSアレイと称する)10(10A、10B)と、PBSアレイ10の光出射面12に対して接着層20により接合された、例えば水晶を材料とする熱伝導性の高い放熱透明基板(以下、水晶放熱板と記載する)30と、さらに、水晶放熱板30上に接着された有機材料からなる偏光回転素子(以下、λ/2位相差フィルムと記載する)40と、を備えている。
水晶放熱板30上のλ/2位相差フィルムは、変性アクリルレート又は変性メタクリレートを主成分とする接着剤あるいはプラズマ重合法(特開2010−113056号公報)などを用いて接合することが可能である。
各PBSアレイ10は、互いに略平行な光入射面13a及び光出射面13b、並びに前記光出射面に対して所定の傾斜角度(例えば、45度あるいは135度)を有した接合面13cを備え、且つ互いの接合面によって直列に接合された透光性ユニット(透光性基板)13と、透光性ユニット13の間に交互に設けられた偏光分離手段としての偏光分離膜(PBS膜)14及び反射手段としての反射ミラー膜15と、を備えている。
なお、PBSアレイ10は、ガラス等の無色透明基板、PBS膜、及び反射ミラー膜を、接着剤(変性メタクリレートを主成分とするUT20、あるいは変性アクリルレートを主成分とするフォトボンドPB300等)により交互に幾重にも積層・接着し、上述の光出射面に対する角度で切断して形成している。
なお、PBSアレイ10は、ガラス等の無色透明基板、PBS膜、及び反射ミラー膜を、接着剤(変性メタクリレートを主成分とするUT20、あるいは変性アクリルレートを主成分とするフォトボンドPB300等)により交互に幾重にも積層・接着し、上述の光出射面に対する角度で切断して形成している。
偏光分離膜14は、互いに偏光面が直交するP偏光光束及びS偏光光束が混在したランダム偏光光束が入射すると、P偏光光束を選択的に透過させ、S偏光光束を反射させる。
従って、光入射面11から入射したランダム偏光光束は、偏光分離膜14に入射すると、偏光分離膜14によってP偏光光束とS偏光光束に分離される。
分離された偏光光束のうち、P偏光光束は、偏光分離膜14を透過し水晶放熱板30に至り、水晶放熱板30の出射面31から出射される。なお、この際、水晶放熱板30の光学軸は、P偏光光束及びS偏光光束の偏光面の何れか一方の偏光面と一致する向きに設定しているので(図4(b))、P偏光光束の偏光面と前記光学軸とは平行或いは直交関係となるため当該P偏光光束に位相差が生じることはない。
従って、光入射面11から入射したランダム偏光光束は、偏光分離膜14に入射すると、偏光分離膜14によってP偏光光束とS偏光光束に分離される。
分離された偏光光束のうち、P偏光光束は、偏光分離膜14を透過し水晶放熱板30に至り、水晶放熱板30の出射面31から出射される。なお、この際、水晶放熱板30の光学軸は、P偏光光束及びS偏光光束の偏光面の何れか一方の偏光面と一致する向きに設定しているので(図4(b))、P偏光光束の偏光面と前記光学軸とは平行或いは直交関係となるため当該P偏光光束に位相差が生じることはない。
さらに、偏光分離膜14で反射されたS偏光光束は、反射ミラー膜15で反射されて水晶放熱板30に至り、さら水晶放熱板30を透過して、λ/2位相差板としてのλ/2位相差フィルム40に入射する。
λ/2位相差フィルム40に入射したS偏光光束は、λ/2位相差フィルム40を透過する過程で180°位相がずれるので偏光面が90度回転されて、P偏光光束に変換されて出射されることとなる。
これにより、偏光変換素子1に入射したランダム偏光光束は、すべて1種類の偏光光束(P偏光光束)に揃えられて出射されることになる。
λ/2位相差フィルム40に入射したS偏光光束は、λ/2位相差フィルム40を透過する過程で180°位相がずれるので偏光面が90度回転されて、P偏光光束に変換されて出射されることとなる。
これにより、偏光変換素子1に入射したランダム偏光光束は、すべて1種類の偏光光束(P偏光光束)に揃えられて出射されることになる。
水晶放熱板30は、熱伝導性の高い水晶から構成されて、λ/2位相差フィルム40に対して放熱板として機能する。
すなわち、高い熱伝導性を有し、偏光回転素子で発生した熱を水晶放熱板30に伝達して、速やかに外界(空気中)に放散させ、偏光回転素子の蓄積を防止することが可能になる。
このとき、水晶放熱板30の配置箇所は、特許文献3の構造とは異なり、まずPBSアレイ10の出射面に直に積層し、次に当該水晶放熱板30の主表面にλ/2位相差フィルム40を積層する構造とした。また、本発明では、λ/2位相差フィルム40の表面に更に、水晶放熱板を積層する構造とはしていない。本願発明者は、λ/2位相差フィルム40の一方の主面を大気中に曝露しつつ、他方の主面に水晶放熱板を配置し、λ/2位相差フィルム40の積層された面とは反対側の前記水晶放熱板の主面をPBSアレイ10の出射面に直に積層させたことを特徴としている。
さらに、本実施形態においては、水晶放熱板30をPBSアレイ10に接着する接着層20として、変成メタクリレートを主成分とする接着剤(例えば、UT20、株式会社アーデル製)を用いているが、本発明に係る構造においてはこれに限定せず、変性アクリルレートを主成分とした接着剤(PB300、等)を用いてもよい。
すなわち、高い熱伝導性を有し、偏光回転素子で発生した熱を水晶放熱板30に伝達して、速やかに外界(空気中)に放散させ、偏光回転素子の蓄積を防止することが可能になる。
このとき、水晶放熱板30の配置箇所は、特許文献3の構造とは異なり、まずPBSアレイ10の出射面に直に積層し、次に当該水晶放熱板30の主表面にλ/2位相差フィルム40を積層する構造とした。また、本発明では、λ/2位相差フィルム40の表面に更に、水晶放熱板を積層する構造とはしていない。本願発明者は、λ/2位相差フィルム40の一方の主面を大気中に曝露しつつ、他方の主面に水晶放熱板を配置し、λ/2位相差フィルム40の積層された面とは反対側の前記水晶放熱板の主面をPBSアレイ10の出射面に直に積層させたことを特徴としている。
さらに、本実施形態においては、水晶放熱板30をPBSアレイ10に接着する接着層20として、変成メタクリレートを主成分とする接着剤(例えば、UT20、株式会社アーデル製)を用いているが、本発明に係る構造においてはこれに限定せず、変性アクリルレートを主成分とした接着剤(PB300、等)を用いてもよい。
かかる構成を備えた偏光変換素子1を、実際に液晶プロジェクターに組み込んで、背景技術で説明した高温度・加速エージング試験を実施したところ、接着層20、及び有機フィルム製のλ/2位相差フィルム40が黄変・劣化する現象は見られなかった。
上述した実験において、上記の特許文献3に記載の構造、即ちλ/2位相差フィルムをPBSと水晶放熱板30とで挟持した構造において、変性アクリルレートを主成分とした接着剤で接着した場合は、フィルムの黄変・劣化が発生することが分かり、また、同じく特許文献3の構成において、本実施形態のようにPBS上に水晶放熱板を配置し、さらに、その上にλ/2位相差フィルムを積層し、更に水晶放熱板を積層してしまうと、変性アクリルレートを主成分とした接着剤で水晶放熱板とPBSとの間にλ/2位相差フィルムを接合した場合と同様に、黄変・劣化してしまう問題が生じる。
上述した実験において、上記の特許文献3に記載の構造、即ちλ/2位相差フィルムをPBSと水晶放熱板30とで挟持した構造において、変性アクリルレートを主成分とした接着剤で接着した場合は、フィルムの黄変・劣化が発生することが分かり、また、同じく特許文献3の構成において、本実施形態のようにPBS上に水晶放熱板を配置し、さらに、その上にλ/2位相差フィルムを積層し、更に水晶放熱板を積層してしまうと、変性アクリルレートを主成分とした接着剤で水晶放熱板とPBSとの間にλ/2位相差フィルムを接合した場合と同様に、黄変・劣化してしまう問題が生じる。
それに対し、本実施形態においては、PBSアレイ10に水晶放熱板30を直に、例えば変性メタクリレートを主成分とする接着剤で接合することで、黄変・劣化を抑制することが出来た。
これにより、λ/2位相差フィルムを水晶放熱板30とPBSアレイ10とで挟持するように接着する際には、変成メタクリレートを主成分とする接着剤を用いても、偏光変換素子の長寿命化を図ることは出来ないことが確認された。
従来品(特許文献3の構造)において、変性アクリレートを主成分とする接着剤によって接着した場合、接着剤や位相差フィルムが黄変する問題があるが、PBSアレイ10の出射面に直に積層し、次に当該水晶放熱板30の主表面にλ/2位相差フィルム40を積層する構造することによって、こういった問題を防止して、従来品に比し長寿命が可能であることが確認出来た。
すなわち、PBSアレイ10に対して水晶放熱板30を、変性アクリレートを主成分した接着剤を用いて直に接合し積層した構造においては、接着剤の主成分を変更しなくても偏光変換素子を長寿命化させることが可能である。
これにより、λ/2位相差フィルムを水晶放熱板30とPBSアレイ10とで挟持するように接着する際には、変成メタクリレートを主成分とする接着剤を用いても、偏光変換素子の長寿命化を図ることは出来ないことが確認された。
従来品(特許文献3の構造)において、変性アクリレートを主成分とする接着剤によって接着した場合、接着剤や位相差フィルムが黄変する問題があるが、PBSアレイ10の出射面に直に積層し、次に当該水晶放熱板30の主表面にλ/2位相差フィルム40を積層する構造することによって、こういった問題を防止して、従来品に比し長寿命が可能であることが確認出来た。
すなわち、PBSアレイ10に対して水晶放熱板30を、変性アクリレートを主成分した接着剤を用いて直に接合し積層した構造においては、接着剤の主成分を変更しなくても偏光変換素子を長寿命化させることが可能である。
ところで、図4に示す構成において、偏光変換素子が、P偏光光束に統一して出射させる、所謂P偏光光学系光学エンジン用としたが、S偏光光束に統一して出射させるS偏光光学系光学エンジン用にアレンジすることが可能である。
即ち、この場合、図5に示すように、偏光分離膜14を透過したP偏光をS偏光に変換するためのλ/2位相差フィルム40を、水晶放熱板30におけるP偏光の出射領域に配置することになるが、収束度の強い光が、中心部のλ/2位相差フィルム40Aに集光し、蓄熱、発熱の原因となるため、図4に示すP偏光光学系の構成がより望ましいといえる。
なお、本実施形態で使用するλ/2位相差フィルムには、ポラテクノ社製のNR(ポリビニルアルコール系)、HPC(ポリカーボネート系)や、WBR(広帯域用)、WBR−90PCARやWBR−90PC(CL)ARなどのWBR−90シリー(広帯域用1/2波長板)などがある。
即ち、この場合、図5に示すように、偏光分離膜14を透過したP偏光をS偏光に変換するためのλ/2位相差フィルム40を、水晶放熱板30におけるP偏光の出射領域に配置することになるが、収束度の強い光が、中心部のλ/2位相差フィルム40Aに集光し、蓄熱、発熱の原因となるため、図4に示すP偏光光学系の構成がより望ましいといえる。
なお、本実施形態で使用するλ/2位相差フィルムには、ポラテクノ社製のNR(ポリビニルアルコール系)、HPC(ポリカーボネート系)や、WBR(広帯域用)、WBR−90PCARやWBR−90PC(CL)ARなどのWBR−90シリー(広帯域用1/2波長板)などがある。
以下に説明する実施形態は、図5に示す偏光変換素子の構造の場合にも適用可能であるが、図4に示す偏光変換素子の構成に基づいて説明していく。
図6は、本発明の第2の実施形態にかかる偏光変換素子の一例を示す図であり、(a)は各部材の積層関係を示す断面図、(b)は概略斜視図である。
本実施形態においては、水晶放熱板30の、PBSアレイ10への接着面側に、2種類の溝部を設けている。
図6に示す溝部31は、2枚接合されたPBSアレイ10A、10Bの接合部に生じる段差をさけるための溝部であり、さらに、溝部32(第1の溝部)は、図6(b)から分かるように、水晶からなる放熱透明基板の光学軸と、PBSアレイ10から出射されるS偏光光束及びP偏光光束の偏光面の方向と一致させる若しくは直交させて出射光に不要な位相差が付かないようにするための、組み付け時の位置決め用のマーカー溝である。
溝部32は、水晶放熱板30における、偏光分離膜14と反射ミラー膜15の配列方向に平行な両端部に設けられている。
このマーカー溝によって、水晶放熱板の結晶光学軸が出射光の偏光面に対して所定の角度(0度または90度)となるように、PBSアレイ10に対して高精度で積層することが可能になる。
図6は、本発明の第2の実施形態にかかる偏光変換素子の一例を示す図であり、(a)は各部材の積層関係を示す断面図、(b)は概略斜視図である。
本実施形態においては、水晶放熱板30の、PBSアレイ10への接着面側に、2種類の溝部を設けている。
図6に示す溝部31は、2枚接合されたPBSアレイ10A、10Bの接合部に生じる段差をさけるための溝部であり、さらに、溝部32(第1の溝部)は、図6(b)から分かるように、水晶からなる放熱透明基板の光学軸と、PBSアレイ10から出射されるS偏光光束及びP偏光光束の偏光面の方向と一致させる若しくは直交させて出射光に不要な位相差が付かないようにするための、組み付け時の位置決め用のマーカー溝である。
溝部32は、水晶放熱板30における、偏光分離膜14と反射ミラー膜15の配列方向に平行な両端部に設けられている。
このマーカー溝によって、水晶放熱板の結晶光学軸が出射光の偏光面に対して所定の角度(0度または90度)となるように、PBSアレイ10に対して高精度で積層することが可能になる。
図7は、本発明の第3の実施形態にかかる偏光変換素子の一例を示す図であり、(a)は各部材の積層関係を示す断面図、(b)は概略斜視図である。
本実施形態においては、偏光変換素子がS偏光光束に統一して出射させるS偏光光学系光学エンジン用の場合、図6に示したような、水晶放熱板30の光軸を、図7(b)に示すように45度ずらし、波長特性を持たせた水晶放熱板30Aとしたことが特徴的である。
この場合、水晶放熱板30Aは、偏光分離膜14で反射して、さらに反射ミラー膜15によって反射してPBSアレイ10から出射したS偏光の位相を180度ずらしてP偏光とするλ/2波長板として動作する。水晶放熱板30Aを出射したP偏光は、さらにλ/2位相差フィルム40によってS偏光に変換される。
また、偏光分離膜14を透過したP偏光は、水晶放熱板30Aにより位相を180度ずらされてS偏光に変換される。従って、ランダム偏光光束は、S偏光光束に統一されて出射される。
かかる構成によれば、偏光変換素子が、S偏光光学系光学エンジン用の場合でも、偏光変換素子1の中心部にλ/2位相差フィルム40を配置する必要がなく、かかる偏光回転素子の蓄熱・発熱を効果的に抑制して、素子の長寿命化を図ることが出来る。
本実施形態においては、偏光変換素子がS偏光光束に統一して出射させるS偏光光学系光学エンジン用の場合、図6に示したような、水晶放熱板30の光軸を、図7(b)に示すように45度ずらし、波長特性を持たせた水晶放熱板30Aとしたことが特徴的である。
この場合、水晶放熱板30Aは、偏光分離膜14で反射して、さらに反射ミラー膜15によって反射してPBSアレイ10から出射したS偏光の位相を180度ずらしてP偏光とするλ/2波長板として動作する。水晶放熱板30Aを出射したP偏光は、さらにλ/2位相差フィルム40によってS偏光に変換される。
また、偏光分離膜14を透過したP偏光は、水晶放熱板30Aにより位相を180度ずらされてS偏光に変換される。従って、ランダム偏光光束は、S偏光光束に統一されて出射される。
かかる構成によれば、偏光変換素子が、S偏光光学系光学エンジン用の場合でも、偏光変換素子1の中心部にλ/2位相差フィルム40を配置する必要がなく、かかる偏光回転素子の蓄熱・発熱を効果的に抑制して、素子の長寿命化を図ることが出来る。
図8は、本発明の第4の実施形態にかかる偏光変換素子の一例を示す図であり、(a)は各部材の積層関係を示す断面図、(b)は概略斜視図、(c)は、(a)の一部を拡大した図である。
本実施形態においては、水晶放熱板30の、PBSアレイ10における透光性ユニット(透光性基板)13と、偏光分離膜14又は反射ミラー膜15との接合部との対応箇所に、第2の溝部として、図5に示したような溝部32を形成している。
ここで、溝部32の深さtは、水晶放熱板30(30A)の厚みに対して、10:3〜3.5の比率に設定する。
深さtの最小値は、溝入れ装置によって溝部32を形成する時に安定して確実に溝を入れられる最小の深さとなる。すなわち、あまりに浅すぎると、水晶放熱板30の全体に溝が入らない可能性がある。逆に、水晶放熱板30の厚みに対して溝の深さが大きすぎると、取り扱い上、水晶放熱板が割れてしまうなど強度的な問題が発生する。
本実施形態においては、水晶放熱板30の、PBSアレイ10における透光性ユニット(透光性基板)13と、偏光分離膜14又は反射ミラー膜15との接合部との対応箇所に、第2の溝部として、図5に示したような溝部32を形成している。
ここで、溝部32の深さtは、水晶放熱板30(30A)の厚みに対して、10:3〜3.5の比率に設定する。
深さtの最小値は、溝入れ装置によって溝部32を形成する時に安定して確実に溝を入れられる最小の深さとなる。すなわち、あまりに浅すぎると、水晶放熱板30の全体に溝が入らない可能性がある。逆に、水晶放熱板30の厚みに対して溝の深さが大きすぎると、取り扱い上、水晶放熱板が割れてしまうなど強度的な問題が発生する。
また、溝部32の幅hは、0.1mm≦h≦0.2mmに設定する。
hの最小値は、溝入れ装置の能力に依存するが、最大値は、PBSアレイ10の分光特性を保証できる最大の値となる。すなわち、偏光分離膜14、反射ミラー膜15から出射する直線偏光光束が、溝部32にかかって光の透過率が低下するのを防止し得る最大の幅となる。
なお、溝部32は、図6について説明したように、水晶放熱板30の光軸を、PBSアレイ10から出射するP偏光光束、S偏光光束の偏光面と合わせるための、位置合わせ用の溝としても機能し得ることは言うまでもない。
hの最小値は、溝入れ装置の能力に依存するが、最大値は、PBSアレイ10の分光特性を保証できる最大の値となる。すなわち、偏光分離膜14、反射ミラー膜15から出射する直線偏光光束が、溝部32にかかって光の透過率が低下するのを防止し得る最大の幅となる。
なお、溝部32は、図6について説明したように、水晶放熱板30の光軸を、PBSアレイ10から出射するP偏光光束、S偏光光束の偏光面と合わせるための、位置合わせ用の溝としても機能し得ることは言うまでもない。
ところで、溝部31、32は、PBSアレイ10に水晶放熱板30を接着剤によって接着して真空引きを行う際に、接着剤内や、接着剤とPBSアレイ10との境界部で発生する気泡を抜くための孔としても効果を有する。
上述したように、本実施形態で使用するようなPBSアレイを製造する場合、ガラス等の透光性基板13、PBS膜14、及び反射ミラー膜15を、上述の接着剤(UT20、あるいはPB300等)等により交互に幾重にも積層・接着して切断し、さらに切断面を研磨して製造している。
その際、接着剤は粘度が高いために、透光性基板13とPBS膜14との透光性基板13と反射ミラー膜15との間の接着層は厚くなる。このように接着層の厚い積層体が切り出されると、接着層の端部に歪みや荒れが生じてしまう。
この歪みや荒れが生じた状態で、切断面が研磨されると、接着層近傍における透光性基板13やPBS膜14、反射ミラー膜15の角部が削られてしまう(符号17)。
この状態のPBSアレイ10に、接着層20により水晶放熱板30を接合すると、接着剤、特に研磨時に削られた部分付近に気泡が発生する。これにより、PBSアレイ10から出射して接着層20を通過する光の透過率が低下したり、接着層20と水晶放熱板30との間に隙間が生じて両者がはがれやすくなったりするなどの問題がある。
上述したように、本実施形態で使用するようなPBSアレイを製造する場合、ガラス等の透光性基板13、PBS膜14、及び反射ミラー膜15を、上述の接着剤(UT20、あるいはPB300等)等により交互に幾重にも積層・接着して切断し、さらに切断面を研磨して製造している。
その際、接着剤は粘度が高いために、透光性基板13とPBS膜14との透光性基板13と反射ミラー膜15との間の接着層は厚くなる。このように接着層の厚い積層体が切り出されると、接着層の端部に歪みや荒れが生じてしまう。
この歪みや荒れが生じた状態で、切断面が研磨されると、接着層近傍における透光性基板13やPBS膜14、反射ミラー膜15の角部が削られてしまう(符号17)。
この状態のPBSアレイ10に、接着層20により水晶放熱板30を接合すると、接着剤、特に研磨時に削られた部分付近に気泡が発生する。これにより、PBSアレイ10から出射して接着層20を通過する光の透過率が低下したり、接着層20と水晶放熱板30との間に隙間が生じて両者がはがれやすくなったりするなどの問題がある。
図9は、図8の構成の偏光変換素子において、PBSアレイ10と水晶放熱板30との間の接着層を拡大して示す図である。
図9に示すように、溝部32を設けていることで、接着時に溝部32から空気が抜けて、気泡を消滅させることが出来、上記の問題を解決することが可能である。
図9に示すように、溝部32を設けていることで、接着時に溝部32から空気が抜けて、気泡を消滅させることが出来、上記の問題を解決することが可能である。
1 偏光変換素子、10 PBSアレイ、11 光入射面、12 光出射面、13 透光性基板、14 偏光分離膜、15 反射ミラー膜、20 接着層、30 放熱透明基板、31 溝部32 溝部、40 λ/2位相差フィルム、110 光源、111 レンズアレイ、120 偏光変換ユニット、121 重畳レンズ、130 色光分離光学系、131 ダイクロイックミラー、132 ダイクロイックミラー、133 反射ミラー、140 入射側レンズ、141 リレーレンズ、142 反射ミラー、143 反射ミラー、144 フィールドレンズ、145 フィールドレンズ、146 フィールドレンズ、146 反射ミラー、150B 液晶ライトバルブ、150G 液晶ライトバルブ、150R 液晶ライトバルブ、160 クロスダイクロイックプリズム、170 投写レンズ、200 ユニット枠、210 遮光板、220 レンズアレイ、230 クリップ
Claims (7)
- 互いに略平行な光入射面及び光出射面を有し、前記光出射面に対して所定の傾斜角度を有した接合面によって接合された複数の透光性基板と、
複数の前記透光性基板の接合面間に交互に設けられ、前記光入射面に入射した光束を偏光方向が互いに直交して異なる2種類の直線偏光光束に分離して一方の直線偏光光束を透過させ、他方の直線偏光光束を反射させる偏光分離手段と、
反射された前記他方の直線偏光光束を反射し、光路の向きをかえる反射手段と、
前記光出射面側に接着層を介して接合された放熱透明基板と、
該放熱透明基板の出射面に配置され、前記2種類の偏光光束のうち何れか一方の直線偏光光束の偏光面を回転させて他方の直線偏光光束の偏光面と平行な直線偏光拘束に変換して出射する有機材料からなる偏光回転素子と、
を備え、
前記接着層は、変成メタクリレートを主成分とする接着剤よりなることを特徴とする偏光変換素子。 - 前記放熱透明基板は、前記偏光分離手段と前記反射手段との配列方向に平行な両端部に、第1の溝部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の偏光変換素子。
- 前記放熱透明基板は、前記透光性基板と、前記偏光分離手段又は前記反射手段と、の間の積層接着面に対応する箇所に、第2の溝部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の偏光変換素子。
- 前記第1の溝部及び前記第2の溝部の深さは、前記放熱透明基板の厚みに対して3乃至3.5対10の比率であることを特徴とする請求項3に記載の偏光変換素子。
- 前記第1の溝部及び前記第2の溝部の幅は、0.1mm以上0.2mm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の偏光変換素子。
- 請求項1乃至5の何れか一項に記載の偏光変換素子と、当該偏光変換素子及び光源からの光束を選択的に前記偏光分離手段に入射させるための遮光板と、を着脱可能に組み込むための治具と、を備えることを特徴とする偏光変換ユニット。
- 前記光源と、請求項6に記載の偏光変換ユニットと、前記偏光変換ユニットから出射された光を画像信号に基づいて変調する光変調手段と、前記光変調手段から射出された変調光を投写する投写光学系と、を備える投写装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105511097A (zh) * | 2015-12-30 | 2016-04-20 | 武汉科技大学 | 一种基于超材料的反射模式宽频带线偏振转换器 |
-
2010
- 2010-12-03 JP JP2010270015A patent/JP2012118430A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105511097A (zh) * | 2015-12-30 | 2016-04-20 | 武汉科技大学 | 一种基于超材料的反射模式宽频带线偏振转换器 |
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